横須賀鎮守府の日常   作:イーグルアイ提督

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尋問

捕虜の収容も終え、一息ついた。

電はその間に保護した艦娘達の名簿を持ってきてくれた。

 

「駆逐艦春雨、村雨・・・軽巡球磨・・・あと空母翔鶴と瑞鶴か」

 

ずいぶん沢山と・・・何しようとしてたんだ本当に。

その時、電話が鳴った。

 

「もしもし?」

 

《大佐、調査結果なんだが》

 

「え、早・・・」

 

まだ調査すると言って3時間も経っていない。

 

《ヤツは大本営内部の人間だ。しかも前から艦娘を売春目的で色々やったりしてたらしい》

 

「なんでそんなのが中将になれるんすか・・・」

 

呆れ気味で言う。

 

《証拠が無かったんだ。艦娘も他の鎮守府から拉致ってきたらしい。しかもまた何人かで協力して自分たちに従うようにしてきたとか》

 

「エロ同人かよ」

 

《とにかく、容赦しなくていい。ジュネーブ条約も気にするな》

 

「それ上がいう言葉じゃないですけどね」

 

《あと深海棲艦に協力していた話は何としても聞き出せ、その後は火炙りにしようが鋸引きにしようが構わん》

 

「ここは中世のヨーロッパか・・・まぁいいや了解しました。」

 

《頼んだ。ヤツの経歴はトンツーで送る》

 

「だから何自然にトンツーで送ろうとしてんだアンタわ!!」

 

《じゃあ・・・LINEで》

 

「この前同じ事言ったよね!?情報保全って言葉知ってるだろうがオッラーン!!」

 

《すいませんでした・・・車で送るので許してください・・・》

 

「そうしろよ!!」

 

そうやって乱暴で電話を切った。

 

「あーもうちくしょう・・・んで、保護した艦娘達の状態は?」

 

「えと・・・春雨さんと村雨さんの衰弱が酷いらしくて・・・命に別状はないそうなのです」

 

「そうか・・・了解」

 

「なんでこんな酷いことを・・・」

 

電の声は震えていた。

たぶん怒っているんだろう。

 

「1発引っぱたかないと気が済まないのです!」

 

電はどこから出したのか魚雷を振り回していた。

 

「爆発したら危ないからやめようか・・・」

 

「あーもう頭に来るのです!」

 

「それは同じだよ」

 

電は怒りながら残りの仕事のために部屋を出ていった。

あと10時間程度で不知火達が帰ってくる。

 

 

 

 

〜ネイサン・ジェームズ〜

 

「はぁ・・・罵るのもいいけどいい加減吐いてくれないかなホント。疲れるんだよね」

 

「このクソアマが!誰がお前何かに!」

 

「もうさ、早く殺したいから喋ってくれない?」

 

「殺す気かこの野郎!やって見ろよ!ジュネーブ条約違反だぞ!!」

 

「何自分の権利だけ主張してるの?」

 

中将は鼻血垂らしながら必死に暴言を吐く。

まるでいきがっているヤンキーみたいだ。

 

「アンタ本当に自分の立場分かってる?」

 

「分かってないのはお前だ!俺を誰だと思ってる!海軍中将だぞ!」

 

「だから?ウチの提督はそんなの気にしないし私はその命令に従ってるだけ」

 

「この野郎!この国に居られなくしてやる!」

 

「アンタはこの世に居られなくなるけどね。まぁいいや吐かないんだったら用はないって司令官に言われてるし」

 

「おう!だったら早く殺せよ!お前俺のバックが分かってんのか!」

 

「へぇ、バックって何?」

 

自分で墓穴を掘った。

協力者がいるような事を自分で言ったのだ。

 

「・・・・」

 

「なんで急に黙るの?バックがいるんでしょ?早く言ってよ」

 

「・・・そんな事言ってない」

 

「アンタ幼稚園児?録音してあるってバカでも気づくでしょ?」

 

私はボイスレコーダーの録音を止めて再生する。

ボイスレコーダーは呼びで4つほど持っているから一つくらい問題ない。

 

「これで言い逃れ出来ないね」

 

「・・・俺が死ねば終わりだ」

 

「で?自殺でもするの?」

 

さっきまでの威勢がどこかに行ってしまった。

 

「まぁ提督から自殺だけは避けろって言われてるんだよね」

 

私は歯医者なんかにある口を強制的に開けさせる器具を取り出した。

 

「ちょっとお口開けて貰えるかな」

 

「・・・・」

 

「開けろっつってんだろ」

 

私は思いっきり鳩尾を殴る。

 

「かはっ・・・!」

 

一瞬のスキを見て口にそれを入れた。

 

「あが・・・」

 

「私が殴らないって思った?残念だったね」

 

そしてペンチを取り出す。

 

「じゃあ今から歯医者さんごっこでもしようか。患者さんいっぱい虫歯あるから治療しないとね」

 

今の私はどんな顔をしてるのだろうか。

たぶんひどく歪んでいると思うが。

 

「痛かったら手を上げてくださいねー」

 

中将の顔はこれから何されるかを理解して恐怖の色が見える。

 

「話したくなったら頑張ってジェスチャーしてくれたらいいよ」

 

私は頭を無理やり固定して口にペンチを突っ込んだ。

中将は声にならない悲鳴と止めろと必死に叫んでいた。

 

「とりあえず・・・この歯からいこうか」

 

「あがぁぁぁぁぁ!!!」

 

「結構硬いな」

 

倉庫に悲鳴が轟く。

私はゆっくりと歯を引き抜いた。

 

「んがぁぁぁぁ!!!」

 

「あー・・・うるさ・・・んで、吐きたくなった?」

 

頭を離すと泣きながら頷いた。

 

「ちなみに歯はまだ10本以上残ってるから」

 

私がまだやる気なのは相手にも伝わっただろう。

 

「ちくしょうこの悪魔め・・・」

 

中将は泣きながら罵ってくる。

 

「悪魔でも何でもいいから早く言ってくれないかな・・・こっちも疲れるんだよね、オッサン暴れるから押さえなきゃいけないし」

 

「クソ野郎が・・・何が知りたいんだよ・・・」

 

「ようやく話す気になった?あそこで何をしてたのか、それが知りたいんだってさ」

 

「なんでお前は投げやりな感じなんだ」

 

「捕虜の尋問なんて面倒臭いんだよね、それに今回は相手が相手だから殺したくて仕方ない気持ち押さえてるの。分かる?」

 

「・・・・」

 

中将は私の言葉を無視して話出した。

 

「あそこには深海棲艦に艦娘のデータを学習させるためにいた」

 

「学習ね」

 

「まぁ後は個人的な趣味だ。深海棲艦が艦娘を調べる時が好きなだけだ。可愛い女の子が異形に全身くまなく調べられるってそそるだろ」

 

「とんだド変態だね」

 

「それにそのビデオを売ればいい小遣い稼ぎになるんだよ」

 

「そういう下らない理由で私たちの仲間を敵に売ったんだね、余計殺したくなった」

 

「・・・何とでも言え。で、もういいだろ。刑務所にぶち込むなり何なりしろ」

 

「まだ質問が残ってるよ」

 

「なんだ」

 

バックにいる協力者の話を聞けていない。

 

「バックの話しゃべってくれない?」

 

「・・・・」

 

それだけは言いたく無いらしい。

 

「ねえ、それ言ってくれるまで楽になれないよ?」

 

「言うかよクソッタレ」

 

「強情だなホント・・・」

 

私は司令官から渡された護身用の拳銃と別に持っていた22口径の拳銃を取り出す。

 

「おい、殺すのか。司令官の命令は無視かよ」

 

「別に殺さないけど?」

 

私は薬室に初弾を装填する。

 

「じゃあ脅しか。拳銃程度でビビるとでも思ってんのか!」

 

「ねぇねぇ、一生歩けなくなるってどう?」

 

「な・・・どういう・・・」

 

私は膝に向けて弾倉の弾丸全てを撃ち込む。

 

「うがぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「うわぁ・・・グッロ・・・」

 

「あ、ぁぁぁ・・・!」

 

頑張れば治るかも知れないが何かしら障害が残るだろう。

それにしてもなかなか口を割らないってすごいな・・・

 

「ちくしょう殺してやる・・・殺してやるこのクソアマァ!!」

 

「おー怖い怖い、オッサン元気だねぇ」

 

呆れたように言いながら次の弾倉を装填した。

 

「ねえ、アンタのバックにいる人ってさ、この痛みを耐えてでも喋っちゃダメな人なの?」

 

「・・・・・・・」

 

「素直に答えるならまだ生かしておいてあげるかも。家族だっているでしょ?」

 

「・・・・・東京に妻と子が・・・」

 

「また会いたいでしょ?じゃあこんな所で死んでいいの?」

 

「・・・・・」

 

「正直に話せばもう1度は家族に会えるよ。さよなら位言えるんじゃない?」

 

中将は黙ったままだ。

 

「そりゃさ、ずっと家族と暮らしたいって気持ちも分かるけど自分のやった事の大きさくらい理解してるよね?国を売ったのと一緒だからね」

 

私は少し落ち着くためにタバコを咥えて火をつける。

 

「1本吸う?」

 

「・・・タバコは止めた」

 

「そ、ならいいや。正直アンタがここから解放されたらどうなるか分かる?」

 

「・・・・」

 

「ここよりもっと酷い目にあうと思うよ。ウチの海軍の上って脳みそ昭和で止まってるの知ってるでしょ」

 

こういう情もかけれないような捕虜相手になるするか分かったもんじゃない。

CIAと同じくらいキツイ目に会うだろう。

 

「あ、そうだ。もう一つ聞きたい事あった。これは簡単に答えられるよね」

 

「なんだ・・・」

 

「なんで深海棲艦なんかに協力するの?金のため?」

 

「違う、そんな下らん理由じゃない」

 

「変態ビデオ撮って売るのは充分下らん副業だと思うけど」

 

「それは趣味だ」

 

「・・・変態」

 

「何とでも言え。俺が深海棲艦に協力するのは海軍に復讐するためだ」

 

「なにそのありきたりな理由。もっとひねりなさいよ」

 

「聞いたのお前だろ。俺は昔、提督をしてた時に艦隊を全てを沈められた。上の無能な作戦のせいで」

 

「ふーん・・・」

 

「あの馬鹿共は敵機動艦隊撃破の命令を出した。命令書には偵察写真があったよ、1週間以上前の。」

 

「今も昔も変わらないねぇ・・・」

 

ウチはいつもその情報の遅さに司令官がキレてるが。

 

「当時は何も疑問に思わず出撃させた。だけどそこにいたのは機動艦隊と戦艦隊の連合艦隊だった」

 

中将は苦い顔をして続ける。

 

「そもそも司令部の偵察機が写した写真では解像度が低くてほとんど分からなかったそうだ。そこに機動艦隊だけが単体で動いている、今だやっつけろと言わんばかりに命令を出した。それも写真が送られてきて解析が終わり進路を割出してからだ」

 

「・・・まぁ、大体分かったよ。その命令通りにしたら全滅したと」

 

「そうだ。だから俺はアイツらを許さない」

 

「それが何の罪のない艦娘達の売春目的の人身売買と何が関係あるの?艦娘のデータを調べさせるのはまだ分かるけど」

 

「単なる金稼ぎだ」

 

「そ、まぁいいわ。それで話戻すけど。バックについて教えてくれる?」

 

「・・・・」

 

「それは喋りたくないと・・・」

 

「・・・・・分かった」

 

「それでいいよ」

 

「ただ俺を殺す前に家族に合わせてくれ。お前の目の届く所でいい」

 

「殺すって決めた訳じゃないけどね」

 

「俺の協力者は陸軍の連中だ」

 

「海軍と仲悪いって聞いたけど」

 

「アイツらの所に女っ気が無かった、それだけだ。金だと足が簡単に着くかも知れないからな」

 

「艦娘拉致ってる時点で大分簡単に足がつくと思うけど・・・」

 

「拉致ってるのは陸軍の連中だ。俺は知らん」

 

「あ、そ・・・」

 

呆れてきた。

 

「で?まぁ売春組織みたいなのは分かったとして、深海棲艦までのルートは?」

 

「それは深海棲艦側からコンタクトを取ってきた、日本の連中は関係ない」

 

「じゃあ関係あるのは陸軍?」

 

「そうだ、1人は俺と同じ中将だ。あとは若い幹部が数人だ」

 

「了解、ありがとう。とりあえずまぁここまで喋ってくれたらこれで良いかな」

 

「殺すのか?」

 

「まさか。あんたの話が本当かどうか確かめてからじゃないと。何?もう死にたいの?」

 

「・・・・」

 

「もしかして私が優しく話しかけたからって気を緩めた?残念、今もアンタを殺したくて仕方ないよ」

 

私は捨て台詞のようにさっきの膝に向けてもう1発撃ち込んだ。

 

「ウギャァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!!」

 

「アメとムチってね。いや、飴と22口径?」

 

苦しむ中将を後にして倉庫から出る。

ついでに衛生班に中将の治療を任せた。

私はケータイを取り出して司令官に電話をかける。

 

「もしもーし」

 

《あぁ、ジェームズか。どうした》

 

「ある程度吐かせたよ。確認してほしい事いっぱいあるんだけど」

 

《了解、お手柄だ》

 

「じゃ、ご褒美はキューバ産の高級タバコでいいよ」

 

《それは仕事が終わったらだ》

 

「ほーい。とりあえずちょっと返り血とかついて気持ち悪いからシャワー浴びてから司令室行くね」

 

《了解、じゃあまた後で》

 

そう言って電話は切られた。

外の天気は今にも雨が降りそうだ。

 

 

 

〜提督〜

 

ジェームズから送られてきた情報を確認する。

・・・上層部の汚職か・・・

ついでに中将の経歴にも目を通す。

 

「・・・上のミスで艦隊を全滅・・・そこから本部勤務になるが非行が散見される・・・か」

 

同情したいがやってる事のせいでそんな事出来ない。

もしこれが単なる復讐のために深海棲艦に情報を売ったくらいならまだ同情も出来た。

だが他人が愛情を込めて育て上げてきた艦娘を誘拐して自分好みに調教して売春するなど同情すら出来ない。

 

「どうしたもんか・・・」

 

コイツの元の所属は陸軍か・・・んで協力者の陸軍中将が同期と・・・

 

「電、すまん。お茶もう1杯貰えるかな」

 

「お安い御用なのです!」

 

「さんきゅー」

 

電が持ってきたお茶を啜っていると保護した艦娘の1人の翔鶴がやってきた。

 

「あの・・・」

 

「お?あぁ、翔鶴か。災難だったな。大丈夫だったか?」

 

「お陰様で・・・妹共々無事です」

 

「なら良かった。所属鎮守府は覚えてるか?」

 

「いえ・・・私たちの鎮守府はもう・・・」

 

「襲撃でやれたか・・・」

 

「はい・・・」

 

そういえばつい最近、小規模の襲撃で派遣隊がやられたという報告を聞いた。

そこの所属か。

 

「全員そこの所属か?」

 

「はい・・・全員まだ新米提督の所に配属予定でした・・・」

 

「・・・そうか」

 

確か、艦娘2隻撃沈、提督は戦死という報告が出ていた。

その時に捕まったか。

でも確かあの派遣隊の移動は極秘だったはず。

あの中将が情報を流したのか・・・それなら話の辻褄もあう。

 

「まぁ、行くところがないならウチで過ごせばいい。部屋はちょっと時間がかかるが許してくれ」

 

「大丈夫です、あそこに比べたら・・・」

 

「・・・この執務室を自由に使ってくれ。布団は・・・電、余裕あったっけ」

 

「えっと・・・備品庫に確かいっぱいあったはずなのです」

 

「了解、んじゃここに布団敷いとくか」

 

「了解なのです!翔鶴さん、お茶どうぞなのです」

 

「あ、いえ・・・私はすぐに・・・」

 

「まぁ飲んでいけ、遠慮しなくていいさ」

 

翔鶴は恐る恐る椅子に座って電の出してくれたお茶を飲んでいた。

 

「さて・・・あのオッサンどうするか・・・」

 

「本部の人達は来ないのですか?」

 

「たぶんそのうち来るだろ」

 

ただ処分はそちらでやれと言われたために来ないかもしれない。

 

「まぁ、ジェームズから詳しく聞けば大丈夫か」

 

何て呟いてるとジェームズが入ってきた。

何故か私服だ。

 

「なんで私服・・・?」

 

「いやー、洗濯したら他に着る服無くてね。まぁ司令官なら私服でも何も言わないかなって思って」

 

「お前・・・まぁいいや・・・」

 

「ところでそこのお姉さんは保護した子?」

 

「あぁ、翔鶴」

 

「よろしくお願いします」

 

「うん、よろしく」

 

ジェームズは笑顔で挨拶した。

 

「それでまず、一応さっき簡単には伝えたけど詳しくは言ってないよね」

 

「まぁな。どうだった?」

 

「まずまずかな。飴と22口径が効いたみたい」

 

「飴と22口径って何・・・?」

 

「ひ・み・つ」

 

「可愛らしく言っても少しだけ中身予想出来るから全然可愛らしくない」

 

同情する気はないが・・・南無。

 

「それで、深海棲艦に協力した理由は単に海軍への復讐なんだってさ。上が無能で艦隊が全滅したらしいよ」

 

「なるほどな・・・」

 

「あと、さっき伝えたけど拉致ってるのは陸軍の仕業で必要な情報を伝えてた。これは陸軍とっ捕まえて聞いた方が早いかな」

 

「そうだと思って知り合いの陸軍大佐に連絡取ったよ。特殊作戦群が確保に向かうんだと」

 

「陸軍は仕事早いねぇ・・・」

 

「まぁ、海軍よりは現代的な考え方してるからな・・・」

 

それしても特殊部隊動かすかね・・・

連絡取った時は大佐大激怒してたからな・・・

 

「んで、他には?」

 

「艦娘をあの場に居させたのは深海棲艦に艦娘について学習させるためだったんだって。でもそれは翔鶴に聞いた方が早いかも」

 

突然話を振られて翔鶴は少し困惑していた。

 

「ん〜・・・まぁ言いたくなかったら大丈夫なんだがあそこで何されたか教えてくれるか?」

 

「・・・・」

 

翔鶴は少し悩んでいた。

思い出すのも嫌な事だってあるだろう。

 

「・・・お話します」

 

「喋れるところだけでいい。無理はしなくていいんだから」

 

「・・・はい」

 

「とりあえず軽い質問なんだが、あそこにどのくらい居た?」

 

「えと・・・たぶん一ヶ月は・・・」

 

「・・・一ヶ月もか」

 

「はい・・・とにかくその・・・」

 

翔鶴は口ごもる。

 

「ごめんさなさい・・・あの・・・そちらの方にだけ話していいですか?」

 

「ん?あぁ、いいぞ」

 

翔鶴はジェームズに話を聞かせていた。

同性にしか言えない事って・・・

いや待て俺。邪な考えを生むんじゃない落ち着け。

何かを察した電が笑顔でこっちを見てるんだ。

これはあれだ。違う。

 

「司令官さん?」

 

「はひぃ!?」

 

「な、何をそんなにビビってるのです!?」

 

「いや、あれだ。違うから。エロ同人みたいな事期待してないから」

 

「・・・?」

 

「違うぞ、そういうのはエロ同人の中でしか起きてないって知ってるから大丈夫だぞ!」

 

「あの・・・何かよく分からないのですけど・・・とりあえず落ち着くのです!」

 

なんて俺がパニクっているとジェームズが冷たい声で・・・

 

「司令官、ちょっといい所だから静かにしてくれない?」

 

「いい所ってなんですか!?」

 

「あ、失礼。違うよ、私別にそんな邪な事想像してないから」

 

「・・・・・」

 

翔鶴は顔を真っ赤にして俯いていた。

 

「・・・・ジェームズ・・・こっち来い」

 

「嫌だ」

 

「嫌だじゃねーよ!」

 

「あ、あの・・・もういいですか・・・」

 

「えー・・・もうちょい!」

 

「もうちょいじゃねーよ!お前人の不幸な話聞いて何してんだ!」

 

「司令官だって内容想像してるクセに」

 

「うっさいわ!」

 

俺とジェームズの口喧嘩を見て翔鶴が少し笑っているのに気づいて少し安心した。

あんな事があった後だ、こうやって少しでも安心してくれるとありがたい。

ちなみに状況に察しのついた電さんは笑顔で若干青筋が額に浮かんでいる。

怒ってらっしゃる。

 

「司令官さん?何を想像したんですか?ナニを?」

 

「いやアレだから!これは健全なだな!」

 

「健全なって事は今認めたね」

 

「ちくしょうこの野郎!誘導尋問なんて卑怯だぞ!」

 

「いや、誘導尋問なんてしてないし勝手に自爆しただけだよ」

 

「司令官さんちょっとこっち来てくださないなのです」

 

「・・・はい」

 

部屋の隅に呼ばれて観念してそこに行く。

 

「司令官さん・・・ダメなのですよ、翔鶴さんだって怖い思いしたのにそんな変な事想像したら」

 

「ホントすいません・・・」

 

「司令官さんが健全な人って言うのは分かりますけど、口に出したらダメなのです!」

 

「申し訳ございませんでした・・・」

 

「ちゃんと相手の気持ちを考えるのです!」

 

「ごめんよ母ちゃん・・・」

 

「母ちゃんってなんなのです!?」

 

とりあえず解放してくた。

電が死んだ母ちゃんに見えてきた・・・

 

「あー・・・そうだ。翔鶴、これで瑞鶴と間宮で甘い物でも食ってこい」

 

俺は財布から一万円札を取り出して渡した。

 

「い、一万円も貰えません!」

 

「いいんだよ。てか今手持ちが万札しかないからな、まぁそれで好きなもの食べて売店で何か買ってもいいし好きにしろ」

 

「・・・ありがとうございます」

 

翔鶴は一万円札を丁寧に折りたたんでしまった。

 

「さて、とりあえずここをアイツらが寝れるようにするか」

 

「そうですね、お布団探してくるのです!」

 

「お、頼んだぞ」

 

「じゃあ私はこの辺で」

 

「おいコラ、手伝え」

 

「私今日仕事して疲れたんですけど」

 

「布団敷くだけだから手伝ってくれ」

 

「はぁ・・・じゃあキューバ産タバコ2箱ね」

 

「増えた!?しかも尋問と同じ報酬かよ!」

 

「ほら、可愛い艦娘の頼みでしょ」

 

「この野郎・・・あぁもう分かったよ、それで良いから手伝ってくれ」

 

「約束だよ」

 

ジェームズはそのまま電を追って外に出た。

俺は机やソファーをどかした。

 

「はぁ・・・」

 

疲れなのか何なのかため息が出た。




ジュネーヴ条約?なにそれ知らない(

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