緊急指令が発動された翌日の朝。
俺の艦娘と艤装が呉に到着し始めた。
「提督、俺たちは比較的難易度の低い丙作戦を実行し敵を迎撃する」
「は、はい!」
「実戦は初めてか?」
「はい・・・」
「じゃあこれが初陣だ」
「が、がんばります!」
「よし!みんなを集めろ!作戦を練るぞ!」
そういうと天音提督は走っていった
「とりあえず衛星からの情報だと・・・」
「ん~・・・潜水艦が多いみたいですね」
「電は対潜戦闘得意か?」
「潜水艦は苦手なのです・・・」
「まぁ・・・みんなのトラウマだしなぁ・・・」
そんなやり取りをしてると艦娘たちが集まってきた。
「よし!みんな集まったな!今回の作戦は対潜哨戒任務だ」
そういってスクリ-ンに海図を表示する
「この海域には潜水艦が大量にいる。これをまずは叩く!」
するとちらほら手があがり・・・
「あの・・・編成は・・・」
「今回の編成は天音提督のところと合同で行う。編成は吹雪、ア-レイバ-ク、五十鈴、由良の四隻で行う」
「4隻で大丈夫かしら」
「大丈夫だ、そこにイ-ジスが一人いる。その情報に従い存分に狩ってこい!」
するとその狩って来いという言葉に反応した由良と五十鈴が・・・
「久々の狩りじゃ・・・」
「狩りじゃ・・・」
「私たちのブツは時々危険よぉ・・・?」
気のせいだろうか、目が光ってた。青色に。
・・・ストレス溜まってたのかなぁ・・・
「よし、これより作戦を開始する!対潜哨戒が終了の後出撃する艦隊を発表する。電、ケストレル、金剛、榛名、千代田、羽黒。この六人だ」
「わ、私も!?」
「ん?不満?」
「い、いや・・・不満とかじゃなくて・・・」
ケストレルは久々の出撃だからか喜んでいるっぽい
「それじゃ全艦出撃!」
まぁ・・・初戦は五十鈴と由良が片付けてくれるだろう。ア-レイバ-クもいるしな!
~ア-レイバ-ク~
初任務か・・・緊張する・・・けど私は戦闘艦。戦うのが指名だ。がんばろう
「ア-レイ・・・バ-クだっけ?どういう船なのかしら?」
「私は俗に言うイ-ジス艦です」
「へぇ・・・うちの提督はイ-ジスは持ってないわねぇ・・・」
五十鈴や由良は興味深そうに艤装を見てくる。
私は逆にその二次大戦の艤装が気になる。
私達、現代艦艇の先輩だからね
「・・・ソナ-に感あり・・・」
「ナイス!どこ?」
「4時方向・・・距離・・・待ってください・・・魚雷推進音!こっちに突っ込んできます!」
「どどどどどうしましょう!?」
吹雪は慌てまくっている。
「向こうが上手ね・・・回避運動!」
「魚雷・・・3時方向より接近!雷速30!」
「真横ね・・・総員最大戦速!避けきるわよ!」
「続きます!」
五十鈴と由良は増速をはじめる。
吹雪と私も急いでそれについて行く。
「潜水艦は見つけた?」
「見つけました!距離200・・・深度10!」
「了解!爆雷投射!」
「撃てー!」
吹雪や五十鈴、由良は爆雷を投射し始めるが・・・
私は爆雷を持ってない。ていうか使ったこともない。
とりあえず短魚雷でどうにかしなきゃ・・・
「Mk.32・・・敵潜をロック・・・発射はじめ!!」
足の魚雷発射管から短魚雷を2発発射する。
「ちょっとア-レイバ-ク!潜水艦相手に魚雷撃ってる場合じゃないでしょ!」
「これは・・・その・・・短魚雷といって対潜水艦用にも使える魚雷なんです」
「でも・・・魚雷じゃ潜水艦は・・・」
吹雪がそう言ってる最中にその短魚雷は命中した。
大きな水柱が上がる。
「命中・・・」
「へぇ・・・すごいのね」
そういう五十鈴も爆雷を命中させている。
確認できる限り由良、五十鈴ともにほぼ全弾命中だ。
「五十鈴もすごいですね」
「そう?ほめても何も出ないわよ?」
「え、私も結構やったんですけど・・・」
「由良もすごいです」
「それ何かついでみたいじゃないですかー!!」
とりあえず10km先にまだ潜水艦が残ってる。
五十鈴たちは気づいていないが・・・
一応アスロックで攻撃しよう
「提督、アスロックの発射許可願います。発射弾数・・・4発」
<<ん~・・・4発か・・・ちょっと保留>>
「了解」
やはり資材を食うから撃てないのかな
すると無線が入る。
<<一発だけなら許可する。まぁ・・・10km先から魚雷飛んできてしかも追いかけてきたら誰でも撤退するだろ>>
「了解、敵潜をロックオンします」
「今の無線は?」
「提督とです。一発だけ対潜兵装を発射します」
「無駄撃ちはダメよ?」
「いえ、ここから10km先に敵潜が4隻います。それをここから狙い撃ちにします」
「えっと・・・それはミサイルって兵器?」
「はい。正確には先ほどの短魚雷にロケットブ-スタ-を搭載した兵器です。22kmまでなら届きます」
「これ、夕張が見たら発狂するわね」
「明石さんもですね」
「でもウチの鎮守府明石さんいないじゃない」
「そうですねぇ・・・」
明石・・・?何の話だろ・・・
「あ、ごめん、攻撃をお願いできる?」
「はい。VLA開放・・・アスロック発射・・・始め!」
背中のVLSからアスロックが一本発射される。
一応狙いは潜水艦隊の旗艦だ。
これを沈めれば敵を混乱させれる
「それじゃ進撃するわよ!」
方位を2‐2‐4にあわせる。
「そういえば今日は・・・天気がいいですね」
「そうねぇ・・・戦争じゃなければ海水浴したいわ」
「でもまだちょっと寒いです・・・」
「あら、吹雪って名前なのに寒がりなの?」
「そ、それは名前だけです!寒いのは苦手です・・・」
「あはは!あなたって面白いわね!」
「も、もう!からかわないでください!」
仲いいな・・・
そんな事を思っていた。
「対空目標は・・・うん、いないで・・・待ってください、高速の小型目標接近!」
「な、なにそれ!?」
「わかりません・・・でも・・・まさか・・・ミサイル!?」
「ミサイル!?そんな!アイツら撃てても魚雷じゃ・・・」
「わかりません!目標は海面スレスレを・・・まさか・・・」
ひとつ心当たりがある・・・これは私も持っている・・・
この動きをするのは・・・
「ESSM探知・・・目標ハープーン!」
「ハープーン?それって鯨狩用の・・・」
「対艦ミサイルです!早く逃げて!!迎撃は私が・・・!」
急いでロックオンする。
ハ-プ-ン自体は比較的低速なのでロックオン自体は問題ない。
ただ海面スレスレを飛行するのでいつレ-ダ-から消えるかわからない。
「ロックオン・・・よし・・・!」
「距離はどれくらいなの!?」
「距離は約10km先から・・・まさか潜水艦!?」
何で・・・あいつ等は魚雷しかないって・・・
「考えてる場合じゃない・・・シ-スパロ-発射用意・・・よし!」
「撃ち落せるの!?」
「わかりません・・・でも・・・私は盾なんです!絶対に護りきります!」
「その言葉信じるわよ!」
「任せて下さい!後部VLS・・・シ-スパロ-発射!SALVO!」
艤装の後ろの脇にあるVLSから2発のシ-スパロ-が発射される。
「チャフ散布始め・・・!主砲、CIWS攻撃準備・・・!」
私は艦隊が覆われるようにチャフをばら撒く。
シ-スパロ-が外れた場合に備えて主砲とCIWSも準備しておく。
「・・・きれい・・・」
吹雪が空中に舞うチャフを見てつぶやく。
太陽光を反射するそれはダイヤモンドダストみたいだ。
「インタ-セプト5秒前・・・スタンバイ・・・」
命中まであと少し・・・お願い当たって・・・!
そう祈りをこめる。
「マ-クインタ-セプト・・・!」
その瞬間レ-ダ-からハ-プ-ンとシ-スパロ-の反応が消失する。
命中だ。
「目標撃墜・・・!やりました!!」
「すごいすごい!やるじゃない!!」
「さすが・・・イ-ジス艦ですね」
「かっこいい・・・」
私に抱きつく勢いでみんながこっちにくる。
・・・だけど今抱きつかれると衝突なんだよなぁ・・・
でも・・・護りきれた。
それと水中の爆発音が聞こえた。それに敵の沈む音も・・・
敵は撤退するだろう。
あとは対空警戒を頑張ろう。
「ふう・・・今度こそ大丈・・・え・・・」
「どうしたの?」
「そんな・・・もう一発・・・!?」
「え!?」
「ま、まだ一発残ってます!」
海面スレスレを飛んでいたのがレ-ダ-に映っていなかったようだ
「狙いは・・・い、五十鈴逃げて!!」
「え、わ、私!?」
「ハ-プ-ンはあなたを狙ってます!逃げて!!早く!!!」
「わ、わかってるわよ!!」
五十鈴は飛んできてる方向に向けて砲弾や機銃弾をばら撒く。
「見えたわ・・・!遅い!全然遅い!!」
太陽光をキラキラと反射させながら五十鈴の側面からミサイルは迫ってきていた。
五十鈴はそれに向かって撃ちまくるが・・・
「え・・・!?きゅ、急上昇!?」
「ホップアップ・・・!もうシ-スパロ-は間に合わない・・・主砲、撃ちかた始め!」
速射砲で弾幕を張る。
お願い・・・落ちて!!
「もう!!主砲の射角外じゃないの!!機銃撃ちまくって!!」
曳航弾が空中にばら撒かれる。
しかしあたらない・・・
そして弾幕をくぐりぬけ最後のCIWSの射程に入った。
「CIWS撃ちかた始め!!」
ものすごい轟音とともに毎秒50発で20mm弾をばら撒く
落ちて・・・落ちて・・・落ちて!!
しかし命中しない
「チャフは・・・再装填中・・・!?そんな・・・!!」
そして・・・
「キャアアアアアア!!!!!」
ミサイルが五十鈴を直撃する。
・・・・・そんな・・・
「い、五十鈴さんが大破!!」
「うっ・・・ま、だ・・・大丈夫・・・」
「五十鈴さん・・・!怪我が・・・!」
「大丈夫よ・・・吹雪・・・対空見張りを・・・厳として・・・」
「で、でも!!」
「いい・・・から・・・」
明らかに轟沈寸前だ。
「私の・・・私のせいだ・・・あの時・・・チャフをばら撒くから・・・」
「落ち着いて!!あなたのせいじゃない!!」
「でも・・・でも・・・」
私はパニックになっていた。
何が・・・何が盾の役目だ。何がイ-ジスシステムだ。
旗艦一隻護りきれない盾がどこにいる。
「五十鈴・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!」
「もう・・・あやまら、ない・・・で・・・」
「五十鈴さん!今から曳航して撤退します!指揮は私が!!」
由良が指揮を引き継ぎ撤退を行う。
五十鈴は辛うじて浮いている状態だ。
「五十鈴さん!頑張って!!機関部が大破してるだけです!」
「弾薬庫が・・・無事なの・・・は・・・知ってるわよ・・・」
「もうしゃべらないで!!吹雪ちゃん!手伝って!!」
「私は・・・私は・・・」
「ア-レイバ-ク!!自分ばかり責めないで!!撤退するの!」
「でも・・・私のせいで・・・五十鈴が・・・」
そこから先はうまく覚えていない。
五十鈴は大破・・・轟沈は避けられたが・・・
吹雪の話によると鎮守府に帰るまでずっと自分を責め続けていたらしい。
今は医務室で五十鈴のお見舞いに来た。
「五十鈴・・・大丈夫ですか・・・?」
「もう・・・それ何度目?大丈夫よ」
「私のせいで・・・」
「あなたは報告をくれた。それで私が少し動いたおかげで弾薬庫誘爆が避けれたのよ?むしろ私は感謝してるわ」
「でも・・・」
「でもじゃない!イ-ジス艦がめそめそしててどうするの!」
「・・・ごめんなさい・・・」
そんな話をしてるとイ-グルアイ提督が入ってきた。
「お、またお見舞いか?お前もご苦労だな。まぁ・・・初戦で旗艦大破はショックだったな」
「提督・・・ごめんなさい・・・私が・・・もっと早く気づいてれば・・・」
「んな事気にすんなっての。一発迎撃できたんだ。二発とも命中してたら五十鈴はここに帰ってこれなかったんだぞ?」
「ごめん提督、想像して鳥肌たったわ」
「あ、ごめん、お前のこと忘れてた」
「あんたそれでも提督!?てか、何で私のお見舞いにこの子来てるのに私が不在っておかしいでしょ!!」
「え、いつものことじゃね?」
「いつものことって何だこの童貞提督!!」
「はぁ!?おまっ!童貞ってどういうことだゴルァァァァァ!!!」
「そのまんまでしょーが!!!このチ○カスがぁぁぁぁ!!!」
「んだとワレぇぇぇぇぇ!!!!!」
「やんのかオルァァァァァ!!!!」
そのやり取りを見てると・・・なぜか心がほっとした気がする。
「あの・・・」
「お前は黙ってろぉぉぉぉ!!!」
「アンタは黙ってろぉぉぉぉ!!!」
「えええええええ・・・・・・」
でも・・・少し気分が軽くなった気がする。
私はそんな喧嘩が巻き起こってる医務室から出た。
今回は面白くできたと信じたい。
感想待ってるぞ(はーと)