「…なんでこうなった?」
「あははは…なんでだろ?」
「キュイー」
苦笑いする伊織と想定外の事態に目を丸くする翔太。
そして、その2人の目の前で嬉しそうに油揚げが入った汁かけ飯を食べている《魔装妖ビャッコ》。
そして、そのビャッコは実体化している。
「ええっと、私が起きたときは翔太君のお腹の上でスヤスヤ寝てたよ?」
「少し腹が重いと思った理由がそれかよ…」
「最初見たときはぬいぐるみかと思ったけど、まさか本当にモンスターが出てくるなんて…」
伊織は汁かけ飯に夢中になっているビャッコに頭をなでる。
撫でられたビャッコは伊織を見て、微笑んだ。
(一体どうなってるんだ?こいつ…)
「あ、そうだ。翔太君!今日はどうしようか?」
「今日は俺たちの試合はないが、次の対戦相手について知りたいな」
「じゃあ、朝ご飯食べたらビャッコちゃんと一緒に行こうか!」
「おいおい、こいつを見られたら大騒ぎになる。こいつはホテルに置いて…」
「キュー!」
食べ終わったビャッコが鞄から葉っぱを取り出し、頭に乗せる。
そしてそのまま空中で一回転すると白い子猫に変化した。
「すごーい!変化できるんだね」
「狐は変化ができるって話をじいさんが言っていたな」
「ニャーン」
猫になったビャッコが伊織の足元でスリスリし始める。
(こいつ…俺のモンスターなのに、俺よりも伊織に懐いてないか?)
スタジアムにつくと、昨日デュエルを行っていない残りの組によるデュエルが行われていた。
「これでとどめだ!!《究極宝玉神レインボー・ドラゴン》でダイレクトアタック!!オーバー・ザ・レインボー!!」
七色の宝玉を体に埋め込み、青い翼をもつ白い蛇竜が虹色のブレスを相手に向けて放つ。
「ま、負けたぁ…」
デュエリスト
ライフ4000→0
「決まったーーーー!!勝者はハンス・アンデルセンとジェイク・クロコダイルだー!」
「よしっ!!よく頑張ったな、俺の宝玉獣たち」
「ウィナーは俺たちか。さあ、休憩室でレストしようぜ」
青い逆立った髪で、それと同じ色の服を着た少年と黒いジャケットと茶色いテンガロンハットを身に着けたハンスよりも身長が数センチ高い少年がハイタッチし、歓声が沸く中で休憩室へ向かう。
そして、1回戦の最終戦では…。
「《XYZ-ドラゴン・キャノン》でダイレクトアタック!X・Y・Zハイパーキャノン!」
青と黄色が基調のキャノン砲が2門ついた人型ロボットと赤い翼竜を模したロボット、そして黄色いキャタピラが合体した兵器から放たれた大出力な光線が壁のない相手デュエリストを焼き払った。
「ぐはああああ!!」
デュエリスト
ライフ1900→0
「決まったーーー!勝者、ジョー・ハインリヒとカイル・ディクソン!!」
左目だけメガネで隠していて、緑色のスーツを着た金髪の青年と金髪で伊達メガネとアメリカの軍服姿の青年が歓声を上げる観客たちに手を振ってこたえる。
そして、間髪入れることなく次のデュエルが始まる。
「さあ、残った50組のデュエリストのうち、本選へ出場できる組は25組のみ!さあ、本選へ出場できるのはどのタッグなのかーーー!!?さあ、記念すべき2回戦第1試合で戦うのは…彼らだーーーー!!」
青コーナーからは鬼柳とロットンが現れる。
そして、赤コーナーからはLDS制服組を破ったあのデュエリストが現れる。
「青コーナーは鬼柳一真選手とロットン・バーネル選手、そして赤コーナーはタッグデュエル大会であるにもかかわらず、たった1人で参加した盲目のデュエリスト、ジョンソン・オーベル!!」
ジョンソンは指定された場所につくと、その場で座り、杖を右耳の後ろに当てる。
(あいつ…なんで単独で参加したんだ?確かにこの大会は1人での参加も認められているが、その場合はデッキは1つだけでアクションカードに関してもかなりのハンデになるぞ…?)
「鬼柳!さっさとこいつを倒して、本選へ行こうぜ?」
「油断するなよ、ロットン。あいつは1人でLDSのエリートを倒すほどの力量だ。手加減なしで行かなきゃ勝てねえ」
「安心しろ。俺は鼻っから手加減する気はねえ。デュエルをする以上は全力で相手をハチの巣にしてやるぜ」
3人はデュエルの準備を整える。
(さあ、今回のデュエルフィールドはこれだーーーー!!フィールド魔法《深緑の熱帯雨林》発動ーーー!!)
「おお…こりゃあ幸先いいなぁ。お前がプロデュエリストのコブラを倒したときのフィールドじゃねえか」
「さあ、いくぜ」
MCがデュエル開始を宣言する。
「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが…モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」
「「「デュエル!!」」」
ジョンソン
手札5
ライフ4000
ロットン&鬼柳
手札
ロットン5
鬼柳5
ライフ4000
「私の先攻、私は《シャドー・スパイダー》を召喚」
目が見えない状態で、《シャドー・スパイダー》のカードを的確に手に取り、デュエルディスクに置く。
彼はカードのわずかな感触の違いでそれが何のカードなのかわかるのだ。
すると、ジョンソンの影が伸びてその中から黒い蜘蛛が現れる。
シャドー・スパイダー レベル3 攻撃500
「更に手札から永続魔法《大樹海》を発動。このカードは表側表示で存在する昆虫族モンスターが破壊された時、そのコントローラーはデッキから同じレベルの昆虫族モンスター1体を手札に加えることができる。更に《シャドー・スパイダー》の効果発動。攻撃表示で存在するこのカードを守備表示にすることで、デッキからレベル4以下のスパイダーモンスター1体を特殊召喚できる。現れよ、《グランド・スパイダー》」
地中から土色の蜘蛛が現れ、ジョンソンの杖に糸をつけ、そこからフィールド上のいたるところに糸をまき散らす。
グランド・スパイダー レベル4 守備1500
シャドー・スパイダー レベル3 攻撃500→守備1600
「なんだ…!?蜘蛛の糸でいっぱいじゃねえか??」
《グランド・スパイダー》は川越えし、鬼柳とロットンがいるフィールドにまで糸をひろげはじめた。
(まずはこれで彼らの動きを見る。そして、《シャドー・スパイダー》が…)
ジョンソンがわずかに指を動かすと、《シャドー・スパイダー》は姿を消す。
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
ターン終了と同時に、ジョンソンは再びその場に座る。
アクションカードを探す気配が一向にない。
ジョンソン
手札5→2
ライフ4000
場 グランド・スパイダー レベル4 守備1500
シャドー・スパイダー レベル3 守備1600
大樹海(永続魔法)
伏せカード1
ロットン&鬼柳
手札
ロットン5
鬼柳5
ライフ4000
場 なし
「守備表示の蜘蛛が2匹かよ…気味が悪いぜ。俺のターン、ドロー!」
ロットン
手札5→6
「俺は手札から《ガトリング・オーガ》を召喚!」
ガトリング・オーガ レベル3 攻撃800
「《グランド・スパイダー》の効果発動」
ジョンソンが言葉を発すると同時に《グランド・スパイダー》が糸を吐き、《ガトリング・オーガ》を縛り付ける。
「何!?」
「《グランド・スパイダー》が表側守備表示で存在する状態で相手がモンスターを召喚・特殊召喚に成功した時、そのモンスターを守備表示にすることができる」
ガトリング・オーガ レベル3 攻撃800→守備800
「更に永続罠《ポイズン・ウェブ》を発動。1ターンに1度、スパイダーモンスター以外の守備表示モンスター1体を破壊する。私はその効果で《ガトリング・オーガ》を破壊する」
「何!?」
《ガトリング・オーガ》を包む糸が猛毒を放ち始める。
猛毒によって、弾薬が錆び、ガトリング砲もボロボロになっている。
そして、最終的には苦しみながら消滅してしまった。
「ちっくしょう!!よくも《ガトリング・オーガ》を!!」
「《ガトリング・オーガ》はお前のフィールドにセットされている魔法・罠カードを墓地へ送ることで、1枚につき800ポイントのダメージを与える効果がある。もし、お前の手札5枚がすべてそれなら、対処するに越したことはない」
翔太は当然知らないが、ロットンに後攻を取らせてはいけないという言葉があるらしい。
なぜならロットンに後攻を取らせたら最後、《ガトリング・オーガ》の効果で1ターンキルされる恐れがあるからだ。
しかし、《ガトリング・オーガ》はそれほどの強さゆえに制限カードとなっていて、現在では1枚がそれで残り5枚が魔法・罠カードとなる可能性は低くなっている。
「(ふん、だが俺の切り札は《ガトリング・オーガ》って訳じゃねえ。油断したところで弾丸を撃ち込んでやるぜ)俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
ターン終了宣言と同時に、ロットンはジョンソンとは対照的にフィールドを走り始める。
ジョンソン
手札5→2
ライフ4000
場 グランド・スパイダー レベル4 守備1500
シャドー・スパイダー レベル3 守備1600
大樹海(永続魔法)
ポイズン・ウェブ(永続罠)
ロットン&鬼柳
手札
ロットン6→3
鬼柳5
ライフ4000
場 伏せカード2
ポイズン・ウェブ
永続罠カード
「ポイズン・ウェブ」の(1)の効果はメインフェイズ1にのみ発動できる。
(1):1ターンに1度、フィールド上に守備表示で存在する「スパイダー」モンスター以外の守備表示1体を破壊する。
(《ガトリング・オーガ》が破壊され、ロットンの1ターンキルは幻と消えたーーー!!《グランド・スパイダー》と《ポイズン・ウェブ》のコンボを封じない限り、ロットン選手と鬼柳選手は次々とモンスターを破壊されてしまうぞーーー!!)
「私のターン、ドロー」
ジョンソン
手札2→3
(ロットン…川の近くにある岩場に上り、そこから飛んで川を越えたか…)
杖を額に当て、ロットンの動きを予測する。
ロットンの行動で起こす風で起きた糸の揺れ、そして彼の足音がジョンソンの聴覚を刺激する。
「《シャドー・スパイダー》。ロットンのいる場所から東50メートルにある大木の上へ行け」
「よし!!アクションカード…何!?」
アクションカードのある大木の上へ手を伸ばそうとしたロットンの前に《シャドー・スパイダー》が現れる。
そして、蜘蛛の糸でアクションカードを封印してしまった。
「なんで俺の居場所がわかるんだ!?こいつ…」
「(盲目の人間を舐めてもらっては困る。アリは目が見えないが、触角が研ぎ澄まされているように、私は聴覚や触覚、更に味覚まで不思議と常人よりもいいのだ。そして、《グランド・スパイダー》が私のフィールドを作り出してくれた。ロットン、鬼柳。私のフィールドの中でもがくがいい)私は《代打バッター》を召喚」
人間以上の大きさの緑色で青い羽のバッタが現れる。
代打バッター レベル4 攻撃1000
「バトルだ。《代打バッター》でダイレクトアタック」
「ちっくしょう!!」
《代打バッター》が木から降りようとしているロットンに襲い掛かる。
(《代打バッター》の攻撃ーーー!!当たれば地上へまっさかさまだーーー!!)
「やらせるかよ!?罠カード《ガード・ブロック》!!俺への戦闘ダメージを0にし、デッキからカードを1枚ドローする!!」
バリアによって、《代打バッター》の攻撃を防いだが大木が大きく揺れる。
「くぅぅ…攻撃力1000でもこれか!?」
「ロットン!!」
「鬼柳!俺のことは気にするな、これくらいどうにでもなる!!!」
両腕が使えないロットンは口でカードをドローする。
ロットン
手札3→4
(必死だな…。だが)
攻撃の影響で、蜘蛛の糸に包まれたアクションカードが地に落ちる。
いつの間にか大木の下まで移動していたジョンソンは《グランド・スパイダー》に糸を処理させ、アクションカードを手に取る。
「《シャドー・スパイダー》は特殊召喚する効果を発動した次の私のターン終了時まで表示形式を変更できない。私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
ジョンソン
手札3→2(うち1枚アクションカード)
ライフ4000
場 グランド・スパイダー レベル4 守備1500
シャドー・スパイダー レベル3 守備1600
代打バッター レベル4 攻撃1000
大樹海(永続魔法)
ポイズン・ウェブ(永続罠)
伏せカード1
ロットン&鬼柳
手札
ロットン4
鬼柳5
ライフ4000
場 伏せカード1
シャドー・スパイダー
レベル3 攻撃500 守備1600 効果 闇属性 昆虫族
「シャドー・スパイダー」の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手は「シャドー・スパイダー」以外の昆虫族モンスターを攻撃対象にすることができない。
(2):攻撃表示で存在するこのカードを表側守備表示にすることで発動できる。デッキからレベル4以下の昆虫族モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。この効果で守備表示となったこのカードは次の自分のターン終了時まで表示形式を変更できない。
「ふう、ふう…」
カードを咥えたまま、ロットンは無事に木から降りることに成功する。
その時、ジョンソンは再び座り、杖を当てていた。
(こいつ…聴覚だけで俺の行動を見ていたというのか!!?)
「俺のターン、ドロー」
鬼柳
手札5→6
「俺はカードを1枚伏せ、手札から魔法カード《煉獄の契約》を発動。手札が3枚以上存在するとき、手札をすべて墓地へ送る」
手札から墓地へ送られたカード
・インフェルニティ・ジェネラル
・インフェルニティ・ビートル
・インフェルニティ・ビースト
・インフェルニティ・アンカー
「4枚のカードを墓地へ送ったか…」
「そして、墓地からシンクロモンスター以外のインフェルニティモンスター1体を特殊召喚する。俺は《インフェルニティ・ジェネラル》を特殊召喚」
インフェルニティ・ジェネラル レベル7 攻撃2700
煉獄の契約(アニメオリカ・調整)
通常魔法カード
「煉獄の契約」は自分の手札が3枚以上で、メインフェイズ1の時にのみ発動できる。
(1):自分の手札をすべて墓地へ送り、墓地からSモンスター以外の「インフェルニティ」モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。
「(《インフェルニティ・ジェネラル》…攻撃力2700の上級モンスター…)私は《グランド・スパイダー》の効果を発動。《インフェルニティ・ジェネラル》を守備表示にする」
《グランド・スパイダー》が糸で自身よりも何倍も大きい《インフェルニティ・ジェネラル》を縛り付ける。
そして同時の糸から紫色の毒があふれ出す。
「更に《ポイズン・ウェブ》の効果で守備表示の《インフェルニティ・ジェネラル》を破壊する」
毒によって、《インフェルニティ・ジェネラル》が《ガトリング・オーガ》と同じ運命をたどることになった。
「これでいい。《インフェルニティ・ジェネラル》の効果発動。俺の手札が0枚の時、このカードを墓地から除外することで墓地からレベル3以下のインフェルニティモンスター2体を効果を無効にして特殊召喚できる。俺は墓地から《インフェルニティ・ビースト》と《インフェルニティ・ビートル》を特殊召喚」
インフェルニティ・ビースト レベル3 攻撃1600
インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200(チューナー)
(《ポイズン・ウェブ》を逆手に取ったか…。そして、2体のうちの1体はチューナー…)
「レベル3の《ビースト》にレベル2の《ビートル》をチューニング。死神の刃、今こそ現世に降臨し、咎人を狩れ。シンクロ召喚!《インフェルニティ・デス》!!」
目が両頬や額にもついていて、左腕がない黒マントの死神が姿を現す。
インフェルニティ・デス レベル5 攻撃2200
「《インフェルニティ・デス》は手札が0枚の時、1ターンに1度相手フィールド上のこのカードの攻撃力以下のモンスター1体を墓地へ送り、相手に1000ポイントのダメージを与える」
「何…?」
「俺が墓地へ送るのは《シャドー・スパイダー》。死神の鎌!!」
《インフェルニティ・デス》は右手だけで鎌を振るう。
《シャドー・スパイダー》はその巨大仲間で両断され、消滅した。
「ちっ…!」
ジョンソン
ライフ4000→3000
「ならば私は手札からアクション魔法《日光浴》を発動。私は効果ダメージを受けたとき、そのダメージの倍の攻撃力を持つモンスター1体を手札から特殊召喚できる。私は手札から《クラッシュ・スパイダー》を特殊召喚」
背中に鎖付きの鉄球を複数装備している黒い蜘蛛が《グランド・スパイダー》の糸を伝って現れる。
そして、その糸を中心に更に糸のフィールドを展開した。
クラッシュ・スパイダー レベル5 攻撃2000
日光浴
アクション魔法カード
(1):自分が効果でダメージを受けたときに発動できる。その時受けたダメージの倍の数値の攻撃力を持つモンスター1体を手札から特殊召喚する。
「《インフェルニティ・デス》は効果を発動したターン、攻撃できない。俺はこれでターンエンドだ」
ジョンソン
手札2→0
ライフ3000
場 グランド・スパイダー レベル4 守備1500
クラッシュ・スパイダー レベル5 攻撃2000
代打バッター レベル4 攻撃1000
大樹海(永続魔法)
ポイズン・ウェブ(永続罠)
伏せカード1
ロットン&鬼柳
手札
ロットン4
鬼柳6→0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デス レベル5 攻撃2200
伏せカード1
インフェルニティ・デス
レベル5 攻撃2200 守備1000 シンクロ 闇属性 悪魔族
「インフェルニティ・デス」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分の手札が0枚の時、相手フィールド上に存在するこのカードよりも攻撃力が低いモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを墓地へ送り、相手に1000ダメージを与える。この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。
(ついに現れました、新たなインフェルニティシンクロモンスター、《インフェルニティ・デス》!!大ガマを振るう姿はまさに死神!!!)
「私のターン、ドロー」
ジョンソン
手札0→1
「私は《クラッシュ・スパイダー》の効果を発動。1ターンに1度、相手攻撃表示モンスター1体を守備表示にすることができる」
《クラッシュ・スパイダー》の背中から鉄球が飛ぶ。
そして、《インフェルニティ・デス》に近づくとそれが砕けて大量の糸となる。
その糸に縛り付けられた死神はそのまま地に落ちる。
インフェルニティ・デス レベル5 攻撃2200→守備1000
「そして、《ポイズン・ウェブ》の効果で《インフェルニティ・デス》を破壊する」
死神であっても毒にはかなわないのか、《インフェルニティ・デス》は砂となって消滅した。
「更に《クラッシュ・スパイダー》の効果発動。守備表示モンスターが破壊された時、相手に400ポイントのダメージを与える」
「何!?」
《クラッシュ・スパイダー》は鉄球を鬼柳に向けて発射する。
「ぐう…!!」
ロットン&鬼柳
ライフ4000→3600
クラッシュ・スパイダー
レベル5 攻撃2000 守備2000 効果 地属性 昆虫族
「クラッシュ・スパイダー」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手フィールド上に攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの表示形式を表側守備表示に変更する。この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):フィールド上に守備表示で存在するモンスターが破壊された時、相手に400ダメージを与える。
「バトルだ。私は《クラッシュ・スパイダー》と《代打バッター》でダイレクトアタック」
2体の蜘蛛が鬼柳に向けて突撃を仕掛けてくる。
「アクションカードは…」
近くに木に張り付けられた形でアクションカードが存在するが、すでに《グランド・スパイダー》が蜘蛛の糸で覆い隠していた。
「やらせるかよ!?罠カード《ピンポイント・ガード》を発動!相手の直接攻撃宣言時、墓地からレベル4以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。《ガトリング・オーガ》を特殊召喚!!」
《ガトリング・オーガ》が鬼柳の前に立ち、2体の蜘蛛の攻撃を受け止める。
そして、ガトリング砲でアクションカードを覆っていた蜘蛛の糸を破壊する。
ガトリング・オーガ レベル3 守備800
「更にこの効果で特殊召喚された《ガトリング・オーガ》は戦闘およびカード効果で破壊されない!」
「助かったぜ、ロットン、《ガトリング・オーガ》!」
アクションカードを手に取り、2人に礼を言う鬼柳。
「だが、次のターンに《ポイズン・ウェブ》で破壊するだけだ」
「いいや、もうお前は次のターン《ポイズン・ウェブ》の効果を使えないぜ?」
「何?」
「俺はアクション魔法《ラフレシアの補食》を発動!相手フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを1枚破壊する!」
地中からラフレシアが現れ、《ポイズン・ウェブ》のソリッドビジョンが捕食されてしまった。
ラフレシアの補食
アクション魔法カード
(1):相手フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを1枚選択し、破壊する。
(おおーーー!!鬼柳一真選手とロットン・バーネル選手の見事な連携により、ジョンソン選手のスパイダーコンボを崩したぞーーーー!!!!)
《ポイズン・ウェブ》が失われ、このターン攻撃できるモンスターはいない。
「やるな…。私はこれでターンエンド」
ジョンソン
手札1
ライフ3000
場 グランド・スパイダー レベル4 守備1500
クラッシュ・スパイダー レベル5 攻撃2000
代打バッター レベル4 攻撃1000
大樹海(永続魔法)
伏せカード1
ロットン&鬼柳
手札
ロットン4
鬼柳0
ライフ3600
場 ガトリング・オーガ レベル3 守備800
「ジョンソンのフィールドには3体のモンスター。いずれも攻撃力が低いが…」
翔太は《代打バッター》に注視する。
ジョンソンの手札は1枚。
おそらく、その1枚は最上級の昆虫族モンスターだろう。
「俺のターン、ドロー!」
ロットン
手札4→5
「俺は《ガトリング・オーガ》をリリースし、手札から《マシンピストル・オーガ》を特殊召喚!」
《ガトリング・オーガ》がフィールドから消え、中から胸や腰、足に2つずつホルスターがあり、背中に大量の弾丸が入ったバッグがある悪魔が現れる。
マシンピストル・オーガ レベル6 攻撃2200
「ほう…」
「《ガトリング・オーガ》はまだまだ俺の力の一部でしかないぜ?更に俺は《マシンピストル・オーガ》の効果を発動。メインフェイズ1に手札を1枚捨てることで、攻撃力を次のお前のターン終了時まで800ポイント攻撃力がアップする。そして、この効果は1ターンに2回まで使うことができる!」
ロットンの手から2枚のカードが墓地へ送られる。
すると《マシンピストル・オーガ》がホルスターから2丁のマシンピストルを取り出して銃弾を補充する。
マシンピストル・オーガ レベル6 攻撃2200→3800
手札から墓地へ送られたカード
・リロード
・ダメージ・ダイエット
「あいつ…墓地から発動できる罠カードを墓地へ送ったぞ」
「それだけじゃないよ。あの人、鬼柳って人のインフェルニティモンスターの効果を自分でも使えるようにしているんだよ」
「ニャーン…」
緊張感のあるデュエルであるにもかかわらず、ビャッコはおいしそうにみたらし団子を食べるだけだった。
「バトルだ!《マシンピストル・オーガ》で《クラッシュ・スパイダー》を攻撃!!マシンピストル発射!!」
《マシンピストル・オーガ》がマシンピストルから数十発の弾丸を発射する。
「だが、《クラッシュ・スパイダー》の効果は…」
「《クラッシュ・スパイダー》の効果発動。1ターンに1度、相手攻撃表示モンスター1体を守備表示にする」
《クラッシュ・スパイダー》から発射された鉄球が銃弾を撃ち落とし、更に蜘蛛の糸が《マシンピストル・オーガ》の身動きを封じる。
マシンピストル・オーガ レベル6 攻撃3800→守備1800
「だが、こいつならどうだ!?俺は手札の《カービン・オーガ》の効果発動!こいつを手札から墓地へ送ることで、俺のオーガモンスターの攻撃力の半分の数値分相手にダメージを与える!《マシンピストル・オーガ》の攻撃力は3800。よって、てめえに1900のダメージを与える!!」
ドイツで作られたカービン銃と軍服を着た悪魔が《マシンピストル・オーガ》から弾丸を借り、それをジョンソンに向けて撃つ。
「…」
ジョンソン
ライフ3000→1100
カービン・オーガ
レベル1 攻撃400 守備400 効果 炎属性 悪魔族
「カービン・オーガ」の(1)の効果を発動したターン、自分はカードをセットすることができない。
(1):手札に存在するこのカードを墓地へ送り、自分フィールド上に存在する「オーガ」モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力の半分の数値分のダメージを相手に与える。
「更に俺は手札から魔法カード《ディメンジョン・スナイプ》を発動!相手フィールド上の攻撃表示モンスター1体をゲームから除外する!」
《ディメンジョン・スナイプ》のソリッドビジョンから黒い銃弾が放たれる。
それを受けた《代打バッター》はそれを中心に生み出されたブラックホールに飲み込まれていった。
ディメンジョン・スナイプ
通常魔法カード
「ディメンジョン・スナイプ」は自分のターンのバトルフェイズ中に攻撃宣言した回数が1回以下の場合、そのターンのメインフェイズ2に1度だけ発動できる。
(1):相手フィールド上に攻撃表示で存在するモンスター1体をゲームから除外する。
(《代打バッター》の効果は墓地へ送られたときにしか発動できない。これで、あいつは上級昆虫族モンスター召喚のチャンスを1度逃した)
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!(これであいつのライフは残り1100!あと少しで本選進出だ!)」
ジョンソン
手札1
ライフ1100
場 グランド・スパイダー レベル4 守備1500
クラッシュ・スパイダー レベル5 攻撃2000
大樹海(永続魔法)
伏せカード1
ロットン&鬼柳
手札
ロットン0
鬼柳0
ライフ3600
場 マシンピストル・オーガ レベル6 守備1800
伏せカード1
「私のターン、ドロー」
ジョンソン
手札1→2
「うーん…ライフ3600と1100かぁ…。勝負が見えてきちゃったね」
「いや…どうだろうな?」
「え?」
ジョンソンの表情を見るが、彼からは動揺の色が全くない。
そのわずかな笑みには自分の敗北をシナリオに入れていないように感じられる。
「私は《クラッシュ・スパイダー》を守備表示に変更。そして手札から《シャドー・スパイダー》を召喚」
シャドー・スパイダー レベル3 攻撃500
クラッシュ・スパイダー レベル5 攻撃2000→守備1900
「更に《シャドー・スパイダー》の効果を発動。このカードを守備表示にし、デッキからもう1体の《グランド・スパイダー》を特殊召喚」
グランド・スパイダー レベル4 守備1500
シャドー・スパイダー レベル3 攻撃500→守備1600
「更に手札から魔法カード《平蜘蛛の宝札》を発動。相手フィールド上の攻撃力3000以上のモンスターが存在し、私のフィールドに表側守備表示の昆虫族モンスターが3体以上存在するとき、デッキからカードを2枚ドローする」
ジョンソン
手札2→1→2
平蜘蛛の宝札
通常魔法カード
「平蜘蛛の宝札」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手フィールド上の攻撃力3000以上のモンスターが存在し、私のフィールドに表側守備表示の昆虫族モンスターが3体以上存在するとき、デッキからカードを2枚ドローする。
「来た…。私のエースカード」
ジョンソンは手にしたカードのうちの1枚の感触からさらに笑みを浮かべる。
そのカードは自分をデュエルの世界を導いた最初のカードだ。
「このカードは私のフィールドに表側守備表示で存在する昆虫族モンスター3体をリリースすることで、手札から特殊召喚できる。《シャドー・スパイダー》、《グランド・スパイダー》2体をリリース」
3体の蜘蛛が一斉に糸を吐き、巨大な繭の中に自分たちを包み込む。
「ま、繭だと…!?」
「気をつけろ…あいつのエースモンスターが来るぞ…!」
「熱帯雨林に潜む蜘蛛の王よ、獲物たちに死の糸を与えろ!!《土蜘蛛王ルブロン》!!」
繭がはじけ飛ぶと、その中から20メートル近くある巨体を持つ土蜘蛛型のモンスターが姿を現す。
土蜘蛛王ルブロン レベル10 攻撃2000
「な…攻撃力たった2000?」
(レベル10で攻撃力2000か…。何かあるな?)
「それより翔太君!!」
「うん…?」
伊織に顔を向けると、急に口にポッキーが1本入ってくる。
思わず口に咥えると、もう片方から伊織がポッキーを口にする。
「ポッキーゲーム…しよ?」
「・・・・!!!!?????」
なぜだ、なぜそんなことを俺とするんだ!?といいたげな顔の翔太を尻目に伊織がポッキーをゆっくりと食べていく。
(や…やめろ!!?ちょっと待て、まだ恋人じゃないだろ!!?何があったんだ!?いくら11月11日はポッキーの日だとはいえ、今作者が書いているときはもう過ぎてるぞ!?最後まですると彼女がいない作者が泣くぞ!!!?)
ここから翔太がどうなったのかは読者の想像に任せよう。
ポッキーゲームの結末を書く勇気が今の作者にはないのだ。
一つだけ言えるのは、こうしている間もビャッコは大好物のみたらし団子を食べていることだけだ。
「《ルブロン》の効果発動。1ターンに1度、相手の表側守備表示モンスター1体を攻撃力1000アップの装備カードとしてこのカードに装備することができる」
「なんだと!!!?」
《土蜘蛛王ルブロン》が大量に糸を吐き、《マシンピストル・オーガ》の身動きを封じる。
そして、それを繭にして自身のそばへ移動させた。
土蜘蛛王ルブロン レベル10 攻撃2000→3000
(くそ…!《マシンピストル・オーガ》は戦闘で破壊された時、墓地から《ガトリング・オーガ》を特殊召喚できるが、装備カードにされたら無理だ!!)
マシンピストル・オーガ
レベル6 攻撃2200 守備1800 効果 炎属性 悪魔族
このカードは通常召喚できない。
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する「ガトリング・オーガ」1体をリリースすることでのみ手札から特殊召喚できる。
(1):手札を1枚墓地へ送ることで発動できる。このカードの攻撃力は次の相手のターン終了時まで攻撃力が800アップする。この効果は1ターンに2度まで使用できる。
(2):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、墓地から「ガトリング・オーガ」1体を特殊召喚できる。
「終わりだ…。《土蜘蛛王ルブロン》と《クラッシュ・スパイダー》でダイレクトアタック」
2体の蜘蛛が鬼柳とロットンめがけて大量の糸を吐く。
「く…!!罠発動!《くず鉄のかかし》!!こいつで《ルブロン》の攻撃を無効にする!!」
《くず鉄のかかし》が鬼柳の前に出て《土蜘蛛王ルブロン》の攻撃を防ぐ。
しかし、《クラッシュ・スパイダー》の糸がロットンを大木に縛り付ける。
「ぐうう…!!」
ロットン&鬼柳
ライフ3600→1600
「ほう…相棒を守ることを優先したか」
「当たり前だ…!次に動くのは鬼柳。なら、俺への攻撃を防ぐわけにはいかないだろ…?」
「…。私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
ジョンソン
手札2→0
ライフ1100
場 土蜘蛛王ルブロン(《マシンピストル・オーガ》装備) レベル10 攻撃3000
クラッシュ・スパイダー レベル5 攻撃2000
大樹海(永続魔法)
伏せカード2
ロットン&鬼柳
手札
ロットン0
鬼柳0
ライフ1600
場 伏せカード1(《くず鉄のかかし》)
「ロットン!!」
ロットンを縛る糸をほどこうと、鬼柳が駆けつける。
「何やっているんだ鬼柳!俺のことより、まずはてめえのターンを進めろ!」
「ロットン…」
「生憎俺は疲れてるんだ。てめえのターンの間くらい休ませろ」
「…。俺のターン、ドロー」
鬼柳
手札0→1
「俺は手札から《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚。このカードは俺の手札が0枚の状態でこのカードをドローした時、特殊召喚できる」
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
「更にこのカードの特殊召喚に成功した時、デッキからインフェルニティカード1枚を手札に加える」
「罠発動。《毒蜘蛛の晩餐》。私のフィールドの昆虫族モンスター1体と相手フィールド上のカード2枚を破壊する」
「何!?」
《クラッシュ・スパイダー》が毒を纏って突撃し、鬼柳とロットンの2枚のカードが破壊される。
「更に《大樹海》の効果を発動。デッキから《マザー・スパイダー》を手札に加える」
毒蜘蛛の晩餐
通常罠カード
(1):自分フィールド上に表側表示で存在する昆虫族モンスター1体と相手フィールド上に存在するカード2枚を破壊する。
「ちっ…!だが俺はまだまだ止まらねえ。俺は手札から《インフェルニティ・ミラージュ》を召喚!」
暗い色彩のポンチョを身に着けた赤い髪のネイティヴアメリカン風の悪魔が現れる。
インフェルニティ・ミラージュ レベル1 攻撃0
「このカードは手札が0枚の時、このカードをリリースすることで墓地からインフェルニティモンスター2体を特殊召喚できる。俺は《インフェルニティ・デーモン》と《インフェルニティ・アンカー》を特殊召喚」
《インフェルニティ・デーモン》と共に左腕にアンカーをつけた水夫姿のゴリラが現れる。
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
インフェルニティ・アンカー レベル5 攻撃1800
「更に《インフェルニティ・デーモン》と《インフェルニティ・アンカー》の特殊召喚に成功したことで、俺はデッキから《インフェルニティガン》と《インフェルニティ・ビショップ》を手札に加える。そして、手札から《インフェルニティガン》を発動!このカードは1ターンに1度、俺の手札からインフェルニティモンスター1体を墓地へ送ることができる」
鬼柳の手札から《インフェルニティ・ビショップ》が墓地へ送られ、再び手札が0枚となる。
インフェルニティ・アンカー
レベル5 攻撃1800 守備2300 効果 闇属性 悪魔族
(1):このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「インフェルニティ」モンスター1枚を選択して手札に加える。
「始まるね、翔太君。鬼柳って人の逆襲が」
「…ああ…」
ドキドキしながら観戦する伊織の隣で、翔太は真っ赤に染まった顔を必死にパンフレットで隠していた。
「《インフェルニティ・ガン》の効果発動。手札が0枚の時、このカードを墓地へ送ることで墓地からインフェルニティモンスターを2体まで特殊召喚できる。現れろ、《インフェルニティ・デス》!《インフェルニティ・ビートル》!!」
インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200(チューナー)
インフェルニティ・デス レベル5 攻撃2200
「更に《インフェルニティ・ビートル》の効果発動。手札が0枚の時、このカードをリリースすることでデッキから《インフェルニティ・ビートル》を2体まで特殊召喚できる」
インフェルニティ・ビートル×2 レベル2 攻撃1200(チューナー)
(なんという展開!!鬼柳選手、たった1ターンで5体ものインフェルニティモンスターを呼び出したぞ!!これが無手札必殺の恐ろしさだーーー!!)
「5体のモンスターのうち、2体がチューナーモンスター。シンクロ召喚が少なくとも2回できる。しかし、《オーガ・ドラグーン》のレベルは8。この状況での召喚は無理だ」
今の鬼柳のデッキで最強の攻撃力を持つと思われるモンスターは攻撃力3000の《煉獄龍オーガ・ドラグーン》。
しかし、今の彼のフィールドの状況ではシンクロ召喚できるモンスターのレベルは6、7、9、10、12のいずれかだ。
「俺はレベル5の《インフェルニティ・デス》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。奈落の底より這い上がりし死霊の騎士よ、煉獄の炎を纏って今こそ降臨せよ。シンクロ召喚!現れろ、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》」
鬼柳の目の前に巨大な穴が現れ、そこから赤い炎に包まれた黒鎧の骸骨騎士が姿を現す。
その炎は周囲の蜘蛛の糸に燃え移っていく。
(ちっ…。炎で私のアドバンテージを崩すか)
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃2100
(攻撃力2100?レベル7のシンクロモンスターにしては低すぎる)
「《インフェルニティ・ボーンナイト》の効果発動。手札が0枚の時にこのカードの特殊召喚に成功した時、俺のフィールドに存在するモンスター1体に付き500ポイント攻撃力がアップする。俺のフィールドには4体のモンスターが存在する。よって、攻撃力が2000ポイントアップする!」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》が更に燃え上がると、炎の一部がロットンを包んでいた糸に燃え移る。
「熱い熱つつつつつ!!鬼柳!もっとマシな助け方があっただろう!?」
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃2100→4100
「よし…!攻撃力4100なら、あのでかい蜘蛛を倒せるぜ!」
「バトルだ。《インフェルニティ・ボーンナイト》で《ルブロン》を攻撃」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》の両手剣に宿っていた炎が更に燃え上がり、《土蜘蛛王ルブロン》を切り裂こうとする。
「罠発動。《進入禁止!No Entry!!》。フィールド上に攻撃表示で存在するモンスターをすべて守備表示に変更する」
土蜘蛛王ルブロン レベル10 攻撃3000→守備2000
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800→守備1200
インフェルニティ・アンカー レベル5 攻撃1800→守備2300
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃4100→守備2000
インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200→守備0(チューナー)
守備表示になったためか、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》の炎が消えてしまった。
「《ルブロン》。再び蜘蛛の巣を作れ」
《土蜘蛛王ルブロン》が体のいたるところから糸を吐き、巨大な巣を生み出しはじめる。
「こいつは…!!」
そんな中、ロットンが川を流れるアクションカードを見つけ、走り始める。
(この足音…走っているな。西…川か!?)
ジョンソンは立ち上がり、走り始める。
両者の走るスピードは互角だが、ロットンの方が川に近かった。
「よし…!!」
ロットンはアクションカードを手にする。
「俺は手札からアクション魔法《挑発》を発動!バトルフェイズ中にのみ、互いのフィールドの守備表示モンスターをすべて攻撃表示にする!」
「何!?」
守備表示になっていた5体のモンスターが攻撃表示となり、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》の体が再び燃え上がる。
土蜘蛛王ルブロン レベル10 守備2000→攻撃3000
インフェルニティ・デーモン レベル4 守備1200→攻撃1800
インフェルニティ・アンカー レベル5 守備2300→攻撃1800
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 守備2000→攻撃4100
インフェルニティ・ビートル レベル2 守備0→攻撃1200(チューナー)
挑発
アクション魔法カード
(1):バトルフェイズ中にのみ発動できる。お互いのフィールドに表側守備表示で存在するモンスターをすべて攻撃表示に変更する。
「決めろ、鬼柳!!」
「ああ…ロットン!!俺は《インフェルニティ・ボーンナイト》の効果発動!手札が0枚の時、もう1度だけ攻撃することができる!再び《土蜘蛛王ルブロン》を攻撃!」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》が燃え上がる両手剣で《土蜘蛛王ルブロン》を切り裂こうとする。
しかし、切り裂いたのは《土蜘蛛王ルブロン》ではなく繭に閉じ込められた《マシンピストル・オーガ》だった。
「何!?」
「《土蜘蛛王ルブロン》の効果発動。このカードが攻撃対象となった時、このカードの効果で装備されたカードを墓地へ送ることで戦闘を無効にし、バトルフェイズを終了する」
「く…!2回目の攻撃宣言を行った《インフェルニティ・ボーンナイト》はバトルフェイズ終了と同時に破壊される。だが、《インフェルニティ・ビショップ》の効果を発動。手札が0枚でこのカードが墓地に存在するとき、1ターンに1度だけ俺のモンスター1体をカード効果による破壊から守る」
土蜘蛛王ルブロン レベル10 攻撃3000→2000
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト
レベル7 攻撃2100 守備2000 シンクロ 闇属性 アンデッド族
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト」は1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードの特殊召喚に成功した時、手札が0枚の場合、このカードの攻撃力を自分フィールド上に存在するモンスター1体につき500アップする。
(2):このカードが攻撃を行ったダメージステップ終了時、もしくは攻撃が無効にされた時、手札が0枚の場合に発動できる。続けてもう1度だけ攻撃できる。この効果を発動したターンのバトルフェイズ終了時にこのカードは破壊される。
「さあ…次に何をする?」
「俺はレベル4の《インフェルニティ・デーモン》にレベル2に《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。シンクロ召喚。現れろ、《天狼王ブルー・セイリオス》。俺はこれでターンエンド」
ジョンソン
手札0→1(《マザー・スパイダー》)
ライフ1100
場 土蜘蛛王ルブロン レベル10 攻撃2000
大樹海(永続魔法)
ロットン&鬼柳
手札
ロットン0
鬼柳1→0
ライフ1600
場 煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃4100
インフェルニティ・アンカー レベル5 攻撃1800
天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400
「私のターン、ドロー」
ジョンソン
手札1→2
「私は手札から《ブレイク・スパイダー》を召喚」
テントウムシのような模様になったいる片目の蜘蛛が現れる。
ブレイク・スパイダー レベル1 攻撃0
「このカードをリリースすることで、相手フィールド上のモンスター2体の表示形式を変更する」
「何!?」
《ブレイク・スパイダー》が自らの体を巨大なクモの巣へ変化させる。
そして、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》と《天狼王ブルー・セイリオス》が巣に囚われてしまう。
囚われた《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》は炎で巣を焼き払おうとするが、糸から放たれた魔力で炎を封じられてしまう。
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃4100→守備2000
天狼王ブルー・セイリオス レベル6 攻撃2400→守備1500
ブレイク・スパイダー
レベル1 攻撃0 守備0 効果 闇属性 昆虫族
「ブレイク・スパイダー」の(1)の効果は相手ターンでも発動できる。
(1):このカードをリリースし、相手フィールド上に存在するモンスター2体を選択して発動できる。選択したモンスターの表示形式を変更する。
「くそ…!!《ブルー・セイリオス》と《インフェルニティ・ボーンナイト》が!!」
「更にこのカードは私の墓地に存在するモンスターが昆虫族モンスターのみで、相手フィールド上に表側守備表示で存在するモンスター2体をリリースすることで手札から特殊召喚できる。《マザー・スパイダー》を特殊召喚」
「し、しまった!!?」
紫色で大きなメスの蜘蛛が現れ、2体のシンクロモンスターを刀のような6本の足でバラバラにして頬張った。
マザー・スパイダー レベル6 攻撃2300
「鬼柳一真、ロットン・バーネル。ここまでだ」
2体の蜘蛛が鬼柳とロットンに狙いを定める。
アクションカードを探そうにも、2人は2体が作った蜘蛛の巣に包囲され、逃げ道を失っている。
「くっそう!!ここまでか…」
「《インフェルニティ・アンカー》でも蜘蛛の糸が切れない!!」
2体の蜘蛛から大量の糸が放たれる。
「「うわあああ!!」」
ロットン&鬼柳
ライフ1600→1400→0
土蜘蛛王ルブロン
レベル10 攻撃2000 守備2000 効果 地属性 昆虫族
このカードは通常召喚できない。
このカードは自分フィールド上に表側守備表示で存在する昆虫族モンスターを3体リリースすることのみ手札から特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、相手フィールド上に表側守備表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。選択したカードを攻撃力1000アップの装備カード扱いにしてこのカードに装備する。
(2):このカードが攻撃対象となった時、(1)の効果で装備カードとなったカード1枚を墓地へ送ることで発動できる。戦闘を無効にし、バトルフェイズを終了させる。
(3):(1)の効果で装備カードとなっているカードが2枚以上存在する場合、このカードは効果では破壊されない。
(決まったーーーー!!本選出場を最初に決めたのはジョンソン・オーベル選手だーーーー!!)
「まさかあの鬼柳がここで消えるなんてな…」
プロデュエリストであるコブラを破るほどの力量の鬼柳がここで敗北するということを翔太はいまだに信じられなかった。
「しかもたった1人で…」
(スパイダーデッキ…表側守備表示モンスターを倒すのに特化したデッキ…。めんどくさい相手が予選通過した…!!)
鬼柳&ロットンペア敗退!!
ジョンソンのスパイダーデッキと翔太と伊織は戦うことになるのだろうか…!!?