ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さん遅くなってしまってすみませんっ!!(>_<)
3年生の新学期の忙しさを甘く見ていました……(苦笑)

待っていてくださった皆様にはご迷惑をかけてしまったことをお詫びします……。

今後も更新が遅くなるかもしれませんが、週1更新を目処に頑張りますのでよろしくお願いしますっ!!(>_<)

それでは早速本編の方をどうぞ!


第73話

Side 士織

 

「冥界に帰る?」

 

朝食を終え、リラックスモードの俺たちにリアス先輩は言う。

場所は地下の書庫。オカルト研究部に所属するメンバー、堕天使4人娘、そしてオーフィスがその場にはいた。

 

「夏休みだし、故郷へ帰るの。

毎年のことなのよ。

突然で申し訳ないのだけれど、長期旅行の準備をしておいてちょうだいね?」

 

リアス先輩の言葉にその場の全員が頷く。

個々にしていることはあったが、その話だけは静かに聞いていたのだ。

 

 

 

 

 

「―――――俺も冥界に行くぜ」

 

『ッ!?』

 

突然響いた声に俺と、辛うじて一誠の2人以外が驚愕の表情を浮かべる。

声の発生源の方へ視線を向ければ、案の定予想通りの人物―――――アザゼルが書庫の一角から歩んで来ていた。

 

「ど、何処から、入ってきたの?」

 

リアス先輩が目をパチクリさせながらアザゼルに訊く。

 

「うん?

普通に玄関から入ってからここまで来たぜ?」

 

「……気配すら感じませんでした……」

 

背伸びの格好のまま、祐奈はそう呟く。

日頃の鍛錬により力を伸ばした祐奈ですら気づけないところを見るとやはりアザゼルも実力者なのだとわかる。

 

「そりゃまだまだ修行不足だな。

俺は気配を消すわけでもなくただ普通に来ただけだ。

それよりも冥界に帰るんだろう?

なら俺も行くぜ。

なにせ俺はお前たちの『先生』だからな」

 

アザゼルは得意気に言う。

―――――そう、アザゼルは豊富な神器の知識を使って、俺とともにオカルト研究の部員、つまりリアス先輩の眷属を鍛えているのだ。

俺と違ったアプローチをするので、いつもとは違ったきっかけを掴んだ奴も多い。

懐からメモ帳を取り出すと、おもむろに開いて読み上げ始めた。

 

「冥界でのスケジュールは……リアスの里帰りと、現当主に眷属悪魔の紹介、例の新鋭若手悪魔たちの会合にお前達の修行か。

俺は主に修行に付き合うわけだが……。

お前らがグレモリー家にいる間、俺はサーゼクスたちと会合か。……ったく、面倒くさいもんだ……」

 

嘆息するアザゼル。

果てしなく面倒くさいのが伝わってくる表情だ。

神の子を見張る者(グリゴリ)】の総督であるのにも関わらずいい加減な態度なのはどうかとは思うが……そのカリスマ性により部下からの支持は凄いのだという。

それがよくわかるのが、最近家を訪ねてくる堕天使たちだろう。

「秘書にしてください!」、「人間界にいる間、身の回りの世話を!」、「身辺警護は絶対に必要です!」。

訪れる堕天使皆がアザゼルの身を案じているようだ。

ただ、そのすべてを「いいから帰れ。命令だ」という言葉で送り返していた。

 

「ではアザゼル……先生はあちらまでは同行するのね?

行きの予約をこちらでしておいていいかしら?」

 

リアス先輩は呼びにくそうにアザゼルのことを先生と呼びそう尋ねる。

 

「あぁ。よろしく頼む。

悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだ。楽しみだぜ。

いつもは当たり前だが堕天使側のルートだからな」

 

カラカラと笑うアザゼル。

そして、思い出したかのように笑いを止めると俺の方を向いて口を開いた。

 

「士織、今回の冥界への里帰りだが、お前も来てもらうぜ?

新鋭若手悪魔の会合の時にお前を紹介するらしい。

早いとこ眷属を見つけておけよ?

レーティングゲームはお前もやらないといけないんだからな」

 

「……やっぱり俺も行かないといけないのか」

 

よりにもよって紹介されるために行かないといけないとは、つくづく気分が乗らない。

 

「しっかり準備しておけよ?

どうせお前も修行するつもりで予定なんか入れてねぇだろ?」

 

アザゼルの言葉に俺は言い返せなくなる。……図星だったからだ。

 

「んじゃぁ、いろいろ頼んどくぜ〜。

俺はこの後ちょっくら飲みに行ってくるからよ」

 

ウキウキした様子でアザゼルは言う。

朝っぱらから酒を飲みに行くダメな大人が目の前にいた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

―――――旅立ちの日。

 

 

 

俺たちがまず向かったのは最寄りの駅。

今回は堕天使4人娘、オーフィスの姿もあった。

ちなみにオーフィスだが、俺が【封印魔法】、【認識阻害魔法】を全力でかけているため彼女がオーフィスだとバレることはないだろう。

リアス先輩、朱乃先輩は迷いなく駅に設置されているエレベーターの方へ向かっていた。

少し狭いエレベーターに2人が入ると言う。

 

「じゃぁ、まずはイッセーとアーシアと士織が乗ってちょうだい。先に降りるわ」

 

「降りる……?

此処って上にしか行けなかったはずじゃ……」

 

リアス先輩の言葉に怪訝そうな表情を浮かべる一誠。

 

「良いから入ってちょうだい?」

 

苦笑混じりに手招きをするリアス先輩。

俺たちはそれに応じて素直にエレベーターに乗り込む。

 

「慣れている祐奈たちは他の皆もつれて来てちょうだいね?」

 

「わかりました部長」

 

祐奈は微笑んで答える。

それと同時にエレベーターの扉は閉まった。

階層表示はやはり【1】と【2】しかないわけだが、リアス先輩はスカートのポケットからカードらしきものを取り出し、電子パネルに向ける。

すると、ピッという何かしらの電子音が響き、カードに反応した。

 

 

 

 

 

「うぉっ?!」

 

一誠の驚いたような声。

それもそうだろう。

上にしか行かないと思っていたエレベーターが下へと降り始めたのだから。

 

「……なるほど。

所謂悪魔専用の秘密の経路があったのか」

 

「流石は士織ね……。

えぇ。その通りよ。

この駅の地下に秘密の階層があるのよ」

 

「そうなんですか?

……知らなかったなぁ……俺、この町で育ちましたけど気づきませんでした」

 

「それはそうよ。

士織の言う通り悪魔専用のルートだもの。

普通の人間は一生辿り着けないわ。

こんなふうにこの町には悪魔専用の領域が結構隠れているのよ?」

 

クスクスと笑って、リアス先輩は一誠に説明した。

今まで何故か訪れた場所で少々の違和感を感じていたのはおそらくその経路のせいだったのだろう。

 

エレベーターに乗り込み、降りていくこと一分程。ようやくエレベーターは停止した。

開かれた扉をくぐって出た俺の視界に映ったのは―――――だだっ広い人工的な空間。

何処か駅のホームをイメージさせる造りだがなどと考えながら見渡すと、案の定線路を見つける。

俺たちは少し待って全員が揃うのを待つ。

 

 

 

「―――――全員揃ったみたいね。

それじゃぁ、3番ホームまで歩くわよ」

 

リアス先輩と朱乃先輩の先導のもと、俺たちは歩き出す。

 

「……士織」

 

「ん?どうしたんだ?綯奈」

 

いつの間にか俺の隣にやってきていた綯奈。その表情は何処か真剣で、何かを言いたそうだった。

しばしの間無言だったが、綯奈は覚悟を決めたように口を開く。

 

「士織。眷属を持つんだろう?」

 

「まぁな。

サーゼクスからの依頼っつーことだし早めに眷属を作んないとなとは思ってる」

 

「ならば―――――私を眷属にしてみないか?」

 

俺の歩みが止まる。

綯奈の顔を見つめてその言葉を頭の中で反復させた。

まさか綯奈がそんなことを言うとは全く考えていなかった。

 

「……なんでだ?」

 

俺は今怪訝そうな表情を浮かべているだろう。綯奈を正面に見据えて言った。

 

「なに、深い意味は無いさ。

しいて言うのなら……士織といれば楽しそうなことがたくさんありそうな香りがする。

それに強くなれそうだ」

 

にやりと笑う綯奈の姿に俺はクスリと笑ってしまう。

―――――一変して、真面目な表情を向けた。

 

「俺の眷属になるってことは面倒ごとが増えるぞ?

面倒臭がりなお前にそれが耐えられるか?」

 

「ふん、私は実はマメだぞ?」

 

―――――綯奈は笑う。

 

「中途半端は許さない。

最低でも一誠と互角に戦える強さになってもらうぞ?」

 

「望むところだ」

 

―――――綯奈は満足気な表情を浮かべる。

 

「……後の人生を不意にするかもしれないぞ?」

 

「それこそありえないだろう?

士織ならば嫌でも愉快な事を引き連れてきそうだ」

 

―――――綯奈が微笑む。

 

俺は綯奈の即答の数々に言葉をなくす。

そして、バックを乱暴にだが漁ってひとつのモノを掴み出すと、綯奈に向けてそれを放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――【兵士(ポーン)】だ。

よろしく頼むぜ?綯奈」

 

綯奈は俺が放ったモノ―――――【兵士】の駒をキャッチすると、目を丸くしてこちらを見つめてくる。

 

「な、なんで……」

 

「なんで?

お前が俺の眷属になりたいって言ったんだろ?」

 

「そ、それはそうだが……。

……こんなに簡単に決めてしまってもいいのか……?」

 

しおらしい態度で綯奈は言う。

その姿はどうも違和感を覚える。

元は男だったくせに、最近では精神が身体に引っ張られているようだ。

 

「良いんだよ。

それに、お前にならその駒を預けても良さそうだ」

 

俺はそれだけ告げると随分と置いていかれてしまったリアス先輩たちの後を追っていった。

 

 

 

 

 

「―――――ありがとう、士織」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

リアス先輩たちに追いついた俺の前にあったのは列車らしきもの。

『らしき』と俺が言ったのは、普通にある列車よりもフォルムが独特だったからである。

鋭角で、悪魔を表す紋様がこれでもかと刻まれている。その中には、グレモリーの、そしてサーゼクスの紋様もあった。

 

「グレモリー家所有の列車よ」

 

俺の考えたことを先読みしたかのようにリアス先輩がいう。

 

「さぁ、乗りましょう?」

 

リアス先輩の言葉に合わせるかのように、列車のドアが自動で開かれた。初めに乗り込んだリアス先輩に続いて俺たちも列車の中へ足を踏み入れる。

 

 

 

―――――冥界への旅路はどうやら列車のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方は如何でしたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです♪


さてさて、今回では士織の眷属が1人増えましたねっ!(>_<)
これから眷属を選んでいくのが楽しみです♪(*´ω`*)


近々、今はシークレットな今後のご報告もあるのでお楽しみに♪


それでは今回はここまで!
また次回お会いしましょう♪

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