ブラック・ブレット〜Perfect Answer〜   作:哉識

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初めまして。哉識(かなしき)と言います。

勉強や娯楽の合間(笑)に作った処女作のため読みにく、お目汚しかと思いますが読んで頂ければ幸いです。

感想、批判もしてくれると励みになります。どしどし待ってます。


追伸 豆腐メンタルなんかじゃないので、感想待ってます。(震え声)


プロローグ

「蓮太郎くんはこんな話を聞いたことがあるかい?」

 

蓮太郎と呼ばれた少年は苦い顔をして、コーヒーの入ったビーカーを手に取る。

 

「あんたのそのもったいつけたしゃべり方はどうにかなんねぇのか?」

「よく言われるよ。まぁ、きいてみたまえ。話というのは都市伝説。所謂、人が紡ぐ噂という奴だ。」

「先生、人と話せるのか?」

「君は私を何だと思ってるのかね」

「引きこもりの死体マニア」

 

蓮太郎はコーヒーを啜る。

 

「それはさておき」

「そうだな。話が進まねぇ」

 

逃げたな、先生。

 

「その都市伝説というのは、IP民警序列最下位の噂だ」

 

続きをどうぞと、蓮太郎は目で答える。

 

「民警序列は強さを数値化したものだと言って差し支えない」

「まぁ普通はそうだろうな」

「しかしその都市伝説はねぇ、最強の民警は常に数が変化する序列の最下位から決して動かない一組のペアだと謳っている」

「それはない」

 

蓮太郎はやや辟易しながら、強く否定する。期待してた訳ではないがここまで拍子抜けの内容だとこうもなろう。

 

「そもそも序列は勝手に決められるものだろ?……それに最下位にずっと甘んじる理由もないしな」

 

菫は面白そうに微笑む。

 

「やはり君もそう思うか。私も同意見だよ。付け加えるならば、人は名誉欲を持つ生物だ。最下位であり続ける人間がいるならばそれはもう、ヒトではないだろう」

 

蓮太郎は逡巡して口を開く。

 

「先生、なんでこんな話したんだ?」

 

蓮太郎の知る限り彼女は人の意見に耳をあまり傾ける人ではないと思っている。今回の様なことは初めてだ。

 

「実はこの都市伝説、続きがあるらしいのだよ」

「続き?」

 

蓮太郎の表情を楽しむように菫は話を続ける。 

 

「『完璧の答』《パーフェクトアンサー》という名前を知っているかい?」

「いや、知らないな」

 

蓮太郎は素っ気なく答える。

 

「やはり民警にも知られてないようだね。この二つの都市伝説はネット上で流行っているんだ」

 

おどけた菫を蓮太郎は真剣な瞳で見据える。この都市伝説とやらが本当なのかどうかを。

現代の情報はかなり錯綜している。そのため、多くの偽の情報の中に嘘みたいな真実がまざっているということもしばしばあるのだ。

 

「パーフェクトアンサー、名は体を表すとは言ったものだね。男かどうかわからないが、彼は任務達成率は100%。どんな難しい任務でも必ずこなして帰ってくるそうだよ。故につけられた名前が『完璧の答』」

「マジかよ、どんな依頼でもなのか?」

「あぁそうらしい。暗殺からガストレアの撃破、犬の散歩までやってくれるらしい。でも、少々値ははるようだがね」

「で、都市伝説の結びはこうか……序列最下位と『完璧の答』は同一人物である」

「君はどう思う、蓮太郎くん」

 

蓮太郎は目を閉じる。依頼ならば人殺しすらもする。そして、依頼達成率は100パーセント。そんな夢物語があり得るのだろうか。そんな絵に描いたような人々の理想があり得るのだろうか。蓮太郎は久しぶりに真剣に思考する。

 

「……先生、俺にはわかんねぇ。けど、もしもいるのなら会いたくはないな」

「そうだね。狙わられたらたまったもんじゃない」

 

菫は笑うが、蓮太郎は苦笑することしか出来ない。

 

「もうこんな時間だし、今日は帰るよ。延寿も待ってるだろうし」

 

話の区切りが良かったので、蓮太郎が時計に目をやると時刻は夕食時にさしかかっていた。

 

「ふむ、付き合ってくれてありがとう。延寿ちゃんにもよろしく伝えてくれ」

「あぁ」

 

蓮太郎はドアに手を掛ける。

 

「完璧の答に狙われないように気を付けたまえ」

「……あんたこそな」

 

外に出ると日が落ち始めていた。蓮太郎は歩き始めるとドンと黒い物体とぶつかる。

 

「ああっ、すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんほんとすみませんこんなところ歩いてるから悪いんですよね死んだほうがいいですよね今ビルから飛び降りて死んで詫びてきますからどうかゆるしてください」

 

ぶつかった直後だというのに怒涛の勢いで謝る黒い物体もとい黒いローブ。かろうじて分かるのが声が男だということと身長があまり高くないということだけ。他はローブを深く着込んでるせいでよくわからない。あまりにも不審なこの男に蓮太郎は一瞬警戒するが、いかんせん言ってることが残念すぎて面食らってしまった。そのため、

 

「それでは行ってきますので」

「待て待て待てっ!!行かなくていいからっ!」

 

無駄に行動力が高い黒ローブを焦って止めることになった。

 

「いえいえ、そんな訳にはいきませんから!」

「何でそんな乗り気なんだ……行かなくていいって。俺も不注意だったし、気にしてないから。なんか悪かったな」

「そ、そうですか……」

 

やっと落ち着いてくれたらしい。蓮太郎も一息つく。

 

「そういうわけだから、気にしないでくれ。悪かった、すまん」

「いえ、こここ…こちらの不注意ですので、ほんとすみません」

 

深々と頭を下げる黒ローブ。怪しさMAXの人物なことに変わりはないのだが、どうにもこの男を憎むことが蓮太郎は出来なかった。

 

「で、では、失礼します」

 

再び黒ローブは頭を深くさげ、そそくさとビクビクしながら歩いて行った。彼を目で追っていた蓮太郎も再び家路につく。

 

「世界もまだまだ広いな……」

 

蓮太郎の呟きは黒ローブの彼にも届かず、夕焼けの空に霧散した。

 




うーむ。思っていたより文字数が少ない……

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