横須賀鎮守府の日常   作:イーグルアイ提督

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エース・オブ・エイセス

~いそかぜ~

 

「はぁ・・・」

 

思いっきりため息が出てしまう。

 

「元気ないわね、どうしたの?」

 

「あ、雷さん・・・」

 

「話なら聞くわよ!」

 

「はい・・・」

 

悔しすぎる・・・

私は・・・イ-ジスなのに・・・

 

「演習で何かあったの?」

 

「実は・・・」

 

私はレシプロ機一機を撃墜できなかったことを言った。

 

「ん~・・・でもそれって仕方ないじゃない?」

 

「仕方なくなんてないです!私は・・・同時に100以上の目標を捕捉、攻撃できるイ-ジスなんですよ!?」

 

「私はイ-ジスっていうのがよく分からないけど・・・でも撃墜だって出来る時と出来ない時があるんじゃない?」

 

「私は・・・音速で飛ぶ戦闘機やミサイルを迎撃するために作られた艦なんです・・・それが・・・レシプロすら落とせないなんて・・・」

 

「でも聞いた話によると向こうはもの凄い機動だったって聞いたわよ?」

 

「それでも・・・」

 

「ああ!ちょっと!泣かないでよ!」

 

こんなのじゃ・・・艦隊防空なんて務まらない・・・

艦隊からだって外される・・・

 

「いそかぜ」

 

「あ・・・司令官・・・」

 

「ちょっといいか?」

 

いやな予感しかしない・・・

 

「何でしょうか・・・」

 

「おおう!?何で泣いてんだ!?」

 

「うぅっ・・・」

 

「と、とりあえず、次は航空機の演習になったっぽいからお前待機な!」

 

「え・・・」

 

それは・・・もう私は艦隊に必要ないのだろうか・・・

 

「おわあああああ!!さらに泣くなああああ!!」

 

「だって・・・だって・・・」

 

「ただの待機だからな!別にさっきの演習がとかじゃないからな!」

 

「ホント・・・?」

 

「ホントだからそんな目で見るなぁぁぁぁ!!」

 

 

 

~提督~

 

あ~・・・ドッと疲れた・・・

いそかぜが涙目でおまけに上目遣いとかアカンやろ・・・

 

「てか・・・あの機体いったい何なんだ」

 

ミサイルすら軽がる避けやがる。

零戦(メビウス)が演習挑んでたけどどうなることやら・・・。

しかもまぁ・・・ジェット機の連中まで勝負挑みおってからに・・・

大人気ない。

ていうか、演習挑んだ理由が「イ-ジスに勝ったくらいで調子のんな!」って・・・

どっかのヤンキーかッ!!

 

「もう始まってんのかな?」

 

外から機銃の音やエンジン音が聞こえてくる。

 

「外行ってみるか~」

 

建物を出て外に向かった。

 

「・・・なんじゃこりゃ・・・」

 

空中では2機の戦闘機がまるで踊っているかのようにドッグファイトをしている。

見物に来ている艦娘が口々に「綺麗」と呟いていた。

 

 

 

~零戦妖精~

 

どこの国の戦闘機か知らないけど・・・赤城艦載機に勝てると思わないでよ!

 

「メビウス1交戦!」

 

空中には私とあの黒豹だけ・・・

大丈夫、昨日入ったばかりのヤツにやられはしない!

 

「ふふ!遅い遅い!!」

 

ヘッドオン状態から突っ込んできた敵機をバレルロ-ルでかわしインメルマンタ-ンで背後を取る。

あとちょっと機銃の射程にはいる。

向こうは悪あがきでもしているのかお尻を振って機銃の射線から逃れようとしている。

そして・・・

 

「もうちょい・・・捕らえた!!」

 

私が機銃のトリガ-を引くのと同時に向こうは高度をほとんど変えず機首を真上に向けるマニュ-ヴァ・・・コブラを使い急減速する。

 

「えっ!?」

 

敵機は一瞬で私の後ろをとって来る。

 

「くっ・・・!このっ!!」

 

このままでやられてたまるか!!

急減速しながら右にバレルロ-ルを行う。

・・・が、まだ食いついたままだ

 

「まだついて来る・・・!!だったら・・・!!」

 

一気に機首を上げて上昇する。

だが、ほぼ垂直のためすぐに失速する。

 

「失速・・・よし!!」

 

失速と同時に機体がグルンと一回転しなら機首が下を向く。

失速を利用したマニュ-ヴァだ。

これでヘッドオンだ

 

「落ちろぉぉぉぉ!!!」

 

トリガ-を引く。

演習用のペイント弾がお互いの機体をかすめて行く。

だが、どちらにも撃墜判定が出ない。

向こうも私と同じようにスト-ルタ-ンを行いまた後ろについてくる。

お互い激しい上昇、旋回を繰り返しGで押しつぶされそうになる。

 

「また後ろ・・・!」

 

私は減速しつつ上昇、旋回を行う。

うまくいけば相手は私を追い抜き無防備な背後を見せることになる。

 

「ここッ!!!」

 

ハイ・ヨ-・ヨ-でうまく敵機をかわせた。

 

「こんどはこっちの番!!」

 

機銃のトリガ-を引こうした瞬間・・・

 

「えっ・・・消えた!?」

 

相手が急上昇したと思った瞬間視界から消えた。

どこに・・・!?

と思った瞬間だった。

 

「後ろ!?キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

機体が大きく揺さぶられる。

同時に撃墜判定の白いスモ-クを吐き出す。

相手はクルビットと呼ばれる、可変推力機構の戦闘機じゃないとほぼ不可能なその場で高度を変えずにル-プするマニュ-ヴァで背後を取っていたようだった。

 

「そんな・・・私が・・・」

 

私を撃墜した黒豹はすぐ横について来た。

 

<<・・・いい動きだったよ>>

 

「えへへ・・・あんたも」

 

相手は敬礼して戻っていく。

次はジェット機の連中とやるとか言ってたけど・・・

さすがに無理でしょ・・・

 

 

~提督~

 

「・・・動画とってたか?」

 

「いえ・・・まったく・・・」

 

あの二機の飛び方はもはやサ-カスと言ってもいいくらい綺麗なものだった。

 

「もうあれ・・・一機だけで大丈夫じゃないのか・・・?」

 

「それ私も思います・・・」

 

「じゃあ赤城の艦載機はこれからあいつだけな!」

 

「ええ!?」

 

なんてことしてると・・・

 

「てーとく、てーとく」

 

「ん?なんだ?」

 

「はいこれ」

 

「書類?」

 

燃料関連のものだった。

 

「どれど・・・・ファッ!?」

 

「どうされました?」

 

「今すぐ飛行中止!!!演習中止ィ!!!」

 

「どうされたんです?」

 

「これ見ろこれ!!」

 

「あら・・・」

 

そこには燃料消費量が1万とか書いてあったのである。

おもにク-ガ隊の航空燃料に・・・

どうも、かなり特殊な燃料らしくコストがかかるらしい。

一回の出撃で燃料2000はかかるとか・・・

 

「燃料が溜まったら飛ばせてやるから今は中止!!絶対中止ぃぃぃぃぃ!!!!」

 

燃料がほぼすっからかんになってしまった提督の悲痛な叫びが海にこだましていた。

 

 

~電~

 

「あれ、今司令官さんの声が聞こえた気がするのです・・・」

 

「気のせいじゃない?」

 

「そう・・・ですか?」

 

「とりあえずこの燃料と、えっと・・・迷子・・・?」

 

「迷子・・・なのです?」

 

北方海域に遠征中に保護した迷子を基地につれて帰るのです!

 

 




今回は海ではなく空の戦いでございます!
正直あんまり面白くないかも・・・

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