ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~   作:夜叉猫

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初めまして皆様。
私は夜叉猫と申します。

そして、前作から読んで下さっている皆様。
更新が遅くなって申しわけありません……。

これからはゆっくりですが、この新作を入れた三作品で頑張って行きますのでどうぞ宜しくお願い致します。


それでは早速本編をどうぞ♪


〜転生無敵のシオリ〜
~プロローグ~


黒い黒い底知れない闇が辺りに広がる。

 

―――嗚呼、寒い……。

 

目が、耳が、口が、鼻が、身体が、本来の機能を果たさない。

しかし、感じる―――『寒さ』。

 

―――嗚呼、怖い……。

 

何も感じない筈なのに襲ってくるこの『寒さ』。

それがとてつもなく『怖い』。

そもそも何故こんなことを考えられるのかも分からない。

機能を果たさない筈の自分の身体。

なのに思考という行為を行うことが出来る。

 

―――嗚呼、助けて……。

 

誰でも良い。何処でも良い。

それこそ地獄でも良いから此処から連れ出して……!!!

此処に居たら……自分が自分でなくなってしまう気がするから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そしてそんな時、眩い一条の光が差した。

黒い黒い底知れない闇の中にも関わらずその光は弱まることなど無く力強くその存在を主張し続けている。

 

―――嗚呼、暖かい……。

 

機能を果たさない筈の身体。

しかし、自分は確かにその光に向かって手を伸ばした。

 

―――そこに『俺』を連れて行って……!!!

 

差し込む光の原点。

『俺』はそこに向かって一心不乱に手を伸ばした。

 

―――暗闇(ここ)は嫌だ……『俺』は陽だまり(そこ)に行きたい……っ!!!

 

届かないのは分かっているが『俺』は諦め切れない。

どうしても陽だまり(そこ)に行きたいのだ。

 

―――嗚呼、神様……。

 

―――『俺』の願いを聞き届けて下さいませんか……?

 

―――最初で最後のお願いですから……。

 

『俺』は必死に手を伸ばしながらそんな言葉を頭に浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『良いよ。そのお願い叶えてあげる』

 

 

 

突然響いた優しい声。

それと同時に今まで感覚の無かった自分の手に暖かい何かが触れた。

その瞬間『俺』は引っ張りあげられる感覚を感じた。

そして『俺』は――――――――――

 

 

―――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「―――――はっ……!?」

 

引っ張りあげられる感覚を感じたのも束の間、俺は目を開いた(・・・・・)

 

視界に映るのはそこはかとなく安心感を感じる和室。

 

静かだが微かに揺れる風鈴の音が聴こえる。

 

口が開き、懐かしい香りが鼻をくすぐる。

 

脚に力を入れれば立ち上がることも、腕を組むことも、首を回すことも何の問題もなく出来る。

 

―――嗚呼、嗚呼、嗚呼。

 

目が、耳が、口が、鼻が、身体が、本来の機能を果たしている。

 

「……嗚呼、なんて素晴らしい事なんだ……」

 

ツゥっと頬を涙が流れた。

『普通』とはなんと素晴らしい事なのだろう。俺はそんなことを思った。

 

 

 

「―――感動しているところ悪いんだけど……良いかな?」

 

「っ……!?」

 

突然背後から声を掛けられる。

俺は直ぐに後ろに視線を向けてその声の主を確認した。そこには―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、そんなに警戒しないで良いよ。

別に危害を加えるつもりは無いからね」

 

 

―――にこにこと笑う一人の少女がいた。

 

 

和服を着こなし羽織りを纏っている少女はそう言うと俺の前に腰を下ろした。

 

「……君は一体誰だ?」

 

「それを語るのも吝かじゃないけど……まずひとつ聞かせてくれないかな?」

 

少女は真面目な表情を浮かべると、ひとつ息を吐いて口を開いた。

 

 

 

「―――キミは自分が『死んでいる』と自覚しているかい?」

 

「……え……??」

 

一瞬思考が止まった。

俺が『死んでいる』……?

この少女は何を言っているのだろうか……?

 

「……その様子だと自覚していないみたいだね……」

 

少女は頭に手を当てると呟く様にそう言った。

 

「それじゃぁ、俺の正体云々の前に今のキミの『立ち位置』についてを話すことにしようか」

 

少女は立ち上がるとこほんと咳払いをして説明をし始める。

 

「まずそもそもなことだけど、キミは既に死んでいるよ?

その証拠に―――自分の事を思い出してみて?」

 

俺は少女に言われた通りに自分の事を思い出そうとする。

しかし―――――

 

 

 

「―――あれ?何にも思い出せない……?」

 

自分の名前も歳も家族も友人も何も思い出せない。

俺が何故?という思いを込めて少女を見詰めると、

 

「死者の魂にはしばらくの間は記憶が刻まれている。だけどそれは本当にしばらくの間だけなんだよ。

記憶は時期に薄れていき、完璧に消える。

そうなってしまうとその魂は真っさらの状態となり、次の輪廻の環に乗ることになる」

 

淡々と少女は語った。

何と言うか、難しい話であったが何とか理解することが出来る。

 

「キミがいた暗闇の空間はそんな輪廻の環に乗る寸前(・・)の魂が集まる場所だよ?」

 

「ということは俺が俺でなくなる寸前だったのか……危ない危ない……」

 

俺は胸に手を当て、ほっと息を吐き少女の言葉に安堵する。

 

 

 

「キミ、自分がどれだけ特殊なのか分かっているかい?」

 

少女は俺の方を真剣な目で見詰めながらそう言った。

 

「え?何が?」

 

「……キミがいたのは輪廻の環に乗る寸前の魂が集まる場所だよ?

ということは、記憶が無くなり真っさらの状態の筈なんだ。

なのにキミは自分の『意思』で『考え』であの場所から出たいと『願った』。

普通の魂ならまず自分の『意思』を持つことすらできない……」

 

「……えっと、つまりどういうこと?」

 

「簡単にいえばあそこではただ魂が浮いているだけの筈なのに君だけは生きている時と何ら変わらない事をすることが出来たということだよ。

まぁ、流石に記憶は消えていたみたいだけどね……」

 

少女はよく意味が分からなかった俺にわかり易く説明をしてくれる。

つまりは俺は少女から見れば異常なのだろう。

 

「まぁ、ともかくキミの立ち位置は『不思議な魂』って事だよ」

 

少女は再び俺の目の前に腰を下ろして最後にそう締めくくった。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

「そろそろ君についてと此処は何処なのかについて教えてくれないか?

とりあえず俺が死んだって事はどういう形にしろ納得はしたからさ」

 

俺は少女に向かってそういった。

何となく分かったような気はするが一応確認も兼ねて直接聞いた方が良いだろう。

 

「ん。そうだね。

それじゃぁ、簡単な自己紹介でもしようかな」

 

少女は俺の言葉にそう反応するとゆっくりと間を開けて口を開いた。

 

 

 

「俺は俗に言う『神様』という存在だね。

まだ神様になってから日は浅い方だけど一応最強の神様として君臨している。

そして此処は俺の……【神の間】。

簡単に言えば俺の作った俺の為の空間みたいなモノだよ」

 

少女は淡々とまるで当たり前のようにそう語った。

まるで夢物語のような内容に俺は我が耳を疑う。

 

「神様って……何それ冗談?」

 

「うん……そんな反応が妥当だろうね……」

 

―――でも事実なんだよ。

少女は苦笑いを浮かべながらそういった。

 

「というよりキミ、記憶を完全に無くしてる訳じゃないみたいだね……それなら修復できるかも……待ってて……」

 

少女はそう言うと俺の額に手を当てると目を瞑った。

その整った顔立ちにどぎまぎしたのは秘密だ。

 

―――しばらくの後、俺の頭の中に何かが流れ込んでくるような感覚を感じた。

少女はその感覚が収まると成功したみたいだねと言ってにこりと魅力的な笑みを浮かべる。

 

「そうみたいだね……。

何と言うかちょっと変な感じはするけど……」

 

何と言うのだろう、記憶を辿るとそれはまるで映像を見ているような感覚がするのだ。

 

「まぁ、記憶が突然流し込まれればそんな感覚もするだろうね……」

 

「ちょっと混乱するけど……ありがとう俺の記憶を直してくれて」

 

俺は少女に頭を下げる。

何せ大切なモノを俺に返してくれたのだから。

 

記憶(それ)は元々キミのモノだからね。

それに思い出は……大切な宝物だよ」

 

少女は昔を懐かしむかのようにそう言った。

しばらく沈黙が続き、突然少女がパンと柏手を打つ。

 

 

 

「さて、物は相談なんだけど……キミ、転生してみる気は無いかな?」

 

首をこてんと倒しながら少女はそう言った。

 

「転生?」

 

「そうそう転生。

実は俺誰かひとり転生させてくださいって他の神様から言われててね……。一応その転生させるのに相応しい人をというか魂を探してたんだ」

 

少女は腕を組むと難しそうな顔をしてそう口にした。

 

「そんな時にキミが現れたって訳だ」

 

「……えっとつまりタイミングがいいから君転生しない?ってことか?」

 

「タイミングが良いっていうのもあるけどキミなら転生させても良いなって俺が思ったからだよ」

 

少女は俺を指さしながらウインクをひとつした。

 

(しかし、転生……所謂【神様転生】って感じかな?

確かに俺が生きてた頃はそういうのが大好きだったみたいだけどまさか自分が体験するなんて思いもしなかった……。

というか俺の記憶を辿ってるとなかなかオタクだったんだなって思わせられる……。

ん?もしかして……)

 

俺は少女の容姿をしっかりと確認する。

 

「どうかしたかい?」

 

少女は俺の視線に気がついたのか疑問の表情を浮かべながらそういった。

 

「いや、ちょっと自分の記憶を辿ってたら君の姿を見た気がしてね、よくよく考えたら君の姿って【空の境界】の両儀式と同じじゃないか」

 

「あはは……まぁ、姿はそうだけど気にしないで?一応別人だから」

 

少女は苦笑いを浮かべながら俺の言葉に返す。どうやら少女も【空の境界】を知っているようだ。

 

「それでそろそろ答えを聞きたいんだけど……?」

 

「あ、あぁ、答えね。

それなら―――良いよ。

むしろさせてもらいたいとこっちから頼みたいくらいだ」

 

俺がにっと笑いながら言うと少女は良かったという表情を浮かべて口を開いた。

 

「そうかい!

それなら話は早い。

早速色々なことを決めていこうか!」

 

そういった少女はぱちん、と指を鳴らす。すると周りの風景が一瞬にして変わり、辺り一面真っ白な空間になった。

俺が辺りをキョロキョロと見回していると、

 

「流石にあの場所は俺のプライベートルームだからね。

転生とかいう真面目な話は本来の場所で話さないと」

 

少女が親切にもそう言ってくれた。

 

「さて、まずはキミの転生する場所だけど……勝手ながら俺が決めさせてもらうよ。

転生先は【ハイスクールD×D】の世界。

内容は……知ってるかな?」

 

「あ、うん。

大丈夫だ。その小説なら俺が生きている時に大好きだったヤツだから」

 

「そうかい。なら原作知識は要らないね……。

おっと、先に言わせてもらうけどもしかしたら原作知識というものは役に立たないかもしれないからね。

キミが行くのはあくまで【ハイスクールD×D】の世界に似た場所だからさ」

 

それから少女は世界についてのことと俺の立ち位置について親切に説明してくれたのだった。

 

 

 

 

「なるほど、つまりはあんまり原作知識を頼りにしてると失敗するかもしれないんだな?」

 

「……簡単に纏めたね……まぁ、簡単に言えばそう言う事だよ」

 

少女はそう言うと少しだけ溜め息を漏らした。

どうやらあんな親切に説明をしたのにまさか此処まで短くされるとは思わなかったのだろう。

 

「ちなみに俺って何か転生特権とか貰えるの?」

 

流石にごくごく普通の一般人である俺が何の能力もなくあの世界に行ったら軽く死ねる気がするのだ。

 

「勿論だよ。

ちなみに聞くけどキミは無双してみたい人かな?」

 

「無双ね……確かにしてみたいな……」

 

こう、強いキャラを軽く捻るってみたいなことは正直やってみたい。

 

「ん。分かったよ。

じゃぁ、キミのスペックと能力はこんなものでどうかな?」

 

少女はそう言うと指をぱちん、と鳴らして虚空から紙を出現させた。

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○

 

容姿

【デート・ア・ライブの五河 士道】

 

身体能力

【世界最強と同じ程度】

 

魔力などの力

【一応無限だがリミッターを掛けるのは自由】

 

能力

【五大元素を操る能力】

【デート・ア・ライブに登場する精霊の力を使える能力】

【FAIRY TAILの魔法の知識】

 

備考

もしリクエストがあるのならどうぞ。

 

○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

「チートだねぇ……」

 

俺はその紙に書かれた事を読み上げるとついついそんな言葉を漏らしてしまった。

 

「キミが無双してみたいと言ったからね」

 

「それもそうだね……」

 

確かに自分が言ったことだがまさか叶えてくれるとは思わなかったのだ。

 

「ちなみにだけどこれに変更を加えることは可能か?」

 

「良いけど流石に行き過ぎだと思ったら俺が止めるからね?」

 

「了解。んじゃまずは―――――」

 

俺は少女を交えて自分の魔改造について話し合い始めた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「良し。とりあえずはこんなものだな」

 

「結構悩んだみたいだけどイイ感じにバグキャラになったね」

 

「まぁ、無双したいのならバグキャラにならざる負えないだろ?」

 

俺が少女に向かって笑いながらそう言うと、少女は瞳を閉じてふっ、と笑った。

 

「それじゃぁ、そろそろ転生してもらおうかな……。

ちなみにキミはいつの時間軸にどんな条件で送られたい?」

 

「そうだな……その辺は任せるよ。

俺が変に指定しても失敗しそうだしな」

 

「ん。了解したよ。

それじゃぁ、今から送るけど何か言いたいこととかあるかい?」

 

俺のリクエストを何も言わず叶えてくれる少女はそう言って俺を見詰めた。

 

「そうだな……じゃぁ、最後に君の名前教えてよ」

 

「ん?あぁ、そう言えば名乗って無かったね……良いよ教えてあげる」

 

少女は咳払いをすると俺を見詰めながら口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は【神々を司る神(シラヌイ)】。またの名を【不知火(しらぬい) 夜鶴(よづる)】。

一言でいうなら――――

――愛すべき者を幸せにする神様って所かな?」

 

「ワァォ……なんだか凄い神様なんだな。

何はともあれ、ありがとう夜鶴。

これからも宜しくな」

 

俺が少女―――夜鶴―――にそう言うと俺の身体は白い光に包まれる。

そして、意識は暗いながらも暖かいところへと落ちていった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

 

「ふぅ……初めて転生させたけど……まぁ、意外と疲れないものだね」

 

俺はそう言いながら首をこきっと鳴らす。

そして、いつも通りの和室の空間に戻した。

 

「ん~……!!

やっぱり此処が落ち着くね」

 

畳の上に寝転がり、背伸びをする。

ほのかに香る畳の匂いと風鈴の音は癒しを運んでくれる。

 

「後は此処に―――――」

 

俺は自らの愛する者たちの顔を浮かべる。

しかし、そんな中でもやはり彼女が頭の中で一番最初にそして長く浮かび続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――私が居れば完璧ですか?」

 

突然俺の頭の上から声が聞こえた。

俺はにやける顔を隠そうともせず起き上がるとその声の主を抱えて自分の胡座の上に座らせる。

 

「正解だよ―――――オーミ」

 

そしてその頭を優しく撫で、彼女という存在を愛でる。

 

「ふふふっ……。くすぐったいですよ夜鶴。

でもやっぱり気持ちいいです……」

 

そう言ってオーミは俺の胸に擦り寄る。

 

「やっぱりオーミが一番だね……」

 

俺はそんなオーミを抱きしめてそうつぶやいた。

そして、先ほど転生させたばかりの少年のスペックを書いた紙をひとまず放るとオーミとのひと時を存分に堪能するのだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○

 

容姿

【デート・ア・ライブの五河 士織バージョン】

 

身体能力

【世界最強と同じ程度。

しかし、基本的にはリミッターで上級悪魔よりも強いレベルで制限している】

 

魔力などの力

【一応無限だがリミッターを掛けるのは自由】

 

能力

【五大元素を操る能力】

【デート・ア・ライブに登場する精霊の力を使える能力】

【FAIRY TAILの魔法の知識】

【不知火式の知識】

 

備考

・【神々を司る神】とのコンタクトを取ることが出来る。

・成長限界が無し

 

○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編の方はいかがでしたでしょうか?

今日原作を10巻まで買いましたが……やはりこの作品も私は好きですね♪

スランプもある程度は抜け出して来ていますので早く続きを書いていきたいと思いますっ!!!
皆様、暖かい目で見守って下さいませっ!!!


それではまた次回お会いしましょう♪

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