東方怪人録~怪人たちの幻想入り~   作:Dr.クロ

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暴れる悪意に弟を救う為に姉は舞う。


第三十五章~悪を名に持つオーバーロード~

前回、リベンジに現れたプリズムリバー三姉妹を乃亞に任せた鬼矢達はゼラが居ると思われるところにへと向かっていた。

 

霊夢『鬼矢さん、純さんがいる場所わかるんですか?』

 

鬼矢「あぁ、あいつの気配を感じるからな」

 

向かっている途中でそう聞く霊夢にフェニックスファントムはそう答えていると「着いたぞ」と答えると共に一行はある場所にへと到着する。

 

霊夢『此処って……』

 

チルノ「西行妖のとこじゃん!」

 

そう、そこはかつて純によって封印された西行妖があるところだったのだ。

 

誰もが警戒して周りを見る。

 

ゼラ「よう、よく来たな」

 

声に誰もがどこからと思っていると上だ上と言う声に見上げる。

 

すると西行妖の枝の上からゼラが現れて、鬼矢達を見下ろして見る。

 

霊夢達が驚く中で鬼矢は前に出る。

 

鬼矢「よぉ、久しぶりだなゼラ」

 

ゼラ「そうだなァ。本当に久しぶりだなァ」

 

お互いに軽く言う2人だがその体から発する威圧がぶつかり合って霊夢達は少したじろく。

 

鬼矢「にしてもテメェ、一体どうやって復活したんだ?」

 

霊夢『え?どういうことですか鬼矢さん?』

 

そんなゼラへと質問した鬼矢のに霊夢は気になって聞く。

 

鬼矢「ゼラは元々純の人格の一つだ。本来の人格である純にとっては思い出したくない人格だから奥深く封じ込められていた。なのにどうやって…」

 

ゼラ「あぁそれかァ。なぁにそれはオレの運が良かったって事だよ」

 

そんな霊夢へと答えた鬼矢へとゼラは笑って疑問に対してそう返す。

 

鬼矢「なに?」

 

ゼラ「偶々純に悪戯しようとした妖怪が居てそいつの能力のおかげで出ることができたって訳だ。まぁその妖怪にはきっちりと礼をしてあげたがな」

 

くっくっくと笑って言うゼラに成程なと鬼矢は納得してから西行妖に向けてジャンプし、ゼラが乗っているのとは別の枝に飛び乗って同じ目線になる。

 

鬼矢「なら今度は二度と出てこれねぇようにボコってやるよ」

 

ゼラ「ハッ!やれるもんならやってみろォ!」

 

そう言うとゼラは自身の姿を本来の姿である伝説上の生物であるマンティコアをオーバーロードインベス洋風にした感じの黒い怪人、オシュへと変え、右手に自身の武器である槍、オムボリャ・ミョムグを出現させてその切っ先を鬼矢に向けて殺気を放つ。

 

その殺気にもろともせずに鬼矢はオリジンに姿を変えて構える。

 

タッ!

 

そして同時にそれぞれ枝から飛び降り、接近し…

 

ゼラ・オリジン「「タァアアアアアア!!!」」

 

ガキィン!

 

ぶつかり合う。

 

しばらく拮抗しあった後にお互いに離れて距離を取る。

 

ゼラ「今までの閉じ込められていた分を清算させて貰うぜ!」

 

ヴィィン

 

するとオムボリャ・ミョムグの先端の周りに魔法陣のようなものがいくつか展開し…

 

ゼラ「食らいな!」

 

オリジン「!」

 

ズガガガガガガガガガッ!!

 

そこから紫色のエネルギー弾が大量に放たれる。

 

オリジン「チッ!」

 

それをオリジンは舌うちしながら下がるとエネルギー弾を避けつつ…

 

オリジン「フンっ!」

 

ズドッ!ドガッ!

 

向かってくるエネルギー弾の幾つかをゼラの方に蹴り飛ばす。

 

オシュ「フン!」

 

バシュッ!

 

その向かってきたエネルギー弾をオシュはオムボリャ・ミョムグで薙ぎ払ってから勢いを付けて回転し…

 

オシュ「オラァ!」

 

ブンッ!

 

そのままオリジンに剥けて投擲する。

 

オリジン「っ!」

 

向かってきたオムボリャ・ミョムグをオリジンは避けるが…

 

ズドォォォオオオオオオッ!!

 

オリジン「ぐっ!?」

 

オムボリャ・ミョムグが刺さった際の衝撃により崩れた地面のせいでバランスを崩してしまう。

 

オシュ「オラァ!」

 

ギュルルルルルル、ズドッ!

 

オリジン「!」

 

その隙を突き、オシュは尻尾を伸ばし、オリジンのどてっぱらにへと尻尾の先端をめり込ませる。

 

かはっ!とオリジンは思わず息を吐く。

 

魔理沙「鬼矢!」

 

オリジン「手出しは無用だ!それにこいつには生半可な力で突撃したら死ぬぞ!」

 

それに誰もが飛び出そうとしてオリジンはそう叫ぶ。

 

死と言うのに霊夢は体を震わせる中でオリジンは尻尾を握りしめてから振り回し、ゼラを投げ飛ばす。

 

オシュ「うおっと」

 

投げ飛ばされたオシュはその途中でオムボリャ・ミョムグを拾ってから着地すると…

 

オシュ「おらよっと!」

 

スドッ!ズガガガガガガガガガガガガッ!!

 

オムボリャ・ミョムグを地面に突き刺し、地割れを起こす。

 

オリジン「!」

 

それをオリジンはすぐさまフェニックスファントムに変わり、飛翔して避ける。

 

オシュ「逃がすかよォ!術式【ゴベリャファオミ】!!」

 

ズババババババババババババババッ!!!

 

オシュがスペルカードを取り出して宣言すると同時に彼の周りに魔法陣がいくつも展開され、そこからオムボリャ・ミョムグと同じ形状をしたエネルギーの槍が大量にフェニックスファントムに向かって放たれる。

 

オリジン「チッ!」

 

それをフェニックスファントムは火炎弾で槍を破壊しながら避けていく。

 

オシュ「チッ、やっぱり防ぐか。んじゃあオレも飛ぶとするかぁ」

 

ヴィン

 

オシュ「よっと」

 

それを見て舌打ちするオシュはそう言うとぶつぶつ呟いてから自身の前に宙に浮く魔法陣を展開するとその上に乗り、魔法陣を操りフェニックスファントムのほうに飛んで接近する。

 

オリジン「!?」

 

飛ぶ方法にフェニックスファントムが驚く中でオシュは迫り…

 

オシュ「オラァ!」

 

オリジン「チッ!」

 

ガキィン!

 

オムボリャ・ミョムグをフェニックスファントムへ振り下ろし、それをフェニックスファントムはタルタロスで防ぐ。

 

オシュ「オラオラオラァ!」

 

ガキィンガキィン!ガキィンガキィン!

 

そのままオシュはオムボリャ・ミョムグでのラッシュを続けて放ち、フェニックスファントムはそれをなんとかタルタロスで防いで行くが……

 

バリィン!

 

オリジン「なっ!?」

 

オシュのとんでもないパワーのラッシュにタルタロスは耐えきれず、刀身が砕け散る。

 

オシュ「オラァア!」

 

オリジン「!」

 

その隙を突き、オシュはオムボリャ・ミョムグを渾身の力を籠めフェニックスファントムに叩きつける。

 

ズドッ!ドォォオ―――――――――ン!!

 

オリジン「ぐっ………」

 

地面にへとめり込んだフェニックスファントムは呻きながらなんとか立ち上がる。

やはり一筋縄では行かないなと思いながらも純へと戻す為に構える。

 

オシュ「チッ、まだやるか……!」

 

それに舌うちしながら言うオシュは霊夢たちのほうを見るとニヤリと笑い……

 

オシュ「術式【ゴベリャファオミ】!!」

 

ズババババババババババババババッ!!!

 

先ほど放ったエネルギーの槍の弾幕を霊夢たちの方にへと放つ。

 

オリジン「しまった!?」

 

それにフェニックスファントムは向かおうとするがオシュが遮る。

 

ワーム系になろうとするがそれをさせないとオシュは攻撃を仕掛ける。

 

霊夢「ギャウ!?」

 

エネルギーの槍の弾幕が霊夢たちに当たろうとしたその時……

 

ガガガガガガッ!

 

オシュ「なにっ!?」

 

突如現れた巨大な扇子が霊夢達の前に飛来してエネルギーの槍から彼女達を守る。

 

その見おぼえのある巨大な扇子に魔理沙たちはあっ、と声を漏らす。

 

魔理沙「この扇子は……」

 

???「ふぅ、なんとか間に合ったわね」

 

オシュ「!その声は……」

 

誰もが声の方をするとオーバーロードの怪人少女としての姿になった幽々子がいた。

 

幽々子「貴方が純君の黒歴史ね……」

 

そう言って幽々子はオシュを睨む。

 

のんびり屋とも言える幽々子が普段見せない顔に魔理沙達は息を飲む中でオシュは鼻で笑う。

 

オシュ「なんだオレを誕生させてくれた切っ掛けになってくれたお姉さまじゃねぇかよ」

 

幽々子「っ!……言ってくれるわね貴方……そんなに死にたいのかしら?」

 

オシュの挑発に幽々子は青筋立てながらそう答える。

 

オシュ「んでそのお姉さまが俺と戦うってのかよ?」

 

幽々子「えぇそうよ。純君を取り戻させてもらうわ」

 

笑って言うオシュに幽々子は霊夢達を守った巨大な扇子、ディムデュを手に持つ。

 

オシュ「やれるもんなら……やってみなァ」

 

その言葉と共にオシュは襲い掛かる。

 

幽々子はディムデュを構えたまま微動だにせずオシュをみつえる。

 

オシュ「オリャァアアア!」

 

幽々子「……ふんっ!」

 

ズバッ!

 

向かって来たオシュに幽々子はディムデュを振るって吹き飛ばす。

ただ振るわれたそれだけでオシュは飛ばされる。

 

オシュ「ぐがっ?!」

 

シュン!

 

幽々子「はぁ!」

 

直後に幽々子は瞬時にオシュの飛ぶ方へと瞬間移動して先回りして再びオシュを吹き飛ばす。

 

そのまま幽々子は瞬間移動をして先回りを繰り返してはオシュをおて玉の様に翻弄する。

 

オシュ「ッ!調子に乗るなァ!」

 

シュバババババババババッ!!

 

するとオシュは自身の尻尾から紫色の針を大量に発射する。

 

幽々子「フンッ!」

 

ベキッバキッボキッ!

 

オシュ「なに?!」

 

しかし向かってきた針を幽々子は扇子を一振りしただけで全て破壊してしまう。

 

シュン!

 

幽々子「ハァっ!」

 

ドゴッ!

 

オシュ「グァッ?!」

 

そして一瞬で怯んだオシュの後ろにへと回ると畳んだ扇子でオシュの頭を殴りつけ…

 

幽々子「ぶっ飛びなさい!」

 

ズドッ!

 

オシュ「カッ?!」

 

ドゴォォォオオオオオオン!

 

それによろめいたオシュのどてっぱらにへと扇子を叩きつけ、そのままオシュは西行妖にへとめり込む。

 

オシュ「グッ……やった……?!」

 

それに呻きながら起き上がろうとしたオシュは幽々子の方を見て驚く。

そこには殴り飛ばされたことで落としたオムボリャ・ミョムグを持ち、それにやばそうなオーラを纏わせている幽々子の姿であった。

 

オシュ「おい待て……何をするつもりだ?」

 

幽々子「何って……この死の能力纏わせた槍で貴方を貫いて殺すだけよ★」

 

そう言って突き刺そうとする幽々子のにオリジンが慌てて叫ぶ。

 

オリジン「待て待て幽々子?!それだと純も死ぬぞ?!」

 

幽々子「大丈夫よ。精神的の死ならこいつだけに効くでしょ?」

 

慌てて制止の声をかけるオリジンへとそう返して幽々子はオシュから目を離さず力を籠める。

 

その目が本気だと言うのにオシュはゾクッとなる。

 

オシュ「(これが……姉貴のマジギレモードか……)」

 

幽々子「さあ、純くんに体を返すの?返さないの?」

 

冷や汗を掻くオシュへと幽々子はそう問う。

 

ここまでかと状況からオシュは観念する。

 

オシュ「……チッ、しょうがねぇな。死んだら元も子もねぇからな……」

 

舌打ちしてそうオシュが言うとオシュの身体が足元から白くなり始める。

 

オシュ「今回は引いてやるが次出てきたときは……容赦しねぇから覚悟しとけよ……」

 

そしてその言葉が終わると共にオシュの姿はシャロシュへと完全に戻ったのであった。

 

シャロシュ「ふぅ……やっと戻れたよ」

 

幽々子「純く~ん!」

 

ドゴッ!ガシッ!

 

オシュが出ている間も意識があったのか安堵の息を吐いたシャロシュに幽々子は勢いよく抱き着く。

 

シャロシュ「ごふぅ?!」

 

ドッシャ――――ン!

 

その勢いでシャロシュはお腹にダメージを受ける。

 

鬼矢「おい、大丈夫か純;」

 

純「な、なんとか;」

 

オリジンから戻って聞く鬼矢に同じ様に幽々子にスリスリされたままシャロシュから純へと戻って返す。

 

鬼矢「さて純も元に戻ったことだし、恒例の宴会をやるとするか」

 

蓮子「そうですね。」

 

そう言う鬼矢に蓮子も同意して霊夢も宴会と言う言葉で目を輝かせ、魔理沙はどうしようかな…と何かを考えて唸る。

 

鬼矢「純、迷惑かけたんだから準備手伝え」

 

純「う、うん…だから姉さんもうそろそろ」

 

えーと不満そうに呟く幽々子を優しく引き剥がした後に純はんーと背伸びしてから体を動かす。

 

少しの合間とはいえやはり体を動かさないときつかったようだ。

 

ひとまず、オシュにより起こりし異変を解決する事が出来た。

 

後は宴会のみである。




妖夢「えっと、次回、『5回目の宴会』に続きます」

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