横須賀鎮守府の日常   作:イーグルアイ提督

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砕ける空 後編

「懐かしいな・・・」

 

横須賀から送られてきた機体を撫でながら呟く。

リボン付きの死神か・・・

スカイアイもまさか俺がこんな島国の鎮守府で艦隊指揮を執っているなんて夢にも思わないだろうな。

オメガなら目の色変えて突撃(イジェクト)してきそうだけど・・・。

 

「あ、大佐さん!電さんが探してましたよ!」

 

「ん?電が?」

 

「はい。あれ、その飛行機どうしたんです?」

 

「横須賀から送ってもらった」

 

「もしかして・・・行くんですか?」

 

「いや・・・あいつらにもしものことがあったらだよ」

 

「そうですか・・・それより電さんのところに行ってあげてください」

 

「ん、了解」

 

そんなわけで電を探しに行く。

 

「おーい、電ー!どこだー!」

 

名前を呼びながら探していると・・・

 

「あ、司令官さん!やっと見つけたのです・・・」

 

「どした?」

 

「あの・・・明日のことなんですけど・・・」

 

「明日?どした?」

 

「編成聞いてないのです・・・」

 

「あれ・・・言ってなかった・・・?」

 

「はい・・・」

 

「す、すまん!!今から伝えるよ!」

 

俺としたことが忘れてた・・・てか!何で誰もそこに質問しないの!?

とりあえず編成は水上打撃艦隊、旗艦が大和、ミズ-リ、ピョ-トル、長門、榛名。水雷戦隊旗艦がいそかぜ、JPJ、クズネツォフ。

 

機動艦隊旗艦がアンドロメダ、赤城、加賀、ケストレル、金剛。水雷戦隊旗艦が電、響、暁、雷、雪風、うらかぜ。

 

この編成で向かう。

 

「これを伝えてくれるか?」

 

「分かったのです!」

 

「電・・・危険な作戦だが・・・気をつけてな」

 

「はい!」

 

作戦案もまとまった。

いったん部屋に戻ろう。

作戦開始は明日の朝だ。

 

 

 

~翌日(いそかぜ)~

 

作戦開始の朝。

すでに私達は洋上に居る。

 

「機動艦隊の方とはここでいったんお別れですね」

 

「はい、いそかぜさんお気をつけて」

 

「電さんも」

 

機動艦隊が別れ私達は進路を変えずに航行する。

 

<<こちら舞鶴鎮守府、スト-ンヘンジ攻略隊、聞こえるか?>>

 

「こちらいそかぜ、感度よし」

 

<<まもなくレ-ルガンの射程圏だ。砲撃来るぞ!>>

 

その通信の数秒後、ものすごい轟音が空に響いた。

 

「ぐぅっ!これがレ-ルガンってやつか!!」

 

「空が・・・砕けた・・・」

 

「全艦最大戦速!!花火の中に突っ込むぞ!!」

 

長門さんの号令とともに増速、接近を開始する

 

「SPY起動・・・ジョンさん、イージスを起動しましょう!」

 

「おう!」

 

「まもなく主砲射程圏です!三式弾装填!!」

 

<<スト-ンヘンジ砲撃!!5・・・4・・・3・・・2・・・インパクト!!>>

 

ものすごい轟音と衝撃波・・・押しつぶされそうだ。

 

「目標!主砲射程圏!!全主砲薙ぎ払え!!」

 

「全主砲、斉射!てーっ!!」

 

「主砲、てー!!」

 

「主砲!砲撃開始!!」

 

4隻の戦艦から三式弾が発射される。

命中を祈るばかりだ。

レ-ダ-を見てもスト-ンヘンジは靄のようなものに覆われていて何も分からない。

 

<<衛星よりデ-タ受信・・・敵艦隊!そちらのすぐ近くだ!>>

 

「了解、こちらもレ-ダ-に捕らえました!ロックオン!!」

 

「やるか?」

 

「はい!TPex・・・撃ちー方ー始めっ!!てーっ!!!」

 

「一斉撃ち方!!」

 

ジョンさんと私から長距離ミサイルを発射する。

敵艦はみた感じ戦艦が中心のようだ。

 

「三式弾・・・弾着確認できますか?」

 

「少し待ってください・・・確認!さっきより靄が少なくなってます!ダメ-ジを与えてます!!」

 

「了解しました!!次弾装填急いで!装填できた艦は砲撃してください!」

 

「榛名!全力で参ります!!」

 

榛名さんが一足先に第二射を斉射する。

続いてミズ-リさん、長門さんと続き砲撃を行う。

 

「三式弾・・・弾着!!」

 

レ-ダ-を見ると・・・

 

「命中!!電子攻撃システムダウン!司令官行けます!!」

 

<<よし!一斉撃ち方!!鉄の雨を降らせてやれ!!>>

 

「了解!トマホ-ク、攻撃始め!!」

 

「グラニ-ト・・・やっちゃえ!!」

 

「敵機確認・・・くるぞ!速い!!」

 

ジョンさんが空を見上げて叫ぶ。

あの機影・・・SU-37・・・スホ-イ!?

 

「スホ-イ接近!」

 

「もうボクの国のじゃないか!!撃ち難いよ!!」

 

「そんな事言ってる場合か!!撃て!!」

 

「分かってるよ!!」

 

「大和さん!対空戦闘は任せて砲台を攻撃してください!!」

 

「分かりました!!・・・幸運を」

 

「大和さんも!!」

 

大和さんたち戦艦隊は増速・・・離れていく

 

「対空戦闘!シ-スパロ-発射!」

 

空中にミサイルをばら撒く。

CIWSや速射砲の砲弾が空中にばら撒かれる。

 

「この戦闘機速い!」

 

<<・・・いそかぜ、その戦闘機のカラ-リングは?>>

 

突然司令官より無線が入る。

カラ-リング?

 

「えっと・・・両翼が黄色く塗装されて全体的にグレ-です」

 

<<・・・黄色中隊か・・・そこまで真似るか・・・>>

 

「なんの話ですか?!」

 

<<帰ったら話す、今は迎撃に集中せよ!>>

 

「了解!!」

 

ところ狭しとばら撒かれるミサイルや砲弾、機銃弾のおかげで敵機は確実に数を減らしていく。

だが一機だけどうしても落ちない。

機種に13と書かれた戦闘機だけは弾がかすりもしない

 

「何なんですかあの戦闘機!!」

 

「さすがボクの国の戦闘機だけあr・・・わあああああ!!!」

 

「褒めてる場合か!!」

 

「貴様は祖国を裏切った!」

 

「何の話だよ!!」

 

こうなったら最終手段・・・アポト-シスを空中で炸裂させて落とすしかない。

アポト-シスは着弾地点に強力な電磁パルスを発生させる。

その電磁パルスは周囲のものを無差別に行動不能、最悪破壊することが出来る。

・・・でも私がやるしかない。

 

「皆さん・・・ここから離れてください」

 

「何する気だよ!!死ぬぞ!」

 

「電磁パルスを発生させます!」

 

「お前・・・・それって・・・」

 

「大丈夫、核兵器なんて使いません」

 

 

「・・・分かった。ピョ-トルとともに海域を離れる。幸運を」

 

私は無言で敬礼する。

アポト-シスの炸裂地点は・・・・真上。

 

「アポト-シス・・・VLS開放」

 

CIWSで敵機を追い掛け回しジョンさん達のほうに行かないようにする。

この場所で炸裂させれば私はただではすまないだろう。

でも方法がこれしかない。

敵は確実に私達にダメ-ジを与えていく。

たった一機でこんな損害だ。

 

「・・・アポト-シス、発射・・・始め」

 

真上に向けて真っ赤な塗装がされたミサイルが発射される。

炸裂高度は約800m。

・・・落ちろ!!

 

「ふぅ・・・ごめんね、うらかぜ」

 

上空で大きな爆発が発生し敵機がコントロ-ルを失ったのが見える。

同時にものすごい衝撃波が私を襲う。

システムがダウンしていくのが分かる。

同時に意識が遠のいていった。

 

 

 

 

~大和~

 

遠くで大爆発が見えた。

 

「いそかぜさん・・・」

 

「あいつなら大丈夫だ」

 

「はい、長門さん、徹甲弾は撃てますか?」

 

「大丈夫だ」

 

「ジョンポ-ルジョ-ンズさん、レ-ダ-で目標を指示できますか?」

 

「ああ、出来る」

 

「了解しました。主砲砲撃準備!目標は?」

 

「距離・・・20km・・・方位2-3-0!」

 

「了解!第一第二主砲、斉射、始め!!」

 

「主砲、撃て!!」

 

砲撃を開始。

当たって・・・!!

 

<<スト-ンヘンジが砲撃を再開!!くるぞ!!>>

 

遠くの島が光る。

でもここは高度600m以下・・・大丈夫!

 

<<5・・・4・・・3・・・2・・・インパクト!!>>

 

その瞬間・・・空と海が砕けた。

 

「きゃあああああ!!!」

 

「ぐっ・・・!!戦艦が簡単に沈むか!!」

 

「あの化け物・・・地対艦攻撃も出来るのかよ・・・!!」

 

「早く止めないと・・・!!」

 

損害は戦艦隊は軽微ですんだが駆逐艦・・・ジョンポ-ルジョ-ンさんは小破してしまった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「俺なら大丈夫だ!」

 

<<大丈夫か!?>>

 

「大丈夫です!砲台は・・・」

 

「レーダーで砲台2基の破壊確認!!」

 

「あと6基・・・主砲、三式弾に切り替え!!」

 

「三式!?そんなんじゃ・・・」

 

「敵の砲撃の瞬間を攻撃します・・・うまくいけば誘爆で・・・」

 

「無茶だ!そんなのどうやったら・・・」

 

「・・・俺のレ-ダ-か?」

 

「はい」

 

イ-ジス艦のレ-ダ-なら・・・

 

「分かった。発射のタイミングを演算する」

 

「お願いします」

 

主砲を向け、待機する。

 

<<舞鶴より横須賀ミサイル管制!アトラス、気化弾頭!スト-ンヘンジ周辺に存在する敵姫クラスを撃沈する!>>

 

提督が横須賀に連絡する。

弾道ミサイルなら・・・

 

<<メガリスにも弾道ミサイルを使った・・・これが最後のミサイルだ>>

 

「分かりました。・・・外さないでくださいね」

 

<<ああ、分かってる>>

 

「捕らえた!!砲撃予測時間・・・あと1分後!」

 

「了解しました!」

 

一分・・・ちょうど私達の砲弾が着弾するころだ。

 

「主砲!!撃て!!」

 

「全主砲!てー!!」

 

「主砲!!撃ちまくれ!!」

 

「主砲!砲撃開始!!」

 

4隻から一斉に砲撃・・・当たって・・・お願い!

 

「発射予測まであと10・・・」

 

「当たって・・・お願い・・・!!」

 

「5・・4・・・3・・・2・・・1・・・弾着!!」

 

その瞬間スト-ンヘンジで大爆発が起きる。

 

「やったぞ!命中命中!!」

 

<<命中確認!!スト-ンヘンジ機能停止確認!!>>

 

「やった・・・!!」

 

<<あとはメガリスか・・・>>

 

私は勝利の喜びでいっぱいだった。

そして私は空を見上げた。

 

「この空が・・・晴れていたら良かったんですけどね」

 

「ああ・・・まったくだ」

 

そんな会話をしていると空が赤く光り一本の光が降って来た。

 

「ユリシ-ズ・・・!!」

 

轟音を響かせながら雲を引き裂いたソレは私達の目の前まで迫ってきた。




今回は面白く出来たと信じたい。
熱い展開を書いてみたいけど難しいぜよ・・・

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