ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー 作:オウガ・Ω
○月×日
私、天瞳ミカヤは日記を書きしたためようと思い、筆をとらせてもらう
今日、わたしは運命にであった…不思議な被り物服をに袴を短くしたズボンにも似た出で立ちの稚児
純粋でまるで玉のような彩りの瞳、きれいな肌…何よりも
ー…ボクはあきつきたかやだよ。おねえちゃー
柔らかで、まるで日だまりのような笑みに雷が走った…知らないうちに抱きしめてしまった
…いい匂いを胸一杯に吸いながら、身体の奥が疼いた…離れたくない
父と母があきつきたかや…タッくんの両親と一緒に道場に来るまで続いた
…ああ。タッくんは運命の良人、誰にも渡したくは無い
鉄血月オルフェンズ日
タッくんが預けられ一年。わたしはいままでに無いぐらい充足の日々を過ごしている
タッくんを湯浴みに誘い、きょうも互いの肌を重ね磨くよう洗い上げていく
洗うときは《ぼでぃそおぷ》を手に落とし温めてから身体へ蜂蜜のように垂らし、向き合う形で肌をあわせ洗い上げていく裏・天瞳流房術《肌磨泡術》。母からと教えてもらったんだ
母みたいな柔らかで大きさは無い、膨らみかけだけど、肌を滑りすれる度に痺れるようなえもしがたい衝動が来て、おもわずしがみついてしまう
丹田のあたりが熱く、疼いてしまうの耐え湯船からあがって水気を拭きながら、しっとりとした肌と手に触れる流れるようなサラサラした黒髪を楽しみ、そして若筍(?)を焼き付けた
ああ、狂おしいほど愛しい
月鋼月 二期日
今日はタッくんがわたしの通う黒森峰学園に入学する日だ。講堂で今か今かと胸がワクワクするのを待つと新入生が入ってきたのをみてカメラを構えタッくんを探し見つけた
ああ、なんて凛とし愛しいこと…母とメイ叔母様と共に見繕い仕立てた服へ身を包んだタッくん
わたしに気づいて向ける笑顔は至高そのもの…何枚も撮り納めた
ふふふ、記念すべき六歳のタッくん、入学式の写真は一枚も撮り損なう訳ない!!新しいアルバムを作らなければ!!
…その前に、黒森峰学園の伝統《姉弟の誓約》をタッくんと結ばないといけない
姉弟の誓約。新入生男子を「弟」として上級生であるわたし達が「姉」として学園での生活、勉学、礼儀作法諸事を教えていくしきたりだ
なにより、わたしの学園には清楚で良家子女の皮を被った肉食系乙女が多い…なによりショタコン率が高い、誰よりも可愛く純粋な「わたしのタッくん」が真っ先に狙われてしまう
ーねえ。みまして…あの水兵服の子、愛らしいですわー
ーええ、しっとりとした黒髪に触ればプニプニってするきめ細かな肌…たまりませんー
ーちょっと!あの子はワタシの弟にするんですから、手出しは止めて!!ー
ー…可愛い子。妾がすみずみまで味わおうぞ…ー
笑顔で話す顔、でも肉食獣な顔だ…ことを急がないと骨まで吸い尽くされて取られてしまう
お姉ちゃんとして、タッくんの《すべての初めて》を守りきらないと
だってわたしはタッくん専用の鞘《さや》だから…あと六年したら、熱く猛々しい、鋼よりも固く誂えた刀を受け入れ納めたい
説明会と式が終わり直ぐにタッくんのクラスに向かうとすでに囲まれていた…静かに熱くなりながら割って入りタッくんの手を掴んで教室をあとにした。向かったのは黒森峰学園にある社《素戔》神社にある大鏡に立って向き合うように座りながら、誰もいないことを確認した
「カヤお姉ちゃん?どうしたの?」
「なんでもないよ…タッくん、今から私の言うことを続けていってくれるかな?この学園で過ごすための決まり事なんだ」
「うん!いいよ……なんて言えばいいの?」
「じゃあ、ゆっくりいうよ…「あなたと共に笑い、健やか、離れたとしても姉である愛しいあなたと弟として永く歩むことを誓います…」……いいかな?」
「えと……ぼくはカヤお姉ちゃんと一しょにわらって~げんきでそばにいて、世界でい~ちばん大好きなカヤお姉ちゃんの弟としてあるいていくのをやくそくしま~~す」
「…た、タッ…くん……うん、一緒に歩こう……タッくん!」
「うん、カヤお姉ちゃん」
それから、学園内を案内して日が暮れメイ叔母様、ユウキ叔父様、母、父と共に家へ戻ると門下生の皆が祝いの席をもうけてくれた
「タカヤ~いいわよ♪はい、にっこり笑って~ミカちゃんも一緒に」
「は~い、カヤお姉ちゃん。一緒にとろ♪」
皆の祝いのことばと一緒にタッくんを抱き抱えるように座る私を見てメイ叔母様が写真を何枚も撮っていた…
祝いも終わりいつものようにタッくんと共に湯屋へ向かい湯浴みし、身体をふいて共に寝床に入った
明日から、新しい日々が始まると想うと身体の奥が熱くなる…
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ウヴァル月 ユハナ日
沙尽震神社での七夕神事から一年、タッくんは8歳になった…少しだけ背が伸びて筋肉もついてきた
アシムレイトをコントロールするための鍛錬も成果が出てきてオンオフが出来るようになったし、ガンプラ作りも目をみはるものがある。ビルドマイスのユウキ叔父様譲りの制作技術かもしれない。ファイターとしての才能はメイ叔母様譲りだ………手先が壊滅的、ケーキや《かすてぃら》を作ると石鹸や消しゴムを作ってしまうほどの不器用さは受け継がれてなくて本当に良かった
でも、数日前から様子が可笑しい……何か作ってるのは知ってるけど私が近づくと慌てて隠す
聞いてもぜんぜん教えてくれなくて、私がお風呂の時にむこう(!)としたから嫌われたんじゃないかと思った
でも違ったんだ
ーカヤお姉ちゃん、はい♪ー
ーコレは………刀?ー
ーうん、前に言ったよね…カヤお姉ちゃんのガンプラにあう武器を作ってあげるって……名前は《晴嵐》!ー
照れながら笑顔でガンプラ用に拵えた刀を渡してくれた。タッくんは私の為だけにガンプラの武器を作ってくれたんだ…幾重にも薄く、硬さの違うプラ板を重ね接着して削りだしにはスゴく時間がかけられているのが手にとってみてわかる
指をみると切り傷や塗料の跡をみて、まだささやかな胸の奥が熱くなってギュッとだきしめた
タッくん、ありがとうって何度もいうと「どういたしまして~大事に使ってね」って満面の笑顔で返してくれた
ふふ、今日もしっかり身体を使って洗ってあげるよ…でも
「カヤお姉ちゃんって、ぼくみたいについてないの?」
「え?……」
「ぼくには無いオモチはあるし……なんでなの?」
「そ、それは……」
困った…男女の身体の違い、正直、わたしでもうまく答えられないけども、興味深々な目を向けて答えを待ってる
どうしょうか……タッくんのお姉ちゃんであるわたしは………
選択肢A:タッくんのために自分の身体を使って違いを
教える
選択肢B:少し早いけど大人の保健体育(実践!?)をする
選択肢C:まだ青い禁断の果実を実食(!?)させる
………浮かんだ三つの選択肢B、Cは無い。わたし自身の身では受け入れることも出来ない、なによりタッくんは通って無い(毎朝、部屋にある塵箱を確認してるから断定)し、実食(?)するなら《薄くても互いのを感じるアレ》を手に入れないと
父と母は無しでするのが互いのを感じやすく、良いらしいから持ってないし、手に入れること難しい……なら取るべき選択肢はAしかない。ゆっくり湯船から出てタッくんと向き合うように座る…今からやるのはスゴく恥ずかしい…でも、コレは将来の為にひつようだから
「た、タッくん…いまからする事はお姉ちゃんとの秘密にしてくれるかな?《誓いの儀式》と同じぐらいに。それだったら少しだけ、おしえるよ」
「うん、やくそくする…?」
「…コレが…タッくんとわたしの違いだよ……」
……………タッくんの前でゆっくりと広げる…恥ずかしさを我慢しながらみせた、心臓が破裂しそうな私のをキラキラ目を輝かせてじぃ~っと息があたるぐらいに近づけてる
「ホントにぼくみたいのついてないんだ。スゴくきれい…もっとみていい?」
「…タ、タッくん?ひ、ろ…な…ん♡」
「…中もきれいだよ?ねえ、この小さくて固いのはナニ?」
「や、そこは…ク…あ!…ん!つつかな…んっ♡」
………それから30分あまり、タッくんに広げられたり、間近でみられて、擦られて果てそうになるのを耐え、中まで全部をみられちゃった
でも、許婚同士だからコレぐらいは赦されるはずだし、タッくんの為になったからいいかな
アルジ月 ミーナ日
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………………第2回ガンプラバトル世界大会に出場しベスト8に進出したメイ叔母様の応援に行ったタッくんが会場で姿を消した
父と母に着いていく形で、現地に入ってユウキ叔父様、メイ叔母様と合流し警察、ガンプラ警察と協力しての捜査が始まった
タッくん、どうか無事でいて
モードレッド月 クラレート日
会場周辺で父と母とタッくんのビラを作って配り始めた
手がかりは会場から走り去った黒いハイエース、防犯カメラにあった奇抜な衣装姿の輩
街頭にたちタッくんの顔写真と特徴を記したビラを街行く人々に配り情報を求めた
タッくん、あいたいよ…八百万の神に、わたしの大事な人《タッくん》が無事に帰るよう祈った
ヴォルコ月 ひびき日
今日もタッくんの目撃情報を調べ探す
…………でも、黒いハイエース、件の人物だけでは手がかりがいっさい無く、難航している
メイ叔母様の実家…強きを挫き、弱きを助け、ただ一度の恩義に報い命を捨てる侠、政財界に強い影響を持つ仁侠衆団《秋月組》でも行方は探れなかった
タッくん、どこにいるの?
カミオン月 ルペ日
今日も目撃者、情報が無い
冷たい雨が降る中、ビラを配り街頭を走り回る…
タッくん、タッくんに会いたい……
蜜蜂月 マーマ日
今日も目撃者、情報を求め走り回る…父と母、ユウキ叔父様、メイ叔母様もむやみに動いてもと、何度も止めるけど、わたしは雨が降る日でも止めなかった
タッくん、タッくん、タッくん……どこにいるの?寂しいよ
そばにいないと眠れないよ
いつも抱きしめていた温もりと匂い、やらかさが欲しい
タッくんの胴着を抱きしめても、匂いがもうわからないぐらいに…わたしのが染み込んでる
寂しいよ…タッくん
レクス月 グシオン日
……今日もタッくんの手がかりがつかめない…
バエル月 クトゥルフ日
今日も手がかりなし…タッくん…どこ?
シュウ月 スイチョウ日
ガンプラ警察から、誘拐を主導した主犯の名前が判明したと一報が届いた
その名は宇宙ガンプラファイターX
ガンプラ警察、ICPOからも特A級犯罪者として全世界に指名手配をかけられている輩に
唯一カメラに撮られた、あの歪な仮面の向こうにある瞳からは狂気を感じた
タッくん、どうか無事でいて……おねがい…
戦慄月 蒼日
………タッくんが、タッくんがみっかった!!
わたしの住む街から離れたY市でふらつきながら歩き倒れガンプラ警察に保護されてすぐに、コトニー総合病院に運ばれ、検査を受けてると父と母に聞きすぐにでも会いに行きたいとたのんだ
でも……
「…………すまないミカヤ、まだ…会わせられない…」
父もだけど母は苦しそうな表情をしていた…そんなに具合が悪いの?と聞くけど黙り込んでる
でも、無事で良かった。はやくあいたいよ…一緒に稽古して、学校に通学して、お風呂に入って、添い寝して…たくさん、たくさん誓いの儀式をしたあの日々が戻ってくる
ダイン月 フォール日
保護されて数日、ようやくタッくんが入院しているコトニー総合病院に父と母と共に来た
「ま、待つんだミカヤ!タカヤくんは……」
病院につくと私は父と母を残し駆け出していた。病院内は走ってはいけないのも頭から消えていた
だってタッくんと一年と6日ぶりに会える…それだけしか頭になかった
あの笑顔を、あの温もりを、そして溢れ出す想いと共にタッくんの病室の前まで来ると足を止める。軽く深呼吸し少し乱れた髪、衣服を直してゆっくりとドアを押して、目にしたのは艶を無くした黒髪、生気の抜け落ちた瞳、至るところに包帯、絆創膏が目立つ小さな男の子…ゆっくりと顔を向け出た言葉
「………………お姉ちゃん………ダレ?」
…生気の無い瞳を向けるタッくんの言葉に、わたしの中でナニかが壊れ崩れ落ちて、ひざをついた
なにがどうなってるの……だれかこたえて
蜻蛉月 無意味日
………タッくんがわたしの家に帰ってきた
…でも、あの日以来わたしは部屋に引きこもった
キラキラ輝いていた瞳は光が無く、痩せた身体に巻かれた包帯と絆創膏…なにより、わたしと過ごした四年間の記憶が完全に抜け落ちてた、一緒にガンプラ作って、通学して、湯浴みし、誓いの儀式を重ねた日々も全部が
わたしをユウキ叔父様、メイ叔母様のそばから離れないで見る姿に胸を締め付けられた
あの時、第2回世界大会会場に一人で行くのを止めていれば、一緒に行っていれば、こんな事にはならなかったはずなのに
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……一週間近く布団にくるまり、膝を抱きながら何度口にしたかわからない
「ミカちゃん。起きてる?…」
控えめな声が襖の向こうから聞こえる…わたしは何もこたえない…メイ叔母様が誘拐されたのはわたしのせいじゃないと語りかけ、少し間をあけゆっくりと告げられた言葉に身体が震えた
タッくんが、わたしの家から出ると。
メイ叔母様の父親、ガンプラ仁侠道《秋月組》組長オウマさんが療養と自分たちのシマであるS街へ来るようにいわれ迎えの組員が来ていると
そして、わたしとの許婚を解消された。ただそれだけを告げメイ叔母様は襖から離れていくのを感じながら何かがわき上がってくる
…タッくんと離れ離れになる。今生の別れになる………………いやだ、そんなのはぜったいにイヤだ!!
布団をはねのけ、襖を勢いよく開き板張りの廊下を駆けた…あけ放たれた門を抜けた先には、父と母、門人達、黒塗りの高級車が土煙をあげ離れていくの
「………………タッくん!」
「ミカヤ?!待ちなさい!?」
「行かせてやるんだ……お別れぐらいいいじゃないか」
わたしをとめようとする母がとめようとするのを、父の手がふさいだ。走った…子供の足で車に追いつくには山道を行くしかない。木々の枝葉が顔にふれ、石ころだらけのあれ道で血が滲むのも気にせずに
木々の枝葉が途切れ見えたのは黒塗りの高級車、その後部座席に顔を俯かせたタッくんの姿をみて、力いっぱい走り叫んだ
「…………っくん………タッく…………タッくん!!」
………でも、足がもつれ地面に転ぶ…痛い。でも顔上げるけどあまり見えない…引きこもって食事も取らずの日々を過ごしたせいで視界がグニャリと歪む中、後部座席から生気の無い瞳でタッくんが、わたしをみていたのを最後に意識が途絶えた
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after.fourth.years…………
蘊奥月 虎鉄日
………まさに運命だ!今日のわたしの運勢は最高だと断じよう!!
やっぱりタッくんとわたしは運命の赤い糸で生まれる前から結ばれていたに違いない!!この街にいるとは知っていたけど学校が同じだということは、そうかんじずにはいられない!!
あの頃より背が伸び、儚い空気を感じるも間違いなくタッくんだ…わたしが大会エントリー手続きで手間取っていた時におどおどしながら手をさしのべてくれた
……やっぱり、記憶は失ったままだった。でも今からはじめようと思う、綺羅星のように輝く過去も大事だけど、コレから始めるんだ
タッくん…少年と一緒に歩んでいけるように、少しずつ距離を詰め、鍛え抜かれた剛刀をわたしという鞘へ導き入れ互いを理解したい。まずは先輩、後輩から始めるかな
覚悟してねタッくん♡
○月 ××日
なんで、なんでなの………わたしはどうすればいいんだ
今と過去、どちらを選べばいいかわからない……
閑話 ミカヤのタッくん日記
了