遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第11話 反逆者との遭遇

「ふああ…最近青い制服の奴が増えたような…」

朝の車道をママチャリで走る翔太の目には青い制服を着た人物が町中で聞き取り調査を行っている光景が何度も飛び込んできた。

翔太自身も調査対象となり、スーパーからレオコーポレーション前の大通りへ来るまでにすでに4回捕まった。

(ちっ…、バイクならあいつらに捕まらずに済むが…)

昨日の伊織の言葉が脳裏で蘇る。

(いい、翔太君!バイクとか自動車とかはちゃんと勉強して、免許を取らないと乗れないの!だから免許の改造は禁止!それに免許取るまでバイクも禁止!いい?)

「そして、施設にあるのはママチャリだけ…」

ママチャリの籠の中には先述したスーパーの商品が入ったスーパーの袋がある。

施設では2・3日に1回食料などの買い物をすることになっていて、当番制だ。

翔太が登板になったのは今日が初めてで、ポケットの中には伊織直筆のスーパーまでの地図がある。

本来ならば、たとえ翔太が拒否したとしても伊織が一緒に行くはずなのだが、生憎今日は熱で寝ている。

「…。静かだな」

車のエンジン音や通行人の話し声が嫌でも耳に入るのだが、なぜかそれでも静かとしか思えない。

よく考えると、これまで1人で外出したことがなく、外出するときはいつも伊織がそばにいた。

「いないと静かで、いるとうるさい奴だな…あいつは…。うん…?」

早く帰ろうとママチャリで走る彼の目に妙な服装の男の姿が映る。

黒いマントで身を包んだ青と黒の髪の少年で、鉄道橋の近くにある裏路地へ入り込んでいく。

「妙な服装だな…」

翔太は古いマフィア物であるロード・トゥ・パーディションを思い出す。

先日なぜか栄次郎と一緒に見ることになった映画だ。

とはいうもののそのマフィアは黒いスーツとシルクハット姿で、先述の少年とは大違いだ。

彼を追うため、翔太もその裏路地へ入った。

 

「遅かったか…」

小さなゴミ捨て場付近で、少年は足を止めてそばに敷かれている鉄道橋を見る。

コンクリートでできているにもかかわらず、その橋には鳥の鉤爪でできたかのような巨大で深々とした傷跡がある。

普通の人には不可思議ではあるが、それだけで思考が止まってしまうようなもの。

だが、その少年にはそれだけでここで何が起こったのかを理解できた。

「隼…いつまでそんな無謀なことをするんだ…?」

「妙な服装だな、あんた」

「…?」

翔太の声を聞いた少年は急いで彼に振り向く。

少年の顔は黒いマスクとゴーグルで隠れている。

「見ない顔だな…。何者だ?」

「それは俺のセリフだ。妙な服装のガキ。こいつを見て、何かあるのか?」

翔太の目線が傷跡に向けられる。

そこまでの高さは8メートル以上あり、いたずらで作るにしては大胆すぎる。

「(待てよ…?あいつの髪型、遊矢に似ているが…気のせいか?)まあ、深くかかわらないほうがいいか。興味ないしな」

ここまで来た男のセリフかとつっこませる発言をし、翔太は引き返そうとする。

「待て。何者だ、貴様」

「俺はただの記憶喪失のデュエリストだ」

ママチャリを止め、少年の質問に答える。

「デュエリスト…。まさか、LDSの生徒か!?」

「俺はLDSとは関係ない。もう行っていいか?」

「いいや、まだだ」

少年はマントで隠していた両腕を出す。

左腕には黒い円盤状のデュエルディスクが装備されていた。

「デュエルか?悪いが、俺は買い物帰りだ。断る」

「そうはいかない。俺には事情がある。(なぜだ…?あの男から妙な力を感じる。俺たちの脅威になりうるかもしれない…)」

「はあ…やってられねえな」

少年の言葉を無視し、再びママチャリを走らせようとする。

「待て!!」

先程よりも強い口調。

それと共に、強い向かい風が翔太に襲い掛かる。

あまりの強さに、ママチャリを進めることができない。

「はあ…何なんだお前は?超能力者か?」

「…」

「だんまりか。ったく、しつこい男は嫌われるぞ?」

観念し、ママチャリから降りた翔太はデュエルディスクを構える。

「こうなった以上、先攻は俺にしてもらうぞ?」

「…。構わない」

「「デュエル!!」」

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

少年

手札5

ライフ4000

 

「俺の先攻。俺はモンスターを《魔装竜ファーブニル》を召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札5→3

ライフ4000

場 魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900

  伏せカード1

 

少年

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン、ドロー」

 

少年

手札5→6

 

「俺は手札から魔法カード《ソリッド・オーバーレイ》を発動。このカードはランク4以下のエクシーズモンスターの素材とすることができる」

オーバーレイユニットが収納されている結晶が現れる。

 

ソリッド・オーバーレイ(アニメオリカ・調整)

永続魔法カード

「ソリッド・オーバーレイ」はフィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

(1):このカードはランク4以下のXモンスターのX素材にできる。

 

(エクシーズ素材にできる永続魔法…。エクシーズ使いか?)

「更に、俺は手札から魔法カード《幻影模写》を発動。このカードはフィールド上のエクシーズモンスター以外のモンスター1体に変身する」

少年のフィールドに青い炎を放つ黒い水が現れる。

そして、その水は《魔装竜ファーブニル》そっくりな姿に変化した。

 

幻影模写 レベル4 攻撃0

 

幻影模写(ファントム・イミテーション)

通常魔法カード

「幻影模写」は1ターンに1度しか発動できず、このカードを発動したターン自分はエクシーズ召喚以外の方法でエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(1):相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。発動後、このカードは通常モンスター(水族・闇・星?・攻/守0)となり、モンスターゾーンに攻撃表示で特殊召喚される。その時、このカードのレベルは選択したモンスターのレベルと同じになる。

 

「これで、レベル4のモンスターは2体か」

「俺はレベル4の《ソリッド・オーバーレイ》と《幻影模写》でオーバーレイ!漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク4!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

紫色の稲妻を宿した漆黒の竜が現れる。

「何!?こいつは…」

現れた竜を見て、翔太の目が大きく開く。

その竜の姿は色彩を除くと遊矢の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》にあまりにも近かったからだ。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500

 

(遊矢の《オッドアイズ》そっくりのモンスター…ますます怪しいな、あいつは)

「俺は《エクシーズ・ドラゴン》の効果発動!オーバーレイユニットを2つ取り除くことで、相手モンスター1体の攻撃力を半分奪う。トリーズン・ディスチャージ!!」

「何!?」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の両翼から紫色の電撃が放たれ、《魔装竜ファーブニル》が拘束される。

拘束された《魔装竜ファーブニル》は力を根こそぎ奪い取られていく。

 

魔装竜ファーブニル レベル4 攻撃1900→950

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500→3450

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・ソリッド・オーバーレイ

・幻影模写

 

「ちっ…いきなり跳ね上がったか」

「バトルだ!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で《魔装竜ファーブニル》を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が電磁浮遊をしながら、弱った《魔装竜ファーブニル》に高速接近する。

そして、膨大な稲妻を帯びた牙でその竜の黄金色の体を貫いた。

「罠発動!《ガード・ブロック》。俺が受ける戦闘ダメージを0にし、デッキからカードを1枚ドローする」

行き場を失った稲妻が翔太を襲おうとしたが、バリアによって弾かれる。

そしてそれは翔太の周囲に飛び散り、付近に捨てられていた新聞を燃やす。

「こいつは…モンスターの攻撃が実体化しているのか?」

「キュイーー!キュイ!!」

翔太の右肩にビャッコが現れ、おびえながら《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を見る。

「そんなに怖いなら、出てくるな」

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札3→4

ライフ4000

場 なし

 

少年

手札6→2

ライフ4000

場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃3450

  伏せカード2

 

「やれやれ、いやなモンスターが出たもんだな」

レベル4モンスター2体を素材とする比較的使いやすい部類のエクシーズモンスターである《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》。

その場合、攻撃力はそれほど高く設定されることはないがこのカードの場合、相手モンスターが強ければ強いほど真価を発揮し、すさまじい攻撃力を得る。

少年が言っていた愚鈍なる力に抗うという言葉に似あう効果だ。

「俺のターン、ドロー」

 

翔太

手札4→5

 

「俺は罠カード《闇のデッキ破壊ウイルス》を発動」

「な…何!?」

「このウイルスは俺のフィールドに存在する攻撃力2500以上の闇属性モンスター1体をリリースすることでばら撒かれる」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》がその身を緑色のウイルスに変化させ、翔太の手札・デッキに取りつく。

「どういうつもりだ?わざわざ攻撃力3450のモンスターを捨ててまで…」

「貴様が知る必要はない。このカードを発動するとき、俺は魔法・罠のどちらかを宣言する。そして、相手の手札・フィールド・発動後3ターンの間に相手がドローしたカードを確認し、宣言した種類のカードをウイルスが破壊する。俺は魔法カードを宣言する!」

「ちっ…」

翔太は手札を公開すると、手札に存在する2枚の魔法カードを墓地へ送る。

 

翔太の手札

・魔装祭事クリスト

・魔装亀テンセキ

・魔装融合

・貪欲な壺

・針虫の巣窟

 

手札から墓地へ送られたカード

・魔装融合

・貪欲な壺

 

(《融合》…まさか奴は!!)

少年は墓地へ送られた《魔装融合》に対して露骨な嫌悪感を見せる。

(まさかと思ったが…もしかしたら奴は…)

「俺はモンスターを裏守備表示で召喚。そして、カードを1枚伏せ、ターンエンド」

「貴様のターン終了直前に、俺は罠カード《反逆者の信条》を発動。このターン、カード効果でリリースした闇属性・ドラゴン族モンスター1体を墓地から表側守備表示で特殊召喚する。蘇れ、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」

空気中に残留したわずかなウイルスが増殖し、集結。

そして、ウイルスは次第に《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》へと姿を変えていった。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 守備2000

 

「更にこの効果でエクシーズモンスターの特殊召喚に成功した場合、手札2枚をそのモンスターのオーバーレイユニットにする」

 

手札からオーバーレイユニットとなったカード

・死霊騎士デスカリバー・ナイト

・幻影騎士団シャドーベイル

 

翔太

手札5→1(うち1枚《魔装亀テンセキ》または《魔装祭事クリスト》)

ライフ4000

場 裏守備モンスター1

  伏せカード1

 

少年

手札2→0

ライフ4000

場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(オーバーレイユニット2) ランク4 守備2000

 

反逆者の信条

通常罠カード

「反逆者の信条」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このターン、カード効果でリリースされた闇属性・ドラゴン族モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスター1体を墓地から表側守備表示で特殊召喚する。

(2):(1)の効果で特殊召喚されたモンスターがエクシーズモンスターだった場合、手札を2枚選択する。選択したカードをそのモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。

 

(《融合》…。ということは奴は融合使い、ならば!!)

少年から徐々に殺気のようなものを翔太は感じるようになる。

(一体何なんだ?あいつは…)

「俺のターン、ドロー!」

 

少年

手札0→1

 

「俺は《エクシーズ・ドラゴン》を攻撃表示へ変更」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 守備2000→攻撃2500

 

「バトルだ!いけ、《エクシーズ・ドラゴン》!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の稲妻の牙が裏守備モンスターに襲い掛かる。

「罠発動、《針虫の巣窟》。その効果で俺はデッキの上から5枚を墓地へ送る」

 

デッキから墓地へ送られたカード

・魔装騎士ペイルライダー

・次元幽閉

・魔装共鳴

・魔装鳥フェニックス

・魔装獣バステト

 

「構うな、《エクシーズ・ドラゴン》!攻撃を続行しろ!!」

稲妻の牙が翔太の裏守備モンスターを貫く。

そして、裏守備モンスターはイバラの冠と真っ白なトゥニカを身に着けた茶色い長髪の若者となり、消滅した。

 

魔装祭事クリスト レベル1 守備0

 

「《魔装祭事クリスト》の効果発動。こいつが相手によって破壊され墓地へ送られた時、墓地から魔装騎士1体を特殊召喚できる。俺は《魔装騎士ペイルライダー》を特殊召喚する!」

上空に虹色の裂け目が生まれ、そこから《魔装騎士ペイルライダー》が現れる。

その装備は電磁浮遊する《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に対応するためか、ライフルとシールド、そして魔力で機能するスラスター、更に折り畳み式のガトリングガンという装備に変わっていた。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

 

「《針虫の巣窟》の効果で墓地へ送っていたか…。ならば、俺は《エクシーズ・ドラゴン》の効果を発動!オーバーレイユニットを2つ取り除き、そのモンスターの攻撃力を半分奪う!トリーズン・ディスチャージ!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の両翼からすさまじい稲妻が発生する。

《魔装騎士ペイルライダー》は何度も回避するが、追尾性を持つその稲妻から逃れることができず、スラスターに命中する。

そしてその稲妻に魔力を奪われていき、翔太のフィールドに落下した。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500→1250

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500→3750

 

「俺は…カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札1(うち1枚《魔装亀テンセキ》)

ライフ4000

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃1250

 

少年

手札1→0

ライフ4000

場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃3750 

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札1→2

 

「(この手札じゃあな…)俺がドローしたカードは罠カード、《捨て身の宝札》だ。俺は墓地に存在する《魔装獣バステト》の効果発動。俺のフィールド上に魔装モンスターが存在するとき、このカードは手札・墓地から特殊召喚できる」

翔太のフィールドに砂嵐が発生し、その中から砂時計を鈴の代わりに着けている茶色い猫が現れる。

 

魔装獣バステト レベル1 攻撃0(チューナー)

 

魔装獣バステト

レベル1 攻撃0 守備0 チューナー 光属性 獣族

「魔装獣バステト」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1)自分フィールド上に「魔装」モンスターが存在する場合、このカードを手札・墓地から特殊召喚できる。この効果で特殊召喚されたこのカードがフィールドから離れたとき、ゲームから除外される。

 

「そして、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

翔太

手札2→1(うち1枚《魔装亀テンセキ》)

ライフ4000

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃1250

  魔装獣バステト レベル1 攻撃0(チューナー)

  伏せカード1

 

少年

手札0

ライフ4000

場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃3750 

  伏せカード1

 

「俺のターン、ドロー」

 

少年

手札0→1

 

「罠発動、《捨て身の宝札》。俺のフィールド上に存在する攻撃表示モンスター2体以上の攻撃力の合計が相手の一番攻撃力の低いモンスターよりも低い場合、俺はデッキからカードを2枚ドローできる。《ペイルライダー》と《バステト》の攻撃力の合計は1250。《エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力よりも低い。よって、カードを2枚ドローする」

 

翔太

手札1→3

 

ドローしたカード

・死者蘇生

・魔装陰陽師セイメイ

 

「《闇のデッキ破壊ウイルス》の効果で、《死者蘇生》は墓地へ送られる」

「俺は手札から装備魔法《メテオストライク》を発動。これで、《エクシーズ・ドラゴン》は貫通効果を得る」

《メテオストライク》が装備された瞬間、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の背後に隕石が降り注ぐエフェクトが発生する。

「バトルだ!俺は《エクシーズ・ドラゴン》で《魔装獣バステト》を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が再び牙に稲妻を宿す。

そんな姿を見た《魔装獣バステト》はおびえながら翔太の後ろに隠れる。

「俺を盾にするな。俺は手札から《魔装亀テンセキ》の効果を発動。こいつを手札から墓地へ送ることでこのターン、俺の魔装モンスターは戦闘では破壊されず、発生する俺へのダメージが0となる」

《魔装亀テンセキ》の五芒星のバリアが稲妻の牙を受け止める。

「だが、これでお前は俺の攻撃を防ぐ手段を失った。これでターンエンドだ」

 

翔太

手札2→1(うち1枚《魔装陰陽師セイメイ》)

ライフ4000

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃1250

  魔装獣バステト レベル1 攻撃0(チューナー)

 

少年

手札1→0

ライフ4000

場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(オーバーレイユニット2 《メテオストライク》装備) ランク4 攻撃3750 

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札1→2

 

ドローしたカード

・魔装銃士マゴイチ

 

「俺は手札から《魔装陰陽師セイメイ》を召喚」

 

魔装陰陽師セイメイ レベル3 攻撃1000(チューナー)

 

「このカードの召喚に成功した時、手札からレベル4以下の魔装モンスター1体を特殊召喚できる。俺は《魔装銃士マゴイチ》を特殊召喚」

 

魔装陰陽師マゴイチ レベル4 攻撃1600

 

「レベル4の《マゴイチ》にレベル3の《セイメイ》をチューニング。。黄金の剛腕を持つ漆黒の戦士、その気高き力で道を拓け。シンクロ召喚!現れろ、《魔装剛毅クレイトス》!」

 

魔装剛毅クレイトス レベル7 攻撃2600

 

「シンクロ召喚!?融合だけではないのか…??」

「…何言ってるんだ、お前」

少年の発言に何かギャップのようなものを感じ始める。

確かに以前戦ったLDSのデュエリストは1つの召喚方法に特化したデッキになっていた。

しかし、零児のように様々な召喚方法を1つのデッキで使うデュエリストも存在する。

「排除しなければ…お前は必ず俺たちの脅威になる!」

「だから、何を言っているんだ?全く訳が分からねえよ。バトル。俺は《ペイルライダー》で《エクシーズ・ドラゴン》を攻撃」

「攻撃力の低い《ペイルライダー》で攻撃だと?」

《魔装騎士ペイルライダー》は魔力を失ったスラスターを強制排除し、ガトリングガンを構える。

「この瞬間、俺は墓地の《魔装祭事クリスト》の効果を発動。俺の魔装騎士が相手モンスターを攻撃するとき、このカードを除外することで、ダメージ計算時のみその攻撃力を他の魔装モンスター1体の元々の攻撃力分アップさせることができる」

《魔装騎士ペイルライダー》と《魔装剛毅クレイトス》の五芒星が共鳴し、強大な魔力が発生する。

その魔力がガトリングガンの銃弾1発1発の破壊力を増してゆく。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃1250→3850(ダメージステップのみ)

 

魔装祭事クリスト

レベル1 攻撃0 守備0 効果 闇属性 魔法使い族

「魔装祭事クリスト」の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する「魔装騎士」1体を選択して特殊召喚できる。

(2):自分フィールド上に表側表示で存在する「魔装騎士」モンスターが相手モンスターを攻撃するとき、このカードを墓地から除外し、自分フィールド上に存在する他の「魔装」モンスター1体を選択して発動できる。ダメージステップ時のみ、そのモンスターの攻撃力を選択したモンスターの元々の攻撃力分アップさせる。

 

「何!?」

「これで《エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力を上回った」

ガトリングガンから弾倉が空になるまで銃弾が発射される。

「罠発動!《パワー・フレーム》。俺のモンスターが自身よりも高い攻撃力を持つモンスターの攻撃対象となったとき、その攻撃を無効にする」

《パワー・フレーム》のカードが《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の盾となり、銃弾をすべて吸収していく。

「その後、攻撃対象となった俺のモンスターに装備され、装備モンスターの攻撃力を攻撃モンスターと攻撃対象モンスターの攻撃力の差分アップさせる」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃3750→3850

 

「結局、そのモンスターの攻撃力アップの手助けをしてしまったか…」

《魔装祭事クリスト》の効果はダメージステップ時のみ、ここからは再び《魔装騎士ペイルライダー》の攻撃力は1250に戻ってしまう。

しかし、これで心置きなく翔太は次の行動をとれる。

「俺はレベル7の《ペイルライダー》と《クレイトス》でオーバーレイ!」

「バカな…!?まさかエクシーズ召喚まで…」

「俺はそれができる奴を一人知っている。エクシーズ召喚!現れろ、大地より生まれし神討ちの竜、《魔装竜テュポーン》!」

翔太のフィールドに地割れが起こり、そこから百の頭部を持つ4本足で緑色の巨竜が現れる。

現れると同時に互いのフィールドに激しい風が吹く。

 

魔装竜テュポーン ランク7 守備2000

 

「ランクの高いエクシーズモンスターにしては攻撃力が低いな」

「このカードは1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、俺のモンスター1体をリリースすることで、墓地から魔装モンスター1体を特殊召喚できる。俺はオーバーレイユニットと《魔装獣バステト》をコストに、《ペイルライダー》を復活させる!」

《魔装竜テュポーン》の頭部の1つがオーバーレイユニットを飲み込み、《魔装獣バステト》が消滅する。

すると、上空に緑色の五芒星が発生し、そこから《魔装騎士ペイルライダー》が現れる。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・魔装騎士ペイルライダー

 

「更に、《テュポーン》のもう1つの効果を発動。俺の魔装騎士にこのカードを装備することで、装備モンスターの攻撃力を2000ポイントアップさせることができる」

「何!?」

《魔装竜テュポーン》の肉体がすべて緑色の風に変化する。

そして、《魔装騎士ペイルライダー》の五芒星に吸収されていき、その鎧の色が緑色の変化していく。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500→4500

 

魔装竜テュポーン

ランク7 攻撃2000 守備2000 エクシーズ 風属性 ドラゴン族

レベル7モンスター×2

「魔装竜テュポーン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、自分フィールド上のに存在するほかのモンスター1体をリリースすることで発動できる。自分の墓地に存在する「魔装」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):自分フィールド上に表側表示で存在する「魔装騎士」モンスター1体を選択して発動できる。このカードを攻撃力2000アップの装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。

(3):(2)の効果でこのカードを装備したモンスターが破壊されるとき、このカードを墓地へ送ることでこのターン、そのモンスターは破壊されない。

 

「攻撃力4500!?」

「だが…今はメインフェイズ2。攻撃はできない…」

(融合、シンクロ、エクシーズ…。まさか奴は!?)

「おい!!そこで何をしている!!?」

翔太の背後から声がする。

そこには3人の制服組がいた。

「2体のエクシーズモンスター!?」

「いずれのモンスターからも、強力な召喚エネルギーが検知されているぞ!!」

「お前たち、詳しく話を聞かせてもらおうか…」

「エクシーズ…?召喚エネルギー…?」

何を言っている、と続くはずだったが、その前に周囲が煙に包まれる。

「ゴホッゴホッ…一体何がどうなって…!?」

急に腹部に鈍い痛みが走る。

翔太は何も理解できないまま意識を失った。

 

「おっそいなー、翔太兄ちゃん、道に迷ったのかー?」

眠っている伊織の額に典亮が冷えピタをつける。

「伊織姉ちゃんが書いた地図があるから、迷うことはないと思うけど…」

「けどよー、もう3時間くらいたつぜ?何かあったのか?」

太一と典亮は心配そうに窓から外を見た。

 

「う…うう…」

翔太はゆっくりと目を開く。

「ここは…?」

そこは公園で、時計は午後1時。

周囲を見渡すがあの少年の姿はどこにもなかった。

ママチャリは公園の入り口に置かれている。

念のためドライアイスを入れていたため、冷凍食品は無事だ。

「それにしても、何者だったんだ?あいつは…」

マスクとゴーグルで顔はよく見えなかったが、口調で融合とシンクロを敵視しているように思えた。

そして、何よりも気になったのが《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》。

遊矢の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》に似た竜、そして召喚エネルギーという言葉。

「はあ…あまり面倒事にはかかわりたくないな」

早く戻り、伊織の看病をしなければならない。

幸い、ここからなら施設までの道は分かる。

翔太はママチャリを走らせた。




今回は黒マスクの男登場です!
それにしても、彼のデッキの全容がいまだにわかりません。
せめて、沢渡とのデュエルの時に《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》以外のモンスターカードも出てほしかったです。

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