ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんお久しぶりなのですっ!!(>_<)
執筆に夢中になっていて投稿し忘れてました……(苦笑)



な、なにはともあれ、本編のほうをどうぞ!!


第62話

どうも、兵藤士織だ。

 

ギャスパーとの特訓が開始されて次の日の夜。

その日は一誠とギャスパーが悪魔稼業をしに行くということで少しの時間を潰して旧校舎の方へ向かうと、ギャスパーの部屋の前でおろおろしている一誠と、謝っているリアス先輩の姿が視界に入った。

 

「ギャスパー、出てきてちょうだい。

無理してイッセーに連れて行かせた私が悪かったわ……。

イッセーとならあなたも安心して仕事が出来るのではないかと思ったのだけれど……」

 

『ふぇええええぇぇぇぇええんっっ!』

 

ギャスパーの部屋からは大音量の泣き声が響く。

 

「何事だ?リアス先輩。

ギャスパーに何かあったみたいだけど」

 

「士織……。

その……仕事で停めてしまったようなのよ……」

 

「……なるほど」

 

俺はふと、リアス先輩から聞いた話を思い出した。

ギャスパーは名門の吸血鬼を父に持つが、母が人間で妾だったため、純血ではなかった。

純血主義者の多い悪魔以上に純血ではない者を軽視し、侮蔑するという吸血鬼たちは、例え親兄弟であったとしても扱い方は差別的なのだという。

ギャスパーは腹違いの兄弟たちに子供の頃からいじめられ、それから逃げるために行った人間界でもバケモノとして扱われて居場所がなかったらしい。

しかし、ギャスパーは類稀なる吸血鬼としての才能と、人間としての恩恵―――――特殊な【神器(セイクリッド・ギア)】を両方兼ね備えて生まれてきてしまったため、望まなくともその力は歳を取るにつれて大きくなってしまった……。

誰かと仲良くしようとしても、ちょっとした拍子で【神器】が発動してしまい、相手を停めてしまう。

 

「……ねぇ、イッセー、士織。

もし時を停められたら、どんな気分?」

 

リアス先輩は表情に影を落としつつそう言う。

 

「俺は何ともないさ」

 

「右に同じくです」

 

「……っ!?

……怖くはないの……?」

 

俺と一誠の言葉に目を見開くリアス先輩。

 

「……まぁ、相手によるがな。

ただ……ギャスパーのような優しい奴ならいくら時間を停められようと何とも思わねぇんだよ」

 

「そうですよ。

ギャスパーだって悪気があってやってるんじゃない。

それなのに怖いだなんて―――――思うはずありません」

 

俺と一誠はこう考えるが……ギャスパーに停められた連中は『怖い』と思ってしまっただろう。

不信が1度でも心に生まれてしまえば、付き合うのはほぼ不可能。そしてギャスパーを恐怖するようになってしまう。

 

 

 

ギャスパーはそれを永遠と体験し、孤独を味わっただろう……。

それではあまりに……悲惨である。

これが【神器】を得る人間が味わう不幸なのだろうか……。

 

 

 

 

 

『ぼ、僕は……こんな神器いらない……っ!

だ、だって、皆停まっちゃうんだ!

怖がって嫌がって気味がられて!

僕だって嫌なのに!!

と、友達を、な、仲間を停めたくないのに……っ!

大切な人が停まった顔を見るのは……1人しかいない停まった世界は……もう嫌だ……』

 

悲痛なギャスパーの叫び。

家からも追い出され、人も吸血鬼もどちらの世界でも生きられないギャスパーは路頭に迷い、そして―――――ヴァンパイアハンターに狙われて命を落とした。そこをリアス先輩に拾われたらしい。

しかし、強力な力を有するギャスパーを当時のリアス先輩では使いこなすことが出来ず、上から封印を命じられていた。

―――――が、今のリアス先輩なら使いこなせると判断され、封印を解除し現在に至る。

 

「困ったわ……。

この子をまた引きこもらせてしまうなんて……。

……『(キング)』失格ね……」

 

落ち込むリアス先輩。

俺はそんなリアス先輩の姿にため息を吐いて口を開いた。

 

「リアス先輩、この後サーゼクスたちとの打ち合わせがあるんだろ?」

 

「……えぇ。

でももう少しだけ時間を延ばしてもらうわ。

先にギャスパーを―――――」

 

「ギャスパーの事は俺と一誠に任せろ。

―――――可愛い後輩のために一肌脱いでやるよ」

 

「……士織……」

 

リアス先輩は俺の申し出に異を唱えずにただ名前を呟く。

俺はそんなリアス先輩の肩を優しく叩いて言葉をかける。

 

「心配すんな。

俺と一誠が男同士の会話で立ち直らせるから」

 

「……わかったわ。

士織、イッセー、お願いできるかしら?」

 

「任せとけ」

 

「はい!」

 

リアス先輩は微笑みを浮かべて頷いた。

そして、名残惜しそうに、心配そうに、ギャスパーの部屋の扉を一瞥し、この場を後にしていく。

見送りを終えた後、俺と一誠はアイコンタクトを交わすと扉の前にゆっくりと座り込んだ。

 

「……なぁ、ギャスパー。

怖いか?【神器】と……俺たちが」

 

一誠は早速扉越しに話しかける。

 

『……違うんです。

先輩たちが怖いんじゃ……ないんです』

 

ぽつりぽつりとギャスパーは口を開き始めた。

 

「なら何が怖いんだ?」

 

俺の問いかけにしばしの沈黙の後に深呼吸をするのがわかった。

 

『僕は……暴走して誰かを傷付けるのが……怖いんです……』

 

「そうか……」

 

『大切な友達で……先輩で……仲間で……。

今まで1人だった僕に居場所をくれた……そんな皆だから……。

もし、傷つけちゃったら……皆また離れていっちゃう……。

……独りは嫌なんです……』

 

すすり泣く声が聞こえてくる。

……いつも1人でいて、外に出たがらなかったのはそういうことだったのか……。

 

「なぁ、ギャスパー。

俺はお前のことを嫌わないぞ。

先輩としてずっと面倒見てやる。

……まぁ、悪魔としてはお前の方が先輩だろうけどさ。でも、実生活なら俺の方が先輩だから、任せろ」

 

「俺もだぜ?ギャスパー。

一誠に比べればお前なんか可愛いもんだ。

時間を停める?―――――だからどうした。

むしろ俺を停めれるようになったら褒めてやるよ」

 

一誠と俺の言葉を聞いたギャスパー。

そして、今まで閉ざされていた扉が鈍い音を立てながら少しだけ開かれた。

 

「……そんな風に言ってくれたのは先輩たちが初めてです……」

 

泣き腫らした目をしながらギャスパーが顔を出す。

 

「なぁ、ギャスパー。

俺の血、飲んでみるか?

士織が言ってたし……もしかしたら【神器】をコントロールできるようになるかもしんないだろ?」

 

一誠の言葉に、しかしギャスパーは首を横に振る。

 

「……怖いんです。

生きた者から直接血を吸うのが。

ただでさえ、自分の力に振り回されてるのに……これ以上何かが高まったりしたら……僕は……僕は……」

 

俺はその場から立ち上がり、少しだけ出てきているギャスパーの頭を撫でた。

 

「怖いなら怖いでいい。

お前の力はそれくらいの認識でいいんだよ。

ただ―――――怖いからと言って向き合わないのは駄目だ」

 

「……先輩……でも……僕は……」

 

俯き口篭るギャスパー。

俺はそんなギャスパーに優しく言葉を投げかける。

 

「自信がないんだろう?」

 

「……はい」

 

小さい、しかしはっきりとした言葉。

 

「安心しろギャスパー。

お前はお前が考えているよりも―――――()()

 

「えっ……?」

 

目を見開いて顔を上げるギャスパー。

俺の言葉が信じられないという表情を浮かべていた。

 

「お前の幼い頃の話はリアス先輩から聞いた。

……普通ならあんな環境で育ったのなら性格が歪んじまうだろうぜ?

だけど、お前は―――――『優しさ』を忘れなかった。

芯の通った真っ直ぐなその『優しさ』……俺は強いと思うぞ?」

 

ぽんぽん、と優しくギャスパーの頭を叩く。すると、ギャスパーの瞳か1粒、また1粒と涙が伝い始める。

 

「お、おい士織?!

ギャスパー泣いちまったぞ!?」

 

ギャスパーの涙に慌て出す一誠。

俺はそれを一睨みすることで黙らせ、再びギャスパーへと視線を向けた。

 

 

 

「辛かったよな……苦しかったよな……誰も―――――自分のことを評価してくれないってのは」

 

「うぅ……っ……ぅ……うぅ……っ」

 

「『1人』と『独り』は違う。

……お前は長い間『1人』を味わったからこそ、本当の意味での『独り』を怖がってんだよな……」

 

「ふぅぅ……っ……ぅぅ……うぅ……っ」

 

「安心しろギャスパー。

お前にはもう絶対に離れていかない―――――【仲間(俺たち)】がいるぞ」

 

「うわぁぁぁぁぁぁん……っ!!!」

 

遂に声を上げて泣き始めたギャスパー。

俺に抱きつき、憑き物が落ちたかのように大泣きする。

そんなギャスパーの頭を何度も、何度も、優しく撫でた。

 

「なぁ……士織」

 

「ん?」

 

「俺の強くなる理由……増えたかもしんない」

 

「……甘ちゃんだな」

 

「士織に言われたくねーよ」

 

俺たちは微笑みあった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

しばらくの間泣いていたギャスパーだったが、今となっては恥ずかしそうにダンボールの中に入っていた。

 

「……落ち着いたか?ギャスパー」

 

「は、はい……お見苦しい姿を見せてしまってすみません……」

 

頭をひょっこりと出してそういうギャスパーの姿は違和感どころか似合ってさえいる。

 

「気にすんな。

泣くのは悪いことじゃねぇしな」

 

「そうだぞギャスパー」

 

俺と一誠が微笑みながら言えば、ギャスパーは照れたように視線を泳がせた。

 

「んじゃまぁ……時間もある事だし、ボーイズトークでもするか!」

 

「い、いいですね!

僕、その……友達と話すのは初めてです……っ!」

 

ギャスパーは嬉しそうにそう言うと、器用にもダンボールに入ったままこちらに近づいてくる。

 

「ボーイズトーク……??

絵面的にはガールズトークしてる中に男が一人混ざってる感じが……」

 

「……なんか言ったか?一誠」

 

「めっそーもございませーん!!」

 

余計なことを言おうとした一誠に圧力を掛けてやればまるで壊れた人形のように首を横に振る。

そして、苦笑いを浮かべたままの一誠は俺とギャスパーの方への来ると、3人で円を作るように座った。

 

「んで?何について話すんだ?」

 

「決めなくてイイだろ。

自由に話して互いを知るっても大事だぜ?」

 

「じゃ、じゃぁ可愛いお洋服のお話を……!」

 

 

 

 

 

―――――そう言って、俺たち3人は夜通しいろんな話をしたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方はいかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです♪(*´ω`*)


現在ハイスクールD×D編の書きだめが3話、問題児編が4話分書き上がったのですが……ほとんど勢いで書いてしまったので修正箇所が多々あるのですよ……(苦笑)
修正出来次第投稿しますので、お楽しみにっ!!(>_<)


それでは今回はここまで!
また次回お会いしましょう♪(*´ω`*)

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