ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんこんばんは♪
最近は寒くて人にくっ付いたり、抱き着いたりして暖をとっている子供っぽい夜叉猫なのです♪


今回はかなり短いですが楽しんで下さると嬉しいのですっ!!

それでは、本編をどうぞ♪


~レーティングゲーム【終盤】~

Side 三人称

 

「ちょっとしたアクシデントはあったが……お前を倒しに来たぜ?」

 

一誠は兜部分のマスクを収納させたまま、ライザーの方を向くと不敵な笑みを見せる。

 

「中々変わった登場だったな?」

 

一誠からの言葉に、苦笑いを浮かべながらライザーは腕を組む。

どうやらライザーは先程の一誠の行動を思い出しているようだ。

 

「ウチの【(キング)】の頭がちっとばかしおかしかったからな」

 

「そう言ってやるな。

リアスは中々やる女だぞ?」

 

「へぇ?素直な物腰だな?」

 

「……お前、いや、お前たちは気付いているんだろう?」

 

ライザーは既に下へと降りて心配そうな表情を浮かべるリアスの方を見つめながらそう言った。その表情は何処か熱っぽい。

 

「アンタの態度見てりゃ大体分かるさ」

 

「……リアスたちには伝わらないんだがな……」

 

二人の思わせぶりな会話。

その会話はまだ、誰にも聞こえてはいない。

一誠は真面目な表情を浮かべると咳払いをし、口を開いた。

 

「種蒔き鳥……いや、ライザー」

 

「……なんだ」

 

「一丁殺るか?」

 

短な言葉をやりとると、ライザーは好戦的な笑みを浮かべる。

 

「はっ……!

ダラダラと話してるよりかはマシだな。

それに……」

 

その背後に炎の翼を大きく広げたライザー。そして、大きく息を吸い込むと割れんばかりの声で叫んだ。

 

「このゲーム……敗けるわけにはいかないからな!!!!」

 

その言葉と共に、二人は足を動かした。

ライザーは後方へと飛びながら炎弾をばら蒔き、一誠はそこに迷うことなく飛び込む。

 

『Boost Boost Boost Boost Boost!!』

 

「ちっ……!地味に火力高いなっ!」

 

極力躱しながら進む一誠であったがしかし、全てを躱せているわけではない。

一誠の鎧に当たったライザーの炎弾は表面を焦がしていた。

 

『Explosion!!』

 

「【龍の咆哮(ドラゴン・ショット)】ッッ!!!」

 

一誠が握り拳程の魔力球を殴りつけたかと思うと、それは炸裂せず、ただ巨大な魔力の柱となり未だにばら蒔かれる炎弾と共にライザーを飲み込まんと襲いかかった。

 

「ぐぉっ……!?

なんだその馬鹿げた威力は……!?」

 

ライザーは苦悶の声、そして驚愕の表情を浮かべる。なんとか直撃は避けたものの、その左腕を魔力の柱に飲み込まれてしまったのだ。

ライザーの右腕は綺麗に削り取られていたが、流石はフェニックス。数秒と掛らずして修復してしまう。

 

「流石は『赤龍帝』……その能力は厄介極まりない……」

 

「アンタの不死性もチート級だろうが」

 

「違いない……!!!」

 

言葉とともに、ライザーは一誠に急接近すると今度は至近距離から炎弾をぶつけた。

一誠は短く呻いたが、ぶつけるために伸ばされたライザーの腕を掴む。

 

「近づいて来たのは愚策だぜ……!!ライザー!!!」

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!』

 

『Explosion!!』

 

「ぶっ飛びな……っ!!【龍の剛腕(りゅうのごうわん)】!!!!」

 

――――― 一撃炸裂。

一誠はライザーの腹部を抉るように殴りつけた。ライザーは身体をくの字に折り曲げ吹き飛び、校舎の壁へと激突することでようやく止まる。

 

「……手応えが……薄い……?」

 

一誠は壁に激突したライザーの方を見ながら拳を握ったり開いたりを繰り返す。

壁を崩しながら立ち上がるライザーは口端から垂れる血を拭いながら笑った。

 

「―――――【陽炎(ミラージュ)】。

お前が俺を殴る瞬間俺の姿を歪ませることで直撃を避けさせてもらった……」

 

「その割にはダメージ深いみたいだな?」

 

「……正直ぶっ倒れそうだ。

全く……これだからパワー馬鹿は……」

 

自傷気味に笑うライザーであったがその瞳にはまだ光が灯っている。強い、意思の現れだろう。

一誠は兜部分のマスクを収納させて溜息を吐いた。

 

「なら、リタイアしたらどうだ?

このゲームに敗けてもリアス部長っていうハーレム要員が1人居なくなるだけだろ?」

 

「……お前性格が悪いと言われないか?」

 

「さぁ?何のことだろうな?」

 

半眼で睨むライザーに何のことだか分からない、という表情で肩を上げる一誠。

ライザーはしばらく考えるように腕を組み、チラリとリアスの方へと視線を移す。

 

「……ハァ……逃げるのは俺らしくないな」

 

ライザーはそう呟くとしっかりと2本の足で立ち、決意の眼差しを向ける。

 

 

 

 

 

「―――――俺はな、リアスが大好きなんだよッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

その声は空気を震わせ大きく木霊した。

勿論、リアス本人にも聞こえたはずだ。

ライザーは拳を握り、身体を震わせる。

 

「俺が女癖が悪い事なんざ百も承知だ!

こんなんだからリアスに嫌われ、拒絶される……。

周りからリアスをハーレムの一人としてしか見ていないという評価を貰うのも仕方がねぇことだろうよ……」

 

ライザーは今まで告げなかったであろう本音を吐露し始め、それを静かに聞く一誠。

 

「だがな!俺はリアスと出会って変わった!!

初めて会ったとき、これが一目惚れと言う奴か、とそう思った!!」

 

ライザーはリアスの方を横目で見ると心底幸せそうな表情を浮かべる。

 

「ハーレムなんていうくだらないものは必要ない……。俺はただ、リアス・グレモリーという一人の女が欲しい!!

その為なら俺はどんな代償でも、対価でも払うさ!!!」

 

ライザーはそう叫ぶと、屋上の端に立ち、リアスの方へと指をさす。

 

 

 

 

 

「―――――俺はリアス・グレモリーを愛しているッッ!!!!」

 

 

 

 

 

木霊するその言葉とライザーの荒い息。新校舎の屋上にはその音しか無かった。

しばしの間を開けて、息を整えたライザーは振り返り炎の翼を勢い良く噴出させる。

 

「惚れた女の手前、このゲーム……敗けるわけには行かねぇんだよォォォォオッッ!!!」

 

感情に呼応する如く煌々と燃え上がるライザーの炎。

これこそフェニックスの【生命の炎】だろう。

 

―――――そして、ライザーの宣言の後、森の方で激しい閃光と共に爆裂音が鳴り響いた。

 

 

 

『ライザー・フェニックスさまの【女王(クイーン)】1名、リアス・グレモリーさまの『女王(クイーン)』1名、戦闘不能』

 

 

 

そのアナウンスは予想外のものだった。

 

 

 

 

 

Side Out

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Side 一誠

 

「……ユーベルーナ」

 

「朱乃先輩……」

 

まさか朱乃先輩が負けるとは……。

俺は予想外の出来事に動揺を隠しきれなかった。

ライザーも【女王】の名前を呼び俯く。

 

「……相討ちに持って行ったんだな……」

 

慈愛に満ちたライザーの言葉。

視線は先程爆発の起こった森の方を向いている。

そして、ライザーは俺の方を睨むと雄叫びをあげた。

……気合の入り方が違うな……。

どうやら【女王】の戦闘不能が起爆剤になりライザーを奮い起たせたようだ。

 

「さぁ……!!

決着を付けるぞ兵藤一誠ッッ!!!」

 

ライザーはそう言うと初めとは比べ物にならない量の炎弾を放った。

俺は何とか躱そうと身を捻るが、如何せん量が多過ぎた。かなりの量が俺の身体に直撃してしまう。

 

「ぐうぅ……っ!?」

 

膝をつきながら着弾したところを押さえる。

……と、着弾部分の触り心地に違和感を感じた。視線をずらしてみると、何と、俺の鎧である【赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)】が破壊されていたのだ。

 

『……相棒』

 

(何だ……?

今どうするか悩んでる所なんだけど?)

 

『今の奴にならアレ(・・)を見せてもいいのではないか?』

 

ドライグの言葉に俺は目を見開く。

 

(使えねぇんじゃなかったのかよ?)

 

『なに、たった今調整が終わった。

それで……どうする?』

 

(使えるっていうなら話は早い。

……俺も今のライザーになら使ってもいいんじゃねぇかって思ってたところだ!)

 

ライザーの気合い。そして抱いている想いと覚悟。それは敬意に価する程だろう。

俺は立ち上がると深呼吸をし、口を開いた。

 

「―――――ライザー」

 

「なんだ兵藤一誠!

まさか降参などと吐かすわけじゃ無いだろうな!」

 

「そんなわけねぇだろ」

 

「なら、何の用だ……?」

 

ライザーは俺の言葉に訝しげな表情を見せる。

俺は1度【禁手(バランス・ブレイカー)】を解除するとライザーをしっかりと視界に入れる。

 

「今から俺の本気を見せてやる」

 

「本気……だと……?」

 

眉を顰めるライザー。

今まで手を抜いていたのだと思われていそうだ……。

 

「訳あって今まで使えなかったが……俺の相棒が使えるようにしてくれたんでな。

取り敢えず先に言わせてもらう。

―――――簡単に倒れないでくれよ?」

 

その言葉の後、静かに俺は呟く。

 

 

 

「……【禁手化(バランス・ブレイク)】」

 

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker second edition !!!!!!!』

 

 

 

赤いオーラ、そして【龍の力】が荒々しく俺の周りを包み込む。

まるで意思を持ったかのように俺の体へとまとわり付いて、形作って行く。

俺は装着が終わったのだと感覚的に感じ取り、周りの俺を包んでいるモノを散らせるため腕で払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだ……それは……」

 

ライザーからの驚愕の表情と視線に晒され、俺は姿を表した。

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)】よりもさらに赤さを増した美しき深紅の全身鎧(プレートアーマー)。元からの鋭角なフォルムがさらに増している。

―――――まさに【龍】の体躯。

 

俺は身体から力を抜きただ仁王立ちする。

 

「―――――【赫龍帝の四皇鎧(ブーステッド・ギア・プロモーションメイル)】……。

これが俺のもうひとつの【禁手】だ」

 

「もうひとつの……【禁手】!?」

 

「奥の手とまではいかないがこれは切り札の一つ……初めは使う気なんてなかったんだけど……ライザーの姿勢に敬意を評して使わせてもらったぜ?」

 

俺がそう言うとライザーはふっ、と笑い構えた。

 

「切り札?いいじゃないか!

それを破ってこそ俺は本当の勝利を手に入れることができる!!!」

 

俺とライザーは互いに睨み合い、笑みを浮かべると、

 

 

 

「行くぞッ!ライザーァァァァア!!!」

 

「行くぞッ!イッセーェェェェエ!!!」

 

 

 

互いに叫び合いながら戦闘を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 




本編はいかがでしたでしょうか??
楽しんで頂けたのなら幸いです♪


今回、ライザーの本心を唐突に出させて頂きましたが……いかがでしたでしょう??
前々から考えていた展開でございます♪

そして!!
とうとう登場した一誠くんの【亜種禁手】!!!
能力は……「あれっ??」と思うものかもしれませんがお楽しみに♪

感想をとても、とてもお待ちしていますっ!!!

それではまた次回お会いしましょう♪

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