デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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タイトルはネタバレ防止でやるため結構適当だったりします。
あと、少し改稿のところで設定を若干変えました。まぁ、別に読まなくても差し支えはないですけどね。クロスのほうは順調にかけているらしいですが......果たしてどうなるんですかね?(他人事)



Fの残光/狂い、狂えど、満たされぬ

Area フラクシナス

 

「令音さん、真那の様態は?」

 

「あぁ、何とか医療用リアライザで一命をとりとめたよ」

 

士道は治療室内部で医療用のリアライザやチューブなどといったたくさんの医療機器が

繋がれていた令音は隔離されているショーケースの向こう側でフラクシナスの医師が

何人かが世話しない作業を行っている

 

「フレの様子はどうだい?」

 

「あいつは慣れていないデートだったのか上の空でした。早めに寝かしつけました」

 

「ふむ......君には言っても差し支えないか」

 

令音は少し悩んでいたような素振りではあったものの、首肯して自分の資料の

ファイルをペラペラとめくりつつも真那のバイタルデータとされる項目を

ぺラリとめくり上げる

 

「シン、見てほしいものがある。先日、琴里が私に高宮真那のDNA鑑定を頼まれた」

 

「で、どうだったんです?」

 

「DNA鑑定は君の妹して間違いない。だが、これを見てくれ......」

 

令音は極秘と印鑑が押された資料をめくり上げると真那のDNAデータの

次のページがめくり上げる。その部分に脳波の検査結果などといった

戦闘スペックの詳細。つまり顕現装置の操作するにあたっての体組織の

改造具合によるものだ。

 

顕現装置は、完璧ではない。顕現装置のコアの演算処理機能は今でも

研究中であり、仮面ライダーセフィラの顕現装置の演算処理機能が

高いのは、精霊自身の霊力の制御は精霊本人ができる。そこをフィリップ

の助力で霊力の火力を顕現装置で増幅させているため、

一から作る一般の顕現装置よりコアの負担が断然少ない。

だから、顕現装置側のコントロールはAIで追いついているのである。

仮に一般人がセフィラを使うとなると出力が全然足りない、

誰でも自在に飛べるだけの現代版タケ○プターとなってしまう

 

フラクシナス側の顕現装置はセフィラの研究によりかなり発達したと言えるだろう

しかし、DEMなどといった他の会社と違う。コアの演算処理能力を超えた

強力なものを使うには脳波を増幅させるための改造手術が必要である

 

「なんだよこれ......!?」

 

見てみると、脳だけでなく脊髄や多くの神経に強力な魔力処理が施され

多数の箇所が改造されているのを確認することができた

士道は苛立ちを抑えきれずつい、大きな声をあげてしまう

 

「......彼女が精霊とまともに戦い、ドーパントとなんとか戦闘

をすることができたのはこのためだ。このままだと寿命が大きく

削られて長く生きられないだろう」

 

「DEMか......!あの腐った頭の連中め!死人までの

手まで借りて何がやりてえんだよ!」

 

「落ち着きたまえ、ここは病室だ。こうなった以上、医療班は全力で治療する予定だ」

 

令音が士道の肩を少し強めに掴むと士道は令音のほうをみる。ギリと奥歯を噛み

腕をプルプルと振るわせていたDEMに対して怒りを持っているのは

士道だけではなかったようだ

 

「令音さん.....すみません」

 

「いいんだよ。それが普通の反応だ。親族ならなおさらだ。琴里にもこの結果を

伝えなければならない。私はこれで失礼する」

 

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Area 学校

 

次の朝、フィリップは狂三が下駄箱の中の上履きを取ろうとしているところ

に目を付けた。しかし、死んだ少女が何事もなかったように登校

している姿にはフィリップはかなり違和感があった

 

「あら、フィリップさん御機嫌よう」

 

狂三はフィリップの姿をみて昨日とほぼ変わらない姿で微笑してペコリと

お辞儀をする。しかし、このような事態は昨日や今までであったこと

フィリップは静かに挨拶をする

 

「......おはよう」

 

「昨日は楽しかったですわね。またぜひ誘ってくださいまし」

 

「でも、少し驚きましたわ。てっきりフィリップさんはお休みになる

と思っておりましたわ」

 

狂三はフィリップに昨日とも変わらない笑顔を送っていた。フィリップは

それを見た後に少し目を細めた狂三にトーンを少し落として真面目に話した

 

「......狂三。僕は君のことを救いたい」

 

「それは......本心ですの?演技ですの?」

 

「昨日のデート、君とのデートは僕にとって楽しかった。それは感情論の

押し付けなのかもしれない。でも、君のその笑顔は今日の嗜み程度の

笑顔ではなくて、心の底から笑顔になっていたと思えてならない!」

 

「.......おかしなことをおっしゃいますのね。貴方らしくない」

 

(そんな顔、本当の狂三お姉ちゃんじゃない!!)

 

少年のそのような姿が狂三の頭の中からよぎって離れられないがフィリップは

さらにフィリップらしくない感情に身を任せて狂三に声を出す

そのような切り捨てたはずの昔の記憶が狂三の中からえぐられるように響く

 

「記憶の中に残ってはいないが、なぜか君は優しいということは知っていた。

君が例え何をしようと、力づくでも君を止め、救って見せる!」

 

狂三は少し眉をひそめて何かを考えた後に唇をゆっくりと開いた

 

「......そこまでおっしゃるのであれば、わたくしにも考えがありますわ。

今日の放課後......屋上に来てくださいまし」

 

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Side 士道

 

時は放課後、俺はフィリップのデートを邪魔させないように近くの問題の

ありそうな生徒をはける役割を持った。しかし、昨日の今日である

いつフィリップに奇襲をかけるか分からない

 

「なぁ、シドー、今日もフィリップのデェトを手伝うのか?」

 

「あぁ、だがあいつは何しでかすか分からないからな......

フィリップの尾行を.....」

 

頼んでくれるかという前に、突如未だに日が昇っているはずの外の光景が

禍々しい紫と赤の入り混じった天気へと変わりはじめる。すると俺の体に妙な不快感

とダルけが襲い掛かってくるのだった

 

「!?こ.....これは......!十香、大丈夫か!」

 

「あぁ、何とかな......だが、どうも体が重い」

 

十香は霊力が封印されているのか、症状は俺よりも重いらしく窓の淵に

もたれかかって、支えている状態だった

俺はフィリップを心配し、ダブルドライバーを取り出すとフィリップに連絡をする

 

「フィリップ!大丈夫か!?」

 

[あぁ、なんとか大丈夫だ。恐らく、霊力の類を吸収しているのだろう]

 

[フィリップの予測は正解です。これは時崎狂三の放った通称、時喰みの城

と呼ばれる結界です。封印されていない影響か、所々が読めませんが

文章からの推測上、人を殺す以外でのザフキエルの霊力回復手段だそうです]

 

「つまり、大人数の生命力を取っているのか......!フィリップ、変身だ!

急いで狂三を止めないと」

 

Joker

 

幸い、周りの人間は生命力を奪われたのか、一時的な冬眠のような状態に

なっている人達が多いらしく学校の場でも変身が可能だった

俺はジョーカーメモリを鳴らすとジョーカーメモリをスロットに入れる

 

Cyclone

 

フィリップもサイクロンメモリを鳴らしたその時だった。

 

「だ・めですわよ」

 

その時だった、狂三の分身体とアームズドーパントが影の底から

現れる。すると、分身体が握っていたのは気絶している殿町の

腕だった。そしてアームズは殿町のこめかみに銃口を向ける

 

「士道さんと十香さんが大人しくついてきてくださったら、殿町さん

......でしたっけ?彼は殺さないで差し上げますわ」

 

「ちっ.....分かったよ......」

 

「ぐぬぬ......卑怯な......!」

 

俺と十香は仕方なく降参を示す両手をあげる。狂三の分身体はそれを

確認すると殿町を床にドタと適当に落とした後、ロープを取り出して

俺と十香の手首を縛り上げ、屋上のほうに連行されてしまった

 

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Area フラクシナス

 

フラクシナスにおいては士道が捕まるという大変な事態が起きていた

 

「はぁ、はぁ、だーりん!?」

 

学校が終わった後、すぐにフラクシナスに転送された美九と四糸乃は

驚愕した顔でフラクシナスのモニターのほうに目を向ける

 

「士道......さん」

 

[あっちゃー、それはかなりヤバいんじゃないの?]

 

電磁浮遊しているよしのんは手を口にして冷や汗をかいているような

モーションをするそれに対する令音はあまり慌てていない

 

「あぁ、琴里が急いでセフィラドライバーを持って下のほうに降りて行ったよ」

 

「でもぉ、琴里さんだけで大丈夫なんですかぁ?」

 

「......これを見てほしい」

 

令音がモニターを広げると、学校の校舎前に何台かヘリと車がその場で止まっている

見ると結界内部に入れないらしく、AST隊員はパイルドライバーやレーザーブレイド

手榴弾などといった武器を放っているがびくともしない

それを二人が見たのを確認すると令音は続ける

 

「数分前、霊力反応があってASTも救援に向かったが、この通り通常の武器だと

うんともすんとも言わないそうだ。そして、戦闘慣れしている十香ですらこのざまだ。

琴里は無理やり結界を突破するつもりだが、仮に君たちが内部に入っても足手まといに

なるだけだろう」

 

それを聞いた美九が大きな声で叫ぶ

 

「そんな......じゃあ見てろってことですか!?」

 

「......琴里と彼らを信じよう」

 

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「っ......!?か、体が......!」

 

「これは......!」

 

時喰みの城の結界効果を受けた折紙と美紀恵はその場で脱力感に襲われる

美紀恵はこの結界に入った瞬間、急に脱力感に襲われ、倒れてしまう

折紙はその強靭な精神力で気合で立ち上がっている状態だ

 

「ミケ!大丈夫!?」

 

「は....い。すみません、おりがみさ....ん」

 

そういった美紀恵はそのまま場に倒れてしまう。折紙は美紀恵の持っていた

鞄を漁るとロストドライバーとスターライトメモリが現れる

折紙はその二つを迷わず取るとベルトを装着させる。しかし、スターライト

は折紙との相性は良いわけではない。

 

(シュラウドはベルトとメモリを今月中に開発すると言っていた.....けど!)

 

Starlight

 

(士道が危ない)

 

スターライトメモリをドライバーに差すと、ただでさえつかれている折紙の体

に大きな負担となり電撃が体中を駆け巡る

 

「変.......身っ!!」

 

そう叫んだ折紙は気合の叫びと共に無理やりスターライトメモリを下した

 

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Area 学校

 

「士道!.......士道!」

 

必死にダブルドライバーに向かって叫んでみたものの応答がなかった

その後、放送室からであろうか聞き覚えのある声、狂三のアナウンスが

聞こえる

 

[フィリップさーん?早くしないと士道さんと十香さんを丸ごと食べて

しまいますわよぉ?]

 

[来るな!!フィリップ!来たら俺達のコンビもそこまでだと思え!]

 

[はーい、すこし黙っててくださいまし]

 

[ぐああああああああ!]

 

[シドーぉぉぉ!?]

 

士道の苦痛を耐えるような叫び声と十香が士道を思った、叫び声がこだま

してスピーカーから反響した士道は来るなといっているが、彼女はビギンズナイト

でも証拠隠滅のために放った空間震がある。おそらく、精霊なのか自由自在に

発生させることができるらしい。それをされてしまったら生徒全員が避難できない

今、どうすることもできない

 

すると、目の前に恐竜......ファングメモリが現れる

 

「Gsyaaaa......?」

 

「......」

 

フィリップはそのメモリを見ると否定したくはなるが、士道を救う手段として

封印以外の手には必要となってしまう。士道が変身できない今、動けるのは

自分しかいない

 

「デートプランは動きながらたてろ......か。いいだろう」

 

フィリップはファングメモリに顎で指示をするとファングは一足先に

廊下の奥......屋上へと続く階段のほうへと昇って行ったのである

 

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Area 屋上

 

屋上はまがまがしい空によって一見殺風景な場所から奇妙な異次元空間

へと場所が変えられている。そこに士道と十香は縄で縛られていた

しかもご丁寧に影から生えた腕ががっちりと足を掴んでいるため

身動き一つとれなかった

 

「なぁ......シドー、これから私達はどうなってしまうのだ?」

 

「あいつは多分、俺達とフィリップを捕食するつもりだ。

そうなったら最後、霊力と知識を持った最強の精霊になる」

 

「そんな......どうしたらいいのだ」

 

「ファングがあれば......」

 

十香が小声で聞こえない程度に士道に話すと士道はファングメモリのことを

つぶやいた。十香はビギンズナイトのことを聞いているのでファングの

話は聞いているが実際どういうものなのか聞かされていなかったのである

 

「その最初に変身したときの次の変身だな?あれってどういう特徴なのだ?」

 

「ファングは普通のメモリじゃない。ガジェットやよしのんのように意思を持つ。

ただでさえ検索にはまると暴走するだろ?ファングはフィリップの何かを失わせる......」

 

「暴走......か」

 

「下手するとフェアリーメモリ以上の能力を持っている。

それが暴走したら......もうWじゃない」

 

すると、屋上からフィリップがドアをバン!と勢いよくあけた

制服にはうっすらとだが汗をかいているみたいだ

 

「フィリップ!?」

 

「絶交なんて勝手にしたまえ......させないけどね」

 

そのように大きな声で叫んだフィリップは霊装を纏った少女、狂三と対峙する

 

「ふふ、どうでしょう?この時喰みの城は......わたくしの影を踏んでいる方

全ての時間を喰らうんですわ」

 

「すでに、検索済みだ」

 

その証拠にフィリップは右目を確認すると時計がかなり早いスピードで逆回転

をしている。急がないと生徒全員の寿命がどんどん削られてしまう

 

「まぁ、わたくしが貴方を食べることは簡単なことですわ。でも、

その前に、今朝方の発言を取り消してもらわないと......

二度と救うなどと言葉を口にしないでくださいまし!」

 

「......取り消さない。僕は狂三、士道、十香ちゃん、それでも皆を救う」

 

「まだわからないんですの......!とりけさなければ、貴方は相棒や

大切な仲間を失うことになるんですのよ!?」

 

結界が張られている上、士道達に人質を取られては選択の余地はない

自分が生きることを選ぼうが死ぬことを選ぼうがどちらも同じことだ

彼女はフィリップを喰らいたいだけなのだろう

しかし、ここまでされてもフィリップは珍しく感情に任せている

 

「それは.....断る。僕が士道と相乗りする限り、救うことを諦めるのは

仮面ライダーではない!」

 

「なんなのなら、士道さんに死んでもらわないと分からないですわねぇ?」

 

「ぐっ......!あぁ、そうだ。お前は大きな罪を一生償わなきゃいけない。

だが、例えお前が大きな犯罪人だろうと救ってはいけないという決まりはねぇ!」

 

「減らず口を......おだまりなさい!」

 

「!?......ゲホッ」

 

「シドー!?」

 

「フィリップさん?わたくしが恐ろしいでしょう?恩人を殺して、今度は仲間を殺そうとしている、

そんなわたくしは憎いでしょう?これでも同じことが言えまして!?」

 

狂三は士道の前まで近づくと、足を使って鳩尾に蹴ることで士道を無理やり黙らせる

しかし、フィリップは感情的であっても冷静であった。なぜならば狂三の

表情が崩れ始めているのである。まるで、優しくされたくない野良猫のように。

もう一声の何かが必要だ。それを今、必死にフィリップが考える

 

(彼女が欲しいのは力と......知識。なるほど、両方いないと彼女に

とってなんの価値も持たないのか......いや、それだけじゃない

......完全に僕を警戒......いや、恐れているのか)

 

「なら、こうしよう。もし、君が結界を解き、人質を解放しなければ

......僕は士道と命を絶つ」

 

一瞬、フィリップがとんでもないことを言ったので士道が叫おうとしたがやめる

フィリップの目に迷いはない。完全に気がくるっているわけではないようだ。

狂三本人が一番動揺しているのだから

 

「.......正気ですの?」

 

「あぁ。僕のダブルドライバーにフェアリーメモリを二つ差し込めば確実に

霊力の暴走が始まる。そうなれば、正気を保っていたとしても無事では

すまないだろう」

 

ツインフェアリーメモリは体の負担がとても大きい。それゆえに士道が変身

した試しは一回もない。恐らく即席で作ったハッタリだろう。

フィリップはサドキエルメモリとサンダルフォンメモリを取り出し、その

ままメモリスロットに挿入しようとする

 

すると狂三は慌ててサンダルフォンメモリに銃口を向けてその場に落とす

フィリップの変身を妨げるならば腕を狙うのが鉄則だがあえて道具しか

狙わなかった。サンダルフォンメモリはケースのほうに戻っていったのか

地面に落ちるとこの場から消えていった

 

「信じられませんわ!?何を考えていますの!?」

 

「なるほどね......わざわざ腕ではなくメモリを撃つか......

僕のことを傷つけたくないと見える」

 

「......っ」

 

狂三は困惑した表情をフィリップのほうに向ける

 

「貴女は根っからは優しい人だ。僕の力さえあれば生き抜くために人を

殺す必要も、罪を重ねる必要もない。君は呪いから解放されるんだ」

 

「まだ、それを言いますの......?ありがた迷惑ですわ!」

 

「僕も、そのようなことを、あの夜までは思っていた!僕は今まで

殺人道具生産工場として生き、当時はそれが幸せだったから、君の言うありがた

迷惑だと思っていたから、一度は話を蹴った!でも、士道や鳴海荘吉は

諦めずにそんな罪だらけの僕を救ってくれた!」

 

「......」

 

「今度は僕は君を救う番だ。もう感情を押し殺さなくてもいいんだ。

僕の本音はもう話した!今度は君の本当の気持ちを知りたいんだ。偽りの

ない、優しい貴女の気持ちを!」

 

フィリップは手を伸ばすとその手を取ろうか取らないか迷っている狂三がいる

そのときにはすでに意識していなかったのか結界が解けていき、青い空が

見えるようになった

 

「わたくしは......わたくしは......!本当に」

 

狂三は混乱したように目をぐるぐると回しながらもその手を取ろうとゆっくりと

手を伸ばそうとしていたのであった。しかし、あと数センチといったところで

狂三の腹は一本の白い手刀で貫通されてしまっていた

 

「だぁめですわよ?そんな言葉に惑わされちゃ」

 

「......フィリップ.....さん」

 

「はいはい、分かりましたわ......もうおやすみなさい」

 

そのようなことをいうと、貫通させられた狂三はバタリと倒れ、そのまま影の

中へと溶け込んでいったのである。そして貫通した手は別の狂三であり

姿を現して赤く染まった血を腕で軽く払いのける。先ほどの狂三、否、今までの

狂三とは違う何かがフィリップには感じ取れた。ビギンズナイトの狂三......

つまり本体のお出ましである

 

「本体の狂三......!」

 

「このころのわたくしは少し若すぎたのですわね。決別したての頃だった気がしますわ」

 

「君はどうして......!」

 

「もうまどろっこしいものはやめにいたしますわ」

 

すると、フィリップの足元にも大量の腕が影から生えフィリップの足をがっちりと

固定したのである。喰らうつもりだ

 

「フィリップ!!」

 

士道が大きな声でフィリップに叫ぶがその声は叶わず、狂三はそのまま右手を

頬に触れようとしたそのときだった

 

「GYAAAAAAA!!」

 

「!?」

 

大きな金切り声の叫びをしながらファングメモリは狂三の腕に大きく

かみつくと狂三は痛みに手を払いのける

 

「なんなんですの、この恐竜は......!」

 

「ファング!?」

 

「やはり使うしかないか......」

 

「フィリップ、お前まさかファングを!?」

 

「後悔するなよ。僕は士道ほど器は大きくない。

こうなったら力づくでも君を止める......こい!ファング!」

 

「きひひひひ、貴方だけがそのようなことができますの?

おいでなさい、ザァフキエエエエエル!!そして、ドーパント

軍団たち!」

 

すると、狂三の背後から巨大な時計型、ビギンズナイト以来の天使

ザフキエルが現れる。そしてさきほど人質を取っていたアームズ

ドーパントが現れる。しかも、その背後には分身体の狂三が次々

と現れ、首元のコネクターに別々のガイアメモリをブスブスさして

一見普通の姿ばかりの分身体が一瞬にして軍隊へと変貌する

 

Money

 

Mummy

 

Cockroach

 

Junk

 

Spider

 

Crane

 

「こんなにドゥパントが......!」

 

「おい!ファングになるんだから何か策はあるんだろうな!?フィリップ!」

 

「対策は動いてから立てればいい!!」

 

「......!」

 

そうフィリップの言葉を士道が聞いた瞬間にハッとする

デートは対策は動いて立てればいいとアドバイスしたことを思い出したのだ。

しかし、自分の考えがうつってしまったことに反省をしているが

その暇はない。メモリが変えられない以上、ファングに頼るしかないのである

 

「僕も、君のように理屈なしで戦争(デート)をしてみることにした」

 

「お前......!」

 

「地獄の底まで悪魔と相乗りしてくれ!士道」

 

「させませんわ......!?」

 

ズキューン!

 

するとどこか遠くから狂三の銃を持つ腕を狙撃した。その銃弾は紫色の発光を

しており、再び銃を利き腕で握るには狂三が四の弾(ダレット)撃つほかなかった

のである。狂三は狙撃した人物を把握しているらしく苦い表情をしながらも

しぶしぶと四の弾(ダレット)をもう片方の腕で打ち込む

 

その動作をしてる間に、ファングメモリは恐竜の玩具から恐竜の顔の部分へと

変形し、フィリップはクルリとファングメモリのガイアウィスパ―を鳴らした

 

Fang

 

差されたままであったジョーカーメモリがフィリップのダブルドライバーへと

転送され、転送された後にフィリップがジョーカーメモリを装填させる

と同時に士道はこの場で糸が切れるように気絶をする

士道がいきなり気絶したので十香は驚いて士道のことを叫ぶ

 

「シドー!?」

 

「変身!!」

 

Fang Joker

 

「うわああああああRRRRRRR!!!」

 

風が吹き荒れるとフィリップはその体を変貌させとげとげしい赤いアイレンズを

もった白と黒のW、ファングジョーカーへと変身を遂げたのだった

 

 

 


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