ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さん本当に遅くなってすみませんっ!!!(>_<)
待っていて下さった皆さんには本当に頭が上がらないのです……m(。>__<。)m


久しぶりの新話……楽しんでいただけると嬉しいですっ!!!(>_<)


〜失言しました〜

Side 三人称

 

「凄まじいな……一体何者だ?」

 

コカビエルは士織をジッと見つめて口を開く。

 

「ただの人間だカラス野郎」

 

そう言って、オーラが吹き出す。士織の身体を中心に、オーラは渦を巻いた。

 

「ハハハハッ!

赤龍帝よりも圧倒的なその力……実に高ぶるぞ!!!」

 

コカビエルは笑い声を上げ、さらなる強者の登場に心を躍らせる。

しかし、その額には汗が吹き出ていた。士織との力量差がわからない訳ではないらしい。

 

「年甲斐も無くはしゃいでしまいそうだぞ……人間!!!」

 

コカビエルは更なるオーラを滲み出させる。なるほど、先程までのものは手加減していたようだ。

 

「御託はイイから……掛かってこいよ」

 

士織は構えることなどなく、ただ棒立ちでそう言い放った。

コカビエルはそれを侮りとは取らない。士織と自分には月とすっぽん程の力の差があるのだと、そう理解しているから。

 

「どんな攻撃も1発だけ躱さないでいてやる……さぁ、遠慮するな」

 

コカビエルに向けて手を伸ばすとクイッと曲げて掛かってこいという意思を見せた。

 

「……後悔するな……人間ッッ!!!!」

 

コカビエルの咆哮と同時にその頭上で無数の光の槍が現れる。

 

「―――――行け、光の槍よッッ!!!!」

 

怒涛の槍の雨がが士織を襲う。

地を抉り、土埃が舞い、轟音が鳴り響く。

それを見たリアスたちは口に手を当て目を見開いた。

 

「……やったか……?」

 

コカビエルの呟きはやけに響く。

士織がいた場所、つまりは攻撃をした場所をじっと見つめ、事の行方を見守るコカビエル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――んなわけねぇだろ」

 

土埃を切り裂いて現れたのは無傷の士織。

コカビエルはその姿に目を剥いた。

 

「ったく……脆すぎる槍だったな……」

 

頭が痛いと言うかのように顔を顰めながらそう呟く。そして、士織は顔を上げると、コカビエルを睨みつける。

 

「お前みたいな雑魚に家族を傷付けられたと考えると……まったく虫酸が走る」

 

「……言いたい放題言ってくれるじゃないか……所詮は人間のくせに……ッッ!!!」

 

そう叫んだコカビエルはその手に光の槍を出現させると、士織に向かって突撃していく。

 

「……だから無駄だって……」

 

士織は迫り来るコカビエルの攻撃に全くの動揺を見せず、あろう事か手で払うだけで光の槍を破壊してしまう。

 

「な……っ!?」

 

まさか払われるだけで破壊されるとは思っていなかったのだろう、コカビエルの顔に驚愕の表情が張り付いた。

 

「まさかここまで……ッ!」

 

急上昇することで士織と距離をとったコカビエルは舌打ちをする。

先程からありえないことばかりを体験しているかのようで、コカビエルは相当参っているようだ。

チラリとリアスたちの方を見たコカビエルは不本意そうな表情を浮かべながらも口を開いた。

 

「……時に人間、ひとつ面白い話を聞かせてやろう」

 

「何のつもりだ……?」

 

怪訝そうな表情でコカビエルを見つめる士織。コカビエルは口角を上げ、得意気な表情を浮かべていた。

 

「先の三つ巴戦争で四大魔王が死んだのは知っているだろう?」

 

その言葉は士織へと向けられたというよりか、リアスたちの方へ、言うなら特定の人物たちへと向けられた言葉のようだった。

 

 

 

 

 

「これはお前達下々には語られていない真実なのだが……あの時、四大魔王だけではなく―――――神も死んだのさ」

 

 

 

 

 

まさにそれは―――――爆弾。

コカビエルは今まで隠されていた、隠さなくてはいけなかった事をここでばらしたのだ。

そしてそれは、士織ではなく、リアスたちの方を混乱に陥れた。

 

「フハハハハハハハハ!

知らなくて当然だろう!神が死んだなどと、一体誰が言える?人間は神がいなくては心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ?

我ら堕天使、悪魔でさえも下々にそれらを教えるわけにはいかなかった。何処から神が死んだと漏れるか分かったものじゃないからな。

三大勢力でもこの真相を知っているのは各陣営のトップと一部の者たちだけだ。

……まぁ、先程バルパーが気づいた様だったがな……」

 

コカビエルの言葉に少し俯く士織。その姿に気を良くしたのか、コカビエルは更に饒舌に語り続ける。

 

「戦後残されたのは、神を失った天使、四大魔王全てと上級悪魔の大半を失った悪魔、幹部以外の殆どを失った堕天使。

最早、疲弊状態どころの騒ぎでは無かった。何処の勢力も人間に頼らねば存続の危機に陥る程にまでなってしまったのだ。特に天使と堕天使は人間と交わらねば種を残せない。堕天使は天使が堕ちれば数は増えるが、純粋な天使は神を失った今では増えることなどできない。悪魔も純血種が希少だろう?」

 

「う、ウソだ……。そんなの……ウソだ……」

 

耐え切れなくなったのだろう。ゼノヴィアが力が抜け、うなだれる。その表情は見ていられないほど、狼狽に包まれている。

現役の信仰者。神の下僕。神に従えることを使命として今まで生きてきたのだ……それにも関わらず、今此処で神の存在を否定され、生き甲斐を失い……そのショックは計り知れない。

 

―――――士織がピクリと動く。

 

「正直に言えば、もう大きな戦争など故意にでも起こさない限り、再び起きない。

それだけ、何処の勢力も先の戦争で泣きを見た。お互い争い合う大元である神と魔王が死んだ以上、戦争継続は無意味だと、そう判断したのだ。

アザゼルの奴も戦争で部下を大半亡くしてしまったせいか、『2度目の戦争はない』と宣言する始末だ!全く持って耐え難い!耐え難いんだよ!!!一度振り上げた拳を収めるだと!?ふざけるな、ふざけるなッ!!

あのまま継続すれば、俺たちが勝てたかもしれない……いや勝てたのだ!それを奴はッ!人間の神器所有者を招き入れなければ生きていけぬ堕天使どもなぞ何の価値がある!?」

 

自らの持論を力強く語ったコカビエルはその表情を憤怒に染めていた。

『神の死亡』という事実に、アーシアは口元を手で押さえ、目を大きく見開いて、全身を震わせていた。

 

「……主がいないのですか……?主は……死んでいる……??

……では、私たちに与えられる『愛』は……」

 

「そうだ。

神の守護、愛がなくても当然なんだよ。

神は既にいないのだからな。

そう考えるとミカエルの奴は良くやっている。神の代わりをして天使と人間をまとめているのだからな。

まぁ、神が使用していた『システム』が機能していれば、神への祈りも祝福も悪霊祓い(エクソシスト)もある程度動作はする。

―――――ただ、神がいた頃に比べて切られる信徒の数が格段に増えたがな。

そこの小娘が【聖魔剣】を創り出せたのも神と魔王のバランスが崩れているからだ。

本来なら、【聖】と【魔】は混じり合わない。【聖】と【魔】のパワーバランスを司る神と魔王が死んでしまえば、様々なところで特異な現象も起こるといったものだ」

 

コカビエルの言葉を聞き、アーシアは―――――その場で崩れ落ちた。

 

「アーシア!アーシアしっかりしろ!!」

 

一誠はアーシアを抱きかかえ、呼びかける。アーシアの目からは絶え間なく涙が流れていた。

倒れたアーシアに動揺を隠しきれない様子の一誠。

 

―――――士織が顔を上げた。

 

そんなもの関係ないと言わんばかりに、コカビエルは拳を天に掲げた。

 

「俺は戦争を始める、これを機に!お前たちの首を土産に!!

俺だけでもあの時の続きをしてやる!

我ら堕天使こそが最強だとサーゼクスにも、ミカエルにも見せつけてやる!!!!」

 

そう言って高笑いするコカビエル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――どうでもいいけど……何俺の家族(アーシア)泣かしてんだよ……クソカラス」

 

何時の間にか、士織はコカビエルの目前に現れていた。

目を見開くコカビエル。なんとか距離を取ろうとするものの、遅い。

 

「―――――墜ちろ」

 

「ぐはぁ……っ!!?」

 

コカビエルの脳天に士織の踵落としが炸裂。まるで隕石のように地面へと落下していった。

士織もそれを追うように、重力に引かれて落ちていく。どうやら士織はただの跳躍でコカビエルに接近したようだ。

 

「ぐぅ……っ!」

 

地面へと墜ちたコカビエルはカオを歪めながら立ち上がり、翼を広げた。

コカビエルの前に立つ士織はその翼を見て眉をひそめる。

 

 

 

「まさに『カラスの羽』だな。薄汚い色をしてやがる。

……俺が唯一褒めたアザゼルの羽はもっと薄暗く、常闇のようだったのにな」

 

 

 

言って、一歩前に出る。

 

「父さんを傷つけられたのだけでも俺は怒ってたのにさぁ……」

 

また、一歩前に出る。

 

「アーシアまで泣かしやがって……」

 

また、一歩。

 

「挙句の果てに俺たちの首を土産に戦争……?」

 

立ち止まり、コカビエルを睨み付ける。

 

 

 

 

 

「―――――調子に乗ってんじゃねぇぞクソカラスッッ!!!」

 

 

 

途端、士織から、凄まじい聖なるオーラが吹き出した。

 

「ッッ!?き、貴様一体それは……ッ!?」

 

コカビエルも士織から感じる聖なるオーラに驚きを隠せない。

リアスたちですら、士織のそのオーラに目を見開き、驚く。鱗片だけだが、見たことのある一誠、アーシアですら、その光景に目を奪われていた。

 

 

 

「……コイツは知られると厄介だからな……使うつもりはなかったんだけど……まぁ、どうとでもなるだろ」

 

―――――何せ、家族の敵を潰すために使うんだから。後始末ぐらい安いもんだ。士織は笑顔でそう言い、吹き出す聖なるオーラを凝縮しながら、そして、その名を呼んだ。

 

 

 

 

 

「―――――【精霊天使(フェアリー・エンジェル)】」

 

 

 

 

 

凝縮された聖なるオーラをその身に纏い、士織は口を開いた。

 

「……今日は特別だ……『この先』を見せてやる」

 

神器である【精霊天使】の能力を一つも見せる間もなく、士織は『この先』という言葉を口にする。

 

 

 

 

 

「―――――【禁手化(バランス・ブレイク)】」

 

 

 

 

 

―――――瞬間、光が爆発した。

 

 

 

 

 

「『神威霊装・神番(ヤハウェ・エロヒム)』」

 

 

 

士織の呟きと共に、聖なるオーラは質量を持つ物体へと変化を遂げる。

 

黒の袴に藍色の羽織。

二本の刀を腰に携え、首には漆黒の長布が巻かれ、たなびいていた。

 

決して派手ではない。しかし、それは見るもの全てを魅了しうる―――――和装。

 

士織はそれに身を包むと、静かに地を踏み鳴らす。

 

 

 

 

 

「【現界せし天魔の奇跡(ディセント・オブ・セフィロト)】……これが俺の神器【精霊天使】の【禁手化】だ……」

 

士織の背後に光り輝く果実が11個浮かぶ。

 

「さぁ、コカビエル……消える覚悟は出来たか?

俺はもう既に―――――消す覚悟は出来てる」

 

 

 

士織は笑った。口を三日月状に開いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新話はいかがでしたでしょうか?
久しぶりの更新で色々と忘れていしまってわからない!という方がいらしたら本当にすみませんっ!!!(>_<)

今回やっと、士織の神器を出すことが出来ましたが……【禁手】の名前が全く浮かばないというピンチでした(苦笑)

次回は出来るだけ早く更新できるように頑張りますっ!!!(>_<)

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