ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんこんばん♪
最近では一週間に1度更新を守れそうで嬉しい夜叉猫です(*´ω`*)

ひとまず本編をどうぞ♪


第56話

どうも、兵藤士織だ。

 

 

 

白龍皇であるヴァーリの来訪からしばらくして、ある日の朝。

 

「士織ちゃん!一誠ちゃん!アーシアちゃん!後で賢夜さんと一緒に絶対行くからねっ!」

 

朝からかなりの気合を入れた母さん。登校直前の玄関前でまでそんなことを言わなくてもいいんだが……。

ついつい苦笑いが浮かぶ。

 

「はいっ!楽しみにしてます!」

 

母さんの言葉に満面の笑みを浮かべて嬉しそうなアーシアの姿。

……一誠、アーシアを微笑ましそうな表情で見るのはいいが母さんまでそんな表情で見るんじゃない……。

 

「遅れてしまうぞ、3人とも。

ほら、葵泉も着替えなければいけないだろう?」

 

「あ、ゴメンなさい賢夜さんっ!

それじゃぁ、士織ちゃん、一誠ちゃん、アーシアちゃん行ってらっしゃい♪」

 

そういった母さんはぱたぱたと自分の服のある部屋へかけていった。

 

「全く……事故に遭わないように気をつけていくんだぞ?3人とも」

 

父さんはそれだけ言い残すと母さんの向かった方に歩んでいく。

 

 

 

「……取り敢えず、行くか」

 

俺がそう呟くと、一誠とアーシアは頷いた。そして、3人とも一切ズレることなく口を開いた。

 

『行ってきます!』

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

―――――さて、朝の母さんが何故あんなにも気合が入っていたのかを説明しよう。

 

簡単に言えば、今日は駒王学園の授業参観の日―――――そのため、母さんは気合を入れ、父さんにいたっては有給休暇を取ってまで訪れる気満々というわけだ。

 

先ほど授業参観と言ったが駒王学園のものは正確には『公開授業』というものに当たる。

親御さんが来ていいのは当然だが、中等部の学生が授業風景を見学してもいいことになっている。その中学生の保護者も同伴で見学することが可能という、結構……いや、かなりフリーダムなスタイルだ。

 

自分の親御さんだけでなく、駒王学園中等部の後輩たちも見に来るとあって、意外と高等部の学生たちは無駄な緊張をしたりする。

 

……今も教室内の学生たちは変な緊張をしているように見えるしな……。

 

 

 

 

 

「なぁなぁ、イッセーんところは両親来るのか?」

 

一誠の席の周りに俺とアーシアが集まってのんびりしていれば、松田と元浜が近寄って来るなりそう言った。

 

「あぁ……。朝から気合入りまくりだったわ」

 

「両親に愛されてるねぇ……」

 

元浜がそう言って、松田とともにニヤニヤし始める。

 

「母さんも父さんも優しいしな。

アーシアだって楽しみにしてるし」

 

「はいっ!

私、こういうの初めてなんで、すごく楽しみですっ!」

 

一誠は松田と元浜のニヤニヤとした表情をスルーして、アーシアの方へと視線を移して和んでいた。

 

「やぁ、おはようイッセーそして―――――おはようございます士織様っ!」

 

「わかったから跪くな、祈るな、讃えるな……」

 

一誠への挨拶までは普通だったのになぜ俺の時だけ変わってしまうのか……解せん……。

 

「お、なんだなんだ?

士織の信者になっちまったのか?」

 

「かーっ!ゼノヴィアちゃんも士織信者か!流石だな士織様(笑)」

 

「……取り敢えず松田と元浜は後で絞める」

 

無性にイラつく言動をした2人には私刑を与えると心に強く刻み、今は目の前で崇め始めたゼノヴィアの対処をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――天罰!」

 

「痛いっ??!!」

 

……まぁ、実力行使なんだけど。

俺はデコピンを喰らいうずくまったゼノヴィアを放置して次は松田と元浜への私刑実行へと移る。

 

「お、おい士織さん?

ゼノヴィアちゃん物凄く痛そうだけど大丈夫か……?」

 

「そしてなんでこっちににじり寄って来るんだ……?」

 

そう言いつつ少しずつ後退していく松田と元浜。

俺はニヤリと笑みを浮かべて口を開く。

 

「もちろん……私刑実行のために決まってんだろ……?」

 

『に、逃げろぉぉぉぉぉぉぉお!!!』

 

「逃がすわけねぇだろ!」

 

いきなり走り出して逃げようとした2人の前に回り込み、頭を掴む。

 

 

 

 

 

「知らなかったのか?―――――大魔王からは、逃げられない」

 

無慈悲にそう言って、俺はにっこりと笑い手に力を入れた。

 

 

 

『うぎゃぁぁぁぁぁあっ!!!?

割るっ!?あたまがわれるぅぅぅぅうっ!!!?』

 

 

 

―――――その後2人の男子生徒が後輩たちに『絶叫先輩』と呼ばれるようになったという……。

 

 

 

 

 

―――――閑話休題。

 

 

 

 

 

朝は色々とあったが、無事に授業の時間となる。開け放たれた教室後方の扉からクラスメイトの親御さん、そして俺の母さんと父さんも入ってくる。

 

授業は英語。いつもよりも気合の入った様子の男性教諭が何やら袋に包まれた長方形の物体を生徒に配っていく。

 

……ん?なんだあれは……英語であんなもの使ったことあったか……?

 

そんなことを思いつつ、俺の机にも長方形の物体が置かれる。

 

……えっと……これは……紙粘土……??

 

怪訝に思う俺へ……というより俺たちへ教師は嬉々に言う。

 

「いいですかー、今渡した紙粘土で好きな物を作ってみてください。

動物でもいい、人でもいい、家でもいい。

自分が今脳に思い描いたありのままの表現を形作ってください。

―――――そういう英会話もある!!」

 

「……いやいやねぇよ」

 

教師の言葉に頭を抱えて呟く俺。一誠の方へ視線を移せば俺と同じく頭を抱えていた。

 

Let's try!!!(レッツ トライ)

 

イイ笑顔でサムズアップする教師。しかも無駄に……無駄にいつもよりも発音が良かった。

 

「む、難しいです……」

 

声の方へと視線を向ければアーシアが紙粘土をこねて何かを作り始めているのが目に入る。

 

……アーシアまずは人を疑う事を覚えよう……。

 

なんてことを考えながらなんとなく周りを見れば俺と一誠以外渋々ながら紙粘土をこねくりだしていた。

 

「……仕方ないか」

 

周りの様子に合わせるように俺も紙粘土に手を伸ばす。

 

作るものは何でもいいとは言ったが……何を作ろうか……。

 

「……そうだ」

 

頭の中にふと思い浮かんだものを作るために紙粘土を分割していく。

紙粘土の量からそんなにたくさんは作れないため、3つに分割。そして意識を内側へと潜らせる。

 

 

 

 

 

(誰か起きてるか~?)

 

(ど、どう……しましたか?士織……さん)

 

(おぉ!シオリ!

今日はどうしたのだ?)

 

(どーしたんですかぁー?だーりんっ!)

 

(ちょうど3人だな……。

なに、ちょっと紙粘土で工作するからそのモデルを3人探してたんだよ)

 

(も、モデル……ですか……?)

 

(もでる?なんだそれは?美味しいのか?)

 

(きゃーっ♪だーりんからのモデルの指名だなんて感激ですぅ)

 

(あ~……つっても動物形態の作品になるからな?

そしてモデルは食べ物じゃねぇぞ?

……それで……3人ともモデルになってもらっても良いか?)

 

(わ、私は……いい……ですよ……?)

 

(うむ!私ももでるになるぞ!)

 

(だーりんからのお願いなら何でも聞いちゃいますよー)

 

(ありがとな、3人とも)

 

 

 

 

 

「……ふぅ……」

 

3人との会話を終えた俺は意識を浮上させ、早速作業に取り掛かる。

 

まずは分割しておいたうちの1つを更に二つに分けて……よし!次はこっちの……むぅ……難しいな……でも形はできた……最後にこれを……こうして……っと。

 

「うし!完成だな」

 

そう呟いて俺は作業を終了する。

俺の机の上に並んだのは重なり合うようにした2匹のウサギ、のんびりと背伸びする柴犬とそれにもたれかかるようにする猫だった。

 

「うぉ!凄いな士織……今にも動き出しそうじゃん」

 

「そういう一誠のほうもスゲェじゃねぇか。

それは……ドライグか?」

 

俺に声をかけてきた一誠の机の方へ視線を移せば、臨場感あふれる1匹のドラゴンが出来上がっていた。

 

「まぁな。

頭に浮かんだのはやっぱり相棒だったからさ」

 

ニカッと笑う一誠。その人懐っこい笑みはつい微笑ましく感じてしまう。

 

「ドライグの奴喜んでるんじゃねぇか?」

 

「さっきから俺の中で泣いてるよ……」

 

そういう一誠は何処か照れ臭そうだった。

……ドライグとは良い関係を築けているらしいな……原作みたいに可哀想な扱いを受ける可能性はほとんどない……だろう。

未だにない、と断言できないのは何故だろうか。

 

「す、素晴らしい……!

2人にこんな才能があっただなんて!

やはりこの授業は正解だった。

また2人、生徒の隠された才能を私は引き出したのです……」

 

いつの間にか側にいた教師は目元を濡らしながらそんなことを言う。

……大袈裟すぎる気がするのは俺だけじゃない……はずだ……。

 

「カッコイイドラゴンだな!イッセー!」

 

「士織ちゃんこの動物たち可愛い!」

 

クラスメイトたちも近寄ってきて俺と一誠の作品を見る。そして、何処からともなく「5000!」と言った声が上がる。

 

「イッセーのドラゴンなら6000出すぞ!」

 

「私は士織様の作品になら8000出します!」

 

紙粘土を用いた英語の授業は一転、俺と一誠の作品を巡ったオークション会場へと化してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方はいかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです♪

さてさて……最近ではすっかり図書室に入り浸っている夜叉猫さんですが……やっぱり読書はいいですね!(>_<)
楽しくてしかたがありませんっ!!(*´ω`*)


それでは、また次回お会いしましょう♪

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