やはり俺の学園コメディは馬鹿すぎる。   作:Mr,嶺上開花

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最近忙しくて本当n…(全略)
では短いですがどうぞ!


4話 俺とクラスと試召前

 

 

「あ!雄二!キサマ僕を騙したな⁉︎」

 

 

教室に戻った途端に吉井が坂本へ怒鳴りつけて来た。顔には黒のマジックペンでバカやら肉やらと落書きされている。まあ、やったのは間違いなくDクラスの生徒だろう。

 

にしても何か嫌がらせにしては低レベルなのは気のせいか?顔に文字とか小学生かよ。

 

 

 

「酷いな濡れ衣を着せるなんて。騙してはいないぞ?ちゃんと俺がDクラスが暴力を振るう可能性があることを示唆したのを、お前は了承して行っただろ?」

 

「えっ?そんな事言ってた?」

 

 

どうやら吉井は記憶力が無いらしい。たった10分前のやりとりなのに既に会話したかどうかを忘れている。まあ予想は出来てたが。

 

 

「ああ、確かに言った。

 

ーーーお前が扉を閉めた後に」

 

 

それを聞いた吉井は手元のちゃぶ台に置いてあったシャーペンを流れるようなフォームで坂本へ投げ飛ばした。それを坂本は首を横へ曲げることで回避、背後にあった黒板にシャーペンが当たり、弾かれた。

 

…冷静に考えてはみたが、何が起きてるんだよオイ。今普通に危険物を投擲したぞ。しかも坂本はそれを避けてるし、もしかしてこいつら特殊な訓練でも受けてんのか?雪ノ下みたく空気投げとか出来るのか?

 

 

「いきなりペンを投げるなんて危ないじゃないか」

 

「ぐぬぬぬ…!」

 

しかもその後の会話までおかしい。坂本は普通に煽ってるし、吉井なんて擬音語で悔しさを表現している。これに限っては舌打ちとかの方がまだ判りやすい。ソースは俺。小学生時代に一回黒板消しトラップを仕掛けられて、それを普通に避けたら教室中から舌打ちが飛んで来た。クラスメイト全員グルだったのは流石に驚いたが。

 

 

「まあともかくお前も暇なら休むか勉強してろ。これから後30分程度で試召戦争のミーティングを挟んですぐに戦争が始まる。そこからは休めないからな」

 

試召戦争って昼休みとか無いのかよ。本当に学校がクラスに許可している行為なのか微妙に分からなくなってきたんだが。

 

 

「そう言えば何で試召戦争を始めるのに1時間も間を置いたの?すぐじゃ無くとも、30分くらいでよかったんじゃない?」

 

突然吉井はそんな質問を仕出す。そんなの簡単に解ると思うけどな。

 

 

「決まってるだろ、クラスの戦力調査と部隊の編成に少し時間がいるからだ」

 

「でもどうやってクラスの戦力なんて調べるの?」

 

 

そういやこいつ、さっきノートの切れ端に成績を書く事を坂本が指示した時に居なかったな。

 

「さっきクラス全員に自分の各教科の点数を紙に書いて俺に提出するよう話したからだ。当然お前もちゃんとミーティング前には書けよ?」

 

「へぇ〜…」

 

 

そういえば、吉井の点数はどのくらいなのだろう。この馬鹿さと理解力、下手したらこのクラスの成績カースト最下位レベルなのではないだろうか?

 

 

「あ、後比企谷。お前は部隊編成を手伝え」

 

「…了解」

 

断ったら殺すと目が言っていた。多分。

…いつから俺はアイコンタクトでの会話が出来るようになったんだよ。

 

 

 

坂本は教卓の上から割と俺の予想以上に集まっていたクラスメイトの成績が書かれた紙を回収し、真ん中らへんにある自分の席に座ってカバンからノートを取り出した。俺もそれに追従して隣の席に座る。

 

 

「それで、どうやって部隊を振り分ける気なんだ?」

 

「ああ、まあ簡単だ。真っ向から攻める部隊を三つと予備勢力を一つ、後は俺の親衛隊を作る。各部隊の隊長に明久、島田、秀吉、予備の方にムッツリーニだ」

 

「因みに俺はどこに配属されるんだ?」

 

「お前は今回の戦いに、更に言うなら次の戦いにも出さない気だ」

 

 

…ん?少し俺の想像と違ってたな。散々戦いをして策略を考えて、みたいな感じでこき使われると思ってたが。

 

「何でだ?自分で言っちゃなんだが、文系科目に関しては結構自信あるぞ?」

 

「お前は隠し球だからだ」

 

 

その一言を聞いて、ストンと納得がいった。

 

 

「つまりアレだな、このクラスにはジョーカーが居る。それがこの学園でかなりの高得点を取っている姫路だ。だが、その姫路がなぜジョーカーと成りえているかと言えば、それは彼女自身の所在クラスが不明だからだ。当然そんなものは翌日にはバレてしまい、対策も取られてしまう。だからこその今日、始業式にお前は試験召喚戦争を起こした。

 

だが、姫路は初回の戦争で切り札として出した時にバレてしまう。その時点でジョーカーとしての機能は失ってしまう。そこで俺と言う訳だな」

 

 

ついつい長く饒舌に話してしまっていることに気付いて口を閉じる。こういう論議は意外と楽しかったりするんだよな。まあぼっちだからやった事は国語の授業とかでしかないが。

 

坂本はそれに補足をするかのように説明を加える。

 

「そう言うわけだ。お前なら所在クラスどころか、知名度も無いおかげで点数が露見する心配は殆どない。だからこそ、最後のAクラス戦に出てもらう」

 

 

まあ、確かにその判断は間違っては居ない。間違ってはいないのだが、一つだけこいつは思い違いをしている。

 

「坂本、お前は一つだけ勘違いしている」

 

「……何をだ?」

 

決まっている。

 

「そりゃ当然、ーーー雪ノ下雪乃の存在を、だ」

 

 

 

雪ノ下雪乃、氷のように冷静で生真面目な性格。そして俺が所属する奉仕部の部長でもある少女。

雪ノ下の頭脳は賢明だからまずAクラスに居ると思って間違いはないだろう。更に彼女は容姿端麗でもある為にこの学園では割と有名人だ。1日に5回くらいは教室の何処かから名前が聞こえる。

 

そんな雪ノ下には当然だが、俺の成績は知られている。何しろ仮にも一年間も同じ部活にいた仲だ、当たり前とも言えるだろう。それはつまり俺が理系科目に弱い事だって知っているはずだ。

 

 

「あいつ、雪ノ下は俺と同じ部活に入っている。だから俺の点数がAクラス戦の時の切り札になる可能性は低い」

 

そう言うと坂本は少しだけ考え込み、顔を上げた。

 

「ーーいいや、大丈夫だ。まあ確かにお前の存在でAクラスに不意打ちを出来たら最高だったが、別にそこはそこまで問題じゃない。今回重要なのはお前の点数だ。…そういやお前の一番高い点数は何だ?」

 

こいつさっき俺の成績見たとか言ってたくせに点数は知らないのかよ。…本当にどうやって知ったんだか。聞いても無駄だと思うが。

 

「まあ国語だな。前の点数無制限のテストだと大体460点くらいは取れたはずだ」

 

 

因みにこの学園には点数無制限のテストと100点満点のテスト、三年時には200点満点のテストなどバリエーション豊かに揃っている。統一しろよ分かりにくいんだよ。

 

 

「そんなにあるなら上等だ」

 

坂本はそう言うと、ちゃぶ台の上に置かれたクラスメイトの成績が書かれた紙を広げ、次々と名前と点数を自分のノートに書いていく。

 

 

「ほら、ノートだ。お前も早く手伝えよ。この鉛筆で書いてくれ」

 

「…へいへい」

 

 

そうして坂本からノートと成績が書かれた紙を受け取り、坂本が書いているのと同じように氏名と点数をノートにスラスラと書き込んでいく。それにしても今時鉛筆なんて珍しいな、ほとんどの奴らは中学くらいから全部シャーペンに切り替えて運用しているのに。

…まあ俺も小4から筆箱に一本も鉛筆は無いが。理由は簡単、偶に俺の筆箱の中にある鉛筆を漁って折る奴が居たからだ。その目論見を破ろうとしたのである。

因みにこの話は、それを機に俺はシャーペンに替えたのは良いが今度はシャーペンの芯が一本残さずポッキンされると言うオチが付いている。絶対あいつら割れ物を保護するためにラッピングするプチプチとシャーペンの芯を勘違いしてるだろ、今度それやるからシャーペンの芯くれよ。

 

 

 

 

「なあ、この横溝って奴は一番高い点数が二科目同じなんだがどうするんだ?」

 

「両方に書いておいてくれ。そこら辺はまだ決めかねてるからな」

 

 

坂本は俺の質問に素早く答える。流石、クラスメイトに元神童(笑)としてもてはやされていた事だけはある。

 

 

そして俺が知らないこのクラスメイトの横溝君、確かに俺は坂本に二つ高い点数があるとは言ったもののーーー

 

 

【数学 51点 国語 51点】

 

 

ーーーこの点数は普通に無いのではないだろうか。低すぎだろおい。しかも見事なまでに理系科目と文系科目に分かれている。もうどちらかに専攻して私立で狙えよ、どうせ国公立大なんて無理だろうし。

 

 

 

 

そうして書いていると、出るわ出るわの低得点率。中には最高得点が42点とかいう奴もいた。しかも教科は保健体育、もうこいつには使い捨て装甲板としての利用方法しかないのではないか?

 

 

 

 

「坂本、まとめ終わったぞ」

 

10分ほどで全ての点数を統計し終わる。その分字はそこまで綺麗ではないが、坂本が読めれば良いだろう。

 

 

「ああ、ご苦労。後は俺がやっとくから比企谷は戦争開始まで待機しておいてくれ」

 

「…了解」

 

 

かくして俺は解放された。…まあ戦争が始まればこきつかわれるんだろうが。

 

「…えーと、ヒキタニ君!……だったっけ?」

 

少し疲れたので、うつ伏せになって音楽が流れていないイヤホンを耳につけて寝ようと思い、自分の席に戻ろうとすると後ろからどこかで聞いたことのある名前が聞こえた。

 

 

というかまたしても何でだよ、一年の時と言い、お前ら俺の苗字そんなにヒキタニって呼びたいの?

違う俺の名前は比企谷だ、とか言われたいの?

 

 

「…比企谷だ。それでなんか用か?」

 

「いや、用というほどでも無いんだけどさ、雄二と仲良さそうだから話してみたかっただけだよ」

 

 

馬鹿の顔をしている吉井はそう言った。…なんかヤンデレの言葉みたいだな。

<少し話がしたくて…〉とか言って包丁持ち出す感じの。それで俺が刺されるわけでーーー

 

 

「……お前ら、ひょっとしてアレなのか?」

 

「えっ?アレって?」

 

ホが付くモである。

 

「そりゃ勿論出来て……いや、なんでもない」

 

「いやちゃんと聴こえてたからね⁉︎もうそこまで言われたら誰だって分かるよ!!」

 

「…いや、本当にすまん。必死に弁明のフリをさせて。気にしないでくれ」

 

「違うよ!僕と雄二は真っ当なーーー」

 

 

そこまで言うと、吉井は少し考える人のポーズをして悩み始める。…真っ当な…何だ?

 

 

しばらく悩んでいると、吉井はそうだ!と言って顔を上げた。不覚にも頭の上には電球が灯ったように見えた。

 

「ーーー真っ当な少し裏のある友人関係なんだ!!」

 

 

 

 

 

「……つまり、お前らは表向きは友人としては真っ当だが、裏の顔は……てな感じなのか」

「違ぅぅぅぅうう!」

 

 

シャウトして言い切る吉井。それはまるでメガネが本体だとかどこかの江戸で言われている人のツッコミみたいだった。

 

「分かった分かった、坂本の感性は普通なんだな。それで良いか」

 

「んーっ…何かが違うような…だけど確かに合っているような…」

 

いやどっちだよ。

 

 

そうして少し駄弁っていると、木下が近付いて話しかけてきた。

 

「明久に比企谷、トランプやらんか?まだ時間は少し余ってるしのう」

 

「そだね、いいよ」

「ちょっと待てお前ら」

 

 

そんな中、突然現れたのは赤ゴリ…違った。坂本だった。だからその鋭い目付きマジやめろ、心臓が凍りついて心停止するだろうが。

 

 

「何?雄二もトランプやりたいの?」

「確かに皆でトランプを使って明久を散々ミンチにするのも魅力的だが、少し試召戦争について各部隊の隊長と姫路に話がある。屋上に行ってくれないか?」

「ちょっと待て雄二!それじゃあ僕はストレス発散ツールみたいに聞こえるじゃないか!」

「今から5分後に話し合いを始める。他の3人も誘って行くからお前らは先に行っててくれ」

「俺はどの役割でもないんだが…」

「副代表は当然参加だ」

「無視すんなよ!」

 

 

吉井が横で物凄く騒いでいるが、それを小春日和の穏やかな風の如く俺と坂本と木下は受け流す。坂本に限っては吉井がボールペンを人を指す要領で持っている腕をしっかりと掴んでいた。

 

 

「じゃあさっさと行こうかのう。比企谷も一緒にどうじゃ?」

 

「目的地は一緒なんだ。それならお互い気まずく黙りあって屋上まで行くよりは少しでも話し合って空気を軽くした方が良いしな」

 

「素直に一緒に行くと言えば良いじゃろうに」

 

 

木下は少し拗ねつつもどこか照れ臭そうだった。何だこの生き物、俺の脳内の戸塚並みの可愛さ、いやそれを越しつつある…!いやだがまだ本物の戸塚と見比べてないからセーフセーフ。

 

 

「これから一年間、宜しくなのじゃ」

 

そう言う木下の顔はまるで人の凍りついた心を溶かし、闇に縛られた思想を解す事の出来る日輪のようでーーー

 

 

「……ああ、宜しく」

 

 

ーーーそれは俺の心をも少し素直にしてしまったのかも、しれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、僕の腕の関節があらぬ方向へと曲がりつつ…痛って!痛い!痛いよ美波!」

「全部吉井が悪いんだからね!」

「ノー!ノーワンモア!ちょっ、本当に限界!!」

 

 

 

…そしてこのクラスでシリアスな感情表現は、無理なのかもしれない。

 

 

 




疑問にお答えコーナー!(突然)


・なぜバカテスの原作通りのセリフが殆ど無いの?

作者が原作持ってるのにも関わらずにいつもコレを書いているのが登校中の電車の中だからです。…もちろん大まかなストーリーはそのままですよ?一応…ね?


・俺ガイルの他の人達はどこ行ったの?

皆他のクラスへ行きました。
俺ガイルの中で一番頭が悪そうな由比ヶ浜もEクラスへ行きました。原作でも高校受験は取り敢えず受かってるし…。


・比企谷君が何か喋りまくってるよ?

前提として比企谷君はコミュ障ではないです。ただ、話す相手が居なかっただけです。話す話題やら、環境やら、条件によっては彼だってやれば出来るのです。それでも彼からして見れば友達は0人らしいですが…。


・前話で言っていた雄二の比企谷君の成績の入手方法って?

それはまあ、彼ですよ。保健体育が大好きな世間的にグレーゾーンで息をする、青い髪の彼ですよ。


・それって出来るの?

彼ならエロ本を2冊ほど積めばどんな難題も可能な限りやってくれます…!…あ、そこ!ご都合主義とか言わないで!


・今回の最後のセリフは何?

作者の本音です。小説を書くって難しい…!



このコーナーは時間に余裕がある時にまたやります。後、もう絶対にやるな気持ち悪い!と言われたら取り敢えず止めます(豆腐メンタル)


ではではまた次回

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