ハイスクールD×D~チートが転生させたそうですよ?~ 作:夜叉猫
最近私のメンタルが豆腐だということに気付かされました……(涙)
ともかく、本編をどうぞ……(º﹃º )
Side 士織
フリード・セルゼンとの戦闘を終えた俺たちは祭壇の下に隠されていた地下階段を降りていた。
「…………」
誰一人として口は開かない。
先頭を黙々と突き進む一誠に置いていかれないようにただ進むのみだ。
階段を降り着れば奥へと続く長い一本道、そしてそれに隣接するように数多くの扉が存在した。
一誠はその隣接する扉には目も呉れず奥へと進んでいく。まるで自分の目的のモノの場所が分かっているかのように……。
(……いや、分かってるんだろうな……)
迷いのないその歩みを見ているだけでそれが分かった。
最奥に設置された巨大な扉。その前に到達した一誠は一瞬歩みを止める。
そして、はぁ……っと息を吐くと顔を上げ、扉を押し開けた。
見えてくる部屋の中には光の刃を展開させた剣を手にしたたくさんの神父とその先頭にいる―――――四人の堕天使。
「―――――やぁ、夕麻ちゃん。
久し振り、元気だった?」
一誠は一人の堕天使に向けてそう言葉を発した。その顔には優しい微笑みが浮かぶ。
声を掛けられた堕天使は今にも泣きそうな顔で口を開く。
「―――――うん。元気だよ一誠君……」
それを聞いた一誠が再び口を開こうとしたがそれは隣の堕天使に遮られてしまった。
「これはこれはお初にお目にかかる。
我が名は【ドーナシーク】という」
紺色のコートを身に纏った男性の堕天使は丁寧に頭を下げ名乗る。
「―――さて、物は相談だが……ソレをこちらに渡してくれは貰えないだろうか?」
頭を上げた男性の堕天使―――ドーナシーク―――はアーシア・アルジェントの方を指さして言った。
「大人しく渡してくれれば我々も手荒な真似はしないでおいてやろう」
「うわぁ~ドーナシーク甘々~。
そんなの聞かずに無理矢理奪っちゃえばいいじゃ~ん」
黒のゴスロリ服を着た金髪ツインテールの少女はアハハハハと声を出して笑う。
「全くだ。
ミッテルトの言う通りそんな面倒臭いことをするなドーナシーク」
胸元の強調された黒いボディコンスーツの女性の堕天使は腕を腰に手を当ててにやりと笑う。
「そう言ってやるなミッテルト、カラワーナ。
見てみろ先頭の小僧に至っては俯いたまま動かぬではないか」
「うわぁ~ダッサーい」
「怖がらせ過ぎたか?」
3人の堕天使は馬鹿にするような笑みを浮かべて笑う。
それを見た木場と小猫は顔を歪め飛び出そうとした。
「……まて木場、小猫」
しかし、俺はそんな二人の肩を掴み行動を阻害する。
「なんで邪魔するんだい兵藤さん!!
あんなに馬鹿にされておいて悔しくないのかい?!あなたの弟だろう!?」
「……流石にあれはカチンときました」
二人は俺の行動に反発し、何故そんなことをしたのか分からないようだ。
俺は瞳を閉じて、ゆっくりと口を開く。
「悔しい?何を言ってんだ。
俺には―――――負け犬の遠吠えしか聞こえてこないな」
「「「……負け犬の遠吠え……?」」」
俺の言葉に堕天使3人が反応する。
天野夕麻―――レイナーレ―――は目を閉じて微動だにしない。
「俺の弟―――――舐めんじゃねぇぞ?」
『Explosion ! !』
―――――瞬間。
一誠から感じるオーラの質が跳ね上がった。
(このレベルなら……倍加20回分ってところか?)
俺はついつい微笑みが浮かんでしまう。
着々と強くなっているんだという思いが浮かぶのだ。
「な、なんだこの魔力の波動は?!」
「上級……いや、最早最上級の悪魔と……同等……!?」
「こ、これってヤバくね……?」
慌て始める堕天使たち。
レイナーレですら口に手を当てて驚いている。
「―――――ごちゃごちゃうるせぇな……。
俺は今機嫌が悪いんだ……」
一誠は一歩一歩ゆっくりと進んでいく。一誠から感じるその魔力の波動は重圧となり堕天使たちを襲う。
堕天使たちは膝を付く程度で済んでいるがそれよりも下級の存在である神父たちは床に沈んでいる。
「今アーシアを『ソレ』って言ったか?言ったよな?
テメェらきちんと名前で呼べよ。何物扱いしてんだよ」
拳を握り締め、顔を前に向ける。
後ろから見ている俺にはその表情は見えないが恐らく憤怒に歪んでいるのだろう。
「しかも目的がアーシアの【神器】を抜き取ることだと……?
ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!!」
赤い―――――龍のオーラが一誠を包む。
堕天使3人はガクガクと体を震わせながら後ず去っていく。
「な、何なのだ貴様っ!!!
ただの人間かと思えば最上級悪魔並の魔力の波動を……!!」
ドーナシークは顔を恐怖で歪めながら口を開く。ミッテルト、カラワーナに至っては互いの体を抱き合って震えていた。
一誠は立ち止まりバスケットボール大の魔力球を作り出す。
「―――――赤龍帝、兵藤一誠だ憶えておけ……っっ!!!!!」
一誠はそれを叫ぶと魔力球を殴りつけ、極太のレーザーを放つ。
レーザーは3人の堕天使を飲み込み、彼方へと消えていった。
―――――かのように見えた。
「「「………………」」」
実際は一誠の放ったレーザーは堕天使たちに当たる直前で上方にそれたのだ。
故に当たる事無くレーザーは消えていった。
しかし、堕天使3人はあまりの恐怖に気絶している。
一誠はそれで満足したのか首をコキコキッと鳴らすと【
「あぁ~~~っ!!
スッキリしたぜ……」
ニコニコとした人懐っこい笑みを浮かべた一誠。
全く……殺していない所が一誠らしい……。
こちらにやって来た一誠に小猫は無表情で口を開いた。
「……えげつないです」
「た、確かにあんな攻撃されたら……ね……?」
木場までも苦笑いを浮かべている。
「あ、当ててねぇだろ?!」
「……当てていなかったとしてもアレはトラウマものです」
「少なくとも僕はアレを喰らった後兵藤君に平常心で会える自信がないよ……」
「酷ぇ!!?」
一誠は笑いながらそんなことを言った。
そして、今度は俺の方を向いてにやりと笑う。
俺はそれに対してふっ、と笑うと片腕を上にあげる。
「やってやったぜ!!」
「まぁ、ナイスだったぜ……」
一誠は嬉しそうな表情を浮かべて勢い良く近づいてくると、俺の手を綺麗に叩き、ハイタッチを決めた。
―――――閑話休題。
「さて……やっとゆっくり話ができるね……夕麻ちゃん……」
一誠は今までただ立っているだけだったレイナーレに向けて声を掛けた。
レイナーレは顔を俯かせながらコクリと頷く。
「単刀直入に聞くけど……何の為にこんなことをしたの?」
一誠の言葉にレイナーレはびくっと体を震わせる。そしてゆっくりながら口を開いた。
「……私、弱いから……もっと、強くなりたかった……」
「だからって……」
「分かってるっ!!
……でも、それしか考えつかなかったの……」
レイナーレは涙を流しながら言葉を続ける。
「初めは……何の躊躇いも無く出来ると思ってた……。
でも、アーシアちゃんを見ているうちに……アーシアちゃんと一緒にいるうちに……『あぁ、駄目だ……』と思ったの……」
一誠は無言でレイナーレの瞳を見つめながら話を聞く。俺たちもそれを静かに聞き入れた。
「こんな優しい娘から【神器】を取り出して私の力にするなんて……出来なかった……。
でも引こうにも引けないところまで来てしまってたの……」
レイナーレはそう言うとアーシア・アルジェントの方へと近づいて行く。
「ごめんなさいアーシアちゃん……。
私……貴女を殺そうとして……っ!!」
深く、深く頭を下げて震える声で謝罪をしたレイナーレ。
「許されるとは思っていないわ……でも……」
「―――――頭を上げてくださいレイナーレ様」
アーシア・アルジェントは頭を下げているレイナーレに手を差し伸べて優しく口を開く。
「……私は今生きています。
それにレイナーレ様が此処に連れて来てくれなかったらイッセーさんたちに会えませんでした」
レイナーレはアーシア・アルジェントの話を頭を下げたまま聞いていた。
「だから許します。
私はレイナーレ様を許します」
まさに聖母の微笑。
アーシア・アルジェントの微笑みはそう言わしめる程の物だ。
「あり……がとう……っ!」
頭を下げたままレイナーレはそう口にする。ぽたぽたと流れる涙は床に落ちていった。
しばらく経ち、何とか涙を止めたレイナーレが一誠の元へと歩み寄る。
「……一誠君……」
「何?夕麻ちゃん」
優しい声音で返事をした一誠。
レイナーレは一誠の胸に顔をうずめ、震えた声で言った。
「私を―――――殺してくれる?」
場の空気が―――――凍った。
一誠は引き攣った顔で自分の胸に顔をうずめているレイナーレへと視線を落とす。
「な、何を……言ってんだ……?」
「……私たちは独断で行動してるの……。
もし、【神器】を抜き取ろうとしていたことがバレたら……確実に処罰を受けるわ……それも一番厳しいものを……」
一番厳しい処罰。
それはおそらく―――――
「―――――処刑か……」
「……えぇ」
俺の呟きにレイナーレは弱々しい声でそう答えた。
「だから……どうせ死ぬのなら……愛しい人の腕の中で、死にたいわ……」
一誠の服をギュッと掴んだレイナーレ。
一誠はそんなレイナーレに迷うことなく、
「―――――断る」
はっきりとそう告げた。
「ッッ……!!!
そ、そうよね……ごめんなさい一誠君……」
レイナーレは体をびくっと震わせるとそう言って一誠から体を離れさせる。
そして、一歩下がると見ただけで無理矢理だと分かる笑みを浮かべた。
「さようなら一誠君……」
レイナーレはそれだけいうと一誠に背を向けて残りの3人の堕天使の元へ歩みだす。
「―――――何勘違いしてるの?」
一誠はそんなレイナーレを背後から抱き締めるとそういった。
「……え……?」
「断るとは言ったけどそれは夕麻ちゃんを殺すのを断ったんだよ?」
一誠はレイナーレを抱き締めながら言葉を続ける。
「夕麻ちゃん何もしてないだろ?
だから死ななくて良い。
―――――俺と一緒に来ないか?」
レイナーレはその言葉を聞くと体を震わせた。そして少し頭を下げると口を開く。
「……一誠君を殺したわ……」
「それは夕麻ちゃんが殺したわけじゃない。やったのはドーナシークっていう堕天使だ」
「……アーシアちゃんを苦しめたわ……」
「ついさっき許してもらったよな?」
「……私堕天使よ……」
「俺は人間だな」
「……一誠君の方が先に死んでしまうわ……」
「なら俺は悪魔にでも天使にでも堕天使にでも、何にでもなってやるよ」
レイナーレの言う言葉を即座に返す一誠。
その言い合いを繰り返す度にレイナーレの体の震えは大きくなり、声は掠れた。
「何の問題も無いだろ?
もう一回言う。
―――――俺と一緒に来ないか?」
レイナーレは一誠の回された腕を掴んで言った。
「―――――はい……」
その声は涙で震えとても聞き取れるモノではなかった。しかし、何故か不思議ととても綺麗なモノに聞こえた。
レイナーレはその場に泣き崩れ、一誠はその震える体を優しく包み込んだ。
「あらあら、うふふ……。
何やらいい雰囲気ですわね……」
「……姫島先輩か……。
随分と遅かったな?」
俺の隣に巫女服に身を包んだ姫島先輩が現れる。
「うふふ……外にいた悪い子たちにお仕置きしてたら遅くなりましたわ」
「……さいですか」
俺はそう言ってもう一人の先輩にも声をかける。
「グレモリー先輩はそんなところで何をしているんだ?」
俺たちの背後―――――とは言っても入口の扉近くだが―――――でグレモリー先輩はこそこそとこちらを見ていた。
俺に声をかけられたからかびくんと体を震わせるとこちらに歩んでくる。
「な、なんでもないわ」
「まぁ、取り敢えず……お疲れ様」
俺はそれだけいうとまた、一誠たちの方へと視線を戻した。
子供のように涙を流すレイナーレをあやすように一誠はその頭を撫でている。
俺と姫島先輩、グレモリー先輩は微笑ましいものを見るように、木場と小猫は何処か驚いたような、しかし、優しい瞳でそんな二人を見つめていた。
「……グレモリー先輩」
「何かしら?」
「あの堕天使たちを引き渡す時に――――――――――と言って貰えないか?」
「……分かったわ。
あなたがそう言うのなら伝えておいてあげる」
「助かるよ」
こうして騒がしい夜は明けていった。
イレギュラーはこれからも続くだろう。
本編はいかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです!
さてさて、雑談ですが……。
やっと1巻の内容が後一話、エピローグで終わりそうです!!
2巻は結構書きやすそうなのでがんばります!
それにしてもみなさんは評価をどういう基準でつけていらっしゃいますか?
私は評価を付けるときに自分が出来るかどうかを考えて私が出来なかったり、面白ければ5以上、逆に私ならもっと出来るや、面白くなければ5以下としています。
以前小説を書いている友人にそういうのは大切だと言われて気をつけているのです……(苦笑)
さてさて、それではまた次回お会いしましょう♪*゚