うさぎ帝国   作:羽毛布団

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皆さん御機嫌よう。第四話仕上がりました。
大層な題ですが、大したことはありません。察しがついてる方も多いかと(笑)


さあ、ついに主人公君が大筋に関わってきます。前回もちょこっと触れましたが、言わばここまではプロローグ。ココアちゃんを差し置いて物語開幕とは致しません。(キリッ)

冗談はさておき、実を申しますと今回多少カットしました。実際のところココアちゃん登場の直前くらいまで話を進めようかなーとか考えていたのですが、思った以上に文字数が嵩み、それならチノちゃんの話とココアちゃんの話は纏めちゃおう、ということになった次第です。なので、チノちゃんvs野良うさぎの対決(?)は次回に持ち越しとなります。力不足で申し訳ない。

では、後書きでお会いしましょう。


それはまさに、運命の出会い

 ──四月。春の陽気ともふもふしたうさぎたちに囲まれながら、僕はある人物と談笑していた。

 

「そうなんですか。じゃあ、青山さんは昔お世話になった喫茶店のマスターさんに会いに来たんですね」

「はい。ですけど、なかなか心の準備ができなくて……」

 

 こちらの妙齢の女性は、青山ブルーマウンテンさん。本名ではなくペンネームらしいのだが、そう名乗ったので僕は青山さんと呼んでいる。彼女は小説家という立派なお仕事をされており、書いた小説が映画にもなっている大先生である。

 

「あはは、そのマスターさんも青山さんと会うのを楽しみにしていらっしゃると思いますよ」

「そう、ですね。心の準備が整ったら、是非会って本の感想を聞いてみたいです」

 

 青山さんは、小説のネタを求めて様々な場所を巡っているらしい。たまたま訪れたこの公園で僕のサーカスを見て、いたく気に入ってくれたらしく、こうして話し合う仲にまでなった。

 

「さて、それではそろそろ失礼します。小説の続きを書かないといけませんので……また会いましょう」

「はい、また。執筆頑張ってください」

 

 去って行く青山さんを見送ると、僕はうさぎたちをもふもふしながら空を見上げた。最近はこうして空を眺めるのが癖になってきた。青空を見ていると心が洗われるし、それに──。

 

「おっ」

 

 膝に乗っていたうさぎたちを退かせ、構える。

 次の瞬間、青空から黒い物体──あんこが降ってきて、僕はそれをしっかりと受け止める。

 

「やあ、またきたのか」

『…………』

 

 相変わらず何も語らないが、どうやらリラックスしてくれているらしく、じっと静かに佇んでいる。

 あんこが降ってくるのはこれで五回目だ。それだけ降ってくれば、流石にもう驚きはしない。

 そして、この後の展開も当然読める。そろそろ千夜ちゃんがあんこを追いかけてここまで来る頃だろう。

 

「ま、待って〜!」

 

 ほら来た。

 

「やあ、千夜ちゃん。今日もご苦労様」

「あら、上白君。やっぱりあんこはここだったのね。いつもごめんなさい」

「あはは、別にいいよ。でも、できれば普通に来て欲しいかな」

 

 どうして毎度毎度攫われては僕の元に落ちてくるのか、甚だ疑問である。

 

「この前のサーカスも、とっても面白かったわ。また楽しみにしているわね」

「ありがとう千夜ちゃん。そう言ってくれると僕も頑張れるよ」

 

 ただ、お金入れる箱に和菓子を入れるのはどうかと思う。

 

「そうだ! 和菓子の新作を作ってみたんだけど、食べてみてくれないかしら?」

「また? ありがたいけど、僕なんかでいいの?」

「ふふ、上白君のアドバイスは結構頼りにしているのよ」

 

 初めての衝撃的な邂逅以来、千夜ちゃんはこうして僕に和菓子の試食を頼むようになった。ここだけの話だが、彼女が持ってきてくれる和菓子は僕の貴重なカロリー源だったりするのだ。満足いく助言ができてればいいんだけど。

 いそいそと千夜ちゃんが取り出したのは、葉っぱで巻かれたピンク色のお餅……ぶっちゃけ桜餅だ。

 

「桜吹雪の木の葉隠れよ」

「いや、そこは普通に桜餅でいいよ」

 

 相変わらず彼女のネーミングセンスは異常である。センスがありすぎるというか、全く別のベクトルというか。

 

「まあいいや……じゃあ、いただきます」

 

 葉を剥がさずに、桜餅をそのまま口に運ぶ。剥がす人も多いらしいが、僕はそのまま食べてしまう派だ。餅の部分もそうだが、葉にだってそのお店独自の工夫が施されているから、技量を量るには丁度いい。

 

「どうかしら?」

「うん、おいしいよ。葉っぱもよく塩漬けされてる」

「あらよかった。なら今年も安心してお店に出せそうね!」

 

 真剣な表情で僕の感想を聞いていた千夜ちゃんは、途端に相好を崩した。見ていると此方まで嬉しくなってくる。矢張り、女性は笑顔が一番だ。

 

「あら? もうこんな時間……ごめんなさい、そろそろ戻らなくちゃ。本当はもう少しお話していたいんだけど……」

「あはは、お仕事なら仕方ないよ」

 

 僕は無職なので、胸中はかなり複雑なのだが。いや無職っていうか、学校は行ってないし、お金を得ているのはほぼうさぎたちの努力の賜物だし、収入は不安定だし、家はないし。こうしてまともな職業に就き、加えてきちんと学校にまで通っている人を見ると、どうも自分がダメ人間みたいに思えてきて辛い……半分自業自得なのだが。

 

「……じゃ、僕も公演の準備をしなきゃ」

 

 千夜ちゃんと別れた僕は、うさぎたちを集めるべく公園を奔走した。

 

 

 

 

 

 

 

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「わー! かわいい!」

「もふもふー!」

「ふわふわだー!」

 

 昼過ぎの公園に、子供たちの黄色い声が響き渡る。

 今回もつつがなく終幕を迎えることができた僕は、以前から発案していたあること(・・・・)を、ついに実行に移した。

 

「みんなー! うさぎが嫌がらないように、優しく撫でてあげるんだよ!」

「「「はーい!」」」

 

 ──サーカスの終わりに、うさぎと触れ合う時間を設けること。

 

 調べたところ、この街のうさぎは皆一様に人馴れしている。が、だからといって長時間撫で回していれば、嫌がって逃げてしまうのだ。なればこそ、もっとうさぎに触っていたいと考える人も多い。

 だからこそ、僕の力が役に立つ。詳細は解らないが、僕の《うさぎに好かれる》という体質は多少伝播するらしい。

 その上僕からうさぎたちに協力を願い出れば、街の人にもうさぎと仲良くなれる機会が増えるわけだ。皆がうさぎに骨抜きにされる未来もそう遠くない。そうなれば、この街をうさぎだらけにする計画にも光明が──!

 

「ねーねー、うさぎの兄ちゃん! 私にもさっきみたいなうさぎ回しできる!?」

 

 などと考えていると、一人の女の子が一匹のうさぎを抱え、僕の前で目を輝かせていた。この子はお友達と一緒に良くサーカスを見に来てくれる子で、確か名前は──。

 

「あー、マヤちゃん? 流石にうさぎ回しは難易度が高いかな……」

「えー!? やっぱりまだダメかぁ……ちゃんとレベル上げしないとなー」

 

 いや、レベル上げて。魔物でも倒すのか?

 

「マ、マヤちゃ〜ん! 助けてぇ〜!」

「メグ、何面白そうなことやってんの? 私も混ぜろー!」

「え、ええ〜!?」

 

 遠方で何匹ものうさぎに追い回されているのは、メグちゃん。マヤちゃんが活発で元気いっぱいなのに対し、メグちゃんは随分大人しめでおっとりしている。

 対照的に見える二人だが、メグちゃんは割とドジっ子なので目が離せないという点では似通っているかもしれない……というか、何故うさぎに追いかけられているんだ。うさぎが楽しそうだからいいんだけど。

 

「待てー!」

「ひえぇ〜!」

 

 一緒になって追い回すマヤちゃんと、それから逃げ続けるメグちゃん。それに周りの子たちも触発されて、壮大な追いかけっこに興じ始めた。

 

「平和だねぇ」

「た、助けて下さ〜い!」

 

 和気藹々とした午後の公園に、メグちゃんの悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 

 

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「みんな、お疲れ様」

 

 夕暮れが街並みを赤に燃え上がらせる中、僕は大量の野菜で以ってうさぎたちを労っているところだ。いやぁ、これを見てるだけで生きる活力も湧いてくるというものである。

 

「上白。ここにいたのか」

 

 ぼんやりと眺めていると、背後から声を掛けられた。何度も聞いた声音だ。振り向くと、見たことない服装のリゼと目が合った。雰囲気からして、仕事着だろうか? 何故だ。

 

「リゼ。こんばんわ」

「ああ、こんばんわだ。またうさぎに野菜を与えていたのか?」

「当然。功労者はこの子たちだから」

「お前は何も食べないのか?」

「あはは、一応僕の分も野菜を買ってたんだけどね。可愛くて、つい……」

「全く……ほら、これやるよ」

 

 呆れた声で溜息を吐いたリゼが僕に放ってきたのは、パンの入った袋だった。それを受け取ると、僕は遠慮がちに彼女に問う。

 

「あのさ、嬉しいんだけど……毎回毎回貰っちゃって、流石に悪いよ」

 

 リゼは僕の元を訪れる時、必ず食料を渡してくる。なんだか施しを受けているようでみっともないが、千夜ちゃんと並んで貴重なカロリー源なので、結局受け取ってしまうのだ。

 

「悪いと思うなら、軽率に自分の分までうさぎにやるんじゃない」

「うぐっ」

「というか、お前は野菜じゃなくて別のものを買えばいいだけの話じゃないか。どうして野菜なんだ」

「いやぁ、だって野菜好きだし。それにうさぎと同じもの食べたいと思わない?」

「後ろが本音か……」

 

 ジト目はやめて下さい。

 

「はあ……まあいい。そのパンは相談料とでも思えばいいさ」

「相談料……? リゼが僕に、何か相談があるの? 虫歯?」

「お──お前っ、私が最近歯の痛みに悩んでいる事に気が付いていたのか!? もしや、企業のスパイ──!?」

「企業ってなに!?」

 

 適当に言ったので「虫歯なわけないだろ、子供じゃあるまいし」的な反応を期待していたのに、なんとドンピシャだったらしい。そんなに驚かなくても。

 

「虫歯なら早めに歯医者で診てもらいなよ」

「うっ……まだ大丈夫だ。多少痛みを感じるだけだ、何も問題はない。ない筈……だ」

 

 リゼさん。それ、フラグって言うんですよ。

 

「は、話が逸れたな」

 

 声ちょっと上擦ってますよー。

 

「……それで?」

「ああ、相談というのはだな……初めて私たちが会ったあの日、私が言ったことを覚えているか?」

「あの日? ……ああ。バイト先の子がどう、とかいう話?」

「それだ。今からそいつに会って貰おうと思ってな」

 

 成る程。件のうさぎが懐かない子にようやくご対面できるわけか。ふふ、うさぎのもふもふ地獄で天国を魅せてやろうじゃないか──!

 

「で? その子はどこに?」

「今からそいつの家に行くぞ」

 

 …………あれ?

 

「え? ここに来てないの?」

「来てないが」

 

 うん? うさぎと戯れるのが目的なら、ここに連れてくるのが一番効率的だと思うのだが。

 その旨を伝えると、リゼは困ったように頬を掻きながら口を開いた。

 

「あー、そいつ……チノって言うんだがな。チノはいわゆる人見知りで、いきなりお前と鉢合わせはハードルが高い」

「うんうん」

「だから、一先ずはお前とチノの顔合わせを済ませておこうと、な。あいつは客相手なら物怖じしなくなるから」

「あー、それでその格好なのか」

 

 納得した。仕事の途中でここに来たのだから、そりゃあ仕事着だろう。関係ないが、これを考えた人は結構なセンスの塊だな。普通に可愛い。素材がいいのかもしれないけど。

 

「……何か今、恥ずかしいことを考えてなかったか?」

「別に」

 

 ……彼女、可愛いと言われると恥ずかしいのだろうか? 是非言ってみたい気もあるが、命には替えられない。どうして現役の女子高生が銃を携帯しているんだ。モデルガンである事を切に願う。

 

「そういうことなら、わかったよ。案内よろしく」

「ああ、こっちだ」

 

 日が暮れる前には目的地に到着しておきたい。僕はリゼの後を追って、彼女の働く喫茶店へと向かった。

 

 

 

 

 

 

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「一応言っておくぞ。ようこそ、ラビットハウスへ」

「ほおー、ここが……」

 

 ここが、リゼの勤め先であり、問題の子が待っている場所……!

 

「……何を感動しているんだ?」

「ネーミングセンス、超グッジョブ」

 

 ラビットハウスと名付けた人はきっと僕の同類に違いない。いい酒が飲めそうだ。未成年だが。

 

「いいから入れ」

 

 隣から聞こえる声が怖くなってきたので、急いで扉を開き、店内へ。

 ──その瞬間、僕を構成する全ては時間を止めた。

 

「いらっしゃいませ」

 

 カウンターの側に立っていたのは髪の長い女の子──丁度今日会ったマヤちゃんやメグちゃんくらいの背丈だ──で、かなり大人びた雰囲気を纏っている。僕よりも年下であろうこんな子でもウェイターという職を得ているなんて、驚愕を禁じ得ない。

 ──だが、僕を真に驚かせたのはそこじゃない。

 その女の子の頭上、頭の上、頭の! 上! オンザヘッド!! そこにおわすのは、もこもことした白い生物。その丸いフォルム、全身を覆もふもふの毛、つぶらな瞳、間違いない。こいつは──!

 

「あ、アンゴラウサギ……!」

 

 前世(?)でもついにお目に掛かれなかった、《死ぬまでに会いたいうさぎ》リストの筆頭が、こんなところに……!

 どうやら、ここは本当に天国だったようだ。神様ありがとう……!

 

「あの……?」

 

 少女が怪訝そうな声を出したことで、はっと我に返る。どうやらずっと女の子(の頭の上)を見続けていたらしい。これは悪いことをした。

 

「あ、ごめんなさい。君の頭の上のうさぎが随分珍しくて……アンゴラウサギだよね?」

「はあ、確かにティッピーはそうですが……?」

 

 貴方は? とでも言いたげな視線を僕に向けてくる少女。そりゃそうだろう。突然入ってきた客が、唐突に硬直して見つめてくると思ったら、これまた唐突に飼いうさぎの品種を尋ねられたのだ。どうみても不審人物である。

 というか凄いな、ずっと頭の上に乗っけているのか。首を傾げても落下しないなんて、相当懐いて──ってそうじゃないじゃん!?

 

「リ、リゼ! もしかしてこの子がチノちゃん!?」

「止まったり動いたり忙しい奴だな……いかにも、そいつがチノだ」

「うさぎと仲良いじゃん! 嘘つき!」

 

 うさぎが寄ってこない体質とか言っていたが、モロ密着してるじゃないか! しかも頭の上に! 羨ましい!

 

「……私が触れるのは、ティッピーだけです」

「と、いうことだ」

「……ごめんなさい」

 

 どんよりと俯くチノちゃんに、僕は猛烈な勢いで頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

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「……ご注文は?」

「アイスコーヒーを一つ」

 

 どうにか持ち直したチノちゃんは、何もなかったかのように無表情でオーダーをとっていた。強い子である。

 

「どうぞ」

 

 戻ってきたチノちゃんはグラスを置くと、一礼して踵を返す──その前に、僕が声を掛けた。

 

「ちょっといいかな」

「何か御用ですか?」

「ああいや、とりあえず……さっきはゴメンね」

 

 もう一度頭を下げて、チノちゃんに謝罪する。思い返してみても、流石にさっきのは不躾だと思ったからだ。

 

「いえ、もう気にしていません。頭を上げてください」

 

 チノちゃんのお許しを貰ったので、僕は頭を上げて口を開いた。

 

「ありがとう」

「いえ……それより、リゼさんのお知り合いなんですか?」

 

 すると、真顔でそんなことを聞いてくるチノちゃん。確かに自己紹介がまだだった。

 

「僕は──「そいつが、前に話した上白だ」……」

 

 台詞を被せてくるリゼなんて嫌いだ。

 

「じゃあ、この方があの……!?」

 

 リゼの言葉を聞くと、途端に畏れ多いものを見るかの如く目線を僕に固定するチノちゃん。何だ?

 

「う、うさぎ神……!」

 

 おいリゼ、何を吹き込んだんだ。

 

 僕が半目でリゼを睨んでいると、彼女はバツが悪そうに目を逸らした。

 

「いや、私としては普通に紹介したつもりだったんだが──」

「だが?」

「……うさぎに好かれ、意思疎通が可能と伝えると、伝説になった傭兵の武勇伝を聞いたような反応を示してな」

「なんて事を……!」

 

 そして、伝説になった傭兵って何さ。

 相変わらず尊敬の眼差しで見つめてくるチノちゃん。ここは落ち着いて話をせねば──。

 

「そんなに畏まらないでいいよ。チノちゃん、でいいかな。リゼから話は聞いてる?」

「は、はい! リゼさんからは、うさぎサーカスの人と伺ってます! これからここで働いて下さるんですよね!?」

「────りぜ?」

 

 ここは、落ち着いて、話を、せねばなるまい──。

 

 

 

 

 

 

 

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「どういうことなの!?」

 

 現在僕は、チノちゃんに聞こえないよう彼女から離れ、リゼに詰め寄っている最中だった。チノちゃんが何やらティッピーに話しかけているように見えるが、今はそれどころではない。

 

「どうも何も、聞いただろ?そういうことだ」

「聞いてないよ!?」

「言わなかったからな」

「……ぼ、僕の了承は?」

「事後承諾だ。事前に言えば逃げるのは目に見えていたからな」

「だ、だっていきなり働くなんて……」

 

 確かに職を欲していたとはいえ、突然目の前に働き口を用意されたら誰だって戸惑う。それがうさぎのいる喫茶店となると尚更。

 

「今更逃げても無駄だ。もう手続きは済ませてある」

「……この店の人たちは、なんて?」

「お前の話をしていたからか、チノ自身はかなり乗り気だった。マスターにも話は通してあるそうだ」

 

 八方塞がりですね、解ります。

 

「……上白。ここで働くのは嫌か?」

「うっ」

 

 リゼが申し訳なさそうな表情で問いかける。ともすれば泣き出しそうにも見える顔だ。

 

「──リゼは卑怯だなぁ」

 

 苦笑して、僕は言葉を紡ぐ。

 

「よろしくお願いします、先輩」

 

「──ああ、任せろ後輩!」

 

 ラビットハウスに、満開の華が咲いた。

 

 




読了有難うございます。

圧倒的ヒロイン力リゼちゃん。申し開きしておきますと、ここから恋愛に発展するとか、そういった類のことは今のところ考えておりません。恋愛描写は今度どうするか決めかねている所存でございます。
どちらにせよ、簡単に惚れさせるようにはしません。彼女たちも歴とした乙女ですからね!(世の中そんなに甘くないのです)
というか主人公君、原作キャラで誰を選ぶかってなったら間違いなくティッピー選んじゃうようなキャラですし……。

とか言い訳しつつ、今回はここで終了です。お付き合い頂き有難うございました。

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