横須賀鎮守府の日常   作:イーグルアイ提督

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膝痛いンゴ(´;ω;`)
靭帯炎症起こしてたンゴ(´・ω・`)


葬儀

あの潜水艦事件から2日たった。

マーフィも車椅子を使って動けるようになった。

 

「司令官さん、行きましょうなのです」

 

「ああ、そうだな」

 

「・・・」

 

「そんな顔するな、俺だって悲しいんだから」

 

「はい・・・」

 

今日は巡航ミサイルの着弾で死亡した人員及び、シンビルスクの葬儀だ。

隊員はそれぞれの地元に葬儀のあと航空機で輸送される。

シンビルスクは横須賀市内で火葬となる。

 

「・・・なんだか・・・後味の悪い任務与えちまったな・・・」

 

「仕方ないのです・・・あんな事になるなんて・・・」

 

「仲間が仲間を・・・今後は同じ事が起きないようにしないとな」

 

居室がある建物を出て、会場がある飛行場地区に向かう。

やはり家族も幾らか来ているようだ。

俺は家族に話しかけられるたびにその息子の最期の瞬間の事を伝えた。

彼らはミサイルが弾着するまでの間、街を守ろうと必死だったと思う。

あれが不意の攻撃だったのが不運だった。

また鎮守府のレーダーは深海棲艦を補足する事に特化した物で艦娘を補足する事は重視されてない物だ。

補足する事は可能だが基本的に艦娘は無条件で味方と判断され、レーダーには小さくしか表示されない。

深海棲艦は大きく表示されるため、もし艦娘側が今回のように攻撃してきた場合は捉えることが難しいのだ。

一応、艦娘は別のレーダーで補足できるが、あの時は任務も無かったためレーダーの電源を落としていた。

 

「鎮守府のレーダー・・・変えるべきだったな・・・」

 

「レーダーですか?」

 

「あぁ、まあ色々難しい話があってだな」

 

「そうなのですか・・・」

 

「そろそろ式の時間だな。電は席に着いて待っててくれ。俺は別にやる事あるから」

 

「分かったのです」

 

「じゃあ、また後でな」

 

電と別れて俺は別の場所に移動する。

シンビルスクの棺がある場所だ。

 

「マーフィ、やっぱりここか」

 

「ええ、もうこの顔見ること出来ないから」

 

「そっか・・・すまんな」

 

「なにが?」

 

「もっと早く見つけていれば・・・」

 

「いいわよ。これは戦争なんだから。それとも貴方はこうやって仲間が死ぬ度に落ち込むつもり?」

 

「いや・・・そんな事はないが・・・」

 

「とにかく、今はこの子と2人にしてよ」

 

「了解した」

 

俺はそのまま式場の壇上に登って式が始まるのを待つ。

泣いている家族もチラホラといた。

そして、10分もたった時、式が始まった。

俺は、彼らがどういう人物で、最期まで必死に街や鎮守府を守ったと言った。

だが、艦娘のミサイル攻撃とは口が裂けても言えなかった。

あの攻撃は深海棲艦の新兵器、ステルス性を持った巡航ミサイルだとしか言えなかった。

 

「タイフーン級潜水艦娘シンビルスク及び、最期まで横須賀の防空に務めた英霊に敬礼!!」

 

「儀仗隊、気をぉぉつけぃ!!」

 

隣では儀仗隊が64式小銃を構える。

 

「控えぇぇ銃!・・・用意!!」

 

空に銃が向けられる。

彼らを見送る弔銃だ。

 

「撃て!」

 

銃声が空に響く。

 

「撃てぃ!!」

 

4回、空に向けて斉射された。

 

「捧げぇぇぇ銃!!」

 

ラッパ手のラッパに合わせて、彼らの棺がそれぞれの航空機に乗れられていく。

シンビルスクは別個に用意された霊柩車へと運ばれた。

俺は降壇し、シンビルスクの霊柩車へと向かう。

 

「・・・ロシア式でやってやりたかったが・・・許してくれ」

 

棺に向かって呟く。

マーフィは無言で敬礼していた。

 

「提督、行きましょう」

 

「あぁ、了解」

 

クラクションを鳴らして霊柩車が出発する。

その後を3トン半トラックが2台着いてきた。

 

「もうこれ以上仲間は死なせたくない」

 

俺は1人助手席で呟いた。

 

 

 

〜マイケル・マーフィ〜

 

ここが本当にお別れの場所・・・

火葬場のロビーでシンビルスクの棺を炉に入れる時を待つ。

私は彼女が骨になる前に棺に近づいた。

 

「シンビルスク・・・ロシア艦娘である貴女にこういうのって変かも知れない・・・だけど、あっちでもこれ、持ってて欲しいの」

 

私はそう言って棺にNavySEALsの部隊章を棺に打ち込み、棺の中に私の艦としてのパッチと識別帽を入れた。

DDG-112と書かれたパッチと帽子だ。

それが終わると係員の人が炉に向かうようにと指示してきた。

私達もそっちに向かう。

 

「・・・点火のボタン押すの・・・私がしていいかしら」

 

「あぁ、お前が押してやれ」

 

炉の扉が開くと空気が一気に重くなった気がする。

その中に棺が入れらた。

 

「マーフィ」

 

「ええ、分かってるわ。さようなら・・・シンビルスク・・・私の友達・・・」

 

ボタンを押すと中からバーナーのような音が聞こえた。

私含めて全員が無言で敬礼をする。

 

「あとは呼ばれるまで待とう」

 

「そうね・・・」

 

「うぅ・・・ぐすっ・・・」

 

「電、泣かないで、あの子だって悲しい見送りはして欲しくないはずよ」

 

「でもなのです・・・」

 

他の艦娘もすすり泣いてるのが多数いた。

 

「私だって・・・泣きたいわよ・・・でも、おかしいわよね・・・あんなに私たちと撃ち合ったのに・・・」

 

シンビルスクが発射した魚雷の傷は足に残っている。

だけど、私は恨んではいない。

 

「とりあえず、待合室に行くぞ」

 

提督のその言葉でみんな待合室に向かった。

 

 

 

 

〜シンビルスク〜

 

私は自分の葬式を上から眺めていた。

変な気分だ。

 

『マーフィ・・・』

 

話しかけたいけど、声が届かない。

ちょっと寂しい。

 

『自分のお葬式って・・・何か変な気分です・・・』

 

1人呟く。

そういえば、ここの提督ってどんな人なんだろう・・・

私はそう思い、提督を探しに行く。

 

『この体なんか楽しいですね、ふわふわ飛べますし』

 

私はちょっとだけこの幽霊(?)ライフを楽しんでいた。

そんな事してるうちに提督を見つける。

 

『あれが提督ですか・・・何か思ってたほどの人じゃないですね』

 

私はきっと太ってる人だと思っていた。

そしてちょっと悪戯を思いつく。

 

『そういえば幽霊って心が読めるとか聞いたことが・・・試しちゃいましょう!』

 

私は提督に突撃する。

 

『ふむふむ・・・パイロットさんですか・・・って!この人なんですか!ロリコンさんですか!』

 

人の心というか記憶を読めたが中々楽しい。

 

『次あの人行っちゃおー!』

 

幽霊ライフをしっかり楽しんでいた。

なんてしてると誰かに肩を叩かれた。

 

『楽しんでる時になんですか?もう空気中読んでくださいよ・・・』

 

振り向くと軽く怒った感じの男の人が3人ほど腕くんで立っていた。

 

『あれ?私が見えるんですか?』

 

『・・・そりゃ同じ幽霊だからな。それよりも何してんだお前』

 

『見ての通り、幽霊ライフを楽しんでるんです』

 

『・・・人の心読むのは程々にしとこうや嬢ちゃん・・・』

 

『え〜・・・』

 

『お前、俺だって記憶読んでるお前見て俺も出来るかなとか思って母ちゃんの記憶よんだら親父との営みの瞬間引き当てたんだよ!分かるかこの気持ちが!!』

 

『いや・・・逆恨みじゃないですか・・・』

 

『いいから見られたくない記憶だってあるんだからやめときなさい、分かった?』

 

『はーい・・・』

 

とりあえず大人しく引き下がろう・・・

 

『あーあ・・・もうお別れだよ・・・』

 

『俺もだ。じゃーな戦友』

 

『あっちでまた会おうぜ』

 

私に説教してきた3人はそう言って別れて輸送機の方向に向かっていった。

私も私の入った棺が霊柩車に運ばれていた。

 

『この鎮守府ともお別れですか・・・1番の思い出ってあの・・・うらかぜといそかぜのイチャイチャ現場見ちゃった事ですね・・・こんな思い出もってあの世に行きたくないです・・・もっと清らかな思い出が良かった・・・』

 

嘆いても仕方ない・・・

それよりも私、幽霊になった勢いで何かネジ飛んでる気がします。

 

『これあれですよね、火葬場行ったらあの曲必要ですよね。コホン・・・今から練習しちゃお』

 

軽く咳払いをして歌う。

 

『アーチーチーアーチーwwwwwwwww燃えてるんだ廊下ぁぁぁwwwwwwwww』

 

アホになったのかな私。

 

『完璧です(ドヤッ』

 

なんてアホな事してる間に火葬場に着いた。

 

『よし、じゃ・・・私の歌を聞けー!なんて、言ってみたいセリフの一つが言えました。満足です。』

 

そんな事を私がフワフワ浮きながら叫んでるなんて誰も思わないだろう。

ていうか気付かないでください、私死んでるのに死にたくなる思いします。

 

「シンビルスク・・・」

 

『あれ?マーフィさん?何してるんですか?』

 

「これあっちでも持っててね」

 

そう言うと棺に何かを打ち込み、また帽子のようなものを入れた。

すると私の手元にそれと同じ物が現れた。

 

『?なんですかこれ?』

 

一つはNavySEALsの部隊章、一つはマイケル・マーフィという船のパッチ、一つはその識別帽だ。

 

『DDG-112・・・これがマーフィさんのですか・・・』

 

そして私の棺が炉に運ばれていく。

もう本当にお別れだ。

あのボタンは点火スイッチだろう。

 

『マーフィさん・・・貴女ともっと一緒に居たかったです・・・』

 

この声はマーフィには聞こえてないだろう。

寂しいけど・・・

 

「さようなら、シンビルスク・・・私の友達・・・」

 

そしてボタンが押された。

私は幽霊なのに不思議と涙が出てきた。

 

『やっぱり・・・寂しいです・・・でも・・・さようなら』

 

私は強烈な眠気に襲われた。

この鎮守府のみんなと居たかった・・・でもそれはもう出来ない。

でも私は核ミサイルを日本に撃ち込んだ。

それは事実なんだ。

だから私はアナタ達と一緒には居られないんです。

そう心の中で呟き私は目を閉じた。

 




何かやたら重いストーリーになったから次回は絶対に明るい話書く!

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