東方怪人録~怪人たちの幻想入り~   作:Dr.クロ

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レティから言われた方向を進んでいた霊夢達はある場所に辿り付いていた。


第十章~迷い家の猫妖怪~

霊夢『モフモフ~』

 

魔理沙「見事に猫が多いな」

 

猫を抱いて満足そうにしてる霊夢を見ながら魔理沙は呟く。

 

鬼矢「ところで此処は一体何処なんだ?」

 

魔理沙「ホントどこなんだよな…」

 

???「あっ!霊夢だ!!霊夢~~~」

 

怪人から戻って呟く鬼矢に魔理沙が同意すると声がした後に霊夢に何かが抱き付く。

 

それは猫耳と猫の尻尾が生えた少女であった。

ただ、その尻尾が2本だったが…

 

咲夜「あら?あなた橙じゃない?」

 

少女「あっ、さっちゃんさん久しぶり~」

 

その少女に気づいた咲夜に少女も気付いて言うとそれは止めてよと咲夜は苦笑する。

 

乃亞「咲夜、誰だそいつ」

 

咲夜「この子は橙、紫さんの式の式の子でね。か…(コホン)美鈴をスカウトしに来た紫さんに付いて来たのを一緒に遊んでいたのよ。霊夢もそうよね」

 

霊夢『はい、博麗の巫女に襲名してから良く心配して来てくれました』

 

乃亞の問いに咲夜はそう紹介し、霊夢も優しく橙の頭を撫でる。

 

橙「ふにゃあ…文さんが言ってたけどトラウマを克服出来ても声が戻ってないんだね」

 

霊夢『…色々とすいません』

 

心配そうに言う橙に霊夢は謝ると橙はううんと首を横に振る。

 

橙「トラウマを克服出来てなによりで嬉しいよ!けれど何でマヨヒガに来たの?」

 

乃亞「こっちに変な桜の花びらが来たって聞いたから来てみたんだよ」

 

そう言った後に首を傾げる橙に乃亞は聞く。

 

橙「変な…ああ、そう言えば確かに魔法の森方面に飛んで行ってた様な…」

 

魔理沙「今度は魔法の森か」

 

チルノ「んじゃあ次にそっち行ってみる」

 

出て来た言葉に魔理沙は帽子を押さえ、チルノはそう提案する。

 

鬼矢「魔法の森ってどっちだ?」

 

橙「えっと…此処からならあっちだね…その前にだけどこれが何なのか知ってる?」

 

鬼矢の問いに橙はそう言うとある物を取り出して見せる。

 

それはUSBメモリの様なのであった。

 

霊夢達幻想郷メンバーは首を傾げるが鬼矢と乃亞は知っていた。

 

鬼矢「これはガイアメモリだな」

 

咲夜「ガイアメモリ?」

 

魔理沙「なんじゃそりゃあ?」

 

出て来た単語に誰もが首を傾げる中で鬼矢は説明する。

 

鬼矢「ドーパントっていう怪人に変身するために必要なアイテムだ」

 

霊夢『どう使うんですか?』

 

乃亞「スイッチを押してコネクタって言う奴に差し込んだらなるんだよ。まぁ、これを見るからに端子の色がT2っぽいからどこでも良さそうだな」

 

橙「こうかな?」

 

スミロドン!

 

霊夢の問いに乃亞が答えた後に橙は試しに押して刺して見る。

すると橙は高校生位の少女になり、右裾の部分に爪の様な感じで破れたトレーナーを付け、破れたジーパンを履いて、両腕にカギ爪を装着する。

 

鬼矢「お、スミドロンか」

 

それに鬼矢が感嘆してると…

 

橙「うにゃあ~♪」

 

霊夢「!?」

 

いきなり橙が霊夢に飛びかかって彼女の顔をペロペロしまくる。

 

魔理沙「うお!?」

 

咲夜「ちょ、ちょっとどうしたの?」

 

鬼矢「さ、さぁ?」

 

あぶあぶあぶと手をバタバタさせる霊夢とペロペロしてる橙に魔理沙は驚き、咲夜の呟きに鬼矢もそう返すしかなかった。

 

堪能した橙は涎まみれの霊夢を抱き抱えると家に入ろうとする。

 

魔理沙「ちょ!待て待て待て!そこまでだ!!」

 

橙「にゃ~!!」

 

それに魔理沙が慌てて止めに入り、橙はいやいやと首を横に振る。

 

鬼矢「こりゃあ一回倒さないとな」

 

取り合う橙を見て鬼矢はそう洩らす。

 

咲夜「そうね」

 

橙「ふにゃあ!!!」

 

すると自分を攻撃すると感知してか橙はバっと離れると我武者羅に弾幕を放つ。

 

鬼矢「おっと」

 

飛んで来た弾幕を避けた鬼矢はメダルに包まれた後にカザリグリード態になる。

他のメンバーも怪人少女になるのを見た後にカザリ(鬼矢)は鬣を自在に伸ばし触手のように操り、先端からエネルギー弾を連射する。

 

橙「にゃあ!」

 

それに橙は爪での斬撃やらも混じった弾幕を放つ。

 

しかも弾幕は相殺したとしても橙の懐に飛び込むには難しい程の狭さに展開していた。

 

鬼矢「ちっ、なかなかやるな」

 

霊夢「ギャウ!」

 

橙の強さにカザリ(鬼矢)は舌打ちすると霊夢が飛びだす。

 

魔理沙「ちょ!霊夢!!」

 

咲夜「危ないわ!」

 

弾幕へ向かって行く霊夢に2人は叫ぶ。

 

すると目を見開く。

なんと霊夢は弾幕をスレスレで避けて橙に接近していた。

誰もが飛び込むには厳しいと思われていた狭さをなんなく通っているのだ。

 

鬼矢「凄いな…」

 

魔理沙「美鈴さんの訓練のお蔭か」

 

突き進む霊夢を見て感嘆の声を漏らす鬼矢の隣で魔理沙が思い出して呟く。

 

今の霊夢は美鈴の訓練により、反射神経、避けるスピード、相手の動作を見るのが格段に上がった他、秘めていた物のお蔭で大抵の相手なら避けられる様になっていた。

 

秘めていたもの、それは…直感である。

考えるよりも先に動く天性の勘が美鈴との特訓でそれは開花したのだ。

 

橙に接近した霊夢はスペルカードを取りだす。

 

霊夢「ギャウ!」

 

神氷技(しんひょうぎ)【八方鬼縛陣・吹雪】”

 

宣言と共に橙の足元に魔法陣が現れた後に強烈な吹雪が起こる。

 

カキーン!!

 

それにより橙は氷の中に閉じ込められる。

 

霊夢「ギャギャーウ!!」

 

鬼矢「カチコチに凍ったな…」

 

咆哮する霊夢のを見ながらカザリ(鬼矢)は呟く。

 

 

橙「へっくち!」

 

数分後、氷の中から救出されメモリが抜けて戻った橙は毛布に包まって震えながら乃亞が用意した焚火の温かさを味わっていた。

 

咲夜「はい、此処にあったので作ったスープよ」

 

橙「あ、ありがとうございます」

 

鬼矢「おーい、猪肉を取ってきたぞ」

 

調理して来た咲夜に橙は御礼を言ってフーフーしてると狩りに出ていた鬼矢と乃亞が戻って来る。

 

行こうとしたが先に出た鬼矢が見た所外はきつい吹雪が吹雪いていて鬼矢と乃亞やチルノはともかく魔理沙達にはきついので止むまでの間、休息を取る事にしたのだ。

 

鬼矢から肉を受け取った霊夢は肉を綺麗にして上手に捌く。

 

橙「色々と迷惑をかけてすいませんでした;」

 

鬼矢「いや別にいいぞ?慣れてるし」

 

寒さも治まったのか改めて謝る橙に鬼矢はそう言い、隣で乃亞もうんうん頷いてる。

 

魔理沙「まぁ、とにかく、収まってから出るしかないな」

 

鬼矢「そうだな。んじゃその間ゆっくりと休むか」

 

纏めた鬼矢の号令の後、乃亞はチルノと共に猫と遊んだり、霊夢は魔理沙の胸に背を預けて猫をモフったり、咲夜は橙を介抱したりなどをして吹雪が止むのを待つのであった。

 

そして二時間後…

 

橙「頑張ってくださいね~」

 

魔理沙「おー!ありがとうな!」

 

乃亞「ちゃんと温かくしとけよ~」

 

吹雪が止んだので見送る橙や猫達に魔理沙達は手を振って追いかけるのを再開するのであった。




橙「え、えっと…次回の第十一章は人形と首つりと魔法使いです!ってなんか不吉なのが!?」

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