デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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Sな戦慄/名探偵ことりん

Area 中庭

 

「ちっ!普通のドーパントの前ではあまり使いたくないんだが!」

 

Zadkiel Metal

 

両スロットのメモリを取りだし、ザドキエルメタルへと変身を果たすW

メタルシャフトには、いつもの熱気ではなく、今にも炎ですら凍えそうな冷気に

変わっていた。ナスカとつばぜり合いをしているとナスカの剣の刀身に

霜がかかっていた

ナスカは、もちろんそれを快く思ってはいなく、首に巻き付けてある

マフラーを使ってWを締めあげる

 

「この前のハーミットの霊力......!仮面ライダー君、君は本当に

人間なのかね?」

 

「あぁ、少なくとも俺はそう思っているさ......!」

 

締めあげたマフラーもメタルシャフトを当てることでマフラーは

硬くなってしまい、締め上げるほどの自由がなくなったのである

 

「ならば、君を捕まえてプリンセスとハーミットをおびき寄せるかな?

そうすれば、かなり精霊にかんする研究がはかどる!

これも、全部、空間震をなくすため.....つまり天宮のためだ!」

 

「DEMと思考回路が一緒な奴はきにくわねーんだよ。

例え、天宮のためになっても市民のためにならない!」

 

「......ほう、君は精霊を市民、普通の人として見るのか」

 

「当り前だ!力は違えど、中身は女の子なんだぞ!」

 

「何をわけの分からないことを......!邪魔だ!」

 

再びナスカは走り、Wのほうに剣先を向け振り下ろそうとしたのだが、

隣にいたドーパントがナスカを攻撃した

するとドーパントがWに倒れ掛かりそのままWをタコ殴りにする

 

「市販品ごときが......ナスカの邪魔をするな!」

 

ナスカはドーパントを殴って飛ばすと体制を立て直したWが両足で

蹴りを入れてナスカを吹き飛ばした後に先にドーパントのほうを

処理するためにメタルシャフトをたたきつける

 

[士道っ!......士道!]

 

ここで何かの危険を察知したようにフィリップが叫ぶ

 

「何だ?」

 

[感じる......この場は危険だ!]

 

すると、カタカタとWドライバーに装填されているであろうザドキエル

メモリが震えだしたのである

バッと振り向くと得体のしれない黒いドロドロとしたものが三人の周り

を取り囲んでいた

そのなかで、高らかに笑い声をあげる第三者の声が聞こえた

 

「はっはっはっはっは......はっはっはっはっは!」

 

「っ!」

 

ナスカはその声の正体を知っているのかすぐさま飛んで

この場から消え去った。それと同時におくから巨大な被り物をした

ドーパントらしき人物が黒い物体から出てきたのだった

 

「理屈でなくあぶねぇ!触れたらアウトだ!」

 

Sandalphone Trigger

 

飛行能力を有したサンダルフォンに乗るとすぐさま上空へと退避する

流石に空中にはあの黒い物体は追ってこなかったのである

下にいるドーパントも危険を察知したのか触れる前にこの場から

飛び去ったのである

 

黒い物体が消え、正体不明の人物もいなくなったところでWは

変身を解除させる。しかし、士道はなぜか体を震わせ、同時に

頭痛と共に映像がフラッシュバックしたのだった

 

「っ!?」

 

士道は、今まで士道があったことはおろか見覚えすら

なかった女性と男性の姿が頭の中によぎった。

そして、自分を女性にして幼くしたような人物や

長い髪を持つ顔が分からない少女が幼い自分に

何かささやいているような光景がよぎってくる

 

[.....道!......士道!]

 

「はっ!?」

 

[大丈夫かい?少しラタトスクで休むかい?]

 

「いや......大丈夫だ。にしても、なんだった?今の......」

 

「......僕たちは見たのかもしれない......敵の......根源を」

 

気付けをするために顔を数回パンパンと叩いた士道は時計を確認する

そろそろ2時を回る頃合いである

 

「......やっぱり琴里をあんなとこにおいとくわけにはいかねぇ!

さっさと解決してここから出ないと......」

 

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Area 時崎邸

 

「よし、これでデータはとれたはず......」

 

「何をしているんですか?琴里さん」

 

琴里は自分の携帯を使い、音声データを録音したので

ある。そこには、Wとドーパント、ナスカの戦闘が繰り広げられていた

しかし、ある高笑いの声がしたと同時に映像がプチリと途切れて

しまったのだ

 

「麻衣さんを引っ張り上げるときに、とっさに盗聴器を付けていたのよ

.....最も、今は踏まれたか、攻撃の余波で壊されているでしょうけど」

 

「凄いですね、探偵さんってこういうこともできるんですね」

 

(まさか箕輪から貰った高性能盗聴器が役に立つとはね......

これでヒントが得られればいいんだけど......)

 

琴里はメイドエプロンからチュッパチャップスを取り出し、舐めながら

先ほどの音声を再生させていく

 

[いいぞ、恐怖しろ。恐怖もまた舌先を駆け巡る極彩色の甘美だ!ははははは!]

 

[ありふれた平凡な菓子を舌先に乗せると私はそれだけで戻してしまう。

極上のスイーツがないと生きていけないのだよ]

 

その声を聞いた同時に琴里は何かしらのデジャヴを覚えたのである。

それは有名なスイーツ専門家のインタビューに非常に似ていたのである

 

(極彩色の甘美......確かデートのおすすめスイーツショップレビュー

でそのような表現をした人がいたけど......いや、いたわね、確か

毎日そのようなスイーツしか食べていないとコメントをしていた人が

......ならば後半のセリフにも合点がいくわね)

 

琴里は確認のため、もう一度ドーパントのセリフを流していく

 

「何か、引っかかることでもあったんですか?」

 

「そうね......私には今のところ誰があの化け物なのか検討つかないわ」

 

「そうですk「でもね」」

 

落胆した麻衣の言葉を遮るように琴里は口からチュッパチャップスを取り出し

明白に麻衣に伝えた

 

「上手くいけば、犯人が立候補してくれる作戦を思いついたわ」

 

その言葉に麻衣はこくりと息を飲んだのであった

 

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「どうやら、使用人の中に一般のドーパントが紛れているようだね......」

 

「だったら、掃除しないといけないのでは?」

 

「ほおっておけ、組織を知る人間は屋敷に僅かしかいない。わざわざことを

荒立てる必要もなかろう......それよりも、冴子君、例の裏切り者が

再びこの街に潜伏していることは本当かね?」

 

冴子は資料を見直すとこの場で琉兵衛に首肯した

 

「ええ、先日、ASTの軍人が殺したとされる分身体の血痕が発見できたわ

それに、その跡が日に日に増えているということは、本体が再びこの街に

来ているということね」

 

「あれは迂闊に近づいてはならない。倒したところで情報を得た彼女の

ほうが有利になってしまうのだからな......だが、本体は別だ。

あれが本体だと判明次第、捕まえてきてくれたまえ。もちろん、

生死は問わない」

 

そういった琉兵衛は部屋の外へと出て行ったのである。

 

「次に、この屋敷に何かあったら私達で対処しましょう?」

 

「あぁ......」

 

冴子は霧彦に対して声をかけたものの、霧彦はあまり浮かない顔をしていた

ただ、冴子は別のことを考えていたため、あまり気に留めはしなかった

 

(おそらく、Wはあのドーパントを追って再び現れるはず.......

お父様の興味が薄いうちに取り返さないと......)

 

(精霊を殺すのは何のためらいもない......だが、彼女の

恩を仇で返したくはないのだが......)

 

互いが全く別のことを考えていたことは誰も分からないのだった

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Area 天宮博物館

 

士道は琴里を見つけ出し、何をするのか後を追いかけていた

すると、琴里は初老の男性......おそらく館長をしているであろう

屋敷のオーナーに直接話を付けていたようだ

 

「ご主人様!」

 

白いリボンを付けた琴里がゆっくりと振り返ったオーナーに

ペコリとお辞儀をする

 

「お仕事の場に来てしまって申し訳ありません......」

 

「何かな?折り入って私に頼み事とは?」

 

あまり怒った顔をしないでオーナーはゆっくりと話を伺う

 

「実はお願いがあって、明日のスイーツタイムにはお屋敷の使用人全員

を参加させてもらいたいのです!サプライズも用意しているのでっ!」

 

「ほぅ......いいだろう」

 

「ありがとうございます、よろしくお願いしますなのだ!」

 

そういった琴里はスタスタと歩き去ってしまった。流石にオーナー

には曲がりにも内部にスパイがいるとなると警戒してしまう

可能性があるため、しばらくは博物館を見て回ることにした

 

「しっかし、博物館なんてめったにいかねーなぁ......」

 

巨大なティラノサウルスの模型やマグマの化石、蝙蝠の入ったショーケースや

太古に使っていたとされる原人が叩いて作った石の刃、そして昔の狩人の

獣の皮をなめした服のモデルを細い目で見ていた

 

(しかし、どっかで聞いたラインナップだなぁ......)

 

首を少し傾げて何かを思い出しそうにしていた士道の前に先ほどの

オーナーがゆっくりと向かってきた

 

「見事だろう?」

 

「!?」

 

オーナーがいきなり士道の顔を覗いてきたため、士道は思わず後ろに

引いてしまった。そのことも気にせずにオーナーは話をつづけた

 

「当博物館館長......時崎琉兵衛です」

 

「はぁ......」

 

「素晴らしいよねぇ、地球に刻まれた記憶というのは......」

 

「そうですね......」

 

「では、失礼......明日が楽しみだなぁ」

 

突拍子もない琉兵衛の行動はただただ、士道を唖然とさせたものだった

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Area 時崎邸

 

「結局、アイツは俺のことを会おうともしなかったな.....ったく、

止められるのを分かってて敢えて避けたな......」

 

翌日、外の窓で士道が見守る中、屋敷の住人と使用人全員が部屋の中で

たくさんの甘いものを前にして並んでいた。

 

「さぁ、皆、今日は特別な趣向だ。自由に食べ給え。

家族、使用人全員でこの究極の味を楽しもうじゃないか」

 

状況を知らされていない冴子があきれた顔をして琉兵衛に話す

 

「それで、屋敷のシェフや使用人まで?」

 

「そうとも、何か......面白いことが起こるらしいな」

 

「......ん、このケーキ、おいしいわ、何処のパティシエが作ったのかしら」

 

鞠奈はそういうことを一切気にせず、ただ黙々とチョコレートケーキを

美味しそうにかつ上品に食べていた

すると、屋敷二階の中央の扉が開いた......琴里である

 

「五河さん!?」

 

「......ただのメイドがはしゃぎすぎでなくて?」

 

「私は、ただのメイドじゃありません!」

 

バッとメイド服を脱ぎ、いつもの軍服とは違い、まるで士道のような

少し落ち着いた黒い上着に白のインナー、そして青いスカート

そして何よりも士道を驚かせたのは、()いリボンだった

 

「私は、とある人物から行方不明になってしまったパティシエ達の

連続誘拐事件を追っていました。屋敷の方々には大変ご無礼を

してしまい、まことに申し訳ございませんでした......」

 

「ほう......なるほど、では聞かせてもらおうかね......君の推理を」

 

琉兵衛が興味深そうな顔をしつつも、琴里は緊張せずに自分の推理を

展開していった

 

「まぁ、目の前にあるスイーツを食べながらでも気楽に聞いていて

ください。そのための余興なのですから」

 

青いリボンの琴里は黒の時よりもかなり礼儀正しく、インテリ系を

強調しているような素振りだった

 

「まず、外部からの誘拐犯の可能性ですが、それはおそらくございません。

なぜならば、このお屋敷の塀はかなり高く、屋敷の人間にばれないように

塀から侵入するのは困難です」

 

琴里は軍服を着た状態で一段一段階段を丁寧に駆け下りていった

 

「......堂々と入り口から侵入したならば

あり得る話ですが、銀行のような何処も似たり寄ったりな場所では

なく、屋敷の内部という未知の領域。

誘拐する時のリスクがあまりにも大きすぎ、屋敷外での

誘拐のほうが合理的になってしまうのです」

 

「ほう?だが、なぜわざわざ屋敷内部での誘拐を実行したのかね?」

 

「それは、外に出られなかったからです。脱走したと判明したら

大騒ぎになる可能性がある人物は......使用人ぐらいでしょうね」

 

「なるほど......だから、使用人を集めたのだね」

 

「えぇ。そして、このスイーツパーティにはもう一つの狙い目が

あります。それは、あの怪物が言っていた台詞が本当なのかどうか

確かめるために開いたわけですよ」

 

士道は少し頭を抱えていたが悪くない推理を展開していたがそわそわした

状態で内部を見ていた。そこにフラクシナスのインカムから通信が入る

フィリップからの通信である

 

[士道!恐らく、あのドーパントは「スイーツ」のメモリだ。そして、

あのドーパントの言っていた、「極彩色の甘美」という独特の

表現を検索して、真犯人を特定した。あの雑誌のランキングを

書いた張本人が、連続パティシエ誘拐犯だ。そして、そのライター

の名は......]

 

フィリップが士道に話している中、左耳で琴里の推理を聞いていた

 

「この証言はあくまで私が犯人の言葉を木の陰で直接聞いたことに過ぎない

わけですが......

「ありふれた平凡な菓子を舌先に乗せると私はそれだけで戻してしまう。

極上のスイーツがないと生きていけないのだよ」

もし、これが本当ならば、このスイーツタイムにおいて一切合切

フォークを使ってスイーツを口に運んでいない、もしくは食べただけで一人だけ顔色が

悪くなっているはず。

そりゃあ、そうよ。確かにお屋敷の方々の分は麻衣さんが作り上げたスイーツ

だけども......使用人のお菓子は、私ですら行かない、駅前のやっすい工場で

作ってそうなケーキを切って並べただけだもん......そうよね......」

 

そして、インカム越しのフィリップの声と琴里の推理が偶然重なったのか

二人が一斉に同じ名前を呼んでいた

 

「[佐々木由紀子]さん?」

 

そう呼びあげた後に、佐々木由紀子は我慢できなくなってしまったのか

フォークと皿を落としてしまい、顔色を悪くして口を押えてこちらを

睨んでいた。

同時に、琴里の驚きの推理力に士道は驚きを隠せずにいられずに

少し放心状態になってしまったが首を振って我に返る

すると、観念したのか佐々木由紀子はメモリを取り出し怒りの言葉を

琴里にはなった

 

「食わせたな......!あたしの黄金の舌先に、工場の

糞菓子を食わせたというの!?許せない......!」

 

「あら、お生憎様ですね、貴女がそこで顔色を悪くしないですまし顔

をして食べていたのならバレずに済んだものを......わざわざ立候補

してくださってありがとうございますねっ」

 

最大級の笑顔と皮肉を込めて青いリボンの琴里はそう言い放った後に

麻衣が琴里の隣に立って叫んだ

 

「貴女がお父さんを......!お父さんを返して!」

 

「やかましい!」

 

Sweets

 

スイーツメモリを鳴らし、生体コネクタにメモリを差し込むとスイーツドーパント

へと変身すると使用人は大騒ぎ。そして、そのまま外へと逃げ出した

 

「危ない!」

 

スイーツドーパントは白い液体.....おそらくクリームのようなものを麻衣に

包み込もうとすると琴里がとっさにバッと倒れ、避けた。しかしその行動が

逆に仇となってしまった

 

「ならば、お前もこい!」

 

「!?」

 

琴里と麻衣は共にクリームで包み込まれ、そのままスイーツドーパントに飲み込まれて

しまったのである。そしてその後、屋敷の外へと逃げていった

 

それを追うかのように士道は走り出し、フラクシナスのインカムに二回ほど小突き

大声で話す

 

「神無月さん!琴里の場所は!?」

 

[この先を直進すると小さな家らしきものが確認できます。おそらく、ドーパントは

そちらのほうに司令と麻衣さんを監禁するようです。司令がヘマするとは思えませんが

十分に注意してください]

 

「行くぜ、フィリップ!」

 

Cyclone

 

Joker

 

「[変身!]」

 

Cyclone Joker

 

士道は琴里を救うために必死だったため、背後に変身を目撃した

二人.....霧彦と冴子には気づかなかった

 

「やっぱり、あの時の少年だったか」

 

「......倒すわよ、霧彦」

 

Nazca  Taboo

 

ガイアドライバーにナスカとタブーメモリを刺した二人はドーパントへと変化した

 

「はっ!」

 

「!?ぐあっ!?」

 

Wは走っていたため、タブードーパントの攻撃に気づかずに球を直撃してしまう

 

「またお前らか!?しかも二体同時に......!」

 

[なぜ、ここまで幹部系ばかりが!?]

 

ナスカが近接で攻撃し、タブーがナスカを邪魔しない程度に弾を当てる

流石に二人のあいてをしているとスロットを変える暇がない

 

「くそっ、こいつら何とかしないと、琴里が!琴里が危ない!」

 

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Area 由紀子のアジト?

 

スイーツから吐き出された二人は白いクリームまみれになってたおれる

 

「......麻衣っ......」

 

「父さん.....お父さん!」

 

そこにはクリームで縛られた麻衣の父親である勇三がうめき声を

しながら必死に娘のことを呼んだ。しかし、変身を解除した由紀子

に肩を掴まれる

 

「さぁ、父親と一緒に永遠にここで私に仕えるのよ」

 

「貴女......なんであたしたちをこんな目に......」

 

掴んだ肩を離した由紀子は自ら犯行の動機を語った

 

「あたしは見る側じゃなくて、作る側になりたかった。でも、天宮の

一番街に出した店は一年もしないうちに潰れた......

あたし知ったわ。食べて批評するのと作るのは大違い......」

 

スイーツのメモリを見せつけながら不気味な笑顔で笑いながらいった

 

「でも、これさえあれば最高の味を私ひとりのものにすることができる......」

 

「黄金の舌先ねぇ......アンタのその舌は黄金じゃない。金メッキよ。オバサン」

 

「金メッキですって......!?」

 

すると、目の前にはスロットらしき挿入口がある白いブレスレット型の装置を

取り付けた黒いリボンの琴里がいた

 

「アンタはパティシエのことを全然理解していないわ。そもそも、貴女はスイーツに

しか目が言ってないんだもの。当然だわ」

 

「減らず口を......!」

 

「スイーツ......いえ、全ての料理には他でもない作った人の心が込められている

のよ。アンタの欲望まみれの菓子という名のゲテモノはパティシエのスイーツ

......いえ、私が買ってきた工場のケーキよりも不味いのは食べなくても丸わかりだわ!」

 

「っ......!散々、私のことを馬鹿にした娘......!まずお前から壁の塗料にでもおなり!」

 

Sweets

 

「へぇ......なら、この出来立てほやほやの新型セフィラドライバーで焼き菓子

を通り越してただの炭にしてあげるわ」

 

すると、転送された一本のフェアリーメモリが琴里の手に渡るとそのメモリの

ウィスパーを鳴らした。それを見たスイーツドーパントは驚きを隠せなかった

 

Kamael

 

「!?貴女もドーパントなの!」

 

「違うわね.......私は今からなるのは、仮面ライダーよ!」

 

そういった琴里はスロットにカマエルメモリを挿入させるとメモリの挿入口ごと

ドライバーを横にずらして戻した

 

「変身!」

 

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Area フラクシナス

 

「オペレーション、セフィラドライバー認証完了しました!」

 

「顕現装置、転送許可が下りました!」

 

川越と椎﨑がそのように言葉を発すると、神無月がヘッドフォンを

しながら顕現装置の最終調整を瞬時に行ったのち中央の

赤いボタンのハッチを開ける

 

「最初の出陣なのですからかっこよく決めませんとね......

Masked Rider Sprit System 起動!」

 

神無月は赤いボタンを強くおすとモニターの琴里が炎に囲まれ、

分子化された服は瞬時に顕現装置用のタイツスーツに変換する。

その後、足、膝、腰、腹部、胸部、肩部に白い鎧を装着し、

メットの部分を琴里自らの手で被ると青色のアイレンズが光る

と同時に白い鎧は炎に純粋な紅へと変わる

 

最後に肩部から二つの白い角と白い羽衣のようなものを纏わせると

変身完了となった

そして、琴里はモニター越しで自分の格言である台詞を宣言した

 

[さぁ、私たちの戦争(デート)を始めましょう]

 

その一部始終を見ていた十香と四糸乃は目を輝かせながら琴里

の姿を見ていた

 

「琴里が仮面ライダァになったぞ!」

 

「かっこいい.....です」

 

「十香、先日、四糸乃を救うときに渡したドライバーを覚えているかね?」

 

令音は隣で瞼をこすりながらも書類でスペックを確認しながら話した

 

「あぁ......覚えているぞ。なんか、力が出るとはいえ、そこまで

出ないような......もどかしい気分だったぞ」

 

「それは、霊力が暴走しないようにあえて出力を50%にしてあるから

なのだよ。いわば、あのドライバーは封印が解除されないように

するための一種のリミッターのようなものだったのだよ。

力が他の精霊より強い十香はドーパントに太刀打ちできたのだろうけど

他の精霊だとどうしても一般ドーパントにパワー押しされてしまう

というのがシミュレート結果だったんだ」

 

[で、それを補うための鎧ってわけなんだねぇ]

 

「あぁ。精霊の精神不安定による限定解除は最大10%ほどしか意味を

なさないからね。ドーパントに太刀打ちできるのは普通ならば完全な

精霊ぐらいしかいないのだよ。データ上はね。それを補うために

顕現装置を使っているのだよ」

 

「弱点として顕現装置の脳による負荷が見込まれるのですが

......そこはモニターで私が直接制御しているんですよ」

 

神無月がヘッドフォンをしながら的確に琴里の戦闘をサポートする

しかも、話しながらその多大なる負荷をかけていることに

クルー全員が驚きの顔をしていた

 

「なるほど......琴里と神無月で二人で一人の仮面ライダァを

やっているのだな......」

 

「本人は断じて違うと抗議していたのだが......どちらかというと

琴里の動きを神無月が合わせているようなものだね」

 

「あー。もうちょっと強い攻めをしてくれませんかねぇ。脳のズキッと

する具合がたまらないのですが、インパクトが足りないわけですよ!

司令ももっと派手な動きをしてくれれば痛みも倍になるわけですから

それもそれで嬉しいんですけどぉ!」

 

脳内が激しく痛みに襲われているだろうというのにドMの神無月は

とても涼しいというより火照った顔をしてモニター前でくねくね

していた。

凄いのか凄くないのかいまいちわからない神無月にフラクシナス

クルー全員が盛大なため息を吐いたのも言うまでもなかった

そして、十香が少し黙った後に令音に質問をする

 

「令音、あれって私にも使えるのか?」

 

「......使えなくはないが、ある程度の訓練が必要だね。琴里もシミュレーター

で何回かやっているからね......」

 

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Area 中庭

 

「っぐあ!」

 

Wが地面を転がると、ナスカとタブーは止めを刺そうとして光弾を

放たれようとしていたその時、巨大なマシン、リボルギャリーが

二人の光弾を遮りWの前に立ちはだかる

 

[間一髪だったね]

 

「あぁ、こいつらの相手をしている暇はない!」

 

リボルギャリーが開かれると中にはハードボイルダーが収納されていた

Wはハードボイルダーに乗ると、リボルギャリーの背後のリボルバー

が回転し、緑色のダッシュブーストユニットと呼ばれる拡張機能

のもったユニットを背後に装着させた

 

「いくぜ......!」

 

ギアをかけると背後のブースターが火を噴き今までと比べ物にならないほど

のスピードで二人の横を横切った

 

「追って!」

 

タブーが命令するとナスカはハードボイルダーに追い付きそうな勢いで

走り始めたのであった

 

Cyclone Trigger

 

サイクロントリガーにメモリを変えたダブルはトリガーマグナムの

マキシマムスロットにサイクロンメモリを装填させた

 

Cyclone MAXIMUM DRIVE

 

「[トリガーエアロバスター]!」

 

疾風の弾丸がナスカに降り注ぐとナスカはそれを辛うじて剣で弾き返そうと

したが、最後の一発はまともに受けてしまい一瞬怯んでしまう

その直後にブーストユニットが解除され、その残骸がナスカに当たり

逃げ切ることに成功したのであった

 

「あーばよ」

 

ナスカは悔しそうに地面を拳で殴ると怒ったような喧噪でタブーが睨んできた

 

「貴方、それでもナスカメモリの所持者なの!?この役立たず!」

 

背後で赤色の弾丸が爆発したことはWは知る由がなかった

 

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一方、小屋の外では仮面ライダーセフィラとスイーツドーパントが

戦っていた。セフィラは炎を纏った巨大な斧を使い重い一撃を与える

 

「神無月!ユニットのパワーが押されてるわよ!何してんの!」

 

[ああっ!この尋常なる痛みにある私になんたる命令(ご褒美)

この神無月、一生ついていきます!]

 

セフィラは腰につけてあるセフィラマグナムと呼ばれる白いトリガー

マグナムを持つとそのセフィラマグナムもまた深紅に染め上げる

トリガーを引くと赤い炎の弾丸がスイーツに当たる

 

「これしき!」

 

それを打ち消すかのようにスイーツはクリームをかけて消火させる

セフィラはそれを囮にして自慢の斧を片手でスイーツを斬ると

スイーツの中からクリームがあふれ出てセフィラの足元や体を

固まらせようとする

 

「言ったでしょう?炭にしてあげると!」

 

クリームがついた箇所は真っ赤に燃え上がり、もともと炭素が入っている

ため全ての食べ物は有機物であり、焼かれ過ぎた全ての食物は

炭となっていくのである

言わずもがなクリームも有機物の一種であるため焦げ、やがては黒い

炭となり体から落ちて行ったのである

 

「っ!」

 

スイーツは自分の不利を感じたのか自らクリームとなりその場から消えていっ

てしまったのである

 

「どこに行ったわけ......?」

 

すると、背後からセフィラが見たことがある青色のカメラ.....バットガジェットが宙を

飛んでいたのであった

 

Luna MAXIMUM DRIVE

 

バットはそのままフラッシュを何度もたかせるとまぶしかったのかスイーツが

うすらうすらと木の前で見え隠れしていた

そしてそれとともにWがやってきた

 

「琴里......お前、その姿は......」

 

[その様子だと完成したようだね......セフィラドライバーの完成型]

 

「えぇ、貴方や或守がいなかったら完成することができなかったわ」

 

士道側は驚いているようだがフィリップはこのことを知っているということは

フラクシナスが新たに開発したものだろうと悟った

 

「さて、アイツにはあっつあつのデザートをごちそうしてやらないとな」

 

「そうね、いきましょう、お兄ちゃん」

 

「あぁ......[さぁ、お前の罪を数えろ!]」

 

指でスイーツドーパントに指してお決まりのセリフを放った後

 

Heat Joker

 

ヒートジョーカーへと変身させたWは腕をぽきぽきと鳴らしながらセフィラ

の並び立つとセフィラは斧の柄の後ろの部分のマキシマムスロット、そして

Wは腰にあるボディサイドのマキシマムスロットにそれぞれセットする

 

Joker Kamael MAXIMUM DRIVE

 

「「[カマエル・エヴォル・グレネード!]」」

 

火柱をあげた斧はそのエネルギーを一気に解放させ、Wの炎の拳に

更なる劫火を与え、ボディサイドとソウルサイドが割れて同時に

パンチで攻撃をする

それをまともに食らってしまったスイーツはメモリを破壊され、

その場で真っ黒焦げのアフロになってその場に倒れたのだった

 

そしてWとセフィラの見た先には麻衣さんが他のパティシエを連れ出して

外へと脱出している姿だったのであった

 

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Area 時崎邸

 

「あの探偵の子......面白かったわね、仮面ライダーもかなり強かったわ

どっかの愚弟と違って」

 

「言葉は選んでいいなさい、鞠奈」

 

「「あたし」はそう思いますわよ、お姉さま。だって役立たずに

役立たずといって何が悪いの?「あたし」は謝らないわ」

 

「っ......まぁいいわ、お仕置きはちゃんとしておいたわ

それと、「あたし」という言葉はこの家にふさわしくないって言っているでしょう?」

 

鞠奈はクスッと笑って冴子の元から歩き外に出ようとした。それをミックが

起きだして鞠奈の元へとついていったのであった

 

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シャワーの中、霧彦はあざだらけの体で体を洗っていた

 

(あぁ、七罪、雪絵......お前達は何処で何をやっている......精霊を見るたびに

頭から二人の顔が忘れられないよ)

 

裸の状態であっても肌身離さず持っているペンダントの中の小さな写真には

少年と二人の少女の姿が写されていたのであった

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Area 鳴海探偵事務所 Side 士道

 

翌日の放課後、俺は今までと変わらずに調査報告書を書いていた

おかしな屋敷に敵幹部の総攻撃......全くあわただしい事件だった

まぁ、依頼者達の笑顔が取り戻せたのは何よりだ

 

「シドー!クッキィとやらを作ってみたぞ!調理実習で皆に教えて

貰って私がこねたのだ!食べてみてくれ!」

 

「あぁ、いただくよ」

 

午後の授業において女子組は家庭科実習だったらしく

クッキーを俺の机の上にデンと置く

 

「で、琴里、どうしてお前は危険を侵してでも俺をデートさせたかったんだ?

お前が怪我でもされたらデートどころじゃねぇのは分かってんだろ?」

 

ボリボリとクッキーを食べほのかな甘みのある味を楽しみつつもコーヒーを

口に流し込むと、黒リボンの琴里が珍しくそっぽを向きながら言う

 

「だって......おに.....士道の探偵の仕事をして怪我をするかも

しれないじゃない?私はその負担を減らそうと.....」

 

「したのは建前で、本当は毎回十香と事件の調査を出かけていく

姿に妬んだんじゃないのk......」

 

令音は追加のコーヒーを俺のコーヒーカップに入れつつも

自分のには大量の砂糖を投入させた

 

「浅川勇三さんの新作スイーツ5種!」

 

「すまない、シンなんでもない」

 

とんでもない情報の買収を見せつけられたが俺はそんな子供だましに

はぁ......とため息を吐いたのであった

 

後々フィリップから聞いたものだが、新型のセフィラドライバーで

変身する仮面ライダーセフィラは精霊が装着者であるが

基本顕現装置の部分を完全に神無月さんがコントロールさせる

システムらしく、神無月との連携を取れればどんな精霊でも

扱うことができるらしい

 

弱点としては二つ存在する

実質神無月が全ての顕現装置の制御をするため、神無月が人間である

以上、長時間の運転やマキシマムドライブを打つと神無月本人

に限界が来る......というより昇天してしまい、倒れてしまうこと

 

そして、神無月本人が不在だったりフラクシナスとの連絡がとれない

時点で変身すらできない弱点も存在するのである

ただでさえ、魔導士の装備は脳に負担がかかり、強い装備であればあるほど

本人を廃人にしてしまうリスクが高まっていくのである

 

それをものともしない神無月はただならぬ過去を持っているのではないかと

俺は思った。機会があれば神無月本人に聞いてみるのもいいのかもしれない

 

「フィリップも食べてみるのだ!」

 

「あぁ、いただくよ......そういえば琴里ちゃん、最近琴里ちゃんって

キャンディーとは違う甘い匂いがするんだけど気のせいかな?」

 

「!?」

 

「クンクン......おぉ!クリームとかの香りがするぞ!」

 

十香が琴里の服に顔を近づけてクンクンと嗅いでみると即座に反応する

そして砂糖で飽和した状態でもなお砂糖を入れようとする令音が軽く推理した

 

「さしずめ、浅川麻衣のところに密かに通ってスイーツの作り方を学んでシン

に......」

 

「今度は翠屋とラ・ピュセルの限定スイーツ各3種類!」

 

「ギャフンと言わせたかったんじゃないのかな?」

 

令音の甘党ぶりには困ったものである。おかげで彼女のためにめったに買いに行かない

コーヒー用シュガーを週単位で買いなおさなければならなくなったのである

 

甘ったるいものというのは、いささかハードボイルドには会わないものだが

脳を働かせるためには糖分も必要であるため少しぐらいはいいだろうと

思いつつも十香のクッキーをむさぼりながらも報告書を書き上げる

 

......皆がいろいろなことを思い、一歩ずつ進歩していっている

俺もそろそろ次の一歩を踏み出さなければならないだろう

いつかあの日を受け入れなければならない日が来る

その時は俺はあの精霊を愛していられるのだろうか......

あの日、ビギンズナイトの.....「悪夢」を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、ここで仮面ライダーセフィラの補足についてですが、
セフィラマグナムとセフィラブレードと呼ばれるビームソードが
ついています。スターライトと違う点は、疑似メモリを使った
攻撃のレパートリーが偏ってしまうこと
そして精霊のメモリにより強さが大体決まってしまうことです
十香や琴里が変身した場合は問題はないんですけど、
パワーが足りない美九や四糸乃だとパワー押しされてしまう
可能性があるのです
武装はその二つと、精霊が最も得意としている武装を含めて
三種類で戦っていきます(十香はサンダルフォン、四糸乃はよしのんなど)
仮に射撃や打撃の攻撃手段が精霊になくてもマグナムかソード
で補うことができるというわけですね
(ただ、大きく動けばその分神無月がもがき苦しみます)

次は一年経ってしまうので外伝を投稿しようかなぁとか迷ってます
本編はアンケート一位の美九さんが登場します

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