ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー 作:オウガ・Ω
同屋敷
月明かりに照らされた屋敷に一つの影が走る…音もなく風を起こさぬよう向かうはガンプラ天瞳流宗家の家族が住む母屋…気配を消しウグイス張りの床をならさず奥にある部屋にたどりついた影はゆっくり襖を開いた
きれいに掃き清められた和室、埃も塵もない…影は机の前で立ち止まりゆっくりと右へずらした。カチャリと音と共に机が一回転し真ん中が割れ見えたのは一冊の使い込まれた日記帳
静かに手にとると机はもとの位置に戻るのをみてからページを開いた
あきつきたかやの日記(5歳~7歳)
○月×日。
ぼく、あきつきたかや五歳は今日から《にっき》を書きたいとおもいます
なんでかっていうとね……かやお姉ちゃんが《にっき》を書いてるのをみてぼくもかいてみたいな~っておもったの
じゃ、さっそくきょうのコトを書くよ
きょうは、てんどうのおじさん、かやお姉ちゃんといっしょにカタナをふるうけいこをしました
ガンプラてんどうりゅうなのに、なんでカタナをふるんだろ?となりをみると、かやお姉ちゃんはおもい刀をすごく軽そうにふるってます
楽しそうにふるかやお姉ちゃん。よしぼくも まけないようふれるようになろ~
○月◆†日
きょうはかやお姉ちゃんとおふろにはいりました
でも~かやお姉ちゃん、おふろを「ゆあみ」っていいます。なんでなの?っときいてみました
「湯浴みっていうのは湯を浴び身をキレイにする意味なのさ…さあ、タッくん。からだ冷やすといけないから早く脱ぎ脱ぎしよう。わたしがも手伝ってあげるね」
……やっぱり、かやお姉ちゃんはなんでも知っててすごいや♪ぼくの汗でびっしょりになった服をぬがし終わっていっしょにおふろに入ります…きょうはかやお姉ちゃんをぼくがあらう日です
まず《ぼでぃそおぷ》をてにたらしてあたためてからはだをあらいます。かやお姉ちゃんはとても気持ちよさそうにしてます
(ん、そ、そこは…やさしく…ん、あ、はあ♡…だめだよタッくん、そこはまだ…強くこすっちゃ…でも、少し弱…ん~っ♡♡)
あらいおわると、かおをまっかにしてからだをふるわせながらぼくに抱きついてきます…いきもあらいし気分がわるいのかな?
「だ、だいじょうぶ…たっくんはからだをあらうの上手だね(よかった…すこし濡…果てそうになったのバレてなくて…)」
でも少ししたらいつものかやお姉ちゃんにもどって、ぼくのからだをあらいはじめます…でも《ぼでぃそおぷ》をあらったばかりのからだにたらして、ぴったりむきあうようにからだにくっついてうごかして、もたれかかってきました
「ん、はあ……どうだいタッくん…あたらしい洗い方なんだけど…」
「うん、すごくきもちいい…」
「じゃあ、一緒に入るときはこうして洗ってあげようか……」
「ほんと?かやお姉ちゃんだ~~いすき♪」
「た、た、た、タッくん……」
……なんでかわからないけど、もっとぎゅ~~ってしてきました。それから髪をあらいっこしてからおゆに百数えてからあがりました
○月××日
ぼくがかやお姉ちゃんのウチにきて一年すぎました。
きょうは、ぼくの入学式です。ピカピカの一年生になります。
外国から帰ってきたお父さんとお母さん、てんどうのおじさんとおばさんも来てくれてます
それに、ココの《くろもりみねがくえん》には、かやお姉ちゃんが通ってるんだ。学ねんはちがうけども毎日一緒につうがくできるのがスゴくたのしみです
でも、なんかだれかにすごくみられてる気がして、うしろをみたらかやお姉ちゃんが笑顔で《かめら》を持ってて、手をふってきます
(半ズボン…白いソックスに黒のランドセル…はあ、かわいいよタッく~んは)
それから入学式が終わるとクラスわけしてから学校案内?になりました。するとかやお姉ちゃんと同じぐらいのお姉ちゃん達が教しつにはいってくると。ぼくや他の人にきました
「キミ、お姉さんと一緒に回らないかな?甘くて美味しいお菓子もたくさんある家庭科部に行こ♪」
「ねえねえ、ココまだわからないよね。わたしが案内してあげる」
「ねえねえ水泳に興味ない?ボクの学校のプールは大きいよ~」
「タッくん、おそくなってゴメンね…さ、いこうか」
……ん~どうしょっておもっていたらかやお姉ちゃんが来て、手を握ると歩き出しました…ふりかえるとお姉さんたちがじっとみてなにかいってます
「う、うそ…あの剣とガンプラにしか興味ないミカヤさんが男の子の手をとってる!?」
「なんかスゴく親しげなんだけど!?タッくんって呼んでるし!?」
「…もう『食べてる』いえ、しっかり《味見》してるよね………ギルティ《有罪確定》!!」
って知らないことばがみみにはいるけどわからないです。それからがくえんの中にある、としょかん、しょくいんしつ、しょくどう、りかじゅんびしつ、たいいくかんをあんないしてくれます……かやお姉ちゃんはなんでもしっててスゴい!
あんないがおわって、ぼくはかやお姉ちゃんといっしょにおとうさん、おかあさん、てんどうのおじさん、おばさんとおうちにかえると
「「「「タカヤくん、黒森峰学園入学おめでとう~」」」」
って道場のみんながたくさんのごはんをつくって、ぼくのお祝いしてくれました
あしたからかやお姉ちゃんといっしょにがくえんにいけるとおもうとスゴくたのしみ
はやくあしたがこないかな~
ガタキリ月ラタラタ日
ぼく、秋月タカヤが黒森峰学園に入学して一年過ぎました…友達もたくさんできたし、何より黒森峰ガンプラ部に入る事ができました
黒森峰ガンプラ部はガンプラコンテストに優秀作品を幾つもの出してて、なかでも部長の西住まほお姉さま、西住みほお姉さま、逸見エリカお姉さまはガンプラコンテストで上位入選を五年連続で果たしてて、ガンタンクやラゴウ、バクウ、ガンタンクR44、ザクタンク、ザメル…タンク系ガンプラを得意でウェザリングやダメージ痕、塗装…見習うところがたくさんあります
あ、かやお姉ちゃんも同じ部にいるんだけど…今日は風邪をひいてやすんでるんだ……叔父さんと叔母さんは京都にあるガンプラ心形流の珍念さんのとこにいってていま家には、かやお姉ちゃん一人だけ。うわの空でガンプラ作ってたら
「秋月、ランナー切り出しに乱れがある…身が入らないようだな…」
「お姉ちゃん、そんなふうにいったらダメだよ……タカヤくん、今日の部活動は切り上げていいよ」
「身の入らないガンプラ作られたら困るんだから…天瞳のとこに早く帰りなさい」
…っていわれて、でもみんなやさしいお姉さまたちです。作りかけのガンプラを箱にしまって片づけしてから部室をでてまっすぐ家にかえりました
もちろん、りんごとモモを買ってから。はじめて皮をむいて皿にのせて、かやお姉ちゃんのおへやに入るとなんかいつもと違う甘ずっぱい匂いがします…ぼくに気づいてあわててかやお姉ちゃんがとびおきました
「た、た、た、た、たっくん!?き、きょうはクラブ活動じゃなかったの!?」
どうしたんだろ?なんか顔もまっかだし…それになんでぼくの道着を顔にちかづけてるんだろ?
で、理由をいったら『西住先輩、逸見先輩…気をまわしすぎだよ………』っていってたけど。でもいまはかやお姉ちゃんの看病をしなきゃ、皿に盛ったモモをフォークにさしました
「かやお姉ちゃん、まだ治ってないから無理しちゃダメ。コレを食べてはいあ~~ん」
「あ、あ~~ん…………ん、おいしいよたっくん…もう一つもらえるかな?」
「うん、じゃあ次はウサギリンゴだよ、はいあ~~~~ん」
リンゴとモモをおいしくたべていくかやお姉ちゃん。食べおわると僕の手を握ったままねむってしまったので叔父さんと叔母さんが帰ってくるまでそばにいました。早く元気になって一緒に学園にいこうね
キングオブハート月シャイニー日
今日はお休み…昨日一緒に第1回ガンプラバトル世界大会をみてていつの間にか寝てたぼくは、となりで寝間着を握るかやお姉ちゃんを起こさないように布団からでて襖を静かに閉めてから道場に向かいました
ガンプラ天瞳流の太刀を構え素振りをし、型を混ぜながら横凪、突き、袈裟、逆袈裟、胴凪ぎ…足運びを早く遠くへ踏み込みながら振るいます
かやお姉ちゃんみたいにはまだまだかな…しばらくして太刀を収めると入り口に誰かいます
「…………………………」
赤いボロボロのマフラー、真っ黒なコート…変わったサングラスをかけた人が僕をみてる。なんか怖い…もしかしたら叔父さんと叔母さんの知り合いかなと思って声をかけようとしたら叔父さん、叔母さんが道場に入ってきました。なんかあわててます
「タカヤくん、ミカヤがさがしているから早く戻りなさい…」
「え?」
「ほらほら、早くしないとミカヤが泣いちゃうから…さあ」
叔父さんと叔母さんにいわれて僕はかやお姉ちゃんのところに駆け出しました…うしろから叔母さんと叔母さんの怒る声が聞こえた気がしたけど
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「…………なんでココにきた……あのようなガンプラバトルをし流派を汚した。天瞳流の門を二度と跨ぐこと許さないと言った筈だが?」
「……………今のがメイとユウキの子か…」
「!……今のアナタに関係ないはず…メイから絶縁されたのを忘れたの?……秋つ…いえ第1回ガンプラバトル世界大会覇者二代目メイジン・カワグチ…はやくでていって」
「………わかった………」
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しばらくして叔父さん、叔母さんが帰ってきました。さっきの人はどうしたの?って聞こうとしたけど聞いちゃいけない気がしたからやめました
でも、なんでかわからないけど…お母さんに似てる感じがしました
あと、夕方に道場の入り口を掃除していたら見慣れないニッパーが落ちてました…ぼくが使うのとは違うけど使い込まれてるなって感じがしてそれに……すごく馴染む気がします。グリップに《N・K》って刻まれてる…誰のかきいてみようと思います
野良犬月 目つき悪い二人日
黒森峰学園に入って二年、僕は二年生、かやお姉ちゃんは五年生になりました。沙尽震《シャッフル》神社の七夕神事で誓いの儀式をしてからは何時も隣にいてくれます。
今日もガンプラ天瞳流の稽古を終わると、かやお姉ちゃんと一緒にお風呂に入りました
「うう~かやお姉ちゃん、まだ~?」
「もう少し待ってて……はい終わり、じゃ身体洗おうか?」
「うん」
髪を洗い終わり泡を落とすとかやお姉ちゃんが向き合うようなかんじで肌をあわせます…《ぼでぃそおぷ》が肌にふれて上から下に動くと泡がたつんだけど、なんかかやお姉ちゃんの様子がいつもより違います。息も荒い、僕の胸あたりになんか二つの小さな固くて柔らかいのが動いてこすれると声がおおきくなるし
「ん、はあ……く…は、はい……おわ…りだよ…(ダメだ…感じてしまう……痛いけど…)」
顔を真っ赤にしながら手桶にお湯をくんでかけてから湯船にはいります…でもなんでかわからないけど僕の膝に向き合って座るようにだけど…最近になってかやお姉ちゃん、お母さんみたいじゃないけど大きくなってきてて、もしかして声がおおきくなったのは当たってたからかな?って考えてたらかやお姉ちゃんが
「タッくん、どうしたのかな?あんまりみられるとこまるんだけど……わ、わたしはまだ小さいか…」
「…僕はきらいじゃないよ~かやお姉ちゃんのピンクでぷっくりしてるしかわいい~さわっていい?」
「……あ、まって?いきなりは…ひゃう!?や、やめ…んんっ!?」
…指でさわるとびくんと身体をふるわせながらかやお姉ちゃんがぎゅってぼくに抱きついてきました。息もなんか荒いしさわってたトコが固くなって膝のあたりがなんかぬるってしてる
なんなんだろ?
それから少したって、顔を真っ赤にしてぼうっとしてるかやお姉ちゃんと湯船からでて身体を拭いて、着替えました。あと少ししたらかやお姉ちゃんが僕の部屋来て一緒に寝るから今日はここまでにします。
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その日の夜………
「ん、はあ……ダメ♡タッくん、吸っちゃ…か、かんだ…やあ」
「ん、ちゅ……おかあさん…」
身をよじらせるミカヤの艶声が夜の帳に響く…はだけた寝衣…まだ固く膨らみかけの敏感で未熟な母性の象徴への与えられる刺激は芯から熱さを引き出していく、その感覚に身体を振るわせながらタカヤの頭を夜空が白ぐまで抱きしめ続けミカヤはただ耐えながらも不思議な満足感に満たされていた
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ジャンマルコ月リナシメント日
やったあ!お母さんが第二回ガンプラバトル世界大会ベスト16入りしたよ!
お父さんが作ったガンダム・エクシェスをお母さんが操り、宇宙をかけながら相手を倒していく姿はスッゴくカッコイいです!僕を抱きながら座るカヤお姉ちゃんもテレビに釘付けになってます
「メイ叔母さま、スゴく綺麗な動きだね……無駄がなくてまるで円舞のようだ…」
「カヤお姉ちゃんもそうおもうよね♪お母さんもだけどお父さんもスゴい!よし、エクシェスより強くてカッコイいガンプラを絶対作ってガンプラバトル大会にでる!」
「じゃ私もタッくんに作って貰ったこの《晴嵐》で世界大会目指してみようかな」
「本当!やったあ!…あ、でもカヤお姉ちゃんと戦うことになっても負けないよ」
「ふふ、もちろんさ…でも勝っても負けても怨みっこなしだよ」
「うん!」
そういって軽く手をあわて指を絡めます…カヤお姉ちゃんは僕より強くて、スゴク綺麗で優しくてかわいいけど負けないよ。だから、そのために世界大会に出てる母さん達の所に行くことを決めました
それを天瞳の叔父さん、叔母さんに話したらいいよって言ってくれました。でもカヤお姉ちゃんは「わたしもついていく!タッくんは無防備だから!!」って…でも僕は何度も話したらわかってくれたんだけど「着いたら必ず私に連絡するんだ、もちろん寝る前とか声を聞かせてくれるんだったら…」って条件付きで
んで、早速着替えやキャリーケースに入れ終わると早めに布団を敷きました…明日は静岡にあるPPSEスタジアム《第二回ガンプラバトル世界大会》会場……どんな人達が来るのかスゴく楽しみ
あ、カヤお姉ちゃんが涙目になりながらお布団からみてるから今日はここまでにします
新しい日記帳を入れておかないと
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『………………』
薄暗い和室に乾いた音が響く…無言で日記帳を閉じ顔を俯かせ机を撫でる影はまるで昔から知っているかのよう、懐かしむようにあたりをみる
『………なにも変わらない………』
微かに漏らした声からもソレが強くわかる。少し開かれた障子から月の光が差し込み見えたのは頭部全てを覆い、ガンダムにも似た仮面で隠した少年
手にした日記帳をもとあった場所へ直そうとした時、襖が大きく開かれ風切り音と共に何かが迫るのを紙一重でそらし離れた彼の目には薙刀を構えたガンプラ天瞳流師範の妻ハルナが柄を構えながら軽く回し刃を突きつけた
「あなた何者なの?ここはあの子の……タカヤくんの部屋よ……なにが目的が答えな……」
『…………さ……失礼した……』
懐から小さな玉をとり指先で擦る。瞬く間に激しい光が室内を満たしハルナの視界を奪い微かな物音と同時に気配が去り光が消えた
「にげた?でも……これは」
室内は荒らされた形跡がない。変わりに障子が開かれ月が煌々と照らしている中、机に目を向けたハルナはあるものを目にした…幼く辿々しい文字で書かれた名前を見て唖然となる。コレはハルナが預けられて一年過ぎた頃にタカヤに渡した日記帳…あの事件から天瞳家を離れてからも何時でも戻ってこれるようにこっそり部屋だけはハルナは夫を説き伏せ残していた
しかし長らく日記帳だけは見つからなかった…タカヤが見つからないように隠していたから。本人しかわからないはずの日記帳が机の上におかれてる
先の少年から感じた懐かしいモノからくる不安を振り払いながら薙刀を壁にかけると大事に日記帳を棚へとしまった…ミカヤが戻ってきたら教えようと思いながら
第十三.五話 あきつきたかやの日記(5歳~7歳)
了