デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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……主人公が琴里もびっくりするバーロー並みの頭脳でごめんなさい


Kの戦略/ファーストコンタクト

Area 学校

 

現在、士道はインカムを着けて廊下の中を歩いていた

 

「……ったく、なんであいつらを口説かなくちゃいけねーんだ」

 

士道は、数分前のことを思い起こした

 

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「本番、精霊が出現したら、君は小型のインカムを忍ばせて、こちらの指示に従ってもらうことになる」

 

そのことに、フィリップはストップを入れた

 

「ちょっと、待った………確かに受け身のほうが話を作るのは楽かもしれない………だけどそれだと彼の本領を発揮しない」

 

令音はフィリップの言葉に興味深い顔でメガネを正しフィリップの話を聞く

「ほう……」

 

「……あくまでアドバイスでとどめたほうがいい 士道は「操り人形」になることは嫌いだからね」

 

「……確かに…その考えを考慮していなかった………琴里には話をつけておくよ」

 

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フィリップのお陰である程度自由が効くようにはなったが、このハエのような小型カメラといい、監視されているような気がしてムカつくが………精霊相手にはそこまで必要だろう

 

『……落ち着きなさい、これは訓練よ、しくじったって死にはしないわ』

 

インカムから琴里の声が聞こえるが 妹の癖に社会的権利とかド無視しているのは生意気だ

 

「目標、発見」

 

目の前にクイーンとエリザベスが二人横に並んでともに歩いていた

 

『士道、とりあえず、自然に話してさりげなく褒めるのよ』

 

「ああ…」

 

エリザベスが士道の姿に気付き、近づいてくる

 

「あっ、シンちゃんじゃん!」

 

「仕事はどうしたの?」

 

現在は、放課後 緊急の依頼がないと言えど普段ならば事務所にいるはずだ

 

「いや、ちょっと、散歩をな…そういえば、エリザベス、アクセサリーを変えたか?」

 

「よく気づいたね!」

 

「似合ってるんじゃないか?」

 

「シンちゃん、分かってるじゃあなーい!なあに?褒めても情報は出ないよ?」

エリザベスは、わざとらしく照れ臭い顔をして士道の背中をバシンと叩く

 

「ちょっと、シンちゃんの様子、可笑しくない?普通は、私達が誘わないと、効率を求めて要点しか話さないじゃん?」

 

クイーンの女性の勘が士道をビクリとさせる

それを落ち着きながら琴里は対応する

 

 

『……ごまかしなさい』

 

「……あ、ああ、たまにはいいだろ?単純に会話するのも」

 

クイーンは疑いの眼差しを士道に向けるが、エリザベスは全然気にしていないようだ

 

「そうだ、今度、パフェでも奢ろうか」

 

「キャー、嬉しい!」

 

エリザベスは、感激の笑顔で純粋に士道の誘いを引き入れるが、クイーンはため息をはく

「はぁ………シンちゃん?無理しないで本当のこと話したら?」

 

クイーンは、目立たないように飛んでいたはずの小型カメラをブチりと潰してしまう

 

カメラが切れてしまった琴里達は緊急事態だと考えて三人はあわててしまう

 

『……これは不味い……』

 

『いや、彼女らに下手に隠すよりは教えたほうがいいだろう…ドーパントのことも知っているから、下手に言いふらすよりは………』

 

『確か、情報屋だったわよね……それなら、むしろ、クルーとして引き抜きましょう?フィリップ……二人をこちらに連れてきなさい』

 

フィリップが椅子から立ち、そのまま走っていく音がするのがインカム越しに聞こえる

「ねぇ、どうなの?依頼に関係あるの?ないの?……そんな変なシンちゃんにさせたのは何処のどいつ?」

 

「二人とも!落ち着いて!これには深い訳があるんだ!」

 

エリザベスとクイーンと士道の間にフィリップが入り込み、仲裁をかける

 

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Area 物理準備室

 

事情を士道、フィリップ、令音から聞いたクイーンとエリザベスは落ち着き、エリザベスは逆に新しい情報が手に入って興奮する

 

「……精霊、まさか都市伝説は本当だったのね……あと、シンちゃんも仮面ライダーだってこと」

 

「マジ!?私達の知らないところでこんなことを起きるなんて………」

 

フィリップは、話を一通り終えた後、息を一息して二人に質問する

 

「……そこで、君たちにお願いがある この士道を………女性の気持ちを鷲づかみするテクニックを教えてほしい………願わくば、フラクシナスクルーになってほしい」

 

「……いやならいやで構わない……多少の記憶操作を施す必要があるが」

 

令音は、二人に対して威圧の眼差しを受けるが、二人はここで引き下がるわけにはいかなかった

 

「分かったわ……シンちゃんのため………しかも、それが空間震を止めることができるなら」

「私達がこのシンちゃんをゲキヤバのチャラ男にできることなんか大したことないでしょ!」

 

それを聞いた琴里はほっと息を吐いた後、真面目な顔になり、チュッパチャップスを舐めつつ話す

 

「……助かるわ……クイーン、エリザベス……早速命令するわ…士道に女性を口説かせるテクニックを教えなさい!」

 

「了解、小さな司令官さん」「イエッサー!」

 

すると、クイーンとエリザベスは士道の両腕をガシッとつかむ

 

「ちょ………お前ら何を」

 

「士道………逝ってらっしゃい?」

 

琴里は、手を振りながら士道を見送ると、二人は士道のことを連行するようにずるずると引きずって行った

「離せ!……た、助けて…相棒」

 

「……すまない……これは必要経費だからね…それとちょっと作るものができたから、忙しいんだ」

 

フィリップも令音と一緒にクイーンとエリザベスに連れていかれる士道を暖かい目で見送る

 

「うあああああ!!」

 

あの後、家に帰ってきた士道の体は精神、身体共にボロボロとなって帰ってきた

 

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Area ガレージ

 

「……うーん…やはり士道の目に合わせるとなると面倒だなぁ…」

 

フィリップの目の前には壊れた小型カメラと小さなコンタクトレンズが置いてあった

「やっぱり、あのカメラだけだと心もとない……やっぱり、士道視点のカメラも必要だ」

 

フィリップは、レンズを覗かせ、小さなアームでコンタクトレンズを構成していく

 

「……精霊か……」

 

フィリップは、とある透明な箱を取り出すとそこには、ギリシャ文字の数字で描かれたメモリーがあった

 

このメモリーは、イレギュラーであり、普通のガイアメモリは色があり、アルファベットが書かれるはずのメモリだが……

 

このメモリは今までなかった「数字」が描かれたメモリであり、ただ一つを除いた殆どの番号は透明なガラス色をしたメモリだった

 

フィリップは、唯一、赤いクリスタル色をしたメモリを取るとその番号は……5

「……このメモリを使う時が………来るかもしれないね」

 

フィリップは、それと10の番号のメモリを懐に入れると作業を続けた

 

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Area 学校

 

「いやー、完璧っしょ!」

 

「そうね、少なくともトップ3に入れるレベルには上がったわ」

 

「……つ、疲れた………」

 

士道は、げっそりした顔になり机の上に倒れこむ

女性の心の端から「恥」までハードボイルドな性格の士道には似合わない色々なテクニックを外出しつつもマスターした

 

今なら、最適なデートプランをフラクシナスなしで瞬時に1日分組み上げられるくらい、デートスポットをここ一体全て把握した

 

それを1週間ほどだ

 

やる気になればいつでもハーレムを打ち上げられるだろう

 

ウウウウウーー!……

 

『士道、空間震よ 一旦フラクシナスへ戻りなさい』

クイーンとエリザベスのインカムにも連絡が響き渡る

 

「噂にすれば………ね 行きましょう」

 

士道、クイーン、エリザベスは令音と共にフラクシナスのブリッジへと向かっていった

 

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Area フラクシナス

 

「士道、早速動いてもらうわ………っとその前にフィリップ」

 

フィリップは琴里の隣に並び、コンタクトレンズを士道に差し出す

 

「これは…?」

 

「……まあ、まずは着けて見てくれたまえ」

 

士道は、ためらうことなく左目にコンタクトレンズをつけるとディスプレイが展開される

 

まるで、どこかしらに出てくるアニメのスカウターみたいな表示だ

すると、見える人のとなりに赤いメーターと青いメーターが現れる

 

「赤いメーターが好感度だ、そして青いメーターは霊力値だ」

 

「……その赤いメーターが7割を越えないと封印ができないわ

そして、青いメーターは過剰霊力……つまり精霊が精神が不安定になればなるほど高くなるわ………

青いメーターを注意しつつ赤いメーターを上げるのよ

その他の機能はインカムを通じて教えるわ」

 

琴里はそこまでいうと、リボンを閉め直し、チュッパチャップスをとりだし舐めつつ、艦長席に座る

 

「シンちゃん!ファイト!」

 

「おう!」

 

エリザベスが応援しているのを士道は手を掲げつつ、自分の仕事用の黒い帽子を片手で被り転送ポートへと向かっていった

 

「……他の皆も、頼むわね!」

 

琴里が椅子から大声でいうと、他のメンバーがおー!と合図する

 

フィリップはクルー全員を一人一人吟味しながら、うーん………と唸りをあげる

 

「……どうしたんだい?フレ」

 

「いや、このクルー全員のことを検索してみたのだが……恋のこととなると不安を覚えるね」

 

「フィリップ、どういうこと?」

 

クイーンが軍服をしっかりと着ているが、髪やアクセサリーでギャルらしさが消えていない

 

「……いや………四回離婚していたり、恋のライバルを呪いで落としたり、二次元の嫁しか持っていなかったり、お金にしか魅力がなかったり、ヤンデレすぎる人とかね」

 

そのクルーを聞いたクイーンは少し目眩がして、倒れかけるが、フィリップがそれを支える

 

「……私達で頑張りましょう フィリップ」

 

クイーンは、手を頭にのせ、やれやれと首を密かに震わせていた

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Area 学校

 

「まさか、学校が空間震に合うとはな………出会いの場としては上出来だが」

 

帽子を被り直した士道の転送場所は学校だった

やはり、空間震の影響でそこらへんのものがなくなっている

 

「こりゃあ、学校は休校だな………とコンタクトの座標情報は便利だな」

 

中央には自分の位置、青が精霊、赤がAST そしてイレギュラーは点滅した黄色で表示される

 

近くにASTがいないことを確認すると階段をかけ上がり、座標の位置へと向かう

 

『ラッキーわね、士道、CRユニットはWとは違ってある程度のスペースが必要だから室内戦闘に向いてないわ』

「……精霊は、教室の中にいる……確かにラッキーだな……ん?ここは俺のクラスか」

 

士道は、一応マナーであるため、コンコンと教室のドアを叩く

 

しかし、物音がない……警戒しているのだろうか

 

「……入るか」

 

士道は教室の中に入ると……偶然なのか、士道の机の上に綺麗で不思議なドレスを纏った黒髪の少女が座っていた

 

夕日に照らされた彼女はより一層神秘性を増し、強調する

 

こちらに気づいたのだろうか目を完全に開いてこちらを見てくる

 

「っ!?」

 

士道の頬を掠めて黒い光線が通り抜けていった

 

そしてそれは、教室の壁やドアを容易く貫通していった

 

『士道!?』

 

琴里の声が鼓膜が痛いほど震わせる

 

彼はすでにこのようなことは、ドーパントに慣れている……これぐらい問題はないゆえに

例え、彼女の指から先程のレーザーが出てきたとしても……

 

Butterfly

 

士道が蝶に疑似メモリを差し込むと蝶がパタパタと動きだし、士道の前に巨大なシールドバリアが張られる

 

「待て、俺は敵じゃない!撃つのをやめろ!」

 

すると、それきり光線が士道に向けて撃たれなくなった

 

『……見たところ、迎撃準備はしてないわね…逆に時間を空けて機嫌を損ねるのも良くないわ……いきましょう』

 

士道は、まっすぐ、少女の元へと歩く しかし、ある程度近づくと少女が再び光線を放つ

 

「止まれ」

 

士道は、その場に止まると少女は上からしたまでなめ回すように見つめる

 

左目のモニターは青い霊力メーターは高い状態であり赤い好感度メーターはまだ動いていない

 

「俺は……」

 

『待ちなさい』

 

士道のコンタクトレンズモニターには、選択肢が表示されると フィリップから捕捉が入る

 

『これは、精霊の精神が不安定になったときに表示されるモニターで、フラクシナスのAIが対応パターンが出てくる……どれかを行動に移せば好感度が上がるだろう』

 

見ると左には選択肢が表示され、右にグラフチャートが表示され、琴里がクルーを指揮している声が聞こえる

 

1、俺は五河士道 ……鳴海探偵事務所の探偵だ

 

2、通りすがりの一般人です やめて殺さないで

 

3、人に名を訊ねるときは自分から名乗れ

 

すると、右のグラフチャートにパーセンテージが表示され、一番多いのは三番……しかし、一番番号はフィリップのイニシャルである「P」の文字が輝いている……

 

(……なるほど、相棒は1か……)

 

『殆んどが私と同じ、3のようね』

 

インカムの通信機越しに琴里が神無月が理由をつける

 

『二番は論外だね、万が一この場を逃れることができたとしても、それで終わりだ』

 

続いて、令音が通信越しに声を発してきた

 

『そうね その点3は理にかなっているし、上手くすれば会話の主導権を握ることもできるかもしれないわ』

 

しかし、その意見に士道の予想通り、フィリップは一人、反対する

 

『果たして、どうだろうか………士道なら1を選ぶと思うよ?』

 

『……フィリップ、反論があるなら言ってみなさい』

琴里は、意外な顔をしているのだろうか、フィリップに一番の選択肢の理由を聞く

 

『……まず最初に、確かに一般人ならば話の主導権を握れるかもしれない…』

 

『へぇ…それで?』

 

『……だけど相手は「人間そのもの」を信じていない……恐らくASTも名前を名乗らないで攻撃してきたのだろうから、あえて名乗ることで、その裏をかく……すると、彼女の人間不信に亀裂が出てくるかもしれない』

 

『他にあるの?』

 

琴里は、納得するような顔をして腕を前に組ませて考え直す

 

『1回目の戦闘時に、僕達は名刺を渡した……あえて職名を名乗れば、W=士道が彼女の脳内に完成し、自分を守った人物だと思わせられる……』

 

そして、フィリップはインカムマイクをつけているから小声でも士道には聞こえている

 

 

……恐らく最後の理由は琴里にだけ伝えたのだろう

 

『そして……本棚の検索の結果……彼女には「名前がない」』

 

そのことを聞いた琴里は目を完全に開いて驚いて、その後、自分の過ちに気づいた時にチュッパチャップスをガリッと噛ませ、自身を責めていたのが思い浮かべる

 

『気が変わったわ……普通に名乗りなさい……』

 

「ああ」

 

「もう一度聞く……お前は何者だ」

 

士道は、迷いもなく一番を選択し自分が名乗るときの癖である帽子を被り直す

 

「俺は、五河士道……鳴海探偵事務所の探偵だ」

 

その言葉に少女をカッと目を開く ……最後に消えるときに貰った名刺を読んでいたからだ

 

「五河……シドー……!前に貰った写真の人とそっくりだ…」

 

「……ああ、俺が、あの仮面ライダーの変身前の状態だ」

 

少女は、少し戸惑っているが、警戒心は少しずつだが解いているようだ

証拠に少しずつ、好感度が上がっている

 

『ナイスよ、フィリップ……助かったわ』

 

『当然のことさ』

 

ただ、少女は不思議に思った……どうして、戦える状態になって自分に近づいてくるのだろうか

 

「では、なぜお前はあの姿にならないのだ?」

 

士道は、はぁー…とため息をした後手をすくめる

 

「おいおい、あれはお前を殺すものじゃあないんだ………殺す気はゼロさ……」

 

少女は、もの問いたげな視線で士道の顔を見つめたあと、口を開く

 

「そうなのか……?」

 

「当たり前だ」

 

「私が会った人間達は、皆私は死なねばならないと言ってたぞ?」

 

「……あんなのは馬鹿が言ってる戯れ言だ、無視しろ」

 

 

少女は、何も答えずに手を後ろに回し、半眼で口を結ばせる

 

「では、聞くが……私を殺すつもりがないのなら、お前は一体何しに現れたのだ?」

 

士道は、選択肢が左目に現れるがグラフが現れる前にノータイムで選択する

 

「……君に会うためだ」

 

「私に……?何のために?」

すると選択肢が3つ目の前に現れると躊躇せずに選んでいく

 

「君に聞きたいことがある」

 

『ちょっと士道!?慌てすぎよ』

 

『……いや、わざわざこちらとあちらの通信ラグを毎回待つわけにはいかない………それに……探偵として、彼は疼くのじゃないかな………』

 

『探偵として………?』

 

琴里は、やはり一年前の士道しか知らないようだ

それは、仕方ないとフィリップは考える

 

フィリップと士道は、偶然なのか、同じセリフを少女と琴里に話す

 

「『どうして、お前は笑わない?』」

 

士道とフィリップは、同じタイミングで話したことに琴里はへぇ……という感心の声をする一方、

少女は意味が分からないと眉を潜めた

 

「……どういう意味だ?」

 

「単純な話……お前はこの世界……いや、この町の姿を知らないようだな………ここは、そんな顔をした連中がゴロゴロいない

 

……俺は正直、この町にそんなやつらの顔を見たくはねぇ」

 

 

「……それは……何を言っている?」

 

……士道は、ここまで口にしてやっと理解した……自分と共に苦や喜びを分かち合うやつがいなかったことを

そして……孤独なたった一人の皇女を助ける唯一の「キーワード」を口にする

 

「分からねえのか!……俺は!そして、この町は!お前を「否定」しない!」

「……っ!!」

 

その言葉に少女は眉を寄せ、士道から目を反らした

 

赤いゲージが少しずつ上がっていることに、フラクシナスクルーは歓声を上げたのだった

 

……しかし、フラクシナスクルーは、失念していた……

 

「……ああ、早く出撃命令でねーかなぁ…」

 

そこには、尖った文字で書かれた「E」の文字をCRユニットの中にしのばせていたいたASTメンバーのことを………


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