ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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ガンビル刃お正月特別バトル!紅の彗星VS紅の鬼神☆

紅の鬼神…この通り名は日本ガンプラバトルU-15大会で鮮烈なデビューを飾り、個人の部で二年連続ファイナリストの座に君臨する王者《秋月クロウ》のもう一つの名前だ

 

 

ファイター、ビルダーとして快進撃を進め、瞬く間に王座にたどり着いた……イオリ・セイ、レイジ、ユウキ・タツヤ、ニルス・ニールセン、カミキ・セカイ、コウサカ・ユウマ…彼等と同じ年代で制した彼の実力は海外のU15選手も注目するほどにまでなった

 

 

何よりも驚かされたのは…

 

 

 

 

「……オレは世界大会出場したユウキ・タツヤさんみたいなアメイジングなファイター………いや、見る人を熱くさせる《ブレイジングなファイター》になってみたいです!」

 

 

 

ブレイジング…燃え続ける炎を意味する名を付けた愛機を前にインタビューに答える姿に炎を見た……私みたいなファイターを目指すか……その道は険しいぞ少年、なら三代目メイジンではなく………

 

 

 

 

 

「ユウキ・タツヤとして君とバトルをしよう!このHi-νガンダム・ヴレイヴで!!」

 

 

 

ガンビル刃、お正月特別バトル

 

 

 

 

紅の彗星(ユウキ・タツヤ)VS紅の鬼神(秋月クロウ)

 

 

 

静岡県某市…ニールセンラボ

 

 

 

「よくきたねクロウくん」

 

 

 

「ニルスさん、ドイツ出発まで一週間まだ余裕あるんだけど……」

 

 

 

「ああ、実は向こうで使うバトルシステムの調整をしたくてね」

 

 

「だったらオレ以外の選抜メンバーがいいんじゃ……三代目メイジンカワグチさん、アドウのおっちゃんや、ヴィルさん、ユウさん、セイさん、セカイさん、シアおばさ、ねえさん達は?」

 

 

 

「か、彼らはすでにドイツに行ってるんだ…現状じゃ君にしか新型バトルシステムの調整は出来なくてね…なんなら君の父……「いや、オレがやります。今ごろオヤジはお袋と仲直りデートだって今年に入って30回目の………」…そ、そうか、ならすぐに用意するからバトルルームに入ってくれるかな……クロウくん?」

 

 

「ったく、女のお客さんに話しかけただけで「浮気だ~」ってお袋が焼き餅焼いて見苦しいし、もういい年なんだから喧嘩するなよな…まゆがいんだしさ………ふぇ?は、はい……今からいきます!!」

 

 

ニルスの声で我に帰り慌ててバトルルームへ駆け出すのを見送ると椅子に深々と腰掛けた

 

 

 

「あれでよかったのかい?」

 

 

 

「ああ、急な申し出を聞いてくれてありがとうニルス。では行くとしよう……」

 

 

蒼のジャケット、灰色のズボン、緩めた紅いネクタイ姿の嬉しそうに笑みを浮かべクロウが入った方とは別な入り口へ向かう彼に苦笑いしていた

 

 

 

 

 

 

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「……アームレイカーの感度もいい。モニター切り替え速度と粒子密度も粒子ビーム再現率も良好………それに」

 

 

 

アームレイカーを傾けるとオレのガンプラ…アスタロト・ブレイジングが思い通りに動く。うん、今までのバトルシステムよりも扱いやすい。なぜなら新型プラフスキー粒子結晶体対応するために粒子貯蔵用にクリアパーツを増やして各部をチューンし直したばかりだ……それにドイツのエキシビジョン・マッチにでるファイターは《チーム・フロンティア》のリンネって選手とバトル出来るのがマジ楽しみ…おなじ鉄血のオルフェンズのガンダムフレーム使いだからなおさらってやつだ。接近警報がなり気を引き締めモニターをみるとハイモックが三機せまってくる

 

 

「おらあ!」

 

 

ヒートアックスを大ぶりに構え振り下ろしてくるのを機体を捻りスレスレでかわし、捻りを加え重さを乗せたスレッジハンマーが胴体へめり込む

 

 

メキメキとアームレイカー越しに伝わる感覚…ハイモックの瞳から光が消える…でも背後から二機がレールガン、バズーカを撃ってくる……スレッジハンマーを引き抜くと両肩のハイパーバーニアで一気に加速、レールガン、バズーカ、ビームガトリングの嵐をスレスレで回避する

 

 

まずはバズーカ、ビームガトリングを持つハイモックの腕にスレッジハンマーを振り下ろす。相手も気づいたのか砲身を構える。でもなこの距離じゃバズーカは撃てない、まずは

 

 

 

「ビームガトリングをつぶす!オラオラオラ!!」

 

 

向けられたバズーカ、ビームガトリングお構いなしにスレッジハンマーで叩き潰し、のぞけるのを見逃ささず膝蹴りを食らわした瞬間、接触面で爆発…粒子発剄ならぬ粒子バンカーだ!上半身が砕け散る姿の向こう側に光、とっさにスレッジハンマーを交差し重ね楯構えた瞬間、ギシギシきしむ

 

三機目のハイモックのレールガンが直撃したんだってわかる…ハンマー本体に亀裂が広がる。でもこんぐらいなら何とでもなる、アームレイカーを傾けるとハイパーバーニアを片方だけ全開、まるで独楽のようにまわりレールガンの弾を弾きそらし素早くチェック、ダメージは軽微、まだいける

 

 

 

「コイツでラストォォ!!」

 

 

 

両肩バーニア全開と同時に両側にスレッジハンマーを大きく広げまわりながらハイモックの頭、胴体、背中へ何度も何度も殴りつけ、破壊音が響きほぼ無防備状態で受け続けたハイモックの瞳から光が消えた。アームレイカーを握る手に汗が滲んで汗だくになってる

 

 

 

 

「はあ、はあ、流石はクダル、トロワ、ジュリエッタ(AI設定)は手強いや……」

 

 

 

汗を拭いながらスレッジハンマーをみる…ダメージ度《A》設定にしていたから亀裂が入っている…この程度ならドイツに行くまでに直せるって思った時、アラートがなる…飛び入り参加の表示に慌ててアームレイカーを握りしめたオレは対戦者をみて息をのんだ

 

 

白地に明紫のカラーに塗られたガンダム…小説版機動戦士ガンダムーベルトーチカチルドレンーでアムロ・レイがシャアとの対決の為に設計したMS《Hi-νガンダム》…それをさらにカスタムした機体……まさかあれは《Hi-νガンダムヴレイヴ》!?

 

 

 

『先ほどのバトルを見させてもらった…まだ足りないと思わないか?……』

 

 

サブウィンドウに映ったサングラスを頭にかけたオヤジとあまり年が変わらない人をオレは知ってる…第六回ガンプラバトル世界大会で王者、ガンプラ・オブ・ガンプラ…カイザーさんと熱く燃え上がるバトルを演じたオレの目標にするファイターがいる

 

 

『君もそう思うだろ……』

 

 

 

…第七回世界大会日本予選を辞退してからガンプラ界から消えてしまった……あの《紅の彗星》

 

 

 

 

『否!私もそう思う!!』

 

 

ガンプラバトルを世界中に広げた立役者、修羅って呼ばれた二代目メイジンカワグチ、その三代目を育成するガンプラ塾のトップファイター《ユウキ・タツヤ》さんがいる…身体が震えだすけど、それ以上に《伝説のファイター》と戦える嬉しさからくる震えが肌を泡立たせた

 

 

 

アームレイカーを傾けると、一気に加速しスレッジハンマーを振るう。スレスレでかわされ強烈な蹴りが胴へたたき込まれる。アームレイカーを強く握りしめ耐え殴りつけるも右、左へかわされる

 

 

「ぐ!」

 

 

『耐えたか、よく作り込んである……』

 

 

 

強い…何度もユウキ・タツヤさんの公式戦の映像を見てきた…動きも癖も何度も……子供ん時からずっと。でもそれ以上の気迫と動きに翻弄されていく……

 

 

『まだだ!いけファンネル!!』

 

 

 

「ファンネルの操作もこなしながらビームライフルを!?」

 

 

ヴレイヴの背中から左右六基のファンネルが離れ変則的軌道を繰り返しながら迫り、四方八方からのビーム砲撃がくるのをアームレイカーを細かく叩き動かしながら回避しながら実力の差を感じ取る……上には上がいるって

 

 

…胸の奥でチリチリとしてくる…ファンネルを回避しながらスレッジハンマーを収め、両脚に備え付けたバーニアがガシャっと開き二丁のハンドガン型レールガン《クトヴァ》《イクタア》が飛び出し握ると回避しながらファンネルを狙い撃つ、浴びせられた弾丸に一機、また一機落ちた

 

 

 

『ファンネルに当てるか……見事だ!』

 

 

 

「アナタもファンネルの操作をしながらここまでの動き…スゴいぜ……す、スゴいです」

 

 

 

『ふ、言葉遣いは気になどしなくていい…君の全力のバトルこそが魂の言葉だ!!』

 

 

 

 

「あ、ああ!…いくぞアスタロト・ブレイジング!!」

 

 

 

叫ぶと同時にスレッジハンマー、ハンドガンを構え撃つ、コイツはあくまでも牽制…オレの狙いはヴレイヴとのガチンコバトル…逆手に構えたスレッジハンマーを振るう、タツヤさんもブレイドで受け止めた

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

『スレッジハンマーにブースターを仕込み破壊力をますか、普通のガンプラならば粉々だ……(力任せではなくハンドガンによる牽制をおり込んだ戦術、それにスレッジハンマーにはまだ細工がある。何より作り上げた機体への理解、愛を強く感じる。新しい世代は育ちつつある!)』

 

 

短期間で見抜くなんて………なら出し惜しみはなしだ。軽く深呼吸し目を閉じる…真っ暗な中で見えんのはオレの目の前に立つアスタロト・ブレイジングが近づきオレの腕、脚、身体全てが一体化する……今のオレ………アスタロト・ブレイジングだ!

 

 

「はあああああ!」

 

 

全身に配置した粒子貯蓄用クリアパーツ…《ブレイジングクリスタル》から金色にも似た炎が燃え盛る…スレッジハンマーの亀裂から粒子が漏れだし抜け現れたのは異形の刀《ガッサン》《ムラマサ》。ずっとオレと戦い抜いた武器…両手に構え切っ先を向け斬り合い鍔迫り合う。一撃、一撃がすべて重い、加速をかけながら追従する

 

 

 

『(粒子解放システム、バーニングバーストと同等の粒子量………もしやアシムレイトに目覚めている。さながら《紅の鬼神》か。セイ君、セカイ君、私に並ぶガンプラへのめり込むか

)………………ならば私も全力で挑もう!』

 

 

 

凄まじい加速の中でタツヤさんの声が響く。ヴレイブ…いや作り込まれたフレームにプラフスキー粒子が蓄積、いや圧縮されて赤くなって……まさか!

 

 

 

「紅の彗星!……っ!まだだ!!」

 

 

 

『いい踏み込みだ!だが!推力に振り回されている!!』

 

 

懇親の粒子解放斬撃を紙一重でかわした!?ヴレイブのブレイドが左肩を斬る…斬られた痛みが走る。でもまだ負けた訳じゃない……オレのあこがれのファイター《ユウキ・タツヤ》さんとのバトルを最高のモノにしたい!だから熱くなれブレイジング!!

 

 

『!(動きが速くなった、まだ成長するのか……いや、それ以上になんと胸が熱くなるバトルだろうか……)…………そうだ、このまま熱くなれヴレイブ!!』

 

 

互いの刃がぶつかり、微かに腕があがるのを見逃さずヴレイブの蹴りが胴体へ入り吹き飛ばされる。でもこらえたけどヴレイブの姿が無い…上からの接近アラートに顔を向けた。紅の軌跡が真っ直ぐ迫ってくる。コレで決める気なんだとわかった。なんならオレも全部を出し切る!全てをコイツに込める!!

 

 

『少年、いや秋月クロウくん!君のすべてを私にぶつけて見せるんだ!!』

 

 

 

「ああ、燃えろガッサン!ムラマサ!………ブレイジング・ブレイド!!」

 

 

 

『燃え上がれガンプラあっ!ヴレイヴ・ナックル!!』

 

 

 

紅の彗星化し破壊力を上げた《ヴレイヴナックル》、ガッサン、ムラマサから繰り出される粒子最大解放斬撃《ブレイジング・ブレイド》がぶつかる…身体全てに衝撃が響く。刃の連撃と拳がぶつかりせめぎ合い、ヴレイヴナックルに亀裂が入る…でも次の瞬間、ガッサン、ムラマサに亀裂が走り砕け、胴を貫くヴレイヴ・ナックル

 

 

 

 

 

       ーBATTLE・ENDEDー

 

 

 

装甲が砕ける焼けるような痛み、バトル終了を告げる声を最後に意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?ったあ~~~~~~!?」

 

 

 

「クロウくん?まだ横になってるんだ」

 

 

 

「ニルスさん?………ユウキ・タツヤさんは!」

 

 

 

「落ち着くんだ、まず最初に君に謝らないといけないことがあるんだ」

 

 

 

ニルスさんに無理やり寝かしつけられたオレが耳にしたのはまず謝罪の言葉、今回のバトルはバトルシステム調整に呼ばれたのは間違いなく、ただユウキ・タツヤさんがオレのバトルをみて闘ってみたいと申し出がニルスさんにあったって事。結果、今回のバトルに乱入という形になったらしいんだ

 

 

でも全力をぶっけられて楽しかった。こんなに熱くなれた…………負けたけどもう一度バトルをやりたい。いまオレの中で火がメラメラ燃え上がっている

 

 

 

「あ、気にしてないから……それよりユウキ・タツヤさんは?」

 

 

「タツヤはもうココにはいない……彼も忙しいからね三だ……いやガンプラ普及の旅に世界中をとびまわってるからね」

 

 

「そっか………またバトルやりたかったな」

 

 

「あ、そうそう。彼から伝言だよ《君の中にあるブレイジングを見させて貰った……いつか世界で会おう!そしてガンプラバトルをやろう》って……あと君のブレイジングだが」

 

 

タツヤさんの言葉に震えるオレに申し訳ないって言葉と一緒に見せてくれたのは砕けたガッサン、ムラマサ、そして胸部装甲が砕けフレームに亀裂が入ったブレイジングをそっと手にする

 

 

「大丈夫、これぐらいならドイツに行くまでに治せます。それに」

 

 

「それに?」

 

 

 

「ブレイジングはまだまだ進化しますから……オレと一緒に。工作室にいってきます!!」

 

 

 

 

ニルスさんに工作室を使う許可をもらって医務室を駆け出した…まだ痛みはあるけどもソレよりも熱い何かが溢れ出てくる…ブレイジング、お前はオレと一緒に強くなるんだ。そしてあの人達がいる世界に!

 

 

 

 

 

 

「………………ふう、いい加減出てきたらどうだい」

 

 

 

「気づいていたか」

 

 

 

「僕を誰だと思っているんだい?彼と手合わせした感想は」

 

 

 

「…………さすがはタカヤ君の息子だけはある…バトルセンス、ビルディングテクニックはコレからまだまだ成長していく。いずれは世界…オープントーナメントへ来るだろう……」

 

 

 

 

「……そうか。それよりドイツに行かないといけないんじゃないかい?」

 

 

 

「む、そうだった……じゃあドイツで会おうニルス」

 

 

 

それだけいうと自動扉の向こうへ歩いていく彼の名はユウキ・タツヤ、ガンプラファンのカリスマにして、キング・オブ・ガンプラ…三代目メイジン・カワグチ。その顔は新しい世代の力を見れたせいか笑みが浮かんでいた

 

 

 

 

んで5日後……ブレイジングの修理と改修を終わらせオレはドイツに行くために着替えや工具をトランクに詰めようと家に帰ったんだけどさ……

 

 

 

「バカ……人がみてるだろ?それにこんな恰好似合わないし…」

 

 

「いいじゃないか。それにキミが僕のだってみせつけようか。メイド服似合ってるよ…昔よりもキレイだ」

 

 

あいかわらずイチャイチャするバカ親父とオフクロ…つうか足入れて壁ドン、顎に手をそえてる……みろ!濃厚な加糖結界に砂糖吐いてる奴いるし

 

 

「おにいちゃ、なんでまゆの目を隠して耳を押さえるの?」

 

 

「な、な、なんでもないから………はあ」

 

 

 

……まゆの前だから怒鳴らないけど………

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

いちゃつくなああああああああ!オレは絶ッッッッッ対にバカ親父みたいになんねぇからな!

 

 

 

 

 

 

 


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