ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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ーカヤおねえちゃ。しみる、しみるようー

八年前、家にあずけられしばらくしてタっくんと初めてお風呂チャレンジした日だ…シャンプーハット無しでシャンプーできるようになりたいっていったからやったけど目にしみてわんわん泣き出した


ータっくんにはまだ早かったかな…ほらおねえちゃんに任せて…ちゃんと目を閉じてー


ーむう~は~い…ー


檜作りの湯殿に声が響く。手で軽く暖めたシャンプーを髪に馴染ませ優しく指で鋤くように洗ってくと気持ちよさそうだ

湯桶にお湯を組み優しく流すと気持ちよかったのかそのまま身を任せてきた…しっとりとした肌が触れ少しドキリとなる。愛らしい目で見られる度に鼓動が高くなる……


ータっくんはかわいいな………さあ、今から身体を洗おうかー


ーじゃあぼくもカヤおねえちゃのもあらうね。ー


ーじゃあ、洗いっこしようかー


ーうん!ー


手にハンドソープをため、脇から背中に抱きつくように肌を密着させお互いの身体をスポンジ代わりにしてあらってく…ああ、気持ちいいな。柔らかくてすべすべした手は何かを丸裸にしていく…たまらなくきもちいい


ーきもちいい?《おかあさ》が《おとうさ》をキレイキレイするときやるんだ。どうしたのカヤおねえちゃ?ー


ーな、なんでもない…湯船に浸かろうタっくんー



ーは~~いー


タっくんを抱くような形で浸からせながら肌のやわらかさとしっとりとした髪をとかす…ああ、コレが極楽の境地…悟りなのかと幼心ながら想った


……でも、そんな生活は長く続かなかった……あの日、第2回ガンプラバトル世界大会のベスト8決定戦がすべてを変えてしまったんだ


第六話 タカヤのペアは?(前編)☆

「…さて、大変なことになってしまいました」

 

 

声と共に突然光が照らされた。黒い眼帯に赤のジャケットを纏う女性が椅子に座りながら静かに語る姿…

 

 

「サエグサ模型店でおこなわれる男女ペア限定ガンプラバトル大会。その優勝景品《カレトヴルッフ》を手にしたいと願う一人の少年。しかし初心者である自分と組んでくれる相手。女性をペアにしなければ参加できないとしり悩む彼の前に現れた三人の少女。ナカジマボビーの美人姉妹の一人《ノーヴェ》彼の通う学院の上級生ミカヤ、隣に引っ越してきた元気っ娘レヴィ…少年との距離を詰めさらに踏み込んだ仲になりたいためペアという大義名分を元に来てみれば、三人一同に会してしまうことに、互いに譲れない想いが火花を散らせ少年…秋月タカヤくんのペアを決めるべくガンプラバトルを行うことを決めたのです。しかし彼女たちは大きな壁が立ちはだかる事を知らなかったのです……」

 

 

軽く指を鳴らすと横に黒髪を揺らしながら歩く桜色の和服に身を包んだ女性とガンプラのシルエットから凄まじいまでの覇気を漲らせGPベースを構える姿…

 

 

「………謎多き彼女の目的、果たして三人の恋する女の子はどうするのか……………」 

 

 

そこまで言うと女性は目を閉じおもむろに赤のジャケットに手をかけ一気に脱ぎ放つ、白地にSAEGUSAと大きく書かれた業務用エプロンにカジュアルな服装に身を包み眼帯を右手に握りしめたつのはサエグサ模型店店長ミツキ・サエグサは笑顔でビシッとマイクを構えくるりとまわりとまる

 

「それでは!ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー、第六話《タカヤのペアは?(前編)》に…………ガンプラバトル!レディイイ~ゴオオ♪♪」

 

 

「姉貴、あんまり焚きつけるなったら……それより手伝えよ」

 

 

 

はああ~とため息をつきながらバトルシステムの調整をする弟ユウ・サエグサの愚痴が漏れていた

 

 

 

第六話 タカヤのペアは?(前編)

 

 

タカヤの住むマンション《リ・ホーム》から徒歩10分の距離にあるサエグサ模型店。夕焼けに染まる臨時休業のプラカードがかけられている。ショーウィンドウには店長であるミツキ、弟ユウ、ツバサ、ツバキの力作がならび見る人を魅了していく。当然店内にはガンプラからスケールもでる、様々なアニメ作品のプラモが棚におかれ、さらに製作から塗装、各種プラ材から塗料まで完備し十人は座れるほどの工作室。地下にはバトルルームがあり店長自らプログラムした各種フィールドは初心者から熟練ファイターもうならせ知る人ぞ知る店

 

その反面、開業している日はとても少ない。店長ミツキ・サエグサの気分次第で開店、休業が決まるため一部のビルダー、ファイターからは常に営業してくれと声があった

 

 

話はそれてしまったが、地下バトルルームに三人の乙女の姿…手にはGPベースと各々が作り上げたガンプラが握られてるも、三人の視線はある方向をとらえていた

 

 

「あ、あの~ミツキ店長?これは一体?」

 

 

「あ、気にしない、気にしない。男の子なんだから細かいことは気にしないの」

 

 

「いや、だって何でリボンでしばられてるんですか?しかも《優勝景品》ってタグは何なんですか?」

 

 

「だって、今日は今度の大会に出るためのペアを決めるための特別な大会よ?タカヤくんをかけたね…それに」

 

 

ミツキ店長が目を向けた先につられるように見たもの…

 

 

「フフフ、がんばりなさいレヴィ。必ずゲットするのよ」

 

 

「あら。悪いけどタカヤくんは私の家の跡取りになるんだから渡さないわよ」

 

 

「……残念ねクイント。タカヤくんはすでに、わ・た・しの可愛いレヴィにヴァージン(キス)は奪われてるわよ」

 

 

「……やだ、ウチのノーヴェもそんなのよりスゴいのしてるわよ。ほら♪コレが証拠」

 

 

ナカジマボビー工作室でタカヤの顔面にむっちりとした太ももでホールド、魅惑のピンクのストライブが入った縞パンを押しつけるような形でまたがるメイド服姿の朱がさした頬、艶のある声をだすノーヴェの動画をにっこりとしながら見せるクイント、プレシアの周りの空気がギスギスしたものにかわっていく、互いに笑顔を浮かべながら

 

 

「「ふふふふふふ…………」」

 

と笑う姿に鳥肌が立つタカヤ…そんな中で三人はそれぞれGPベースをセット、ガンプラを静かにおく…

 

 

《Press set your GP-Base…Press set your GUNPLA》

 

三人のガンプラの瞳に光が宿り命が吹き込まれた

 

 

(………お母さん、ボク必ず勝つよ。んでタカタカとペアになってカレトヴルッフを手に入れて…お母さんが書いた《タカヤくんを確実に落とす言霊》《レヴィならできる初めてレクチャー初級編》のとおりの《きせいじじつ》を作るんだ…お母さん、頑張るからね)

 

 

 

(タカヤ、あたしは別にペアになりたい訳じゃないし……でも、なんかミカヤとテスタロッサが仲良くしてるとムカムカするし……はっ!違うコレはカレトヴルッフを手にいれるだめだからな!タカヤとペアになるためじゃねぇんだからな!)

 

 

(二人には悪いが、この勝負勝たせてもらう。少年…タッくんとペアになってカレトヴルッフを手にしてみせるのは私だ……そして昔みたいにタッくんをハグハグして、一緒に湯殿で湯浴みして床を並べ閨を………ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア……いかん、勝負に集中せねば…‥耐えてこそ得る至高の輝きを)

 

 

《Beginning[Plavesky.Particle]dispersal.field5,city》

 

 プラフスキー粒子の散布と共にフィールドが生まれる。ステージはコロニーが突き刺さった荒廃した大地…機動戦士ガンダム0083-stardustmemorys-の演習に使われていた場所…

 

 

《Battle・Start》

 

 

「レヴィ・テスタロッサ!デスサイズ・スラッシュ…」

 

 

「天瞳ミカヤ、ツクヨミ・斬…いざ尋常に」

 

 

「ノーヴェ・中島、ノーヴェルガンダム・A!」

 

 

「「「いくよ!/参る!/いくぞ!」」」

 

 

三体のガンプラ…デスサイズスラッシュ、ノーヴェルガンダムA、ツクヨミ斬は弾かれたように空を駆けコロニーが突き刺さった荒廃した大地へ着地する。荒れ果て瓦礫だらけの大地を先に着地したノーヴェルガンダムAは滑るように駆け抜けていく。足底にクローラが設けられ地上での走破性は目を見張るものがある。さらに腰アーマから左右にスカートのように広がったアーマ内部にはスラスターが内蔵され急な方向転回も可能だった

 

 

「さて、テスタロッサの戦いはあたしやミカヤと同じインファイター。間違いなく真っ向から来るのは…」

 

 

「見つけたよノンノン!」

 

 

「つ!?」

 

 

接近警報が鳴る前に避ける、その脇を蒼いビームの鎌が通り過ぎた。体制を整えみると大鎌を構えたテスタロッサのデスサイズスラッシュ。よく見ると手足のパーツが変わってるのがわかる

 

 

「よくかわしたね!でも次は必ず当てるよノンノン!」

 

 

「こらっ!勝手にあたしの名前を略すんじゃねぇ!!オラアアア!ガンナックル!!」

 

 

構えた拳…腕部アーマが開きカートリッジが飛ぶと同時に加速、防御しようと構えた鎌もろとも殴り抜く。あまりの威力に鎌がギシギシきしみ踏みとどまれず吹き飛んだかのように見えた…いや、後ろにバックステップして威力を相殺した事に気づきさらに追撃しようとした瞬間、冷たい何かを感じ飛び退く

 

 

「さすがだねノーヴェ。今のをかわすなんてね……」

 

 

「ミカヤ……前よりも容赦なくなってんな」

 

 

黒地に金の塗装、さらに鎧武者を思わせる装甲を追加したスサノオベースの改造機…ミカヤの愛機《ツクヨミ斬》が静かに日本刀《睛嵐》を鞘走ら立つ姿にスフィアを握る手に汗が滲むノーヴェに対して余裕を見せ立つミカヤ

 

 

 

「当たり前だ……カレトヴルッフと少年を手にいれるため手加減はしないよ。悪いけどコレだけは……親友でも譲れないよ」

 

 

 

「そうだったな。昔から、最初にガンプラバトルをやった時から変わってねえな……あいにくアタシもまけるわけいかねぇんだよ」

 

 

 

「こら~ミカヤン、ノンノン!ボクを無視するな!タカタカはボクのペアになるんだい!!」

 

 

 

三体のガンプラが睨み合い、その背後にゴゴゴゴゴゴッ!と何かが見えたのをタカヤは感じ身震いする。そんな三人の戦いを

 

 

「さあ、もりあがってまいりました!ツンデレちゃんの新ガンプラも興味深い!でも、誰がタカヤくんのペアになるかますます目がはなせなくなって来た(・∀・)!それにミカヤちゃんもレヴィちゃんもやる気まんまんだから勝敗は誰の手に!?」

 

 

「だから、悪のりするなったら……」

 

 

 

 

ノリノリで実況するミツキにため息をつくユウ…そしてタカヤは三人のバトルに魅入っていた…

 

 

 

(スゴイ、本気のミカヤ先輩…それにノーヴェさんの新ガンプラも格闘戦…いや何か隠し玉がある。テスタロッサさんのスラッシュもあれから手が加えられてるみたい………スゴいや皆!スゴすぎるよ)

 

 

 

目をキラキラ輝かせていた…この地域の実力者の本気のバトルに純粋に感動を覚えていた。自分がペアという景品にされているのに関わらず。ミカヤの鋭い斬撃が踏み込みと同時に放たれノーヴェルガンダムA、デスサイズスラッシュは距離を取る…

 

 

「距離を取るか……いい判断だ」

 

 

「まあな、何度やり合ったか覚えてるだろ?」

 

 

「49勝49敗1引き分け……最初はノーヴェは負けばかりだったね…今度は勝たせて貰おうか」

 

 

「まった、まったああ!勝つのはこのボクだよミカヤン、ノンノン!!」

 

 

「だ、か、ら、その名前でよぶんじゃねぇ!!」

 

 

「へへん。鬼さんこちら。ボクのスピードにはかなわないよ!タカタカが一緒に直してくれたデスサイズスラッシュには当たるもんか」

 

 

華麗にかわしていくデスサイズスラッシュを操るレヴィ…しかしツクヨミ斬が動きを見せた。睛嵐を鞘走らせながら納めと静かにつぶやいた

 

 

「……見切った…天瞳流・天月《霞》」

 

 

「うわっ!あふないあぶない。や、やったなあああ」

 

 

間合いを詰めての居合い一閃…プラフスキー粒子変容塗料が何層も重ねられ研ぎ抜かれた刃がデスサイズスラッシュの胴体を切り払うも紙一重でかわしたレヴィ…三人の戦いが白熱化しコロニーの壁面を駆け抜けた瞬間、外壁が切り裂かれ大穴が穿たれ、ガラガラと崩れ落ちていく

 

 

「な、なあ、姉貴。あれかなり強化してるはずだよな?」

 

 

 

「あっれぇ~おかしいな~コロニーが砕けるなんて~」

 

 

終末戦争クラスの戦いに耐えうるよう強化したコロニーが崩れていく…剣閃がきらめき、殴り抜く破壊音が辺りを支配する。しかしバトルシステムに新たな参加者を示すアイコンが浮かぶ。それを見たミツキの表情は悪戯がようやく成功した子供のように笑顔になっている。

 

 

「ふふふ、ようやく来たわね…ユウ、これからが本番よ」

 

 

「本番って?…………ま、まさか来たのかよ」

 

 

「そのま・さ・か♪」

 

 

パアッと笑顔を見せるミツキの目には光輝く翼を広げた黒いアストレイ?が三人が戦うコロニーに凄まじいスピードで接近するやいなや、シュベルトゲベールを構えカートリッジを二回排狹、勢いよく外壁に叩きつけるよう切り払うと外壁が砕け四散、ツクヨミ斬、デスサイズスラッシュ、ノーヴェルガンダムAは為す術もなく吹き飛ばされ地面へ落ちた。

 

 

 

「な、なんだ今のガンプラは?」

 

 

 

「ボクよりもすごく早いし、パワーがダンチだよ!……あれ?ミカヤンどうしたの?」

 

 

 

「う、うそだ。あの機体は……」

 

 

ふらふら立ち上がるツクヨミ斬、デスサイズスラッシュ、ノーヴェルガンダムAの前に翼を閉じた黒いアストレイ?がコロニー外壁に降り立つ。右腕に大型クローシールド、左手に巨大なシュベルトゲベールを構えた姿から今まで感じた事の無い覇気に全員が震える。しかしミカヤは知っているようだ

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

(………第二回ガンプラバトル世界大会で悪魔のように強く大胆な戦法、対峙した相手を斬り伏せる姿に《黒い悪魔》と呼ばれた……黒いアストレイ《エクシェス》?まさか……メイ叔母様がもう日本に帰ってきたのか)

 

 

ミカヤの心の叫びが響く中、四人目のファイターがいるブースには桜色の和服に、黒く艶やかな髪を下ろした女性がスフィアを握り、その瞳がとらえるのはレヴィ、ミカヤ、ノーヴェ。静かにまるで囁くように声を漏らした

 

 

「…………見極めさせて貰うわ。あなた達が………私の大事な、大事な、大事な、大事な、世界で一番可愛いタカヤのペアに相応しいかをこのガンプラバトルで………」

 

 

スフィアを握る女性《秋月メイ》がすうっと品定めするよう目を細めると黒いアストレイの双眸が輝き、自由落下しながら翼を展開、三人にシュベルトゲベールの刃を向け加速し迫った

 

 

 

第六話 タカヤのペアは?(前編)

 

 

 

後編に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ついに始まったタカヤとペアを組むための権利を得るガンプラバトル!


しかし突如現れた黒いアストレイ《エクシェス》の圧倒的な力の前にレヴィ、ミカヤ、ノーヴェは危機に陥るのです


果たして三人は、この強敵に勝ちタカヤのペア権利を勝ち取ることが出来るのでしょうか?


次回、ガンダムビルドファイターズー刃ー!


第六話 タカヤのペアは?(後編)にガンプラバトル!レディィゴオッ!!



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