遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第59話 再びの眠り

「う、うう…」

腹部に手を当てながら、目を覚ました翔太は周囲を見渡す。

「また、あの空間か…」

周囲に浮かぶ、様々な形の赤い水晶。

そして、同じ色の推奨でできた、行き先の見えない階段。

TDCの間の夜に翔太が眠っている中で見た空間そのものだ。

今度は階段を登ろうとせず、それをじっと見ながら声をかける。

「今度は何の用だ!?」

そういったすぐ後で、彼の目の前に水晶でできたカードが3枚現れる。

《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》、《ジャイアント・ボマー・エアレイド》…。

「こいつは…俺の記憶のかけらがあったカード」

「そうだぜー?まだこれだけしかねーから、すっごく気分が悪りーんだよ」

わざとらしく機嫌の悪そうな声が空間中に響く。

「俺はマイペースだからな、お前みたいな引きこもりとは違うんだよ」

「てんめぇ…俺を馬鹿にしてるのかよぉ!?」

「こんなクソみたいな場所に連れ込む奴を馬鹿にしない理由はあるのか?」

怒りの色を見せる声に対して翔太はさらに挑発する。

水晶の空間である以上、相手の土俵であるにもかかわらずだ。

「引きこもってないでさっさと俺の前に出てきたらどうだ?話し相手くらいにはなってやるぜ」

「生憎、今の俺はここから出ることはできねえんだよ!!お前とお前の中にいる奴のせいでよぉ!!!」

(俺の中にいる奴…?)

奇妙な発言を聞き、翔太は疑問を浮かべる。

遊矢にもユート以外にもう1つの真黒な魂があるとミエルが言っていた。

それと同じようなものなのか、それとももっと別のものなのかはわからない。

だが、少なくともその声は自分について他に知っていることがあるのかもしれない。

「ああ、そいつは悪かったな。で、どうしたらお前を俺の前に引きずり出せるんだ?その10枚のカードってやつが必要なのか?」

「そういうことだよ!!少なくとも、近くから記憶のかけらが宿るカードの波動を感じるぜ」

「そんなことが分かるのかよ。だったら、その波動を感じる力をよこせ。そうしたら、少しペースを上げる気にはなれるぜ」

「あいつみたいになめた口をたたきやがって…!ああわかったよ!その力をやるよ!!こいつを倒すことができたならなぁ!!」

声が消えると同時に空間の中が激しく揺れる。

甘利の揺れで翔太は片膝をつき、舌打ちする。

(引きこもりの癖に一丁前に怒りやがった。バナナみたいに怒るだけで大したことのない奴かと思って、油断した…!)

そして、揺れているにもかかわらず普通に階段を下りてくる1人の男が見えた。

赤い逆立った紅葉のような髪型をしていて、耳には緑色のピアスがあり、眼鏡をかけている。

そして、黒い長そでで柄のない地味な服の上に緑色のマントを身に着け、左腕には丸みを帯びた形で、カードゾーンがソリッドビジョンとなっていない、白が基調の古いタイプのデュエルディスクをつけている。

「こいつは俺を怒らせた罰ゲームだ!!サレンダーはなしだぜー?」

「何が罰ゲームだ。ガキではあるまいし…付き合いきれねえな」

デュエルディスクを展開させながら、彼の目をじっと見る。

その眼には覇気がなく、無表情そのものだ。

「紹介するぜ、こいつはアモン・ガラム。みんなが平等で苦しみや憎しみなく、幸せに暮らせる世界を作るために、恋人を犠牲にしてまで力を手に入れたってのに、かわいそうなことに負けちまって、今じゃあこんなザマになっちまったのさ。くぅーー!泣ける話だぜー!」

「苦しみも憎しみもない、結構な響きだが、まるで人間みんな心のない機械にするみたいにも見えてくるぜ」

彼にはある意味、アモンがその理想的な姿に思えた。

心を失い、あの声の下僕として今、こうして自分とデュエルをすることになっているのだから。

心がなければ、もはや苦しみも憎しみもないだろう。

「ま、俺には関係ないことだけどな」

「「デュエル!!」」

 

アモン

手札5

ライフ4000

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

「僕の先攻…。僕はモンスターを裏守備表示で召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アモン

手札5→3

ライフ4000

場 裏守備モンスター1

  伏せカード1

 

翔太

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

ドローしたカードを見た後で、翔太はアモンに目を向ける。

「さっさと負けてもらうぜ。俺はスケール4の《魔装弓士ロビン・フッド》とスケール5の《魔装銃士ビリー・ザ・キッド》でペンデュラムスケールをセッティング!」

緑色のポロシャツと薄緑で長そでの服を重ね着した、オレンジ色の髪の狼人間が翔太の左側に飛び、光の柱を生み出す。

頭にかぶっている緑色の帽子には2枚の白い羽をつけていて、弓を持つ茶色い右手の手袋には、甲部分に五芒星が刻まれている。

右側で光の柱を作っているのは茶色い袖なしジャケットと白いシャツ、薄緑のズボンをはいた小柄なガンマンだ。

金色の乱れた髪を茶色いテンガロンハットで隠すと同時に、両手に持っている拳銃2丁を腰のホルスターにしまい、背中にさしているマスケット銃を手に取る。

すると、胸のあたりで交差するように2つのガンベルトが装着された。

「おいおーい、さっそくプレイングミスかよー?スケール4と5じゃあ何もペンデュラム召喚できねーぜー?」

「黙ってろ。《魔装銃士ビリー・ザ・キッド》にペンデュラム効果発動」

効果発動宣言と同時に、マスケット銃を真上にある水晶に向けて撃つ。

水晶は砕けて数十個の破片に変わって彼の上にシャワーのように降り注ぐ。

「《ビリー・ザ・キッド》は俺のもう片方のペンデュラムゾーンに魔装ペンデュラムモンスターがセッティングされているとき、ペンデュラムスケールが11になる」

 

魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール5→11

 

魔装銃士ビリー・ザ・キッド

レベル6 攻撃2400 守備2200 地属性 戦士族

【Pスケール青5:赤5】

(1):このカードはもう片方の自分のPゾーンに置かれているPモンスターが「魔装」モンスター以外の場合、墓地へ送られる。

(2):もう片方のPゾーンに「魔装」カードが存在する場合、このカードのPスケールは11となる。

【モンスター効果】

(1):このカードが戦闘で相手のPモンスターを破壊したときに発動できる。自分フィールド上に存在するこのカードをエクストラデッキに戻し、そのモンスターをデッキに戻す。

 

「来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!第4の騎士、《魔装騎士ペイルライダー》!」

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2400

 

「《ロビン・フッド》が存在し、俺の魔装モンスターが裏守備モンスターを攻撃するとき、お前はリバース効果を発動できない。バトル!俺は《ペイルライダー》で裏守備モンスターを攻撃、クアトロ・デスブレイク!」

《魔装弓士ロビン・フッド》が2本の矢を放つ。

すると、裏守備モンスターは全身に青いポンプのような血管を露出させている、紫色の体でで長い蛇のような舌を持つ悪魔に変わり、片手に4本ずつついている鉄の爪が矢を切り裂く。

矢に気を取られている悪魔に対して、《魔装騎士ペイルライダー》は両足に召喚したミサイルポッドからミサイルを撃って攻撃した。

ミサイルを受けた悪魔はそれが破裂することで発生する炎に焼かれていった。

 

裏守備モンスター

マッド・リローダー レベル1 守備0

 

「《マッド・リローダー》の効果発動。このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、手札2枚を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする」

 

墓地へ送られたカード

・ディープ・ダイバー

・シエンの間者

 

「《ディープ・ダイバー》と《シエンの間者》だぁ…?」

スピードが遅いものの、高確率で幅広いモンスターのサーチができる《ディープ・ダイバー》と自分のモンスターを1ターンだけ相手に明け渡す《シエンの間者》、そして手札交換の《マッド・リローダー》。

これらのカードを使うということから、翔太の脳裏にあるモンスターが浮かび上がる。

(《エクゾディア》…??)

ヴァプラ隊との訓練の際に、1度だけエクゾディアデッキを使うメンバーのデュエルを見たことがあった。

そのときはセレナがデュエルをしており、手札交換のカードを使い、攻撃を食い止めて、最終的に《封印されしエクゾディア》を完成させた。

5枚のパーツを手札にそろえるのは至難の業だが、完成させたときに相手に与えるインパクトは大きい。

だが、問題なのは…。

(なんで《ディープ・ダイバー》を伏せなかった…?)

《ディープ・ダイバー》であれば、先ほどのようにデッキの正体をばらすことになったとしても、少なくともパーツを1枚手札に加えることが可能になったはずだ。

そうであるにもかかわらず、確率の低い《マッド・リローダー》を伏せた。

2枚同時入手を狙ったのかもしれないが、5枚のパーツはすべて制限カードとなっている今、それを狙うのはとても難しい。

「(今手札に何枚《エクゾディア》のカードがあるのかはわからないが、完成前に勝負を決めてやる!)3枚カードを伏せ、ターンエンド!」

 

アモン

手札3

ライフ4000

場 伏せカード1

 

翔太

手札6→0

ライフ4000

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  魔装弓士ロビン・フッド(青) ペンデュラムスケール4

  魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール11

  伏せカード3

 

魔装弓士ロビン・フッド

レベル3 攻撃1000 守備1000 風属性 獣族

【Pスケール青4:赤4】

「魔装弓士ロビン・フッド」のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードはもう片方の自分のPゾーンに置かれているPモンスターが「魔装」モンスター以外の場合、墓地へ送られる。

(2):自分の「魔装」モンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までリバース効果を発動できない。

【モンスター効果】

(1):相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、手札に存在することカードを表向きでエクストラデッキに置くことで発動できる。自分の墓地・エクストラデッキに表向きで存在する「魔装」Pモンスター1体を手札に加える。

 

「僕のターン、ドロー」

 

アモン

手札3→4

 

「このカードは僕の墓地に存在するモンスターを全てデッキに戻すことで、手札から特殊召喚できる。《究極封印神エクゾディオス》を特殊召喚」

「何!?」

アモンの墓地から《マッド・リローダー》と《ディープ・ダイバー》が現れ、黒い冷気が宿った魂に変わる。

その魂をアモンの背後に現れた真黒で柄のない扉に宿る。

すると扉が開き、そこから頭から肩がこげ茶色で、全身の肌がオレンジから褐色へと変わった《エクゾディア》が現れる。

 

究極封印神エクゾディオス レベル10 攻撃0

 

「攻撃力0でレベル10…何かあるぞってにおいがプンプンするな」

攻撃力0であるにもかかわらず、臆することなく翔太にプレッシャーをかけてくる。

《エクゾディア》の名前を持つモンスターである以上、何かあるに決まっている。

「更に僕は罠カード《おジャマトリオ》を発動。相手フィールド上に《おジャマトークン》3体を特殊召喚する」

翔太の目の前に《おジャマ・イエロー》、《おジャマ・グリーン》、《おジャマ・ブラック》が現れる。

《グリーン》は鼻をほじり、《ブラック》は腹筋をし、《イエロー》はお茶を飲む。

「すみませんねー」

「お宅のフィールドなのに」

「すっかりお邪魔してー」

彼らの言う通り、もはやここは翔太のフィールドではなく3体のおジャマモンスターの家だ。

 

おジャマトークン×3 レベル2 守備1000

 

「更に僕は手札から魔法カード《拡散する波動》を発動。ライフを1000支払うことで、僕のフィールド上に存在するレベル7以上の魔法使い族モンスター1体をこのターンだけ、相手フィールド上のすべてのモンスターに1回ずつ攻撃可能にする。そして、《エクゾディオス》は攻撃を行う際、手札・デッキに存在するモンスター1体を墓地へ送り、墓地に存在する通常モンスター1体につき、攻撃力を1000アップさせる」

「そのためにこの邪魔者を俺のフィールドに召喚したってのか!?」

今の状況では、4回もの攻撃が可能で、4枚のカードが墓地へ送られることになる。

その結果、一気にこのカードの攻撃力は4000となる。

だが、アモンの目的はそれではない。

「このカードは僕のフィールド上に《トーチトークン》2体を攻撃表示で特殊召喚することで、手札から相手フィールド上に特殊召喚できる」

「また俺のフィールドにモンスターを!?」

「《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚」

翔太のフィールドに体の各所に鎖がついていて、腹部に回転のこぎりがあって頭のない鋼の人形が現れる。

左手はペンチとなっていて、右手は4本の爪型マニピュレーターとなっている。

そして、アモンのフィールドには10分の1の大きさになった《トーチ・ゴーレム》2体が現れる。

 

トーチ・ゴーレム レベル8 攻撃3000

トーチトークン×2 レベル1 攻撃0

 

「《エクゾディオス》の効果により、墓地に5枚の《エクゾディア》パーツがそろったとき、僕はデュエルに勝利する」

「《エクゾディア》で1ターンキルか…」

「バトル。《エクゾディオス》で《おジャマ・トークン》を攻撃。天上の雷火エクゾード・ブラスト」

覇気のない声で攻撃宣言すると、《究極封印神エクゾディオス》が走り出し、まずは《おジャマ・イエロー》を殴ろうとする。

それと同時に、アモンのデッキから《封印されし者の右手》が墓地へ送られる。

「《封印されし者の右手》は通常モンスター、よって攻撃力が1000アップする」

 

アモン

ライフ4000→3000

 

究極封印神エクゾディオス レベル10 攻撃0→1000

 

「うっふーん♡」

しかし、現状では攻撃力1000のためか《おジャマ・イエロー》に尻で受け止められる。

そんなことを無視して、《究極封印神エクゾディオス》は《おジャマ・ブラック》をつかむ。

すると、今度は《封印されし者の左手》が墓地へ送られ、力が強まる。

 

究極封印神エクゾディオス レベル10 攻撃1000→2000

 

「《おジャマトークン》は破壊されるとき、相手に300ダメージを与える」

「お邪魔しましたー!」

《究極封印神エクゾディオス》によって投げられた《おジャマ・ブラック》は翔太に直撃して消滅する。

「くっそ…邪魔すぎて寒気がする!」

 

翔太

ライフ4000→3700

 

しかし、翔太にとって問題なのはライフではなくアモンの墓地だ。

2枚のパーツが墓地にあり、この後3回の攻撃が行われる。

そうなると、残り3枚のパーツも墓地へ送られ、自動的にアモンの勝利が決定する。

「《エクゾディオス》で《おジャマトークン》を攻撃」

拳を構えるのと同時に、アモンのデッキから《封印されし者の右足》が墓地へ送られる。

 

究極封印神エクゾディオス レベル10 攻撃2000→3000

 

「いよっと!」

《究極封印神エクゾディオス》の拳が直撃する前に《おジャマ・グリーン》は翔太の前まで走っていき、先ほどほじって指についた鼻くそを彼の額にくっつける。

「この野郎!!」

さすがにキレた翔太が《おジャマ・グリーン》を殴ると、彼は遥か彼方まで飛んで行った。

 

翔太

ライフ3700→3400

 

「《エクゾディオス》で《ペイルライダー》を攻撃」

《究極封印神エクゾディオス》の口が開き、そこから稲妻が放たれる。

 

「もう攻撃はさせない!罠発動!《騎士のケジメ》。俺の魔装騎士を対象とした攻撃宣言時、その攻撃を無効にし、攻撃モンスターを破壊する」

《魔装騎士ペイルライダー》は稲妻を交わすと、右手に光剣を握り、そのまま《究極封印神エクゾディオス》を真っ二つに切り裂いた。

切り裂かれた《究極封印神エクゾディオス》は上空に向けて稲妻を放ちながら倒れ、消滅した。

「更に、デッキから魔装モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから《魔装詩人ダンテ》を手札に加える」

 

騎士のケジメ

通常罠カード

「騎士のけじめ」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に存在する「魔装騎士」モンスターを対象とした攻撃宣言時に発動できる。攻撃モンスターを破壊する。その後、デッキから「魔装」モンスター1体を手札に加える。

 

《究極封印神エクゾディオス》が破壊されたにもかかわらず、アモンは驚きも悲しみもしない。

ただ、破壊されてしまったのかとどこか他人事のようにその現象を見ているだけだ。

「けっ、気に入らねえ目だな」

「僕は手札から魔法カード《トークン復活祭》を発動。僕のフィールド上に存在するトークンを全て破壊し、破戒したトークンの数だけフィールド上のカードを破壊する」

「カウンター罠《魔宮の賄賂》を発動。相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する」

《トークン復活祭》のソリッドビジョンが表示されるのと同時に破壊される。

そして、《魔宮の賄賂》の効果によって、アモンはカードを1枚ドローする。

「僕は手札から魔法カード《光の護封剣》を発動。このカードは3ターンの間フィールド上に存在し続け、相手の攻撃を封じ込める」

翔太の頭上に3本の緑色の光を放つ剣が現れ、モンスターゾーンに向けて落下する。

「そいつで俺の攻撃を封じて、逆転を狙うってのか?」

「僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アモン

手札4→0

ライフ3000

場 トーチトークン×2 レベル1 攻撃0

  光の護封剣(残り3ターン)

  伏せカード1

 

翔太

手札0→1(《魔装詩人ダンテ》)

ライフ3400

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  おジャマトークン レベル2 守備1000

  トーチ・ゴーレム レベル8 攻撃3000

  魔装弓士ロビン・フッド(青) ペンデュラムスケール4

  魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール11

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札1→2

 

「俺は手札から《魔装陰陽師セイメイ》を召喚」

 

魔装陰陽師セイメイ レベル3 攻撃1000(チューナー)

 

「こいつの召喚に成功したとき、手札からレベル4以下の魔装モンスター1体を特殊召喚できる。俺は《魔装詩人ダンテ》を特殊召喚」

 

魔装詩人ダンテ レベル3 攻撃500

 

「レベル2の《おジャマトークン》とレベル3の《ダンテ》にレベル3の《セイメイ》をチューニング。茨の園より生まれし稲妻の竜よ、空を振るわし、大地に鉄槌を。シンクロ召喚!現れろ、《魔装雷竜リンドヴルム》!」

「あーれーーー」

間の抜けた声を出しながら2つの光の球体に変わった《おジャマ・イエロー》に対して、翔太は何もリアクションを起こさなかった。

 

魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000

 

攻撃力3000のシンクロモンスターを出したところで、《光の護封剣》によって攻撃が封じられている今では何もできることはない。

だが、だからといってアモンにはそれらのモンスターの存在を許す理由はなかった。

「永続罠《魔神火炎砲》を発動。1ターンに1度、手札・デッキから《エクゾディア》パーツを墓地へ送ることで、フィールド上のモンスター1体を手札に戻す」

翔太のモンスターゾーン上空に赤い雲が出現し、そこから《封印されしエクゾディア》の頭と胴体が現れる。

《魔装雷竜リンドヴルム》は口から稲妻を放って追い払おうとするが、先に《封印されしエクゾディア》の口から放たれた赤い炎に飲み込まれて消えた。

「ちっ…これで墓地にある《エクゾディア》パーツは4枚か」

《魔装雷竜リンドヴルム》のカードをエクストラデッキに置いた翔太はじっとアモンを見る。

おそらく、最後のパーツである《封印されし者の左足》がデッキに残っている。

そのカードは次のターンに手札に加わるか、《魔神火炎砲》によって墓地へ送られる。

そうなると問題は回収手段で、今のアモンの手札はない。

「俺はこれでターンエンド」

 

アモン

手札0

ライフ3000

場 トーチトークン×2 レベル1 攻撃0

  光の護封剣(残り2ターン)

  魔神火炎砲(永続罠)

 

翔太

手札2→0

ライフ3400

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  トーチ・ゴーレム レベル8 攻撃3000

  魔装弓士ロビン・フッド(青) ペンデュラムスケール4

  魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール11

  伏せカード1

 

「僕のターン、ドロー」

 

アモン

手札0→1

 

「僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

 

アモン

手札1→0

ライフ3000

場 トーチトークン×2 レベル1 攻撃0

  光の護封剣(残り2ターン)

  魔神火炎砲(永続罠)

  伏せカード1

 

翔太

手札0

ライフ3400

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  トーチ・ゴーレム レベル8 攻撃3000

  魔装弓士ロビン・フッド(青) ペンデュラムスケール4

  魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール11

  伏せカード1

 

「また伏せカードを…。俺のターン!」

 

翔太

手札0→1

 

「俺は手札から魔法カード《ペンデュラム・リチャージ》を発動。俺のペンデュラムスケールの幅が5以上あるとき、デッキからカードを2枚ドローする」

 

ペンデュラム・リチャージ

通常魔法カード

「ペンデュラム・リチャージ」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分のPゾーンにカードが2枚存在し、そのPスケールの幅が5以上の場合にのみ発動できる。自分はデッキからカードを2枚ドローする。

 

「そして、俺は手札から魔法カード《サイクロン》を発動。その効果で、俺は《魔神火炎砲》を破壊する」

《サイクロン》が上空の赤い雲を吹き飛ばしていく。

そして、その雲の中にあった《封印されしエクゾディア》がカードとなって、アモンの手札に加わる。

「《魔神火炎砲》が魔法・罠ゾーンから墓地へ送られたとき、墓地に存在する《エクゾディア》のパーツ1枚を手札に加えることができる」

「これでもうバウンスはできないない。俺は手札から《魔装学者ゲンナイ》を召喚」

五芒星が至る所に描かれた紫色の上着と黒を基調とした袴を着用した学者が現れる。

右手にはキセルが握られていて、小判のような細長い頭にネズミのしっぽのような細いまげを結っている。

 

魔装学者ゲンナイ レベル1 攻撃200

 

「このカードの召喚に成功したとき、手札・フィールドに存在するモンスター1体をデッキに戻す」

《魔装学者ゲンナイ》は何を思ったのか、そばにある《トーチ・ゴーレム》の分解を始めてしまう。

分解した際に見たパーツの1つ1つを着物の中から出した紙にメモし、そのモンスターの設計図を完成させた。

「そして、レベルの合計がデッキに戻したモンスターのレベル以下になるように、デッキから魔装モンスター2体を特殊召喚する。《魔装猫バステト》と《魔装鳥キンシ》を特殊召喚」

 

魔装猫バステト レベル1 攻撃0(チューナー)

魔装鳥キンシ レベル7 攻撃2400

 

「レベル1の《ゲンナイ》とレベル7の《キンシ》にレベル1の《バステト》をチューニング!勝利と支配をもたらす第2の騎士よ、終戦を告げるその矢で敗者を鎮めよ!シンクロ召喚!《魔装騎士ホワイトライダー》!!」

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

 

「こいつは魔装装備カード以外のカード効果を受けない!」

《魔装騎士ホワイトライダー》が矢をつがい、《トーチトークン》に向けて狙いを定める。

《光の護封剣》などまるで意に介さない。

「罠発動、《捨て身の宝札》。自分フィールド上に2体以上存在する攻撃表示モンスターの攻撃力の合計が相手フィールド上に存在する最も攻撃力の低いモンスターの攻撃力以下の時、デッキからカードを2枚ドローする」

ドローしたカードを見るが、感情は何も見せない。

《魔装騎士ホワイトライダー》の《トーチトークン》への攻撃が成功したら、もう勝負がついてしまうというのに。

「バトルだ、俺は《ホワイトライダー》で《トーチトークン》を攻撃。アロー・オブ・ルール」

《魔装騎士ホワイトライダー》が白い光をまとった矢を放つ。

その矢は《光の護封剣》でも止めることができず、そのまま《トーチトークン》を貫くが、アモンまであと2センチといったところで消えてしまった。

「何!?」

「僕は《クリボー》の効果を発動した。このカードを手札から墓地へ送ることで、1度だけ僕が受ける戦闘ダメージを0にする」

「しぶとく生き延びやがって…。俺はこれでターンエンド」

 

アモン

手札0→2(うち1枚《封印されしエクゾディア》)

ライフ3000

場 トーチトークン レベル1 攻撃0

  光の護封剣(残り1ターン)

 

翔太

手札1→0

ライフ3400

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

  魔装弓士ロビン・フッド(青) ペンデュラムスケール4

  魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール11

  伏せカード1

 

「僕のターン、ドロー」

 

アモン

手札2→3

 

「僕は手札から魔法カード《テイク・オーバー5》を発動。デッキの上から5枚のカードを墓地へ送る。そして、手札から《封印されしエクゾディア》を召喚」

 

封印されしエクゾディア レベル3 攻撃1000

 

デッキから墓地へ送られたカード

・封印されし者の左足

・ネクロ・ガードナー

・ネクロ・ディフェンダー

・補給部隊

・聖なるバリア―ミラーフォース

 

「《エクゾディア》を召喚だと??」

「そして、このカードは《エクゾディア》パーツ1体をリリースすることで、手札から特殊召喚できる。現れろ、《召喚神エクゾディア》」

「《召喚神エクゾディア》!?」

《封印されしエクゾディア》の胸部が開き、内部に隠された鍵穴が現れる。

そして、そのモンスターの目の前に黄金でできたアンク状の鍵が現れ、それが鍵穴に入る。

鍵が開かれると同時に鍵が砂となり、《封印されしエクゾディア》の肉体が突然発生した砂嵐に包まれていく。

砂嵐が消えると、そこには四肢と合体した《封印されしエクゾディア》がいた。

ただし、体と同じ色の鎧で全身が覆われている。

 

召喚神エクゾディア レベル10 攻撃5000

 

「攻撃力5000!?」

「このカードの攻撃力は墓地の《エクゾディア》パーツの数×1000となる。そして、召喚神の鎧をまとったことで、ほかのカード効果を受けなくなった」

「《ホワイトライダー》と同じ効果を持ったってことか!!」

《究極封印神エクゾディオス》と《魔神火炎砲》、《おろかな埋葬》によって墓地に落とした目的はこのためだったのだろう。

強大な力を秘めた《召喚神エクゾディア》を最大限に活用するため。

本当ならば、最初の《究極封印神エクゾディオス》と《拡散する波動》、《トーチ・ゴーレム》、《おジャマトリオ》のコンボによる1ターンキルで終わらせるつもりだっただろうが、結果的にこのようなことになった。

「バトル。《エクゾディア》で《ホワイトライダー》を攻撃」

《召喚神エクゾディア》の右ストレートが炸裂する。

一撃で《魔装騎士ホワイトライダー》は吹き飛ばされ、背後にある水晶と激突して消滅した。

「ぐうううう!!こいつ、俺のライフを直接!!」

 

翔太

ライフ3400→1500

 

「僕は《トーチトークン》を守備表示に変更。これでターンエンド。ターン終了時に《エクゾディア》の効果発動。僕の墓地に存在する《エクゾディア》パーツ1体を手札に加える。僕は墓地から《封印されしエクゾディア》を手札に加える」

 

アモン

手札3→1(《封印されしエクゾディア》)

ライフ3000

場 トーチトークン レベル1 守備0

  召喚神エクゾディア レベル10 攻撃5000→4000

  光の護封剣(残り1ターン)

 

翔太

手札0

ライフ1500

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  魔装弓士ロビン・フッド(青) ペンデュラムスケール4

  魔装銃士ビリー・ザ・キッド(赤) ペンデュラムスケール11

  伏せカード1

 

「《エクゾディア》パーツを手札にだと…?特殊勝利も普通の勝利も狙う、ダブルスタンダードな神だなぁ…」

《封印されしエクゾディア》が手札に戻ったことで、攻撃力は4000に下がったものの、《魔装騎士ペイルライダー》を大きく上回っていて、更に効果によって死を与えることもできない。

攻撃表示のままにしてターンを終えたら、次のターンで負ける。

「俺のターン!」

 

翔太

手札0→1

 

このターンが終わると、《光の護封剣》の呪縛から解放される。

だが、それでも攻撃力4000の《召喚神エクゾディア》という新しい呪縛が待っているだけ。

「俺は手札から速攻魔法《揺れる眼差し》を発動。フィールド上に存在するペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、破壊した数によって効果を発動する」

《揺れる眼差し》が放つ波紋を受けた2体のペンデュラムモンスターが姿を消す。

そして、その波紋がアモンと翔太のデッキにまで及ぶ。

「破壊されたカードは2枚、よってお前に500ダメージを与え、デッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加える。俺はデッキから《魔装剣士ムネシゲ》を手札に加える」

 

アモン

ライフ3000→2500

 

「そして、エクストラデッキに存在する《魔装鳥キンシ》の効果発動。こいつは表向きでエクストラデッキに存在するとき、1度だけ手札に加えることができる。そして、俺はスケール1の《魔装鳥キンシ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング」

新たな2本の光の柱が生まれ、翔太に力を与える。

これにより、翔太はレベル2から8までのモンスターを同時に召喚できるようになった。

「ペンデュラム召喚!21人殺しの銃士、《魔装銃士ビリー・ザ・キッド》!」

 

魔装銃士ビリー・ザ・キッド レベル6 攻撃2400

 

「新緑に潜みし影の弓士、《魔装弓士ロビン・フッド》!」

 

魔装弓士ロビン・フッド レベル3 攻撃1000

 

「そして俺は墓地の《ゲンナイ》の効果を発動。このカードが墓地に存在し、俺のフィールド上に魔装モンスターが2体以上存在するとき、1度だけ魔装モンスターのレベルをターン終了時まで1つに統一する。俺は《魔装騎士ペイルライダー》のレベル7に統一させる」

《魔装学者ゲンナイ》が墓地からエレキテルをフィールドに向けて投げる。

翔太のモンスターゾーンに落ちたそれから発生した電気は3体の魔装モンスターを襲う。

電気を受けたモンスターは最初こそ苦しんでいたが、数秒するとなんともないような表情を見せた。

 

魔装銃士ビリー・ザ・キッド レベル6→7 攻撃2400

魔装弓士ロビン・フッド レベル3→7 攻撃1000

 

魔装学者ゲンナイ

レベル1 攻撃0 守備2000 効果 闇属性 魔法使い族

「魔装学者ゲンナイ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できず、(2)の効果はデュエル中1回しか発動できない。それらの効果を発動したターン、自分は「魔装」モンスター以外のモンスターを特殊召喚できない。

(1):このカードの召喚に成功したとき、自分の手札・フィールド上に存在するモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、レベルの合計がそのモンスターのレベル以下となるようにデッキから「魔装」モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。

(2):自分の墓地にこのカードが存在し、自分フィールド上に「魔装」モンスターが2体以上存在するとき、そのうちの1体を対象に発動できる。自分フィールド上に存在する「魔装」モンスターのレベルはターン終了時までそのモンスターと同じになる。

 

「そして、俺はレベル7の《ビリー・ザ・キッド》と《ロビン・フッド》でオーバーレイ。エクシーズ召喚!現れろ、大地より生まれし神討ちの竜、《魔装竜テュポーン》!」

 

魔装竜テュポーン ランク7 守備2000

 

「《テュポーン》の効果発動。1ターンに1度、オーバーレイユニット1つとモンスター1体のリリースで、墓地から魔装モンスター1体を特殊召喚する。再び秩序の矢を戦乱を沈めろ、《魔装騎士ホワイトライダー》!」

《魔装騎士ペイルライダー》が上昇し、《魔装竜テュポーン》が放ったオーバーレイユニットを受ける。

すると、体が白い光に包まれていき、その姿を《魔装騎士ホワイトライダー》へと変えていった。

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

 

「そして、《テュポーン》は1ターンに1度、魔装騎士に装備することができ、装備モンスターの攻撃力を2000アップさせる!」

《魔装騎士ホワイトライダー》の五芒星に《魔装竜テュポーン》が吸収される。

そして、弓に緑色の炎が宿る。

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100→5100

 

「バトルだ、《ホワイトライダー》で《召喚神エクゾディア》を攻撃!アロー・オブ・ルール!」

《魔装騎士ホワイトライダー》が放った矢が緑色の炎を宿し、《召喚神エクゾディア》を貫こうとする。

しかし、地中から姿を現した《ネクロ・ガードナー》が神の盾となってその矢を受ける。

矢を受けた守り人は緑色の炎に包まれ、灰となった。

「《ネクロ・ガードナー》の効果発動、このカードを墓地から除外することで、攻撃を無効にする」

「俺はこれでターンエンドだ。これで、《光の護封剣》が消滅する。そして、俺のターン終了ごとに、《魔装鳥キンシ》のペンデュラムスケールは2つ上昇する」

翔太の言葉通り、《魔装騎士ホワイトライダー》以外の力を封じ続けてきた光の剣はものの数秒で消えてしまった。

 

アモン

手札1(《封印されしエクゾディア》)

ライフ3000

場 トーチトークン レベル1 守備0

  召喚神エクゾディア レベル10 攻撃4000

 

翔太

手札1→0

ライフ1500

場 魔装騎士ホワイトライダー(《魔装竜テュポーン》装備) レベル9 攻撃5100

  魔装鳥キンシ(青) ペンデュラムスケール1→3

  魔装剣士ムネシゲ(赤) ペンデュラムスケール9

  伏せカード1

 

「僕のターン、ドロー」

 

アモン

手札1→2

 

「更に、《テイク・オーバー5》の効果を発動。このカードを除外することで、更にデッキからカードを1枚ドローする」

 

アモン

手札2→3

 

「そして、カードを1枚伏せてターンエンド。ターン終了と同時に、僕は《エクゾディア》の効果発動。墓地から《封印されし者の右足》を手札に加え…」

「攻撃…しなかったな」

カードを手札に加えようとするアモンが急に手を止める。

そして、うつろな目のまま翔太を見る。

「助かったぜ、こいつの発動条件は厳しくて、デッキから抜こうかとまで思ってしまった。だが…役に立ってくれた」

「…何が、いいたい?」

「やっと普通の言葉をしゃべってくれたが、もう遅い。罠発動!《魔装弓シェキナー》。こいつは俺のフィールド上に《ホワイトライダー》が存在し、相手が戦闘を行わなかったターン終了時に発動できる。墓地に存在するカードを5枚までゲームから除外する!」

《魔装騎士ホワイトライダー》がアモンの墓地に向けて、白い羽に包まれた矢を放つ。

「ああ…!!」

矢は墓地に残っていた《エクゾディア》パーツと《ネクロ・ディフェンダー》を貫く。

貫かれたカードは白い羽となって消滅し、アモンのデッキケースに入る。

「そして、発動後このカードは魔装騎士の装備カードとなり、この効果で除外したカード1枚につき、攻撃力を500アップさせ、貫通効果を与える。そして、《召喚神エクゾディア》の攻撃力は墓地の《エクゾディア》パーツの数×1000だったよな?墓地からそれがなくなったなら、攻撃力は0だ」

力の源である《エクゾディア》パーツを全て失った《召喚神エクゾディア》の体が黒くなっていき、動かなくなった。

 

アモン

手札3→2(うち1枚《封印されしエクゾディア》)

ライフ3000

場 トーチトークン レベル1 守備0

  召喚神エクゾディア レベル10 攻撃4000→0

  伏せカード1

 

翔太

手札0

ライフ1500

場 魔装騎士ホワイトライダー(《魔装弓シェキナー》、《魔装竜テュポーン》装備) レベル9 攻撃5100→7600

  魔装鳥キンシ(青) ペンデュラムスケール1→3

  魔装剣士ムネシゲ(赤) ペンデュラムスケール9

 

魔装弓シェキナー

通常罠カード

(1):相手ターン終了時、自分フィールド上に「魔装騎士ホワイトライダー」が存在し、相手が戦闘を行わなかった場合にのみ発動できる。墓地に存在するカードを5枚まで除外する。その後、このカードを攻撃力がこの効果で除外したカードの数×500アップする装備カードとして自分フィールド上に存在する「魔装騎士」モンスター1体に装備する。

(2):装備カード扱いとなったこのカードを装備したモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、

その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札0→1

 

「バトル…俺は《ホワイトライダー》で《エクゾディア》を攻撃」

再び白い羽に包まれた矢が放たれる。

その矢は静かに《召喚神エクゾディア》の胸を貫き、消滅させた。

 

アモン

ライフ3000→0

 

ライフが0になると同時に、アモンは静かに倒れ、彼が伏せていたカードが翔太の足元まで飛んでくる。

「《補充要員》…自分の墓地にモンスターが5体以上存在するとき、墓地の攻撃力1500以下の通常モンスターを3体まで手札に加えるカードか…こいつと《召喚神エクゾディア》の効果が発動したら、《エクゾディア》が完成していた…」

「いやーいやー、おめでとさんー!!」

声が拍手をしながら、翔太の勝利をたたえる。

「エ…コー…」

「はぁ?」

「僕は…どこで、間違えて…」

言い終わらぬうちに、アモンは黄色い光の粒子となって消滅した。

アモンがいた場所にはデュエルディスクとデッキケース、カードだけが残っていた。

「エコー?」

「それはこいつが生贄にした女の名前だよ。女々しーよなー、自分が望んでそうしたってのにこうして未練がましく…」

「俺には関係ないな。勝った以上、約束は守れよ」

「いいぜ、今回はいい暇つぶしになったからよー。次回も期待してるぜ!!」

翔太の足元の推奨が怪しく光り、デッキに入っている4体の騎士のカードが光り始める。

「記憶の鍵の場所はカードに聞きなー!それから、《召喚神エクゾディア》は俺が見つけた唯一の記憶の鍵だ。特別サービスだってことを忘れんなよー??」

「ぐぅ…!!」

カードが光るのと同時に、翔太の頭から激しい痛みが発生する。

それと同時に、また別の声が聞こえる。

幼い少年の、声変わりしていない高い声だ。

(ねえ、純也兄ちゃん…聖子姉ちゃん…助けて…)

「今回は、声だけか…!?純也、聖子…??)

痛みに耐えながらその声を必死に覚える。

(僕はここだよ…苦しいよ…)

「まさか…石倉純也と…石倉聖子のことか!?」

(苦しい…寒い…暗い…駄目だ、これ以上記憶を取り戻してはいけない!!)

「何!?」

急にはっきりと聞こえたその声に驚くのと同時に翔太は意識を失った。

「ちっ、あの野郎…」

意識を失った翔太が空間から消えると、声は少し不機嫌そうに言い放つ。


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