ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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皆さんこんばんは♪
後輩が出来るということに楽しみを見出してしまった夜叉猫ですっ!!

来年度が楽しみですねっ!!!


とまぁ、ともかく、本編をどうぞ♪


~レーティングゲーム【中盤】~

Side 三人称

 

「―――――撃破(テイク)……」

 

宙に浮かんだ女性―――ユーベルーナ―――は淡々と呟いた。

彼女の眼下には炎を使った爆破により土煙と黒煙の入り混じったモノが立ち上っている。

 

『倒したか?』

 

「……おそらく。

私の最大火力を撃ち込みましたライザー様」

 

『……そうか。

―――――よくやったなユーベルーナ』

 

ユーベルーナの持つ通信機器から聞こえてきたライザーの声は優しく、相手を労わっているのが良く分かる声。ユーベルーナはその声に嬉しそうに微笑みながら頬を染めていた。

 

『引き続き頼むぞ?俺の【女王(クイーン)】』

 

「分かりましたライザー様。

ご期待に答えられるよう、精進致します」

 

ユーベルーナはその場には居ないライザーに向かってか、頭を垂れた。

通信を終えた後、一瞬だけ下を見下ろしそのまま運動場の方へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――しかしそれは、

 

 

 

 

 

 

―――――ユーベルーナの、

 

 

 

 

 

 

―――――油断に他ならなかった。

 

 

 

 

 

「―――――【雷竜の咆哮】っ!!!」

 

「な……っ!!!?」

 

ユーベルーナの下―――――地上から女性(・・)の声が響いたかと思うと、彼女の真横スレスレを金色の帯電する光柱が通り過ぎて行った。

 

「……な、何故……」

 

ユーベルーナは眼下に広がる現実に目を見開く。

……予想外。彼女の心情を月並みに言えばそれに尽きるだろう。

 

 

 

 

 

「―――――何故3人とも無傷なの!?」

 

ユーベルーナの悲痛な叫び。

そう、彼女が倒したと思い込んでいた一誠、小猫、朱乃の3名は、全くの無傷で地に立っていたのだ。

 

「うふふ……私の障壁を舐めないで欲しいですわ」

 

ニコニコと笑う朱乃。

一誠と小猫を庇うように前に出た彼女はそう言って半透明に輝く障壁を解除した。

 

「ありがとうございます朱乃先輩。

おかげで無駄な力を使わずに済みました」

 

「あらあら、お役に立てたようで嬉しいですわ」

 

一誠の言葉にそう返す朱乃。

小猫も朱乃に頭を下げてお礼を言っている。

 

「……さて、どうします?朱乃先輩。

相手はライザーの【女王】みたいですけど……」

 

一誠がワザとらしく話を振ると、朱乃はニコニコ笑顔を崩さぬままに即答した。

 

「―――――私がお相手しますわ」

 

瞬間、朱乃の身体から雷が迸る。

まるで朱乃の意志に呼応するような激しい雷は遠目からでもかなりのものだと分かるだろう。

現に、ユーベルーナは顔を歪め冷や汗を垂らしている。

 

「うふふ……士織君に教えてもらった魔法……まだ完璧に使える訳じゃありませんので……練習に付き合っていただきますわよ?【爆弾王妃(ボム・クイーン)】さん」

 

「……練習とはよく言います……。

それに、その二つ名はセンスが無くて好きではないのよ【雷の巫女】さん」

 

ユーベルーナは手に持った杖を朱乃に向けながら笑った。それは強者の余裕の笑みではなく、挑戦者のあわよくば喰らってしまおうという獰猛な笑みだ。

一誠は二人の姿を視界に収めると、小猫の方を叩き、口を開いた。

 

「此処は朱乃先輩に任せて俺たちは先を急ぐとしようぜ?」

 

「……分かりました」

 

「うふふ……そうしてくれると助かりますわ。

なにせ本当に調整も出来ていませんの……巻き込んでしまったら大変ですわ」

 

苦笑い気味の表情を浮かべながら朱乃は一誠立ちの会話へ言葉を掛ける。

ユーベルーナは一誠たちを行かせたくはないのだろう。苦虫を噛み潰したような顔になっている。

 

「木場のやつも待ってるだろうしな……早く行こうぜ」

 

「……超特急です」

 

言って、一誠たちはその場を駆け出した。

二人の姿を見送るように静かに立つ朱乃とユーベルーナ。完全に姿が見えなくなった時―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――激しい爆裂音と雷鳴が轟いた。

 

 

 

戦いは序盤(オープニング)から中盤(ミドルゲーム)へと確実に移ろって行く。

 

 

 

 

 

Side Out

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Side 一誠

 

『ライザー・フェニックスさまの【兵士(ポーン)】3名、戦闘不能』

 

運動場への移動中、校内アナウンスによるライザー眷属の戦闘不能のコール。

……なるほど、木場が倒したのか……。

俺は頬を緩めながら―――――

 

 

 

 

 

―――――背後から伸ばされてくる腕を掴んだ。

 

「……木場……気配がダダ漏れだぜ?

俺が士織だったらしごかれてるぞ?」

 

「こ、怖いことを言わないで欲しいな……」

 

木場は苦笑いを浮かべながらそう言う。

俺は掴んでいた手を離し、木場が隠れていた体育倉庫の影に身を潜めた。

 

「……祐斗先輩現状は??」

 

「ここを仕切っているのは【騎士(ナイト)】、【戦車(ルーク)】、【僧侶(ビショップ)】が1名ずつの計3名だよ」

 

「そりゃ、厳重なことだな」

 

「それはそうだよ。

何と言っても体育館を文字通り落としたからね……。

こちらからの侵入を警戒しているんだよ」

 

体育館というルートを潰したからにはもう片方の運動場というルートを警戒するのが道理……それもそうか。

俺は木場と小猫ちゃんとで同行動するかを相談しようと口を開くが、しかし。

 

 

 

「私はライザーさまに仕える【騎士】カーラマイン!

こそこそと腹の探り合いをするのももう飽きた!

リアス・グレモリーの【騎士】よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!!」

 

女性の声が響きわたる。

ちらりと運動場の方を覗いてみる。

野球部のグラウンド。その中心で甲冑を装備した女性が堂々と立っていた。

……うん。アホの娘なんだろうか?

あんなこと言って出ていく奴がいるわけ……―――――

 

 

 

「名乗られてしまったら、【騎士】として、剣士として、隠れているわけにもいかないよね」

 

そう呟き、体育倉庫の影から出ていってしまう木場。

 

「……グレモリー眷属(うち)にもアホがいたぞ……オイ……」

 

「……仕方がありません私たちも行きましょう」

 

小猫ちゃんは諦めたような表情で立ち上がると木場の後を追っていく。

俺も溜息を吐きながら立ち上がり歩み出した。

 

「僕はリアス・グレモリーの眷属、【騎士】木場祐斗」

 

「……同じく【戦車】塔城小猫です」

 

「あ~……【兵士】の兵藤一誠だ」

 

木場、小猫ちゃん、俺の順番で甲冑姿の女性―――カーラマイン―――に名乗る。

カーラマインはそれを聞き嬉しそうに口の端を釣り上げた。

 

「リアス・グレモリーの眷属悪魔にお前たちのような戦士がいた事を嬉しく思うぞ。

堂々と真正面から出てくるなど、正気の沙汰ではないからな!」

 

……違います。その正気の沙汰じゃないことをしでかしたのは木場だけです。俺と小猫ちゃんを巻き込まないで下さい。

 

「だが……私はお前たちのような馬鹿が大好きだ!!!さて、やるか!」

 

剣を鞘から抜き放ち、構えるカーラマイン。木場もそれに応じるように抜刀した。

 

「【騎士】同士の戦い―――――待ち望んでいたよ。

個人的には尋常じゃない斬り合いを演じたいものなのだけど……まずはすぐに斬られないようにして欲しいな」

 

生き生きとした笑みを浮かべながら木場は挑発するように言い放った。

 

「強気な物腰も嫌いではないぞ!!

さぁいくぞ!リアス・グレモリーの【騎士】よ!!!」

 

カーラマインは踊るように斬撃を繰り出し始める。

中々の速度だが―――――木場より遅い。

打ち合いを見ているだけならカーラマインが有利のようにも見えるが、しかし、木場の表情は余裕のものだ。

 

「……様子見でもしてるのかよ」

 

苦笑いを浮かべながら、俺は腕を組み傍観の体勢を取る。小猫ちゃんも誘おうかとも思ったがあちらはあちらで【戦士】同士話しているようだ。

 

「……まったく……頭の中まで剣、剣、剣で塗り潰された者同士、泥臭くてたまりませんわ……。

カーラマインったら、【兵士(ポーン)】を『犠牲』にするときも渋い顔をしていましたし、主である【(キング)】の戦略がお嫌いなのかしら?

しかも、せっかくカワイイ子を見つけたと思ったら、そちらも剣バカだなんてついていませんわね……」

 

何処ぞのお姫様のようなドレスを着込んだ女性。確か士織から聞いたところによるとこの娘、ライザーの【僧侶】であるのと同時に妹だったはずだ。確か名前はレイヴェル・フェニックス。

俺がそんなことを考えているとレイヴェル・フェニックスが俺の方を見つめてくる。

 

「この方が……」

 

ぽけーっとした表情で頬を染めたレイヴェル・フェニックス。

 

「どうかしたのか?」

 

俺は首をかしげながらそう言う。

すると、レイヴェル・フェニックスははっとした顔になり手を振って焦ったように口を開いた。

 

「な、なんでもありませんわ!えぇ!

別に格好いい殿方だなぁなんて思っていませんわ!!」

 

「そりゃどうも。

あんたも可愛いと思うぜ?」

 

「あ、ありがとうございます―――――って違いますわ!!わ、私が先ほど言ったことを忘れなさい!!」

 

「忘れるって何をだ?」

 

「そ、それはその……」

 

「俺のことをいきなり口説いたアレか?」

 

「言わないで下さいましっ!!」

 

真っ赤になった顔を両の手の平で覆いながら恥ずかしそうにそういったレイヴェル・フェニックス。

おっちょこちょいなんだろうか?この娘は。

 

「悪ぃ悪ぃ。からかいすぎたな。

許してくれよ」

 

そう言って、レイヴェル・フェニックスの頭を撫でる。

 

「あ、あなた何をして……はふぅ~……♪」

 

気持ちよさそうに受け入れるレイヴェル・フェニックスに俺からしたことながら苦笑いを浮かべてしまう。

今は戦闘中だということが分かっていないのだろうか?

 

と、俺とレイヴェル・フェニックスが戯れていると、木場とカーラマインの戦いの流れが変わったのを感じた。

 

 

 

「残念だが、私に貴様の【神器(セイクリッド・ギア)】は通用しない」

 

カーラマインの剣は炎を纏い、煌々と燃えている。なるほど……木場の闇を纏わせた刀は折られてしまったのか……。

 

「では、僕もこう返そうかな。

―――――様子見は此処までだ」

 

「何?戯言を。

グレモリーの【騎士】よ、見苦しさは剣士としての本質を曇らせて―――――」

 

「―――――凍えよ」

 

低く唸るような木場の声の後、刀身を無くした刀に何かが集まっていく。

辺りの気温が少し下がり、木場の周りには冷気が漂い始めた。

そして、木場の刀は凍っていき、氷が積み重なっていく。氷は刀身を形作り……。

 

―――――パリィン……。

 

氷の割れる音とともに、木場の刀は氷の刃を作り出した。

 

「【炎凍刀(フレイム・デリート)】―――――この刀の前では、いかなる炎も消え失せる……」

 

「ば、馬鹿な!?

【神器】を二つも有するというのか!?」

 

木場に向かって炎の剣を横薙ぎに放つカーラマイン。しかし、その表情には余裕などなく、ただあるのは焦りのみ。

 

「……言ったよね?この刀の前ではいかなる炎も消え失せる、って」

 

木場の呟きの後、カーラマインの剣は凍りついていき、儚い音を立てながら、崩れて消えてしまった。

しかし、武器を失ったにも関わらずカーラマインは攻撃の手を休めない。

砕けてしまった剣を早々に捨てると、腰に携えてあった短剣を抜き、それを天にかざして叫んだ。

 

「我ら誇り高きフェニックス眷属は炎と風命を司る!!受けよ!炎の旋風をッ!!!」

 

カーラマインと木場を中心にして、グラウンドに炎の渦が巻き起こる。熱風を撒き散らしながら巨大化する炎の渦に気持ちよさそうに目を細めていたレイヴェル・フェニックスもふと、我に帰り眉を顰めた。

……頬が赤いのは……熱いからではないだろう……。

 

「まったくカーラマインったら……。

周りのことも考えて欲しいですわ……」

 

「まぁまぁ、戦ってない俺たちが愚痴っても仕方ないだろ?」

 

「また撫でるなんてあなたは何を……はふぅ~♪」

 

……ちょろいんだけどこの娘……。

頭を撫でるだけで無力化できるって何なのさ……。

とまぁ、そんなことを考えながらだが、再び木場たちの方へと視線を戻した。

やはり氷の刀は熱に弱いらしく、その刀身は溶けだしていた。

 

「なるほど、熱波で僕らを蒸し焼きにするつもりか……。だけど、甘いね」

 

木場は刀身が溶けてしまった刀を前に突き出すと、力強い言葉を吐き出す。

 

「―――――止まれ」

 

その一言で、場の状態が一変した。

旋風は木場の刀の方へと流れて行き、遂には熱風は止み、グラウンドがしんと静まり返ってしまう。

 

「【風凪刀(リプレッション・カーム)】、一度の戦闘で2本以上も魔剣を出したのは久しぶりだよ」

 

そう言った木場の刀は特殊な形をしていた。剣先が円状になっており、円の中心には不可解な謎の渦が生まれている。

……なるほど……アレで風を吸い込ませたのか……。

 

「……複数の【神器】。神器所有者から獲物を奪い、自分のモノにしている後天的な神器所有者か……?」

 

カーラマインの質問に木場は首を横に振る。

 

「僕は複数の【神器】を有してもいないし、後天的な神器所有者でもない。

―――――創ったのさ」

 

「創る……だと……?」

 

「そう。僕の持っている【神器(セイクリッド・ギア)】は【魔剣創造(ソード・バース)】。

僕は任意的に魔剣を創り出せるんだよ」

 

木場が指を鳴らすと、木場を中心にグラウンドから剣、刀が勢い良く飛び出した。

形状も、刀身も、大きさも全てが違うあれが全て魔剣……。なんて応用が利く【神器】なのだろうか。

 

「そうか……魔剣使い……数奇なものだ。

私は特殊な剣を使う剣士と戦い合う運命なのかもしれないな」

 

「へぇ、僕以外に魔剣使いでも居たのかな?」

 

「いや、魔剣ではない。―――――聖剣だ」

 

「―――――っ!!!」

 

その一言を聞いた瞬間、木場の雰囲気がガラリと変わったのを此処に居る全員が認識した。

……士織が心配して気にかけてたのはこれか……。

俺はレイヴェル・フェニックスを撫でるのを止め、腕を組んだ。

 

「……あっ……」

 

……レイヴェルさんや……残念そうな声を上げないで欲しい……。

俺は二つの意味で溜息を吐いた。

 

「その聖剣使いについて聞かせてもらおうか……?」

 

聖剣への恨みを持ってるみたいだな……。

俺は木場が行き過ぎた真似をしないように目を光らせる。

 

「ほう、あの剣士と貴様は因縁があるのか?

だが、剣士同士、言葉で応じるのも無粋。剣にて応えよう!!」

 

「……そうかい……。

すまないけど―――――手加減は出来そうにない」

 

目を細めた木場は刀を創り直し、構えた。

なるほど、先程までの様子見は本当に可愛いものだと感じさせるほどの覇気を感じる。

俺はそんな木場から視線を外し、背後へと移す。そこにいたのは四人の女性。

 

「……眷属全員集合か……」

 

【兵士】2名、【僧侶】1名、【騎士】1名……木場や、小猫ちゃんの方に回したら少し苦しそうだ……。

俺は今戦っている二人をちらりと見ながらそんな思考をする。

 

「ねーねーそこの【兵士】くん」

 

「ん?なんだ?」

 

「ライザーさまがね、あなたの所のお姫様と一騎討ちするんですって~。ほら、あそこ」

 

女の子の指さす方へと視線を移すと、新校舎の屋上で炎の翼を羽ばたかせる人影と黒い翼を羽ばたかせる人影が視界に入った。

……【(キング)】が一騎討ちって……戦略的には駄目だろう……。

苦笑いしか出てこなかった。

 

「お兄さまったら、リアスさまが意外に善戦するものだから高揚したのかしらね。

普通に戦えば私たちの勝利ですもの、情けを与えたのでしょう。

このままでは、対峙する前にやられてしまいそうですし?」

 

レイヴェル・フェニックスがほほほ、と口に手を当てて笑っている。

先程まで俺の横にいた筈なのだが……何故に四人の近くに居るのだろうか?しかも何故か強気……?

ともかく、現状はピンチと変わりない。

俺は【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】を出現させ戦闘態勢に入る。

 

『相棒、そのままの状態じゃ時間が掛かるぞ?』

 

(分かってる。時間をかけてる余裕はねぇからな)

 

『ならば?』

 

(あぁ、使うぞ)

 

ドライグとの短い会話を終えて俺は四人―――――【兵士】のリィ、ニィ、【僧侶】の美南風(みはえ)、【騎士】のシーリスを倒すことに決めた。

 

「……取り敢えず、リアス部長のところに行かねぇといけねぇから……倒させてもらうぜ?」

 

言って、一拍開けると右手を掲げて叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――【禁手化(バランス・ブレイク)】!!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker !!!!』

 

 

 

「「「「「「「「「なっ!!?」」」」」」」」」

 

その場にいる俺以外の全ての者が驚きの声をあげた。

俺が【禁手化】したことについて驚いているのだろう。

 

「【赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)】……力ずくで通らせてもらうぜ?」

 

俺が纏っているのは赤い龍を模した全身鎧(プレートアーマー)

全体的に鋭角なフォルムであり、力がみなぎってくる。

 

「さぁ、行こうぜ相棒!!」

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost !!』

 

「一撃で決めるッ!!!」

 

『Explosion!!』

 

「これが全力の……【拡散する龍の息吹(ディスパーション・ブレス)】ッッ!!!」

 

炸裂、そして、打ち上がる魔力球。降り注ぐ魔力の雨は先程体育館で使ったものとはレベルが違う。

先程の【拡散する龍の息吹】は相手の足止めが目的だったが……今回のものは敵を仕留めるために放ったのだ。

魔力の雨は一撃一撃が地を穿ち、そして―――――敵を確実に仕留める。

 

リィ、ニィ、美南風、シーリス、レイヴェルの5人全てを【拡散する龍の息吹】が捉え、悲鳴を上げる間もなく戦闘不能に追い込んだ。

 

 

 

『ライザー・フェニックスさまの【兵士(ポーン)】2名、【僧侶(ビショップ)】1名、【騎士(ナイト)】1名、戦闘不能』

 

少しの間を空け、アナウンスが流れる。

……1人足りない……?

俺は先程まで5人の居た方へと目を凝らした。

 

「き、規格外……ですわ……っ!!」

 

「そうか、アンタもフェニックス家の娘だもんな……不死の属性持ちだよな」

 

「当然……ですわ!!」

 

気丈にそう言うが見たところ肩で息をしてる。俺の一撃は不死のフェニックスへのダメージとしてはかなり有効なようだ。

 

「……くぅ……っ」

 

ふらりと体勢が崩れたかと思えば、レイヴェル・フェニックスは前のめりに倒れ始める。俺は地を蹴り、彼女に接近すると優しく抱きとめた。

そして、彼女の頭を撫でながら口を開いた。

 

「……お疲れ様」

 

その言葉を聞いたのだろう彼女は少しだけ微笑むと光の粒子となり消えていった。

 

 

 

『ライザー・フェニックスさまの【僧侶(ビショップ)】1名、戦闘不能』

 

そのアナウンスを聞いた俺は少しだけ振り向く。そして、出来るだけ大きな声で、

 

「木場!小猫ちゃん!ちょっと行ってくるわ!」

 

そう叫んだ。

二人はまだ戦っている最中だったが一瞬こちらへと視線を向けてくれた。

 

―――――……イッセー先輩……頼みます。

 

―――――イッセー君、頼んだよ。

 

二人が、そう、言っているようだった。

俺はニヤつく顔を何とか引き締めながら新校舎の屋上へと飛び立つ。

ここからでも見える―――――紅い魔力と炎の魔力のぶつかり合い。

ライザーの方は無傷なのに対して、リアス部長の方は服が所々破け、心なしか息も上がっているように見える。

後少し、後少しでリアス部長のところに辿り着く。

 

 

 

 

 

Side Out

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Side 三人称

 

「……もう終わりにしようリアス。

キミじゃ俺には勝てない」

 

ライザーはリアスとの間合いを取りながらそう言った。

ボロボロと言っても過言ではないリアスに対して思うところがあったのだろう。

 

「いいえ、ライザー。私は諦めないわ。

せっかく皆が頑張ってあなたを追い詰めているのよ?

(キング)】である私が諦められるわけが無いわ!!」

 

意志の固い、芯の通った光を宿したリアスの瞳。ライザーはそれを見てこれ以上言っても意味が無いのがわかったのか、口を開くのを止め、片手を上げた。

 

「……なら、この一撃で終わろう。

倒れていった眷属たちの思いも背負った【王】の攻撃だ」

 

ライザーの上げられた片手の上に炎が渦巻き球体を作り出す。

ジリジリと皮膚を焼くような熱さにリアスも顔を歪めた。

 

「くっ……!!」

 

何とかしてそれに対応しようとするリアスだったが―――――魔力が足りない。

ライザーとの打ち合いで使い切ってしまったようだ。

 

「チェックメイトだ、リアス」

 

何もできないリアスは悔しそうにその言葉を聞く。そして、ライザーはそんなリアスに向けて、炎の球体を、放った。

 

―――――迫り来る絶望の炎球。

 

―――――対処不能の現状。

 

―――――奇跡を願うしかできない状態。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――そのチェックメイト待った」

 

そんな、詰んだ状況で現れたのは、赤い鎧を身に纏った、一誠だった。

一誠は右腕を振りかぶり―――――

 

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!』

 

 

『Explosion!!』

 

 

―――――炎球を殴りつけた。

 

一誠の拳を中心に弾ける炎球。

リアスとライザーは目の前で行われた現象を目を見開いて見つめた。

一誠はそんなことを気にしないふうにリアスの方へと歩み寄り、兜部分のマスクを収納させて微笑みかける。

リアスは一瞬戸惑ったような表情を浮かべたがすぐに嬉しそうな笑みへと変化した。

 

「……イッセー」

 

その呟きに一誠はこくりと頷き―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――リアスの両の頬を両手で摘んだ。

 

「い、いひゃい!いひゃいわよぅ!」

 

「アホなんですか部長?

あなたが、【(キング)】が倒されたら負けなんですよ?分かってますかそこんところ」

 

「わ、わかっひぇるわよ!」

 

「だったらなんで一騎討ちなんかしてるんですか?やっぱりアホでしょ?馬鹿なんでしょ?」

 

一誠は微笑みを浮かべたままリアスの方を抓る。最早涙目のリアスの姿に置いてけぼりになっているライザーは絶句していた。

 

「しかもボロボロじゃないですか!

魔力も空になってるし……本当にチェックメイト寸前ですよ!?」

 

「わ、わかっひゃから……もぅはなひてぇ~……」

 

こんなに弱々しい表情の彼女が凛とした表情を浮かべるだなんて誰も想像できないだろう。そう言えるほどにの表情をリアスは浮かべていた。

 

「お、おい?

そろそろ離してやったらどうだ?

敵側の俺が言うのもなんだがそれは酷くないか……?」

 

ライザーも流石に我に帰ったのか引き攣った表情でそう言った。一誠はその一言を聞くと一瞬だけ考えるとリアスの頬を離した。

 

「い、痛かったわ……」

 

そう言いながらリアスは頬を撫でる。

 

「だ、大丈夫か?リアス」

 

ライザーはそんなリアスを見ながら心配そうに口を開く。

一誠はそれを見ながら一言。

 

 

 

「……しまったグダグダだ」

 

 

 

登場はカッコイイものだった筈なのに、完璧に不意にしてしまった一誠の行動だった。

 

 

 

 

 

 

 




本編はいかがでしたでしょうか??
楽しんでいただけたのなら幸いです♪

今回は9千字となかなかの量を書いてしまいました(笑)
私自身も文字数を見て驚いてしまったのです(笑)

次回がレーティングゲーム最終話となる予定ですが……終わるのでしょうか……(苦笑)

夜鶴シリーズを早く書いて欲しいと言ってくださる読者様もいらっしゃるので……そろそろ手をつけようかとも思っているのですよっ!!


さてさて、雑談なのですが……。
そろそろ2月14日!!
男性の皆さんはお楽しみのバレンタインデーです♥
私はどんなチョコレートを作って誰に渡そうか……まだまだ悩み中なのです(苦笑)
驚いたことに、兄は毎年チョコレートをかなり貰って来るので渡さなくてもいいような気がするのですが……ついつい渡してしまいます(苦笑)
やはり喜んでもらえると嬉しいですよね♪


さてさて、また次回お会いしましょう♪
皆さん良いバレンタインデーを♥

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