ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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私には珍しい連日更新っ!!(>_<)
シルバーウィーク中ということでやってみましたっ!!

とは言ったものの……今回は3巻終了の部分なのですぐに書き上がっただけなのですが……(苦笑)

ひとまず、本編の方をどうぞ♪


〜エピローグです〜

オッス、兵藤 一誠だ。

 

コカビエルとの戦いから早数日―――――。

放課後の部室に1人遅れ気味で訪れてみれば、それはもう愉快な風景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「士織様っ!!!」

 

我が兄を様付けで呼び、足に絡みつく、見覚えのある緑のメッシュを入れた女子がそこには居た。

 

「……いい加減離れろ―――――ゼノヴィア」

 

「嫌ですっ!!」

 

「……まったく……」

 

頭を抱えながら、士織はため息を吐く。

俺はその光景に苦笑いが浮かんでくるのを感じる。

 

「おぉ……一誠。遅かったじゃねぇか」

 

足に頬擦りをするゼノヴィアを放置する方向で決めたのか、士織は俺の方へ視線を向けると口を開いた。

 

「ちょっと用事がな……。

つか、なかなか愉快なことになってるな……?」

 

「……ゼノヴィアの信仰心が変に働いてな……。

初めは俺のことを『神ぃぃぃい!!』とか言って突撃してきたんだぞ?」

 

まぁ、撃墜したけど。士織は心底疲れたように言った。

どうやら士織の神器、それも【禁手】の情報がゼノヴィアにも伝わったようだ。

 

「そりゃ……お疲れ様」

 

「さんきゅ……」

 

俺は士織の疲労感を感じながらも未だ来ていない部員―――――小猫ちゃんと木場……いや祐奈―――――を待つために空いているソファーに腰を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――いい加減離れろうっとおしい」

 

「へぶん……っ!!?」

 

いよいよその行動に我慢できなくなった士織からの脳天直撃チョップを喰らったゼノヴィアは変な声を上げながら目を回して床に沈んで行った。

……本当に天国(ヘブン)に行ったりしてねぇよな……?

 

 

 

 

 

―――――閑話休題。

 

 

 

 

 

「物凄い今更だけど何でゼノヴィアが居るんだ?」

 

小猫ちゃんと祐奈が揃ったところで、正気を取り戻したであろうゼノヴィアに向けてそんな言葉をかける。

 

「ん?あぁ……神の不在を知ったのでな。破れかぶれで悪魔に転生してみた。

リアス・グレモリーから【騎士(ナイト)】の駒を頂いてな。で、眷属になるのと同時にこの学園にも編入させてもらった。

今日から高校二年の同級生でオカルト研究部所属だそうだ。

よろしくね、イッセーくん♪」

 

背中から黒い翼を生やし、ゼノヴィアに似合わないような声を出す。

 

「……真顔で可愛い声を出すんじゃない」

 

「イリナの真似をしてみたのだが、うまくいかないものだな……」

 

「お前らしくないから止めとけ。

それに、そんなことしなくてもゼノヴィアには良いところがあるんだし……な?」

 

俺が頭を優しくポンポンと叩き、そう言うと、頬をほんのり赤く染めて視線をそらすゼノヴィア。

 

「……そ、そうか」

 

……な、なんだろう……このラブコメ臭の凄い展開は……?俺は一体いつの間にフラグを……??

俺はそんな馬鹿げた考えを払うように、話を変えるべく口を開いた。

 

「そ、そういやイリナはどうしたんだ?」

 

「あ、あぁ……イリナなら、私のエクスカリバーを合わせた5本とバルパーの遺体を持って本部に帰ったよ」

 

ゼノヴィアは真面目な顔をしながらそう説明してくれる。

……どうやら話をそらせたようだ……。

 

「エクスカリバーは流石に返したか……。

それよりも良かったのか?教会を裏切っちまって……」

 

「……まぁ、良かったのかと聞かれると……良くはなかったのだが……。

神の不在を知ったことで異分子となった私が教会(あそこ)に居られる道理はないのさ……。教会は異分子を、異端を酷く嫌うからね……」

 

ゼノヴィアは自嘲した。暗い影を差す表情に俺は心が痛むのを感じる。

 

「イリナは運がいい。ケガをしたため、戦線離脱をしていたとはいえ、あの場で、あの真実を知らずに済んだのだからね。

私以上に信仰の深かった彼女だ。神がいないことを知れば、心の均衡はどうなっていたかわからない」

 

そう言うゼノヴィアの表情にはイリナを心配するような色が見える。自らは傷ついたのにも関わらず、仲間を、イリナを心配するとは、優しい女の子だ……。

 

「ただ、私が悪魔になったことをとても残念がっていた。

神の不在が理由だとは口が裂けても言えないしね。なんとも言えない別れだった。

……次に会うときは敵かな……?」

 

目元を細めながらゼノヴィアは言った。

……イリナ、どんな気持ちで帰国したんだろうか……。

 

 

 

俺とゼノヴィアがそんな会話をしていれば、リアス部長が立ち上がり咳払いをした。そして、周りを見回すと話を始める。

 

「教会は今回のことで悪魔側―――――つまり、魔王に打診してきたそうよ。

『堕天使の動きが不透明で不誠実のため、遺憾ではあるが連絡を取り合いたい』―――――と。

それとバルパーの件についても過去逃したことに関して自分たちにも非があると謝罪してきたわ」

 

俺とゼノヴィアは自然とソファーに腰掛けながら、リアス部長の話を静かに聞く。

 

「今回のことは、堕天使の総督アザゼルから、神側と悪魔側に真相が伝わってきたわ。

エクスカリバー強奪はコカビエルの単独行為。他の幹部は知らないことだった。三すくみの均衡を崩そうと画策し、再び戦争を起こそうとした罪により、『地獄の最下層(コキュートス)』で永久冷凍の刑―――――のはずだったらしいけど、士織の氷が全く溶けなくて、堕天使領の一角で封印処置してるそうよ」

 

リアス部長は苦笑いを浮かべながら士織の方を見た。

当の士織は右サイドに小猫ちゃん、左サイドに祐奈という布陣でソファー一つを固めており2人の相手に忙しそうだ。

 

「近いうちに天使側の代表、悪魔側の代表、アザゼルが会談を開くらしいわ。

何でもアザゼルから話したいことがあるみたいだから。

その時にコカビエルのことを謝罪するかもしれないなんて言われているけど……あのアザゼルが謝るかしら……」

 

肩をすくめながら、リアス部長が忌々しそうに言う。

アザゼルかぁ……俺のイメージとしては悪戯好きな親戚の叔父さんみたいな感じなんだよなぁ……。

 

「私たちもその場に招待されているわ。

事件に関わってしまったから、そこで今回の報告をしなくてはならないの」

 

リアス部長の言葉に驚愕の表情を浮かべる俺と士織以外の部員たち。

 

「あぁ〜……なんだかんだで魔王様たちの加勢が来る前に全部終わっちゃいましたしね……」

 

主犯であるコカビエルは士織によって冷凍。バルパーは殺され、フリードは逃走。俺たちがやったことと言えばケルベロスを倒したくらいだろうか?

コカビエルとの戦いを思い出すと同時に、俺はひとつの疑問が湧き上がった。

 

「そういえば……『白龍皇』は堕天使側って認識でも良いのか?」

 

「そうだ。アザゼルは【神滅具(ロンギヌス)】を持つ神器所有者を集めている。

何を考えているかは分からないが、ロクでも無いことをしようとしているのは確かだね。

『白龍皇』はその中でもトップクラスの使い手。『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部を含めた強者の中でも4番目か5番目に強いと聞く。

既に完全な【禁手(バランス・ブレイカー)】状態。現時点で言えばライバルのキミよりも強いかもしれない」

 

ゼノヴィアは俺の疑問に答えてくれると最後にそう締めくくった。

……今の俺よりも強い……か……。

やはり魔力の総量が少なすぎるというのがネックか……?

 

 

 

(『確かにそれもあるかもしれんな』)

 

(ドライグ……)

 

(『だが、相棒にはそれを補って余りある発想力がある。

あの【亜種禁手】がいい例だろう』)

 

(……サンキュな)

 

(『なに、弱気な相棒はらしくないのさ』)

 

 

 

ドライグはそう言い残すと再び神器の中に潜っていった。

俺がドライグと会話をしていれば、いつの間にかゼノヴィアがアーシアに近づいていた。

 

「……そうだな。アーシア・アルジェントに謝らねばならないな。

主がいないのならば、救いも愛も無かったわけだからね。

―――――すまなかった。アーシア・アルジェント。キミの気が済むのなら、殴ってくれても構わない。私はそれほどのことをしたのだから……」

 

ゼノヴィアは深く頭を下げてアーシアに謝罪の言葉を口にする。

 

「……そんな、私はそのようなことをするつもりはありません。

ゼノヴィアさん。私は今の生活に満足しています。悪魔ですけど、大切な人に―――――大切な方々に出会えたのですから。

私はこの出会いと、今の環境だけで本当に幸せなんです」

 

聖母のような微笑みでアーシアはゼノヴィアを許した。

あの日、コカビエルとの戦いの日に俺の掛けた言葉がアーシアにとっては救いだったのだという。あんなに小っ恥ずかしい台詞を並べただけのような俺の言葉をそんなふうに受け取ってくれていたとは思いもしなかった……。

 

「……クリスチャンで神の不在を知ったのは私とキミだけか。

もうキミを断罪するなんてことは言えやしないな。

異端視か。尊敬されるべき聖剣使いから、異端の徒。私を見る目の変わった彼らの態度を生涯忘れることは出来ないよ……」

 

その時、ゼノヴィアの瞳に哀しみの影が移った。

 

「―――――さて、そろそろ私は失礼する。

この学園に転校するにあたって、まだまだ知らねばならない事が多すぎるからね」

 

そう言いながら部室をあとにしようとするゼノヴィア。

 

「あ、あのっ!」

 

そのゼノヴィアを、アーシアが引き止めた。

 

「今度の休日、皆で遊びに行くんです。

ゼノヴィアさんもご一緒にいかがですか?」

 

屈託のない笑顔で言うアーシア。ゼノヴィアはそんなアーシアの態度に驚くように目を見開くが、すぐに苦笑する。

 

「今度……機会があればね。

今回は興が乗らないかな。

……ただ―――――」

 

「ただ?」

 

首をかしげるアーシアにゼノヴィアは柔らかな笑顔で問う。

 

「今度、私にこの学園を案内してくれるかい?」

 

「―――――はいっ!!」

 

アーシアもゼノヴィアの問いに笑顔で答える。

この2人、すぐに仲良くなれそうな気がするな……。

 

「我が聖剣デュランダルの名にかけて―――――。

そちらの聖魔剣使いの先輩とも再び手合わせしたいものだね」

 

「いいよ。今度も僕の勝ちは譲らない」

 

「私こそ、次は負けないさ」

 

祐奈の言葉にゼノヴィアは気合十分と言った体で答える。そして、周りを確認すると、ゼノヴィアは部室を後にしていった。

 

 

 

 

 

「さて!」

 

ポン!とリアス部長が柏手を打つ。

 

「さ、全員が再び揃ったのだから、部活動も再開よ!」

 

「「「「「「はい(おう)!」」」」」」

 

全員が元気よく返事をする。

その日、久しぶりに俺たちは部室で談笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゼノヴィアはたまにポンコツになるキャラで行こうと思います←唐突に

さて、今回でやっと3巻も終了……次は4巻の内容に入っていくのですが……みなさんからの問題児の方の更新を待ってますという言葉に二作品同時進行をするべきか否かを悩んでいるのです……(苦笑)


それでは、また次回……問題児編または引き続きハイスクールD×D編でお会いしましょう♪

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