遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第7話 不動のデュエル

権現坂と刃が対峙する中、修造は目を閉じてフィールドを何にするか考え始める。

負ければ終わりな決戦の舞台にふさわしいフィールドを選ぶことで権現坂へのエールとしたいのだ。

「(刃…刀…剣…)よし!!ならばこれだ!!アクションフィールドオン!フィールド魔法《剣の墓場》!」

枯れ木と無造作に野に捨てられている刀の数々。

戦国時代の古戦場を舞台としたフィールドで権現坂と刃はぶつかり合う。

「権現坂君!この《剣の墓場》で刀堂刃を葬るんだ!」

「よーーし!じゃあ、今度は私と翔太君でデュエル開始の宣言を…」

「な…!?お…俺も!?」

「当たり前だよ!ほらほら、私がちゃんと教えるから…」

「ふう…仕方ないな」

そして数分である程度頭に叩き込むと、2人はデュエル開始の宣言をする。

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!!」

「モ…モンスターと共に…地を蹴り宙を舞い」

「フィールド内を駆け巡る!」

(な…何だ?このすごい温度差は…)

元気いっぱいな伊織に対して、少し淡々としている翔太。

これでいいのか?という周囲の空気をよそに、宣言は続く。

「見よ!これがデュエルの最終進化系!」

「…アクション」

「「デュエル!!」」

 

権現坂

手札5

ライフ4000

 

手札5

ライフ4000

 

「先攻は俺だ!俺は手札から《超重武者カブ―10》を召喚!」

大鎧と茶色い両手槌を装備した重量感のある人型機械が現れる。

 

超重武者カブ―10 レベル4 攻撃1000

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

権現坂

手札5→4

ライフ4000

場 超重武者カブ―10 レベル4 攻撃1000

 

手札5

ライフ4000

 

「おいおい、攻撃力がたった1000のモンスターを召喚しただけでターン終了かよ!?」

「本当に強い男は無駄に動かんものよ」

「へっ!好きにしてろよ、この木偶の棒が!俺のターン、ドロー!」

 

手札5→6

 

「俺は《XX-セイバーボガーナイト》を召喚!」

レイピアを持ち、赤いマントと機械で改良された鎧を着たゴブリンの戦士が現れる。

 

XX-セイバーボガーナイト レベル4 攻撃1900

 

「このカードの召喚に成功した時、俺は手札からレベル4以下のX-セイバー1体を特殊召喚できる。俺は手札からチューナーモンスター、《XX-セイバーフラムナイト》を特殊召喚!」

ビームの鞭に変形できる機械の剣と両腰にXXと描かれた楯のような飾りのある鎧、そして赤いマントをつけた金髪の若者が現れると、《XX-セイバーボガーナイト》と刃をぶつけ合う。

 

XX-セイバーフラムナイト レベル3 攻撃1300(チューナー)

 

「チューナーモンスター?それって、翔太が持っていた…」

「ああ。シンクロ召喚には必ず必要となるモンスターだ。シンクロコース所属の彼が持っていても当然だ」

「この瞬間、《超重武者カブ―10》の効果発動!」

権現坂の宣言等同時に、《超重武者カブ―10》が両手槌を地面にたたきつける。

すると、そのモンスターの周囲に岩石の壁が出現した。

「相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、俺のフィールドの超重武者を守備表示にし、ターン終了時まで守備力を500ポイントアップさせる!」

 

超重武者カブ―10 レベル4 攻撃1000→守備2000→2500

 

「残念だったな。特殊召喚しなければ、《カブ―10》を倒せたものを…。このデュエル、無駄に動いた方が負けとなる。覚えておけ!」

「いいぞ、権現坂!お前の不動のデュエルを見せてやれ!!」

「ハッ!何が不動のデュエルだ?俺はジャンジャン行かせてもらうぜ!俺のフィールドにX-セイバーが2体以上存在するとき、こいつは手札から特殊召喚できる。俺は《XX-セイバーフォルトロール》を特殊召喚!」

機械で構築された青い刃の剣と赤い鎧とゴーグルをつけた筋肉質の男が現れる。

 

XX-セイバーフォルトロール レベル6 攻撃2400

 

「あっという間にモンスターが3体の!?」

「すっげー…」

あっという間な召喚劇にタツヤ達は驚きを隠せずにいた。

しかし、刃はまだまだ動き続ける。

「驚くのはこれを見てからにしやがれ!俺はレベル4の《ボガーナイト》にレベル3の《フラムナイト》をチューニング!交差する刃持ち屍の山を踏み越えろ!シンクロ召喚!出でよレベル7!《X-セイバーソウザ》!」

ボロボロな赤いマントと鎧を身に着けた、額にX字の傷がある歴戦の戦士が現れる。

両手には長剣が装備されていて、腰のベルトのバックルにはXという文字が刻まれている。

 

X-セイバーソウザ レベル7 攻撃2500

 

(これがLDSのシンクロ召喚か…)

必要最低限の動きの権現坂と無駄のない行動を繰り返す刃。

相反する特徴を持った両者のデュエルがもし塾の存亡をかけたものでなかったら面白く観戦できただろう。

「まだまだ行くぜ!俺は《フォルトロール》の効果発動!1ターンに1度、レベル4以下のX-セイバー1体を墓地から特殊召喚できる!俺は再び《フラムナイト》を特殊召喚!」

《XX-セイバーフォルトロール》が剣を地に突き立てると、彼の背後に紫色の魔法陣が生まれ、そこから《XX-セイバーフラムナイト》が飛び出した。

 

XX-セイバーフラムナイト レベル3 攻撃1300(チューナー)

 

「これでまた、チューナーモンスターが現れた!」

「それって…もしかして…」

「そのもしかしてだぜ!俺はレベル6の《フォルトロール》にレベル3の《フラムナイト》をチューニング!白金の鎧輝かせ刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよレベル9!《XX-セイバーガトムズ》!」

年齢の問題なのか、先程のXX-セイバー達よりも機械で強化された面の強い白金の鎧と大剣、そして兜を装備した戦士が赤いマントを纏って現れる。

 

XX-セイバーガトムズ レベル9 攻撃3100

 

「攻撃力3100!?翔太君の《ホワイトライダー》と同じ攻撃力!!」

「なんて奴だ…1ターンに2回のシンクロ召喚…」

攻撃力2500の《X-セイバーソウザ》と攻撃力3100の《XX-セイバーガトムズ》。

伏せカードがない権現坂の手札に攻撃阻止のカードがなければ確実にダイレクトアタックを許してしまう。

しかし、権現坂は相変わらずどっしりとした構えを崩していない。

「どうした?ビビっちまって声も出ねえか?」

「男はどっしり構えて、あわてず騒がず!!ちょこまか動く輩に勝利をつかむことはできん!」

「知った風な口を!ならいかせてもらうぜ。バトルだ!俺は《XX-セイバーガトムズ》で《超重武者カブ―10》を攻撃!」

鎧からエネルギーを送り込まれ、白いビームの膜につつまれた大剣で《XX-セイバーガトムズ》は大振りする。

岩石の盾は今の彼の敵ではなく、《超重武者カブ―10》もろとも真っ二つに切り裂いた。

「どうだ?X-セイバーの切れ味は!?まだまだいくぜ!俺は《X-セイバーソウザ》でダイレクトアタック!」

笑い声を上げながら、《X-セイバーソウザ》は権現坂の目の前まで走り、X状に2本の長剣で権現坂を切り裂いた。

「うう…!!」

巨体と日々の訓練の賜物なのか、シンクロモンスターによる凄まじい攻撃を受けたにもかかわらず、権現坂は吹き飛ばされず、わずかに仰け反るだけで済んだ。

 

権現坂

ライフ4000→1500

 

「2500のダメージを…」

「耐えきった…!!」

「うおーーー!!熱血だ!さすがは我が遊勝塾のライバル、権現坂道場の跡取りだ!!」

「ハッ!何言ってやがんだ?俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

権現坂

手札4

ライフ1500

場 なし

 

手札6→2

ライフ4000

場 XX-セイバーガトムズ レベル9 攻撃3100

  X-セイバーソウザ レベル7 攻撃2500

  伏せカード1

 

「俺のターン、ドロー!!!」

 

権現坂

手札4→5

 

手にしたカードを見て、権現坂は笑みを浮かべる。

「(来たか…!我が不動のデュエルの要!)《超重武者テンB-N》は相手フィールド上にモンスターが2体以上存在し、俺のフィールドにモンスターが存在しないとき、手札から特殊召喚できる!」

緑色の道着と天秤を持った人型機械が現れる。

 

超重武者テンB-N レベル4 攻撃800

 

「更にこのカードの召喚・特殊召喚に成功した時、墓地に存在する《超重武者テンB-N》以外のレベル4以下の超重武者1体を守備表示で特殊召喚する。俺は墓地から《超重武者カブ―10》を特殊召喚」

何度か振り回した後、天秤から緑色の光が発する。

すると、真っ二つになっていた《超重武者カブ―10》が自動修復され、再起動する。

 

超重武者カブ―10 レベル4 守備2000

 

「動かざること山の如し…。不動の姿、今見せん!俺は《超重武者テンB-N》と《カブ―10》をリリースしてアドバンス召喚!」

2体の超重武者が消え、権現坂の目の前に巨大な緑色の光の柱が現れる。

「現れろ、レベル8!《超重武者ビッグベン-K》!」

光の柱が消えると、そこにはさすまたのような武器を持ち、胴体に複数の計測器がついていて、僧兵の装備が施されている巨大な超重武者がいた。

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 攻撃1000

 

「こ…攻撃力がたったの1000?」

「そんなモンスターでどうやって戦うんだろう?」

超重武者についてあまり知識のない翔太と伊織は首をかしげる。

「《超重武者ビッグベン-K》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、このカードの表示形式を変更できる」

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 攻撃1000→守備3500

 

「へっ!そんなことができて、どうやって勝つつもりだ?」

「動かずして、勝つ!これが我が権現坂道場の真髄!バトルだ!!俺は《ビックベン-K》で《ガトムズ》を攻撃!」

「何!?守備表示のまま攻撃だと!?」

「《ビッグベン-K》がいる限り、俺の超重武者は守備表示のまま攻撃できる!その場合、守備力を攻撃力として扱う!」

《超重武者ビッグベン-K》の計測器が大きく揺れ、関節部分とマスクから蒸気が発せられる。

そして、左腕に力を集中させると、そのまま地面にたたきつける。

叩きつけた地面から地割れが発生し、それは《XX-セイバーガトムズ》に襲い掛かる。

「それじゃあ、3500対3100で…」

「「《ビッグベン-K》の勝ちだーーー!!」」

地割れが《XX-セイバーガトムズ》に迫ると、そこから火柱が上がり、機械騎士を焼き尽くしていった。

「しびれるーーーー!!」

「うう…!!」

 

ライフ4000→3600

 

与えたダメージはわずか、しかしエースカードを倒したことで権現坂にデュエルの流れが向き始めた。

そのことを感じながら、権現坂は手札を確認する。

「(よし…!これで布陣は整った!)俺はこれでターンエンドだ!」

 

権現坂

手札5→3

ライフ1500

場 超重武者ビッグベン-K レベル8 守備3500

 

手札2

ライフ3600

場 X-セイバーソウザ レベル7 攻撃2500

  伏せカード1

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札2→3

 

「俺は手札から《XX-セイバーボガーナイト》を召喚!」

 

XX-セイバーボガーナイト レベル4 攻撃1900

 

「《ボガーナイト》の召喚に成功したことで、俺は手札からレベル4以下のX-セイバー、《XX-セイバーレイジグラ》を特殊召喚!」

2本の短剣を逆手に装備し、赤いマントと機械で強化された鎧を装備したカメレオンが現れる。

 

XX-セイバーレイジグラ レベル1 攻撃200

 

「なーんだ!攻撃力200の雑魚モンスターじゃん」

「《レイジグラ》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、墓地に存在するX-セイバー1体を手札に加えることができる。俺は《フォルトロール》を手札に戻すぜ」

(ということは…再び《フォルトロール》を特殊召喚し、更にその効果でチューナーを呼び出してシンクロ召喚するということか…!)

「更に俺のフィールドにX-セイバーが2体以上存在することにより、俺は手札から《XX-セイバーフォルトロール》を特殊召喚するぜ!」

 

XX-セイバーフォルトロール レベル6 攻撃2400

 

「俺は《フォルトロール》の効果発動!墓地に存在するレベル4以下のX-セイバー、《XX-セイバーフラムナイト》を特殊召喚!」

先程と同じく、再び《XX-セイバーフォルトロール》が生み出した魔法陣から《XX-セイバーフラムナイト》が現れる。

 

XX-セイバーフラムナイト レベル3 攻撃1300(チューナー)

 

「えーーー!?また特殊召喚?」

「一人でやってるよー…」

何度も続く特殊召喚にアユとフトシがうんざりとしている。

これがX-セイバーシリーズの恐ろしさ。

あの手この手で仲間を次々と呼び出してシンクロ召喚で一気にたたみかけてくる。

「俺はレベル6の《フォルトロール》にレベル3の《フラムナイト》をチューニング!白金の鎧輝かせ刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよレベル9!《XX-セイバーガトムズ》!」

再び刃のエースカード、《XX-セイバーガトムズ》が現れる。

 

XX-セイバーガトムズ レベル9 攻撃3100

 

「そんな…せっかく倒した《ガトムズ》が…」

「だが、《ガドムズ》の攻撃力は3100。《ビッグベン-K》の敵じゃない」

「確かにそうだ!!」

フィールドを駆けながら、刃は竹刀を振るう。

それにより発生した風で刀と刀の間に挟まっていたアクションカードが宙に浮く。

「こいつ次第でどうなるか…?」

手にしたアクションカードを見て、刃は笑みを浮かべる。

「(よし!おあつらえ向きのカードが来やがった)俺はアクション魔法《エクストリーム・ソード》を発動!フィールド上のモンスター1体の攻撃力をバトルフェイズの間、1000ポイントアップさせる!」

《XX-セイバーガトムズ》の大剣が変形し、純粋な光剣へと姿を変えた。

 

XX-セイバーガトムズ レベル9 攻撃3100→4100(バトルフェイズ中のみ)

 

エクストリーム・ソード(アニメオリカ)

アクション魔法カード

(1):フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力はバトルフェイズの間、1000アップする。

 

「これがアクションデュエルの醍醐味だぜ…。バトルだ!俺は《ガドムズ》で《ビッグベン-K》を攻撃!」

《XX-セイバーガトムズ》の光剣の刀身がどこまでも伸びていき、最終的にはそのモンスターの身長の3倍程度の長さとなる。

「ああ…このままだと《ビッグベン-K》が…」

「けど、守備表示だからダメージは受けない」

「甘えんだよ!罠カード発動!《メテオ・レイン》!このターン、俺のモンスターが守備表示モンスターを攻撃するとき、貫通ダメージを与える!」

《X-セイバーソウザ》のダイレクトアタックで大幅にライフを失った権現坂にとっては危険なカードだ。

上空から降り注ぐ複数の流星を受け、不動明王の如き堂々と構えていた権現坂のエースモンスターが大きく態勢を崩す、

「砕け散れーーー!」

《XX-セイバーガトムズ》の光剣がそのまま《超重武者ビッグベン-K》に向けて振り下ろされる。

しかし、急に権現坂のフィールドに炎を纏った鎧が出現し、その巨大な光の刃を受け止めた。

「何!?」

「俺は手札の《超重武者装留ファイヤー・アーマー》の効果を発動!このカードを手札から墓地へ送ることで、俺のフィールドに存在する守備表示の超重武者1体の守備力をターン終了時まで800ポイントダウンさせる代わりにこのターンの間、戦闘やカード効果による破壊から守る!」

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 守備3500→2700

 

「くそっ!!だが、守備力が下がったことでお前へのダメージが増えるぜ!」

「ぐ…ううう!!」

攻撃の衝撃が権現坂につたわり、更に光剣を受け止め続けている《超重武者装留ファイヤー・アーマー》がオーバーヒートを起こして周囲に炎がまき散らされる。

 

権現坂

ライフ1500→100

 

「(ちっ!!《ソウザ》の効果を使ってりゃあ…)なら…こいつでどうなるか!!」

再び刃は竹刀を振るう。

すると、権現坂の目の前に落ちていたアクションカードが浮き上がる。

「アクションカード!」

「ちっ!!奴の近くに…!!」

権現坂の手に渡るのを避けるため、全力で走り始める。

「あれを取れば!!」

「走れ、権現坂!!」

「俺は動かん」

「「えーーー!!?」」

(アクションカードを取らないだと…?)

ここまでのデュエルを見て、権現坂はずっとフィールドか手札しか見ていない。

アクションカードを探すようなしぐさが少しもないのだ。

「アクションカードを取らないのが不動のデュエル…ってこと?」

「いや、そうじゃない」

伊織の言葉を遊矢が否定する。

「あいつのデュエルは…」

そんな中、刃がアクションカードを手に取る。

「何!?こいつは…!!」

カードを見て、刃の顔色が悪くなる。

すると、急に彼のモンスターたちが持っていた砥ぎ石で自分の武器の手入れを始める。

「お…おいお前ら!!」

「手にしてしまったようだな、アクション罠を」

「くそっ!《エクストリーム・ソード》だったら、このまま勝てたのに!!」

「なあ、伊織。今のがアクション罠なのか?」

「そう!アクションカードは必ずしも使う人にとっていい影響を与えるわけじゃないんだ。さっき発動されたアクション罠、《砥直し》はこのターン自分のモンスターが攻撃できなくなっちゃう嫌なカードなの」

 

砥直し

アクション罠カード

(1):このターン、自分フィールド上のモンスターは攻撃できない。

 

攻撃不能となったモンスターたちを見ながら、刃は次の戦略を考える。

「(今までのターン、あいつがカードを伏せたことも、魔法・罠カードを発動したこともねえ。ただたんに手札に来ていないってことか?それに、《メテオ・レイン》の効果が終了した今、またあいつの手札にさっきみたいなカードがあったら…)なら俺はメインフェイズ2に《ガトムズ》の効果を発動!自分フィールド上のX-セイバー1体をリリースして、相手の手札1枚をランダムに選択して捨てさせる!まず俺は《ボガーナイト》をリリース!」

大剣に戻った自らの武器を地面に差した《XX-セイバーガトムズ》に《XX-セイバーボガーナイト》は自らの武器を渡すとその場を後にする。

そして、部下の武器を《XX-セイバーガトムズ》は権現坂に向けて投擲する。

「何!?手札破壊効果だと!!」

飛んできた武器は急に紫色の光線に変化して権現坂から見て右側の手札に直撃する。

光線を受け、紫色に染まったカードは自動的に墓地へ送られた。

 

手札から墓地へ送られたカード

・超重武者装留ビッグバン

 

「あーーー!!権現坂の手札が!!」

「権現坂君の手札はあと1枚で、刃君のフィールドには《レイジグラ》がいるよ」

「ということは、このターンで権現坂はすべての手札を失うということか…」

「さあ、いくぜ!今度は《レイジグラ》をリリースして《ガトムズ》の効果を発動!」

《XX-セイバーレイジグラ》の双剣が変化した光線を受け、権現坂は最期に残った手札も墓地へ送ることになった。

 

手札から墓地へ送られたカード

・超重武者装留バスターカノン

 

「これでお前の手札は0、打つ手なしということだな。俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

権現坂

手札3→0

ライフ100

場 超重武者ビッグベン-K レベル8 守備2700→3500

 

手札3→0

ライフ3600

場 X-セイバーソウザ レベル7 攻撃2500

  XX-セイバーガトムズ レベル9 攻撃3100

  伏せカード1

 

「どうしよう!?このままだと権現坂、絶対に負けちゃう!」

「それにしても、どうしてこの状況になってもアクションカードを探さないんだろう?」

「そうだよ!!なんでアクションカードを取らないんだよ!?しびれるくらいおかしいよ!!」

確かに、先ほどはアクション罠カードで権現坂がとった行動は正解だ。

しかし、そのカード以外にもまだまだアクションカードが存在する。

うまく使えば今の状況を打開できるカードもあるはずだ。

それでも権現坂はその場を動かず、アクションカードに見向きもしない。

そんな彼のデュエルがフトシにはあまりにもおかしく見えた。

「いや、いいんだ。これがあいつのデュエルなんだ…」

遊矢の言葉に遊勝塾のメンバー全員が注目する。

幼いころから権現坂とは親友であった遊矢には彼の不動のデュエルについて誰よりも理解できた。

といっても、初めて彼のデッキを見せてもらったときはかなり驚き、これで勝つことができるのかと疑問に思ったこともある。

しかし、権現坂はそのデッキを本気で信じ、本気で今LDSと戦っている。

やり方が違うだけで、決して権現坂は負けるつもりで今立っているわけではないのだ。

(権現坂…お前の信じる不動のデュエルで戦い抜いてくれ!)

「俺のターン、ドロー!!」

 

権現坂

手札0→1

 

「俺は手札から《超重武者装留フルバースト》を召喚!!」

2門のキャノン砲や多数のミサイルポッド、レールガンやガトリング砲などの重火器が搭載されている巨大な大鎧が現れる。

 

超重武者装留フルバースト レベル2 攻撃0

 

「フィールドに存在するこのモンスターは超重武者に装備でき、守備力を2500ポイントアップさせる!」

大鎧が消滅し、《超重武者ビッグベン-K》にすべての重火器が装着される。

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 守備3500→6000

 

「守備力6000!?」

「バトルだ!!俺は《ビッグベン-K》で《XX-セイバーソウザ》を攻撃!!」

搭載されたすべての重火器に弾薬が装填され、一斉射撃される。

ありとあらゆる種類の弾丸を受けた《XX-セイバーソウザ》が崩れ落ちる。

しかし、さすがはX-セイバーのシンクロモンスターというべきか、消滅したそのモンスターのそばには折れた2本の剣とその剣によって破壊されたおびただしい数の弾丸が存在した。

 

ライフ3600→100

 

「「「やったーー!!」」」

「いいぞ、権現坂!!」

「やりやがったな…このくたばり損ないがーー!!罠発動!《ガトムズの緊急指令》!!俺のフィールドにX-セイバーが存在するとき、俺かお前の墓地からX-セイバー2体を俺のフィールドに特殊召喚する!!蘇れ、《X-セイバーソウザ》、《レイジグラ》!!」

《XX-セイバーガトムズ》が自らの大剣を天に掲げる。

すると彼の左右に2つの魔法陣が生まれ、2体のX-セイバーが飛び出した。

 

X-セイバーソウザ レベル7 攻撃2500

XX-セイバーレイジグラ レベル1 攻撃200

 

「更に、《レイジグラ》の効果で俺は墓地から《フォルトロール》を手札に加える!」

「せっかく倒した《ソウザ》が復活しちゃった…」

「それに、《フォルトロール》も手札に加わったぞ!!」

「相手のターンであるにもかかわらず、芋づる式に蘇ってくるモンスター…。この爆発的展開力こそがX-セイバーデッキの恐ろしさだ」

いつの間にか立ち直っていた北斗がX-セイバーのすごさを自慢げに解説するが、真澄にはそんな彼の姿が滑稽に見える。

「あなたが他人のデッキをほめるなんて…負けて、弱気になったの?」

真澄の容赦ない言葉を受けた北斗のガラスのハートが砕け、再び先程の状態に戻ってしまった。

そして、先ほど攻撃を行った《超重武者ビッグベン-K》がオーバーヒートを起こし、その場に座り込んでしまう。

更に、装着されていた火器も強制排除されてしまった。

 

超重武者ビッグベン-K レベル8 守備6000→0

 

「あれ!?なんで急に《ビッグベン-K》の守備力が下がったの!?」

「《超重武者装留フルバースト》はバトルフェイズ終了時に墓地へ送られ、装備モンスターの守備力は次の俺のターンが終わるまで0となる…」

 

超重武者装留フルバースト

レベル2 攻撃0 守備0 効果 炎属性 機械族

「超重武者装留フルバースト」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「超重武者」モンスター1体を対象として発動できる。自分のフィールドのこのモンスターを守備力2500アップの装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。この効果を発動したターンのバトルフェイズ終了時、このカードは墓地へ送られ、装備モンスターの守備力は次の自分のターン終了時まで0となる。

(2):自分の墓地に魔法・罠カードが存在しないとき、墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで発動できる。自分フィールド上に表側表示で存在する「超重武者」モンスターの守備力がターン終了時まで倍となる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「あーあ、相手のフィールドには3体のモンスター。それに《ビッグベン-K》の守備力は0。これで権ちゃんに勝ち目はないね」

面白くなさそうに言いながら、新しいペロペロキャンディを口にする。

《超重武者装留フルバースト》を用いた捨て身の攻撃も一歩届かず、柚子や年少組はあきらめムードとなる。

しかし、遊矢は権現坂の勝利をまだ信じている。

「いや、まだだ。まだあいつは諦めていない」

(諦めていない…?だが、守備力0のモンスターしかフィールドにいないこの状況をどう覆すんだ…?)

 

権現坂

手札0

ライフ100

場 超重武者ビッグベン-K レベル8 守備0

 

手札0→1(《XX-セイバーフォルトロール》)

ライフ100

場 X-セイバーソウザ レベル7 攻撃2500

  XX-セイバーガトムズ レベル9 攻撃3100

  XX-セイバーレイジグラ レベル2 攻撃100

 

「俺のターン、ドロー」

 

手札1→2

 

「守備力がなくなったお前のエースモンスター、今ここで叩き斬ってやるぜ!!バトルだ!俺は《XX-セイバーガトムズ》で《超重武者ビッグベン-K》を攻げ…」

「それを待っていたぞ!!」

「な…!?」

「俺は墓地の《超重武者装留バスターカノン》の効果発動!!」

「何!?そのカードは…」

刃は《XX-セイバーガトムズ》の効果で破壊した2枚の手札を思い出す。

そのうちの1枚が《超重武者装留バスターカノン》だ。

「このカードは墓地にあってこそ真価を発揮する!《バスターカノン》は自分の墓地に魔法・罠カードが無いとき、攻撃対象となった俺の超重武者1体の元々の守備力分のダメージを相手に与え、攻撃モンスターを破壊する」

「何ぃーーーー!?」

巨大な火縄銃のような形のキャノン砲を《超重武者ビッグベン-K》が最期の力を振り絞って手にする。

「《ビッグベン-K》の元々の守備力は3500…刃のライフは100。これが通れば…」

「やったーー!!権現坂君の勝ち!!」

「お…おい、伊織!?」

翔太の腕にしがみつき、満面の笑みで喜ぶ中、素良は驚きのあまり持っていたペロペロキャンディを落としてしまう。

堕ちて砕けたペロペロキャンディが彼の驚きの大きさを物語っていた。

「嘘…!?」

「超重武者モンスターの一部には破格な効果を持っているけれど、魔法・罠カードが墓地に存在すると発動できないモンスターがいる。だから権現坂はすべてのモンスターが全力を発揮できるように、魔法・罠カードが入っていないフルモンスターのデッキを組んでいたんだ!」

「モンスターカードだけで構築したフルモンデッキ!?」

「正気の沙汰じゃないぞ…」

権現坂のとんでもない秘密を知り、真澄たちも素良と同じくらい驚いている。

そして、刃は笑みを浮かべながら今までの権現坂の行動に納得する。

「そうか…アクションカードを取らなかったのもすべてはこのため…」

「そうだ。アクションカードも魔法・罠カードの1種だからな。見たか!?これが不動のデュエルの真髄!!」

《超重武者装留バスターカノン》から大出力のビームが発射される。

 

超重武者装留バスターカノン

レベル4 攻撃1000 守備1000 効果 地属性 機械族

「超重武者装留バスターカノン」の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「超重武者」モンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、攻撃力が500アップする。

(2):自分の墓地に魔法・罠カードが存在せず、自分フィールド上に守備表示で存在する「超重武者」モンスターが攻撃対象となったとき、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。攻撃対象となったモンスターの元々の守備力分のダメージを相手に与え、攻撃モンスター1体を破壊する。

 

「面白いことやってくれるじゃねえか!!俺は手札から速攻魔法《痛魂の呪術》を発動!俺が受ける効果ダメージを代わりに相手に与える!!」

「あいつ!!まだそんな手を!!」

「これで最後だ!!!」

ビームが急に軌道を変え、権現坂に襲い掛かる。

「(く…南無三!!)俺は墓地の《超重武者装留ビッグバン》の効果発動!!」

「また俺が墓地送りにしたカードか!!」

「自分フィールド上に超重武者が守備表示で存在し、相手がバトルフェイズ中にカード効果を発動した時、このカードを墓地から除外することで、その発動を無効にし、破壊する!!」

2つのブースターが上部に装備されている青い球体が現れ、ビームを吸収していく。

「ぐ…!!《痛魂の呪術》》が無効に!?」

「それだけではない!!さらにフィールド上のモンスターを全滅させ、1000ポイントのダメージを互いに受ける!!」

「何!?俺たちのライフは100!!」

「死なばもろともだ!!刀堂刃!!」

ビームを吸収し終えた《超重武者装留ビッグバン》の自爆装置が起動する。

吸収したビーム、そして球体の中にある膨大なエネルギーにより、大規模な爆発となる。

権現坂と刃のモンスターたちは爆発の中に消え、2人は凄まじい爆風に吹き飛ばされる。

「「うわあーーーーーーー!!!」」

爆発が収まり、煙が晴れると同時にソリッドビジョンが消える。

2人は互いの背後にある壁にもたれた状態で気を失っていた。

 

権現坂

ライフ100→0

 

ライフ100→0




引き分けに持ち込まれた権現坂と刃。
そして、次はいよいよ…。
それにしても、《EMディスカバー・ヒッポ》も《超重武者装留ビッグバン》もOCGでは効果が変更されていて驚きました。
この小説ではOCG効果を採用しますので、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》がレベル4以下のモンスターと戦っても戦闘ダメージが2倍になっても驚かないでください。
あと、アニメオリカの中で強すぎだと思うカードに関しては効果調整または変更を行います。(といっても、前の小説でもそれはやっていましたが)
となると…《EMリザードロー》の効果はどうするか…。

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