太陽の畑、文が住む妖怪の山とは反対方面の奥地にある南向き傾斜のすり鉢状の草原で幽香が住んでいる。
そんな所で幽香はある存在とぶつかりあっていた。
いつもは白のカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカートを着用し、その上から同じくチェック柄のベストを羽織っているのだが、今は変わった模様が施されたインナースーツの上に白いアーマーを付けて、炎の模様が入った黒いマントを羽織った姿となり、剣を握ってある存在とぶつかり合っていた。
ぶつかり合う存在は異形で幽香が握っている剣と同じのを持って幽香の振るった斬撃を逸らした後に幽香のお腹に膝蹴りを叩き込む。
幽香「ぐふっ!?」
???「ふん。今回はここまでだ。俺はさっき言った様に用事があるから行かせて貰う」
吹き飛んで転がる幽香にそう言って異形は剣を消してその姿を別の姿に変えて歩き出す。
そんな後ろ姿を見ながら幽香は悔しそうにぶーたれる。
源蔵「ふう、やはりここは無駄に長いな」
一方の白玉楼に続く階段を源蔵は修理道具を持ちながら歩いていた。
その隣では源蔵を連れてきた純が確かにねと頷く。
純「何回使ってもここの階段にはホント苦労するよ;」
源蔵「足腰の鍛えに良いかもしれないが老齢の奴の事も考えた方が良いな」
そう言う純に源蔵はそう言いながら歩く。
しばらくして白玉楼に着いた後に修理して貰いたい道具を持って来るまで縁側で待っている間、源蔵はある道具を見る。
それは…戦極ドライバーであった。
なぜ持っているかは霖之助の所にあったので様子を見に行った際に来た時に目に入って霖之助に聞いたが詳しい内容じゃなかったので1つだけ貰い、調べていた所を人里に初めて来た鬼矢に詳しく聞いたのだ。
???「ほう、懐かしいのを持っているな」
源蔵「!」
自分以外の声に身構えて見て驚く。
そこにいた人物の顔は自分と同じであったからだ。
源蔵「誰だ貴様は!」
???「…俺は駆紋戒斗、またの名を…」
問う源蔵に人物は名乗った後にその姿を源蔵には見た事もない植物で包み込んだ後に弾け飛ばして異形に変える。
ロード・バロン「ロード・バロン」
源蔵「ロード……バロン?」
名乗ったロード・バロンに源蔵は警戒しながら構える。
そんな源蔵から彼の持つ戦極ドライバーに目を向ける。
ロード・バロン「本当に久々に見るな…おい、そいつの使い方は知ってるか?」
源蔵「ああ、前に知り合った奴に聞いたがこれには〝ろっくしーど”と言うのがないと使えないと聞いたぞ」
戦極ドライバーを装着しながらそう返した源蔵にロード・バロンはあれを見ろと指す。
そこには幽々子が最近嵌ったお酒の為に栽培されているヘルヘイムの実があり、ロード・バロンは1つもぎ取ると源蔵へと投げ渡す。
投げられたのをキャッチをした源蔵は次の瞬間、南京錠の様なのに変わる。
いきなり変わったのに源蔵が驚く中でロード・バロンはほうと少し驚いた様な声を漏らす。
ロード・バロン「バナナロックシードに変わったか……」
そう呟いた直後…ロード・バロンの振るった剣に源蔵は驚きながら避ける。
ロード・バロン「ほう、今のを避けたか」
源蔵「いきなり何をする!」
感心するロード・バロンに源蔵は怒鳴るがロード・バロンは気にせずバナナロックシードと戦極ドライバーを指す。
ロード・バロン「そいつを使って俺と戦え、他にロックシードが欲しいなら実をもぎ取れ」
源蔵「いきなり現れてなおかつ戦えと言うか、無礼な奴には礼儀を教えてやらないとな」
バッナッナ!!
剣の切っ先を向けて言うロード・バロンに源蔵はみつえながらバナナロックシードのスライド式のスイッチで開錠すると源蔵の上にクラックが出現してそこからアームズが出現。
その間に源蔵は戦極ドライバーにセットする。
ロック・オン!
その後にトランペットによるファンファーレのような洋風テイストが鳴り響く。
源蔵「変身!」
カモン!
源蔵は鬼矢に教えてもらった事を思い出しながら、カッティングブレードを倒す。
バナナアームズ!!
ナイト・オブ・スピアー!!
頭上にあったバナナアームズが源蔵に被さった後に変形して鎧となった後に現れた仮面にロード・バロンは再び声を漏らす。
ロード・バロン「まさかここまで似ているとはな…お前もアーマードライダーバロンになるか」
バロン「アーマードライダー?なんだそれは」
出て来た言葉に源蔵、バロンは聞くがそれより前に繰り出されたロード・バロンの突きに咄嗟に手にあったバナスピアーで逸らす。
ロード・バロン「聞く暇があるんなら腕を動かすんだな!」
バロン「チッ!」
そう言って剣を振るうロード・バロンにバロンはバナスピアーを巧みに動かして防いでは攻撃に出る。
ロード・バロンはそんなバロンのに内心驚きながら避けたりしつつ、距離を取る。
バナナスパーキング!!
バロン「ふん!」
それに対してバロンはカッティングブレードを3回倒してから音声と共にバナスピアーを地面に突き立て、ロード・バロンの足元からバナナ状のエネルギーを無数に出現させてバナナはロード・バロンへと迫る。
ロード・バロン「ふん!」
迫りくるのに対してロード・バロンは剣にエネルギーを纏わせると向かってくるバナナを薙ぎ払う。
バロン「口の悪いのと思ったが、実力は相当みたいだな」
ロード・バロン「ふん、それはこっちのセリフだ。初めてなのに使いこなしてるレベルじゃない。達人の域を感じさせるとはな」
そう言うバロンにロード・バロンは剣の腹を撫でてからそう述べる。
その後に再びぶつかり合う。
お互いに蹴りを入れた後にバロンは近くにあったヘルヘイムの実を掴み、ロックシードに変えるがそれはヒマワリの種の様なロックシードで感覚的に戦闘用ではないと感じたバロンはすぐさましまった後にロード・バロンの攻撃を避けてから別の実を取って変化したロックシードに当たりと感じ取って開錠する。
マンゴー!
ロック・オン!
カモン!
マンゴーアームズ!
ファイト・オブ・ハンマー!
音声の後にマンゴーアームズが装着されてバロンはマンゴーアームズ専用アームズウェポンであるマンゴパニッシャーを握る。
バロン「これはハンマーと言うよりメイスと言う奴が近いだろ!」
ロード・バロン「知るか!製作者に聞け!」
言いながらマンゴパニッシャーを振るうバロンにロード・バロンも返しながら防ぎながら後ずさる。
バロン「(さっきのより動きが大振りになるな…こいつ相手には大振りより早く動くのが良いだろう)」
マンゴーオーレ!
振るいながらそう感想を心の中で述べたバロンはすぐさまハンマー投げのように投げ、それをロード・バロンが撃ち落としてる間に2つの実をもぎ取る。
もぎ取られた実はそれぞれスイカとリンゴのロックシードになる。
バロン「(スイカは…この場所じゃあ扱い辛い…ならばこっちだ!)」
リンゴ!
2つを見比べた後にスイカを仕舞い、リンゴロックシードを開錠してセットする。
カモン!
リンゴアームズ!
デザイア・フォビドゥン・フルーツ!!
ロード・バロン「まさかそのロックシードを引き当てるとはな」
バロン「その言い方からするとこいつは希少と言う訳か」
音声と共にバロンに装着されたリンゴアームズを見てそう呟くロード・バロンにバロンはアームズウェポンのソードブリンガーとアップルリフレクターを構えながら言ってロード・バロンとぶつかり合う。
バロン「なるほど、お前と戦うにはうってつけだな」
ロード・バロン「ふん、それはやりあってから言うんだな!」
アップルリフレクターで防ぎながらソードブリンガーを振るうバロンにロード・バロンも剣を振るいながら剣舞の様な動きを魅せる。
一歩も譲らないそのぶつかり合いにロード・バロンは高揚感を感じ、バロンは道具を使いこなすロード・バロンを内心称賛する。
純「へぇ、これは面白いことになっているね」
そんな2人のバロンの戦いを純は幽々子と共に見ていた。
その隣では妖夢があわあわしている。
妖夢「だ、大丈夫なんでしょうか?」
幽々子「大丈夫よ妖夢」
慌てながら聞く妖夢に幽々子はほんわかに言い、純も頷く。
純「ロード・バロンのほうは手加減しているみたいだしね」
妖夢「い、いえそう言う意味ではなく…あそこ、幽々子様がお酒を飲みたい為のヘルヘイムの実以外に自家製栽培してる野菜があるんですけど;」
そう言う純に妖夢はそう言う。
それに幽々子はあ…と声を漏らした後に冷や汗をたっぷり流し始める。
幽々子「野菜ィィィィィィイイイイイイイイイイ!!!」
純「ね、姉さん落ち着いて!!」
飛び出そうとする幽々子を純は慌てて止める。
幽々子「止めないで純くん!食べ物は!食べ物は見捨てられないわ!!」
純「ね、姉さん!」
そう言って幽々子は飛び出す。
ロード・バロン「むっ!?」
バロン「っ!」
それにより2人とも距離を取り合う。
幽々子「あーーー良かった。どれも無事ね」
ロード・バロン「……ふん。気が削がれた」
安堵する幽々子を見てそう言った後にロード・バロンは剣を消して背を向ける。
バロン「1つ聞く。なぜ俺に攻撃をした?」
ロード・バロン「俺を呼んだ奴が俺と同じ顔の奴を知っていてな、どう言う奴だったのか見に来た。それだけだ」
ソードブリンガーをアップルリフレクターに収めながら問うバロンにロード・バロンは問いに答えながら再びヘルヘイムの実をもぎ取るとヘルヘイムの実が輝き出してロックシードになるのを確認した後にバロンへと投げ渡す。
それを受け取った後にはロード・バロンを見ようとするがロード・バロンはいなかった。
投げ渡されたのは他のロックシードより少し大きく、形状はバナナを模した形で色は黄色のロックシードであった。
バロン「なんだこれは……?」
バロンは今持っているバナナロックシードに似たそれに疑問を感じながらキャストパットを閉じて変身を解く。
源蔵「さて、修理する道具は持ってきたか?」
幽々子「あ、うん」
聞く源蔵に幽々子は気まずげに頷く。
源蔵「ならさっさと見せろ。ちゃんと直してやる」
幽々子「ええ、妖夢」
妖夢「は、はい!」
その言葉と共に妖夢は道具を見せる。
源蔵「俺は道具屋だ。さっきのに関しては何も言わんし道具の修理は受け持つ。ただし、道具をまた壊したならげんこつは覚悟しとけ」
純「うん、それは肝に銘じておくよ」
頷いたのを見てから源蔵はさっそく道具の修理に取り掛かる。
しばらくして修理を終えた源蔵はそのまま帰るとの事
純「もう少しのんびりしてても良いのに」
源蔵「妻1人に任せてるからな。遠い場所じゃあ早めに帰る様にしているんでな」
そう言う純に源蔵はそう返す。
純「そう言えば亜理沙さんって確か元々魔法使いだったんだよね?」
源蔵「ああ、それがどうした?」
ふと、そんな事を聞く純に源蔵は眉を顰めて聞く。
純「いやね、よく魔法を捨てるなんて決断できたなと思ってさ」
源蔵「…………………………(ボソッ)」
妖夢「え?何か言いました?」
純の言った事に何かを呟く源蔵に妖夢は聞く。
源蔵「気にするな、ただの独り言だ」
そう言って歩き出す源蔵に妖夢は首を傾げる。
純「………………」
そんな源蔵の背中を純は見ているのであった。
バロンを得た源蔵がまさか自身が異変に巻き込まれると言うのは後の話である。
ロード・バロン「次回、『新たな異変。悪意の復活』を待っておけ」