ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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弟子入りして一月、僕はマスタージャパン先生のお住まいで日夜ビルダー、ファイターとしての修行に精進していた

「タカヤよ、ガンプラ道とはなんぞや!」

「茨の道です!」

「うむ、ビルダー、ファイターの道もまた同じよ。だが2つの道を極めるは茨の道よりも過酷であると胸に刻むのだ。今日は己の魂を表したガンプラを作ってみよ!己の心の形を表せ!」


「は、はい!」

無数に並んだガンプラの箱を前にした僕はある箱を手に取る…ガンダムアストレイ

王道でない。そう意味があるガンプラを手に僕は説明書を熟読しパーツの有無を確認しニッパーで切り離し始めた

 







第二話 強化(後編)

「ク!」

 

「中島さん!」

 

 

高台からジャンプ、高速で滑空するウイングガンダムフェニーチェ。構えたバスターライフルカスタムの砲口から放たれた極太のビーム射撃射線状にトリケロス改を投げ防ぐも爆発、爆炎に紛れ離れる二体のガンプラ…天ミナ、Oガンダム・Bの装甲表面を明るく染め背後にある街を凪払う

 

 

「さ、さすが世界大会常連の実力って奴か……手強いなタカヤ」

 

 

「はい、それにバスターライフルの威力がハンパないです。もし直撃したら…」

 

 

「…ただじゃすまないな、ならやることは一つだ、今二発撃ったから残りはあと一発、なんとか撃たせて防ぐか、かわして接近戦に持ち込めば勝てるはずだ……問題はどう撃たせるかなんだよな」

 

 

「中島さん、僕に一つ任せて貰えますか」

 

 

タカヤの提案に耳を傾け数秒話し込みうなずくと、砂漠の廃墟から二人は外へと飛び出し真っ直ぐ、ウイングガンダムフェニーチェがいる方向へ飛翔する

 

 

「へぇ、突っ込んできたか…だが手加減なしで行かせてもらうぜ!」

 

足場にした給水塔を蹴り、太陽を背にしバスターライフルカスタムを構え、接近する二機へと狙いを定め引き金を引き絞る…凄まじいエネルギーの奔流、極太のビームがOガンダム・B、ゴールドフレーム天を飲み込み勝負は決したかに見えたリカルド・フェリーニの表情が驚きの色に染まる

 

「な、なに!」

 

「はあああああ!」

 

極太のビームの奔流が何かに切り裂かれてる。みるとアストレイゴールドフレーム天、背中にあるマガノイクタチが天の両腕に装着し見えない力場で切り裂いている姿

 

(あ、あいつ、マガノイクタチにプラフスキー粒子を定着させてビームを斬っているだと!?まさかプラフスキー粒子の特性を理解しているのか?)

 

「あ、あと少しだけ持ちこたえて、マガノイクタチの大太刀!」

 

 

少し前……

 

 

「中島さん、この天には巨大剣が装備されてますよね?」

 

「あ、ああ、姉貴…ギンガ姉が作ったんだよ。マガノイクタチの大太刀って言うんだけどさ。斬りつけると同時にエネルギーを奪い自らモノにして、粒子ビームを切り裂くって……まさか!おまえ!?」

 

 

「はい、僕がバスターライフルの砲撃を受け止めます。最大出力で砲撃中は少しだけ動きを止めるはずです…」

 

 

「バカッ!んなの認められるか!いいか、あたしは勝つために仲間は絶対に見捨てねぇ…だから、このガンプラバトル二人で一緒に勝つぞ!いいな!!」

 

「でも二人でって…」

 

「い・い・か・ら・わ・か・っ・た・な!」

 

 

「……は、はい」

 

気迫に負け、最初に提案したプランにある追加をして二人は作戦を実行した。マガノイクタチの大剣を構えビームを切り裂く天の背後でOガンダム・Bは脚のタービンを高速回転、周囲にプラフスキー粒子が収束し、ビームの奔流が途絶えた瞬間、二機が動く

 

 

「オラアアア!」

 

砂漠を滑るように加速、ウイングガンダムフェニーチェに迫るOガンダム・Bの蹴りがバスターライフルカスタムを持つ手を蹴り上げ、宙を舞う

 

 

(もらった!)

 

「やるな嬢ちゃん!だがまだまだ甘いぜ!」

 

 

左腕にマウンドされたビームレイピアを手に華麗な剣舞のように切り払い、同時に回し蹴りを胴体へ決める。たまらず吹き飛ぶOガンダム・B、だが黒い影が受け止める

 

 

「ノーヴェさん、しっかり」

 

「あ、ああ、サンキュ……っておまえ!」

 

 

立ち上がろうとしたノーヴェの目には左に装備したマガノイクタチの大太刀が半ばから折れ、ヒザアーマー、各部装甲に罅が所々見え痛々しい姿の天に声を失う。いくらマガノ大太刀の表面に展開したプラフスキー粒子でも完全に防ぎきれなかったのがわかる

 

「………すいません。少し無茶をしすぎました…大丈夫ですか?」

 

「……このバカ………あたしなんか庇うな!お前のガンプラの方がボロボロじゃないかよ!」

 

 

「……そうですね。すいません、天をこんなにボロボロにしてしまって……必ず直します。でも今は、勝ちに行きましょう」

 

 

「あ、ああ……行くぞ!」

 

 

真剣な眼差しを向けるタカヤの顔を見てドキッとするノーヴェ、それを振り払うようにスフィアを握る手に力がこもり、素早くガンプラを操作する二人…対するフェニーチェはバスターライフルカスタムを一瞥し、ビームレイピアを構える

 

(…プラフスキー粒子の特性を理解しとっさに応用する才能、それに二人とも荒削りだがファイターの実力は未知数…ラルさんの言った通り今年の世界大会は油断できないな、レイジやセイと同じ《ニュージェネレーション》って奴か)

 

スフィアを握りながら二人の攻撃をかわしながらレイピアで確実にダメージを与えるも、タカヤのマガノ大太刀に防がれ、ノーヴェのリボルバースパイクが襲いかかる

 

「さすがだなマスターの弟子にお嬢さん!だがなオレは負けるつもりはないからな!!」

 

 

「うわっ!」

 

「ノーヴェさん!」

 

「あたしはいいから!目の前の相手に集中しろ!!」

 

 

フェニーチェのレイピアがリボルバースパイクの間隙を縫い足を切り払う。タービンがバラバラに片足立ちの状態から殴りかかる。が返す刃が残る片足を斬りつけ戦闘不能になり、タカヤとフェリーニ。ウイングガンダムフェニーチェとゴールドフレーム天との一騎打ちになる

 

「(つ、強い………コレが世界の実力…先生がいる世界の強さ………)……天、もう少しだけ頑張って」

 

 

「…ふ、そろそろ決めるか……」

 

 

その言葉を皮きりに、瞬く間に間合いを積め斬り合う二体。マガノ大太刀とビームレイピアが交差する度に火花が散り、あたりに風が巻き起こる…無傷のフェニーチェに対して繰り出される斬撃を折れたマガノ大太刀で防ぐ満身創痍の天に限界が見え始める

 

しかしスフィアを握るタカヤの意識はこれ以上にない集中をみせながらガンプラの状態とスロットパネルを確認する…

 

(各関節に負荷がかかっている、武装はマガノ大太刀一本だけ…そんなに長くは持たない。でも、負けたくない!)

 

とっぜんバックステップと同時になにを思ったのか折れたマガノ大太刀を砂漠に深々と突き刺す。そのまま跳躍と共に刃の部分を足場に力を込め蹴った

 

 

「思いっきりがいいな!なら勝負だ秋月タカヤ!!」

 

フェリーニも叫ぶと、フェニーチェの双眸か輝く。レイピアを構えフルブースト、マガノ大太刀を槍のように突き出し迫るタカヤ…ゴールドフレーム天とぶつかり合う瞬間、天が身体をひねり出し回転プラフスキー粒子が渦を巻きおこしながら迫る

 

「……一度も成功したこと無いけどやるしかない……《疾風怒涛の刃!》」

 

「な、なに!」

 

 

渦巻いたプラフスキー粒子が刃を形成する…疾風怒涛の刃、タカヤが師であるマスタージャパンの技を参考に編み出した必殺技…しかしプラフスキー粒子を制御、刃にかえ相手を斬り伏せる大技だが、まだまだまだ自在に操れない

 

 

(あいつ、あんな技を隠してたのか?でも天が持ちこたえられない!)

 

勝利の為に今まで以上、嘗て無いほどの集中力でウイングガンダムフェニーチェに刃を向け互いに交差、凄まじい閃光が照らし、やがて晴れると降り立つ

二体に真剣なまなざしをで見守るノーヴェの前で天のボディが火花を散らし地面へと沈んだ

 

 

 

《BATTLE END》

 

 

ガンプラバトル終了を知らせる音声がなりフィールドからプラフスキー粒子が消え、その場にはダメージを受けたOガンダム・B、ゴールドフレーム天の姿

 

だがウイングガンダムフェニーチェ、ファイター《リカルド・フェリーニ》の姿はドコにもなく、変わりに誰かが店を出たと知らせるチャイムだけが響いた

 

 

★★★★★★★★

 

 

夜の街の鮮やかな光が交錯する中、小さなバー《アクシズ》。カウンターでグラスを傾け飲むフェリーニの姿…バーの扉が開かれると同時に声をかけられた

 

 

「フェリーニ、どうだったか?」

 

「ラル大尉!いつ此処に?」

 

「ワシは、たまたま近くに用事があったから……マスター、バーボンを一つ」

 

しばらくしてグラスが出され軽く飲むラル…フェリーニは同じモノを再び頼み。出されたグラスを飲む

 

「……ラル大尉、マスターはとんでもない弟子を育てあげているみたいですよ…」

 

 

「そうか。しかし、あのマスタージャパンが弟子を取るとは思ってもなかった。確か名前は秋月タカヤくんだったな……手合わせしてどうだったか?」

 

「あいつ、タカヤは戦えば戦うほど強くなる、それに今日は借り物のガンプラでバトルしたにも関わらず、機体特性を把握して食いついてきた……ビルダー、ファイターとしてまだまだ伸びますよ」

 

区切りをつけるようにグラスを飲み干すフェリーニ

 

「ふふふ、君にそこまで言わせるとはな。セイくん、レイジくんにもあわせてみたいモノだな…」

 

「ところで大尉は何でココへ?」

 

 

「……ああ、マスターに頼まれていたモノをサエグサ模型店に渡しにな……」

 

傾けたグラスの氷がカランと乾いた音を立てた

 

 

★★★★★★★★★

 

 

「タカヤ、ピンバイス貸してくれ。径は2・4で」

 

「はい、あの…中島さん、すいません」

 

「何だよ?」

 

 

「……天をこんなにボロボロにしてしまって」

 

 

「んなの気にするな。それより手を動かせ。姉貴が見たら卒倒するぞ?」

 

「……はい、中島さ…「ノーヴェでいい」エ?」

 

ヤスリをかける手を止めるタカヤ、それに対してノーヴェはそっぽを向き器用にOガンダムBの破損個所を修復している…だが顔が紅いのは気のせいだろうか?

 

「…バトル中、あたしの名前を呼んだだろ……それにウチの姉貴も同じ名字だからややこしいし」

 

「で、でも僕の2つ上ですから…ダメですよ」

 

「あたしもタカヤって呼んてるからお互い様だろ?」

 

「それとコレは違うんじゃ……中島さ……「ノーヴェ」……え、あの……………ノーヴェ……さん」

 

困惑しながら小さく名前をつぶやくタカヤの声を聞き、ピンッとくせ毛が立つ……何故か作業スピードが速くなったのは気のせいだろう

 

そんな二人のやりとりを覗く6つの影

 

(あらあら、ノーヴェが下の名前で呼ぶのを許すなんて珍しいわね~)

 

(そうだね、お母さん…でも私の天が~ボロボロ……)

 

(泣くなギンガ、あのタカヤ少年のビルダーテクニックは我々以上。だから完璧に直してくれるかもしれないぞ?)

 

(それに今時いない、子犬系素直っ子ッスね…、タカヤんみたいな弟が欲しいッスね~ディエチもそう思うッスよね)」

 

(そうねウェンディ、スバルはどう思う?)

 

(うん、面白い子だね。それに……いい感じじゃない?)

 

 

「あ!待て!スジ彫りを何で深くするんだ?」

 

「サフを吹くとせっかくのスジ掘りが埋まるから、深めに彫った方が良いんです…これでよし」

 

 

「おお~すごいなタカヤ」

 

スジ彫りを深くしたパーツをサッとサフ吹く…モールドは消えずしっかりと残るのを見て感嘆の吐息を漏らすノーヴェ…その瞳にはタカヤのガンプラに対する真摯な眼差しを見て胸の奥が熱くなる

 

「あの、ノーヴェさん?顔が真っ赤ですけどどこか具合が悪いんですか?」

 

「え?うわあああ!?」

 

タカヤに声をかけられ慌てるノーヴェ、そのとき椅子がバランスを崩しそのまま倒れそうになるのを見て、手を掴むも、そのままもつれるように床に倒れ塗料瓶や筆があたりに散乱する

 

 

「タタタ…アレ?痛くな……ンンッ!?」

 

体を起こしたノーヴェが思わず熱さが籠もった声を漏らす。みると自分の下にはタカヤの姿、だが頭がスカートの中にすっぽり入り、鼻と口をふさがれたタカヤの目には水縞が映り、女の子特有の甘い香りと柔らかな感覚………そして何かがツウゥと頬を伝った

 

「………………ぶ、ぷはああああああああああああああああ!」

 

勢いよく鼻血が吹き出し、スカートとショーツ、床を赤く染め上げていく。

 

「た、タカヤ!しっかりしろ!タカヤ!!」

 

「んきゅ~(鼻血が止まらない………誰か助けて…)」

 

 

血で汚れるのも気にとめず抱きかかえ呼びかけるノーヴェの声を最後に止め止めなく鼻血をだしながらタカヤは意識を手放した

 

 

第二話 強化(後編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




世界ランカー《リカルド・フェリーニ》とのバトルで何かをつかんだタカヤ…訪れたサエグサ模型店で元気いっぱいの少女と出会う。

その頃、Stヒルデ学院ガンプラ部のトオル・フローリアンはゲームセンター内のバトルルームで全戦全勝を続ける少女に興味を持ちガンプラバトルを申し込む



第三話 星光と雷刃


この出会いは必然か?

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