ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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カレトヴルッフ争奪戦、2日前……


「少年、イメージするんだ……」


「イメージですか?……」



「そう、ブレイドは少年の分身。つまりブレイド自身になるんだ……関節はココまで動く、曲がる、リーチはドコまで届くかを……さあ、時間もあまりないからやろうか、レヴィとノーヴェがくる前に」


「はい」



今日も僕の部屋で天瞳先輩と大会に向けてイメージトレーニングをしている…なぜかわからないけど先輩の様子がおかしい

しきりにブレイドとツクヨミ斬を背中合わせに立たせたり、向かい合わせて抱くようなポーズをとらせてる…コレもイメージトレーニングの一環なのかな?それより気になるのはツクヨミ斬が持つ刀《晴嵐》


拵えもだけど鞘もかなり作り込まれているし、何より大事にされているのがよくわかる。それに僕はどこかでみたことがある気がする



「…少年、あまりじっとみないでくれるかな?」



「あ、あの…ごめんなさい……晴嵐、すごく作り込まれていてますね…」



「…………むかし、家で預かっていた子が私のガンプラに合う武器を作ってくれたんだ……さあ、それよりトレーニングを再開しようか」



「は、はい……」


目を閉じながらブレイドを手にし動かすタカヤ…真剣な表情は昔と変わらない。何よりもミカヤが教えたことはかつてタカヤが教えてくれたこと



ーカヤお姉ちゃん、かんせつのうごくはんい、り~ち、バランスをいめーじしてみてー


ーできた~カヤお姉ちゃんにぴったりなぶき《せいらん》だよー



(……………タッくんが忘れてしまった事を今度は私が教える番……ガンプラの楽しさを…そして記憶を取り戻してみせる。昔みたいに湯浴みして、隅々まであらってお休みの口づけを……それにまだ通っていないから優しく出してあげなければな…もっと先へ進むために管理も)


イメージトレーニングに集中するタカヤの前で変態的ピンクな妄想に身をよじらせる悶え頬を紅潮させる姿があった……







第八話 星光と騎士 前編

「か、勝てた……ぼくは……うわぁ!?」

 

 

「少年、勝ったぞ!私達の初y…初勝利だ!!」

 

 

 

「ち、ちょ!天瞳先輩?抱きつかないで?む、む、む……」

 

 

初めてガンプラバトルで勝てた…実感が湧かない僕をなぜかギュッと抱きしめてきた先輩の髪から香る甘い匂いもだけど、む、胸が顔に多い被さってくる。なんとか顔を出すと目と目があった

 

 

「あ、あの天瞳先ぱ…」

 

 

「少年、私を先輩とよぶのは禁止と言わなかったかな?」

 

 

「え、でも………下の名前は……その、あの」

 

 

 

 

 

 

悪戯っぽく笑いかけてくる…でも今さら先輩を『ミカヤさん』て呼ぶのはスッゴく恥ずかしい。そんな僕をまた強く抱きしめてきた。《さらし》越しに感じる柔らかい胸からなんとか逃げようとするけど離さないって感じで力を込めてる

 

 

 

(ふふ、困ってる顔もたまらないなあ~これが勝利の美酒というもの。今日のブシドー占いは《今日こそ勝負の時!意中の想い人の胸のうちに深く切り込むべし!自分色に染め上げよ!!》……まさに好機到来、さあめくるめく私とタッくんの素晴らしき量子の集う場での…ん?)

 

 

何かに気づいたようにタカヤを抱きしめる腕から力が微かに緩んだ。その背後に猛烈なまでの怒氣を放つ二人…プックリと額に血管を浮かばせるノーヴェ、笑顔だが全身から雷(!)をパチパチ漲らせるレヴィが立っている

 

 

ーミ~カ~ヤ~!さっさと離れろ!!羨まし……いや周りの皆がみてるだろうが!!鼻の下延ばしてんじゃねえよタカヤ!あたしの胸だって負けちゃいねだろうが……なんとかしねぇと…ー

 

 

 

ーむぅ~やるなミカヤん。『タカヤくんは大きな《おもち》が好きみたいよ』ってお母さんが言ってたのは本当だったんだ。でもね《おもち》ならボクのが断然大きいから負けないよ!!ー

 

 

 

ー……残念だが、既に少年、タッくんは私の胸の虜だ。それでも挑むのならば我が敬愛する師《ミスター・ブシドー》のように宣言させてもらおう。何時でも受けて立つ!少年のすべては私が頂く(肉体的なのを含む)!!ー

 

 

 

ニュータイプ空間ならぬ、トランザムライザーが引き起こした量子空間?で火花を散らす三人…そんな中、タカヤはというと

 

 

 

(い、息が出来ない……む、むきゅ~)

 

 

さらしに包まれた魅惑の谷間に押し付けられる形で抱きしめられたまま意識を失っていた…ち、リア充めが!!

 

 

 

 

「さて、皆様お久しぶりです……サエグサ模型店主催カレトヴルッフ争奪ペアバトル大会に出場し一回戦をミカヤちゃんと一緒に勝利を収めたタカヤくん。恋のバトルも水面下で激しく繰り広げられているみたい。でも戦いは始まったばかり。このあとに控えるのは同じくルーキーの二人です!」

 

 

 

栗色の髪をショートにし、黒のワンピースドレス姿の少女《シュテル》と白のパーカーに水色のTシャツに黒のズボン姿の元気いっぱいな少年《トオル》が互いのガンプラを手にし立つ姿…

 

 

 

「ガンプラバトルを経て出会った二人の前にはカレトヴルッフを手にしようと立ちはだる海外勢ファイター。果たして勝利するのは………それではガンダムビルドファイターズ刃!第八話にレディィィィッ!ゴォ!!」

 

 

 

第八話 星光(シュテル)騎士(ランスロット) 前編

 

 

 

「トオル、ガンプラの調整終わりましたか?」

 

 

 

「おう!いつでもいけるぜ。シュテルのはどうだ?」

 

 

 

「ワタシのは終わってます……さあ、行きましょうか」

 

 

 

オレに笑顔でガンダムX・ズィーガを見せるシュテル。オレのガンプラ…いやシュテルと一緒に作った純白に、金の装甲が目立つランスロットガンダム、GPベースを手に控え室から出る。会場はさっきのバトルでいまだに熱氣がこもってる………チームブレイドのファイター、秋月タカヤのアストレイブレイド・楯無と天瞳ミカヤのツクヨミ・斬、徹底的に作り込まれてるのもわかっけど何より息があってる

 

 

 

それにシュテルから聞いたけど、秋月タカヤが弟子を取らないことで有名なファイター《マスタージャパン》の愛弟子、ペアを組んでいるのがチーム天瞳のリーダー…天瞳ミカヤ《絶剣のミカヤ》ってのはおどろいた

 

 

もし順当に勝ち進めばって想うとワクワクする…まさかこんな身近に強い奴がいるな…

 

 

 

「トオル?どうかしましたか」

 

 

「い、いや何でもない………」

 

 

 

「今は目の前のバトルに集中しましょう……相手を待たせるのは失礼ですから」

 

 

 

澄んだ声を耳にして現実に引き戻した。あわててGPベース、オレのランスロットガンダムをセットすると対戦相手のガンプラをみる。アストレイとローゼンズールを改修した機体。相当作り込んでるのが初心者のオレでもわかる

 

 

 

「……」

 

 

「なあ……おい作戦はあるのかよ?みた感じルーキーみたいだけどさ」

 

 

 

「あんたは好きなように動けばいいさ」

 

 

「ああ、わすれんなよ山分けだって事をさ……」

 

 

「もちろん」

 

 

……ふん、言いたいこといってるなあ。アカツキ《調》をセットしながら思う。それよりも気になるのはさっきのバトルにあのガキが居たことだ

 

 

 

再びガンプラバトルをやっているとは思ってもいなかった。X様にカレトヴルッフを献上するためにフラナ機関に潜り込んではるばる日本に来てみたらいるとはね

 

 

まずはコイツらを潰してからだ。楽しみにしていなアキツキタカヤ?あの時と同じように悲鳴をあげさせてやるよ?

 

 

 

ーGunpra battle. Combat mode. Stand-up.Beginning. Plafsky particular dispersion ー

 

    

 

 

   ーField3.skyー

 

 ランダムフィールドセレクトは《浮遊大陸》…大小様々な大地が青空と雲が広がる

 

 

 

   ーMode damage level. Set to Aー

 

 

 

「トオル・フローリアン、ランスロットガンダム!」

 

 

「シュテル・T・グランツ…ガンダムX・ズィーガ」

 

 

 

「弾真蹴斗……アカツキ《調》…」

 

 

 

「安住スグル、ロジェ・ズール!」

 

 

 

「「「「ごぉっ!/いきます!/…貫く/いくぞ!」」」」

 

 

 

各ガンプラの目に光が灯り、弾かれたように青空を飛翔した……

 

 

 

第八話 第八話 星光と騎士 前編

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

「やるわねミカちゃん」

 

 

 

「仕方ないかな……天瞳師範に預けていた時からミカヤちゃん、タカヤを可愛がってたからね……」

 

 

 

ミカヤの胸の中で気絶したタカヤをみるのは父ユウキ、母メイ…二人がいるのは観客席。しかもなぜかトレンチコートに帽子を被った不審者と間違われても仕方ない格好でいる。その証拠に二人の周りには観戦者はいない

 

 

「メイ…義兄さんとは連絡とったかい?」

 

 

 

「…………勝つことに執着するあの人は兄でもないわ」

 

 

 

柔らかな笑みが消え、代わりに強い嫌悪感を露わにするメイをみてため息をつく……戦う相手が親友、親兄弟、恋人であろうと勝つことにのみ執着するようになってから自分も連絡はとっていない

 

 

あの日の事件も元を正せば義兄が招いたこと…以前は楽しいガンプラ作りをしていた。しかしPPSEに招かれてから人が変わった。二代目メイジンカワグチを継いだあの日から

 

 

「メイ、僕は近いうちに義兄さん…二代目メイジンカワグチに会いに行く……」

 

 

 

「でも!あの人は…」

 

 

 

「嫌な予感がするんだ……ガンプラマフィア《イェーガーズ》のメンバーが入国したって聞いた……」

 

 

 

「………」

 

 

 

真剣な目をみてメイは頷いたのをみて、フタタビタカヤに目を向けた

 

 

「守らなきゃいけない。楽しいガンプラ作りを……そしてタカヤを」

 

 

 

「うん」

 

 

 

ユウキの声に同意するように肩に寄りかかるメイ………ただ、二人の格好は不審者極まりなかった

 

 

 





今回登場したガンプラ







機体名『アカツキ《調》』
装備・ビームライフル
  ・ビームサーベル×2
  ・高エネルギービーム砲×2
  ・ドラグーン×8
  ・トツカノツルギ×2
  ・オオツキノカガミ
特殊装備・トランスフェイズシフト装甲
    ・ヤタノカガミ
カラーリング 黒金色
機体説明
『アカツキ』をベースに『アストレイゴールドフレーム天ミナ』のパーツを取り入れたガンプラ。二本の実体剣と、ビームシールドである《オオツキノカガミ》を装備、さらに《トランスフェイズシフト装甲》の追加によってほぼ全ての射撃攻撃を無力化する万能機。

専属ファイター《弾真蹴斗》はフラナ機関の手練れだが真の姿はガンプラマフィア《イェーガーズ》の一人。正体を隠し様々な大会を荒らし《相手を粉砕し心をへし折る勝つためのバトル》を信条としている






機体名『ロジエ・ズール』
装備・三連装ビーム砲
  ・ビーム発生クロー
  ・シールド
  ・サイコジャマー
追加武装型支援機 ブルーフレア
武装・エナジーウィング
  ・収束ビーム砲×2
  ・サイコジャマー
カラーリング 青薔薇色



機体説明
『ローゼン・ズール』をベースに改造したガンプラ。機体のクローがビーム刃を発生させる事を除くと改造は余り無く、追加武装である《ブルーフレア》を搭載することで外見等の変化を産む。エナジーウィングに関しては《コードギア○》の聖天八○式の物を使用しているため、ガンダムファンからは嫌悪を視線で見られている


ファイターは地元出身の安住スグル。今回の大会の優勝景品カレトヴルッフを得る為に近づいてきた弾真蹴斗に乗せられる形で参加している









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