ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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「さあ、我々、いや《あの方》のために最強のガンプラをつくって貰おうか?」


「いやだ……ガンプラマフィアなんかにきょうりょくなんかしない……ガンプラをだいじにしないひとのために作るもんか」


薄暗い湿った室内にひとりの子供が黒いスーツに身を包んだ男の問に拒絶する。今日は母親の世界大会を見に行くために空港まで預けられた家の叔父さんと娘に見送られた…直後に車が割ってはいり連れ込まれ眠らされ気がついた時にはここにいた

無数のガンプラの箱が並ぶ中で何度めかになる要求に拒絶していた。ガンプラを大事にしないひとのために作らないと。しかしいきなり誰かに顔を鷲掴みにされた

「やさしくしていればつけあがるだけだよ…S……さて、ならば無理矢理にでも協力して貰うかな?」

頭をつかみあげる指の間からかろうじて見えた顔…金色の無機質な緑の目、三日月のような口が描かれた仮面の人間が乱暴に椅子に座らせ顔から手を離すと様々なケーブルか繋がれたHUDに似たモノを被せた


「さあ、作って貰うよ……世界ランカー八位の秋月メイ、その夫にしてガンプラマイスト秋月ユウキの技を受け継ぐ天才………この宇☆ガンプラフ☆☆☆ター☆が操るに相応しいガンプラを………」


「な、なにするの…いやだ、イヤだよ……」

彼の無機質な仮面越しから感じる狂気…そしておどろおどろしい薬液に満たされた注射器を片手にゆっくりと血管に突き刺す。数秒たたずに全身が震え激しい痛みに襲われた


「うわああああ!…ああああああああああああ!!」


「素直に協力してればこんなことなんないんだよ…」


呆れたような声を最後に男の子の意識は深いところへと堕ちていった


第六話 タカヤのペアは?(後編)

「あら~熱いわねタカヤくんのお父さん、お母さんは……どうしたの?」

 

 

「か、母さん、それに父さんイチャつかなかいでったら……ひさしぶりに日本に帰ってきたと思ったらコレだよぅ。みんなの前で恥ずかしいじゃないか……も~う」

 

 

二人が一目をはばからずいちゃつく姿にうなだれてるタカヤくん……まあ、仕方ないわね~何時まで経っても新婚さん気分抜けきらないし、でもああ見えてユウキさんは若くしてガンプラマイスター、メイさんは世界ランカー第八位のファイターなのは驚くのよね

 

でも、ソレより気になるのは勝敗の行方何だけど…さっきの言葉通りならグラムを破壊した《あの子》に決まりかも

 

 

「………ああ~ノーヴェったら……でもまだチャンスはあるし」

 

 

「勝負はコレからよ。フフフフフ」

 

 

私の隣で笑顔だけど目は笑ってないプレシアさん、クイントさん……本気で店の跡取り、レヴィちゃんの婿養子にタカヤくんを迎えるために何かたくらんでるのがまるわかり

 

さてと、コレからが大変かもねタカヤくん?なにしろ……まあ、これは本編をみてからよ♪

 

 

「それでは!ガンダムビルドファイターズ刃ーブレイドー!レディィッゴオッ!!」

 

 

 

第六話 タカヤのペアは?《後編》

 

 

サエグサ模型店…様々なガンプラから多種多様なプラモをはじめとしてツール、バトルルームを備えた有名なファイターが訪れる知る人ぞ知る店

 

その住居兼店舗のキッチンに激しい熱気に満ち白いコックコートに身を包んだ赤い髪に炎をあしらったパンダナを巻いた高校生か中華鍋を振るい炎と格闘しながら蒸籠の蓋を素早く取る

 

蒸された鯛が丸ごと皿に乗せられ、隣には透き通るような皮に包まれ肉汁が溢れんばかりの焼売がむしあがっている

 

「よっと!フェイト、点心を皿に盛ってくれ」

 

 

「うん、えと……こんなかんじかな?」

 

 

「ん、上出来だ……よし出来た極濃エビチリ、蒸し物も全部かな……どうしたフェイト?やっぱり疲れたか?」

 

「え?ううん!疲れてないから」

 

 

火を止め大皿にエビチリを盛り満足そうに笑みを浮かべるのは雷凰飯店跡取り息子兼店長代理《新田飛鳥》、その彼女《フェイト・テスタロッサ》がぼうっとしながらみてるのを心配する飛鳥にあわてながら手をひらひらさせる

 

「やっぱり生徒会の仕事大変だろ?蓮なんかタヌ…八神の書記してるから最近帰りも遅いし、最近なんか泊まりも増えてるから心配でさ」

 

 

「そ、そうだね。でも蓮が書記になってからはやてすごく助かって言ってたよ…(ホント助かってるよ。はやてったら蓮くんに夢中だし…)」

 

 

「……まあな~俺より頭良いし、本好きの八神とお似合いだよな。さて料理を運ぶか……」

 

 

器用に大皿を手にもちながら歩く飛鳥、その後ろついていくフェイト……飛鳥がここに来たのは出張料理人として呼ばれたのもあるが、もう一つ目的がある

 

 

(………あのレヴィが好きになった男をみにいくか、将来的には俺の義弟になるしな。アリシアも喜ぶだろうな)

 

 

……未来の義弟の顔を見るのも兼ねてだった

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「ん~ひさしぶりタカヤの感触…はあ~」

 

 

「か、母さん?やめて皆見てるから?」

 

 

「べつにいいじゃない。二年もみないうちにこんなに大きくなって…ユウキに似て髪もサラサラね」

 

 

二年ぶりに会う息子タカヤの成長具合を確かめるよう頬ずりするメイから逃げようと手を伸ばす。その先には

 

 

(…………メイおば様、うらやましすぎです。今すぐにかわってください!少年は…たっくんは、わたしが《初めて》から《最後》までを是非に任せてもらいたいのですが)

 

 

(………うらやましい。ボクもタカタカとあんな風にやりたいな~お母さんにどうすればいいか聞かないと)

 

 

(っうかくっつきすぎだろ。あたしだってあんな風に………っ!べ、別にうらやましくないし。でも……ああ~もう……イライラする!!)

 

少しヤバめな気配を醸し出すミカヤ、プレシアからさらなる策を得ようとするレヴィ、素直になれずイライラするノーヴェを前にギュウウっとタカヤを抱きしめ満面の笑みを浮かべるメイ。誰も助けてくれないかと諦めかけた時、救いの手が差し伸べられた

 

 

「おまたせ~今回のバトルの結果発表~…の前に夕御飯を食べようか?今日は雷凰飯店の出張料理人が腕によりをかけて作ったから冷めないうちね♪」

 

 

ミツキの言葉に時間をみると夜の8時を回っている、ようやくメイから解放されタカヤと皆が向案内された部屋には大きめのテーブルに椅子。蒸し物、点心、炒めモノが大皿に盛られ食欲をそそる匂いに空腹だったのに気づき、先に来ていたプレシア、クイントも座っている。それぞれ席につき箸を手にし小皿にとりわけ口にした時、あまりの美味しさに言葉を失う

 

 

「お、美味い……(火の通り加減もだけど……野菜の旨味が凝縮されて…ダメだ箸が止まらない)」

 

 

「タカタカ!ボクのユーリンチーあげるね。はい、あ~ん♪」

 

「少年、私の包子(パオズ)をたべてみるかい?」

 

 

「な、なんかさたくさん盛りすぎたからさ、食べきんないからやるよ…ほら、口開けなよ」

 

 

瞬く間に平らげたタカヤにノーヴェ、ミカヤ、レヴィが箸で甘酢ダレが染み込んだユーリンチー、蟹身入り包子、黒酢スブタをズイスイと口元に近づける。逃げれないと気づくも真剣な眼差しに気圧され覚悟し食べていく中で三人の親同士でも話が盛り上がりを見せていく

 

 

「はじめまして秋月メイさん、私はプレシア・テスタロッサです。レヴィがいつもタカヤ君にお世話になってます」

 

 

 

「…あ、いえ、こちらこそはじめまして。テスタロッサさん…レヴィちゃんのガンプラもですけどファイターとしても輝くモノを感じました。こちらこそよろしくお願いしますね(……………なるほど将来はこうなるのね……ふふふ)」

 

 

(あら、なかなか見ているわね………いまのうちにアピールしておくかしら?

)

 

 

 

「あの、はじめまして中島クイントです。タカヤ君スゴいですね~ファイター、ビルダーとしてもだけど、この前、私の店で、あのリカルド・フェリーニがタカヤ君とノーヴェが一緒にタッグを組んで戦ったんですよ」

 

 

「はじめまして中島さ………え?それは本当のことかしら(あのフェリーニが日本に来ている?世界戦が日本でおこなわれるのは聞いていたけど、まさかタカヤと……気になるわ)中島さん、その時のタカヤのバトルのVTRはあるかしら?」

 

 

「もちろんありますよ。はい、コレがその時のよ」

 

 

世界ランカー、イタリア代表《リカルド・フェリーニ》が駆る《フェニーチェ》とタカヤが借り受けたアストレイゴールドフレーム《天》、ノーヴェが駆るOガンダム・Bの息がぴたりとあわさった連携プレーにやりとりを聞き少しだけ顔をひきつらせながら見ている

 

 

(……………なんで、こうもタカヤと息ぴったりであわせられるのよ?ミカちゃんぐらいしかいないと思ってたのにい~)

 

 

「どうかしました?」

 

 

「い、いえ、中島さんでしたわね…もしかして《荒野の迅雷ゲンヤ》の」

 

 

「はい、妻です。いまはナカジマホビーの店長ですけど…」

 

 

(荒野の迅雷《ゲンヤ》……ラル大尉に並んで三巨星の一人……荒削りだけど光るモノがあるのはそれだったのね……)

 

 

「さて、お腹も膨れて親交を深めたところで皆注目!今日のガンプラバトル《タカヤ君のペア》決定戦の結果発表しま~す♪」

 

 

スポットライトの光を浴びながら現れたミツキの声に皆の視線が集まる。その後ろにおかれた巨大なパネルに光が走り映像が流れミカヤ、ノーヴェ、レヴィがドキドキしながら、プレシア、クイントが固唾を飲む

 

 

「タカヤ君のペアは………………ミカヤ・S・天瞳ちゃんに決まりました~~♪」

 

 

「わ、わたし!?」

 

 

「ちょっと!なんでミカヤンなの?」

 

 

「レヴィちゃん、試合にメイさんが乱入して勝利条件が大きく変わっちゃつたのよ~《私のグラムを破壊出来れば勝ちよ》に。最初にレヴィちゃんのスプライトバスターが直撃したけど破壊には至らなかった。ツンデレちゃんのチェインブレイカーは武器破壊されたあとの攻撃だから無効。つまりグラムを直接破壊したのはミカヤちゃんの粒子斬撃よ」

 

 

先ほどのバトルのVTRを映すミツキの言葉通り、確かにミカヤのツクヨミ・斬の粒子斬撃がグラムに直撃、粉々に砕いているのをみてレヴィ、ノーヴェは納得するより悔しい気持ちで胸いっぱいだった…女の子だけどファイター。なら負けは負けとして認める事を決めた

 

 

「ミカヤ、今回だけはゆずるけどさ…ぜってぇ負けんなよ!」

 

 

「ミカヤン、タカタカのペアにはなるのは認めるけど勝負はコレからだからね!!」

 

 

「ああ、胸にとめておくよ………まあ、私も少年を離す気は無いけどね……」

 

 

新たな闘志を胸に宿し親友のノーヴェ、レヴィの言葉に力強くうなづくミカヤ…宣戦布告とも取れる光景に

 

 

「あら、完全に火が付いたわね~ユウ、はやくバトルシステムを来週の大会までに直しなさいよ?」

 

 

 

「まてよ姉貴!いくら何でもオレ一人じゃ無理だからな!フィールド設定や粒子回路もおしゃかなんだ………」

 

 

「少し貸してくれるかなユウくん。こうなったのも僕のメイの介入があったから。粒子回路は任せてフィールド設定お願いできるかな?」

 

 

「いいけどさ、奥さんほうっていいのかよ?」

 

 

 

「ん、まあ大丈夫だよ…コレから母親同士での親睦会やるって言ってたから。しばらく日本に居られるし気にしなくていいよ」

 

 

 

面白そうにみるミツキにくぎを差されヘイヘイと言い作業をするユウ。その隣で楽しそうにカタカタと粒子回路の構築を始めるユウキ…ビルダー以外にバトルシステムの開発に友人イオリ・タケシと共に携わっていた事をあとで知り、ユウはかなり驚いていたらしい

 

 

波乱に満ちたタカヤのペア決定戦は母親の乱入もありながら無事に幕が下りた……

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

☆☆☆☆

 

 

 

 

「カレトヴルッフ、まだ現存していたみたいだなあ」

 

 

 

「ああ、もういいだろ。俺の負けを認めるから……これ以上はやめてくれよ……何でも言うことを聞くからさ」

 

 

「ヤダね………オレの強さを証明したいんだよ……ガンプラバトル最強にいたるにはカレトヴルッフを手に入れる…そのためには」

 

 

首に巻かれた赤いボロボロのマフラーをなびかせ、顔を金色の無機質な緑の瞳に三日月のような口が描かれた仮面で隠し、全身を黒のライダースーツ姿の男性?が原型を留めないほど破壊されたガンプラを見ながらスロットをSPに合わせる

 

 

「この《宇宙ガンプラファイターX》、《アストレイ・龍刃皇》が使うに相応しいんだよね………あきたから消えなよ……」

 

 

「や、やめてくれえええ!!」

 

 

闇夜に叫びが木霊し消えていく。新たな悪意が静かに近づきつつあった

 

 

 

第六話 タカヤのペアは?(後編)

 

 

 

 

 

 

 




いよいよ始まるサエグサ模型店主催ガンプラバトル大会!

ペアになったミカヤとタカヤ、レヴィとノーヴェの協力もあり特訓は激しさを増していく

第七話 開催


集う強者の前に特訓の成果が発揮される!!

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