黄金の勇者   作:fw187

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亡霊聖闘士~天地の差

「第3段階の聖闘士≪セイント≫、射手座≪サジタリアス≫の勇者アイオロス!

 13年前に聖域≪サンクチュアリ≫を逃れ、幼い女神を救う為に生命を懸けて闘った貴方が!!

 何故に冥王ハーデスの尖兵と化し同胞たる我等、女神の聖闘士に牙を剥く?

 冥闘士≪スペクター≫に与し、巨大女神像の破壊を目論む理由は何だ!?」

 

 双子座≪ジェミニ≫の聖闘士と並ぶ運命の双生児、獅子座≪レオ≫アイオリアの兄。

 神の化身と共に聖域の双璧と慕われ、一時は新教皇へ任命された正義漢は口を開かぬ。

 返答の代わりに第3段階の小宇宙が鳴動、同調≪シンクロ≫する漆黒の冥衣から咆哮が轟く。

 

 黒玉≪ブラック・ジュエル≫の冥衣を纏い、黄金の小宇宙≪コスモ≫を発揮する冥界の使者。

 黒曜石≪オブディシアン≫の聖衣、ならぬ射手座の冥衣≪サーブリス≫を纏う勇士。

 城戸沙織と共に託した黄金≪ゴールド≫聖衣へ勇者の伝言、女神を護る残留思念を遺した男。

 主席指揮官≪ファイナル・マスター≫と同格の勇者、第3段階の亡霊≪ゴースト≫聖闘士。

 冥王の尖兵を務める次席指揮官≪セカンド・マスター≫、射手座アイオロスが動いた。

 

 沈黙の戦士は階梯≪ランク≫の異なる下級聖闘士を相手に、懸絶する実力の差を証明。

 弟のお株を奪う獅子奮迅の働き、竜虎乱舞の光速拳を繰り出し第2段階の後輩を一蹴。

 白銀≪シルバー≫聖闘士達を翻弄、懸命に反撃を試み必殺技を繰り出すが掠りもしない。

 

 圧倒的な力≪パワー≫と凄絶な技量≪テクニック≫、隔絶する小宇宙と格の違いをを誇示。

 猟犬座≪ハウンド≫の白銀聖闘士、アステリオンが操る思考透聴≪サトリ≫の術も無効。

 瞬く間に男性≪グレー≫聖闘士12名、女性≪レッド≫聖闘士2名が打ち倒され意識が消えた。

 

「ダイダロス先生!

 何故、先生が女神の敵に廻るのですか!?」

「聖域の召喚を拒否して教皇の刺客、黄金聖闘士と闘ってまで女神への忠誠を貫いた先生が!

 有り得ない、本当に訳が解らないよ!!」

 赤道直下のインド洋上に位置する絶海の孤島、魔獣大陸の残滓と畏怖されるアンドロメダ島。

 白銀聖闘士の中でも最強の実力者と噂される人格者、ダイダロスに師事する2人が叫んだ。

 

 サクリファイスの試練を経て、アンドロメダ座の聖衣が資格有りと認め小宇宙へ同調した瞬。

 仮面≪マスク≫を被る女性聖闘士、変色龍≪カメレオン≫座ジュネの悲鳴の影を潜めた絶叫。

 尊敬する導師≪メンター≫へ翻意を促し、懸命に呼び掛ける弟子達を完璧に無視。

 男女の青銅≪ブロンズ≫聖闘士を一瞥、無感動な視線を投げ身を翻す。

 

 第1段階の小宇宙しか発揮し得ぬ若輩に、豊富な実戦経験≪キャリア≫の差を見せ付ける。

 洗練された戦闘術を駆使する亡霊聖闘士は、天地の差とも噂される力と技の差を実証。

 冷静沈着に相手の動きを見切る紙一重の技、神技的な防御≪ディフェンス≫が必殺技を無効化。

 一転して拳と脚を閃かせ、相手の力を逆用する交差攻撃≪カウンター・アタック≫が炸裂。

 

 華麗な技術≪テクニック≫が遺憾無く発揮され、練達の技が女神の聖闘士達を次々に打ち倒す。

 同色の暗黒≪ブラック≫改め、鋼鉄≪スティール≫聖闘士達も分け隔て無く鉄拳と烈脚が襲来。

 一縷の望みを託した星の秘石≪スター・ドロップ≫、小宇宙の非常回路も沈黙を護り発動せず。

 瞬く間に男性≪グレー≫聖闘士10名、女性≪レッド≫聖闘士1名が打ち倒され意識が消えた。

 

「現在のお前達の実力では到底、新たなる戦いに参戦する資格は無い。

 我等は一刻も早く巨大女神像を破壊せねばならぬ、さらばだ」

 黒光りする冥衣を纏う亡霊聖闘士、3人の反逆者≪トレイター≫達は捨て台詞を残し姿を消した。

 

 意識不明の聖闘士達に止めを刺す手間を省き、聖域の最奥に位置する女神神殿へ直行。

 聳え立つ女神像の前にケフェウス座ダイダロス、牡羊座シオン、射手座アイオロスが鼎立。

 亡霊聖闘士3人が小宇宙を高め、同調増幅し相乗共鳴効果を励起し禁断の合体技を投射する。

 

「過去の亡霊よ、新たなる時代の前に消え失せるが良い!

 巨大女神像を葬るに是れ以上の技は有るまい、アテナ・エクスクラメーションを受けよ!!」

 強大な小宇宙の三乗≪テリオス≫、破壊震動の共鳴波が疾走し標的≪ターゲット≫を直撃。

 神々の姿に似せた超古代の複製≪レプリカ≫、奇蹟≪ミラクル≫の可能性を秘めた切り札。

 中継者≪リレイヤー≫と同様、大いなる意志≪ビッグ・ウィル≫を中継する送受信増幅装置。

 闘いの女神アテナを模した立体像≪フィギィア≫が大音響を発し、木っ端微塵に粉砕される。

 

「何っ?」

 粉塵爆発を思わせる閃光と轟音が空間を引き裂き、無数の破片と粉微塵の砕片が周囲に散乱。

 宙を舞う微細な欠片が悉く尖鋭な針と化し、3人の侵入者≪インベーダー≫を襲い冥衣を貫通する。

 

 第3段階と第2段階の小宇宙を飛翔、精神測定≪サイコメトリ≫を実施し記憶領域を精査。

 思考の基となる思念の元素≪エレメント≫が解析され、冥王の尖兵を務める真の理由を看破。

 尖針の大群は3人の小宇宙から遷移、意識の無い聖闘士達の潜在意識へ転移し鮮烈に輝いた。

 

 ユニコーン邪武、ウルフ那智、ベアー檄、ヒドラ市、ライオネット蛮の裡で星の秘石が共鳴。

 潜在能力が一時的に覚醒を遂げ小宇宙の進化を励起、星の秘石に導かれ未知の階梯へ昇華。

 小宇宙の進化に呼応し同調する一角獣、狼、大熊、海蛇、小獅子の聖衣も異なる形態に変貌。

 白光を放つ黄金の聖衣、白金≪プラチナ≫聖衣5体が現出し星型五角形が輝く。

 氷棺≪フリージング・コフィン≫と並ぶ凍れる時の秘法、星の白金≪スター・プラチナ≫。

 五芒星≪ペンタグラム≫の白金聖衣が共鳴、秘石に隠匿された能力の一端を解放し時を停めた。

 

 時間凝固装置の作動した領域≪テリトリー≫、時の封土が冥界の妖精≪フェアリー≫を捕捉。

 凍れる時の秘法が蝶≪バタフライ≫の意識を停め、亡霊聖闘士の行動を見張る監視の目を塞ぐ。

 無限の力≪パワー≫が解発され黄金と白銀の聖闘士15名、青銅と鋼鉄の聖闘士11名へ波及する。

 

 強烈な光の波動が第7感覚を刺激、強引に小宇宙を揺り動かし鮮明な記憶と共に意識が覚醒。

 総勢26名の聖闘士が一斉に動きライブラ童虎を中心に展開、星型五角形の魔法陣を描く。

 城戸光政の血を引く少年5人が星型の頂点に立ち、他の4名と小五芒星陣を形成。

「大破邪呪文≪ミナカトール≫!」

 

 小五芒星陣を頂点とする星型、大五芒星≪グレート・ペンタグラム≫が小宇宙を増幅。

 破邪の秘法が星の秘石と共鳴、聖闘士26名の小宇宙が天秤座≪ライブラ≫の聖衣へ集束。

 第7感覚の活力≪エナジー≫が補充≪チャージ≫され、無数の尖針から膨大な光が溢れる。

 

 燦然と煌く銀河星海の潮流が渦巻き、天雷と電光の織り成す雷電の烈風が轟音を発し飛翔。

 星々の力≪パワー≫を充填され尖針の大群が遷移、亡霊聖闘士の小宇宙に出現し光り輝く。

 先刻の巨大女神像と同様に冥衣が粉砕され、聖域に安置されていた聖衣2体が鳴動。

 射手座≪サジタリアス≫とケフェウス座が飛来、主の小宇宙に同調し身体を覆う。

 尖針の大群は前教皇の小宇宙に集束、牡羊座≪アリエス≫の複製≪レプリカ≫を創造。

 聖痕≪ステイグマ≫の十字形が象限された白金の聖衣、星白金の聖衣が装着される。

 

 女神の聖衣は聖域を護り続けた指導者を見棄てず、時を停める秘法を用い体を保護。

 230年に渡り女神に仕えた前教皇は冥王の束縛を逃れ、五老峰の老師と共に戦列へ復帰。

 女神の加護を得た射手座、ケフェウス座の聖衣も星白金の形態へ変貌し体を保護。

 牡羊座の複製と化した女神の聖衣と同調、時を停める秘法と主を護る結界を維持。

 女神の聖衣は主の小宇宙、大いなる意志≪ビッグ・ウィル≫の痕跡を辿り行方を探索。

 超空間≪ハイパ・スペース≫から無数の時空、次元間の航跡を走査≪スキャン≫する。

 

 海皇ポセイドンの領域≪テリトリー≫、城塞宮アトランティスの海底神殿には居らぬ。

 既に大黒柱≪メイン・ブレドヴィナ≫、海界≪シー・ワールド≫を離脱≪セパレート≫。

 冥界≪アナザー・ワールド≫へ至るには、第8感覚≪エイト・センシズ≫の覚醒が必須。

 

 ケフェウス座ダイダロスは聖域に残り、真の邪悪に従う勢力の蠢動を監視せねばならぬが。

 天秤座の聖衣も牡羊座に擬態する聖衣と同調、女神の加護を受け盟友と肩を並べ参戦。

 射手座の聖衣と同様に十字形の聖痕が象嵌され、星白金の形態へ変貌し共鳴を奏でる。

 星の白金と化した聖衣の三重奏、二乗≪スクエアー≫を凌ぐ三乗≪テリオス≫の共鳴。

 生死を超えた黄金聖闘士3人の第8感覚が顕在化、超次元の転移術を起動させ姿が消えた。


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