ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんこんばんは♪

―――――奇跡の3日連続投稿なのですっ!!(>_<)

もうすぐ新学期が始まるという時になって筆が進み始めた夜叉猫さんです(苦笑)

さて、早速本編の方をどうぞ♪(*´ω`*)


第61話

Side 士織

 

「な、な、なんで、とととと、停まってないんですか……っ?!」

 

僧侶くんは俺と一誠を驚愕の表情で見つめていた。

 

「そりゃ、力の差だな。

その【神器(セイクリッド・ギア)】だって格上の奴を停めることは出来ないっつーわけだ」

 

そう言って、僧侶くんに近づいていく。

 

「ヒィィィィ!!」

 

しかし、悲鳴を上げて立ち上がった僧侶くんは俺たちから逃げるように走り出し、後方に置かれていた棺桶―――――ではなく段ボール箱の中にスッポリと入ってしまった。

俺はその様子に苦笑いを浮かべて一誠の方を見る。一誠の方も困ったような表情を浮かべていたが、それもすぐに消し、僧侶くんに歩み寄って行く。

 

「どうも僧侶くん。

俺の名前は兵藤一誠。そっちは?」

 

僧侶くんの入った段ボール箱の前でしゃがむと人懐っこい笑顔でそう言った。

すると、段ボール箱が少しだけ開いて頭が恐る恐るといった風に出てくる。

 

「……ギャスパー・ウラディですぅ」

 

「ギャスパーって言うのか。

これから宜しくな!」

 

手を差し出して握手を要求する一誠。

僧侶くん―――――ギャスパーはその手を不思議そうに見つめた。

 

「……そ、その……」

 

「ん?どーしたんだ?」

 

「……ぼ、僕が……怖くないんですか……?」

 

その質問にきょとんとした顔になる一誠。そしてすぐに笑い出した。

 

「な、なんで笑うんですかっ!」

 

「いや、悪ぃ悪ぃ。

そんな時間を停めるぐらいじゃ怖くねぇよ。

なんなら士織の方が怖ぇよ」

 

「……なんか言ったか?一誠」

 

「―――――ほらな??」

 

ウインクしながらギャスパーにそう言うと、そんな一誠を目を大きくして見つめるギャスパー。

俺も一誠の横まで行ってしゃがむと、ギャスパーに話しかける。

 

「時間停止っつーのは確かに強力な力だ。

見たところコントロール出来てないみたいだし、そりゃ怖いよなギャスパー。

―――――でも、怖がってばっかじゃ前に進めねぇぞ?」

 

段ボール箱からちょこんと飛び出ているギャスパーの頭を優しく撫でる。

それと同時か、ギャスパーの停止の能力が解除され、リアス先輩たちも動き始めた。

 

 

 

 

 

「あれ?イッセーさんたちがいつの間にかあんな所に……」

 

「……何かされたのは確かだね」

 

アーシアとゼノヴィアは不思議な現象に首を傾げていた。

 

「……予想はしていたけど2人には効かないのね」

 

リアス先輩は俺たちの方を見ながらそう呟く。

そして、何のことかわかっていない様子のアーシアとゼノヴィアに向かって説明するように口を開いた。

 

「その子は興奮すると、視界に映した全ての物体の時間を停止することが出来る【神器(セイクリッド・ギア)】を持っているのよ」

 

アーシアとゼノヴィアはその説明に目を見開いていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

あの後、みんなでギャスパーについての説明を聞いた。

 

 

 

 

 

―――――曰く、吸血鬼の中でも特殊なデイウォーカーと呼ばれる日中に活動出来る吸血鬼の血を引いている。

 

 

 

―――――曰く、類稀な才能を持ち、無意識のうちに【神器】の力を高め、将来的には【禁手(バランス・ブレイカー)】へ至る可能性を秘めている。

 

 

 

―――――曰く、強くなる力をコントロールすることが出来ず、暴走してしまうため今まで封じられていた。

 

 

 

終始段ボール箱の中に入っていたギャスパーだったが、側面に開いた2つの穴からこちらを……と言うより俺と一誠を見つめていたのはどういう意味だろうか……?

 

 

 

 

 

―――――閑話休題。

 

 

 

 

 

何にせよ、あの後の話し合いで決まったのは―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、走れ。

デイウォーカーなら日中でも走り回れるだろう?」

 

「ヒィィィィッ!?

デュランダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇぇっ!!

ほ、滅ぼされるぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

 

 

 

 

―――――『特訓』……の筈なんだが……イジメられてるようにしか見えねぇな……。

 

夕方に差しかかった時間帯、旧校舎近くで男の娘な吸血鬼が聖剣使いに全力で追いかけられていた。

傍から見たら完全に吸血鬼狩りです、ありがとうございます……ってか?

 

「ゼノヴィアー程々にしとけよー?」

 

「はいっ!!

分かっています士織様っ!!」

 

そんなきらきらした目でこちらを見るんじゃない……様をつけるんじゃない……。

頭が痛くなるのを感じる……。

 

「……ギャーくん、ニンニク食べれば健康になれる」

 

気がつけば小猫までもがニンニクを持ってゼノヴィアと共にギャスパーを追いかけていた。

 

「いやぁぁぁぁぁん!

小猫ちゃんが僕をいじめるぅぅぅぅぅ!!

助けてぇぇぇぇぇ!士織せんぱぁぁぁぁぁぃぃぃぃい!!イッセーせんぱぁぁぁぁぁぃぃぃぃい!!」

 

「本当に危なくなったら助けてやるから頑張れギャスパー」

 

「今がその時ですぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

最早泣きべそをかきながら逃げ惑うギャスパー。

……アイツ引きこもってた割には動けるんだな。

 

「おーおー、やってるやってる」

 

と、そこへ生徒会メンバーである匙が現れた。

 

「おっ、匙じゃねぇか」

 

一誠はやって来た匙に向かって手を上げた。

 

「よー、兵藤。

解禁された引きこもり眷属がいるとかって聞いてちょっと見に来たぜ」

 

「あぁ、それならあそこだ。

ゼノヴィアと小猫ちゃんに追いかけ回されてる子がそうだぜ」

 

「オイオイ……ゼノヴィア嬢、伝説の聖剣豪快に振り回してるぞ?良いのか、あれ……。

……おっ!てか女の子か!しかも金髪美少女!」

 

そう言って嬉しそうに興奮する匙。そしてそれを可笑しそうに見る一誠。

 

「残念、だが男だ」

 

その一言を聞いた瞬間、匙のテンションがガタ落ちするのが目に見えた。ガックリしてるし……。

 

「そりゃ詐欺だろ……。

てか、女装って誰かに見せたいためにするものじゃねぇのか?

それで引きこもりって、矛盾が過ぎるだろ……難易度高いなぁ……」

 

「まぁ、そう言ってやるなよ。

そういうのは本人の自由だろ?

それに似合ってるんだから別にいいじゃねぇか。

ところで匙は何してんだよ?」

 

一誠の言葉に続いて俺は匙の格好を確認する。

上下をジャージに身を包み、軍手と花壇用の小さなシャベルを持っていた。

 

「見ての通りだぜ?

学園の花壇の手入れをしてんだ。

1週間前から会長からの命令でな。

ほら、ここ最近学園の行事が多かっただろう?

それに今度魔王さま方も此処へいらっしゃるし、学園を綺麗に見せないとな」

 

にかっと笑いながら匙は得意げに胸を張った。

 

 

 

 

 

「―――――へぇ。魔王眷属の悪魔さん方は此処で集まってお遊戯してる訳か」

 

聞き覚えのある声が響く。

正直な所気配は掴んでいたため此処に来るだろうとは思っていたが……実際来られると面倒だという気持ちが湧き出てくる。

 

 

 

「一体何のようだよ―――――アザゼル」

 

渋めの浴衣に袖を通した少々悪そうな雰囲気を纏った男性―――――アザゼルに怠そうな声でそう言った。

 

「よー士織〜アイツらは元気か?」

 

カラカラと笑うアザゼルに対して、俺と一誠以外が警戒の体制を取った。

ゼノヴィアはデュランダルを青眼に構え、アーシアが一誠の後ろに隠れる。小猫はファイティングポーズを取り、匙は右の手の甲にデフォルメされたトカゲの頭のようなものを出現させる。恐らくあれが匙の【神器(セイクリッド・ギア)】だな。

そしてギャスパーだが……何処からともなく取り出した段ボール箱に入り込み俺の後ろに位置取っていた。

 

「し、士織さん、アザゼルって……」

 

「あぁ……コイツのことだぜ?

あの堕天使の総督のアザゼルだ」

 

俺の言葉はすぐに信用するらしく、匙は表情を引き締めて、戦闘の構えを取った。

アザゼルは皆の姿勢に苦笑いを浮かべて手を振った。

 

「やる気はねぇよ。

ほら、構えを解きな、下級悪魔くんたち。

此処に居る連中じゃ俺には「あぁ?」……士織以外じゃ「士織……?」……士織さん以外には!!ってか士織!俺をおちょくって遊びすぎだぞ!?

俺はこれでも堕天使の総督だぞ、そ・う・と・く!!」

 

声を荒らげて俺に怒鳴るアザゼル。

俺はそれを笑いながら「悪ぃ悪ぃ」と言って受け流す。

 

「……ったく!話がズレたじゃねぇか。

とにかく、今日此処に来たのは散歩がてら悪魔さんの所の見学だ。

聖魔剣使いはいるか?ちょっと見に来たんだが……」

 

「祐奈なら居ないぞ残念だったな無駄足だ帰れ」

 

「……おい士織、なんか俺への当たりが辛辣じゃねぇか?」

 

「つい最近何処ぞの堕天使の幹部から家族に手を出されたからな」

 

「あ〜……その件に関しては本当に申し訳ない。俺の管理不届きだ……」

 

そう言って頭を下げるアザゼル。

……まぁ、アザゼルが全て悪いってわけじゃねぇし、謝罪も貰ったことだから許すとするか……。

 

「頭を上げろよアザゼル。

別にそこまで怒ってるわけじゃねぇし、謝罪してくれるならそれで十分だ」

 

「そう言って貰えると助かる。

お前とことを構えるなんて死んでもゴメンだからな。

俺としちゃ友好的な関係を築いて行きたい所だ」

 

アザゼルはそう言い、笑いながら頭を上げた。

ったく……切り替えが早いというか、軽いというか……。

ついついため息がこぼれる。

 

 

 

 

 

―――――閑話休題。

 

 

 

 

 

「それにしてもヴァンパイアの特訓か?

確か【停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロールビュー)】持ちだったな」

 

アザゼルはギャスパーの入っている段ボール箱を見つめ、顎に手を当てながらそう言った。

 

「あぁ。

一応特訓方法の候補としてはそこの匙が持ってる【黒い龍脈(アブソーブション・ライン)】を使って【神器】の余分な力を吸い取ってもらいながらコントロールを覚えるってのがひとつだ。

後は一誠―――――赤龍帝の血を飲ませるってのが手っ取り早い方法だな」

 

「へぇ?

士織、お前神器(そっち)関係もいけるクチか?」

 

アザゼルが嬉しそうに俺の方へ寄ってくる。

肩を組もうとしていたのだろうアザゼルの腕を叩き落として腕を組む。

 

「少しはな。

ただアザゼルほどマニアじゃねぇよ」

 

「ちぇ……面白くねぇな……。

せっかくこの手の話ができるやつを見つけたと思ったのによ」

 

明らかに残念そうな表情を浮かべて肩をすくめるアザゼル。

 

「……今度少しだけ付き合ってやるから他の奴に付きまとうなよ?」

 

俺が溜息を吐きながら渋々そう言うと、アザゼルはニヤリと笑った。

 

「言ったな?言いやがったな?

絶対だぞ?もし破ったらストーカーもびっくりなほど絡みに行ってやるからな?」

 

「あぁ〜もぅ!

分かったから帰れよアザゼル!

お前の目的は終わったんだろ?!」

 

「あぁ、むしろ今日は得しかしてねぇな!

あ〜今日は気分がいい!シェムハザでも誘って酒でも飲むか!!」

 

アザゼルは御機嫌に、スキップしながら帰っていった。

 

 

 

「……あ〜……なんて言うかお疲れ様?」

 

「……さんきゅな一誠。

今日は嫌に疲れちまったよ……」

 

今日何度目か分からない溜息を吐き出す。

 

「と、取り敢えず特訓手伝いましょうか?士織さん」

 

「あぁ……そうしてもらえると助かる。

今度お礼に花壇の仕事手伝うから……」

 

「い、いや、いいですよ!

これは俺の善意っすから!」

 

テンパり気味の匙だったが、もうこの際どうでも良かった。

 

 

 

―――――この後、匙の【黒い龍脈】を使ってギャスパーの特訓を再開させたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方はいかがでしたでしょうか??
楽しんで頂けたのなら幸いです♪(*´ω`*)


さてさて、今回はよく喋るアザゼルさんでしたね(笑)
そしてギャスパーくんのきちんとした登場っ!!(>_<)
これからどうなるのかお楽しみに♪


それでは、今回はここまでっ!!
また次回お会いしましょう♪(*´ω`*)

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