デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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お待たせしました。
久々の投稿のため、いろいろ文章構成が変な箇所やストーリー構成が変なところがあるかもしれませんが、そこは指摘をください
ストーリー構成上、修正しました


Yを探せ/突入準備

Area 天宮第一小学校

 

「……着いたな……」

 

士道は、朝の10時に学校の校門前へと立った。事情聴取は、放課後である12時に校長室や職員室に行う予定のため、それまでは小学校に保管されているであろう被害者の個人情報などといった参考資料の確保である。

 

一応、被害者の親族には学校側で許可を貰っているため、なんの躊躇いもなく調査に打ち込めるようだ

 

「懐かしいな……昔は新品同様のものばかりだったのに、流石に5年たつとそうでもなくなるんだな……」

 

感慨深くなりつつも、士道は職員室へと歩いていく。すると、老人の怒鳴り声が職員室の中から聞こえてきた

「ふざけるな!お前が授業担当しているクラス全部に被害者がでているんだぞ!お前が拉致したんだろう!?」

 

「違います!私はこのような子供達に外道なことをするわけないでしょう!」

 

「お前は教員として失格だ!……教育をなんだと思っているんだ!」

 

「なっ……それとこれとは話が別でしょう!?」

 

あまり、このような修羅場に突っ込みたくはないが、調査をするのにも時間が惜しいため、士道は職員室のドアにノックをする

 

「失礼します、川口先生はいますか?」

 

「ちっ…」

 

すると、老人はイラついた顔をしつつも、職員室のドアで士道とすれ違いに出ていってしまった

 

「なんなんですか?あの先生」

 

士道が川口先生に聞くと、川口先生は苦笑しながら答えた

 

「あれは、二宮和明先生で2年ぐらい前に転勤してきた新しい教頭先生なんですよ」

 

「なるほど……っと、先生、生徒の個人情報データをください」

 

川口先生は、ケースからSDカードを取りだし、士道に渡す その後、士道は自身のタブレットPCを取りだし、そのままデータを閲覧する

 

「……機密情報ですから、くれぐれも流出しないでくださいね?」

 

「分かってますよ」

 

 

士道は、パソコンでさらわれた子供のクラス、クラブ活動、親の仕事などといった個人情報をさらっていくうちにあることに気づいた

 

「……これは……!流石にきな臭いな……」

 

士道は、それをヒントに自身の推理に仮説と裏付けをしていくのだった

 

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Area フラクシナス

 

「神無月、データは集まった?」

 

「はい、指令。ただ、国家レベルの衛星が特定できない箇所となると、殆どDEMインダストリーやミュージアムインダストリーの施設になってしまわれるかと」

 

その言葉に琴里のチュッパチャップスの棒が微妙に反応したが一切動かされた表情は見当たらなかった

 

「あのぉ......DEMやミュージアムって、世界的有名な軍事会社のことですか?」

 

美九の質問に対して本棚にアクセスしているフィリップに代わって隣にいた令音が説明する

 

「ああ。しかし二大会社はただの軍事会社ではない。DEMは非人道的でいろいろと法律に引っかかるほどの黒い実験をしている上に、我々の組織以外に精霊を知る組織であり、彼らの目的は精霊の捕獲……もしくは抹殺だ」

 

精霊の抹殺------それを聞いた精霊である美九は少しぞっとした。そして令音は続けた

 

「対するミュージアムはCRユニット兵器を開発している以外、正直こちらから情報がつかめないのが現状。ただ、前回のAST団員のミュージアム製CRユニットを見るとミュージアムも精霊のことを知っているのではないかというのが我々の見解だ」

 

「…恐らく、ほぼ間違いなく彼らが咬んでいることは間違いないわね…神無月、引き続きよしのんの霊力の捜索を」

 

「了解しました」

 

(とは言ったものの、前回の件からしてドーパントが絡んでいるあたり、間違えなさそうだけど…ただでさえ国家レベルの衛星すら感知しない施設を虱潰しに探せないわ…士道が見つけてくればいいんだけど)

 

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Area 職員室前

 

「あれ?あの姿は、士道さん?」

 

なのはは、フェイトと共に学校からホビーショップに直接向かおうとしていたところだった すずかとアリサは週に一度の習い事があるようで今日は二人だけだ

 

「なのは、ほら、多分失踪事件の調査…」

 

「なるほど…」

 

なのははフラクシナスについては他の人に言ってはいけないと言われていたため昨日、友人には若干嘘を言っているためわざと惚けていた

 

「でも、どうして誘拐犯は私たちの学校の生徒ばかりさらっていくんだろうね?」

 

「さあ…多分、関係者なんじゃないのかな?」

 

そのとき、なのはの横に教頭先生が何か急いだような素振りで廊下を速歩きで横切っていった

 

「?教頭先生、なんか様子がおかしくなかった?」

 

「追いかけてみよう!」

 

「えっ、なのは!?ちょっと待ってよ!」

 

なのはが急いで追いかけようとしてるところをフェイトに止められるが、こうなったなのはは中々止められない

 

「教頭先生が病気とかだったらどうするの!?いこうフェイトちゃん!」

 

「えっ、ちょっ、待ってよ!なのは!」

 

なのはとフェイトはそのまま教頭先生の後を走って追いかけた

 

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教頭は困惑していた。時々、自分が自分でなくなってしまうような感覚に陥るのだ

 

自分が気持ち悪くなってその場で気絶したと思ったら自宅で寝ているのだ

 

まるで、麻薬のように記憶が吹っ飛んでいくのである自分が今、何をしていたのか……それが自分の中にある「ナニカ」が吐き出されたと思ったら記憶が飛んでいるのだ

 

「冴子様のために貴方は操り人形になる……そして、私も所詮は捨て駒なんでしょうけど」

 

突然、彼の頭に謎の声が響いてきた

 

教頭は、頭をかかえつつも誰もいない場所から聞こえる声をさぐるために周りを見渡していた

 

「セフィラ・ビーストドーパント……起動」

 

「うがああああああ!」

 

謎の声が起動コマンドをいうと、なんも関係ない教頭が、ガイアメモリ抜きで校内の廊下でドーパントへと変化してしまった

 

「やはり、新型は素晴らしい……」

 

謎の人物が教頭先生を何処か移動させようと姿を表す。姿までは影に隠れてあまり見えないが、フードを被っていたのは確かである

ガタッ

 

「!?誰だ!」

 

そのときだった。教頭先生を追っていたなのはとフェイトがその一部始終を見てしまっていたのだ

 

「ちっ……見たな……「雪男」!そのガキどもを捕まえろ!」

 

「がああああああ!」

 

「いけない!なのは!走るよ!」

 

「う、うん!」

 

なのはとフェイトはこの場から全速力で逃げ出した。しかし、雪男のスピードには追いつかずそのままひょいっと二人を持ち上げてしまう

 

「いやっ離して!」

 

なのはとフェイトはジタバタするが、雪男のパワーではどうしようもできない

 

「いやああああ!士道さぁぁん!」

 

なのはの声は虚しく響きわたるだけだった……しかし、雪男達は気づいていなかった。すでにこのことはフラクシナスの発信機によって知らされていたことを

 

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ピピッ

 

スタッグフォンで発信機が急速に動き始めたのを確認すると士道は発信機の下へと走り出した

 

「ちっ…思ったとおりだ…あいつらのターゲットは四糸乃だけじゃねぇんだ」

 

[士道、それってどういうこと?]

 

琴里がインカム越しでそのことを聞いてきた

 

「俺たちはガキをさらう基準が精霊のみだと考えていた。だが実際は精霊はただのカモフラージュに過ぎねぇ…精霊とあえて絡ませることで国家や警察を遠ざけて犯行をやりやすくしていたわけだ。精霊はDEMかミュージアムのどちらかに売ったのか、そもそもの精霊を引き渡すことが金にかわる契約内容なのかはわかんねえけど」

 

[なるほどねぇ…それじゃあ、本当の基準っていうのはなんなの?]

 

「…キーワード追加…「PTA」だ」

 

士道は学校の校門前に出ると、スタッグフォンの自動操縦でハードボイルダーを呼び出し、そのままハードボイルダーに飛び移って運転し始める それと同時にキーワードを入力完了したフィリップはすぐさま検索を再会させる

 

 

[検索が完了した。ビンゴだ士道、地下に子供達の隔離施設、隣にはミュージアムの実験施設がある。今、そちらに座標を転送するよ]

 

[地下ですか。道理で衛星に引っかからないと思ったら…ただでさえ電波の悪い箇所にジャミングを仕掛けられたらごまかすことも可能でしょう]

 

「あとこっちに十香を送ってくれないか?よしのんの救出とガキ共の救出は厳しいかもしれねぇ」

 

[分かったわ。士道も気をつけて]

 

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Area フラクシナス

 

「と、言うわけで十香…分かってはいると思うけど、相手は精霊を捕まえるほどの実力があるわ。決して油断しないこといい?」

 

「うむ、分かったのだ」

 

珍しく、人手が足りないのだろうか、戦闘要員はあいにくフラクシナスではドーパントと相手ができるほどの実力を持っていない人ばかりなのである すると、隣で今まで以上に体が弱弱しい四糸乃が琴里の袖を引っ張ったのである

 

「あの……私も連れてってくだ…さい」

 

「四糸乃!?駄目よ!?唯でさえ霊力が消耗しているんだから!」

 

「よしのんのために…何もできないのは、い…や…です」

 

四糸乃は疲れた顔をしつつも、彼女なりの覚悟を琴里に見せているようだ

 

「いいんじゃないんですか?」

 

美九は、ブリッジで少しやつれてしまった四糸乃の頭に手を乗せると、オーラのようなものが四糸乃の中へと流れていった すると四糸乃の顔色が良くなり、逆に美九は少し疲れたような顔をしていた

 

「だーりんも、十香さんもとても強いですから大丈夫だと思いますし…大切なものを自分の力で取り戻したいって言う気持ちは私によーくありますから」

 

美九の説得もあって琴里は頭を指で支えてうなってしまった。そこにフィリップが四糸乃の顔色や見た目の体調を確認してから琴里に伝える

 

「いいんじゃないのかな?彼女の体調も悪くない。よしのんさえ取り戻せば彼女も戦力になるだろう」

 

「フィリップまで…うぅ…ああ!もう分かったわよ!無事に戻ってきなさいよ!二人とも!」

 

そういうと琴里は癇癪を起こし、そのまま神無月の股に蹴りを入れた

 

「おうふ!あぁ、そんな理不尽な指令もまたイイっ」

 

 

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Area DEM

 

「…お姉さま、ミュージアム側が精霊を確保したらしいですわ」

 

ネイはアイドル服とは違うスパイ服を着た状態でエレンの部屋へとやってきたエレンは現在シャワーを

浴びているらしく浴室から彼女の声が聞こえる

 

ネイはケースから注射器を取り出しそのまま注射をし、そして、自分の匂いが生臭くならないように

少しキツめに香水をかける 体温はCRユニットの応用でなんとかなったが、死体とは案外女性に

とって見れば不便である

 

部屋は専用の清掃係が毎回掃除しているらしく、部屋はかなり整っている

 

(お姉様はCRユニットの操縦は誰よりも勝っているけど基本肝心なところでヘマをするドジっ子で、わたくしと違って運動音痴なところがあるわ……これからはわたくしがしっかりしないと!まだ私は死んでいられないのよ)

 

「ご苦労様、ネイ。冷蔵庫の水を取ってくれる?」

 

「はい、そう思って予めコップに注いでおきました!」

 

エレンはバスローブを纏い、ネイに渡されたコップをとり水を摂取し、少し落ち着いた

その後、エレンはネイが掠め上げたミュージアムの研究報告書をさっと見通す

 

「ハーミットのセフィラの一部…?生け捕りにしたわけじゃないの?」

 

「恐らく、ベルセルク姉妹と同じように異なる意思が分散したものかと…ほら、ハーミットの天使と本体の意思が違うじゃありませんか」

 

コップを起き、エレンは書類を見通して少しムッとするがすぐにもとの顔に戻す

 

「どちらにせよ、危険度の低いハーミットはお姉さまの敵ではありませんわ。

問題なのは、セフィラの捕獲装置です」

 

「確かに、私たちがかなり苦労して捕獲したのに関わらず、あそこはハーミットといえど容易に捕まえてしまった…将来的に今あそこを潰さないとDEMの存続…いや我々の計画に支障が起きるでも、アイクの親友に下手な真似はできない……アイクに相談すべきかしら?」

 

エレンが少し首をかしげているときにネイは紅茶をティーカップに注ぎ、エレンに渡す

 

「いえ、必要ありません…わたくしの部隊の工作員がフラクシナスにハーミットのもう片方のセフィラ反応を察知したようです。少なからずとも、あの保護団体は研究施設を放置しておくわけにはいかないでしょう。そのときの混乱に混じりこんで捕獲装置の設計図か本体を奪ってしまいましょう」

 

「なるほど……彼のいる組織がねぇ…!?あつぅ!?」

 

エレンはふとネイとは違う別の妹のことを思い浮かべ、物思いにふけながら熱い紅茶を口にするが、淹れたてであるため完全に油断していたエレンは反射的に声を出してしまう

 

「!?お姉さま、大丈夫ですか!?」

 

ネイはすぐに水をコップに継ぎ足しエレンに渡すが、エレンは丁重にことわる

 

「え、えぇ…問題ありません」

 

エレンはふわっと乾かしたばかりの髪を掻き立てるが、自分の舌が火傷してしまったことはネイには言えなかった

すると、部屋にノックの音が聞こえる

 

「エレンさん、月に一度の健康診断の時間ですよ」

 

「えぇ、分かりました。()()先生……ネイ、着替えるのを手伝いなさい」

 

「分かりましたわ」

 

ネイはさっそくエレンの服を取りにクローゼットへ向かったのだった

 

 

 

 


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