遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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魔装モンスターに関する真澄のセリフを変更しました。(2014年9月8日)


第5話 LDS襲来

「よーし、じゃあまずは基本的な召喚方法の授業を始めよう。タツヤ、レベル5以上のモンスターの召喚は分かるな?」

今、授業を行っている赤いジャケットとオレンジ色の髪の壮年男性が柊修造だ。

そして、青い髪でカジュアルな服装の少年が起立して質問に答える。

「はい。レベル5から6までのモンスターは自分フィールドのモンスター1体のリリースが必要で、レベル7以上は2体のリリースが必要です」

「よし!よく復習してきたな…っておい!どうしたんだみんな!!」

タツヤの隣で授業を受けている黄色い髪でカバのペイントがある服を着た小太りな少年、フトシと赤い髪で白のシャツと赤とピンクのストライプが特徴の服を重ね着した少女、アユがつまらなそうな表情になっている。

「だって、同じ授業でつまらねーし…」

「そんなの知ってるしー」

そして、水色の髪で青い服を着た少年に限っては授業を全く聞いていない。

彼は紫雲院素良で、年齢はおそらく遊矢とタツヤの間くらいで、最近入ってきたばかりだ。

実力は遊矢に匹敵していて、伊織と同じ融合召喚使いだ。

「僕はバニラアイスとカスタードプリンで融合召喚ー」

「おい、不味いって…」

「不味くないよ、おいしいよー」

そして、伊織に限っては…。

「zzz…」

眠っている。

更に、柚子は腑抜けた感じになっている。

(一体、どうなっているんだ?)

翔太と伊織が遊勝塾に入ってから1週間が経過した。

あのデュエル以来記憶はまだ戻っていないが、遊矢たちとは仲良くなった。

柚子がこのような感じになったのは昨日からだ。

沢渡が遊矢への報復をたくらんでいたのを彼女は1人で止めようとした。

ちなみに、沢渡は翔太に負けた後、ペンデュラムモンスターを手に入れようとしていて、遊矢からそれを奪おうとした。

しかし、デュエル中に取り戻され、挙句の果てには敗北という屈辱を味わったようだ。

遊矢が助けに来たときはすでに事態は収束していて、残ったのは沢渡とその取り巻きの隠れ家であった倉庫の焼け焦げた跡と腑抜けた柚子だけだった。

「お父さん!エクシーズって?」

「え…?」

急に飛び出した柚子の質問に修造が驚く。

そんな中、ドーナッツを食べている素良が何か知っていそうな目で柚子を見るが、誰にも気づかなかった。

「ウチで…エクシーズ召喚を教えたこと、ないわよね…?」

「そ…そりゃあないよ。やったことのないものは教えられんし。それに、LDSも最近教え始めたばかりで、その召喚に関しては翔太がよく知っているだろう?」

「ううん…ちょっと…」

柚子の目に遊矢が入ると、急に別の怖いものが見えたような感じで怯え始める。

「え…何?」

「い…いえ、なんでも…」

「闇討ちだとーーー!?遊矢がそんな卑怯な真似をするわけがない!!」

外から大声が聞こえる。

「闇討ち?」

「ふぇ!?」

変な声を出しながら伊織が目を覚ます。

「権現坂!?」

「権現坂?だれだ、そいつは?」

「権現坂君はうちのライバルである権現坂道場の跡取り息子だ。一体どうしたというんだ?」

翔太たちは真相を確かめるため、外へ飛び出した。

 

外ではリーゼント頭で白い学ランと赤い鉢巻、金属製の下駄をつけた、生まれる時代を間違えたような大男が見覚えのある3人組と言い争っている。

おそらく、その男が修造が言っていた権現坂のようだ。

「どうした!?」

「おお、塾長!この男、権現坂、足腰鍛錬のためランニング中、遊勝塾を除く怪しい3人の男に気付き、問い詰めたところ、夕べ遊矢が闇討ちを仕掛けたとけしからんことを」

「闇討ち!?」

「俺が…!?」

修造と遊矢が驚く中、翔太が前に出る。

「よお、また会ったな」

「この前はよくも沢渡さんを…!!」

「沢渡…?誰だそいつは。そしてお前たちも誰だ?」

「翔太君忘れたの!?前にカード屋でデュエルをした…」

「ああ、あいつらか。悪い、あまりにも印象に残らなかったからな」

「と…とにかく沢渡さんは榊遊矢に闇討ちされた!」

「証人は4人、いや…5人だ!」

翔太からの屈辱的な言葉を何とかスルーし、本題に戻す。

「もう1人の証人…?」

「沢渡さんと俺たち、そしてそいつだ!」

取り巻き達が柚子を指さす。

「だよねー?柊柚子ちゃーん?」

「そうなのか、柚子!?」

「見たって…一体何を!?」

「犯人の顔だよ!次期市長の息子、沢渡シンゴを襲った榊遊矢の顔を!!」

「ええ…!?」

遊矢が戸惑う中、素良達が前に出る。

「嘘を言うな!!」

「遊矢兄ちゃんがそんなことをするはずがない!」

「襲おうとしたのは沢渡の方よ!そして、柚子お姉ちゃんはそれを止めるために…」

「ちょ…ちょっと待て!デュエルをしたのは遊矢じゃなくて、柚子!?」

「そう、その相手は沢渡!」

「塾長、ちょっと静かにしてくれ」

ため息をつきながら、翔太が前に出る。

「翔太君…」

「ええっと、名前は…どうでもいいか。ろくでなしだってことは分かっているし」

「お前、また俺たちと沢渡さんを馬鹿にして!!」

「こんな幼い女の子にまで呼び捨てにされるんだ。否定できないだろ?それと、ろくでなしが襲われた時間帯は俺たちは遊矢と一緒に塾にいた。そんな彼がどうしてろくでなしを襲えるんだ?ぜひ、教えてくれないか?」

「そ…それは…」

「それと柚子。君がそこで何を見たのかはっきり教えてくれないか?そうやって黙っているからややこしくなる」

「…」

翔太の言葉を受けて、柚子は沈黙した。

「まあ、お前たちが説明できないということは証拠不十分。謝罪や補償がほしいなら真犯人を見つけて、そいつに言え」

「ああーーー!!何が何だか、最初から説明してくれーーー!!」

完全に乗り遅れた修造の言葉に一同は絶句する。

「説明は…私からさせていただきます」

黒い高級車の中から紫の髪で豪華な装飾品、そして紫色の高級スーツを着た女性が出てくる。

「これは…自分の家に土足で入られた気分だな」

「あ…あなたはLDSの…」

「理事長を務めている、赤馬日美香と申します」

 

取り巻き達が去り、遊矢たちは休憩室で日美香から話を聞く。

「彼らが話していたことはすべて真実です。我がLDSの生徒である沢渡シンゴが襲撃されたことも、そして犯人は遊勝塾に所属している榊遊矢であることも、彼が証言しています」

「しかし、うちの生徒である翔太君が言うとおり、その時遊矢は塾にいた。アリバイがあります」

「この男、権現坂は遊矢を、友を信じる!皆もそうだろう?」

「当たり前だ!!」

「当然、遊矢君がそんなことするはずないもん!」

「柚子は?」

「あ…あたしは…」

柚子は沈黙してしまう。

沈黙は遊矢を信じていないことを証明してしまうことであるにもかかわらず。

幼いころから彼を知る柚子の沈黙は遊矢の心を傷つけるものだ。

「ねえ…遊矢はやってないのよね?」

確認するかのように、遊矢に問いかける。

自分を納得させたいという思いと共に。

「柚子が何を見たか知らないけど…俺は沢渡を襲っていない!」

「分かった…あたしも遊矢を信じる」

(あ…あれ?翔太君はまだかな?電話にしたら長すぎるけど…)

 

塾からLDSへ戻っている取り巻き達は日美香が乗っていた車の運転手である中島から渡されたカードを見て、にやにや笑っている。

「へへへ…レアカードゲットだ!」

「まさか、こんな演技をするだけで手に入るなんて」

「なるほどな。どんなカードをもらったか、見せてもらえないか?」

「え…!?」

聞き覚えのある声に震えながら3人は振り返る。

「その会話、しっかり録音させてもらった。これをばらされたらお前たちは終わりだな」

伊織から借りた携帯をだし、再生ボタンを押す。

すると、先ほどの会話が再生された。

「な…何を言っているんだ!?俺たちは…」

「ふう…。俺は遊勝塾に世話になってる身だからな、こういうのはいただけないな」

そして、数分が経過した…。

「じゃあ、お前たちが先ほど手に入れたカードは補償替わりにもらっていくぞ。それと、記憶喪失にならないようにな」

3枚のカードをポケットにしまい、翔太は塾へ戻る。

川の中には3本の左腕が同じような形で出ており、それぞれに『ただいま精神修行中 助けないでください』と書かれたプラカードがかけられていた。

 

「結束力が硬いようですねぇ、それでは遊矢君を引き渡せというわけにはいきませんね。ですが、我々も引き下がれないのですよ。業界ナンバー1であるLDSのデュエリストが負けたといううわさが流れれば、こちらとしては不利益になりますから…」

「だから、遊矢がやったわけでは…」

「そんなことは問題ではない!問題はLDSの看板に泥を塗られたこと!!この汚名をそそぐには、塾生同士が戦って勝つしかありません!」

日美香から放たれる凄味のあるオーラ。

長い間、様々な業界のライバルと戦い続けたことで培われたものだろう。

「デュ…デュエルで勝負を!?」

遊矢と柚子、そして修造が驚く中、素良は怪しい笑みを浮かべる。

「そちらが勝てば、沢渡君のことは不問にします。しかし、我々が勝てば、この塾は我々LDSのものとさせていただきます!」

「な…なんだって!?」

「そんな…!!」

「汚名をそそぐだけでは飽き足らず、遊勝塾の看板まで奪うだと!!?」

「なんだか怖いなー、私、この人のような大人にはなりたくないよ…」

「目的は遊勝塾よりも、ペンデュラム召喚だろう?」

「あ…翔太君!」

休憩室に入ってきた翔太に全員の目が向く。

「ペンデュラム召喚を持つデュエリストがいるのはここだけ。そして、ペンデュラム召喚が手に入ればあんたらは勢いづく。違うか?」

「そうです。この塾ではペンデュラム召喚は宝の持ち腐れ。レオコーポレーションの技術力があれば、ペンデュラムモンスターを解析・開発し、更にLDSでカリキュラム化することができる。我々は1つになるべきなのです」

「まあ、あんたらのターゲットは遊矢が持つペンデュラムモンスター。なら、どうするかはお前が決めればいい」

遊矢の肩を軽くたたき、伊織の隣に行く。

少しばかり悩んだ後、遊矢は答えを出した。

「デュエルは…喧嘩の道具じゃない!だけど、ペンデュラム召喚も遊勝塾もあんたたちに渡すつもりはない!ここは、父さんのエンターテインメントデュエルを教える場所だ!金谷力でなんでも言うことを聞かせようとするあんたたちには絶対に渡さない!!」

遊矢の言葉を受け、日美香は静かに彼を睨む。

「よくぞ言った遊矢!この男、権現坂も遊勝塾を守るために共に戦うぞ、友よ!」

「でも君、部外者だよね?」

素良の部外者発言で権現坂が固まる。

「塾生同士で戦うなら、僕と遊矢、柚子で戦えばいいんじゃない?僕もLDSのデュエリストと戦ってみたかったし」

あまりにもショックだったのか、真っ白になった彼を差し置いて、素良が話を進める。

「こ…この男、権現坂を除外するとはけしからーーん!!!」

「まあまあ、権現坂君」

「待てーーー!!まだこの男、権現坂のーーー!!」

伊織とタツヤ、フトシ、アユによって権現坂は観客席まで連行されていった。

「どうやら、塾生たちの気持ちは固まったようですけど」

「私の気持ちも固まっています。遊勝塾は渡さない!」

「はあ…では、始めましょうか」

 

デュエルフィールドで遊勝塾とLDSの生徒が対峙する。

LDS側には紫色の髪で北斗七星をもした飾りを額につけた、紫と青の服を着た少年とボサボサの茶髪でジャージ姿、そして竹刀をもった八重歯の少年、そして黒髪で黒目の肌、重ね着された青と白のシャツとスパッツというスポーティーな服装の少女。

遊勝塾側には柚子と素良、そして翔太だ。

伊織たちは観客席で待機をしている。

「先に2勝した方の勝利ということで、よろしいわね?では、そちらは誰から?」

「僕ーーー!!」

「いや、俺から行く」

素良を差し置き、翔太が前に出る。

「いいでしょう。残りの2人は頼りなさそうですし、なぜ遊矢君は彼と交代しようと思ったのでしょうねぇ…」

「ちょっとおばさん!!何それーー!?僕の力知らないくせにーーー!」

「いいからいいから…」

「プー…」

苦笑する柚子に頭をたたかれ、不満げになる素良。

「頼む…翔太」

「ねえ、遊矢君。どうして翔太君と交代したの?」

「翔太に頼まれたんだ。きっと、あの3人の中に記憶の鍵になるモンスターを持っているデュエリストがいるかもしれないって…。それに、俺がペンデュラム召喚を使うとLDSが知っている以上、必ず対策してくるって…」

「ふーん…。なら、私も柚子ちゃんか素良君に代わってデュエルしたかったなー」

伊織はつまらなさそうにデュエルフィールドを眺める。

そんな中、LDSも一番手のデュエリストを決めた。

「LDSエクシーズコース所属、志島北斗」

紫髪の少年が前に出る。

日美香が連れてきた3人は遊矢と同じジュニアユースのデュエリストだが、それぞれのコースで優秀な成績を上げている。

そんな彼らを連れてきただけでも、彼女がどれだけ本気で遊勝塾を奪おうとしているのかがうかがえる。

観客席では伊織が志島北斗の戦果を携帯で調べていた。

「あった!志島北斗。今年の戦績は58戦53勝!?」

「ジュニアユース選手権の出場資格を完全にクリアしてるじゃん!」

「それに、今年の優勝候補らしいよ!」

「勝てるのか…?翔太…」

「エースだろうが、優勝候補だろうが関係ない。強さは俺の目で見極める」

翔太はすでにデュエルの準備を整えていた。

そして、デュエルフィールドには翔太と北斗だけが残り、残りは全員観客席へ移る。

「うちのデュエリストはどんな状況でも対応できるから、お好きにどうぞ」

「塾長、フィールドはランダムで頼むぞ」

「どんな状況でも対応できるだとーーー!?本当かどうか確かめてやる!!」

フィールド選択設定をランダムにし、修造はソリッドビジョンを起動する。

百種類以上存在する専用フィールドからランダムで選択されたのは《星の聖域》だ。

翔太たちのフィールドが古代ギリシャ風の遺跡と星の海が特徴的なものへと変化していく。

ぽっかりと空いた大穴の中央には巨大な足場が1つ、そしてそこから神殿へ向かうための浮石が複数。

落下への不安とも戦う必要があるフィールドだ。

「ハハハハ!!まさか、僕が一番得意とするフィールドになるとは…」

「な…何ーーー!!?」

とんでもないフィールドになってしまったことに修造が真っ青となるが、翔太は余裕なままだ。

「じゃあ、さっさと始めるか。沢渡のようなデュエリストでないことを祈りたいな」

タツヤ達年少3人組がデュエル開始を宣言する。

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

「「デュエル!!」」

 

北斗

手札5

ライフ4000

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

「僕の先攻、僕は手札から《セイクリッド・グレディ》を召喚!」

 

セイクリッド・グレディ レベル4 攻撃1600

 

「このカードの召喚に成功した時、手札からレベル4以下のセイクリッドモンスター1体を特殊召喚できる。僕は手札から《セイクリッド・カウスト》を特殊召喚!」

 

セイクリッド・カウスト レベル4 攻撃1800

 

「これでレベル4のモンスターが2体。ランク4のエクシーズモンスターをエクシーズ召喚する気か!?」

浮石を次々と飛び越え、背後の神殿に到達しつつ、北斗の動きを見極める。

「いいや、僕は《セイクリッド・カウスト》の効果発動!このカードは1ターンに2度まで僕のセイクリッドモンスターのレベルを1つ変動させることができる。僕はその効果で《カウスト》と《グレディ》のレベルを1つずつアップさせる」

《セイクリッド・カウスト》が空に放った矢が光の雨となり、2体のセイクリッドモンスターのレベルが変化する。

 

セイクリッド・グレディ レベル4→5 攻撃1600

セイクリッド・カウスト レベル4→5 攻撃1800

 

「ランク5か…!?」

「僕はレベル5の《セイクリッド・グレディ》と《カウスト》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!《セイクリッド・プレアデス》!」

 

セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃2500

 

(沢渡君を襲った襲撃犯はエクシーズ召喚を使っていた…。もし、犯人が榊遊矢なら何か反応があるはず…)

日美香の目がデュエルに注目している遊矢に向く。

しかし、遊矢はまるで初めてそれを見るような目をしていた。

「僕はこれでターンエンド。さあ、君のターンだ」

 

北斗

手札5→3

ライフ4000

場 セイクリッド・プレアデス(オーバーレイユニット2) ランク5 攻撃2500

 

翔太

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

「このカードはフィールドのオーバーレイユニットを2つ取り除くことで、手札から特殊召喚できる。俺は《セイクリッド・プレアデス》のオーバーレイユニット2つを取り除き、《魔装暗殺者ラシード》を特殊召喚」

「何!?オーバーレイユニットをコストにするモンスターだと…!?」

《セイクリッド・プレアデス》の背後に長く伸びた白いひげが特徴的な黒いローブの老人が現れる。

そして、両手に持つ柄に五芒星が刻まれているナイフでオーバーレイユニットを刺し、消滅させると翔太のそばに移動する。

「更にこの効果で特殊召喚に成功した時、俺はデッキからレベル4以下の魔装モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキから《魔装詩人ダンテ》を特殊召喚」

五芒星が右手袋に刻まれていて、左目が隠れるほど長い青髪が特徴的なルネッサンス期イタリアの服を着た青年が現れる。

 

魔装暗殺者ラシード レベル3 攻撃1000

魔装詩人ダンテ レベル3 攻撃500

 

魔装暗殺者ラシード

レベル3 攻撃1000 守備1000 効果 闇属性 戦士族

「魔装暗殺者ラシード」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードはフィールド上のエクシーズ素材を2つ取り除き、手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚に成功した時、デッキからレベル4以下の「魔装」モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃できず、表示形式の変更もできない。

 

「く…!《プレアデス》のオーバーレイユニットが…」

「エクシーズモンスターは大抵の場合、オーバーレイユニットがないと真価を発揮できないからな。そして、《魔装詩人ダンテ》の効果発動。このカードを魔装と名のつくシンクロモンスターのシンクロ素材とするとき、このカードをチューナーとして扱うことができる」

「何!?ということは!!?」

「俺はレベル3の《ラシード》にレベル3の《ダンテ》をチューニング。神の血を身に宿す槍士、雷鳴のごとき苛烈さを得て戦場で踊れ!シンクロ召喚!現れろ、《魔装槍士クーフーリン》!!」

五芒星が刻まれた黄金のブローチを首にかけ、茶髪な黒いケルト神話風の鎧を着た戦士が現れる。

右手には灰色の銛のような形をした槍が握られていて、それを天に掲げた瞬間、彼の髪が電流のように逆立つ。

 

魔装槍士クーフーリン レベル6 攻撃2100

 

魔装詩人ダンテ

レベル3 攻撃500 守備500 効果 地属性 魔法使い族

(1):このカードを「魔装」Sモンスターのシンクロ素材とするとき、このカードはチューナーとして扱うことができる。

(2):このカードは「魔装」モンスター以外の融合素材・X素材とすることができない。

 

「嘘だろ…?こんな小さい塾でシンクロ召喚を使う奴がいるのかよ!?」

「それに、何なの魔装モンスターって!?それって通常モンスターをサポートするモンスター群でしょ!?なのに、彼が持っている魔装モンスターは全くコンセプトが違う!!」

見たことのないカードにLDSの生徒が動揺する。

「だ…だが、攻撃力はたったの2100。僕の《セイクリッド・プレアデス》よりも下だ!」

「俺は《クーフーリン》の効果を発動。1ターンに1度、俺のフィールドの魔装モンスターと相手フィールドのモンスターを1体ずつ選択し、選択した相手モンスターの攻撃力・守備力をエンドフェイズまで俺の魔装モンスターのレベルかランク1つにつき400ポイントダウンさせる!」

「何!?」

「ゲイ・ボルグ」

《魔装槍士クーフーリン》が高く跳躍し、《セイクリッド・プレアデス》に向けて槍を投擲する。

手から離れたその槍は一瞬で30本近くの銛に変化し、次々と《セイクリッド・プレアデス》に刺さる。

そのモンスターは刺さった銛を抜こうとするが、抜こうとすればするほどどんどん深く刺さっていく。

 

セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃2500→100

 

「この効果を発動したターン、このカード以外のモンスターは攻撃できない。バトルだ!《クーフーリン》で《セイクリッド・プレアデス》を攻撃。ニードル・スピア!」

《魔装槍士クーフーリン》の手に新たな槍が現れると、彼はそのまま浮石を飛び越え、苦しむ《セイクリッド・プレアデス》に迫る。

「く…!だが、甘い!」

「何?」

急に上空から流れ星がフィールドに向けて降ってくる。

「《プレアデス》!!」

北斗の命を受けた《セイクリッド・プレアデス》は北斗を流れ星が落ちると思われる神殿の屋根に向けて投擲した。

「う…嘘…!?」

「飛んでるーー!!」

飛んで行った神殿に流れ星が落ちると、それはアクションカードとなり北斗の手に渡る。

「僕はアクション魔法《コスモ・バリア》を発動!僕のエクシーズモンスター1体への攻撃を無効にし、ライフを1000回復する!」

急に《魔装槍士クーフーリン》の進路上に隕石が降り注ぐ。

次々と降り注ぐ隕石を見て、彼は攻撃は不可能と判断し翔太の元へ戻る。

 

北斗

ライフ4000→5000

 

魔装槍士クーフーリン

レベル6 攻撃2100 守備500 シンクロ 光属性 雷族

「魔装」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「魔装槍士クーフーリン」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できず、発動したターンこのカード以外の自分のモンスターは攻撃できない。

(1):自分フィールド上に表側表示で存在する「魔装」モンスター1体と相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。選択した相手モンスターの攻撃力・守備力をエンドフェイズまで選択した自分のモンスターのレベルまたはランクの数×400ダウンする。

 

コスモ・バリア

アクション魔法カード

(1):自分のエクシーズモンスターが攻撃対象となったときに発動できる。その攻撃を無効にし、自分のライフを1000回復する。

 

「あーあ、あと少しで2000ポイントのダメージを与えられたのに!」

「《クーフーリン》の効果はエンドフェイズに消える。このままだとせっかくシンクロ召喚した《クーフーリン》が破壊されるぞ!」

他の遊勝塾メンバーが真剣に観戦している中、素良はまるで対岸の火事を見ているような目でポッキーを食べながら観戦している。

(ふぅん…まさか、こんなモンスターがあるなんてね)

 

「ハハハ。せっかくのチャンスがなくなって残念だったね。ちなみに、僕はエクシーズ召喚を習得してから50連勝中。そして、この《星の聖域》でどのタイミングで、どの場所にアクションカードが出現するか熟知している。次はお前を倒して51連勝だ」

「興味ないな。俺はモンスターを裏守備表示で召喚し、ターンエンド」

ターン終了と同時に、《セイクリッド・プレアデス》に刺さっていた銛が抜ける。

そして、《魔装槍士クーフーリン》の左手に集結し、槍に戻って行った。

 

北斗

手札3

ライフ4000

場 セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃100→2500

 

翔太

手札6→4

ライフ4000

場 魔装槍士クーフーリン レベル6 攻撃2100

  裏守備モンスター1

 

「僕のターン、ドロー」

 

北斗

手札3→4

 

「僕は手札から魔法カード《オーバーレイ・チャージ》を発動。僕のフィールドに存在するモンスターがエクシーズモンスター1体だけの場合、僕は手札を2枚までオーバーレイユニットに変換することができる!」

手札2枚が北斗の手から離れ、オーバーレイユニットとなって《セイクリッド・プレアデス》の周囲を旋回し始める。

 

オーバーレイユニットとなった手札のカード

・セイクリッド・ハワー

・セイクリッド・ダバラン

 

「そして、僕は《セイクリッド・プレアデス》の効果を発動。1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、フィールド上のカード1枚を手札に戻す!」

《セイクリッド・プレアデス》の左手にオーバーレイユニットが宿ると、《魔装槍士クーフーリン》が光の粒子となって消滅する。

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・セイクリッド・ハワー

 

「《クーフーリン》が…!」

「更に、僕は手札から《セイクリッド・アクベス》を召喚」

白と金を基調とした鎧とマントをつけた蟹の姿をした騎士が現れる。

 

セイクリッド・アクベス レベル4 攻撃800

 

「このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、僕のセイクリッドモンスターの攻撃力は500ポイントアップする」

 

セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃2500→3000

セイクリッド・アクベス レベル4 攻撃800→1300

 

「バトルだ!僕は《セイクリッド・プレアデス》で裏守備モンスターを攻撃!」

《セイクリッド・プレアデス》が右手の剣で裏守備モンスターを切り裂こうとする。

(…!アクションカード!)

すると、翔太から見て右斜め上の柱の上に流れ星が落ちる。

北斗がそれを見逃すはずがないことを知りつつ、翔太は大急ぎでその柱まで向かう。

「間に合うか…!?」

柱が目の前で、あとはよじ登るだけという時に目の前に《セイクリッド・プレアデス》が現れる。

「ふう…やはり、見逃すはずがないな」

「当たり前だ。ここは僕が一番得意なフィールドだとさっきも言っただろう?」

《セイクリッド・プレアデス》の背後から現れた北斗の手にはアクションカードが握られていた。

そして、翔太のそばにいる裏守備モンスターを切り裂こうとする。

しかし、刃は裏守備表示モンスターをすり抜け、地面に刺さる。

「な…何!?」

「お前が攻撃しようとしていたモンスターは《魔装霊レブナント》。こいつはリバースしたターン戦闘では破壊されず、更にリバース効果で俺はデッキから魔装モンスター1体を手札に加える」

 

魔装霊レブナント レベル2 守備500(チューナー)

 

デッキから手札に加わったカード

・魔装騎士ムネシゲ

 

「くそ…!破壊耐性とサーチだと!?」

「これは…不用意だったね」

目を細めながら、素良はにやりと笑う。

これは翔太がペンデュラムモンスターを手札に加えるための二重の罠だったのだ。

「くそっ!僕はこれでターンエンド」

 

北斗

手札4→1(アクションカード込)

ライフ4000

場 セイクリッド・プレアデス(オーバーレイユニット1) ランク5 攻撃3000

  セイクリッド・アクベス レベル4 攻撃1300

 

翔太

手札4→5(うち1枚《魔装騎士ムネシゲ》)

ライフ4000

場 魔装霊レブナント レベル2 守備500(チューナー)

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

「俺はスケール2の《魔装槍士ダダカツ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング」

「な…何!?」

「シンクロ召喚だけでなくペンデュラム召喚まで…何者なの?彼は…」

翔太のペンデュラムモンスターが2本の光の柱を生み出す。

「これで俺はレベル3から8までのモンスターを同時に召喚可能。来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。希望の道を照らし、勝鬨を上げろ!ペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスターたち!!《魔装妖ビャッコ》、《魔装郷士リョウマ》、死を司る青き騎士、《魔装騎士ペイルライダー》!!」

翔太の目が青く染まるのと同時に、3体のモンスターが現れる。

桔梗と五芒星が合わさった家紋がついた、史実で坂本竜馬が所持していたS&Wモデル1/2 32口径5連発をモチーフとした拳銃と青い袴、茶色いブーツを装備した幕末の武士、《魔装陰陽師セイメイ》の肩に乗っていたモンスターが翔太の前に現れる。

そして、《魔装騎士ペイルライダー》は近くにある一番高い柱の上で、北斗を見下ろすように立っている。

しかし、その装備は前のデュエルの時と異なり、両脚部に五芒星が刻まれたミサイルポッド、右手にはマシンガンの代わりにキャノン砲が装備されている。

 

魔装妖ビャッコ レベル3 攻撃400

魔装郷士リョウマ レベル4 攻撃1900

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

 

「わぁ…可愛い!!」

「アユちゃんもそう思う?あの《ビャッコ》ってモンスター」

「なんだか和むよねー、こういうモンスターがいると…」

女性陣が翔太のフィールドに現れた《魔装妖ビャッコ》を見て、メロメロ状態になっている。

そのマスコットのようなモンスターが鞄からみたらし団子を取り出し、食べ始めるとさらに歓声を上げる。

「はあ…」

彼女たちの緊張感のない様子に翔太は頭を抱える。

「これがペンデュラム召喚…。だが、せっかくのペンデュラム召喚もこのカードの前では無意味だ!僕はアクション魔法《コスモ・シャワー》を発動!相手フィールド上にモンスターが3体以上存在するとき、相手モンスターをすべて破壊する!」

上空に次々と流星が現れ、翔太のフィールドに降り注ぐ。

「ハハハハ!!これでお前のモンスターは全滅だ!!」

「俺は手札から罠カード《魔装障壁》を発動!」

「手札から罠カードだと!?」

「このカードは俺のフィールドに魔装モンスターが3体以上存在するとき、手札から発動できる。俺のフィールド上のカードを破壊する効果を無効にし、破壊する」

《魔装騎士ペイルライダー》と《魔装郷士リョウマ》がキャノン砲とミサイルポッド、拳銃で次々と流星を破壊し、《魔装妖ビャッコ》が鞄から弾薬を取り出して2人に補給した。

「《コスモ・シャワー》をかわしただと…!?」

「ふう…《魔装障壁》が手札にあって助かった」

 

コスモ・シャワー

アクション魔法カード

「コスモ・シャワー」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):相手フィールド上にモンスターが3体以上存在するときに発動できる。相手フィールド上に存在するモンスターをすべて破壊する。

 

魔装障壁

通常罠カード

(1):自分フィールド上に「魔装」モンスターが表側表示で存在する場合にのみ発動できる。相手の「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ魔法・罠・モンスター効果を無効にし、破壊する。

(2):自分フィールド上に存在するモンスターが「魔装」モンスター3体のみの場合、このカードは手札から発動できる。

 

「更に、俺は《リョウマ》の効果を発動。このカードのペンデュラム召喚に成功した時、墓地から魔装モンスター1体を手札に加えることができる。俺は墓地から《魔装詩人ダンテ》を手札に加える。バトル!《魔装騎士ペイルライダー》で《セイクリッド・プレアデス》を攻撃」

「何!?攻撃力は《プレアデス》のほうが上だぞ!?」

《魔装騎士ペイルライダー》の複数のミサイルが《セイクリッド・プレアデス》に襲い掛かる。

「《ペイルライダー》は戦った相手モンスターをダメージステップ終了時に破壊する。そして、《魔装剣士ムネシゲ》の効果で1ターンに1度、俺のペンデュラムモンスターを破壊から守る」

「狙いはそっちか!!?だが、まだ《プレアデス》にはオーバーレイユニットが残っている!《セイクリッド・プレアデス》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことでフィールド上のカード1枚を手札に戻す!」

《魔装騎士ペイルライダー》が光の粒子となって消える。

そして、ミサイルは《セイクリッド・プレアデス》から外れて後方の神殿に着弾した。

「ハハハハ!!無駄だ無駄だ!今のお前のフィールドには攻撃力3000となった《プレアデス》を止める手段はない!」

「ああ…そうだな。俺は《リョウマ》で《セイクリッド・アクベス》を攻撃。ドラゴン・バレッド」

《魔装郷士リョウマ》の銃弾が《セイクリッド・アクベス》を貫き、撃破した。

「ちっ…!50戦もの間一度も削られたことのない僕のライフが…」

 

北斗

ライフ4000→3400

 

「そして、俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

北斗

手札1→0

ライフ3400

場 セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃3000

 

翔太

手札6→2(《魔装詩人ダンテ》《魔装騎士ペイルライダー》)

ライフ4000

場 魔装霊レブナント レベル2 守備500(チューナー)

  魔装郷士リョウマ レベル4 攻撃1900

  魔装妖ビャッコ レベル3 攻撃400

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  魔装剣士ムネシゲ(赤) Pスケール9

  伏せカード1

 

魔装郷士リョウマ

レベル4 攻撃1900 守備1200 風属性 戦士族

【Pスケール青5:赤5】

(1):このカードはもう片方の自分のPゾーンに置かれているPモンスターが「魔装」モンスター以外の場合、墓地へ送られる。

(2):1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する「魔装」モンスターが攻撃対象となったときに発動できる。攻撃モンスター1体を手札に戻す。

【モンスター効果】

(1):このカードを手札からP召喚に成功した時に発動する。自分の墓地から「魔装」モンスター1体を手札に加える。

 

「すげぇ…。LDSのデュエリストが相手なのに、翔太のライフがまだ1ポイントも減ってない」

「それに、《セイクリッド・プレアデス》にはオーバーレイユニットがないから、もう翔太君のモンスターを手札に戻すことはできないよ!」

「でも、《セイクリッド・プレアデス》の攻撃力は3000。翔太のフィールドにはそのモンスターを倒せるモンスターはいないよ。ということは、翔太の伏せカードは…」

素良の目は翔太の伏せカードに向けられていた。

「僕のターン、ドロー!」

 

北斗

手札0→1

 

「僕は手札から《セイクリッド・ソンブレス》を召喚!」

 

セイクリッド・ソンブレス レベル4 攻撃1550

 

「《セイクリッド・ソンブレス》の効果発動!1ターンに1度、墓地のセイクリッドモンスター1体を除外し、墓地からセイクリッドモンスター1体を手札に加える」

 

墓地から手札に加わったモンスター

・セイクリッド・カウスト

 

墓地から除外されたモンスター

・セイクリッド・アクベス

 

「更に、この効果を発動したターン、手札からセイクリッドモンスターを召喚できる。僕は手札に加えた《セイクリッド・カウスト》を召喚!」

 

セイクリッド・カウスト レベル4 攻撃1800

 

「《セイクリッド・カウスト》…。ということは…」

「そうだ!《セイクリッド・カウスト》の効果で《ソンブレス》と《カウスト》のレベルを1つずつ上昇させる!」

 

セイクリッド・ソンブレス レベル4→5 攻撃1550

セイクリッド・カウスト レベル4→5 攻撃1800

 

「僕はレベル5の《セイクリッド・ソンブレス》と《カウスト》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!《セイクリッド・プレアデス》!」

 

セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃2500

 

「もう1体の《セイクリッド・プレアデス》!?」

「お前は《セイクリッド・プレアデス》の効果はもう使えないと思っていたのだろう?すべて計算の範囲内だ」

「…。君もね」

素良にとっては予想できるありきたりの対応だ。

セイクリッドデッキの中でも高い戦闘力を持つ《セイクリッド・プレアデス》を複数入れるのは当然の行為だ。

「《セイクリッド・プレアデス》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、フィールド上のカード1枚を手札に戻す!」

《セイクリッド・プレアデス》にオーバーレイユニットが宿ると、《魔装霊レブナント》が光に包まれつつあった。

「罠発動!《魔装共鳴》!!」

《魔装霊レブナント》を包む光が消え、3体の魔装モンスターの五芒星が光り始める。

「何!?」

「このカードは相手ターンに発動でき、魔装と名のつくモンスターをシンクロ召喚、またはエクシーズ召喚する。俺はレベル3の《ビャッコ》、レベル4の《リョウマ》にレベル2の《レブナント》をチューニング。勝利と支配をもたらす第2の騎士よ、終戦を告げるその矢で敗者を鎮めよ!シンクロ召喚!《魔装騎士ホワイトライダー》!!」

白銀の鎖帷子とフルフェイスのフェイスガード、そして五芒星が刻まれた弓矢を装備した騎士が現れる。

現れた瞬間、翔太の目が今度は白に変化した。

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

 

魔装共鳴

通常罠カード

(1):相手のターンに発動できる。「魔装」Sモンスター、または「魔装」Xモンスター1体をS召喚、またはX召喚する。

「魔装共鳴」は1ターンに1度しか発動できない。

 

「お…おい!?今まで気づかなかったが、なんでお前の目の色が変わってるんだ!?」

かなり驚いた様子で北斗は翔太に指をさす。

(今度は白…)

(シンクロ召喚にエクシーズ召喚、更にペンデュラム召喚…。敵にするにはかなり厄介だけど、もしかしたら…)

かなり真面目な表情になっている素良は菓子を食べるのをやめた。

それよりも、彼の謎を少しでも探ろうとデュエルを見た。

「それについては俺にもよくわからない。デュエルを続けるぞ。俺は《ビャッコ》の効果発動。魔装と名のつくモンスターのシンクロ素材、もしくはエクシーズ素材となったとき、デッキからカードを1枚ドローする」

「くそ…!だが、次のターンにならば《セイクリッド・プレアデス》の効果でそのモンスターを…」

「残念だが、《魔装騎士ホワイトライダー》は魔装と名のつく装備カード以外のカード効果を受けない」

「なんだと!?それじゃあ、今の僕にできることはないというのか!?僕はこれでターンエンド」

 

北斗

手札1→0

ライフ3400

場 セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃3000

  セイクリッド・プレアデス(オーバーレイユニット1) ランク5 攻撃2500

 

翔太

手札2→3(うち2枚《魔装詩人ダンテ》《魔装騎士ペイルライダー》)

ライフ4000

場 魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  魔装剣士ムネシゲ(赤) Pスケール9

 

魔装妖ビャッコ

レベル3 攻撃400 守備400 効果 闇属性 アンデッド族

「魔装妖ビャッコ」の(3)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードは「魔装」モンスター以外のS素材・X素材・融合素材にすることはできない。

(2):このカードを「魔装」モンスターのS素材・X素材とするとき、レベルを4として扱うことができる。

(3):このカードがS素材・X素材となったとき、デッキからカードを1枚ドローする。

 

魔装騎士ホワイトライダー

レベル9 攻撃3100 守備3000 シンクロ 光属性 戦士族

「魔装」チューナー+チューナー以外の「魔装」モンスター2体以上

(1):このカードは「魔装」装備カード以外の魔法・罠・モンスター効果を受けない。

 

「やった!!翔太君の《ホワイトライダー》の攻撃力は3100!これなら攻撃力が3000になっている《セイクリッド・プレアデス》を倒せる!」

「何か…アクションカードは!!」

北斗は《魔装騎士ペイルライダー》の攻撃によって崩れた神殿に向けて走り始める。

無事かどうかは分からないが、その中にはアクションカードが供物としてささげられている。

「俺のターン!」

 

翔太

手札3→4

 

「俺は手札から魔法カード《マジックコード:α》を発動。俺のフィールドに魔装モンスターが存在するとき、相手モンスター1体の効果をエンドフェイズまで無効にする!」

《セイクリッド・プレアデス》の胸にαを模した文字が刻まれ、そのモンスターの力の一部が封印される。

 

マジックコード:α

通常魔法カード

(1):自分フィールド上に「魔装」モンスターが表側表示で存在する場合、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。そのモンスターの効果をエンドフェイズまで無効にする。

 

「そんな…この僕が押されている!?」

バウンスができなくなり、翔太の場にはまだ《魔装騎士ホワイトライダー》が残っている。

(せめて…あのアクションカードの効果で戦闘を無効にできれば!!)

「俺は《魔装獣ユニコーン》を召喚」

召喚と同時に翔太は《魔装獣ユニコーン》に騎乗する。

すると、その老いた一角獣は瞬時に無理のないコースを見つけ、全速力で走る。

老いにより視力は衰えているが、熟練の経験がその馬の武器なのだ。

(これだ…アクションカード!!)

神殿が破壊されたにもかかわらず、無事だった祭壇の上にはアクションカードがある。

北斗はその一縷の希望を手にしようとした。

しかし、背後から猛スピードで翔太が迫る。

「何!?」

「悪いな、けどこれはデュエルだ」

北斗が手にしようとしたアクションカードが翔太の手に渡る。

「(このカードか…。使わなくても勝てるけど、せっかくだから使うか)俺は手札からアクション魔法《ティンクル・コメット》を発動。フィールド上のモンスター1体の攻撃力を1000ポイントダウンさせ、相手に500ポイントのダメージを与える」

カードから大きな赤い隕石が現れる。

それは一直線に《セイクリッド・プレアデス》に命中し、そのモンスターは体勢を崩す。

 

セイクリッド・プレアデス ランク5 攻撃3000→2000

 

北斗

ライフ3400→2900

 

ティンクル・コメット(アニメオリカ)

アクション魔法カード

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで1000ダウンし、相手に500ダメージを与える。

 

「あ…ああ…」

アクションカードの発動を終えた翔太はすぐに《魔装獣ユニコーン》から降りる。

「《ユニコーン》の効果発動。このカードを装備カードとして魔装騎士に装備し、そのモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせる」

《魔装騎士ホワイトライダー》が翔太の代わりに騎乗する。

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100→3900

 

「こ…攻撃力3900…!?」

「バトルだ。《ホワイトライダー》で《セイクリッド・プレアデス》を攻撃。アロー・オブ・ルール」

《魔装騎士ホワイトライダー》を乗せた《魔装獣ユニコーン》が空高く跳躍する。

そして、月をバックにして第2の騎士が白銀の矢の雨を放つ。

矢の雨が次々と《セイクリッド・プレアデス》に命中し、そのモンスターは消滅した。

「うわあああ!!」

 

北斗

ライフ2900→1000

 

「まだだ。《魔装獣ユニコーン》の効果発動。このカードを装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

「そ…そんな…僕の51連勝が…」

北斗は真っ白になって膝を折る。

そして、そんな彼を上空から着陸した《魔装獣ユニコーン》に踏みつけられた。

 

北斗

ライフ1000→0

 

「やった!まずは1勝!!」

「やったーーー!!」

「さすが翔太君!」

「熱血だーーーー!!」

遊勝塾の面々が先制に喜ぶ中、LDSの面々は穏やかではなかった。

「まさか…あの北斗が敗れるなんて…」

(秋山翔太…彼は一体何者なの?)

デュエルの間、彼女は中島に翔太について調べてもらっていた。

しかし、翔太が記憶喪失であること、遊勝塾に最近入ったばかりで今は児童養護施設で生活していることだけしかわからなかった。

「…。いいデュエルを見せてもらった。秋山翔太」

いつからそこにいたのか、観客席の物陰でこっそりとデュエルを観戦していた黒いフードをつけた男が静かに呟いた。


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