東方増減記   作:例のアレ

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輝夜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「輝夜、輝夜は居るかい?」

 

何だか無理矢理に護衛を引き受けさせられた俺、参上!

 

爺さんに引きずられて屋敷の奥へ

 

爺と手を繋ぐ趣味は無いんだけどなぁ

 

「お爺さん、私はここにいます」

 

廊下の奥の部屋から声が聞こえた

 

「おお、輝夜入っても良いかい?」

 

いや、あんた自分で既に障子開けてるじゃん

 

障子を開けながら入室許可を求めるって・・・これが面接なら1発アウトだぞ?

 

「輝夜、この方がお前の護衛を引き受けてくださった」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

こちらに向かい礼をしてくる

 

中々に美少女だ

 

「では、今からお願いします」

 

言い残し去っていく翁

 

何だか美少女と2人っきりは落ち着かない

 

この身体になって何千年と経つけど、女性に免疫が無いのは変わらない

 

「ふぅ、やっと行ったわね」

 

あれ、さっきと声色が違う

 

「貴方も災難ね?どうせお爺さんに無理矢理連れてこられたんでしょう?」

 

猫を被るって奴か?

 

「どうせ、月人には敵わない。諦めた方が身の為よ」

 

説得してるのか、脅しているのか分からんな

 

「私の罪を許すなんて言ってるけど、穢れを生む私を月人が許す訳が無いわ。どうせ実験材料にでもするつもりなんでしょう」

 

うん、話が全然見えてこない

 

説得する気ならせめて分かる様に言って欲しい

 

「だから、さっさと帰「あのさぁ」え?」

 

このままじゃ、どんどん卑屈になって行く

 

言って聞かせよう

 

「さっきから穢れだとか実験材料だとか詳しい事情は知らんけど、お前は帰りたいのか帰りたくないのかどっちだ」

 

すると輝夜はうつむいて

 

「帰りたい訳無いじゃない」

 

などと言う

 

ならば俺のやることも決まった

 

「それなら守ってやるから、そんな顔するな」

 

輝夜は少し泣きそうになっていた

 

「ふん!言うじゃない、私より遥かに年下のくせに」

 

輝夜が何歳なのかは知らないが、やるだけやってみよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に1週間が経過した

 

その間、輝夜の傍で護衛任務をしていた

 

護衛と言っても単に話していただけなんだけどな

 

数日前に輝夜が誰かと話しているような独り言を言っていた様な気がするが・・・まぁ、俺には関係無いだろう

 

「ついに今夜ですな」

 

翁が話し掛けてくる

 

「ああ、さて鬼が出るか蛇がでるか楽しみだ」

 

屋敷の中は今、帝が送ってきた兵でいっぱいだ

 

もしかしたら帝はロリコンなのかもしれない

 

・・・これも俺には関係無いな

 

「楽しみ・・・ですか?」

 

翁は心配そうだが、俺には数千年の人生・・否、妖生の中の1日に過ぎない

 

もし、これで俺が死んだとしても多分未練は無い

 

まぁ、やるからには全力で挑むけど

 

そうこうしてる間に輝夜の迎えが来たようだ

 

月に被るようにして金色に光る・・・宇宙船?みたいな物が降りてくる

 

その宇宙船?はどんどん高度を下げてまっすぐに屋敷に向かってくる

 

・・・ん?今少し揺らいだ様に見えたな、何かあったのか?

 

庭の少し上に滞空する宇宙船?の光に当たった瞬間、少し気が遠くなった

 

何だ?兵がまるでドミノみたいに倒れていく

 

横の翁は平気そうなのに

 

「姫様!」

 

宇宙船?の中から赤と青の2色の服を着た女性が出てきた

 

すると後ろの障子が開き中から輝夜が飛び出してきた

 

「永琳!」

 

抱き合う2人

 

あー、感動の再開か~よかったね~2人とも

 

って、違う!

 

帰りたく無いんじゃ無かったのか?

 

「おい輝夜、お前「灰刃、良いの永琳は味方だから」・・は?」

 

味方?つまりは輝夜を迎えにきた奴が月人で味方で・・えーと・・・よし!まるで判らん!

 

ここは成り行きに任せよう!

 

「お爺さん、お世話になりました。私は行きます」

 

帰ります、じゃなくて行きますか

 

どうやら大丈夫そうだ

 

「おお、輝夜。行かないでおくれ」

 

横の翁が涙を流しながら必死に止めようとしている

 

その翁に輝夜が何やら渡しているが・・・面倒臭いし、動けないフリでもしておくか

 

「さようなら、お爺さん。さようなら、灰刃」

 

宇宙船?に乗り込むと輝夜は飛び去ってしまった。明らかに月とは違う方向に

 

・・・まぁ、長い妖生だ。また、逢う事もあるだろう

 

今は黙って見送ろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

輝夜が行ってしまってから数日

 

翁に何故守ってくれなかったのかと訊かれたが意識を失わない様にするのが精一杯だったと答えた

 

輝夜が最後に渡していた物は不死になれる薬だそうだ

 

しかし、誰も飲もうとする者がいない為に一番高い山の上で燃やす様に帝が誰かに指示をだしたそうだ

 

それをとってその山を不死の山と名付けるなんて事も言ってた

 

俺の記憶が確かなら、その山が後の富士山の筈だ

 

そんな事はどうでも良い

 

最近、この辺も騒がしくなってきた

 

ぬえとか言う妖怪が出るとかなんとか

 

また、退治の依頼が来たら面倒だ

 

早々にまた旅に出るか


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