ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんこんにちは♪
最近マインクラフトにはまってしまった夜叉猫です♪
あの地味な作業が意外と面白かったり……(笑)


ともかく、本編をどうぞ♪



〜戦って取り戻しました〜

オッス、兵藤一誠だ。

 

先程までは確かに部室にいたのはずなのだが……―――――

 

「……いやはや、どうしたもんかな……」

 

―――――俺は球技大会の練習をしていた場所に木場とともに立っていた。

 

顔を上げてみれば、少し離れた場所にイリナとゼノヴィアがやる気十分といった姿で立っている。

そんな俺たち4人の周辺を丸ごと囲むように紅い魔力の結界が発生していた。

 

「では始めようか」

 

イリナとゼノヴィアは白いローブを脱ぎ捨て、黒い戦闘服……って何だあれ……もはや全身タイツっぽいな……。

俺は苦笑いを浮かべながら二人の姿を観察する。

 

ゼノヴィアは得物の布を取り払い、エクスカリバーを解き放つと軽く振り回す。

イリナの方は紐のような姿をとっていたエクスカリバーを日本刀の形へと変えていた。

 

 

 

―――――さてさて、少し遅いが何故俺がこの場に立っているのかを説明しておこうと思う。

初めは木場とゼノヴィアの一騎討ちの予定だったのだが、イリナも参戦することになり、では相手は誰がする?という雰囲気になった。

そんな中、士織の視線が俺に突き刺さったのだ。

そして、なぁなぁの内に此処に立つ……という状況に陥ってしまった……。

 

 

 

「……まぁ、やるからには勝たないとな……」

 

内心愚痴を吐きながらも俺は、【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】を発動させる。

いつも通りの赤い籠手が右腕に出現し、頭が冴えるような感覚が身体を包む。

木場の方へも視線をのばせば既に神器を発動させており、自らの周りに魔剣を数本出現させているのが見え―――――

 

 

 

―――――【魔剣(・・)】……??

 

俺は(必要ないと思うが……)安全上、結界外で観戦している士織の方へと顔を向けた。

 

その顔には幾ばくかの怒りとしかし、それを上回るほどの呆れの色が見える。

額に手を当てながらも静かに戦いの始まりを待っているようだ。

 

 

 

「……笑っているのか?」

 

ゼノヴィアが不意に木場へと問いかけた。

木場は不気味なほどの笑みを浮かべており、何時もの爽やかフェイスの面影などひとつもなくなっている。

 

(……そこまで憎いのか……聖剣が……)

 

俺は木場の様子にその思いがどれほどのものなのかを少しだが感じた。

 

「うん。

倒したくて、壊したくて仕方がなかったモノが目の前に現れたんだ……。それが凄く嬉しくてさ……。

……ふふふ、悪魔やドラゴンの傍に居ると力が集まるとは聞いていたんだけど……まさかこんな幸運を運んできてくれるなんて……ね……?」

 

木場の周りの地面が見えなくなるほどの魔剣が出現する。

その一本一本に禍々しい気配を感じた。

 

「……【魔剣創造(ソード・バース)】か。

【魔剣創造】の所有者は頭の中で思い描いた魔剣を創り出すことが可能。

魔剣系神器の中でも特異なもの。

……『聖剣計画』の被験者で処分を免れた者がいるかもしれないとは聞いていたが……それはキミか?」

 

その問に木場は答えない。その代わりに殺気を放ち威圧している。

今にもゼノヴィアごと殺しそうな雰囲気だけど……まぁ、士織もいることだし大丈夫だろう。

俺はそう自分に言い聞かせ、自分の相手であるイリナの方へ向き直った。

 

「兵藤一誠くん」

 

「おう。何だよイリナ」

 

昔は男の子のような見た目で、言動で、一時期は本当に男だと思っていた幼馴染。

今ではすっかり女の子らしくなって……うん、普通に可愛い。

 

「再会したら、懐かしの男の子は悪魔になっていた……。ショックだったわ」

 

「そう残念そうな顔すんなって。

悪魔でも別に不自由なんてしてないぜ?」

 

そう言った俺に対して、イリナは哀れむような視線を向ける。しかも頬を涙が一筋伝っていた……。

 

「可哀想な兵藤一誠くん……。ううん、昔のよしみでイッセーくんって呼ばせてもらうわね。

そして、なんて運命のイタズラ!

聖剣の適性があって、イギリスに渡り、晴れて主のお役に立てる代行者となれたと思ったのに!

あぁ……これも主の試練なんだわ!

久しぶりに帰って来た故郷の地!懐かしのお友達が悪魔になっていた過酷な運命!

時間の流れって残酷だわ!

でも、それを乗り越えることで私は一歩また一歩と真の信仰に進めるはずなのよ!

さぁ、イッセーくん!私がこのエクスカリバーであなたの罪を裁いてあげるわ!アーメンっ!!!」

 

イリナは涙を浮かべつつも張り切った様子で聖剣の切っ先をこちらへ向けてくる。

……あ、あれ?この娘、難易度の高い言葉をマシンガンのように飛ばして来るよ!?

おぉ?!瞳がお星様のようにキラキラ輝いてやがるぞ!?

 

(信仰に酔っていやがりますか……)

 

『相棒、加減はしろよ?』

 

突然、ドライグが声をかけてくる。

……そんなに心配しなくても大丈夫だっつーの。

 

(分かってる……流石に殺しちまう訳にはいかねぇしな)

 

ひとまずは【禁手】は勿論倍加のし過ぎも厳禁……そうだな……多くても5回……か?

 

『それでも多いくらいはあるが……まぁ良いだろう』

 

ドライグはそれだけを言い残すと言葉をかけるのをやめた。そして、その代わりに【赤龍帝の籠手】から『Boost!!』の音声が流れた。

俺の神器からの音声を聞いたイリナとゼノヴィアが驚いたような表情を浮かべる。

 

「……【神滅具(ロンギヌス)】」

 

「それって……【赤龍帝の籠手】?

こんな極東の地で赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)の力を宿した者に出会うなんて……」

 

どちらも顔をしかめ、俺の方を向いていた。

 

―――――と、その時、木場の方から殺気が溢れ出す。

 

 

 

「……イッセーくんにばかり気を取られているとケガじゃ済まなくなるよ……?」

 

しかし、ゼノヴィアはその殺気に大した反応を見せる訳でなく、ただ不敵に笑った。

 

「【魔剣創造】に【赤龍帝の籠手】。さらにはアーシア・アルジェントの持つ【聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)】。

……我々にとって異端視されている神器ばかりだ。悪魔になるのも必然と言えるかもしれないな……」

 

そう言い切るとエクスカリバーを構える。

木場もそれに対して魔剣を一本手に取ると、青眼に構えた。

 

「……僕の力は無念の中で殺されていった同志の恨みが生み出したモノでもある……。

この力でエクスカリバーを持つものを倒し……そのエクスカリバーを叩き折るッッ!!!」

 

やはり、木場は復讐を誓っていたか……。

ゼノヴィアと木場。二人の剣士の斬り合いを片手間に見ながらそんな考えが頭に浮かんだ。

 

「こちらもいくよ、イッセーくん!」

 

「おっと……!

流石にその剣に斬られるわけにはいかねぇからな……」

 

俺は斬りかかってきたイリナの太刀筋を読み、最低限の動きで躱す。

そのまま幾度となく日本刀と化したエクスカリバーを振るってくるが、しかし遅い。

この程度の動きなら完全に見切る事が可能だ。

 

『Boost!!』

 

「おし……3回もありゃ十分か……」

 

【赤龍帝の籠手】から響く倍加の合図に反応し、バックステップでイリナから距離を取る。

 

「んじゃ……終わらせるか」

 

『Explosion!!』

 

その音声と共に、俺の体に力が溢れるのを感じた。

 

(この感じなら……いけそうだな)

 

俺は右手に魔力を集める。

イリナは俺の行動、そして急に上がった【力】に一瞬驚愕の表情を浮かべたが、このままでは不味いと感じたのだろう、エクスカリバーを構えて走り寄って来た。

 

 

 

 

 

『―――――それは悪手だ小娘』

 

俺の中に響くドライグの声。

まぁ、確かにその通りだけどな……。

俺は集めた魔力を握り締め、地面へと叩きつけた。しかし、地面が傷つくことはない。

 

「何をして―――――ッッ!?」

 

イリナは怪訝そうな表情を浮かべたがそれも一瞬。

何故なら、イリナの足元から魔力の纏った土の槍が飛び出したから。

 

「新技……【龍の鋭骨(ドラゴーネ・オッソ)】。

魔力の扱いがアホみたいに難しいけど……応用が利くんだぜ?」

 

土の槍はイリナの行動を阻害するように、しかし、直撃はさせずに飛び出ていた。

なんとか抜け出そうとしているようだがしかし、それはかなわない。

 

「ほら、無駄に動くなって。

どうせこれで俺の勝ちだし?」

 

「そ、そんなのわからな―――――くないですごめんなさいっ!!」

 

俺の方を向いて否定しようとしたイリナだったが、俺の手に再び集められる魔力を見た途端謝罪の言葉を口にした。

 

「んじゃ、俺の勝ちだな?」

 

「……悔しいけど……私の負けみたい……」

 

イリナが負けを認めたので、俺は土の槍を纏っている魔力を消して、イリナを救出する。

地面にそのまま座り込み頬をふくらませ、俺を見つめるイリナ。

 

「そんなに強いなんて聞いてないわ!」

 

「聞いてないわって……それくらい言わなくてもわかれよ」

 

俺はため息混じりにそう返すと、すぐに視線を別の場所へと移した。

横でギャーギャー何かを言っているようだったが俺はそれを聞き流していた。

視線と意識は斬り合いを行っている木場とゼノヴィアの方へ向ける。

 

 

 

「……この剣はもう駄目か……」

 

「【破壊の聖剣】相手によく持ったほうだ」

 

ボロボロの様子の木場の魔剣。

木場の魔剣も聖剣相手には分が悪いようだ。

 

「なら、気を取直して!

燃え尽きろ!そして凍り付け!【炎燃剣(フレア・ブランド)】!【氷空剣(フリーズ・ミスト)】!」

 

魔剣を投げ捨てたかと思えば、次の瞬間には2本の魔剣が木場の手には握られていた。片や業火を渦巻き、片や冷気放ち、霧氷を発生させる。

騎士(ナイト)】である木場の長所はスピード。2本の魔剣を巧みに操り、ゼノヴィアを攻め立てていた。

少々苦しそうな表情を浮かべるゼノヴィアであったが……

 

「ふッッ!!」

 

掛け声とともにエクスカリバーを一振り。

その一振りだけで、木場の魔剣は粉々になってしまう。

 

「―――――ッッ?!!」

 

たったの一撃により破壊された自分の魔剣を見て木場は絶句する。

 

「我が剣は破壊の権化。砕けぬモノなど存在しない」

 

ゼノヴィアは器用に長剣を回したかと思えば、天にかざし、地面へと振り下ろした。

 

 

 

―――――ドォォォォオオオオンッッ!!!

 

 

 

激しい地響きと砂埃が辺りを支配する。

俺は手で顔を覆って砂埃を防ぐ。

砂埃が収まり、目を開けば、そこに広がっていたのは―――――クレーター。

ゼノヴィアが聖剣を振り下ろした場所が大きく抉れ、クレーターを作り出していたのだ。

……アレが聖剣の力か……。

思いの外強力だった聖剣に俺は眉をひそめる。

破壊力的には俺の【禁手(バランス・ブレイカー)】と同じかそれより少し下ってところか……。

あれを相手するなら【亜種禁手】の方でしたいところだな……。

俺はそんな思考を巡らせながら、明らかに変わるであろう戦況を見逃さぬように集中することにした。

 

 

 

 

 

 

Side Out

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Side 三人称

 

 

「……真のエクスカリバーでなくてもこの破壊力……。

七本全てを消滅させるのは修羅の道か」

 

そう呟いた祐斗は偶然にも視線を外に向けた。

今から行う破壊力比べに負けぬ魔剣を創り出すために気分を変えたかったのだ。

 

―――――しかし、そんな祐斗の視線はある人物と交わることとなる。

 

「…………」

 

「…………」

 

交わった視線は祐斗と士織。

互いに無言で見つめ合うと―――――祐斗は笑った。

 

「……どうした?気でもやったか?先輩」

 

祐斗の笑みにそんな挑発めいた言葉をかけるゼノヴィア。

どうやら祐斗の笑みを絶望的な力の差から出たものだと感じたようだ。

 

「―――――いや、違う」

 

聞こえてきた祐斗の声は先程までの憎しみに支配されたような声ではなく、まるで自分に呆れたような声だった。

 

「僕はなんて馬鹿な事をしたんだろうって思っただけさ。何せ―――――」

 

―――――本気で戦ってなかったんだから。

 

「……何?」

 

祐斗の言葉に眉をひそめるゼノヴィア。

しかし、祐斗はそんなこと関係ないと言わんばかりに口を開いた。

 

「此処から仕切り直しだよ。

……さっきまでの僕と同じだと思ったら―――――今度こそケガじゃ済まなくなるよ?」

 

言って、祐斗はひと振りの()を創り出す。

これといって特徴のないシンプルな日本刀(・・・)を……。

 

「……へぇ……?

確かにさっきとは違う雰囲気だ」

 

ゼノヴィアは祐斗を見つめるとそう口にした。そして、【破壊の聖剣】を構えると駆け出す。

それに対して祐斗は姿勢を低く、足を開く。刀を腰の位置で固定すると柄を握り締めた。

 

 

 

―――――抜刀術の構えだ。

 

 

 

「はぁぁぁぁぁああああああッッ!!」

 

「ぉぉぉぉぉぉぉおおおおおッッ!!」

 

雄叫びを上げながら、2人は交差する。

 

―――――鳴り響く金属音。

 

―――――吹き飛ばす衝撃波。

 

―――――抉れる大地。

 

 

 

そして、立ち尽くす背を向けあった2人。

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 

無言で2人は動かない。

しばしの静寂の後―――――笑った。

 

そして、祐斗の日本刀は粉々に砕け散る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やるじゃないか先輩(・・)

 

ゼノヴィア(・・・・・)はそう言うと腹部を押さえた。

見ればうっすらとだが血が滲んでいる。

だが、それは致命傷ではない。いうなら少々動きにくくなっただけだろう。

 

 

 

2人は振り返ると、ふっ、と笑いそれ以上のことは何もしなかった。

 

「イリナ!!」

 

「な、なに?」

 

ゼノヴィアはイリナの名を呼ぶと2つの白いローブを手に取ると、片方を羽織り、もう一方の白いローブをイリナに投げ渡す。

 

「帰るぞ」

 

「え……?

しょ、勝負はもういいの?!」

 

ゼノヴィアの短い言葉にイリナはそう返事をする。

 

「あぁ。

この勝負はもういい。

それに、あちらも戦う気はないみたいだしな」

 

言いながら、ゼノヴィアはエクスカリバーに布を巻き付ける。

そして、一誠の方へ視線を移すと事務的な口調で言葉を放った。

 

「赤龍帝、ひとつだけ言っておく。

白い龍(バニシング・ドラゴン)】は既に目覚めているぞ」

 

その言葉を聞いた一誠は眉をひそめる。

しかし、返事は返さない。

その様子を見たゼノヴィアは再びふっ、と笑うとフードを被り、その場を後にした。

 

「え、えっと……今度は負けないからね!イッセーくん!!

ちょっと待ってよゼノヴィア〜っ!!」

 

イリナも捨て台詞のようなモノを残して、スタスタと歩いていくゼノヴィアを追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーくん」

 

「な、なんだ?」

 

2人の姿が消えた後、祐斗は一誠に声をかけた。

 

「ごめん、僕はもう少しだけここを離れる。

だから、みんなに言っておいて欲しいんだ。

『僕はもう大丈夫』ってね」

 

「そんなの自分で言えば―――――「頼んだよ」……ってオイ!!」

 

祐斗は一誠の言葉に被せるようにそれだけを言い残すと足早に去っていった。

一誠はため息を吐くと頭をガシガシと掻く。

そして、こちらへとやってくる皆の方へ歩み寄って行った。

祐斗の言葉を伝えるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方はいかがでしたでしょうか??
楽しんでいただけたのなら幸いです♪


さてさて、雑談となりますが……。
活動報告でも言いましたが……問題児最新刊が二次創作殺しすぎますっ!!!(>_<)
今まで書いていたものの矛盾がないか心配で心配で……(苦笑)

ハイスクールD×D編では早く士織の無双を書いてあげたくて仕方が無いのですっ!!(笑)


とまぁ、今回はこのあたりで……。
また次回お会いしましょう♪

……私はエロ猫じゃないよ……??(=^ óωò)ドヨーン

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