東方怪人録~怪人たちの幻想入り~   作:Dr.クロ

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掃除で見つけたとある絵、それは遥か昔の思い出の一枚であった…


閑章~始まりの巫女と商人~

異変が終わり、宴会の片づけついでに鬼矢達は博麗神社の蔵の掃除もしていた。

 

鬼矢「凄い埃だな…」

 

掃除されてなかったせいか積もった埃をはたきで落としてから雑巾で拭きつつ鬼矢は呆れる。

 

霊夢『最近掃除してなかったから…』

 

チルノ「よいしょっと」

 

魔理沙「にしても色々あるな」

 

お手伝いに来ていたチルノを横目に魔理沙は置かれてるのを見てそう呟く。

 

蓮子「そうだねー。巻物とかなんかお札が貼ってある箱とか色々あるよね」

 

メリー「その箱は触らない方が良いと思うわよ蓮子;」

 

興味深そうに置かれてる物を見る蓮子にメリーは注意する。

 

遊びに来ていたが同じように手伝いをしているフランはタジャドルに肩車しながら掃除して行くと…蓮子が見つけていたいわく付きとは違う丁重に包装された箱を見つける。

 

フラン「ん?なにこれ?」

 

乃亞「どうしたフラン。何か見つけたのか?」

 

気付いた乃亞が声をかけるとちょっと待ってねとフランは返してからよいしょっと…と見つけた箱を手に取り、持って来るとタジャドルへと預ける。

 

タジャドル「なんだろうこれ?」

 

鬼矢「ん?」

 

手に持った箱を見て呟くタジャドルに乃亞以外の面々も集まる。

 

魔理沙「綺麗な箱だな」

 

蓮子「開けてみる?」

 

大切に扱われていたんだなと思っていると蓮子が提案する。

 

気になったのでそうだなと鬼矢も頷いた後に掃除を終わらせてから居間で箱を開ける事になった。

 

ちなみに開けるのは蔵の主である霊夢である。

 

パコッ

 

放送されていたのを丁寧にほどいてから開けて中を見ると1枚の絵があり、2人の男女が描かれていた。

 

霊夢『絵?』

 

鬼矢「誰か書かれているようだぞ?」

 

んーと目を凝らして見ていると…

 

紫「あら、皆。なに見ているの?」

 

魔理沙「あ、紫」

 

ひょっこり現れる紫に誰もが目を向ける。

 

ちなみに従者の藍は早速霊夢を自分の尻尾にもふらせてはふうとしていた。

 

ごきげんようと挨拶した後に鬼矢達が見ていた絵を見て紫はあらあら…と懐かしそうに呟く。

 

紫「懐かしいのを見つけたわね」

 

メリー「え?」

 

近寄って絵を持ち上げた紫に誰もが見る中で紫はしみじみと言葉を漏らす。

 

紫「ホント、懐かしいわね…」

 

鬼矢「知り合いか?」

 

蓮子「誰か知っている人なんですか?」

 

鬼矢や蓮子のに頷くメンバーへと紫は笑ってから絵の方に目を向ける、

 

紫「これはね…初代の博麗の巫女の絵なのよ」

 

鬼矢「初代の博麗の巫女……だと?」

 

この子がそうよと右側の女性を指す。

 

その中で魔理沙は左側の人物が気になった。

 

魔理沙「こっちの男性は誰なんだぜ?」

 

紫「そっちは霧雨魔法道具店初代店長の霧雨源霧よ」

 

ええ!?と誰もが左側の人物を見る。

 

確かによく顔を見てみると魔理沙を凛々しくした感じに見える。

 

蓮子「霧雨魔法道具店?」

 

魔理沙「うちの店の昔の名前だ!何時からか魔法道具を売らなくなったからか道具店になったんだぜ」

 

売らなくなったというので誰もがああ…と1人の人物を思い浮かべる。

 

 

 

 

源蔵「ハックション!」

 

亜理沙「あら?風邪?」

 

突然くしゃみする旦那にそう聞く亜理沙は分からんと鼻を摩りながら返される。

 

源蔵「誰か噂でもしているのか?」

 

亜理沙「あらあら…」

 

顔を顰める旦那に亜理沙はくすくす笑う。

 

 

 

 

戻って鬼矢達

 

鬼矢「博麗と霧雨ってそんな頃から付き合いあったのか」

 

霊夢『し、知らなかったです…』

 

長い付き合いに誰もがへぇ~となる。

 

チルノ「あたい、初代の旦那さんかと思っちゃった」

 

蓮子「私も」

 

そう言うチルノと蓮子に紫は口元を抑えて笑う。

 

と言うか内心大爆笑していた。

 

そんな紫の反応に首を傾げる霊夢だが、後々その笑いの理由に気づくのであった。

 

鬼矢「それで博麗の巫女の方は一体どんな名前なんだ?」

 

霊夢『あ、そう言えば…』

 

誰もが気になって聞くと紫は面白そうに霊夢を見る。

 

紫「聞いたら驚くと思うわ。初代の名前はね…れいむよ」

 

鬼矢「は?れいむ?」

 

告げられた名前に誰もが呆気に取られると紫は悪戯成功な感じに笑う。

 

紫「そう。正確には博麗靈無っていうの」

 

こういう字よとさらさらと書いて見せる。

 

そこには靈無と書かれていた。

 

魔理沙「難しい方の靈に無で靈無か」

 

フラン「霊夢と同じ読みだね」

 

ほわ~と感心する魔理沙とフランの後に鬼矢は難しい漢字なのが変わってるなと呟く。

 

乃亞「んでそれぞれどんな奴だったんだ?」

 

紫「そうねぇ…」

 

気になった乃亞の問いに紫は懐かしそうに目を細めながら語り出す。

 

 

 

 

回想

 

幻想郷が出来てしばらく経った頃

 

紫「靈無ー。遊びに来たわよー」

 

靈無「…あら、紫じゃない」

 

今日も性懲りもなく来たわねと言う靈無にスキマから顔を出した紫はまあねと軽く返す。

 

靈無「幻想郷の管理人の癖によく来るわね」

 

紫「それだけ大事はないって事よ」

 

呆れ交じりにそう言いながらお茶を用意する靈無に紫はスキマから出て優雅に座りながらそう返す。

 

用意されたお茶を2人は飲んでホッとする。

 

靈無「そう言えば各勢力のほうはどうなっているのかしら?」

 

そう言われて紫は真剣な顔をする。

 

紫「今はお互いに緊張状態にあるわ」

 

そう…と紫のを聞いて靈無はふうと息を吐く。

 

靈無「いつか幻想郷が本当に平和な世界になると良いわね…」

 

紫「そうね」

 

神妙な顔で言う靈無に紫は頷いてお互いお茶を飲む。

 

???「おーい。靈無!」

 

すると玄関先からの声にやっぱり来たかと靈無はやれやれと立ち上がってもう1人分用意してる中でずかずかと白髪で黄色の着物を着た男性が来る。

 

そんな上がって来た人物に紫は顔を向ける。

 

紫「あら源霧じゃない。こんなところに来てお店の方は良いの?」

 

男性?→源霧「今は休憩中だ。それに来るとしてもほとんどが妖怪だしな」

 

そう返してよっこらせ!と座ると靈無が来る。

 

靈無「相変わらず男っぽいわね源霧」

 

源霧「おいおい、それを言うなよ」

 

お茶を置きながらそういう靈無に源霧は肩を竦める。

 

遠慮ない源霧にふうと息を吐いてから靈無は座った後にせんべいを齧る。

 

源霧「ところで紫ー、何時になったら里をうちの近くに作ってくれるんだよー?」

 

紫「まだ妖怪たちとの交渉に手間がかかっているのよ。もう少し待ってちょうだい」

 

早くしてくれよなーとせんべいをひと齧りする源霧に紫は苦笑する。

 

靈無「まあできたらまたいざこざとかありそうだけどね」

 

源霧「そうなんだけどさぁ、やっぱ妖怪以外にも売りたいしな…」

 

そう言う靈無に源霧は頬杖をついてぼやく。

 

紫「それにしても相変わらず凄いのを作るわね源霧は」

 

靈無「そうよねぇ…」

 

呆れ交じりに言う2人のに不満げだった源霧はだろと笑う。

 

源霧「なんなら買うか?お手頃価格で売るぜ」

 

靈無「遠慮するわ」

 

笑って売りつけようとする源霧に靈無はきっぱりと断る。

 

紫も同様で断ると源霧はちぇっと唇を尖らせる。

 

紫「相変わらずの商売人魂ね」

 

靈無「そうね…」

 

そんな源霧のに2人は本当に呆れるのであった。

 

紫「それで…のほほんとしている所で来たみたいね」

 

そう言う紫のに源霧と靈夢はげんなりする。

 

それと共に狼の様な妖怪が現れる。

 

靈無「やれやれ…」

 

源霧「こういう時に来るんだからいやだよな…」

 

お互いに立ち上がった後に外に出て襲い掛かろうとする狼の様な妖怪へと向けて…

 

靈無「よっ」

 

源霧「はっと」

 

バシュッ、ズドォオオオオオオオオン!!

 

靈無はお札を投げ、源霧は自分の周囲に八卦炉を展開してビームを放つ。

 

お札で動きが止まった狼の様な妖怪はあっさりとビームに飲み込まれて消える。

 

紫「瞬殺ね…。相変わらずのコンビネーションね」

 

流れる様に行われた行為に紫は感嘆交じりに呆れる。

 

源霧「まあ幼い頃からの付き合いだしな」

 

靈無「そうね。にしてもいつも思うけど恐ろしいわねその八卦炉」

 

そう笑う源霧のに靈無は呆れた顔で浮かんでいる八卦炉を見る。

 

源霧「そりゃあ私のお手製だからな」

 

紫「空中を飛んで超火力、しかも複数あるなんてヤバすぎでしょ」

 

もう普通にお城みたいな感じねとぼやく紫に靈無も同意する。

 

源霧「まあいずれ販売しようかと思って…」

 

靈無&紫「それはやめなさい!バランス崩れるわ!」

 

そういう源霧に2人は必死に止める。

 

ちぇと残念そうな源霧に紫と靈夢は息を吐く。

 

 

 

 

戻って現代

 

紫「……とまぁ、こんな感じよ」

 

鬼矢「色々と凄いな…特に魔理沙の先祖」

 

話し終えてお茶を飲む紫から魔理沙へと目を向けて鬼矢はそう述べる。

 

他のメンバーも同じで魔理沙は目を輝かせていた。

 

魔理沙「スゲェ…空中を自由自在に動く八卦炉を作るなんて」

 

紫「もし販売されていたらホントにヤバかったわねー;バランス崩壊待ったなしだわ」

 

確かに崩壊してそうだな…と疲れた顔でぼやいた紫に誰もが思った。

 

乃亞「もしかして輝夜が使っていたあの壺も…」

 

蓮子「源霧さんが作ったのかな?」

 

かもねと永夜異変で輝夜が出したのを思い出して言う乃亞と蓮子のに紫は肩を竦める。

 

紫「そう言えば彼女が作ったアイテムで幻想郷がヤバかった時も何回かあったわねー」

 

フラン「そ、そうなんだ;」

 

流石に本気のをしたらやばいだろうな…とフランは冷や汗を掻く。

 

紫「あー、ホントあの子たちはあっちでも元気にしているかしら」

 

話してて懐かしくなったのか紫はそう呟く。

 

それだけ悪友もとい親友とも言える間柄だったんだなと誰もがそんな紫を見て思った。

 

鬼矢「あっちというとあの世か?」

 

魔理沙「紫なら簡単に行けそうだと思うだが…」

 

メリー「確かにスキマで行けそうよね」

 

そういう魔理沙とメリーのにそんな事したら閻魔様に怒られちゃうわよと紫は肩を竦める。

 

その後は中断していた掃除を紫達も交えて再開し、夕方に終わって解散するのであった。

 

その時の鬼矢達は知らなかった。

 

まさか次なる異変で思わぬ出会いを果たす事を…




藍「次回、『バロンと幽香の出会い』だ。はぁ~霊夢もふらせるの…良い!」

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