東方幻想妖   作:犠牲者

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にじファンから見てくれている方々はもう妖怪側の方々がどういう者たちかはわかっているはず……


第七話:潜入と破壊……ソシテ

5日かけて、この集落の構造は大体把握した。どうやらこの集落にある一番高い建物の地下施設に全ての防衛装置を制御する部屋があるらしく、結界の制御装置もそこにあるらしい。普通なら大変だが2日後の月移住の日なら警備は手薄になる。なんせ主要の部隊は月に行くための『ろけっと』とやらを守らなければならない。なら、もはや必要のないそこの守りも必然的に薄くなる。私はそう考え、2日後に備えた。

 

 

 

 

 

2日後………

 

 

とうとう行動を移した。

 

 

まずは、裏口にいる門番を眠らせた後、私は一直線に最下層を目指した。警報が鳴り警備の人間が武器を持って何かしてくるがそんなことに意味はない。即、殺して奥深くへと入っていく。

やはり月移住の日を襲撃に選んで正解だった。通常ならここの警備は厳重のはずだ。人間だって今までの妖怪の行動で学んでいるはずだ。「ここを壊されたら終わりだ」ということを。だがここを破棄するなら話は別だ。必要ないのだから警備は薄くなる。しかし一気に地下へ行ける『えれべーたー』とやらは使えない。あんな逃げ道のないもので降りたらどうぞ殺してくださいと言っているようなものだ。だが放っておいていいものでもない。幸い階段の近くにあったので、一階ごとにボタンを破壊しておいた。これで使えない。

そして立ち向かってくる人間は容赦なく殺し、最下層までたどり着いた。

そこはいままでの階層よりも異質で螺旋状に下り中央にある制御盤へ行くというものだ。

そして前へ進もうとした時だった。

 

 

 

 

バチン!!

 

 

 

 

「グッ!?」

 

突然私の二の腕が焼けるような痛みに襲われた。慌てて後退し周りを見ると、空間に何か赤い線みたいなのがある。しかも奥へ進めば進むほど、赤い線が増えている。おそらくこれに触れるとなにかしらの攻撃がくるのだろう。

しかし時間はない。こうしている間にも後ろから足跡が聞こえている。私は瞬時に考え、荒療治だが一つの方法を考えた。

全身を黒い装甲に変え、そのままダッシュで突き進む。

 

 

 

 

 

バチバチバチバチバチ!!!!!!

 

 

 

 

 

すさまじい激痛が襲う。私の『原初を操る程度の能力』にはどうしても取り除けない制限がある。それは『能力は具現することができず具現する対象(・・)によってタイムラグがある』そして『具現している間妖力を無尽蔵に消費していく』というものだ。これにより私が実戦で具現できるのはせいぜい巨大な光線や弾幕のようなもの……後は肉体強化だけだ。死を具現させることもできなくはないが、それをするには何百年という歳月を費やさなければならない。そして生物も具現することもできなかった。…………これに関しては例えできてもする気もないが。

しかし流石にマズイ。最大限に硬く創った装甲が見る見るうちに溶けていく。速く進まなければ………

やっとのことでこの赤い線を抜け防衛装置の制御盤へたどり着いた。着いた時には装甲は完全に溶け、身体のいたるところが炭化しており、全身から血を流していた。身体に走る激痛を無視して私はこの装置の情報を『具現』して理解した。あの赤い線にずいぶんと苦しめられたが、とりあえず時間稼ぎにここへ来るまでのところにあった防衛装置を『無差別設定』に変えた。これで人間たちにもあの赤い線が牙をむくだろう。自分たちが作ったものだから対処法は知っているだろうがそれでも数分は持ってくれるはず。

 

「パスワードは………『オモイカネ』と」

 

すると声が聞こえた

 

『声紋チェックをしますパスワードを言ってください』

 

これに関しても問題ない。どのような声にすればいいかわかっている

 

「オモイカネ」

 

『認識しました………次に……』

 

そして1時間後………

 

 

制御室に無数の足音が聞こえた。

でもあと一歩だったわね。

 

 

「ふふ、ようやく来たのね………でも……もう…遅いわ」

「なに!?」

 

 

するとあの機械音が聞こえた。

 

 

『たった今、すべての防衛装置を解除しロックいたしました。』

「な!?」

 

 

私は成功したことで笑ってしまった。これでもうこの制御盤をいじることはできない。『神童』と呼ばれた八意永琳なら可能だろうが、そんな天才をここにおいておくだなんて馬鹿なことはさすがにしないだろう。つまり現在これを解くことは『私』以外実質不可能である。そしてどのみち私はもう助からない、足跡が増えているからおそらくこの施設にいた全勢力がここに向かっているのだろう。普段の私なら問題ないのだが、血を流しすぎた。もう……逃げるだけの体力も残っていない

 

 

「この!」

 

不意に兵士の一人が私を蹴りつけた。私はそれをよけきれずモロに食らう、弱っていることがわかってかそれを合図に他の兵士も私をなぶり始めた。しかも傷口を狙って嬲りはじめてきた

 

 

 

メキャ

 

 

 

「!?ああああああ!!」

 

左手が折れ踏みつけられた。鈍い音が鳴った

あまりの痛さに私は悲鳴を上げた。まだ反撃はできなくもないがあえて攻撃はしない『ここ』なら人間も助からないだろう。するとたくさんの兵士が集まった。

 

「どうだ?これだけの兵力があれば貴様なぞ一捻りだ。」

「フフフフ……」

 

予想以上だ…

 

「この…何笑ってやがる!」

 

再び私を踏みつけ蹴り上げた。血が舞い散る。今の私の姿は、それはもう滑稽だろう。全身血まみれで左腕は壊死して骨が見えている。痛覚神経も痛みを通り越したのか感覚が無い。今の私を妖怪大将と言っても信じるものは皆無だろう。

 

「チッ!俺の服が穢れちまった!!」

 

私に対する罵倒もほとんど聞こえていないが………本当にオメデタイヤツラダ。

 

 

 

 

 

 

 

 

どのみちこの後の氷河期で妖怪は生きていけないということに気づいていない。なのに、勝ち誇った顔をしている。どうやら、私が今までなぜ攻撃しなかったのかすら理解していない、いやそもそも考えてもいないらしい、一つは後の戦いのための力の温存だった(・・・)………そして

…………ソシテ…追い詰めたのはコチラダトイウノニ……

 

 

 

 

 

 

オイツメラレテイルノハニンゲンノホウダトイウノニ…………

 

 

 

 

 

 

私は残った右手を天に掲げ、残る妖力すべてをもって巨大な光線を放った

 

 

 

 

ズバァァァァァン!!!

 

 

 

 

「な!?」

 

突然のことに人間たちは一瞬驚いた。そして少し遅れて崩落が始まった。

この建物の天井をぶち抜いたのだ。

 

 

 

ドゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

「ク!?貴様!総員退避!!」

 

 

無駄よ……いったいここから地上までどれだけの距離があるのかはあなた達が一番よくわかっているでしょう?人間の足じゃこの崩落からは逃げられない。……コレが私のできる精一杯……だが人間にとっては最大の惨事。

 

 

 

そして瓦礫が降り注いだ。

 

 

 

「う、うわあああ!」

「ま、待ってくれ!!」

「な!?放せ!このままじゃ……ギャアアアアア!!」

 

崩落する瓦礫の音と人間たちの断末魔が聞こえる。それが瀕死の私にはとても心地よく聞こえた。そして天まで貫いたから…これでこの集落から少し離れた私の仲間たちも気付くだろう………でも

 

(楽しかったな…もう一度……皆と宴会したかったな………もういちど…………皆と一緒に戦いたかったな……………鬼真、クトゥア、クトゥリトル、ハスラー、ヨグトース、イクタア、みんな………………ごめんね…………………そして)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリガトウ

 


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