「なぜ、ジェルマンの貴様がロジェと行動を共にしていた!?」
デュエルディスクを展開し、構えながら黒咲はブーンに疑問をぶつける。
セルゲイが柚子をさらう任務を遂行していたとき、彼はセルゲイをサポートするような動きを見せていた。
治安維持局から接収した資料を調べた結果、彼がシンクロ次元に現れたのはロジェが長官になった翌年。
それからはずっとロジェの側近として裏から彼をサポートしていた。
「簡単な話だ。もう奴が捕らえられた以上、隠しても無駄なことだからな。俺はただのスパイだ。奴の生み出した技術はもうすでにアカデミアに流出している」
「技術を盗むためだけに、だと?」
「過去に中国などの他国からやってきた産業スパイと同じ理屈だ」
表情を変えず、淡々と述べるブーンだが、遊矢たちにはよくわからないところもあった。
ロジェは柚子かセレナ、もしくはその両方を確保し、アカデミアと交渉するつもりでいた。
そんな交渉が通じるかどうかは今となっては未知数だが、ブーンの行いは一歩間違えれば、ロジェにその2人を与えかねない行動だった。
だが、今の彼の態度を見ていると、ロジェがランサーズに敗れることは予測していたようだ。
「話はここまでだ。柊柚子を渡してもらう」
「ふざけるな!貴様らアカデミアには…もうなに一つ与えるつもりはない!!」
デッキからカードを引き、いつでもデュエルを開始できるようになった黒咲は叫ぶ。
ブーンはもうそれが分かっているかのように、既に左手には5枚のカードを手にしていた。
「黒咲隼…ハートランド・デュエル・スクールスペード校所属。ピースの1つ、黒咲瑠璃の兄…ということになっている男か」
ブーンの淡々とした口調の中から聞こえた、まるでドラマの設定で瑠璃の兄になっているような言葉に黒咲は静かに怒りを覚える。
これからデュエルになる以上、冷静さを失ってはならないが、どうしてもその言葉が許せなかったうえ、気になっていた。
「いいだろう。貴様らランサーズはレジスタンスの希望の象徴。それを奪うことで、アカデミアに貢献するとしよう」
そうつぶやいたブーンはデュエルディスクを操作し、妨害電波を発生させる。
遊矢たちのデュエルディスクが動作しなくなったうえ、カメラの映像を映していたテレビの映像が乱れ、見れなくなっていた。
「これで、誰もこのデュエルに乱入することはできない。そして…誰も助けに来ない」
「貴様は俺1人で倒す!」
「「デュエル!!」」
ブーン
手札5
ライフ4000
黒咲
手札5
ライフ4000
「俺の先攻。俺手札から魔法カード《緊急発進》を発動。俺のフィールドにモンスターが存在しないとき、デッキからレベル4以下の機械族モンスター1体を特殊召喚できる。俺はデッキから《鋼の歯車人間》を特殊召喚。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は0となり、ターン終了時に除外される」
ブーンのフィールドに片腕と両足が白い金属製の強化外骨格となっていて、両手に電気を帯びた特殊警棒を装備した人間が現れる。
鋼の歯車人間 レベル2 攻撃1300→0
緊急発進
通常魔法カード
このカード名のカードは1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しないとき、自分のデッキに存在するレベル4以下の機械族モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は0となり、ターン終了時に除外される。
「更に手札から魔法カード《機械複製術》を発動。自分フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスター1体と同じ名前の機械族モンスターをデッキから2体まで特殊召喚する。俺はさらに2体の《鋼の歯車人間》を特殊召喚」
鋼の歯車人間×2 レベル2 攻撃1300
「更に手札から魔法カード《AI's Society》を発動。俺のフィールドにメタルギアが存在するとき、デッキからメタルギアカード1枚を手札に加え、デッキトップからカードを1枚墓地へ送る。私はデッキから《鋼の歯車工場》を手札に加える」
デッキから墓地へ送られたカード
・鋼の歯車偵察機
Ai's Society
通常魔法カード
(1):自分フィールドに「メタルギア」モンスターが存在するとき、デッキに存在する「メタルギア」カード1枚を対象に発動できる。そのカードを手札に加える。その後、デッキの上からカードを1枚墓地へ送る。
「そして手札に加えた《鋼の歯車工場》を発動。その効果により、墓地からレベル4以下のメタルギア、《鋼の歯車偵察機》を特殊召喚」
フィールドに現れた《鋼の歯車工場》のソリッドビジョンの中から3本脚がついた苦労球体が現れ、それについているカメラが黒咲の様子を捉える。
鋼の歯車偵察機 レベル1 守備2000
「《鋼の歯車偵察機》の効果発動。俺のフィールドのこのカードを含めたモンスターを素材にメタルギアモンスターを融合召喚する。俺が融合素材とするのは《鋼の歯車偵察機》と《鋼の歯車人間》3体」
《鋼の歯車偵察機》の3本脚が鋭利な槍に変化し、それらが《鋼の歯車人間》の新造を貫く。
そして、上空に現れた鉛色の渦に4体が飲み込まれていく。
「自爆する定めを持つ偵察機よ、心封じられし兵士たちを取り込み、任務遂行の標とせよ。融合召喚。現れろ、レベル10。《鋼の歯車最古人類》」
鉛色の渦が大型化していき、天井や壁を破壊していく。
「何!?なんで大型化してるの!?」
「みんな、伏せるんだ!!」
侑斗の叫びを聞き、遊矢たちは急いでうつ伏せになり、両手で頭を抑える。
天井が崩れ、1階の床だったがガレキが落ちてくるが、ウィンダと風の眼を発動した侑斗が風を起こしてそれらが侑斗たちに当たらないようにした。
この光景は病院の中に戻った翔太と凌牙も目撃していた。
「これは…《融合》、なのか!?」
「くそっ、もうおっぱじめてやがったか!」
鉛色の渦が徐々に高度を上げていき、病院を破壊していく。
渦に巻き込まれるわけにはいかず、翔太達はやむなく病院を出るが、同時に病院が半壊し、屋上があった場所に渦が止まる。
そして、その中から《古代の機械混沌巨人》に匹敵する大きさの、鉛色の装甲をした人型の兵器が姿を現した。
「あんなモンスター…まだアカデミアにいたのかよ…?」
初めて二本足で立った世界最古の人類、サヘラントロプスの名前を持つ鋼の巨人を見た翔太はそうつぶやいた。
「はあ、はあ、はあ…みんな、大丈夫…?」
疲れ果て、座り込んだウィンダが伏せている遊矢たちに尋ねる。
「ああ…ウィンダさん、ありがとう…。柚子、大丈夫か?」
「ええ。でも、あんなのがリアルソリッドビジョンで…」
体や髪についた小石や砂を払い、起き上がった柚子は目の前に見える鉛色の2本足に驚きを隠せなかった。
スタンダード次元でそれほどのリアルソリッドビジョンを作り出すには遊勝塾やレオコーポレーションなどに用意されているアクションデュエル用のリアルソリッドビジョンシステムを使う必要がある。
だが、アカデミアのデュエルディスクに搭載されているリアルソリッドビジョンシステムは単独でこれほどの大型モンスターを出すことが可能になっていた。
「アカデミアめ…!」
この地下室に入るためにつかったドアはガレキで埋まっていて、そこから上へあがることはできない。
侑斗とウィンダもがれきから全員を助けるために力を使ってしまったがために、疲労でしばらくは精霊の力を使うことができない。
黒咲は《鋼の歯車最古人類》の足に捕まり、上へあがっていく。
登りながら見上げると、その巨大人型兵器の肩の上にはブーンの姿があり、そこからエクシーズ次元を見下ろす彼がとても気に食わなかった。
どうにか地上まで出ることができ、巨大兵器から距離をとる黒咲の姿を翔太と凌牙が見つける。
「黒咲、やはり敵が…!」
「そうだ…。はめられていたようだ。ほかのみんなは無事だ!」
足から離れた黒咲は睨むようにブーンを見た。
「だったら、俺はあいつらを助けに行くぞ」
そう言い残し、黒咲のことを凌牙に押し付けた翔太は急いで彼が出てきた穴のところへ向かった。
鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃2000
「融合素材の数とレベルにしては、攻撃力が低いな…」
4体ものフィールドのモンスターを素材に融合召喚された《鋼の歯車最古人類》は同じ大きさの《古代の機械混沌巨人》と異なり、攻撃力は低い。
そうなると警戒しなければならないのは、モンスター効果。
「《鋼の歯車工場》の効果。俺がメタルギア融合モンスターの融合召喚に成功したとき、このカードにメタルギアカウンターを1つ置く」
鋼の歯車工場 メタルギアカウンター0→1
「さらに、《鋼の歯車人間》の効果発動。このカードがメタルギア融合モンスターの融合素材として墓地へ送ったとき、デッキからカードを1枚ドローする」
3体の《鋼の歯車人間》を素材としたことから、ブーンは一気に3枚カードをドローする。
これにより、ブーンの手札が再び5枚に戻った。
鋼の歯車人間(メタルギア・ヒューマン)
レベル2 攻撃1300 守備1200 効果 地属性 機械族
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが「メタルギア」融合モンスターの融合素材として墓地へ送られたときに発動する。自分はデッキからカードを1枚ドローする。
(2):自分ターン開始時、自分の手札が0枚の場合に墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。デッキから「メタルギア」カード1枚を手札に加える。
「さらに私は手札から《鋼の歯車騎兵》を召喚」
鋼の歯車騎兵 レベル3 攻撃1000
「《騎兵》の効果発動。このカードの召喚に成功したとき、手札・デッキの同名モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、攻撃力・守備力は0となる。俺はデッキから《鋼の歯車騎兵》2体を特殊召喚」
鋼の歯車騎兵×2 レベル3 攻撃1000→0
「さらに手札から魔法カード《鋼の歯車融合》を発動。俺のフィールドのメタルギアを融合する。融合素材とするのは《鋼の歯車騎兵》3体。大地を走る兵器たちよ、歯車を絡ませ、任務遂行の標となれ。融合召喚。現れろ、レベル8、《鋼の歯車T-REX》」
鋼の歯車T-REX レベル8 攻撃2800
鋼の歯車工場 メタルギアカウンター1→2
「そして、《鋼の歯車工場》の効果発動。1ターンに1度、このカードの上のメタルギアカウンターを2つ取り除くことで、デッキからメタルギアカード1枚を手札に加えることができる。俺はデッキから《対峙する鋼の歯車》を手札に加える。更に、《鋼の歯車最古人類》の効果。このカードの攻撃力は俺のフィールドに存在する、融合召喚されたメタルギアモンスターの数×1000アップする」
鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃2000→4000
鋼の歯車工場 メタルギアカウンター2→0
「ちっ…やはり攻撃力アップの効果があったか!?」
「まだだ。俺は手札から魔法カード《対峙する鋼の歯車》を発動。俺のフィールドのメタルギア融合モンスター1体の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。私が対象とするのは《鋼の歯車最古人類》。よって、貴様には2000のダメージを受けてもらう」
「先攻1ターン目でいきなりかよ…!?」
発動された《対峙する鋼の歯車》の効果を受けた《鋼の歯車最古人類》が腰にさしている黒い金属製の蛇腹剣を抜く。
黒いしなやかな刀身には火花が飛んでおり、それを地面に突き刺すと同時に黒咲の周囲に赤黒いとげのような岩石が隆起する。
ブーンは薄い笑みを浮かべ、右手の指を鳴らすと、その岩が大爆発した。
「黒咲!?」
「ぐう、う…!」
爆発の勢いはすさまじく、翔太と凌牙が両腕で爆風から顔を隠しつつ、それに飲み込まれた黒咲に目を向ける。
煙が消えると、そこには全身が傷だらけの状態になって倒れる黒咲の姿があった。
黒咲
ライフ4000→2000
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
ブーン
手札5→3
ライフ4000
場 鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃4000
鋼の歯車T-REX レベル8 攻撃2800
鋼の歯車工場(メタルギアカウンター0 永続魔法)
伏せカード1
黒咲
手札5
ライフ2000
場 なし
《鋼の歯車最古人類》のバックパックに火が付き、巨体がゆっくりと上昇する。
そして、両足が病院の地下から完全に出て、そのまま地上に着地した。
「ぐ、うう…おのれ…!」
プルプルと震える両手で体を支え、痛みに耐えながら立ち上がる。
額の一部が切れたようで、そこから流れる血が黒咲の左眉と目を赤く濡らしており、着ているコートもボロボロだ。
「ほぉ…この爆発を受けても立ち上がることができるとは…」
「貴様が言っただろう!?俺が…ランサーズが敗れれば、レジスタンスは希望を失う…」
悔しいが、それは黒咲も認めざるを得なかった。
クローバー校レジスタンスが実質ジェルマンに乗っ取られている今の状況で、追い打ちをかけるようにランサーズが敗れるような事態になってしまうと、スペード校レジスタンスの式に大きな影響を与える。
その隙をレナードがつかないはずがない。
カイトをそそのかし、スペード校とクローバー校のレジスタンス同時の戦争を起こし、つぶし合わせる。
その結果、漁夫の利でアカデミアがエクシーズ次元を完全に掌握する。
そのようなことを起こすわけにはいかない。
「負けるわけには…いかない!俺の…ターン!!」
黒咲
手札5→6
「俺はスケール2の《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》とスケール5の《RR-ボミング・レイニアス》でペンデュラムスケールをセッティング!これで俺はレベル3と4のモンスターを同時に召喚可能!戦場を舞い、戦火に身を焦がす鳥たちよ、揺れ動く戦況を空より見極めよ。ペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスター!!《聖鳥クレイン》、《終末の騎士》、《RR-ミミクリー・レイニアス》!」
聖鳥クレイン レベル4 攻撃1600
終末の騎士 レベル4 攻撃1400
RR-ミミクリー・レイニアス レベル4 攻撃1100
「《聖鳥クレイン》の効果!このカードの特殊召喚に成功したとき、デッキからカードを1枚ドローする。そして、《終末の騎士》の効果。このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。俺はデッキから《RR-ミミクリー・レイニアス》を墓地へ送る。さらに、墓地へ送った《ミミクリー・レイニアス》の効果。このカードを墓地から除外することで、デッキからRRカード1枚を手札に加える。俺はデッキから《RR-ネスト》を手札に加える。更に俺は手札から速攻魔法《鳥合無象》を発動。俺のフィールドに存在する獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体をリリースし、そのモンスターと同じ種族のモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する。《聖鳥クレイン》をリリースし、《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》を特殊召喚!」
ペンデュラム召喚されたばかりの《聖鳥クレイン》がフィールドから消滅し、入れ替わるように上空に《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が現れる。
RR-サテライト・キャノン・ファルコン ランク8 攻撃3000
「更に手札から永続魔法《RR-ネスト》を発動!自分フィールドにRRが2体以上存在するとき、1ターンに1度、デッキ・墓地のRR1体を手札に加える。俺はデッキから《RR-バニシング・レイニアス》を手札に加える」
「《鳥合無象》の効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃できず、ターン終了時に破壊される…。目的はランクアップか…」
「その通りだ!俺は手札から魔法カード《RUM-スキップ・フォース》を発動!俺のフィールドのRRをランクが2つ高いRRにランクアップさせる。俺は《サテライト・キャノン・ファルコン》でオーバーレイネットワークを再構築!」
《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が上空に現れたオーバーレイネットワークの中へ消えていく。
そして、その中で《RR-アルティメット・ファルコン》へとその姿を変えようとしていた。
「俺は《鋼の歯車最古人類》の効果発動。1ターンに1度、エクストラデッキからの特殊召喚、もしくはモンスターを特殊召喚する効果を持つ魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する!」
「何!?」
《鋼の歯車最古人類》の右腕に装着されているレールガンが上空のオーバーレイネットワークに向けられ、そこにミサイルが発射される。
《RR-アルティメット・ファルコン》に変化しつつあった《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》がミサイルの直撃を受けると、元の姿に戻って地上へ転落した。
「くぅ…!」
「これで、《鳥合無象》の効果で特殊召喚された《サテライト・キャノン・ファルコン》はフィールドに残る…」
黒咲は《RR-アルティメット・ファルコン》をエクシーズ召喚し、その効果で攻撃力をダウンさせたうえで戦闘破壊する作戦だった。
そのモンスターはほかのカードの効果を受けないことから、攻撃を妨害される心配が少ないが、召喚そのものを無効にされてはどうしようもない。
「だが…まだだ!俺はレベル4の《終末の騎士》と《ミミクリー・レイニアス》でオーバーレイ!冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!飛来せよ!ランク4!《RR-フォース・ストリクス》!」
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000
「《フォース・ストリクス》の攻撃力・守備力は俺のフィールドに存在するこのカード以外の鳥獣族モンスターの数×500アップする」
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000→2500
「そして、《フォース・ストリクス》の効果。1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキから闇属性・鳥獣族・レベル4モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから《RR-ファジー・レイニアス》を手札に加える。そして、《ファジー・レイニアス》は俺のフィールドにRRが存在するとき、手札から特殊召喚できる」
RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2500→3000
取り除かれたオーバーレイユニット
・終末の騎士
「更に、俺は手札から《RR-バニシング・レイニアス》を召喚!」
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
「俺はレベル4の《ファジー・レイニアス》と《バニシング・レイニアス》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、2体目の《フォース・ストリクス》!」
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000→3000
「2体目の《フォース・ストリクス》の効果。オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキからもう1体の《RR-バニシング・レイニアス》を手札に加える。そして、オーバーレイユニットとして墓地へ送った《ファジー・レイニアス》の効果発動。デッキからもう1枚の《ファジー・レイニアス》を手札に加える。そして、《バニシング・レイニアス》の効果。このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ時に1度、手札に存在するレベル4以下のRR1体を特殊召喚できる。俺は《バニシング・レイニアス》を特殊召喚。そして、先ほど特殊召喚した《バニシング・レイニアス》の効果により、手札の《ファジー・レイニアス》を特殊召喚!」
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500
「これで再び《フォース・ストリクス》をエクシーズ召喚する条件が整った、ということか…」
「その通りだ。俺はレベル4の《バニシング・レイニアス》と《ファジー・レイニアス》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、3体目の《フォース・ストリクス》!」
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000→3500
RR-フォース・ストリクス×2 ランク4 守備3000→3500
「3体目の《フォース・ストリクス》の効果。オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキから《RR-ミミクリー・レイニアス》を手札に加える。更に俺は手札から魔法カード《エクシーズ・トレジャー》を発動!フィールド上に存在するエクシーズモンスターの数だけ、俺はデッキからカードをドローする!」
「狙いはそのカードか…!」
《RR-アルティメット・ファルコン》の召喚に失敗してもなお、何度も《RR-フォース・ストリクス》をエクシーズ召喚した最大の理由がそれだった。
今の黒咲のフィールドにいるエクシーズモンスターは4体。
よって、このカード1枚で一気に4枚ものカードをドローすることができる。
黒咲は4枚のカードを指にかける。
「(あの《鋼の歯車最古人類》が存在する限り、RUMもエクシーズ召喚も妨害される…。奴を仕留めることのできるカードを…!)ドロー!!」
4枚のカードをドローした瞬間、彼を中心に一陣の風が起こり、周囲に残っている岩石の欠片が吹き飛ぶ。
「よし…!俺は手札から《RUM-レイド・フォース》発動!俺のフィールドのエクシーズモンスター1体をランクの1つ高いRRにランクアップさせる!俺は2体目の《フォース・ストリクス》でオーバーレイネットワークを再構築!」
《RR-フォース・ストリクス》が《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が脱落したオーバーレイネットワークの中に飛び込んでいく。
《鋼の歯車最古人類》は再びレールガンを発射して妨害しようとたくらむが、冷却時間の問題でそれを発射することができなかった。
「獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し 寄せ来る敵を打ち破れ!ランクアップエクシーズチェンジ!現れろ!ランク5!《RR-ブレイズ・ファルコン》!」
RR-ブレイズ・ファルコン ランク5 攻撃1000
「《ブレイズ・ファルコン》の効果!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターをすべて破壊し、破壊したモンスター1体につき500のダメージを与える!」
《RR-ブレイズ・ファルコン》に搭載されているビットが複数分離した後で飛んでいき、2体のメタルギアに向けて四方からビームを発射する。
「これで貴様のフィールドのモンスターは全滅だ!」
「カウンター罠《ミラーコート》を発動。相手のエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターの効果の発動を無効にし、破壊する」
「く…!」
2体のメタルギアの装甲が鏡のようにコーティングされ、ビームが《RR-ブレイズ・ファルコン》に向けて跳ね返る。
次々とビームが直撃し、《RR-ブレイズ・ファルコン》は爆発とともに消滅した。
ミラーコート
カウンター罠カード
(1):EXデッキから特殊召喚された相手モンスターの効果が発動したときに発動できる。その発動を無効にし、破壊する。
「俺は…カードを2枚伏せ、ターンエンド…。同時に、《鳥合無象》の効果により、《サテライト・キャノン・ファルコン》は墓地へ送られる」
ブーン
手札3
ライフ4000
場 鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃4000
鋼の歯車T-REX レベル8 攻撃2800
鋼の歯車工場(メタルギアカウンター0 永続魔法)
黒咲
手札6→1
ライフ2000
場 RR-フォース・ストリクス×2(ORU1) ランク4 守備3500→2500
RR-ネスト(永続魔法)
伏せカード2
RR-フラッシュ・ヴァルチャー(青) Pスケール2
RR-ボミング・レイニアス(赤) Pスケール5
「俺のターン、ドロー」
ブーン
手札3→4
「俺は手札から魔法カード《貪欲な壺》を発動。俺の墓地のモンスター5体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする。俺は《鋼の歯車人間》2枚と《鋼の歯車騎兵》3体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする」
状況によっては一気に展開できる《鋼の歯車騎兵》が再びデッキに戻っただけでなく、更に手札を補充する。
ドローした後で、彼は黒咲の2枚の伏せカードを見る。
「なるほど…その2枚の伏せカードにかけているか。ならば、それを断ち切るのみ。俺は手札から魔法カード《メタルギア・ストーム》を発動。俺のフィールドにメタルギア融合モンスターが存在するとき、フィールド上にセットされている魔法・罠カードをすべて破壊する。その時、相手はセットしている魔法・罠カードの効果を発動できない」
黒咲のフィールドを鉛色の嵐が襲い掛かり、2枚の伏せカードを破壊しようとする。
その時、伏せているカードのうちの1枚が淡く光る。
「貴様が破壊する魔法・罠カードの内の1枚は《RR-ブレイク》。セットされているこのカードが破壊され墓地へ送られるとき、デッキからRRカード1枚を墓地へ送ることができる。俺はデッキから《RR-レディネス》を墓地へ送る」
「うまいな…」
黒咲が墓地へ送った《RR-レディネス》を見たブーンがつぶやく。
破壊した《RR-ブレイク》の効果はRR版の劣化《聖なるバリア-ミラーフォース》のような効果を持っている。
仮に気にせずに攻撃した場合はその効果で2体のメタルギアが撃破されていた可能性があり、たとえ破壊されたとしても《RR-レディネス》を墓地へ落したことで、その2つ目の効果でダメージを防ぐことができる。
何が何でもこのターンをしのぎ、チャンスを得ようとする彼の気迫を感じた。
破壊された布施カード
・RR-ブレイク
・エクシーズ・リボーン
メタルギア・ストーム
通常魔法カード
(1):自分フィールドに「メタルギア」融合モンスターが存在するときに発動できる、フィールド上のセットされている魔法・罠カードをすべて破壊する。この効果に対し、相手はセットしているカードの効果を発動できない。
RR-ブレイク
通常罠カード
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手フィールドの特殊召喚されたモンスターが自分フィールドの「RR」Xモンスターを攻撃対象としたときに発動できる。相手フィールドの特殊召喚された攻撃表示モンスターをすべて破壊する。
(2):セットされているこのカードが墓地へ送られたとき、自分のデッキに存在する「RR」カード1枚を対象に発動できる。そのカードを墓地へ送る。
「俺は《鋼の歯車IR》を召喚」
鋼の歯車IR レベル4 攻撃1000
「《IR》の効果。攻撃表示で存在するこのカードを守備表示にすることで、デッキからレベル4以下のメタルギア1体を特殊召喚する。俺は《鋼の歯車蛹》を特殊召喚」
鋼の歯車IR レベル4 攻撃1000→守備1900
鋼の歯車蛹 レベル4 攻撃1700
「そして、俺のフィールドにメタルギアモンスターが存在するとき、手札の《鋼の歯車狼》は特殊召喚できる」
鋼の歯車狼 レベル2 攻撃400
「手札から魔法カード《鋼の歯車融合》を発動。俺が融合素材とするのは《IR》、《蛹》、《狼》の3体だ。戦場をかけるヤモリよ、獲物を撃ち抜く狩人よ、敵を斬り刻む狼よ、歯車を絡ませ、任務遂行の標となれ。融合召喚!現れろ、レベル8!《鋼の歯車RAY》!」
鋼の歯車RAY レベル8 攻撃2300
鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃4000→5000
鋼の歯車工場 メタルギアカウンター0→1
「くそ…またメタルギアの融合モンスターか…!」
3体のメタルギア融合モンスターの存在により、《鋼の歯車最古人類》の攻撃力がさらに上がる。
たとえダメージを与えられないとしても、さらに盤石な態勢を整えることをブーンは選んでいた。
「バトル。《鋼の歯車最古人類》で《フォース・ストリクス》を攻撃」
《鋼の歯車最古人類》が上空を飛ぶ《RR-フォース・ストリクス》をセンサーでとらえると、バックパックに搭載している4基の筒状のドローンを分離、飛行させる。
ドローンが攻撃対象としたモンスターをとらえると、展開して内部にあるミサイルが一斉発射される。
ミサイルは《RR-フォース・ストリクス》を破壊するだけでなく、近くの建物や路上にも着弾する。
「く…俺は墓地の《RR-レディネス》の効果発動!俺の墓地にRRが存在するとき、このカードを墓地から除外することで、このターン、俺が受けるすべてのダメージは0となる!」
墓地に眠る《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》の幻影が薄黒いバリアとなって黒咲を包む。
ミサイルの爆発から逃れるため、距離をとる凌牙はまだ飛んでいるミサイルの1発とその軌道を見てはっとする。
「あのミサイル…翔太!!」
翔太は今、穴の中にいる遊矢たちを助けるために使える道具がないか周囲を探している。
凌牙の声が聞こえ、ミサイルに気付いた彼だが、ミサイルは一直線に彼に向けて飛んでいっている。
「ちっ…!?」
回避できないとわかり、舌打ちをする翔太だが、なぜか左手の痣が光り、勝手に左腕が動く。
手が飛んでくるミサイルの前にかざされたと思ったら、そこから紫色の光線が発射される。
そのビームはミサイルを貫き、爆散させた。
「何!?今の光は…!?」
凌牙の中の何かがあの光の正体を即座に本人に理解させる。
というよりも、理解するしかなかった。
そして、彼についても…。
「フィールドのRRの数が減ったことにより、もう1体の《フォース・ストリクス》の守備力は下がる」
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2500→2000
「く…だが、オーバーレイユニットの《ファジー・レイニアス》の効果発動。デッキからもう1枚の《ファジー・レイニアス》を手札に加える」
「さらに、《RAY》でもう1体の《フォース・ストリクス》を攻撃」
《鋼の歯車RAY》が水圧カッターを放ち、《RR-フォース・ストリクス》を両断する。
これで、黒咲のフィールドのモンスターは全滅した。
(今の俺のペンデュラムゾーンに存在する《ボミング・レイニアス》は俺のRRエクシーズモンスターが戦闘破壊されたとき、特殊召喚できる効果を持つ。だが、奴にはまだ《鋼の歯車T-REX》が残っている。今その効果を使っても意味がない…)
「俺はこれでターンエンドだ」
ブーン
手札4→0
ライフ4000
場 鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃5000
鋼の歯車T-REX レベル8 攻撃2800
鋼の歯車RAY レベル8 攻撃2300
鋼の歯車工場(メタルギアカウンター1 永続魔法)
黒咲
手札1→2(うち1枚《RR-ファジー・レイニアス》)
ライフ2000
場 RR-ネスト(永続魔法)
RR-フラッシュ・ヴァルチャー(青) Pスケール2
RR-ボミング・レイニアス(赤) Pスケール5
「くっ…!」
《RR-レディネス》が生んだバリアが消滅し、黒咲は3体のメタルギアをにらむ。
うち1体の《鋼の歯車最古人類》が特に厄介で、うかつのRUMとエクシーズ召喚をしたら餌食になる。
だが、あの夫人を攻略するための力を得る手段はそれら以外にはない。
黒咲はデッキトップに指をかける。
ふと、侑斗から聞いた話を思い出す。
自分がかつて一緒に戦ったとあるデュエリストの話で、彼は自分のデッキを信じ、どんなことがあってもあきらめない心で強敵と戦い、勝利してきたらしく、そんな彼を尊敬していると言っていた。
最初はそれだけで勝てるほど生易しいものではないと思っていたが、その次の言葉が黒咲をハッとさせた。
(確かに、それだけでは勝てないのも確かだよ。でも…自分の力を信じられない人に何ができるのかな…?)
この状況でそんなことを思い出してしまった自分をおかしく思ったのか、わずかに黒咲は笑みを浮かべる、
(おそらく、これが俺に残されたラストターン…頼む、俺のデッキよ…)
目を閉じ、黒咲はカードを引いた。
黒咲
手札2→3
「引いたぞ…貴様と同じ《貪欲な壺》を…」
「そうか…」
即座に黒咲はそのカードを発動し、墓地にある5枚のカードをデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローした。
墓地からデッキに戻ったカード
・RR-ファジー・レイニアス×2
・RR-サテライト・キャノン・ファルコン
・終末の騎士
・RR-フォース・ストリクス
・RR-バニシング・レイニアス
「そして、このカードは俺のフィールドの魔法・罠カード1枚を破壊することで、手札・エクストラデッキから特殊召喚できる。俺は《ボミング・レイニアス》を破壊し、《RR-デコイ・ストリクス》を特殊召喚する!」
ペンデュラムゾーンの《RR-ボミング・レイニアス》が爆発とともに消滅し、黒咲の真上に《RR-バニシング・レイニアス》を模したダミーバルーンを両翼に2つずつつけている、白と赤がベースの梟型モンスターが現れる。
RR-デコイ・ストリクス レベル5 攻撃1500
「そして、俺は手札からスケール6の《デコイ・ストリクス》をセッティング!」
《RR-ボミング・レイニアス》と入れ替わるように、もう1体の《RR-デコイ・ストリクス》が現れ、光の柱を生み出す。
「これで俺はレベル3から5までのモンスターを同時に召喚可能!現れろ、俺のモンスター!!《RR-ミミクリー・レイニアス》、《RR-ボミング・レイニアス》!!」
RR-ミミクリー・レイニアス レベル4 攻撃1100
RR-ボミング・レイニアス レベル4 攻撃1700
「さらに俺は永続魔法《RR-ネスト》の効果発動。デッキから《ファジー・レイニアス》を手札に加える」
《ファジー・レイニアス》を手札に加えた黒咲はここで手を止め、ブーンも沈黙したまま黒咲を見る。
(これで、奴のフィールドにはレベル4のモンスターが2体。だが…通常召喚を行っていない上に手札の《ファジー・レイニアス》は墓地へ送られたときに同じ名前のモンスターをデッキから手札に加える効果がある。そして、俺の《最古人類》がエクストラデッキからの特殊召喚、もしくはモンスターを特殊召喚する効果を持つ魔法・罠カードを無効にできるのは1ターンに1度のみ…)
黒咲のエクストラデッキのモンスターの中で、現時点で《鋼の歯車最古人類》に対抗できる可能性のあるカードは《RR-ライズ・ファルコン》と《RR-レヴォリューション・ファルコン》、《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》、《RR-アルティメット・ファルコン》と先ほど《貪欲な壺》の効果でエクストラデッキに戻った《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》。
これらはいずれもフレンドシップカップにおける黒咲のデュエルデータを調べた際に判明しているカードであり、先ほど使用された《RR-デコイ・ストリクス》についてはデータがない。
そして、今エクシーズ召喚できるのはランク4、もしくは《RR-ミミクリー・レイニアス》の効果を組み合わせてランク5。
だが、それ以上に問題なのはRUMで、黒咲の場合は《RUM-スキップ・フォース》と《RUM-レイド・フォース》、《RUM-レヴォリューション・フォース》以外のものは戦闘破壊されたモンスターや墓地のモンスターを復活させてランクアップさせるという特殊なものが多い。
そのため、手札がたったの1枚という状況であっても油断できない。
1度しか使えないその効果を誤ったタイミングで使用すれば、圧倒的に有利な状況である自分が逆に追い込まれる恐れがある。
「俺は墓地の《RUM-スキップ・フォース》の効果を発動。墓地のこのカードとRR1体を除外することで、墓地のRRエクシーズモンスター1体を特殊召喚する。俺は《フォース・ストリクス》を除外し、墓地の《ブレイズ・ファルコン》を特殊召喚する!」
RR-ブレイズ・ファルコン ランク5 攻撃1000
「更に手札から《RUM-レヴォリューション・フォース》を発動!俺のフィールドのRRエクシーズモンスター1体をランクの1つ高いRRにランクアップさせる!俺が素材とするのは《ブレイズ・ファルコン》!」
「《レヴォリューション・ファルコン》をエクシーズ召喚し、その効果を使うつもりか…。ならば、《最古人類》の効果発動!《レヴォリューション・フォース》の発動を無効にし、破壊する!」
レールガンの冷却が完了したのを確認した《鋼の歯車最古人類》が照準を再び上空に現れたオーバーレイネットワークに向けられ、ミサイルが発射される。
ミサイルはオーバーレイネットワークの中に吸い込まれ、爆発するとオーバーレイネットワークは粉々に砕けた。
「ならば…このカードは俺のフィールドにRRが存在するとき、手札から特殊召喚できる!《ファジー・レイニアス》を特殊召喚!」
RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500
「レベル4の《ファジー・レイニアス》と《ボミング・レイニアス》、《ミミクリー・レイニアス》でオーバーレイ!雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《RR-ライズ・ファルコン》!」
RR-ライズ・ファルコン ランク4 攻撃100
「《ライズ・ファルコン》の効果!オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力をこのカードに加える!俺が対象とするモンスターは《鋼の歯車最古人類》!」
「何!?」
《RR-ライズ・ファルコン》は黒咲の怒りと自らの効果の影響を受け、全身を紅蓮の炎に包んでいく。
その炎は《鋼の歯車最古人類》に匹敵する大きさとなっていて、その熱気が凌牙たちを襲う。
「すげえ…こんなエネルギーを…」
RR-ライズ・ファルコン ランク4 攻撃100→5100
取り除かれたオーバーレイユニット
・RR-ミミクリー・レイニアス
「そして、《ライズ・ファルコン》は特殊召喚された相手モンスターすべてに1回ずつ攻撃できる!」
攻撃力5100となった《RR-ライズ・ファルコン》に対して、《鋼の歯車RAY》は2300で、《鋼の歯車T-REX》は2800。
《鋼の歯車最古人類》を含めて、3体に対して攻撃を行った場合、ブーンに与える戦闘ダメージは合計5200。
一気に勝負を決めることができる。
「バトルだ!《ライズ・ファルコン》で3体のメタルギアを攻撃!ブレイブクローレボリューション!!」
紅蓮を宿した《RR-ライズ・ファルコン》が一気に高度を上げていき、そのあとで急降下すると、その勢いのままブーンが乗る《鋼の歯車最古人類》に突撃する。
《鋼の歯車最古人類》は両手でそのモンスターを受け止めるが、激しい熱でマニピュレータが溶解を始めており、乗っているブーンにも激しい衝撃が襲う。
「これで勝負を決めるつもりか…だが、俺は墓地の《鋼の歯車偵察者》の効果を発動!このカードは俺のメタルギア融合モンスターが攻撃対象となったとき、墓地から特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる!」
「何!?」
出力のリミッターを解除した《鋼の歯車最古人類》が《RR-ライズ・ファルコン》を一度持ち上げると、そのまま地面にたたきつけた。
地面にたたきつけられた《RR-ライズ・ファルコン》は悲鳴を上げ、装甲にはひびが入る。
そして、《鋼の歯車偵察者》がフィールドに現れる。
鋼の歯車偵察者 レベル1 守備2000
鋼の歯車偵察者(メタルギア・サーチャー)
レベル1 攻撃0 守備2000 効果 地属性 機械族
このカード名の(1)の効果はデュエル中1回しか発動できず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地に存在し、自分フィールドの「メタルギア」融合モンスターが攻撃対象となったときに発動できる。このカードを自分フィールドに特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる。
(2):このカードがフィールドに存在する場合、自分メインフェイズ時に発動できる。「メタルギア」融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを手札から墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから「鋼の歯車融合」による融合召喚扱いとして融合召喚する。
「これで終わりか…?黒咲隼」
「まだだ!俺は墓地の《ミミクリー・レイニアス》の効果発動!このカードが墓地へ送られたターンのメインフェイズ時、このカードを墓地から除外することで、デッキからRRカード1枚を手札に加える。俺は《ネクロ・ヴァルチャー》を手札に加える。更に、墓地の《レイド・フォース》の効果発動!このカードと手札のRRカード1枚を除外することで、墓地のRUM1枚を手札に加える。俺は手札の《ネクロ・ヴァルチャー》を除外し、墓地の《レヴォリューション・フォース》を手札に加える。そして、俺は手札の《レヴォリューション・フォース》を捨て、《ライズ・ファルコン》を素材に《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》をエクシーズ召喚する!誇り高きハヤブサよ。愚鈍なる力を払うため、灼熱の雨を降らせ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!現れろ、ランク6!《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》!!」
攻撃を封じられてもなお、勝利のために黒咲はさらなる手を打つ。
状況を考えると、これが最後の行ってなのかもしれない。
RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド ランク6 攻撃2000
「《エアレイド》の効果発動!このカードのエクシーズ召喚に成功したとき、相手フィールドのモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」
「よし…!奴の《最古人類》の攻撃力は5000!これが通れば…!」
「消えろ、《鋼の歯車最古人類》!!」
黒咲の叫びと共に、上空の《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》が爆弾を投下する。
地上と《鋼の歯車最古人類》の装甲に落下した爆弾は次々と爆発し、ブーンのフィールドを煙で包み込む。
「はあ、はあ、はあ…」
手を尽くした黒咲は疲れ果て、爆発を受けたときのダメージもあってその場に膝をつく。
「黒咲!」
デュエルが終わったと思った凌牙が黒咲に駆け寄る。
「はあはあはあ…これで…」
「見事だった。だが、相手が悪かったな」
煙の中からブーンの声が聞こえ、終わったと思っていた2人の眼が大きく開く。
煙が消えると、そこには3体のメタルギアが無傷な状態で立っていた。
「馬鹿な…!?あの効果で《最古人類》は破壊され、貴様に…」
「俺は《最古人類》のもう1つの効果を発動した。このカードが破壊されるとき、代わりに俺のフィールドのメタルギア1体を破壊できる。対象となった《最古人類》の破壊に失敗した時点で、俺へのダメージも不発に終わった」
鋼の歯車最古人類(メタルギア・サヘラントロプス)
レベル9 攻撃2000 守備4000 融合 地属性 機械族
「鋼の歯車」モンスター×4
このカードは「鋼の歯車融合」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードの攻撃力は自分フィールドに存在する融合召喚された「メタルギア」モンスターの数×1000アップする。
(2):1ターンに1度、以下の効果のうちのいずれかを発動できる。
●相手がEXデッキからモンスターの特殊召喚に成功したときに発動できる。その特殊召喚を無効にし、破壊する。
●相手がモンスターを特殊召喚する効果を持つ魔法・罠カードを発動したときに発動できる。その発動を無効にし、破壊する。
(3):フィールドに存在するこのカードが破壊されるとき、自分フィールドに存在するほかの「メタルギア」モンスター1体を対象に発動できる。そのカードを代わりに破壊する。
「さあ、ここからどうする…?」
ブーンはまるで期待しているかのように、黒咲に問いかける。
だが、今の黒咲にできることは何もなかった。
「…ターン…エンド…」
ブーン
手札4→0
ライフ4000
場 鋼の歯車最古人類 レベル9 攻撃5000
鋼の歯車T-REX レベル8 攻撃2800
鋼の歯車RAY レベル8 攻撃2300
鋼の歯車工場(メタルギアカウンター1 永続魔法)
黒咲
手札4→0
ライフ2000
場 RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド(ORU3) ランク6 攻撃2000
RR-ネスト(永続魔法)
RR-フラッシュ・ヴァルチャー(青) Pスケール2
RR-デコイ・レイニアス(赤) Pスケール6
RR-デコイ・レイニアス
レベル5 攻撃1500 守備2500 闇属性 機械族
【Pスケール:青6/赤6】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの「RR」モンスターが戦闘・効果で破壊されるときに発動できる。代わりに自分の墓地に存在する「RUM」魔法カード1枚を除外する。
【モンスター効果】
このカード名の(1)の方法による特殊召喚はデュエル中1度しか行えない。
(1):このカードが手札に存在する、またはEXデッキに表側表示で存在する場合、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を対象に発動できる。そのカードを破壊し、手札・EXデッキに存在するこのカードを特殊召喚する。
「私のターン…ドロー」
ブーン
手札0→1
「終わりだ…レジスタンスの戦士。《鋼の歯車最古人類》で《レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》を攻撃」
ブーンの死刑宣告にも似た言葉と共に、《鋼の歯車最古人類》がレールガンを上空の《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》に向けられる。
レールガンから発射されたミサイルは追尾機能を持っており、回避しようと後ろへ下がる《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》をどこまでも追いかける。
そして、ミサイルが命中すると革命の名を持つ隼は爆発とともに消滅した。
「うわああああ!!(ば、馬鹿な…!?俺が、こんなところで…)」
黒咲
ライフ2000→0