デート・ア・ライブ ダブル・ボイルダー   作:天音/IA

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NとYの出会い/雪男の襲来

Area フラクシナス

 

「士道君、目標到達まで残り数十メートル!」

 

「カメラ飛ばして!」

 

琴里が指令するとフッとデパートの入り口と士道が映し出された

 

[デパートの何階だ?]

 

「3階の玩具売り場よ」

 

すると士道は慌てず、かつ急いで階段を登っていったのモニターで確認した

 

「……メカメカ団のほうは大丈夫なのか?」

 

十香はモニターを冷静に分析する令音に話しかける

隣でクイーンとエリザベスがカタカタとPCを打っている

 

「……恐らく、精霊は建物の中だ……ASTも戦いにくいだろう」

 

「ただ、別に気を付けるべきなのはドーパントだ。襲撃の可能性が否定できない」

 

「そこなのよね……今のところドーパントの反応はないけど」

 

フィリップと琴里がドーパントの襲撃の可能性を示唆する。それは十香も同じようなケースに遭遇しているため否定できないのだ

 

[ついたぞ、3階……!?]

 

「どうしたの!士道!」

 

少しカメラを精霊のほうに飛ばしてみる。すると、精霊と思わしき少女の隣におさげの少女がいたからだ

 

「なのはちゃん……!?」

 

「!?どうして一般人がいるの!」

 

琴里が驚いてチュッパチャップスを落としそうになるとフィリップが分析する

 

「逃げ遅れたのか……それとも……」

 

全員が唖然とする中、士道は一旦物陰に隠れて割り込むタイミングを考えていたのを目にしていた

 

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Area 天宮デパート

 

今日は学校は開校記念日で休みで、フェイトちゃんと買い物に来ていました

 

「ごめんね、付き合わせちゃって」

 

「いいの、いいの、フェイトちゃんには優しくされてるから……」

 

私とフェイトちゃんしかいないのは、すずかちゃんとアリサちゃんは別の用事、アリシアちゃんは店番だからなの

 

それで、私とフェイトちゃんは買いたい服を選んでいるところなの

 

すると、異変が起きました。デパート内にけたましいサイレンが鳴り響いたからです

 

「なのは!空間震っ早くシェルターに!」

 

……だけど、私には見えてしまったの。幽霊みたいな物陰が私の前に過ぎた気がしたことを……

 

「フェイトちゃん、先に行ってて!」

 

「ちょっと、なのは!?」

 

私はフェイトちゃんを置いていき、その幽霊の元に走り出した。人混みのなかをかき分けて出口とは逆側に走っていった

 

「あぶねぇ!」

 

「おい、シェルターはそっちじゃないぞ!」

 

大人達は私を止めようとしても、私はある程度武術をたしなんでいるため、捕まえられることはなかったの

そこまで私が走る理由は、幽霊の姿がとても彼女……雨のときに傘をしていなかった緑の服の女の子ににていた気がしたからなの

 

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『全く……四糸乃のそのビビりはいつ治るんだろうねぇ……よしのんがいなくなっちゃったらどうするんだい』

 

「わ、分かってるんだけど……やっぱり……怖い………です」

 

よしのんは、本来の人格である四糸乃と会話をしていた……四糸乃とよしのんは無意識で作りあげた表裏一体の二重人格なのだ

 

カタッ……

 

「ひっ……」

 

四糸乃は、恐怖で再びフードを深く被り黙りこんでしまった

 

『やれやれ……仕方ないなぁ……ん?』

 

よしのんは、おさげの少女がこちらに来たのである

 

(ん?……この子、前に神社でみたような……)

 

よしのんに近づく少女は駆け足でやってくる

 

「やっぱり……見間違えじゃなかったの」

 

少女は息切れを少ししつつも、息を整えながらよしのんに話しかける

 

『確か、君、神社であった子だよねぇ?どして、ここに来たの?』

 

「……っそれは……私、どうしても気になったの……貴女が……傘もささないで暗い顔をしてたから……なの」

 

その言葉を聞いたよしのんは、少し動揺したような素振りをして少女に話した

 

『っ……やっぱりかぁ……でもね、君が知ってもどうにもならないことだと思うよ?』

 

「どういうことなの?ウサギさん」

 

よしのんは考えるような素振りをすると、少女に対して話す

 

『よしのん達は、普通の人間じゃないって言ったら、君はどう思う?』

 

「……!」

 

少女は、少し驚いたような表情をしてはいたが、その先の言葉を話すことは出来なかった

 

『!?君、危ない!』

 

よしのんはそう叫ぶが、彼女の反応が少し遅くなってから振りむく

 

バリン!

 

「うがあああああ!」

 

「っ!」

 

窓を割って、昨日の雪男が襲いかかってきたのである

 

すると、ソフト帽子を被った学生服を着た青年が横に入り、メモリガジェットを起動させる

 

Bat

 

「士道さん!」

 

『!昨日の彼か!』

 

雪男が士道のバットのフラッシュ攻撃に、錯乱されるなか、士道は二人の前に現れた

 

「ったく、なのは、駄目だろ……シェルターにいないと……」

 

「ごめんなさい……でも、空間震の前にこの子の影を見たら、いてもたってもいられなくて……」

 

(現界前の空間の前震の影響か……?ちっ……仕方ないな)

 

空間震の前震というのは、地震と同じように、揺れが殆どない最初のP波のようなものであり、気象庁はそれを元に空間震を予測しているのである

 

都市伝説として空間震前に幽霊が見えるという説があるのは現界前の精霊と空間の歪みがたまたま見えたというだけの理由があるが、なのはは、それをたまたま見てしまったのである非常事態のようらしく、フラクシナスの指示としてはドーパントの排除と精霊の保護が最優先事項らしい

 

『おにーさん、あの白い毛むくじゃらはなんななの?』

 

「あれは、ドーパントっていう化け物さ……そういうお前も、白い毛むくじゃらじゃないのか?」

『やだなぁ、よしのんはあそこまでボーボーじゃないし、毛並みはいつも綺麗だよー』

 

よしのんはケラケラと笑うとさらに続ける

 

『ん……そういえば、自己紹介がまだだったねー。僕はよしのん!君達は?』

 

少女は、先ほどのドーパントに驚いたものの、恐怖をあまり感じてはいなかった……よほど肝が座っているのか、普通に自己紹介をする

「高町……なのは」

 

そして、ソフト帽子を被り直した士道はジョーカーメモリを鳴らしながら自己紹介をする

 

「五河士道……仮面ライダーの片割れであり、探偵だ」

 

Joker

 

ジョーカーメモリを鳴らした士道をモニター越しでフラクシナスクルーが見守る中、フィリップは副艦長席前でサイクロンメモリを鳴らすCyclone

 

「「変身!」」

 

Cyclone Joker

 

 

風が吹き荒れる中、士道はWへと変身を遂げた

 

『やっは〜凄い風』

 

よしのんが吹き飛ばされないようにもう片方の腕で支える

 

「よしのん!多分、ドーパントの狙いはお前と相棒の少女だ!なのはを連れて、外に逃げろ!一般人が隣にいれば外の連中も手が出せないはずだ!」

 

『なるほどねぇ!分かったよ!士道君も気をつけてね!』

 

よしのんはケラケラと笑いながら、四糸乃のもう片方の腕でなのはを連れていった

 

雪男は、やっと先ほどのフラッシュ攻撃による視界が安定させると、Wに対して胸をドコドコ鳴らしてくる

 

「おい!他の餓鬼どもを何処に隠した!」

 

「オシエルカ。オマエもオレのテキ。タタキツブス」

 

[士道、弓矢のドーパントも気になる……ASTも躊躇せずに射撃するかもしれない……早めに決着をつけよう]

 

「しゃーないな……フェアリーで短期決着するぞ」

 

カマエルメモリをメモリケースから取りだし、カマエルメモリを鳴らした後、サイクロンメモリと入れ換える

 

Kamael Joker

 

巨大な炎の斧を持ったカマエルジョーカーは斧から炎を纏わせ、雪男に降り下ろす

 

「!!」

 

ガキィン!

 

斧が雪男に当たる前にバックステップで回避され、床に斧が突き刺さり、その部分が焦げていた

 

「以外とすばしっこいな……」

 

[カマエルトリガーは、階層が崩れ落ちるから危険すぎる……なら、士道、メタルメモリだ]

 

「了解っ」

 

ジョーカーメモリを取り外し、メタルメモリをスロットに挿入する

 

Kamael Metal

 

メタルシャフトから巨大な二つの炎の鎌が現れ、デスサイズの形に変化する

 

 

「うらあ!」

 

ブーメラン感覚でメタルシャフトで投げるとくるくると火の輪を作り、雪男に襲いかかる

 

「っ!うおおおおお!」

 

雪男は、力付くでメタルシャフトを止めようとするが、回転するたびに雪男に炎の傷痕を残す

 

メタルシャフトは雪男に直撃した後、そのままWの元へと戻ってくる

 

しかし、それでも何事も感じないと言うように、雪男は、Wがメタルシャフトをキャッチした後に再び接近してくる

 

[っ!昨日よりも速い!]

 

雪男は、ダッシュの動きすら昨日よりも明らかに速くなっていた

殴るのを最小限のダメージで調整をし、確実にメタルシャフトでダメージを与えるはずだが……

 

雪男は、痛みを気にせずに攻撃をし続けていた

 

「なんつー回復力っ……こいつの体どうなってやがる……!」

 

よく見ると今までWがつけた火傷の痕がみるみるとふさがっていくのである

 

「くっ!」

 

その上、徐々に雪男がWの動きを学習しはじめたらしく、少しずつ攻撃が当たっていきはじめたのだ

 

「うおおおおお!」

 

雄叫びをあげる雪男は、さらなるラッシュにWを連れ込んでいく

 

「おい、フィリップ!昨日まで、アイツ、あんなんじゃなかったよな!?」

 

[馬鹿な……ガイアメモリの適合レベルが昨日と違って段違いだ……強化アダプターを使った形跡すら見えない]

 

それだけでなく雪男のラッシュは、士道のイフリートメモリによる治癒能力を大きく越えるまでのダメージを一発ずつ当てていたのである

しかも、そのラッシュはスピードが速く、避けることすらままならない

 

その威力は、パンチ一発でビルをいくつも壊すほどの威力だった

 

グギっ……

 

「っ!」

 

あばら骨が折れるような激しい痛みがWに襲いかかる……イフリートの治癒能力や、Wの装甲をもってすら雪男のラッシュは生身に影響を与えていたのだ

 

「うごああああ!」

 

「っ!ぐあああああああ!」

 

[士道っ!!]

 

右ストレートをされて吹き飛んだWはそのままデパートの窓を割り、まっ逆さまに落ちていく

そのまま変身を解除してしまったWは、士道の状態で落ちていった

 

[いけない!神無月!急いで転送を!]

 

その声が聞こえたとき士道は意識が飛んでしまったのであった

 

------------------------------

 

『変身!』

 

よしのんが叫ぶと、パペットから巨大なウサギへと変える

 

「わあ……おっきい……」

よしのんの本来の姿?であるザドキエル。それは、まさしく眼帯をした巨大なウサギであった

 

『さあ、しっかり捕まっててね?』

 

普段はあまり天使を顕現させないのだが、なのはを守るために移動しやすいフォームになったのだ

本来、よしのんの人格はある意味、臆病者の四糸乃がザドキエルを暴走させないために作ったストッパーでもあるのだ

すると、背後からやはりASTの軍隊が追いかけてくる

 

[精霊、ハーミットは現在一般市民を人質に国道……号線を走行中……隊員は、一般市民の救助を優先してください]

 

『なんか、これだとまるでよしのんが誘拐犯じゃないかぁ』

 

高速で移動するよしのんの目の前には更なる追っ手が姿を表した

 

[鳶一折紙一槽!人質をまだ救助を完了していない!一旦引きなさい!]

 

「折紙さん!駄目です!一旦引きましょう!」

 

「駄目。精霊を放置すれば一人以上の被害がでる」

 

「それでも自衛隊ですか!」

 

目の前にはASTの鳶一折紙と岡峰美紀恵が独断行動に出ていた

折紙は、人質がいるのにも関わらず、精霊への攻撃を加えようとするところを美紀恵が止めていた

 

『あるぇ……もめてるのかなぁ……?今がチャンス……!っ!あたっ!』

 

「ウサギさん!?大丈夫なの!?」

 

鋭い矢が、ザドキエルの足に当たり、少し挫いてしまう

 

『へーき、へーき……っ!』

 

とっさに二本目の矢をジャンプして避けると、発射先の方へと睨み付ける

 

「……これより狩りを開始する!」

ビルの頂上にいたのは、狩人のような毛皮のコートを羽織ったドーパントである

 

「あのドーパント………士道さんの邪魔をしてた人なの!」

 

『ぐぬぬ……思ったよりかなり不利だねぇ……逃げ切れるかなっと』

 

よしのんは、ザドキエルのステップで矢やミサイルを軽々と避けていくが、足に刺さってしまった矢の影響で体が思うように動かない

 

『っ!』

 

そういった矢先に、さらにもう一本足が突き刺さり、さらに恐ろしい眠気が誘ってくる

 

 

「ウサギさんっ!?」

 

「……捕獲」

 

すると、ドーパントは、大きな結晶体のようなものをリアライザで取りだす

 

『四糸乃だけでも……!ぐるあああああ!』

 

すると、ザドキエルは、相方の少女だけを分離させ、四糸乃と呼ばれる少女は、そのまま気絶した状態で地面を転がり、対して、よしのんの人格が入ったザドキエルだけが、結晶の装置の中へと吸い込まれてしまったのである

 

「ウサギさあああん!!!」

 

ドーパントは、さらに、よしのんによって逃がされた少女も捕まえようとする

しかし、突如大きな音とまばゆい光が襲いかかったのである

 

「!!スタングレネードか!?」

 

スタングレネードが突如、落とされて場にいる全員が怯んでしまった

すると、なのはと四糸乃と呼ばれる少女は、この場からいなくなってしまったのである

 

「もう半分のセフィラを逃したか……仕方ない……」

 

よしのんを閉じ込めた結晶をそのままリアライザを使って縮小させるとドーパントもこのまま転送装置で逃げていってしまった

 

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Area フラクシナス医務室

 

「……っ!」

 

「シドー!」

 

「だーりん!よかったぁ……」

 

何故か強化されてしまっていた、雪男のドーパントにやられ、デパートに真っ逆さまに落ちた俺が目が覚めたのは、フラクシナスの中であった

ベッドの隣には、看病をしていた二人の姿が目に映る

 

「十香と……美九か……」

 

俺はイフリートによる治療による骨折が治っているかどうか、体を慎重に動かしながら、確認するとふと思い出した

 

「っ!十香、精霊はどうなったか分かるか!」

 

「ウサギの精霊か?」

 

「ああ………その中に普通の女の子もいたはずなんだ」

 

すると、令音と琴里が部屋の中へと入ってきた

 

「シン、無事に目が覚めたようだね」

 

「本当……あの時は冷やかしものだったわ……」

 

令音と琴里は自分たちなりに心配していたらしく、琴里は密かに安堵の息を漏らしていた。その隣で令音は話を続けた

 

「先ほど、保護した一般人の女の子も目が覚めた。そちらはフレに任せている……そして、精霊……ハーミットのほうは現在フラクシナスの隔離病棟で眠っている……いつ、起きて混乱して霊力解放されるか分からないからね……見に行くかい?」

 

令音が呼ぶ、フィリップの名は戻っていたのは昨日で確認できたが、愛称は未だに間違ったままだ。訂正するのも面倒になったのだろうか。ちなみに俺のは未だに直されていない

 

「ああ」

 

俺は否応なしに首肯する

しかし、ベッドの隣にいる二人は不安でしかたないらしい

 

「だーりん、無茶は駄目ですぅ……いくら精霊の力で回復しても、病み上がりなのは変わらないんですよ?」

 

美九の言い分は確かに合っている……でも、やはりあの少女のことが放置して置けないし、何より拉致事件の重要参考人の一人だったからかもしれない……しかし、それよりも気になることがあったからだ

 

「……俺は、なぜ、あの少女があのパペット……よしのんにすがりついているのか知りたい。

それにあいつの顔……昔のお前らみたいな顔してたからさ……

アイツはすがりつく奴……友達や仲間がいないから、パペットに依存していると思う。

……俺が動かないとアイツは何も始まらない」

 

おやっさんもそうだった……自分にしか出来ないこと……自分の力量で出来る限りの全てのことを依頼人のためにやってきた……

 

俺みたいなお人好しじゃなかったが……俺もできることを少しでもやってみたいと思う

 

そんなことを聞いた琴里は、止めようと思っていたが、諦めたらしく腕をすくめて令音に命令をする

 

「仕方ないわね……令音、士道に案内して頂戴」

 

「了解した。では、シンこっちだ」

 

俺は、ベッドにかけてあった探偵帽子と制服のジャケットを着ると、精霊の少女の元へと案内されていったのだった

 




明らかに原作崩壊していますね……よしのんと四糸乃が分離されてしまいました……

よしのんは原作でも四糸乃のヒーローとしての人格でいますが、こちらでは、ヒーロー成分と知能指数をあげてみました

封印前のザドキエルは、獣みたいな声でしたが、よしのん装着していない状態だったので、よしのん装着時のザドキエルの操作は、よしのんの人格がしている設定にしました

しかし、ドーパントがザドキエルを結晶に捕獲されたとき、無理やりよしのんが四糸乃を分離させたため、現在、霊結晶は、よしのんが半分、四糸乃が半分所持している状態になっています
分からない所があれば、感想でくださいね

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