ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~ 作:夜叉猫
度々更新が遅くなってしまって本当に申し訳ありません……( ´・ω・`)
3年生の忙しさを侮っていました……(苦笑)
何はともあれ!
本編の方を早速どうぞ♪(*´ω`*)
Side 士織
俺たちの乗る列車は何事もなく進んでいく。
窓の外には紫色の空が広がり、広大な土地が広がっていた。
しばらく前に次元の壁を突破するというアナウンスも入り、一誠たちは興味深そうに窓の外へ視線を向けている。
『―――――間もなくグレモリー本邸前。間もなくグレモリー本邸前。
皆さま、長時間のご乗車お疲れ様でした』
「着いたか……」
俺はアナウンスを聞き終えると背伸びをする。
列車はほとんど揺れを感じさせないほどに停止し、俺たちは降車しようと立ち上がった。
「あれ?先生は降りないんですか?」
一誠が未だに座ったままのアザゼルに向けて言う。
「あぁ、俺はこのままグレモリー領を抜けて、魔王領の方への行く予定だ。
サーゼクスたちと会談があるからな。
……所謂『お呼ばれ』だ。
終わったら俺もグレモリーの本邸に向かうから先に行って挨拶でも済ませてこい」
アザゼルは手を振ってそう説明すると席に座り直し、欠伸を噛み殺していた。
「俺も行くべきか?」
「いや、士織もあいつらと一緒に行ってこい。
何、まだ面倒なことはしなくていいんだよ」
からからと笑うアザゼルは俺を急かすように手を振る。
「……そうか。
じゃぁ、また後で」
それだけ言い残すと改めてアザゼルを除いたメンバーで駅のホームに降りた。
―――――瞬間。
『リアスお嬢さま、おかえりなさいませっ!!』
怒号のような声、そして花火の音、銃の空砲、楽隊の音楽といった様々な音が響く。
突然のことに一誠たちは顔を引き攣らせている。祐奈たちにとってはなれたことのようだが、初見の者にとっては驚くしかない状況だ。
「ヒィィィィ……。
ひ、人が、いっぱいぃ……」
ギャスパーは瞳に涙を溜めて一誠の腕にしがみついていた。
『リアスお嬢さま、おかえりなさいませ』
執事、メイドといった人たちが改めてリアス先輩に向けて頭を下げている。
「ありがとう、皆。
ただいま。今帰ってきたわ」
満面の笑みを浮かべて、リアス先輩は言う。
そこへ見知った顔の女性―――――銀髪のメイド、グレイフィアが1歩出てきた。
「お嬢さま、おかえりなさいませ。お早いお着きでしたね。道中ご無事で何よりです。
そして、兵藤士織さま、ようこそおいでくださりました。長旅ご苦労さまです。
さぁ、皆さま馬車へお乗りください。
本邸までコレで移動しますので」
グレイフィアに誘導されて、豪華絢爛そうな馬車のもとへと向かう。
「私は眷族たちと行くわ。
イッセーやアーシアは初めてで不安そうだから」
「わかりました。
何台かご用意いたしましたので、皆さまもご自由にお乗りください」
俺たちはその言葉に頷くと軽く話し合いをして馬車に乗り込んで行く。
俺が乗った馬車にはオーフィス、綯奈、美憧、祐奈が同乗していた。
全員が乗り込むと、馬車は蹄の音を鳴らしながら進み出す。
外の風景をちらりと見ると、舗装された道と綺麗に剪定された木々。
なんとなしに道の先を見れば、巨大な建造物が視界に飛び込んできた。
「……うわ……でか……」
「あぁ、あれは部長のお家のひとつだよ士織くん」
「ひとつってことはまだ他にも?」
「えっと……まぁね?」
苦笑混じりの表情で祐奈が答える。
「流石だな……」
魔王を排出した家ともなるとそれ相応の位にいるのだろう。
ふと、外を見れば美しい花々が咲き誇り、見事な造形の噴水、その周りを色彩様々な鳥が飛び回っていた。
「……着いたみたいだな」
馬車の揺れも止まり、ドアも開かれる。
執事らしき者が俺たちに会釈すると外へと促していた。
俺たちはそれに従い馬車から降りていく。
両脇にメイドと執事が整列しており、道を作っていた。赤いカーペットが巨大な建造物の方へと伸びており、城門が鈍い音をたてて開かれていく。
なんとも盛大な出迎えだ……。
「お嬢さま、眷族の皆さま、兵藤士織さま、そしてお連れの皆さま。
どうぞ、お進みくださいませ」
グレイフィアが会釈して、俺たちを促してくれる。
「さぁ、行くわよ」
リアス先輩がカーペットの上を歩きだそうとしたその時だった。
綺麗に整列したメイドの列から小さな人影が飛び出し、リアス先輩に抱きついたのだ。
「リアスお姉さま!おかえりなさい!」
揺れるのはサーゼクスを彷彿とさせる紅髪。まだ幼い少年だった。
「―――――ミリキャス!ただいま。
大きくなったわね」
リアス先輩もその少年を愛おしそうに抱きしめていた。
何処と無く、リアス先輩にサーゼクスと似た気配を感じる。
「えっと……リアス部長。
この子は一体……?」
一誠は目を丸くしながらその様子を眺め、口を開いた。
「この子はミリキャス。ミリキャス・グレモリー。
お兄さま―――――サーゼクス・ルシファーさまの子供なの。
つまり……私の甥ということになるわね」
その説明に俺は納得する。
あの紅髪はサーゼクス譲りということだろう。
「ほら、ミリキャス。挨拶をして?
この子は私の新しい眷族なの。
それにまだあなたを知らない子たちがいるわ」
「はい。
ミリキャス・グレモリーです。初めまして」
丁寧な物言い、緊張もしていないところを見るとこれくらいの場面は慣れているのだろう。
「どうも初めまして。
リアス・グレモリーさまの眷族、【
会釈を返した一誠は少年―――――ミリキャスに人懐っこい笑みを向けた。
「魔王の名は継承した本人のみしか名乗れないから、この子はお兄さまの子でも『グレモリー』なの。
私の次の当主候補でもあるのよ?」
ミリキャスの頭を優しく撫でながらリアス先輩は言う。
「さぁ、屋敷へ入りましょう?」
リアス先輩はミリキャスと手を繋いで門の方へ進み出す。俺たちもそれについて行くように歩みだした。
巨大な城門を潜り、中を進む。城門の奥にはまだいくつかの門があり、次々と開門されて行き、そこを潜っていく。
ついに玄関のホールらしきところへ辿り着いた。
玄関のホールにしては広く、そこは舞踏会でも開かれるのではないかと言わんばかりの絢爛さである。
「お嬢さま、早速皆さまをお部屋へお通ししたいと思うのですが」
グレイフィアが手を上げると、俺たち1人につき1人のメイドが傍にやって来る。
……俺の所だけ3人いるのはどういうことだろうか?
「そうね、私もお父さまとお母さまに帰国の挨拶をしないといけないし」
「旦那さまは現在外出中です。
夕刻までお戻りにならないと聞いております。
夕餉の席で皆さまと会食をしながら、お顔合わせされたいとおっしゃっておりました」
「そう、わかったわ、グレイフィア。
それじゃぁ、皆にはそれぞれ自分の部屋で休んでもらおうかしら。
荷物は既に運んでいるわね?」
「はい。
お部屋の方は今すぐにでもお使いになれるよう準備しております」
グレイフィアの言葉に俺の周りにいた美憧や綯奈などからは息を吐くのがわかった。
どうやらここまでの道のりに緊張して疲れていたようだ。
見れば一誠の近くでもギャスパーやアーシアが疲れているようだ。
「―――――あら、リアス。帰ってきてたのね」
その時、2階の方から女性の声が聞こえてくる。
前方の階段から下りてきたのはドレスを身に纏った女性、と言うよりは少女。
リアス先輩よりも少し歳が上だろうという見た目であった。
―――――亜麻色の髪に少々目つきがキツめの女性。
それは何処かで見覚えのある姿。
「お母さま。ただ今帰りました」
そう、以前嫁自慢という話の時に見えた、グレモリー卿の嫁―――――つまりリアス先輩のお母さんである。確か名前をヴェネラナ・グレモリーだったはずだ。
「お母さん……家の母さんとどっこいどっこいだな……。
まるでリアス部長のお姉さんみたいだ……」
「あら、そんなに若く見えるかしら?
嬉しいことをおっしゃいますのね」
一誠の呟きにヴェネラナ・グレモリーは頬に手をやり微笑む。
「悪魔は歳を経れば魔力で見た目を自由に出来るのよ。
お母さまはいつも今の私くらいの年格好な姿で過ごされているの」
「便利なんですね……」
一誠は顎に手を当てて呟いた。
確かにその一言につきるだろう。
ヴェネラナ・グレモリーはクスクスと小さく笑うと、こちらを見据えて口を開く。
「初めまして、私はリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーですわ。
皆さん此処を我が家だと思ってゆったりしていってくださいまし?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
―――――玄関ホールから各々の部屋へ向かって数時間。
現在俺たちはダイニングルームにて、夕食の席についていた。
席についているのは今回、冥界に来たメンバー全員と、リアス先輩の母親であるヴェネラナ・グレモリー、父親であるグレモリー卿―――――ジオティクス・グレモリー、そしてミリキャスである。
「遠慮せずに楽しんでくれたまえ」
どう考えても普通なら食べ切ることは不可能な程の料理が長大なテーブルに並べられ、ジオティクス・グレモリーの言葉で会食が始まった。
こういう場の食べ方は本の知識でしか持っていないが、一応様にはなっているはず。
俺が教えた一誠もなんだかんだ綺麗に食べれているのだから。
―――――ふと、視線を対面の席に向けてみると、表情を曇らせた小猫の姿があった。
料理にも全く手をつけず、様子がおかしい。
小猫と目が合ったため、少し微笑んでみるが―――――無表情のまま視線を外されてしまう。
「うむ。
本日遠方から足を運んでくれた諸君、此処を我が家と思ってくれるといい。
冥界に来たばかりで勝手がわからないだろう。
欲しい物があったら、遠慮なくメイドや執事に言ってくれたまえ。直ぐに用意させよう」
朗らかに言うジオティクス・グレモリー。
「ところで兵藤一誠くん」
「はい?なんでしょうか?」
ジオティクス・グレモリーは一誠に顔を向けると口を開く。
「ご両親はお変わりないかな?」
「えぇ。
2人とも元気すぎるほどですよ。
リアス部長の故郷に行ってくると言ったらお土産を期待するほどに。
あんなに家を立派な物にしていただいた上でそんなことを言うとはどうもわがままな親で……」
一誠は冗談も交えつつ、当たり障りのない会話をしていた。
「ふむ、お土産か……なるほど」
ジオティクス・グレモリーは手元にある鈴を1度軽く鳴らす。
すると直ぐに執事らしき人が傍に寄っていく。
何かお土産に料理でも持たせるつもりなのだろうか?
「旦那さま、御用でしょうか?」
「―――――うむ。
兵藤さん御夫婦宛に城をひとつ用意しろ」
訂正しよう。
―――――スケールが違いすぎる。
俺はジオティクス・グレモリーの言葉に唖然とした表情を浮かべてしまう。
見れば、一誠も目を点にしていた。
「はっ。
西洋式でしょうか?それとも和式でしょうか?」
「悩むところだな……。
いっそのこと両方でも良いのでは……」
「ちょ、ちょっと待ってください!
それはいくら何でもお土産の中に入らないかと思うんですが……」
一誠は焦り気味の態度でそういう。
確かにそれも仕方が無い会話だったと思うが。
「あなた、日本は領土が狭いのですから、城なんてものを渡しても困ってしまわれますわ」
「なんと。確かにそうだったな。
ふーむ……城が駄目ならば何が良いのだろうか……」
「お父さま。
あまりそういう気遣いは逆にあちらへ迷惑をかけますわ。
イッセーと士織のご両親は物欲の強い方ではありませんし」
リアス先輩のフォローも入り、お土産が城になることはほとんどなくなっただろう。
ジオティクス・グレモリーは「なるほど」と深く頷いていた。
「―――――兵藤士織くん」
お土産の話も終わり、ゆっくりと食事を進めていると、今度は俺に向かってジオティクス・グレモリーは口を開いた。
「何か?」
「いや何、ちょっとした質問をね……」
真剣な表情を浮かべたジオティクス・グレモリー。
この場で話すべき重要な話かと意識をそちらへと移す。
「―――――リアスとライザーくんの関係に進展はないか知らないかね?」
「……は……?」
一瞬、何を言われたのかがわからなかった。
「リアスは話したがらなくてね。
それならば近しい者に話を聞くのが良いと思って聞かせてもらったんだ」
「あら、それは私も気になるわ。
士織くん……だったわね?
私にも聞かせてちょうだい?」
気がつけばヴェネラナ・グレモリーもこちらを見ていて、興味深そうな表情を浮かべていた。
「お父さま!お母さま!
そ、そんな話を聞かないでくださいっ!」
顔を真っ赤に染めて、リアス先輩が立ち上がる。
「あら、少しくらいいいじゃないの。
あなたが話してくれないから私もジオも気になっているのよ?」
「む、娘の恋路に興味津々にならないでください!」
「娘の恋路だから気になるのよ?」
クスクスと笑うヴェネラナ・グレモリー。ジオティクス・グレモリーもその様子を微笑ましそうに見ていた。
「それで、どうなのかしら?士織くん」
「あ〜……リアス先輩が話してくれないならライザーに直接聞いてみたらどうです?」
「まぁ!それはいい考えね。
2人っきりでオハナシしましょう」
口に手を当てて今気がついたというような反応を見せるヴェネラナ・グレモリー。
「だ、駄目ですからね?!お母さま!」
「あらあら?何故かしら?」
「そ、それは……」
リアス先輩はヴェネラナ・グレモリーの姿をしっかりと見直してから、頭を振った。
「と、とにかく!
ライザーと2人っきりで話すなんて駄目ですからね!」
「ふふふ……変なリアスね」
可笑しそうに笑うヴェネラナ・グレモリーだったが、その表情にはリアス先輩をからかっているような色が見えた。
―――――その後も、賑やかな食事が続いていった。
本編の方は如何でしたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです♪
さてさて、最近ではどんどん暑くなってきていますが、皆さん体調は崩していませんでしょうか?
水分補給などは大切にしましょう!(>_<)
私も部活中の水分補給は怠らないように気をつけているのですよ……。
それでは今回はここまで!
また次回お会いしましょう♪
次回はもう少し早い更新を心がけますっ!(>_<)