デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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Fの幻影/動き出す、運命

Area ???

 

荘吉は、そのまま精霊に銃弾を撃たれた後どこだかわからない暗い空間に

倒れていた。すると目の前には赤いモザイクのようなものだけが存在している

だけで周りはぼんやりと様々な光が点滅しては消えているのを繰り返していた

 

「おや、珍しい客だね。この隣界に生身の人間が侵入してくるなんて.....」

 

モザイクから発された声から荘吉は気づき目が覚める。荘吉は、自分の撃たれていた

肩や怪我のほかに疲れも抜けていたことを自覚する。しかし、服装も士道に預けた

帽子以外は白いスーツ姿も元通りになっていたのが疑問に思っていた

 

「あぁ、死にかけていたからね、私が全部治しといてあげたよ」

 

「......そうか、悪いな」

 

荘吉は赤いモザイクのような存在に向かって軽く礼をするが、モザイクは何の

反応も起こさずにただ、ざわめいているだけだった

 

パラ......

 

「おや?」

 

荘吉が落としてしまった残骸のようなものが気になり、モザイクはその残骸

のほうに向かっていった。荘吉はこのメモリは先ほどマキシマムスロット

に差したフェアリーメモリだということを薄々悟っていた

 

「これは驚いたね!彼女、こんなに凄い代物を作っていたのか!

うーん.....これをこのまんまにしておくのももったいないなぁ」

 

赤いモザイクはそのメモリの残骸に近づくと、その残骸は宙に浮かぶ

宙に浮かんだメモリの残骸はそのまま様々な色に輝きだす

すると、様々な残骸はぼんやりとした光のところへと散り散りに

散らばりだした

 

荘吉は、気になったのか、一番近くに存在するメモリの残骸の

ところに走ると、そこには夜色の髪と水晶の瞳を持つ絶世の美少女

が紫色のドレスを身に纏い、膝を抱えて眠っていた

そして、その残骸はその美少女に呼応するかのように光り輝き、

その残骸はやがて「X」のいうイニシャルがつづられた

メモリへと変貌する

そして、他の場所にも同じようにできたメモリの数々が赤いモザイクの

元に集まっていく

 

「これを、彼に届けてあげよう......君の大好きな一番弟子にね」

 

すると、数々のメモリが囲まれたモザイクは、何処からか蝶型の

ガジェットのようなものを取り出した。荘吉は見たことないガジェット

を見て少し顔をしかめていた。そしてギジメモリがその蝶に差し込まれる

 

Butterfly

 

バタフライガジェットがパタパタと機械的な羽を羽ばたかせると複数ある

メモリを自分の中に収納するとそのまま闇の中へと消えていったのであった

 

「......どうしてお前があの坊主のことを知っている?」

 

荘吉は赤いモザイクに対して睨み付けるが、赤いモザイクは何の反応も

せずにただそこに漂っているだけだった

 

「君には、まだ早すぎるかなぁ......それに、私は忙しいんだ

君に構っている暇はないさ」

 

「!!」

 

すると、荘吉はまるでそこに落とし穴が仕掛けられていたみたいに足元を

崩すとその場から重力にしたがって落ちていった

誰もいなくなったこの場所において赤いモザイクは一人で呟いた

 

「そろそろ、記憶が戻る時期か......動く、世界の理が、子供達の

運命も......そしてあの子の運命も」

 

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Area ???

 

周りは炎に満たされ、そこでマフラーをなびかせる怪人.....Wがいた

 

「なんなんだよ、これ......!俺、どうなっちまったんだ!?」

 

W.....というより士道は近くに壊れているであろうガラスの破片を

見て自分の姿を確認する

 

「これが俺......?ドーパントにでもなっちまったのか?」

 

[精密にはドーパントではないけどね]

 

「!?俺の中からなんで......フィリップがいるんだ!」

 

士道は何て呼ぶか迷ったが、名前はフィリップと荘吉が呼んでいた

ことを思い出した

 

[まだ、勝手が分からないみたいだね。とりあえず、この場所を離脱しよう

近くに僕の体と少女が倒れているはずだ]

 

Wは炎の中で倒れていた折紙とフィリップの体を担ぎ上げる

人間二人を担ぎ上げる力は士道にはないと自覚していたが、

このWというパワードスーツは力が増すらしくいとも簡単に

担ぐことができた。しかし、その瞬間を精霊は見逃さなかった

 

「させませんわっ!!」

 

その時だった。大きな爆発が起きると大量の折紙のような武装を

している女性たちがこの建物の中に突入したのであった

同時に一斉に精霊に発砲すべく銃を構えたため精霊は一旦

その場から距離を取る

しかし、その銃弾は微かに当たったらしく口元に傷ができる

 

「少々騒ぎすぎましたわね.......まぁ、いいですわ。ここは

もう用が済んでいるはずですわ。今回はお暇させていただきますわ。

キヒヒヒヒヒヒ」

 

「突撃ー!!!」

 

折紙の部隊、ASTが総攻撃を開始したため、さらに火の海は拡大していく

すると、Wの耳に先ほどの通信で連絡していたであろう人物の

肉声が聞こえる

 

「折紙ー!どこなの!?返事をして!!」

 

恐らく、折紙を奪還するために無理やり部隊を隊長権限で突撃させたようだった

するとWの腕が勝手に動き、折紙のトランレシーバーを取り、その声の主と

思われるほうに人影のほうに投げつけた

 

「!?俺の体が勝手に!」

 

[安心したまえ、恐らくこの少女の仲間だろう。少女だけはおいていこう。

あとは、彼女の仲間に任せよう。僕らはドーパントの囮になろう]

 

「!?おい、あの精霊は放置しといてもいいのかよ!?折紙殺されるぞ!?」

 

[問題ない。彼女たちは対精霊のスペシャリストだ。このような場数は

何回か踏んでいるはずだ。足止めと人員救助程度は今、勝手が分からない僕達

よりもできるだろう]

 

「分かった......!!うぉ!?うあああああ!」

 

Wはフィリップを担いだまま下の階層へと落下していった。幸い折紙は落ちるときには

すでに上の階の比較的、炎が来ていない場所に体を置いたため彼女まで下に落ちること

はなかった。W本体は、かなり体が丈夫にできているのか痛みはさほどなかった

 

「gyaaaaaao!」

 

すると、Wの目の前に一匹の小さなおもちゃのような恐竜が目の前に現れる

その小型の恐竜ロボットは巷で売られているような最新式のおもちゃ、

ペットデバイス、またの名をぬいぐるみロボットに酷似していたが、

会話能力はないようで、どちらかというと荘吉の持っていたスタッグフォン

のガジェットに似ていた。しかし、命令なしで自分一人で動くガジェット

というのは今まで士道は見たことがなかった

 

[なるほど]

 

フィリップがうなずくと、一旦サイクロンメモリをドライバーから上に向けて

引っ張ることでメモリが抜け、変身が解除される

そして、ジョーカーメモリは差したままだったが、サイクロンメモリは

何故か、手元から消えていたのであった。そのため、士道は何が何だか

分からずに目を丸くしていた

 

「代わろう。二人でここを脱出する」

 

フィリップの手元におもちゃの恐竜は目を点滅させながら、フィリップの

手のひらの上にちょこんと乗っかる。フィリップはその恐竜を掴むと

恐竜の頭のような形に変える

そしてフィリップはその頭の先にあるガイアメモリの

ガイアウィスパ―を鳴らす

 

Fang

 

「変身!」

 

今度はジョーカーメモリがフィリップのほうに来て、ファングメモリがフィリップ

のドライバーにジョーカーメモリと共に装填される。それと同時に士道は

糸が切れたようにその場に倒れる

 

Fang Joker

 

恐竜のけたましい声と共に現れたのは、とげとげしい赤いアイレンズを

もった白と黒のWであった

 

[なんだよ!これ、え.....あの体って俺か!?おい、フィリップ!]

 

意識をフィリップ側にうつされた士道は声をかけるが、フィリップは

それにたいして何の返事もせずにその眼はまるで飢えた獣のような

目をしていた

 

「URRRRRRRRAAAAAAAAA!!!!!!」

 

「見つけた!」

 

Wは大きな雄たけびをしたためタブーが上の階層から仲間のマスカレード

と共に降りてくる。そして、精霊も壊れた鉄柱の影から自身の分身

が何人か出てくる

 

雄たけびを上げながらWはそのまま走り出すと、襲い掛かってきたマスカレード

ドーパントや精霊の分身体を相手になりふり構わず殴り飛ばした

それはまるでなわばりを荒らされた獣のように怒り狂い、完全に

理性を失わせていた

 

精霊の放つ弾丸を腕で容易くはじき、襲い掛かっているマスカレードも

顔を殴って昏倒させた後にとびかかって腹を殴り、精霊に対して

マスカット銃を奪ってそのまま銃口を握って頭を殴る

 

[おい、フィリップ!!落ち着け!おい!]

 

Wはファングメモリの恐竜の顔にある鼻と思われる場所のトリガーを

一度倒して戻すと、ガイアウィスパ―がなった

 

Arm Fang

 

すると、Wの腕から大きな刃が立ち、その刃を使って分身の服を体ごと

深くえぐったり、マスカレードは背後からの奇襲をかけようとするが、

Wがその場をぐるりと回転すると刃が付いた腕が精霊とマスカレード

に直撃し、その二人は出血多量で倒れる

 

「URRRRRR!!!」

 

Wはそのまま見事な脚力を使って、タブーの顔に接近するとタブーは

自らの危険を察知し、傍にいた倒れているマスカレードドーパント

を盾にするが、それでも腕の刃が顔にかすり傷を負わせる

 

「あんな力があるなんて......!」

 

Shoulder Fang

 

今度は恐竜の鼻を二回連続で倒すと、Wの肩にブーメラン状の刃が現れる

Wは白い刃を取り外した後に投げると、その刃は空中を自在に舞い、

マスカレードや分身体を殲滅させる

流石にやりすぎだと思った士道は内部で大きく呼び戻す

 

[フィリップ!!!!]

 

「!!」

 

Wの中のフィリップは一瞬だけ目が覚めたのか、隙を見て士道の体を背負いあげ

研究所外部へと脱出していったのだった

 

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Area 廃墟(現代)

 

「こうやってお前は俺とWになったんだよな」

 

「シドー.......なんて可哀想なのだ......」

 

「なるほど、高宮真那が狂三を殺していたのは、本人ではなくて、天使で作った分身体

だったってことね......」

 

十香と琴里はこの話を聞いて、十香は悲しみ、琴里はいろいろあった疑問点を

解決したかのようにうなずくという予想通りの反応の仕方を見せてくれた

しかし、フィリップはまだ語り足りないという顔をしていたのである

 

「まだ、君たちの知らないビギンズナイトは二つあるのさ」

 

「二つ?どういうことだ?」

 

士道はこのことを知る由もなかったので首を傾げて思い出そうとするが

自分の中では語り切ったと思い、断念する

 

「それは、君は見れなかったから仕方ないさ」

 

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Area ガイアタワー内部(過去)

 

荘吉はフィリップを救い出す際、ガイアタワーの本体に触れる。すると、ガイアタワーは

一瞬だけ光だし、荘吉はそのまま意識をガイアタワー内部に飛ばされた

そこには地球の本棚と同じようにたくさんの本が並べてあるような空間だった

そして、その本棚に寄りかかってフィリップは座っていた

荘吉はその姿を見つけるとゆっくりとフィリップのほうへと歩き出す

 

「さぁ、行こうか」

 

フィリップは顔色を一つも変えずに荘吉のほうに向いた

 

「ここにいろと言われている......恐怖という名の男に」

 

「なぁ、お前は今まで一つでも自分で決めて何かをしたことがあるか?」

 

フィリップは黙るかのようにそのまま下にうつむく。自分自身で

決断をしたことがないという肯定の表しだろうか

荘吉はフィリップの顔を見て、しゃがみこむ

 

「じゃあ、今日が最初だ。自分自身の決断でこの暗闇の牢獄を出ろ。

そして、自由になってから.......お前の罪を数えろ」

 

「僕の......罪?」

 

「お前さん名前は?」

 

フィリップはなんて呼べばいいのか分からず、再びこの場で黙る

名乗るべき名前が自分の中から見つからなかったからである。

荘吉はフィリップの近くにあった「フィリップ・マーロウ」という

人物の本が目に映ると荘吉はすぐに思い至った

 

「じゃあ、こう呼ぼう。「フィリップ」」

 

「フィリップ?」

 

「フィリップは、俺の大好きな男の中の男の名前だ。奴は自分の決断で全てを解決する」

 

「決断......」

 

そして、その直後、ガイアタワーは崩壊をはじめ、フィリップはその名前と共に

この場所から荘吉と共に出て行ったのである。

そう、あの時フィリップは悟っていたのだった。自分の罪がなんだったのかを

 

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Area 五河家(過去)

 

脱出した後、何とかして、フィリップを自分の家まで運んでいった士道は玄関で疲労で

バタリと倒れる。その頃にはすでに日が昇っていた

あの後、ファングを使って倒れたフィリップを背負い、士道一人で

ここまで運べたのだった。白衣を着ていた少年を世間にさらすわけには

いかなかったのである

とりあえず、士道はヨロリヨロリとしながらも白い帽子をとりあえず

おいた後にキッチンへと向かっていったのであった

 

数分後、フィリップが目を覚ますと、ソファーの上に毛布が掛けられて

寝かされていた。フィリップは一般の家庭というものをみたことがないのか

興味深い顔をしながら家のリビングを観察していた。すると、リビングの

テーブルの上には箸とスプーン、そして鶏肉と卵と玉ねぎが乗っている

通称、親子丼がラップを軽くかけた状態でおいてあった

 

となりでは、疲れ果てていたのか士道が目に涙を流しながら眠っていた

そして、士道の分の器も空ではあるがおいてあった

 

「温かい......食べろというのか?」

 

箸が使えなかったときのためにスプーンまで用意してくれていたのか、

フィリップは感心していたが箸の使い方は検索済みであった。

それでも実際に使ってみるのは初めてで、興味深かった

フィリップはとある理由で別に物を食べなくても生きてはいけるのだが

空腹という感情はあった。それに慣れてしまったのか空腹でも構わない

と思っていたが、自然とお腹の虫がなってしまう

そう、記憶の中では彼は初めて食事をしたのであった

黙々と自分の箸を使って口の中に運ぶと自然と涙がでてきたのだった

 

「これが......人として生きることか」

 

すると、フィリップの目の前に一匹の蝶が目の前に現れる。それは何処から

現れたのか分からず、ただまるで精霊が静粛現界するように静かに現れる

 

「君は......?」

 

すると、その蝶からフィリップに幻聴なようなものが聞こえてきたのだった

 

「......に打ち勝った......ソウキチの意志......継ぐ者.......

あた.....の記憶......を.......」

 

その声の主はガイアメモリの形をしたクリアカラーのギリシャ数字の「Ⅱ」と書かれた

メモリだった。それを言い終わるとメモリはいくつもの数に散らばり、フィリップ

はそれに驚く。いくつもの沢山のメモリを拾い上げ、そして、最後に「Ⅴ」のメモリに触れようと

するとフィリップはなぜか高温のものに触ったような感覚に見舞われる

 

「っ!?」

 

そのメモリは赤と蒼い炎を纏わせていたがその力の元はなんと寝ている士道からオーラのように

流れ込んできたのであった。そして、オーラの全てが排出し終わるとその「Ⅴ」の文字は

消え失せ、そのメモリは「Kamael」というメモリに変わっていたのだった

フィリップは興味深いものを見ると体を震えさせていた

 

「......この感覚は......武者震い?違う......表現するならばそう!

ゾクゾクする!君とは長い付き合いになりそうだ」

 

フィリップはこのときはじめて口を少しゆるませて、笑顔を作ったのであった。

 

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Area ???

 

「ここは、何処だ......?」

 

荘吉はのちに「ファントム」と判明する赤いモザイクによって落とし穴に落とされた

先には、廃墟のような場所であったが孤島ではない、都市全体が荒廃している

ような場所に降り立ったのであった

荘吉は何者かの影が動いたため、とっさにビルの廃墟の影に隠れる

 

FINAL ATTACK RIDE DECADE

 

すると、何枚物のカード状のエネルギーオーラと共にスカルと

雰囲気が似ている銀色の戦士と、カブトムシの面を被ったような

赤い戦士が、マゼンタ色の緑目の戦士に蹴られて倒されている姿だった

 

「こいつは......異世界という場所なのか......?」

 

荘吉ですら見たこともない技術がたくさんあり、荘吉はあの赤いモザイクが

いた空間と同様、自分とは違う世界にいるということを仮定する。

荘吉は力量が分からないそのマゼンタ戦士に見つからないように

こそこそとこの場から離れていったのであった

 

 




さて、ここまで読んでいただいて、やっとビギンズナイトをほぼ書ききることができて嬉しく思います。まぁ、補足説明としてスカルは過去に飛ばされる前に、不安定なメモリをマキシマムスロットに差してしまったために暴走した霊力との衝突もあり、その影響で荘吉は臨界に弾き飛ばされたというわけです。臨界は今のところオリジナル描写で、周りはファントムによって暗い空間に遮蔽されているとでも考えてください。
次回は、話し終わった後の4人の会話からですかね。ある事情で少しブーストしながら書いていきたいと思っています。

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