閑章~竹林の太陽と月の伝説の魔族の姉妹~
それは鬼矢・乃亞・純がそれぞれ、博麗神社・紅魔館・白玉楼に落ちた同じ日の頃に遡る。
その日、竹林を何時も通り行商ウサギに扮して薬を売りに来た輝夜を妹紅が連れ戻して永遠亭に向けて歩いていた。
妹紅「まったく、また行ってよ…色々と探す私を考えろよ」
輝夜「あら良いじゃない。運動で来て」
頭を掻きながらぼやく妹紅に輝夜はくすくす笑って前を歩く。
そんな輝夜に妹紅はかーこいつは…と呆れていると…
妹紅「ぐおっぷ!?」
輝夜「はっ?」
いきなり妹紅の奇妙なうめき声に前を歩いていた輝夜は何事と振り返ると倒れた妹紅がいて、そんなピクピクしてる妹紅の上に2人の少女が気を失って倒れているのに気付く。
輝夜「……何この状況?」
思わず出た事を呟いた後に輝夜は慌てて妹紅の上から優しく退かした後に2人の少女を見て気を失ってる以外に外傷はない事を調べてから起き上がった妹紅と共に永遠亭へと運ぶ事にする。
迷いの竹林~永遠亭~
美陽「う…此処は…」
しばらくして意識を取り戻した美陽は呻いた後に周りを見て自分が寝かされている事に気付いてその隣に月奈が寝かされているのが目に入った。
体を起こして改めて周りを見ると和風な診療所にいるのかなと美陽は考える。
輝夜「あ、起きたのね」
そこに着物に着替えた輝夜が入って来る。
美陽「…誰?」
輝夜「私は蓬莱山輝夜、あなたが今いる永遠亭の主よ。丁度帰り道に落ちて来たから私ともう1人で運んで来た訳よ」
聞く美陽に輝夜は名乗って聞きたいだろう事の1つを言う。
美陽「そ、そうなの…それは助かったわ」
輝夜「いえいえ…それはそれでね。助けたのが私が居なくなった後の月に現れた集団の2人だったのに驚きを隠せないのよね」
礼を言う美陽だったが輝夜の興味深そうに言った事に首を傾げる。
美陽「…え?」
輝夜「あー、いきなり言われても疑問符浮かび上がりよね。ええっとどれ位か前にあなた達、ウサ耳が生えた子達がいる様な所に行った覚えない?」
疑問詞を浮かべている美陽に輝夜はそう聞く。
美陽「えっと…」
そう聞かれて美陽は頭をトントンしながら記憶を探って思い出す。
とある時に月奈が月の石を手に入れたいと言う事で鬼矢に頼み込んでヴァルゴゾディアーツになって貰い、もしもを考えて月奈達は怪人の姿になって月に向かった。
ただ、なぜか月の筈なのに月とは違う所にたどり着き、驚いていた所に2人の女性と複数のウサギ耳を付けた女の子が現れて自分達に色々と言っていた。
ほとんど分かってない自分達に攻撃をして正当防衛と言う事で戦ったのだが…やり過ぎた。
相手がやって来たのを全て返り討ちにした挙句過剰防衛な事をしちゃってそそくさと離れた。
その際に月奈が扇子を持ち帰っていたのも思い出す。
美陽「……」
輝夜「あー、やっぱりね。大丈夫よ。私は別にあなたに謝らせる為に思い出させた訳じゃないから、ただウドンゲから聞いてどう言う子か知りたかったのよ」
冷や汗だらだら流してる美陽に輝夜はそう言う。
美陽「うどんげ?」
輝夜「ああ、あなた達と戦ったウサ耳付けた子の1人よ…ただね…」
輝夜の言った中にあった名前に反応した美陽に輝夜はそう言った後に困った顔をする。
美陽「ただ…どうしたのよ?」
輝夜「いやね…あなた達のウサギ達や依姫と豊姫…あなた達が戦った二人の女性に対する圧倒的な強さと感じた恐怖からあの子此処に逃げて来てね。永琳曰く右に出る者がいない子だったからとても驚いていたわよ」
困った顔で答えた輝夜に美陽は戦ってる中で戦闘に参加せずに怯えていた少女を思い出してあーとなんとも言えない顔をする。
美陽「今その子はどうしているの?」
輝夜「此処に住んでるわよ。あなた達を見たら失神して倒れたけど」
聞く美陽に輝夜はなんとも言えない顔で言う。
美陽「……」
輝夜「んでまぁ、あなた達此処に住まない?」
それを聞いてまた冷や汗だらだら流す美陽に先ほどまでのをぶった切る様に輝夜は提案する。
美陽「え?」
輝夜「ん?だから此処に住まない?」
呆気に取られる美陽に輝夜は再度問う。
美陽「えっと…」
その返答にどうするか考えていた美陽だったがううんと言う声に輝夜ともども見ると月奈が起きようとしてるのに気付く。
輝夜「もう1人のお目覚めね」
月奈「うっ…こ、此処は…」
呻いた後に月奈は体を起こす。
その後に輝夜と美陽に顔を向ける。
輝夜「おはよう」
月奈「…あの…貴方は?」
輝夜「私は蓬莱山輝夜、此処の主ってさっきもそこの子に名乗ったけどね」
聞く月奈に輝夜は名乗った後に苦笑して美陽を見る。
月菜「輝夜…まさか?!」
すると、名前を聞いた月奈は目を見開いた後にベッドから起き上がると輝夜に近寄る。
輝夜「な、何?」
月奈「もしかして貴方は本物のかぐや姫!?」
目を輝かせる月奈に輝夜はどうしたのこの子と美陽に目で聞く。
美陽「あー;落ち着きなさい月奈」
それに美陽は呆れた顔で猫を掴む様に月奈を輝夜から引きはがす。
輝夜「な、なかなか活発な子ね;」
美陽「月奈は月に関するものが大好きだからね…」
そう述べる輝夜に美陽は呆れて言うと心外だとばかりに月奈は言い返す。
月奈「そう言う美陽姉は太陽に関するものが大好きだからお相子だよ」
輝夜「あら?あなた達顔がそっくりなのは姉妹だったからなのね」
月奈が言った事に輝夜は2人を見てから納得と頷く。
美陽「そうよ。私と月奈は双子の姉妹」
輝夜「へぇ~そうだったの」
??「姫さま~2人は起きた~?」
それに輝夜は関心してると癖っ毛のある短めな黒髪とふわふわなウサミミにもふもふなウサ尻尾を持って桃色で、裾に赤い縫い目のある半袖ワンピースを着用した少女が来る。
美陽・月奈「「…兎?」」
輝夜「ええ、てゐ、この通り起きてるわ」
てゐ「そうか~あ、私因幡てゐ、鈴仙とは違って地上の妖怪兎だよ~よろしく~」
目を丸くする2人を尻目に輝夜はそう言い、てゐは2人に近づいてそう言う。
美陽「因幡って…もしかして皮はがされたあの因幡?」
てゐ「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
名前を聞いて思わず呟いた美陽のにてゐはその場で転がり悶える。
輝夜「ああうん…色々と本人の傷に入ったみたいね;」
月奈「美陽姉;」
それにあちゃあ…と輝夜は苦笑いし、月奈は美陽を呆れた顔で見る。
美陽「…あれ?」
なんで自分が責められる感じになっているのかに美陽は戸惑う。
輝夜「やれやれね」
美陽「…ごめん」
てゐ「も、もう大丈夫…」
悶えるのを止めたてゐに謝る美陽にてゐはそう返す。
月奈「すみません、てゐさん」
てゐ「いやうん。もう大丈夫だよホント」
頭を下げる月奈にてゐは胸を抑えながら言う。
妹紅「おーい、あの2人は目が覚めたのか?」
そこにひょっこりと妹紅が現れ、起きた2人を見て安堵する。
月奈「あ、あの貴方は?」
妹紅「藤原妹紅、この永遠亭がある竹林近くに住む者さ」
輝夜「彼女と一緒にあなた達を運んだのよ」
聞く月奈に妹紅が名乗り、輝夜は言う。
美陽「藤原?何処かで聞いたことがある苗字ね…」
名前を聞いて美陽は呟いた後にうーんと唸る。
少ししてああと思い出す。
美陽「そういえば歴史上の有名な一族の名前ね」
妹紅「ん?そうなのか?」
輝夜「そうみたいね」
呟いた事に妹紅は首を傾げ、輝夜は先ほどの月奈の反応から予想してたのかそう言う。
月奈「それでどうする美陽姉?」
美陽「確かに鬼矢達もどうしてるか気になるもんね」
色々と話した後にこれからの事を聞く月奈に美陽は頬をポリポリ掻いて言う。
輝夜「さっきも言ったけどどうせなら此処でのんびりしとけば良いじゃない」
妹紅「だな。あんまり歩き回ってもすれ違いになるかもしれないからな」
美陽「いいの?」
そんな2人に提案する輝夜に美陽は聞く。
輝夜「良いの良いの。私としては久々に外の子と話したかったし」
妹紅「今どうなってるか確かに気になるもんな」
手を振って言う輝夜と興味津々な妹紅に姉妹は顔を見合わせから少しを間を空け…
月奈「あ、ありがとうございます!」
お礼を言った後に月奈があ、これお礼ですと輝夜に何かを渡す。
渡されたのを見ると何かの石であった。
輝夜「これって…何の石?」
月奈「はい、キングストーンっていいます」
輝夜「へぇ~王の石ね~」
妹紅「そう言う名前なのか」
名前を言う月奈に輝夜は珍しそうに見て妹紅は関心する。
美陽「ちなみにそっちのは月のキングストーン。こっちが太陽のキングストーンよ」
妹紅「へぇ、同じのだけど違うんだな」
輝夜が持ってるを指してから似た石を取り出す美陽に妹紅は関心して言う。
その時不思議な事が起こった。
輝夜の手にあった月のキングストーンが突如光を発し始めた。
妹紅「なんだ!?」
輝夜「私何もしてないわよ!?」
誰もが驚いている間に月のキングストーンに変化が起こる。
月奈「キングストーンが!?」
完全に光となった後に輝夜の手から離れて腰に移動するとベルトの様になった後に消えた。
妹紅「な、なんだったんださっきの?」
美陽「あれ?これって…」
今起こった現象に呆気に取られて呟く妹紅の後に美陽がある事に行き付いて言おうとして…
??「何があったの!?」
そこに1人の女性が慌てた様子で来る。
輝夜「ああ、永琳。色々とあったけど無事よ」
美陽「…誰?この人?」
妹紅「ああ、八意永琳、輝夜の従者兼お目付け役だな」
その女性に答える輝夜の後に聞く美陽に妹紅はそう答える。
美陽「なんか…個性的な服ね」
納得した後に美陽は永琳の服装を見てそう感想を述べる。
それに月奈を除く3人も同意なのかあーと漏らす。
永琳「な、なに…」
そんなメンバーの反応に永琳は戸惑う。
美陽「いえいえ、お気になさらず」
輝夜「それで永琳、この2人を泊めるわ」
永琳「はい!?」
手を降る美陽の後の輝夜のに永琳は驚く。
月奈「よろしくお願いします」
永琳「え、うん。こちらこそ」
頭を下げる月奈に永琳は戸惑いながらそう返す。
輝夜「それじゃあ今日のは豪華にしないとね」
妹紅「主にやってるの鈴仙だろうが」
そう言う輝夜に妹紅はそう言う。
美陽「鈴仙?」
輝夜「ほら、私がさっき言ったウドンゲの事よ。名前は鈴仙・優曇華院・イナバ。その真ん中の優曇華院から取ってウドンゲ」
妹紅が名前に首を傾げる美陽へ輝夜が説明する。
美陽「ずいぶんと長い名前ね」
輝夜「まぁ、此処に来る前は鈴仙だけだったけど優曇華院を永琳、イナバを私が愛称で付けて今の名前になったのよね」
そう感想を述べる美陽に輝夜は苦笑して言う。
永琳「そう言えば…ウドンゲ、そろそろ入って来なさい」
思い出してか手をパンとさせて永琳は自分が入って来た方へ呼びかける。
するとにょきとウサ耳が出たがすぐさま引っ込む。
美陽「あっ、引っ込んだ」
輝夜「ホント深いわね;」
出て来たがすぐさま引っ込んだ事に輝夜は冷や汗を掻く。
そんなこんなで月奈と美陽は永遠亭に居候する事になった。
しばらく経った後に2人は起こった異変で巻き込まれる事になる。
永遠に夜が来たかもしれない異変へと……
てゐ「次回!二十二章!次なる異変は朝が来ない?蛍と鳥に続くウサ♪」