あぁ神様、お願いします   作:猫毛布

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ようやくヤりたいことの一つが出来た。
健全な小説でこんな事をしていいのかはわからないけど、ヤってしまったのは仕方ない。
パッと見てわからないから合法且つ自然だよな。うん。


いやはや、人間な原動力はやはりコレですね。


04 清濁を飲み込んでこその美少女

「洗うの手伝うわ」

「おいおい主役なんだからノンビリしてろよ」

「来賓やねんから、此方の言うこと聞いたら?」

「いまソレを言うのか」

「こっちのが落ち着くんよ」

 

カチャカチャと食器が洗われる音とリビングでテレビの音が聞こえる。

 

「ありがとうな」

「なにが?」

「…なんでもないよ」

「変な八神だな」

「変な夕君に言われたらオシマイやね」

 

クスクス笑いながら八神は食器の泡を流していく。

‐感謝される事なんかしたか?

‐まったく

‐普通に動いた結果だ

 

「そういえば、八神」

「ん?」

「明日は診察だろ?アイツらどうする気だ?担当医への言い訳もだし、連れて行くにしてもあの格好はアウトだ」

「…………………」

 

八神の笑顔が固まった。

‐あ、こいつ考えてなかったな

‐水流しっぱなしだぞ

‐止めた

 

「どどどどどどどないしよ」

「落ち着け、何処かの死神とは言えない死神漫画みたいな効果音がお前の口から出てる」

「ほら、家族って言えば!あかん!私の両親居らんこと石田先生知ってるし!?突然現れた家族なんて怪しいだけや!」

 

思いっきりヘッドバッドよろしく頭を上下する八神をスルーしながら食器を洗っていく。

 

「しかもあの服装やろ!?ヤバイヤバイヤバイ!留守番させようにもこの先絶対気付いてまう!落ち着け!落ち着くんや私!解決策を見出だすんや!」

 

 

「ほら八神、これでも飲んで落ち着けって」

「さっすが夕君やね!このお酢の酸っぱい感じがいい案を浮かばせるかド阿呆!ぶっ飛ばすぞ!?」

「お、おう…」

「大体なぁ!こんな状況で夕君がボケるからあかんねん!ていうかなんやねん!ホンマにヘタレてんちゃうぞ!私の期待を返せ!今すぐ返せ!」

「なんか、ありがとう」

「なんで感謝した!普通に謝れや!なんや私が悪いんか!?私が悪かったんか!?」

 

錯乱しすぎて結構なキレ具合だ。

‐ツッコミもいい感じだな

‐ボケには反応するんだな

‐そこは、ほら、関西弁の力じゃね?

 

 

 

 

 

 

 

「……なんやろ一通り夕君に当たったらスッキリしたような気がする」

「それは良かった。紅茶でも煎れよう、ケーキは作ってきたし」

「それはどうも……スッキリしたのはしたけど、変な疑問というか凝りというか」

「清濁を飲み込んでこその美少女だ。ほらイッキ、イッキ」

「………よし、全部夕君の所為にしよ。てか、夕君が原因やし」

「それは…酷くないか?」

「普通やから大丈夫」

 

なら大丈夫なのか。

‐別段俺の所為でも構わないし

‐はやてが元気ならいいか

カット。

 

 

 

「で、実際どうするんだ?」

「服を買いに行こうにもサイズとかわからんし…」

「主、我らにそこまで気を使う必要は」

「家族に気を使う必要がないわけないやろ」

「………」

 

八神の一言に黙るシグナム。

‐しかしながらいいオッパイだ

‐ないすオッパイ

‐あれだな、是非に触りたい

‐しかし触れば確実に首が飛ぶ

‐比喩表現じゃなくてな

‐体が軽い、こんな気持ちは初めて!

カット。

‐服がなければ買いに行けばいいじゃない

‐だからサイズがわからんと

‐いや、目視出来る限りなら楽勝なんだけど

‐あれか、こう…どうにか合法且つ自然な流れで

‐………おーけー、この作戦ならいける

‐…………これは、なんというか

‐出来るのか?

‐可能だ

‐流石、人間の原動力はやはりコレだな

‐では、作戦を開始しよう

 

「服を買いに行くならどうにでもなるぞ」

「は?どうやって」

「四人の内一人を連れて行けばいいだろ」

「それでも、この服装やで?連れていけるか?」

「その辺りは俺に案あり」

「……ふむ、」

「詳しくは言えないけど、普通の方法だ」

「………大丈夫なんか?」

「その辺りは今から検証するし。誰にも危険は及ばないさ」

「なら、任せよか」

「御意に。ちょっと部屋借りるぞ」

 

空いている部屋に入り、扉を閉じようとする。

 

「覗いたらアカンの?」

「鶴も覗かれたら恥ずかしがって逃げただろ?」

 

そして、扉は完全に閉められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

扉が完全にしまってから数分後。

 

「うむ、我ながらいい出来だと思うんだが」

 

夕君は赤黒いスーツを持って現れた。

色は…まぁいい。実際にありそうやし、そこまで目立つ色でもない。

 

「どっから取り出したんや…というか、いい出来って」

「いっつ、あ、まじかる」

「なんでもアリなんか?」

「お前も魔法少女マジカル☆ヤガミンに成長したんだから、これぐらいで驚くなよ」

「皮肉少年シニカル◇ユウリンのクセに生意気やなぁ」

 

シニカルに笑いながらユウリンはそのスーツをシグナムに渡した。

 

「とりあえず、見た目が一番似合いそうだから着てくれ」

「…………何故私が」

「シグナム。君は主に恥をかかせたいのか?」

「なに?」

「君達が世間一般でいう普通の服を着なければ、君達の主は恥をかくことになる。まぁ君達が世間一般に出なければ話は別になるんだが、それでは主を守れなくなり蒐集という任務が禁止されている君達は必要なくなる…さぁ、主を護りたければ服を買いにいくぞ」

 

相変わらず、こういう口上を恥もなく躊躇もなくポロポロと出てくるもんやなぁ。

シグナムは少しだけ顔を渋らせて夕君からスーツを引ったくるように奪う。夕君は痛かったのか少しだけ顔をしかめた。

 

「主の為だ」

「それでいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こういうの似合うんやなぁ」

「俺の思った以上で何よりだ」

「………」

 

少し赤の混じった黒のスーツはシグナムによって見事に着こなされていた。

どこか映画に出てくるボディーガードのようで非常にカッコいい。

 

「さて、じゃあ俺とシグナムは買い物に出るから」

「私は連れて行かんの?」

「お前が移動すると他の三人も移動するだろ」

 

呆れたように夕君は言い、シグナムは更に眉間に皺を寄せた。

 

「ヴィータ、シャマル、ザフィーラ。主を頼む」

「ああ、任せろ」

「安心してください」

「必ず守る」

「危険なんざ全く無いんだけどな」

「最初の人間の出会いが貴様で無ければコレほど警戒もしなかったさ」

「そいつは失礼」

 

謝る気など全くないだろう声が夕君の口からスラリと出ていった。

 

「あぁ、お金渡しとこか」

「大丈夫、俺が払うし」

「いや、結構な金額なるで?」

「サプライズついでのプレゼントだ」

 

そう言いながら夕君は笑った。なんと言うか、珍しく表情がコロコロ変わってるなぁ。

 

「ついでに色々と実験出来た礼も含めてるから気にするな」

「なら、そういう事で納得しよか」

「どうも」

「………なんか隠してる?」

「隠れてる事は沢山あるさ」

 

はぐらかされたけど、まぁ夕君やし。

危険はないって言うてたから大丈夫やろ。うん。




~死神に見えない死神漫画
いつからそれが私だと思っていた?

~恥ずかしがりやの鶴
トラバサミに掛かってた鶴を助けた事から始まる昔話。某格闘ゲームでは巨乳で美人で和服メイド

~触手の応用実験
切り離しの感覚共有と細さの限界

~赤黒いスーツ
夕君がどこからともなく取り出した女性用のスーツ。下はズボンタイプ。
上にある事を参考にすれば、わかるな?

~人間の原動力はやはりコレ
三大欲求の一つに似たモノ。どこかの愛の神様だか性の神様の名前もコレ



~皮肉少年シニカル◇ユウリン
魔法少女マジカル☆ヤガミン裏設定を担う番組。
主人公である×× 夕(個人情報の為)は普通とは少し変わった少年だった。しかし友人である八神 ×××(個人情報)が魔法少女マジカル☆ヤガミンである事を知ってしまい、更には自分にはそれに匹敵する力を持っている事を知ってしまう。
悪の組織に潜り込み、少年らしからぬ口の上手さと能力で幹部までのしあがったユウリンは影ながらヤガミンを助けていく。勿論その事をヤガミンは知らないし、知らなくてもいい。
日曜日の早朝枠の魔法少女マジカル☆ヤガミンに対しこちらは月一で一話更新する大人仕様。対象が大人なのでグロや暗い設定もあり。

現在五話まで更新していて、四話辺りで吸血鬼の女幹部リンカ様にゲフンゲフンされかけて一部のファンが「いいぞ!もっとやれ!いや、もっとヤられろ!」とのクレームが殺到した。

~吸血鬼女幹部【リンカ】
漢字で書くと鈴香。悪の幹部に珍しく優しい系。ただしやや腹黒。他意はない

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