デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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Fの幻影/それぞれの見える光景

Area 廃墟(現在)

 

「君の罪は勝手な決断をしたこと、僕の罪は決断をせずに生きてきたことだ」

 

「フィリップ......」

 

「僕らは一つになって二人の罪を償い続ける義務がある。だから、Wになったんだろ?」

 

フィリップはその手にはかつて荘吉があの時士道の頭にかぶらせた鍔の先が切れた白い

ソフト帽をくるくると回しながらフリスビーの感覚で士道に投げ渡す

 

「お前、わざわざそのために......」

 

士道はその投げられた帽子を片手で穴に手を入れて止めることで受け止めると、

今かぶっている帽子を外し、荘吉の帽子をかぶりなおした

 

「君がいなければ、続けられない。探偵も、Wも、この戦争(デート)も、仮面ライダーも」

 

「そうだな」

 

「うむ!そうだな!シドーがいなければデェトも仮面ライダァもできないからな!」

 

士道はその切れた帽子の鍔の位置を調整した後に十香は首肯する。

そして、士道は十香、琴里、フィリップを確かめるかのように見て首肯する。

琴里はチュッパチャップスを舐め終えたのか、その棒を口の中からだし、自分の

包みで包んでポケットの中に突っ込んだ

 

「ようやく、吹っ切れたようね......士道」

 

「あぁ、決戦は......明日だったな」

 

「えぇ、彼女を更生させてあげないとね......私達の戦争(デート)をはじめましょう?」

 

琴里も二人の息が再び合い始めたことに心の中で安堵しながらも、司令官モード特有の

ナニカをたくらんでいるようないつものスマイルを見せていた。

意を決した4人の空は沈みかけた初夏の太陽がてらしつけてくれていたのだった

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Area ガレージ内

 

夜、士道とフィリップはガレージ内でフィリップのデートプランを立てていた

本当はこのようなバカげたことは士道も恥ずかしくてやってられないのだが

今回は話が違う。相手は凶悪な連続殺人犯。その連続殺人犯をネゴシエイト

つまり最低でも交渉まで持って行かないといけないのである

 

「やはり、デートというのは地球の本棚で多くのことを調べてきたが、

とても興味深い!百聞は一見に如かずということわざがあるが、まさに

その通りだ!ゾクゾクするねぇ」

 

「お前は気楽でいいよな......普通デートっつうのは緊張で眠れねー

とかそのような感じなことを言うんだぜ?」

 

[愛の形成というのはそれほど難しいものなのですね]

 

士道は、ソファの上で一日の疲労のせいか、だらりとソファの上で

寝そべっている。あの後、十香をマンションに送った後再び調査を

開始、今度はスカルと仮面ライダーモドキだけを絞り上げて

調べてみたのであった。

この件は鞠亜も協力するため、二人の腰には通信用のWドライバーが装着されていた

フィリップも自分の使命を全うさせるために死角がないかつ人目が多いデートスポット

を中心に厳選していた。奇襲されないためである

 

[問題は、やはり明日くるであろう、時崎狂三はフェイクか否かですね]

 

「確実に制服姿の時崎狂三のいる場所にはスカルともう一人のドーパント

のどちらかが警備をしている。本物である可能性が高い。絶対お前を隙あらば

喰らおうと狙ってくるはずだ」

 

「だけど、士道、もし本物だったら、その必要もない。本物は天使を持っている

はずだ」

 

「仮にフィリップを喰らうとしたら地球の本棚を手に入れるために

本物がわざわざ来る可能性は?」

 

[それは断定できません。彼女は対象を影に落としこむことで者を喰らうため、

仮に本体であろうが、分身であろうが捕食自体はどちらでもできます]

 

「問題はフィリップが丸腰っつうところだ。あのメモリ、ファングがない以上

俺が後ろから尾行するしかない......が、それをスカルかドーパントが気付いて

俺を潰しに来る可能性だってある」

 

三人が、このことに対して思い悩んでいると突然士道のスマートフォンの音楽

が鳴り響いた。Cyclone Effectと呼ばれる士道の好きな歌手の曲だ

士道は相手を見ると折紙の写真が画面で写されていた。士道は無視することが

できず、スマートフォンをとった

 

「もしもし」

 

[......私]

 

「あー、折紙か。悪いが、今は後に......」

 

士道は仕事の理由で断ろうとしていたが、

折紙は声のトーンを変えずに士道の返答の余地すら与えずにこちらの要件を話してくる

 

[午前11時、事件の調査のことで相談がある。天宮駅前の広場、噴水前で待っている]

 

ここまで、マシンガントークをしている折紙には返答の余地がない。これが昔から

の折紙の癖である。目的を果たしたいがために優しい人相手には無理やり承諾させる

ような一方的な会話は士道はおろか、たくさんの人が理不尽な目にあっている

 

「しゃあないな......分かったよ」

 

[待ってる]

 

士道は頭を少し掻いた後、折紙は一言話すとそのまま通話を切る

フィリップは少しあきれた顔で士道を見る。二つ返事で返した士道に

たいして文句があるのだろう

 

「士道......もう少し考えてからでも良かったんじゃ.....?」

 

「なぁに、折紙が変なことして、相棒のデート台無しにするよりも

俺が見張ってたほうが断然安全だ。最悪、有事になったら

折紙と一緒に狂三をとめられるしな」

 

確かに、折紙は復讐のためなら例え自分が弾頭になっても平気で突撃

してくるような少女であることは、士道もわかっている。だからこそ

折紙があんなところで動かないわけがないとある程度予想はしていたのだ

 

士道はスマートフォンをポケットの中にいれると、そのままソファから

立ち上がると、フィリップのほうに書いてある。デートプランがみっしり

と詰まったホワイトボードをざっと見ながら話を続ける

 

「俺は何回か宝石店だの、銀行だの、盗難事件だの見てきたがことごとく

泥棒はそれを破いている。デートだって、遊園地いくつもりが、そこは今日は

臨時休園しているのかもしれない。対策っつうのは所詮はファーストプランしかない」

 

そして、士道はそのままガレージから自宅のほうに帰ろうとしているのか

ソフト帽を被り、帰り際にフィリップに告げる

 

「......だから、俺はあえてこういう、「対策なんざ、動いてからたてりゃあいい」

デートだろうが、事件だろうがそう。現場で何をすべきかを行動しながら考えろ。

それがデートした先輩からのアドバイスだ」

 

[動いてから立てる......確かに士道らしい解答です]

 

それを聞いて、フィリップはきょとんとし、鞠亜は納得したような関心の声を

出すと、フィリップはクスッと笑う。その後、士道を見送るべく自分も階段のほう

へと歩き出した後、背を向けている士道にも聞こえるように声に出した

 

「留意しておくさ」

 

士道が事務所から家に帰った後、フィリップは寝る時間ギリギリまでプランを練りなおす

べく鞠亜と共に二人で夜を過ごしていったのであった

 

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Area フラクシナス内部、訓練室

 

「ふっ!......はっ!」

 

琴里は戦闘部に所属している部下と共にスパーリングをしていた。その部下は

琴里が放つパンチや蹴りを最小限の動きで身を守りながらも反撃に興じて

その拳を琴里に向けるが、琴里はその反撃をも腕で守っていた。それで

いながらもお互いはケガをしないように互いを高めあうような訓練をしていた

部下のほうが一息つくと、琴里もスパーリングをやめ、近くにあるスポーツ

タオルで汗を拭く

 

「......ふぅ、ありがとう、三階堂。今回も世話になったわ」

 

「い、いえ.....私は皆さんみたいにデートのサポートはできませんから......」

 

三階堂というジャージ姿の女性は謙遜しつつも顔を少し赤くしていて

頭の後ろをかいて下のほうを向く。戦闘部の主な活動内容としては

ラタトスクの本部から送られてくる武装のテストだったり、実戦に

向けての最終調整、またフラクシナス内部の武装の定期的なメンテナンス

や、いざというときの戦闘部員というのが大まかな役目である。

 

元々は、神無月が隊長をしていた部なのだが、神無月は一年前、

このフラクシナスが出来上がった時に副司令に抜擢されたのを

キッカケに、三階堂を戦闘部の隊長にしたのである

彼女は、「仮面ライダーセフィラ」になるにあたって基礎体力

の底上げを狙うため、わざわざ暇を見つけてはこうして練習

相手にもなってくれているのである

 

「司令、セフィラのメンテナンスはいかがなほどですか?」

 

「えぇ、セフィラドライバーの開発は順調よ。今頃、研究施設内で

神無月と令音が最終調整を行っているんじゃないの?」

 

琴里は額の汗をぬぐう。スパーリング状態の琴里はスポーツブラと

スパッツを着用し、健康的な綺麗なお腹が見えていた

琴里は激しく体を動かした後なのか、入念にストレッチを

ゆっくりと行う

 

「でも、司令はやはりお強いですね......最初は私のほうがかなり

押していたはずなのに、ものの1、2か月で長年やってた私と

ほぼ互角に渡り合えるなんて......」

 

「私と他を比較しちゃだめよ。あそこまで鍛えられたのは

私が元々、精霊......しかも、精霊の中で戦闘狂と言われている

天使なのよ?......そう、あの時私が精霊にならなかったら......

フウトという場所は天宮にはならなかったわ」

 

罪悪感.....それは琴里がラタトスクに所属してからずっと感じていた

ものだった。もし、あの時士道が封印していなかったら、もしあの時

力を欲しいと願わなかったら......この街の風は消えていなかった

のかもしれないといつしか琴里の中で感じるようになったのだ

 

「あの時、私は士道達から、彼らの罪を聞いた。彼らがそういうのなら

私の罪は、アダムとイヴでいう「禁断の果実を取った罪」。神という名の

世界の理に抗った結果だと思っているわ」

 

「でも、あの時はまだ子供だったんですよね......?子供が間違いを

起こすなんて、仕方のないことじゃないんでしょうか......?」

 

「......あれは私の心の弱さが招いた結果。だから、私は黒く染まった

し、蒼くも染まった。純白を捨てたのよ」

 

琴里は、いつものワイシャツ着て、ジャケットを羽織ると三階堂のほうに

軽く会釈してフラクシナスの自分の個室の荷物を取りに向かっていったのだった

 

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Area 琴里の部屋(フラクシナス)

 

フラクシナスにある琴里の個室は、自分の家のように女の子らしいぬいぐるみや

インテリアや服などが置かれておらず、大体は黒いリボンを装着している

ときに羽織るジャケットや赤の白いフリルと黒いストライプのスカートがある

他にも、大事な書類やデートのサポートができるように多くのデート関連の冊子

が本棚の中に収納されている、あと吊るしてあるのは護身用のスタンガンと鞭

もあるが、これはもっぱら神無月にやる代物だ

ただ、自分の家と変わらない点は机の引き出しの中には数種類のチュッパチャップス

が中に忍ばせている点である。

 

「ふぅ......こんなところかしら」

 

琴里は自分の荷物をバッグの中にまとめると、外へと出ようとドアの取っ手

に手をかけ、右に回転させて開けようとするがあかなかった。立て付けが悪い

のかと勝手に解釈して強めに引いても押してもびくともしない

 

「あれ......?おかしいわね」

 

ドアノブのカギを確認したところ、鍵がかかっているわけでもないし、ホテルの

カードキーのように外に出る際は鍵を開ける必要がない仕様であるはずだ

すると、琴里の背後に何らかのおぞましい気配が感じ取られる

 

「!?誰!!」

 

すると、そこには裸眼で見ているにも関わらず、赤いモザイクを纏わせた

ナニカが琴里の部屋の中央でたたずんでいたのである。琴里は目にゴミが

入ったのか勘違いしたのか、袖で目をこすってみたが、赤いモザイクは

消えていなかった

 

「やぁ、五年ぶりだね、元気にしていたかい?」

 

「あなた、何者?ここのセキュリティはかなり厳重なはずよ?」

 

琴里は自身の机の上にある緊急通信用の回線を開こうとするが

ジャミングをされているのか、ザーザーという音しか流れてこなかった

赤いモザイクはそれを笑っているのか少しゆらゆらと揺れた

 

「君が忘れているのも仕方ない。じゃあ、今思い出させてあげよう......

私と君の出会い......君の「始まりの夜」を」

 

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Area ???

 

荘吉、否、スカルはあの後、未知の存在、スーパーショッカーと名乗る組織と戦った

スーパーショッカーは、仮面ライダーと呼ばれる、荘吉のような

パワードスーツなどを纏わせた戦士を抹消させることを目的とさせていた

 

しかし、この世界に訪れるときにライダーを攻撃していたマゼンタ色の戦士と

自らを盗賊と名乗るシアン色の戦士やたくさんの別の世界と名乗る仮面ライダー

達によってスーパーショッカーを全員で一網打尽にしたのは記憶に新しい。

 

そう、荘吉がこの異世界と思われる場所に来てからかなりの時間が経っていたのである

謎の赤いモザイクが得体のしれないものを士道に渡していたのかと思うと彼だけでは

解決しきれない大きなナニカが来るのかもしれないと本能的に感じていたのだ。

あれを野放しにしておくのはいささか危険すぎる

 

荘吉はこの世界で新しく見繕った白いソフト帽を被ると、その背後から

茶髪の青年が灰色のオーロラからとあるバイクを連れていきなりその場に

現れた。オーロラというのはこの世界では世界間の次元の歪みであるらしい。

紅渡と名乗っていた茶髪の青年は荘吉に頭を下げる

 

「荘吉さん、申し訳ありません。貴方は関係ない被害者だったのに協力していただいて」

 

「別世界のガイアメモリと聞かれちゃあ、黙っていられないからな。

依頼人の依頼を的確に遂行したまでさ」

 

実は、この異世界にもガイアメモリが出回っていることを知ったのである。

とある怪人の記憶を宿らせたメモリが荘吉を狙っていた組織である、

スーパーショッカーの兵器の一つとして、適合性のある一般人に

差していたとのことだ

 

それを何とかして止めるため荘吉は別動隊として組織の戦艦に突入

し、誰にもばれないようにメモリを壊してほしいという依頼を

紅渡から授かったのであった。報酬は、「元の世界への送還」

という願ってもない依頼だったため、荘吉がこの世界に滞在する

時間はかなり長くなってしまったのである

 

「このバイクは、別の世界の荘吉さんの記憶から作ったバイクです。

そのバイクを使えば、異世界間を走行できますし、元の世界への

ナビゲーションも新しいスタッグフォンにインストールしておきました」

 

「何から何まで世話になったな、渡」

 

「えぇ、荘吉さんもお元気で」

 

Skull

 

荘吉はスカルメモリを使い、スーツ姿から乗りやすいライダー姿に変身

すると、カードのような何かが、荘吉の頭の中から浮かんできたのだった

それはマゼンタの戦士が使っていた武器の一つであるということは

前に渡から聞いていた。ならば、彼が自分のことを呼んでいるのだろうか。

荘吉は渡が見送る中、そのカードに導かれてオーロラの中へと進んでいった

のであった

 

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Area ???

 

「これは、お前が持っておくべきだ」

 

マゼンタ色のトイカメラを持った青年はソフト帽を被った青年に対して

とあるカードを渡した。背面はスカルメモリのイニシャルが書かれ、

表には、仮面ライダースカルの顔が描かれていたものであった

 

トイカメラを持った青年がオーロラの中に入った後、そこにはもう一人の青年と

一人の少女が青年の元に駈け出してきたのである

そのカードを見た二人は、不思議なカードだったのかじっと見つめていた

 

「何これ......?」

 

すると、そこにオーロラから現れたのは荘吉の変身している仮面ライダー

スカルの姿だった。スカルは、カードを持っている青年を見ると、

なぜか、元の世界にいた士道に雰囲気は似ているようなものを感じた

スカルは、その青年の周りにいる二人を見ると仮面の中で目を開いた

 

なぜならば、もう一人の青年は元の世界で以前「フィリップ」という

名前を授けたばかりの子が少し成長したような、瓜二つとしか思えない

姿だったからである。

すると、スカルはカードを握る、ソフト帽の少年をもう一度見る

 

(そうか......お前がこの世界の「士道」なのか)

 

スカルは自分の新しい白いソフト帽を外した後、頭だけ仮面を取ってその

3人のほうをみる。すると、その3人は驚愕の顔を浮かべていた

 

「お父さん!」

 

「おやっさん!?」

 

その「おやっさん」という声を荘吉は懐かしくおもえるような感情を抑えて、

答えには間違いはなかったことを再度確認した後に別世界のフィリップ

と思われる青年が疑りながら口を開く

 

「別の世界の......鳴海荘吉?」

 

(根元があいつと一緒だ、良い目をしている。あいつが成長したらこんな

やつになっているかもしれないな......)

 

「誰だか知らんが、良い顔をしているな、坊主。帽子が様になるのは一人前の

証拠だ......俺は仮面ライダースカル。またどこかの世界であおう」

 

荘吉は青年の微かな笑顔を確認すると、元の世界に帰るべくオーロラを

くぐろうとしたその時だった。

 

「帽子、様になってるってよ......!」

 

その声をオーロラの向こう側で聞こえていたのは幻聴ではなかったようだ

 

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Area 廃墟(数か月前)

 

「っ......この場所は......」

 

スカルは変身を解き、この廃墟の元に帰ってきたと感じた。しかし、島の研究所は

大きくえぐられておりすでに廃墟と化していた。

 

(空間震か......?それとも、時間が遅すぎたのか)

 

荘吉は廃墟の元を調べながら歩いていると、そのまま海岸のほうに出て行ってしまった

 

「......問題はここがあの時から何年後なのか、だ。近くに人がいればいいのだが」

 

荘吉はスカルボイルダーに再び乗りながら辺りを散策すると、そこにはオレンジ色の

髪をした二人の私服の少女がなぜか海に向かって石を投げていた。水切りの

つもりなのであろうか

 

「くっくっく、見るがよい夕弦!我が賢者魔石(マジシャンズ・クリスタル)の凄まじき威力を!」

 

「失笑。たかが17回程度で魔石(笑)」

 

「なっ!?25回も!?まだ始まったばっかりだし!!」

 

「通告。もうすでに数時間経っています。いい加減諦めなさい」

 

片方は邪気眼という性格を持っているとされる少女。もう片方は話し方にあまり

抑揚が見受けられない双子に見える少女が水切りの勝負をしていたのだ

恐らく近くに遊びにきたのか何かだろう

 

「お取込み中のようだが、失礼、少しいいか?」

 

「わっ!?びっくり......じゃなかった、ふふ、この颶風(ぐふう)の巫女

こと我ら、八舞に何か用か?」

 

「いや、大したことではない。今日は何年の何月何日だ?」

 

八舞姉妹と名乗る二人の少女はお互い顔を見合わせて、首を傾げると、

もう片方の少女のほうが答えた。それはそうだ。月日を聞くのならまだしも

年まで聞いてくるような人は早々にいないのである

 

「解答。2016年の2月10日です」

 

(と考えると一年と少しか......これは事務所には戻れそうにないな)

 

荘吉は帽子をかぶりなおすと二人に頭を下げる

 

「すまないな」

 

荘吉は近くにあった適当な石を拾い上げると、水平を保ちながら、ヒュッと

海の向こう側まで投げた、そして投げた回数は、先ほどの少女よりも

多い、32回であった

 

「「なっ!?」」

 

荘吉は、その後、スカルボイルダーにまたがり、一旦陸地にいくために

二人の姉妹に見えないところでオーロラを出して、移動したのであった。

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おまけ

 

2時間後

 

二時間後、未だに水切りの勝負をしていた二人は夕日が沈みかけた海岸で

体育座りになって灯台の光をボーっとながめていた

 

「ねぇ、夕弦。数時間やったのに8回行かなかった私達って......」

 

「提案。この勝負、あの人の勝ちということで引き分けしましょう」

 

「そうね......にしても、夕弦、あの人なんだったんだろう。帽子で

顔が全然見えなかったけどさ」

 

「疑問。そもそもどうやってこの孤島にきたのでしょうか?

今度あったら、水切りの仕方と一緒に教えてもらいましょう」

 

「いいね、さんせー!」

 

二人が、彼の忘れ形見と出会うのはもう少し先の話であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、狂三ファング、これで前半戦が終了です。いかがでしたでしょうか?
ここから後半戦に差し掛かります。まぁ、今回の話は前半はストーリー本編で、
後半がファンサービスみたいなものですかね?
原作Wにおいてのソウキチさんは実はこっちの世界の荘吉であるという解釈です
スカルが生きているということは、Wの世界にもパラレルワールドがあったんですかね?二亜がソウキチと呼んでいたのもこのためです

あと、デアラ原作側のファンサービスとして、双子をフライングで出してみました。ただ、二人にとって荘吉は顔は見えていないわけです
次回はついにフィリップの初戦争!真那や折紙、士道に琴里。
様々な思惑が交差する中、最も危険なデートが今始まる!

恩人に救われた者、恩人を殺そうとした者。果たしてどちらがデレるのか!


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