ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんこんばんは♪
勉強に追われる夜叉猫なのです……(苦笑)

明日から学年末考査が始まる中、息抜きとして書き上げた第三章の1話目なのです……!!
短いですが楽しんで下さると嬉しいです。

それでは本編をどうぞ♪


~月光校庭のエクスカリバー~
~動き出しました~


……どうも、兵藤士織……です。

 

突然だが皆さんは朝起きると不測の事態に陥っていた場合どうするだろうか……?

混乱して取り乱す?

ひとまず状況を把握して取り乱す?

いっそのこと現実逃避して取り乱す?

 

俺はというと―――――

 

 

 

 

 

「……すぅ……すぅ……」

 

 

 

……うん。混乱してたんだが取り乱す前に、一周回って冷静になれた。

というかなんで俺のベッドに―――――

 

 

 

 

 

「―――――オーフィスが寝てんだよ……」

 

俺はベッドから上半身を起こすと、頭を掻きながら、丸まって眠っているオーフィスの顔を覗き込んだ。

……何と言うか……まぁ、可愛い寝顔だ。

 

「士織、我の顔を見て、面白い?」

 

「うぉっ!?

オーフィスお前起きてたのか?!」

 

突然目を開いたオーフィスは無表情にそう言ったため、驚きのあまり飛び退いてしまう。

 

「起きてた……?

我、最初から意識あった」

 

「……ならなんで寝たふりなんかしてたんだ?」

 

「それは士織の真似」

 

「……寝てる時の吐息は……」

 

「それも士織の真似」

 

「……丸まって寝てたのは……」

 

「勿論、士織の真似」

 

オーフィスは身体を振り子のように振って起き上がると得意気な表情を浮かべてそう言った。

そうだな……題名を付けるのなら『我はキメ顔でそういった。』ってところか?

いや、本当にキメ顔になってちゃ使えねぇか??

 

「さようですか……」

 

俺は苦笑いを浮かべながら、そんなオーフィスの頭……いや、頬を優しく撫でる。

目を細め、猫のように手に擦り寄るオーフィスに自然と頬が緩むのを感じた。

 

「やっぱりあったかい……」

 

「そうか?」

 

「士織……我の、【居場所】……。

だからこんなにあったかい?」

 

不思議なモノを見た、といったふうな表情で首を傾げるオーフィス。しかし、頬にある俺の手は離そうとはしない。

 

「どうだろうな?

そういうのはこれから分かっていけば良いだろ。

……なぁに、遅すぎるって事はねぇよ」

 

「わかった。士織がそういうなら……そう」

 

そう言ったオーフィスは再び目を細めると幸せそうな雰囲気を纏わせながら俺の手に擦り寄って来た。

 

 

 

―――――閑話休題。

 

 

 

「そう言えばオーフィス。

今日は突然どうしたんだ?」

 

「我、士織に会いたくなった。だから来た」

 

迷惑?、心なしか悲しそうな表情でそう続けたオーフィス。

俺は今度は頭を優しく撫でながらニコリと微笑む。

 

「そんなことねぇよ。

寧ろ嬉しいぜ?オーフィス」

 

「ん……」

 

俺が頭から手を離そうとすると、オーフィスはその手を押さえて頭に引っ付けさせる。

 

「我、これも好き。もっと」

 

「……りょーかいだ」

 

オーフィスのサラサラの髪に指を通しながら優しく撫で続ける。

 

「そう言えばオーフィス、お前が作った組織……【禍の団(カオス・ブリケード)】だったか?そっからは抜けられたのか?」

 

「……まだ。曹操たちがうるさい。

……でも大丈夫。直ぐ抜ける」

 

そう言ったオーフィスはもぞもぞと動き始め、俺の膝の上に収まった。

 

「此処、良い……。我の居場所?」

 

「まぁ、俺はお前の【居場所】だからな。

確かにそりゃ間違ってねぇかもな」

 

「……ん」

 

俺の方へと背を預け、頭を撫でられるオーフィス。

初めて会った時よりも表情が柔らかくなった気がするのは俺の気のせいなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい士織~っ!!

早く行かねぇと遅刻すんぞ~!」

 

「……っ!」

 

「士織、呼ばれてる?」

 

突然の一誠の声に今日が平日だったことを思い出す。

オーフィスは首を傾げながら俺の方を向いた。

 

「あぁ……そろそろ行かねぇと駄目みたいだ……。

どうする?オーフィス。

家にいるなら【遮断魔法】使ってやるけど……」

 

「士織が行くなら我は戻る」

 

言って、少し名残惜しそうに立ち上がるオーフィス。

俺もベッドから降りて背伸びをする。

 

「早く士織のところに来れるように……頑張る」

 

「……そうか。

まぁ、たまには家に来いよ?

また頭撫でてやるぜ?」

 

「来る」

 

俺が頭を撫でるジェスチャーをすると即答でそう返すオーフィス。

余程頭を撫でられるのが気に入ったのだと見える……。

 

「んじゃ……またな、オーフィス」

 

「ん……」

 

小さく反応したオーフィスは俺の前から姿を消した。

 

「……さて、着替えるか……」

 

起きてそのままオーフィスを撫でたりしていたため、未だにパジャマ姿な俺はそう呟くと着替えを始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい士織っ!!

本当に遅刻しちまう……ぞ……?」

 

「……」

 

突然開かれた部屋の扉。

そこには慌てた様子で俺を呼びに来たのであろう一誠の姿があった。

そして、その一誠の顔が俺と目を合わせた瞬間、一瞬で焦り、青い顔になる。

 

「すんませんしたぁぁぁぁあ!!!」

 

ガチャンッ!!

余程慌てて閉めたんだろうな……と容易に予想できるほどの大きな音を立ててドアは閉められた。

 

「……今度からはノックしろ一誠」

 

「わ、わかった」

 

正直たかが男の着替えを見てそんなに慌てる必要もない気がするが……。

俺は部屋の姿見に視線を移す。

 

「……やっぱりこの見た目のせいだよな……」

 

どう見ても女にしか見えない自分の姿に溜め息を漏らす俺だった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「で、こっちが小学生の時の一誠ちゃん!」

 

「あらあら、全裸で海に」

 

「これはその時の一誠ちゃんを見ていた士織ちゃんよ!!」

 

「……アホの子を見る目ですね」

 

「ちょっ!?母さん?!

変な写真を見せないでくれよ!!?」

 

時は飛びに飛び、放課後。

現在オカルト研究部のメンバーは俺たちの家に来ていた。

初めは部室が使えないために家で会議をする、という名目で来ていた筈なのだが、母さんの登場により崩壊してしまった。

 

「そう言えば母さん。

夕麻たち4人はどこ行ったんだ?」

 

「夕麻ちゃんたちなら賢夜さんと一緒に買い物に行ってくれてるわよ~♪」

 

母さんはご機嫌にそう言うと再びアルバムの写真の説明に戻っていった。

それにしても興味津々だな朱乃先輩と小猫は……。

 

「そう言えば士織の家には……」

 

「あぁ、あの4人が居るぜ?」

 

リアス先輩は思い出したかのように口を開き俺の方を向く。

あの4人、とはレイナーレこと夕麻、ミッテルトこと美憧(みと)、ドーナシークこと綯奈(とうな)、カラワーナこと華那(かな)の堕天使4人のことを指している。

 

「1度買い物途中に出会ったけど……」

 

リアス先輩は顎に手を当て考えるように唸ると苦笑いを浮かべた。

 

「……ドーナシークはあれでいいのかしら?」

 

「……本人も気にしてねぇらしいからいいんじゃねぇか?」

 

どうやら女体化したことに対して言っているらしいリアス先輩。

俺の出した紅茶を優雅に一口飲むと、自然な流れでアルバムへと手を伸ばす。

 

「あら、この写真面白いわね」

 

そう言って1枚の写真を指さすリアス先輩。俺は首を伸ばしその写真に目を移した。

そこに写っていたのは――――――

 

 

 

 

 

―――――フリフリのドレスに身を包んだ……紛れもない俺の姿。

 

「…………」

 

俺は無言でリアス先輩からアルバムを奪い取るとその写真だけを取り出し、一心不乱に破り捨てた。

 

「……し、士織……??」

 

「……何も―――――見テナイナ?」

 

「は、はいっ!!」

 

俺がちょっとだけ気を入れながらそう言うと、まるで壊れた玩具のように首を縦に振るリアス先輩。

酷いなぁ……そんなに怯えなくてもいいのに……。

 

「……おーい士織~??

殺気、殺気漏れてるから……。

リアス部長、もう顔真っ青だから……」

 

「ん?……あぁ、なるほど。

悪ぃなリアス先輩。なんかちょこっとだけ漏れちまってたわ」

 

一誠から掛けられた声によって気付いた俺は無意識のうちに漏れていた微妙な殺気を収める。

周りを見れば一誠を除く皆が顔を青くさせていて―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――士織ちゃんが怒っちゃったわねぇ~」

 

「……あれ??」

 

ニコニコと微笑みながら頬に手を当てる母さん。

怖がっている様子など皆無だ……。

 

「……葵泉さん、何とも無いんですか……?」

 

「えぇ~??

だって士織ちゃんがちょこっと怒っただけじゃな~い」

 

―――――可愛いわね~♪、母さんは頬を染めながらそう言った。

その言葉に無言になるグレモリー眷属たち。

 

「……まぁ、母さんだし」

 

「……そうだな……母さんだもんな」

 

俺と一誠は互いに苦笑いを浮かべ、そう言った。

 

 

 

 

 

―――――閑話休題。

 

 

 

 

 

「ねぇ……士織さん……」

 

「ん?なんだよ祐斗」

 

祐斗は1冊のアルバムを持ち俺の方へと近寄って来る。

その瞳には暗い炎が灯っていた。

……やはり始まるのか。

 

「これ……」

 

祐斗が指さした写真。

そこに写っていたのは俺と一誠、そして一人の……少女とその親であろう男性。

しかし、祐斗が興味を示しているのは人物ではなく―――――1本の古ぼけた西洋剣。

 

「まさか……こんなところで見かけるなんて……」

 

憎々しそうに歯を食いしばる祐斗。

俺は何も言わず、祐斗の言葉を聞く。

 

「これは―――――聖剣だ」

 

パタン、とアルバムの閉じる音が嫌に静かに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――哀しみの罪歌。

それは彼女(・・)の歌う過去への思い。

 

 

 

―――――憎しみの狂歌。

それは()の歌う聖なる剣への思い。

 

 

 

復讐のために人を止め、

 

復讐のために女であることを捨て、

 

復讐のために力を求めた。

 

 

 

聖なる剣と相対する魔なる剣を持ち―――――

 

 

 

―――――木場祐斗(木場祐奈)の物語が動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編はいかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けたのなら幸いですっ!!


さてさて……始まりました第三章。
今回の話は私自身厨二病になる覚悟で書こうと思います(笑)

とは言いましても、明日から学年末考査なのでしばらく更新できないかもしれません(苦笑)


感想お待ちしています♪


それでは、また次回お会いしましょう♪

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